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認定内科医、認定痛風医

アレルギー専門医、リウマチ専門医、漢方専門医

 

飯嶋正広

 

見落とされがちな微量栄養欠乏症

<25OHビタミンD>No2

 

「ビタミンD」はどんな働きをしてくれるの?

 

「ビタミンD」には、免疫機能を調節する働きがあります。体内にウイルスが侵入してきた際に不要な免疫反応に抵抗し、必要な免疫機能を促す役割を果たしています。

このため、インフルエンザ、風邪や肺炎などの感染症への効果も期待されています。

 

また免疫機能の調節だけでなく、骨を丈夫にする働きもあります。骨の石灰化を促進して骨密度を増加させるため、骨折の予防や抑制へとつながります。

 

ビタミンは通常、体内での生成ができないので食品などから摂取する必要がありますが、「ビタミンD」は日光に当たることによって、体内で生成することができるという特徴があります。

 

ビタミンDは、食事からの摂取に加え、日光(紫外線)への暴露により皮膚で産生される脂溶性のステロイドホルモン前駆体です。これが、肝臓で水酸化され安定な25OHビタミンDに変換されます。

 

25OHビタミンDは生体内におけるビタミンDの主要な貯蔵形態であることから、全身のビタミンD状態を表す代謝物質として広く認められています。

 

そして25OHビタミンDが、腎臓で1α位の水酸化を受けて1,25(OH)₂Dとなったものを活性型ビタミンDと呼びます。

 

 

 

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臨床産業医オフィス

 

<高円寺南労働衛生コンサルタント事務所>

 

産業医・労働衛生コンサルタント・第一種作業環境測定士・衛生工学衛生管理者

 

飯嶋正広

 

 

<先月から、当面の間、職場の健康診断をテーマとして、産業医紹介エージェント企業各社が提供しているコラムを材料として採りあげ、私なりにコメントを加えています。>

 

産業医紹介サービス企業各社が提供する<健康診断>コラム

 

No2.ファースト・コール提供資料から(その4)

 

長時間労働がもたらすリスクと企業における解決策

 

2022-05-27

勤務問題を原因・動機とする自殺者の状況

 

職場での勤務問題によって自殺に至るケースも見られています。勤務問題を原因・動機とする自殺者は、2022年の自殺者総数の9.1%を占めており、“被雇用者・勤め人”の自殺者数は 6,742人にも上ります。

 

▼自殺者総数のうち、勤務問題を原因・動機とする自殺者の割合
図1

 

画像引用元:厚生労働省『令和3年版 過労死等防止対策白書』

 


また、自殺の理由として推定されている勤務問題を見ると、“仕事疲れ”が全体の26.6%を占めていることが分かりました。

図2

画像引用元:厚生労働省『令和3年版 過労死等防止対策白書』

 

このような過重労働によるリスクを防止するためには、残業削減をはじめ、職場における健康管理体制を整備することも重要だと考えられます。

 

出典:厚生労働省『令和3年版 過労死等防止対策白書』

 

 

企業における長時間労働の解決策

 

過重労働による健康被害や事故、自殺などのリスクを防止するためには、長時間労働の削減に向けた具体的な取組みが不可欠です。

 

ここからは、長時間労働の削減に向けた2つの解決策を紹介します。

 

 

①従業員の労働時間を管理する

 

使用者には、従業員の労働時間を適正に把握する義務があります。従業員の始業・終業時刻を現認して確認するとともに、客観的な方法で記録することが重要です。

 

労働時間を適正に管理することで、長時間労働の状況や法令違反の有無を把握できる体制を構築できるようになります。

 

▼労働時間を記録・管理する方法

• タイムカードで始業・終業時刻を記録する

• パソコンの使用時間を記録する

• 勤怠管理システムを利用して残業時間を管理する

 

これらのような方法で労働時間を見える化することで、残業が多い従業員に対して、業務内容やスケジュールの調整を行うことが可能になります。特定の従業員に労働負荷がかかることを防ぐことで、病気や事故などのリスク削減へつなげられます。

 

なお、従業員の自己申告と実労働時間に乖離(かいり)がある場合、使用者は実態調査を行う必要があります。

 

出典:厚生労働省『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』『「過労死等ゼロ」緊急対策』

 

 

②業務方法・取引慣行を見直す

 

生産性を向上しつつ、長時間労働をなくすためには、現状の業務方法や取引慣行を見直して効率化を図ることも重要です。

 

まずは、従業員の業務内容や進め方を可視化して、非効率な工程、時間のかかっている業務などがないか、現状課題を洗い出しましょう。現状課題を踏まえて業務方法や取引慣行を見直すことで、業務効率の向上を図れます。

 

