症例6(その7)

 

第7節:たった1人で父を見送る

~息子の話~            

 

トランシーバーで父に最後の言葉をかけた日、息子は病院内で夜を明かした

先生のお話では「そろそろだと思う」ということで、控え室で待機してたら呼びにきてくれまして。駆けつけたときにはもう血圧が20ぐらいまで下がってまして、本当にいよいよだなと思いました。本当につらかったんですけども、やはり父の最期の姿は目を背けちゃいけないと思って見てました。

 

8時48分にですね、心拍数が0になりまして。8時53分に死亡確認ということになってます。先生も部屋の中から深々と頭を下げてくださって、最後まで父のために懸命に医療を尽くしてくれて本当にありがたかったですね。

 

男性はふるさとから遠く離れた東京で、その日のうちにだびに付された

病院の先生には、亡くなった場合に「父を連れて帰ることができますか」っていうことをご相談してたんですけども、東京から名古屋を、しかもコロナで亡くなった人の遺体を運ぶっていうのは、やってくれるところがなくて。

しかたがないですから、「都内で火葬をしていただけるところをどこか知りませんか」っていうことでおうかがいして、情報だけ教えていただいて自分で連絡をとって、都内の火葬場で火葬することになったんですね。

 

そこで「コロナ患者さんを焼いてるということが知れると都合が悪い」ということを優しい言い方ではあったんですが、言われまして。結局、火葬は夕方5時からすることになったんですが、服も普通の私服なものですから、周りの人が見たら、あの人なんだろうって不審に思うじゃないですか。

ですから、控え室の中でずっと5時まで待って、火葬の時間になったら今度は火葬炉の前で待ってると。当然遺体を外には出してもらえませんし、お経ぐらいはっていう話もしたんですけど、「お経も困ります」とお断りされたので、1人で、50分ぐらいだったですかね、火葬が終わるまで、ずっと待ってました。

 

外見ると、たくさんの方に囲まれて見送られている方がいらっしゃって。それは悲しい場面なんですけどね。でも、僕から見たら本当にそれがうらやましくて。棺の前にたくさん人が集まって最期のお別れをしている家族を横目で見ながら、私は1人で立ち会ったんですけど。意地になってるところもあって。

もし僕がここで、泣いたり悲しんだり、誰かに対して怒りをぶつけるようなことをしても、父がよけい悲しむんじゃないかなって思ったものですから。もう、その場では一切感情を押し殺して、ただ50分間、無言で待って。

 

その日は都内のビジネスホテルに泊まる予定だったものですから、ホテルまで戻ってから泣きました。収骨してすぐタクシーに乗ったんですけど、まだお骨があったかくて。

ひざの上が汗でびっしょりになったのを覚えてます。昔よく子どものころはだっこしてもらってたんですけど、その立場がいまや逆になっちゃったなと思いながら。

 

でも不思議と、お骨って気持ち悪いなって思うことがあったんですけど、自分の父のお骨だと思うと、それが本当にいとおしくて、ぎゅっとだきしめて、連れて帰りました。

 

コメント

本日も言葉がございません。合掌。

 

<明日へ続く>

<特集:ポルトガル再発見>

 

ポルトガルと「欧州半期」によってEUの構造を再認識する!No1

 

リスボンに本社を置くポルトガルのDiaríos de Noticías紙から

"Não obstante as melhorias verificadas na cobertura territorial dos cuidados de longa duração ao longo da última década, as taxas de acesso universal são baixas em todas as regiões do país", acrescenta o executivo comunitário.

