今月のテーマ:心身医学療法としての水氣道®
心身医学療法という言葉は、多くの皆様にとって、あまりなじみのない言葉だと思います。
この言葉は、1990年(平成2年)4月の健康保険点数改正の際に、厚生省(当時)によって作られた言葉です。
心身医学療法の対象は心身症の患者さんです。
また心身医学療法は、当該療法に習熟した医師
(現時点においては、心身医療専門医、心療内科専門医等)によって行われるべきもの、とされています。
心身医学療法の方法は、
1)一定の治療計画に基づいて、身体的傷病と心理・社会的要因との関連を明らかにするとともに、
2)患者さんに対して心理的影響を与えることです。
心身医学療法の目的は、心身症の患者さんの症状の改善または傷病からの回復を図ることです。
心身医学療法の種類は、
自律訓練法、カウンセリング、行動療法、催眠療法、バイオフィードバック療法、
交流分析、ゲシュタルト療法、生体エネルギー療法、森田療法、
絶食療法、一般心理療法、および簡便型精神分析療法を含みます。
(下線を施したものは、高円寺南診療所ですでに導入されている技法です。)
水氣道®は、第一に、生涯エクササイズによる健康法ですが、
心身症の治療技法としての発展をとげてきたために、
心身医学療法の一つとして位置付けられるべきものと考えています。
ここで、心身症とは、独立した疾患単位、
つまり特定の疾患を指すのではないことを指摘しておかなければなりません。
身体疾患の中で心身相関の病態が認められる場合には、
心身症としての視点をもってケアする必要性を考慮すべきものです。
心身相関とは、精神的葛藤や行動様式が体の状態に影響を与えて病気を作り、
逆に体の状態が心の働きに影響を及ぼすことです。
たとえば、精神的なストレス源(ストレッサー)や不適切な生活習慣により体調を損ねたり、
逆に、体調を損ねたりすることによって、
気分や感情あるいは思考に悪影響が及ぶことは、
誰しもが経験することではないでしょうか。
『水氣道®は心身医学療法である』という創始者飯嶋正広の主張は、
水氣道®が心身症の治療に有効であるという宣言に他なりません。
そしてこの心身症とは、大多数の病気が心身相関に無関係ではないことに
気づくことができた人すべてにとって無関係な病態ではありません。
ですから、水氣道®は、そうした自覚を持つことのできるすべての人々、
すなわち、大多数の人々にとって、
極めて有益な生涯エクササイズとなりうる可能性を秘めているということが言えると思うのです。