現状課題の洗い出しから改善策を講じるまでの例は次のとおりです。

 

▼具体例①

• 課題:上司への承認依頼から承認を得て次の作業に進むまでにタイムラグがある

• 改善策:ITツールを導入して、オンラインで承認できるフローを構築する

 

▼具体例②

• 課題:データの入力や計算を手作業で行っていて、定型業務に時間がかかる

• 改善策:RPA(Robotic Process Automation:ロボットによる業務自動化)を導入して入力や計算作業を自動化する

 

出典:厚生労働省『働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて~』/総務省『RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)』

 

 

産業医からのコメント

産業医にとっての究極の課題は、担当企業における業務関連での死亡者を発生させないことにあります。勤務問題を原因・動機とする自殺者は、2022年の自殺者総数の9.1%を占め、自殺の推定理由が“仕事疲れ”が全体の26.6%を占めていたというデータは、従業員の労働内容の量(労働時間)および質(業務効率)の両方に注意を払う必要があることを示唆しています。

 

そもそも、使用者には、従業員の労働時間を適正に把握する義務があります。そこで、労働時間を適正に管理することで、長時間労働の状況や法令違反の有無を把握できる体制を構築することが前提となります。

 

また、従業員の業務内容や進め方を可視化して、非効率な工程、時間のかかっている業務などがないか、現状課題を洗い出し、重要度および緊急度などを考慮して、解決に向けての対策を立案し、コツコツと実践して行けるように促すことも、産業医にとって大切な役割であると考えております。

 

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常陸國住人 

飯嶋正広

 

常陸国の万葉集歌を味わう(その4)

 

高橋虫麻呂の才能は短歌ばかりでなく、長歌にも及んでいます。

 

今回ご紹介したいのは、万葉集第9巻1753番歌(長歌)と1754番歌(短歌)の組み合わせです。

 

1753番歌の題詞に検税使大伴卿登筑波山時歌一首[并短歌]とあります。長歌と、その反歌の組合わせで構成されています。

 

長いので、まずは拙訳ではありますが、万葉時代の筑波山紀行をご案内いたしましょう。

 

 

第9巻 1753番歌(現代語:飯嶋訳)

 

常陸の国に雄岳(男体山)と雌岳(女体山)の二つの峰が並びそびえている筑波山を見てみたいものだ、と都のお役人(検税使の大伴卿)がおいでになった。

 

暑い最中、汗を掻き、木の根をつかんで、あえぎながら登り、頂上をご案内した。

 

雄岳の神は快くお導きくださり、雌岳の神も霊力でお守りくださって、いつもであれば、ややもすれば雲がかかったり、雨が降ったりしがちなこの筑波山は快晴に恵まれた。

 

どれ程の天候だろうかと気がかりにしていた、国で随一の絶景を余すところなく御披露してくださった。

 

あまりに嬉しいので、着物の紐を解いて、家にいるような、打ち解けた気分を味わった。

 

草がなびく春に見たいものではあるが、夏草が生い茂っているとはいえ、今日も楽しく素晴らしい。

 

 

<訓読文>

衣手  常陸の国の  二並ぶ 筑波の山を  見まく欲り  君来ませりと  暑けくに  汗かき嘆げ 木の根取り  うそぶき登り  峰の上を  君に見すれば  男神も  許したまひ  女神も  ちはひたまひて  時となく  雲居雨降る  筑波嶺を  さやに照らして  いふかりし  国のまほらを つばらかに  示したまへば 嬉しみと  紐の緒解きて  家のごと  解けてぞ遊ぶ  うち靡く 春見ましゆは  夏草の 茂くはあれど  今日の楽しさ

 

 

<訓読文解説>

冒頭に「衣手 常陸の国」とありますが、「衣手」は「常陸」の枕詞になっているようです。

そもそも常陸国という国名の由来には諸説があって、船を用いずに陸路だけで行き来できる所なので、「直通(ひたみち)」という意味合いから「ひたち」と名づけた、という説のほかに、常陸國風土記に、「衣袖漬国」あることに思い至ります。

 

その部分の標準訳を紹介します。
 

倭武命(やまとたけるのみこと)が東国征討に行かれて新治郡を通ったときに、国造(くにのみやつこ)を遣わして新たに井戸を掘らせたが、すばらしく清い、いい水が出たので、輿(こし)を停(とど)めて水を愛(め)で手を洗われた。

 

そのとき、倭武命の着物の袖が泉の水に垂れて、袖が濡れてしまった。そこで、袖を漬(ひた)すという意味合いで、それを常陸の国の名前とした。

この長歌に対する反歌が、次の短歌です。

 

第9巻 1754番歌

 

作者:

高橋虫麻呂 題詞:(検税使大伴卿登筑波山時歌一首[并短歌])反歌

 

左注:

右件歌者高橋連蟲麻呂歌集中出

 

原文:

今日尓 何如将及 筑波嶺 昔人之 将来其日毛

 

訓読:

今日の日にいかにかしかむ筑波嶺に昔の人の来けむその日も

 

かな:

けふのひに いかにかしかむ つくはねに
むかしのひとの きけむそのひも

 

 

現代訳(飯嶋訳):

今日の絶好の日和に勝ることなどあったのだろうか。
この筑波嶺にやってきた昔の人たちが来た良き日でさえも。

 

 

英訳(飯嶋訳):

What could have been better than today's perfect day?
Even the good days of the past when people came  to this Tsukuba Ridge.

 

 

コメント:

虫麻呂の反歌は、誇張した表現になっていると感じられます。この短歌だけを読むと、虫麻呂の作風や人柄を誤解してしまいかねません。

しかし、都の大切な役人である大伴卿(いわば国税庁の査察長官か?)の、いささか無理のある、たっての所望に応えなければならない不安に満ちた接待の役目を仰せつかった下役の虫麻呂であったのでした。

 

幸い、当日の首尾は上々で、満足のいく結果が得られて大いに安堵した虫麻呂の気持ちを考えれば、この短歌は決して過度に大げさで自己満足な表現とまでは言えず、むしろ彼の率直な心の内が、素直に表現されているように思われます。

 

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作家カミュの、というよりもいわゆる物語る人の綿密な観察と深い洞察に基づく市民観が、さらに明らかにされていきます。

 

Nos concitoyens n’étaient pas plus coupables que d’autres, ils oubliaient d’être modestes, voilà tout, et ils pensaient que tout était encore possible pour eux, ce qui supposait que tout était encore possible pour eux, ce qui supposait que les fléaux étaient impossibles. Ils continuaient de faire des affaires, ils préparaient des voyages et ils avaient des opinions. Comment auraient-ils pensé à la peste qui supprime l’avenir, les déplacements et les discussions? Ils se croyaient libres et personne ne sera jamais libre tant qu’il y aura des fléaux.

 

わが市民が、他の市民以上に不心得だったわけではない(註10)。彼らは謙虚な姿勢を忘れていた、ただそれだけのことである。そして、自分たちには、すべてはまだまだ自在なのだと考えていた。つまり、天災などに襲われようもないと決め込んでいたのであった(註11)。彼らは相変わらず商売に余念がなく、旅行の支度を整え、自分たちなりの思惑があったのだ(註12)。未来と移動と議論とを禁制にしてしまうペストのことなど、どうして考えられたであろうか?彼らは自分たちが自由であるものと信じていた。ところが、天災が襲ってくる限り、人間は誰一人として自由の身などにはなれないのである(註13)。

 

 

(註10)

わが市民が、よその市民に増してけしからぬ者たちだったというわけではない。
Nos concitoyens n’étaient pas plus coupables que d’autres,

 

「人並み以上に」(宮崎訳、三野訳)と訳して問題はありませんが、autres(他の人々)はnos concitoyens(わが市民たち) に対するautres concitoyens(よそ の市民たち)であると考えて、若干のこだわりを反映させました。
 

「わが市民たちも人並み以上に不心得だったわけではなく、」

(宮崎訳)


「わが市民たちも人並み以上にとがむべきだったわけではない。」

(三野訳)

 

「わがオラン市民も、ほかの人々以上に罪深かったわけではないが、」

(中条訳)

 

 

(註11)

天災などに襲われようもないと決め込んでいたのであった。

ce qui supposait que les fléaux étaient impossibles.

 

supposait(原型:supposer) que~の解釈は、中条訳より、三野訳、三野訳より宮崎訳を評価したいと考えます。それは、オランの市民たちが中立かつ公正な立場で論理的なプロセスを経た思考や裏付けとなる情報をもとに物事を明解に判断しているのではないからです。彼らは自分たちにとって都合のよい結論に飛びついているに過ぎません。つまり、彼らはご都合主義であり、それが人間中心主義の本質であるかのような示唆が与えられているように思われます。
 

「天災は起こりえないと見なすことであった。」

(宮崎訳)

 

「災禍など起こるはずがないということが前提だった。」

(三野訳)


「天災などあるはずがないと思っていた。」

(中条訳)

 

 

(註12)

彼らは相変わらず商売に余念がなく、旅行の支度を整え、そして自分たちなりの思惑があったのだ。

Ils continuaient de faire des affaires, ils préparaient des voyages et ils avaient des opinions.
    