「過去10年間で介護の領域が改善されたにもかかわらず、国内のすべての地域でユニバーサルアクセス率が低い」とEU幹部は付け加えている。

 

解説1:

「欧州半期」の目的❶ 

各国が健全な財政状態を確かなものにする。「経済ガバナンス(日本語訳:統治」といって各国の財政政策を予算の段階からお互いに監視し合う。それによって、一部の国が過大な財政支出を行い巨額の財政赤字を積み上げることを防ぐ。結果としてルールに合わない国が判明した場合には、罰金などの是正措置や過剰な赤字を是正するための制裁などが科される。

 

A defesa do Governo, por Centeno

センテーノによる(ポルトガル)政府弁明

 

O Governo tem repetidamente refutado este tipo de críticas, diz que a saúde é uma das suas maiores apostas. Mário Centeno, o ministro das Finanças, disse no fecho da execução orçamental de 2019 que a "despesa primária [despesa pública total excluindo os juros] cresceu 3%, influenciada pelo expressivo crescimento da despesa do Serviço Nacional de Saúde (SNS) em 4,8%, com o investimento no SNS a crescer 17%, atingindo o máximo desde pelo menos 2012".

政府はこのような批判に対して、「健康は最大の賭けの一つだ」と繰り返し反論している。マーリオ・センテーノ財務相は2019年予算執行の締めくくりに、「一次支出[利子を除く公共支出総額]は3%増で、4.8%増の国民保健サービス(NHS註1)支出の大幅な伸びに影響され、NHSへの投資は17%増となり、少なくとも2012年以来の最高額に達した」と述べた。

 

註1:

NHS(英/National Health Service,葡/SNS)国民保健サービス

 

 

No aumento das despesas com pessoal "destaca-se o crescimento muito significativo na despesa com salários dos profissionais da saúde (7%), em especial médicos e enfermeiros", acrescentou o gabinete do ministro. No balanço da execução orçamental do primeiro trimestre deste ano, repetiu esses argumentos. Há um "expressivo crescimento da despesa do SNS em 12,6%, nomeadamente em despesas com pessoal (7,2%)".

人件費の増加で 「我々は、医療専門家(7%)、特に医師や看護師のための給与支出の非常に大きな成長」を強調し、「大臣のオフィスを追加しました。今年の第1四半期の予算執行のバランスでは、このような主張を繰り返した。NHS支出の12.6%の大幅な伸び、すなわち人件費(7.2%)」がある。

 

Mas a Comissão tem sérias dúvidas sobre o alcance dessa aposta: "Antes do surto de covid-19 previa-se que as despesas consagradas aos cuidados de saúde de longa duração registariam um dos maiores aumentos na União (em percentagem do PIB)", lê-se no novo documento dedicado a Portugal.

しかし、欧州委員会はこの賭けの範囲について深刻な疑念を抱いている。「Covid-19の発生前には、介護への支出は(GDPに占める割合として)連合内で最大級の増加になると予測されていた」と、ポルトガルに特化した新文書を読んでいる。

 

 

Assim, Bruxelas insiste que "impõe-se continuar a desenvolver esforços para melhorar a eficiência e a capacidade dos cuidados de saúde e dos cuidados de longa duração para combater a crise atual, bem como para enfrentar os desafios colocados pelo envelhecimento demográfico".

したがって、ブリュッセルは、「現在の危機に対処するために、また、人口動態の高齢化がもたらす課題に対応するために、医療と長期ケアの効率性と能力を向上させるためのさらなる努力が必要である」と主張している。

聖楽療法の体系構成

第一部では、聖楽療法の理論の背景としての心身医学について概説し、そのうえで新しい心身医学の考え方を明確にしました。

 

第二部は、聖楽療法の拠点としての聖楽院とは何かについて、その起源を述べ、いくつかの心身医学的アプローチをどのように応用して発展してきたかを省察します。

 

それでは、「第二部 聖楽療法 理論と実践の性質」のアジェンダを示します。

 

第3章 臨床聖楽法の起源と基礎

第4章 臨床聖楽法における芸術音楽の価値

第5章 臨床聖楽法の理論的根拠、実践、意味

第6章 音楽療法モデルにおける臨床聖楽法の考え

第7章 現代の音楽療法の枠組みにおける臨床音楽法の考え
今月は引き続き第3章 臨床聖楽法の起源と基礎
をすすめてきました。

前回は、音楽中心音楽療法の基礎としての音楽の理論の必要性
というテーマでした。

 

それでは第3章の最後のテーマに入ります。

 

第3章 臨床聖楽法の起源と基礎

非臨床的背景から引き出された音楽の概念は、
音楽療法の基礎となりえるか?