ここで、des opinionsを「意見」(宮崎、中条)と解したり、ましてや「主義主張」(三野)とまで解したりすることに異議を述べたいと思います。なぜかというと、これらの理解は英語のopinionの語感の影響を受け過ぎているように感じられるからです。

たしかにフランス語のopinionにも(集団の一般的な)意見という意味もありますが、ここでは「意識」という意味の範囲にとどめておくことが自然であるように思われます。

つまり、オランの市民たちは人間中心主義(世俗主義:ご都合主義)という「意識」に漠然と支配されていることを表現しているのではないか、というのが私の解釈です。また、そのように解釈することによって、「(オランの)市民が、よその市民に増してけしからぬ者たちだったというわけではない。」
という語り手の見解との整合性が見出されるからです。

 

「彼らは取り引きを行うことを続け、旅行の準備をしたり、意見をいだいたりしていた。」

(宮崎訳)

 

「彼らは商取引を続け、旅行の準備をととのえ、自分たちの主義主張を抱いていた。」

(三野訳)


「彼らは相変わらず商売に精を出し、旅行の支度をし、自分の意見を主張していた。」

(中条訳)

 

 

(註13)

天災が襲ってくる限り、人間は誰一人として自由の身などにはなれないのである。

personne ne sera jamais libre tant qu’il y aura des fléaux.

 

市民たちが人間中心主義(世俗主義:ご都合主義)の「意識」に支配されている限り、「天災は起こらないはずだ」という結論に至るのは何と容易なことでしょうか。

しかし、そのような意識を抱きがちなのが、人間中心主義(世俗主義:ご都合主義)であるともいえそうです。安直に当面の安心感を得ることを求めたがるこのような「意識」は、反面、安全性が犠牲になりがちであることへの気づきを阻むことになります。

つまり、安心をむさぼり思うがままに暮らし続けたい、という「願望」と、安全を確保しなければ安心は確保できない、という「思考」とは、相容れない関係にある、ということになります。すなわち、安心と安全とは多くの人々が漠然と意識しているような一枚岩ではない、ということが言えるかもしれません。

 

多くの人々が人間中心主義という「意識」に支配されることは自らを奴隷状態に墜とすことに等しい、ということに気が付かないでいる限り、自然災害(天災)の発生がなくならない現実にも増して、誰一人として決して自由の身にはなれない、という帰結になるのではないでしょうか。
   

「天災というものがあるかぎり、何びとも決して自由ではありえないのである。」

(宮崎訳)

 

「だれもけっして自由ではないのだ、災禍というものがある限り。」

(三野訳)


「天災があるかぎり、人間はけっして自由になどなれはしないのだ。」

(中条訳)

 

 

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聖楽院主宰 テノール 

飯嶋正広

 

 第14回レッスン(7月12日)

 

前回のレッスンのとき岸本先生にお願いした推薦曲(グリンカ、ムソルグスキー、リムスキー・コルサコフ、プロコフィエフ、ショスタコーヴィッチから各1曲、計5曲)のうち、プロコフィエフを除く4曲の楽譜を、さっそくいただくことになりました。後期(9月20日)からの研究課題です。

 

参考音源を付けてみました。

 

 

〇グリンカ(1804~1857)作曲 

 Михаил Иванович Глинка

 

「近代ロシア音楽の父」

 

雲雀(1840)『ペテルブルグの別れ』第10曲

 

(70) М. Глинка - Жаворонок - YouTube

 

 

 

〇ムソルグスキー(1839~1881)作曲 

 Моде́ст Петро́вич Му́соргский

 

「ロシア五人組」の中では、そのプロパガンダと民謡の伝統に忠実な姿勢をとり、ロシアの史実や現実生活を題材とした歌劇や諷刺歌曲を書いた。

 

星よ、おまえはどこに? 歌曲集「青年時代」

 

(70) Where Art Thou, Little Star? (Live) - YouTube

 

 

 

〇リムスキー・コルサコフ(1844~1908)作曲 

 Никола́й Андре́евич Ри́мский-Ко́рсаков
   

ロシア五人組の一人。色彩感あふれる管弦楽曲や民族色豊かなオペラを数多く残す。
   

高みから吹く風のように(Op.43-2)
   

(70) It was not the wind, Blowing from the heights, Op.43, No.2, Nikolay Rimsky Korsakov - YouTube

 

 

 

〇ショスタコービチ(1906~1975)作曲 

 Дмитрий Дмитриевич Шостакович
  

シベリウス、プロコフィエフと共に、マーラー以降の最大の交響曲作曲家
さようならグラナダ!(Op.100-1)「スペインの歌」(1956)から

 

(70) Shostakovich: Spanish Songs, Op. 100 - 1. Farewell, Granada! - YouTube

 

 

前期最後の個人レッスンを翌週に控えたこの回のレッスンでは、8月22日のセンチャブリ・コンサート(練馬ゆめりあホール)で歌う3曲のうち、最初の2曲を暗譜で歌うことを試みました。

 

第1曲目の<нет,толькотот,ктознал...(憧れを知る者のみが...)>は、レッスン期間が長くとれたため何とか合格、

 

しかし、第2曲目の<Oтчего?...(何故?)>は、歌詞につまるところがあり、次回に持ち越しという成果でした。

 

前期最終回の次回(第15回レッスン)では、第2曲目の合格と第3曲目の暗譜による歌唱にチャレンジすることに決心しました。

 

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認定内科医、認定痛風医

アレルギー専門医、リウマチ専門医、漢方専門医

 

飯嶋正広

 

リウマチ専門医が診る血液病

 

日頃、私が勉強不足を感じている分野の代表に、造血器腫瘍があります。
造血器腫瘍というのは、簡単に言えば血液のがんです。

 

なぜ、勉強不足になったのかを反省してみると、答えは単純でした。それは、症例経験数が乏しかったからです。
 

2018年のデータでは、その年に新たにがんと診断された患者はおよそ98万人でした。そのうち、悪性リンパ腫は約3万5千人、白血病は約1万4千人、多発性骨髄腫は約8千人です。全がん中で、これら造血器腫瘍は10%程度を占めるに過ぎません。
 

しかし、悪性リンパ腫は年々増加しています。これは、実は、リウマチ専門医としても警戒しておくべきトレンドです。

 

その理由は、まず、関節リウマチなどの自己免疫疾患はリンパ腫になるリスクが高いばかりでなく、関節リウマチのアンカードラック(決め手となる基本的な治療薬)であるメトトレキサート(リウマトレックス®)などの免疫抑制薬投与中にもリンパ腫の発症リスクが高まることが知られているからです。

 

私これまでのところ、メトトレキサート投与中の関節リウマチの患者さんで腹部リンパ腫を来した1例を経験しています。
 

 

幸いなことに、リンパ腫は腫瘍性疾患でありながら、過半数の患者で治癒が望めます。そして、多くは一般内科医(血液専門医を除く内科医)によってリンパ節腫脹を契機に診断されるため、日常の外来診療で早期に鑑別診断をすることが有用です。
 

関節リウマチの患者さんに対しては、日頃からリンパ節腫脹に注意を払うように指導するとともに、積極的に触診で確認しておくことを心がけたいと思います。
 

概ね40代以降の中高年者で、無痛性かつ弾性硬で長径1.5㎝以上の表在リンパ節腫大を認める場合は特にリンパ腫を疑う必要があるとされます。表在リンパ節の大きさは、表在部エコー(超音波)検査で簡単に計測することができます。
 

一般検査では血清乳酸脱水素酵素(LDH)が単独で高値になるという特徴があります。可溶性IL-2レセプターの値も高値になりますが、感染症やリウマチなどの自己免疫疾患でも高値になるため、これらの疾患との鑑別が必要になります。当クリニックの関節リウマチのための定期血液検査(3カ月に1回)の項目の中にはLDHが含まれるので、経過をモニターしています。

その他、リンパ腫では、貧血や血小板減少なども来すたすことがありますが、関節リウマチも炎症性貧血を伴いがちなので注意を要します。

 

治療を急がなければならないリンパ腫があります。血液専門医に紹介すべき場合があるからです。

 

具体的には、腫瘤の増大が早いケースの他、腫瘤の長径が3㎝以上、血清LDH高値、肝機能異常、血球減少、全身症状(発熱、体重減少など)を認める場合です。発熱に関しては、受診のたびに測定するため、見落としは避けることができます。

また、血清LDH高値、肝機能異常、血球減少なども定期血液検査の項目に含まれているため、見逃さずに済みます。

 

リウマトレックス服用中の関節リウマチの患者さんにリンパ腫を認めた場合には、まずリウマトレックス®の服用を中止します。それだけでリンパ腫が治る場合がほとんどですが、関節リウマチ自体にリンパ腫のリスクがあるため、その場合には、リンパ腫が治らない可能性もあります。

 

確定診断はリンパ節生検によりますが、その場合は、ただちに血液内科などの専門診療科へ紹介すべきであると考えています。

 

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声楽の理論と実践から学ぶNo.9

 

水氣道の稽古と声楽のレッスンの共通点(続・続・続・続々)

 

私たちは、筋肉の構造を単純に理解するためには、タマネギの皮を重ねたような筋肉のイメージを使うことができます。
 

水氣道の稽古では、三次元的な透過性のある息の流れを構築するために、筋肉の最内殻層を活性化させようとします。そして、水氣道の稽古のねらいは、心で筋肉の活動をコントロールすることを通して、どんどん成功体験を増やしていくことにあります。それが感情の解放や体の浮遊感にもつながるのです。