 

非臨床的背景とは、音楽療法、とりわけ心理療法的な枠組み以外の場面での音楽を意味します。アイゲンはジャズの即興演奏を例にあげ、ジャズのリズム・セクションの相互作用を分析するのに用いられる活力動因(vital drive)と不定性(participatory discrepancies)というカイルが提唱した二つの概念に着目して非臨床での音楽の創造を解説します。

 

「活力動因」とは、いわゆる音楽のノリの側面を表し、活力動因を創り出すというリズム・セクションの役割は、クライエントとの関係におけるセラピストの役割と非常に類似していることを指摘します。

それは、演奏しながら聴くということであり「ノリを保つ一定の流の中で、ソロ演奏の個性に合わせながら、ソロの流れが湧き出るような変化を提供すること」であるとします。

 

また「不定性」という概念は、同一性と変化(正確さとゆらぎ)のバランスがすべての音楽づくりの中心にあるというカイルの以下のような主張に由来します。

「個人的に没頭でき、社会的な価値を持つ音楽には、『時間的揺らぎ』『調性的揺らぎ』がなくてはならない」、もちろん、「その『時間的揺らぎ』も『調性的揺らぎ』も、音楽分野におけるスタンダードなもの、と教養に根ざした世界観との関連で生じる揺らぎである」、さらに「音楽の力は不定性の中に存在する。

それは基本的に、プロセスに関わる不定性と書法に関わる不定性の二種類がある」。

臨床聖楽法の誕生に大きな影響を与えた水氣道は、まさに水中における身体と心の揺らぎを感じ取り味わうというプロセスを大切にしていることに言及しておきたいと思います。

 

ここから派生する主な論点は、臨床的背景での音楽と非臨床的背景での音楽の間に基本的な観察可能な違いが見出せるか、ということになります。

しかし、この命題に対しては、違いを認めながらも、両者の間には音楽の機能と創造的な背景に類似性があることを強調し、両者は本質的な連続性があるとする立場があります。

まずは両者にはミュージッキングしているという基本的な共通基盤があります。たとえば、アンスデルは、コミュニティ音楽療法を模索していく中で、臨床と非臨床における音楽づくりには背景的にも目的にも共通性があると強調しています。リーは西洋クラシック音楽の偉大な作品を分析することが美的音楽療法の基礎となると述べ、またアイゲンも、ジャズの即興の核となる交流的なプロセスが音楽療法の即興においても臨床の主要な焦点になるとしています。

 

アイゲンは、「作り上げられる音楽は、常にそこで音楽を創造している特定の人間同士の係りを反映して生まれるのであり、その交流は音楽の別の次元の構造的・プロセス的・体験的なレベルで生じる」ことを指摘しています。

また、「クライエントと音楽を創り出すセラピストは、セラピストの選択する楽器・調性・音色・和声・テンポなどはすべてクライエントの表現する音楽性に影響されるし、それは臨床におけるニーズ・力動性・コミュニケーションのパターンとも関わっている」という音楽における人間同士のコミュニケーションや演奏者間の関係性の力動性が重なり合って音楽が演奏されることに着目しています。

 

音楽中心の実践や理論では、音楽的コミュニケーションや体験、演奏のスタイルがより重要視されます。要するに、音楽療法においても、非臨床の場の演奏においても、音楽的コミュニケーションと対人的コミュニケーションを同じように聴くことができます。

 

音楽中心理論は、音楽が療法と成り得る以前に、まず音楽は音楽でなければならないことを前提とします。そうした音楽の性質を基礎とし、それを療法の役割と考えます。

そして、音楽中心理論は、音楽的な力・体験・プロセス・構造の持つ根本性と普遍性とを音楽療法の根本的な特徴ととらえて、臨床における有用性の要因として確立しようとするものです。

 

以上のように、音楽的な活力動因、不定性といった概念、ミュージッキング、演奏しながら聴くということ、といった音楽の側面において、非臨床における音楽の臨床への関連性が明かであり、両者には連続性があるということを通して、非臨床的背景から引き出された音楽の概念は、音楽療法の基礎となりえるか?という命題に対して肯定的な回答が導き出せることでしょう。

<はじめに>

 

前回は「頻尿」効果のあるツボを紹介しました。

 

 

「崑崙」は外踝とアキレス腱の中間にあり、

 

 

「湧泉」は土踏まずの前の方の中央で足の指を曲げたときに最もへこむところにあるというお話でした。

 

 

今回は「肘の痛み」に効果のあるツボを紹介しましょう。

 

 

 

<肘の痛みに効果のあるツボ>

2020-04-16 15-06

 

 

「尺沢(しゃくたく)」は肘前面のしわの上で肘を曲げることで緊張する筋肉の腱の外側にるツボです。

 

 

「曲沢(きょくたく)」は肘を90度に曲げてできる腱の内側にあります。

 

 

「曲池(きょくち)」は肘を曲げてできるしわの先端の親指側にあります。

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

東京歯科大学市川総合病院循環器科の大木先生は、新型コロナウイルスに関して、とてもわかりやすい解説を掲載してくださいました。皆様、いかがでしたでしょうか。

明日で5月が終わります。6月に向けて私の見解をまとめてみたいと思います。
  

従来、保健所が窓口になっている帰国者・接触者相談センターでは、PCR検査を受ける基準は、

発熱などの症状が表れてから4日以上経過してからとされてきました。

加藤勝信厚生労働大臣が、この期に及んで『保健所や国民の誤解であった』と発言しているが、明らかな確信犯です。WHO事務総長テドロス氏といい加藤厚労大臣といい、とんでもない集団殺人犯たちです。

実際、ほとんどの患者が、PCR検査を受けるのは発症から5日目以降、それでも大分良い方で、私の経験した事例では1週間以上経過しても拒否されています。
 

さらに、PCR検査の結果が届いて陽性が判明し、隔離されるのは、多くは発症から1週間以上経過してからでした。

すなわち、最も感染リスクが高い時期には隔離されておらず、すでに感染のリスクがなくなってから厳重な隔離管理をされていたことになります。

 

さて、振り返ってみますと「検査と良く効く薬があれば、予防は不要」という残念な考えの人たちを増やした原因の一つは、インフルエンザ簡易検査キットです。

風邪症状の部下に対して、「インフルエンザの検査をしてくるように」と命令する上司とは、いったい何様なのでしょうか。

こういう類の上司は、インフルでない限り発熱していても働かせようとしがちです。また、禁忌でないにもかかわらず、インフルエンザや肺炎ワクチン接種を拒否する高齢者の皆様にも、この際、御一考願いたいと存じます。

 

新型コロナウイルスほど実態が知られていないのは、実はインフルエンザウイルスなのです。

 

「すぐに検査できて、すぐに結果が出て、1回内服すれば治る」となれば、一見、予防行動は徒労のようにも感じられます。

しかし、仮に症状が治まっても、それは治ったことを意味することにはなりませんし、安易に考えて、しっかり休もうとせずに出勤を続けてしまうことによって、多くの人々に感染させてしまいかねないからです。

 

まずは、ふだんから自己管理によって基礎疾患となるものを発生させないことですが、たとえ基礎疾患があっても、きちんと養生すること、必要な治療を怠ったり、愚かな節約をしたりして、自分自身の掛け替えのない生命まで切り詰めないことが大切でしょう。節約は不要不急の別の領域でご検討いただかないと、当方にいたしましても責任の取りようがなくて困ります。

 

幸運にも(可能性は高くはありませんが)、仮に優秀な検査法や予防法・治療薬が開発されたとしても、インフルエンザ予防に対する意識が向上しない限り、毎年、コロナウイルスワクチンを接種しなければならなくなることでしょう。

 

PCR検査は、診断直後のみ高い確率でウイルスを分離することができるが、ほぼ1週間で分離できなくなることが明らかになったにもかかわらず、不安な国民をターゲットにしたPCR商法を積極的に推進しようとしている一部医療機関が出現していることは嘆かわしいです。