 

そこで水氣道の上達のための「秘訣のツボ」を紹介します。この「秘訣のツボ」を呼び覚ますことで、水氣道の上達が飛躍的に促進されます。

 

この「秘訣のツボ」を呼び覚ます方法は通常二つあります。

 

1) 一連の筋肉を作動させること、

 

2) 関係する筋肉部位の自然な連鎖反応を起こさせること、

 

筋肉を解剖学的に正しい名称で特定することで、体内での連鎖反応のプロセスを把握することができます。

それでは、水氣道の稽古によって、無意識のうちに活性化されるで特別な5つの「秘訣のツボ」を列挙します。

 

(1)  内股(大腰筋が大腿骨に付着する点が中心)

姿勢と歩行と呼吸とを結びつける最重要ポイント

 

(2)  尾骨(骨盤を持ち上げる筋肉や靭帯が多く付着している点が中心)

水氣道の基本姿勢を決定するポイント
能楽の仕舞のときの姿勢によく似ています。

 

(3)  第12胸椎(横隔膜、大腰筋、横筋が交わる部分)

姿勢と呼吸と発声とを連結し、姿勢と動作を支える重要ポイント
中腰の姿勢や、お辞儀などの前屈動作、重いものを持つなどの重力負荷は、第12胸椎を中心とする胸腰移行部(胸椎と腰椎の移行部)に圧力が集中します。


そのため高齢になると最も圧迫骨折が生じやすい部位です。圧迫骨折のほとんどが骨粗鬆症に起因して尻もちなどの軽微な外力により生じます。

 

(4)  内肋間筋から腋窩(わきのした)にかけての筋肉(前鋸筋)

水氣道では、腹式呼吸法を過度に偏重せず、肋骨の動きを主体とする呼吸法である胸式呼吸法も適切に鍛錬します。それは呼吸運動に伴い肋骨が引き上げられたり、引き下げられたりすることは大切だからです。

 

呼気に働く筋肉は内肋間筋です。 呼気時には内肋間筋が収縮して肋骨を引き下げることによって胸郭を縮めて、呼気を助けます。また前鋸筋は、肩甲骨を前外方に引き、肩甲骨が固定されていると肋骨を引き上げる作用があります。

 

(5)  肩甲骨の裏面(菱形筋、肩甲挙筋、小胸筋の挿入部、肩甲舌骨筋との接続部)

猫背になると胸郭が広がりにくくなりますが、これは肩甲骨が正しい位置にないからです。菱形筋自体は呼吸筋というよりも、肩甲骨を内側に引きつける筋肉です。肩甲骨が適切な位置にくることで、前鋸筋という肩甲骨と肋骨をつないでいる筋肉が適切に作用して胸郭が広がりやすくなるので、菱形筋は間接的な役割を果たします。

 

菱形筋の活動が低下すると肩甲骨が外側に開き、猫背になりやすくなります。こうした状態では胸郭の動きが制限され、つまり、呼吸が制限されてしまうのです。

 

現代人のライフスタイルは頭部が前のめりになり猫背になる「フォワードヘッド&ラウンドショルダー」と呼ばれる姿勢をもたらします。この姿勢には、次の特徴があります。

 

• 息を吸う時に肋骨を引き上げて呼吸を助ける小胸筋が硬くなり、胸の前側から肩甲骨が引っ張られるような感じになりやすい。

 

• 肩甲骨が外側に開き、肩が前のほうへ巻き込みやすくなる(巻き肩:ラウンドショルダー)。

 

• 肩甲骨が引き上げられ、頭が前のほうに突き出た状態(フォワードヘッド)になる。頭を支えるために首の後ろの筋肉が引っ張られるように常に緊張した状態になるため、肩こりの原因になりやすい。

 

さらにこうした姿勢は、胸郭の動きが制限されるので、必然的に呼吸が浅くなります。

このような状況であっても身体に必要な空気を取り込むためには、呼吸の回数を増やして対応しなければなりません。不安やストレスが多いと呼吸が浅くなりやすいですが、その一方で姿勢の悪さなどから胸郭の動きが制限されて呼吸が浅くなってしまいます。

 

呼吸数を増やさざるを得ない状況となると、浅くて速い呼吸が続くことになります。それによって不安やストレスが助長されるといった悪循環に陥り易くなります。これは常に不安にさらされていることを意味し、身体的にもメンタル的にもさまざまな悪影響が及ぶと考えられます。

 

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認定内科医、認定痛風医

アレルギー専門医、リウマチ専門医、漢方専門医

 

飯嶋正広

 

見落とされがちな微量栄養欠乏症

<25OHビタミンD>No1

 

新型コロナウイルスや従来からのインフルエンザウイルスなどの感染症を予防するためには、免疫力を高めることが重要だと考えられています。そこで期待されているのが、免疫機能を調節する栄養素「亜鉛」や「ビタミンD」です。そのうち、「亜鉛」については、前回までに詳しくご紹介してきました。

 

当クリニックでは本年のゴールデンウィークまでは、新型コロナ感染者は、2,3人だけでしたが、その後、少しずつ増えてきています。その理由は、免疫力の低下にあることが疑われます。

 

若干名ではありますが、新型コロナ感染症に罹患した方の血液データには共通の所見がありました。それは第一に、亜鉛欠乏症もしくはビタミンD欠乏症であるということでした。第二に、一例を除いて、すべて新型コロナワクチン接種済み(2回以上)であったこと、第三に、私が一昨年から推奨してきた漢方薬による免疫増強に無関心であったこと、などです。

 

そこで今回からは、しばらくの間、免疫機能にかかわる「ビタミンD」の働きや効果的な摂取方法をお伝えします。その前に、まず「免疫」とは何かについて、説明しておきたいと思います。

 

 

免疫とは?

 

免疫とは、ウイルスなどの有害な物質から体を守る仕組みです。そして、免疫力は体に入ってきたウイルスなどと戦う防衛体力のことをいいます。

 

体内にウイルスが侵入してきたとしても、それを有害な「非自己」として認識して排除し、病気にならないような働きを自動的にしてくれるのが免疫機能です。これには自然免疫と獲得免疫との連携によって担われています。

 

免疫力が低い人はウイルスに対しての抵抗力が弱いため、感染症だけではなく、様々な病気にかかりやすくなります。

この場合、自然免疫が十分に機能すれば感染しにくくなるので、予め自然免疫を強化しておけばよいのですが、自然免疫は一朝一夕に強化できわけではありません。ですから、短期間に免疫力を増強するためには従来型のワクチン(ⅿRNAワクチンは注意を要します!)などにより獲得免疫を活性化させる必要があります。

 

一方で自然免疫力が高い人はウイルスに対する抵抗力が強いため、たとえワクチンを接種しなくとも病気にかかりにくく健康な状態でいることができるのです。

 

免疫力が低下した人は、新型コロナウイルスなどの感染症にかかりやすくなります。なお、武漢株を目的に作られたワクチンは、仮に武漢株ウイルスに特異的に有効であったとしても、変異株には効きにくいと考えるのが医学上の常識です。

 

これに対して自然免疫の素晴らしさは、病原体などの異物の侵入に対して即時的・直接的に生体防御反応が起こり、しかも非特異的に働くことにあります。

 

つまり、特定のウイルスにだけに対応するのではないのと同様に、さまざまな変異株にも対応可能だということです。この自然免疫は、生体が生まれながらに、だれでもが持っている免疫機構です。この自然免疫は、2段階の防御機構を有していて、体表面における機構と対組織内における機構によって成り立っています。

 

 

まず体表面における自然免疫は、異物の侵入を未然に防いでくれる反応です。皮膚・粘膜面からの分泌液や常在細菌叢により、異物の侵入を未然に防ぐバリア機能を持っています。このようなバリア機能はワクチンに期待することはできません。

 

次に対組織内における自然免疫は、体表面のバリアを突破し、組織内に異物(病原体)が侵入した際に、免疫応答により炎症を惹起させることによって生体を防禦する機構です。

 

これら2段階の自然免疫機構は、相互の連携プレーによって効率的に防御力を発揮することができます。受動的にワクチンの接種を繰り返すのみでは、のこのような2重のバリアー機構を強化することはできないのです。

 

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臨床産業医オフィス

<高円寺南労働衛生コンサルタント事務所>

産業医・労働衛生コンサルタント・第一種作業環境測定士・衛生工学衛生管理者

 

飯嶋正広

 

<先月から、当面の間、職場の健康診断をテーマとして、産業医紹介エージェント企業各社が提供しているコラムを材料として採りあげ、私なりにコメントを加えています。>

 

産業医紹介サービス企業各社が提供する<健康診断>コラム

 

No2.ファースト・コール提供資料から(その3)

 

ここからは、厚生労働省がまとめた『平成28年版過労死等防止対策白書』『令和3年版過労死等防止対策白書』を基に、長時間労働による労働者の不安と自殺者の状況について解説します。


出典:厚生労働省『令和3年版過労死等防止対策白書』『平成28年版過労死等防止対策白書』

 

 

疾患の発症や悪化への不安

 

『平成28年版過労死等防止対策白書』によると、調査人数全体の約27%にあたる人が、過去半年間に「脳・心臓疾患、精神障害の発症や悪化の不安を感じたことがある」と答えていることが分かりました。

 

図1

画像引用元:厚生労働省『平成28年版過労死等防止対策白書』

 


また、不安を感じた理由として、約30%の人が「長時間労働や残業が多いため」と答えています。

 

これは「仕事で精神的な緊張・ストレスが続くため」「職場の人間関係に関する悩みがあるため」に次いで3番目に多い理由です。このことから、長時間労働は心身の不調を引き起こす原因の一つになり得ると考えられます。

 

図2

画像引用元:厚生労働省『平成28年版過労死等防止対策白書』
出典:厚生労働省『平成28年版過労死等防止対策白書』

 

 

産業医からのコメント

調査人数全体の約27%にあたる人が、過去半年間に「脳・心臓疾患、精神障害の発症や悪化の不安を感じたことがある」というデータを正しく認識する必要があります。

 

その不安を感じた理由として、「仕事で精神的な緊張・ストレスが続くため」「職場の人間関係に関する悩みがあるため」に次いで約30%の人が「長時間労働や残業が多いため」という明確な理由があります。

 

長時間労働は、このように不安に直結し、また長引く不安はストレスフルな状態(高ストレス状態)であることが示唆されます。職場の一般健康診断だけでは、高ストレス者を発見し、健康障害や事故を未然に防止することはできません。

 

ストレスチェック制度とは、労働者がメンタルヘルス不調になることを未然に防止することを主な目的とした、労働安全衛生法第66条の10全体に係るものをいい、2015年(平成27年)12月に施行されました。

 

定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させるとともに、検査結果を集団的に分析し、職場環境の改善につなげるという一連の手続きが取られるようになりました。
 

長時間労働を減らしていく過程でストレスチェック制度を有効に活用していくことが望まれます。

 

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常陸國住人 

飯嶋正広

 

常陸国の万葉集歌を味わう(その3)

 

高橋虫麻呂の歌は、万葉集に36首もあります。虫麻呂の歌には、鳥を歌った歌や、地方の伝説を歌った歌が多いです。

 

筑波山を詠んだ歌もあります。

 

虫麻呂のこの歌のタイトルは、<筑波山にのぼらざりしことを惜しむ歌>となっています。しかし、折口信夫の著書「万葉集」によると、ホトトギスを聞きたかった虫麻呂の負け惜しみの歌であるとのことです。

 

自分たちは(筑波山に登ったので)ホトトギスの声を聞くことができたと自慢する知人たちに対して、それは虚言であって、もし自分が筑波山に登ってもホトトギスを聞くことはできなかったに違いない、と言い放ったもののようです。

 

無理にでも、そのように決め込んでおかないと悔やまれてならない、ということなのかもしれません。

 

いささか頑固で負け惜しみが強く、かつ、そんな自分を素直にさらけだすことのできる虫麻呂のお人柄がしのばれてきます。ひょっとすると、実際にホトトギスの声を聴くことができなかった知人たちが、わざと虫麻呂を悔しがらせようとからかったものとも考えられそうです。

 

第8巻 1497番歌

 

作者:

高橋虫麻呂 題詞:惜不登筑波山歌一首

 

左註:

(右一首高橋連蟲麻呂之歌中出)

 

原文:

筑波根尓 吾行利世波 霍公鳥 山妣兒令響 鳴麻志也其

 

訓読:

筑波嶺に我が行けりせば霍公鳥山彦響め鳴かましやそれ

 

かな:

つくはねに わがゆけりせば ほととぎす やまびことよめなかましやそれ

 

現代訳(飯嶋訳):

今回は私は筑波山に登れなかったけれど、もし登って行ったとしたら ホトトギスよ そのときに限っては山彦を木霊させるように盛大に鳴いておくれ

 

英訳(飯嶋訳):

I couldn't climb Mount Tsukuba this time,
but if I did, you cuckoo,
please make a grand chirp
so that we can hear the spiritual echo
of the mountain.

 

 

ほととぎすは、霍公鳥と記載されていますが、その別名が子規です。万葉集を絶賛した正岡子規も、おそらく、ホトトギスを愛し、そしてこの歌も好んでいたことでしょう。

 

子規は古今集を酷評したことでも知られていますが、その是非はともかく、そうした俳人子規の目には虫麻呂という歌人がどのように映っていたのでしょうか?

 

また、夏目漱石の漱石という筆名の由来が物語る作家の負け惜しみの強さ、についても、虫麻呂のそれに匹敵する代物だったかも知れない、などと勝手な想いを巡らせています。