少なくとも、当クリニックに通院中の皆様は特に警戒を続け、誤った安心(証明書発行)など悪質なサービスにご注意ください。

それでも、もし検査を希望される方のために申し上げておきたいことは、陽性結果が出た時に直ちに自己隔離できるように予め手配しておくべきでしょう。

そして、陰性の結果を得て「陰性証明書」を発行して貰っても、油断してしまうだけであれば逆効果です。直後に感染してしまう可能性を忘れてはなりません。

 

<完>


週間<外国語>旅行

ベネズエラの新聞で知るエクアドルの現状

藁にもすがりたい焦りと大きな期待感に圧されて安易で場当り的なチョイスであった「アビガン」の有効性の検証結果は、やはり残念なものになりました。アビガンの検索のつもりでアビアンカ航空にヒットしてしまいました。

 

5月10日にコロンビアの中南米大手アビアンカ航空を傘下に持つアビアンカホールディングスは、新型コロナウイルス流行による旅客減少を受けて米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用をニューヨークの裁判所に申請したと発表しました。業務を維持しながら再建を目指すとのことです。

 

それよりも南米ベネズエラとペルーに挟まれた赤道の国エクアドル共和国は今年に入って大変なことになっています。

 

2020年に入って世界中に拡大した2019新型コロナウイルスの感染はエクアドルにも波及。港湾都市のグアヤキルでは、感染を恐れてお嬢に多数の遺体が放置される出来事もあった。 “路上に放置された遺体の数々…新型コロナまん延のエクアドル、副大統領が謝罪”

. AFP (2020年4月5日).

 

モレノ大統領は外出禁止令を敷く一方、感染拡大に対処する資金を捻出するため、大統領や閣僚、国会議員らの給与を5割削減することを明らかにした。

“エクアドル、大統領給与5割カットへ 新型コロナ対策で閣僚、議員も”. 時事通信 (2020年4月13日).

 

2020年4月末の統計では、23,000人近くが新型ウイルスに感染して約600人が死亡しているとされるが、グアヤス州では4月上旬の死亡者数が月平均の3倍超となっており、上振れする可能性がある]。 “医療崩壊の最前線、トイレにまで積み重ねられた遺体 エクアドル”.

時事通信 (2020年4月30日).

 

しかし、エクアドルの首都キトにある全国紙にアクセスすることも容易でない状況です。そこで隣国コロンビアの全国紙エル・ティエンポのニュースを閲覧してみることにしました。今回の記事は長いのでご勘弁ください。

Las medidas económicas extremas de Ecuador por crisis de covid-19

covid-19危機によるエクアドルの極端な経済対策

 

El presidente Lenín Moreno aspira a ahorrar unos 4.000 millones de dólares en gasto público.

レーニン・モレノ大統領は、公共支出を約40億ドル節約することを目指している。

 

Ecuador / Coronavirus

エクアドル/コロナウイルス

 

CONTENIDO CIERTO

正確な内容

 

Encuentra la validación de El Cazamentiras al final de la noticia.

ニュースの最後で「嘘つき狩り」の有効性を裸にしよう。

 

Por: Maggy Ayala Samaniego

19 de mayo 2020 , 10:20 p.m.

署名: マギー・アヤラ・サマニエゴ

2020年5月19日 22時20分

 

El gobierno del presidente ecuatoriano, Lenín Moreno, recortará cuatro mil millones de dólares del gasto público como medida para enfrentar el abismo económico que vive su país y la pandemia del coronavirus, lo que implica un ‘paquetazo’ de duras medidas para uno de los países latinoamericanos más afectados por la crisis sanitaria: 2.839 fallecidos oficiales, 1.692 probables y 34.151 positivos.

エクアドル大統領レニン・モレノの政府は、自国が経験している経済の窮地とコロナウイルスパンデミックに立ち向かうための措置として公共支出から 40 億ドルをカットし、厳しい措置の「パッケージ」は、健康危機によってより大きな影響を受けたラテンアメリカ諸国の中の1 国であることを示唆: 2,839 公式死亡者数、1,692 発病疑い者数、34,151 陽性者数。

 

En una cadena nacional, difundida a las 7 de la mañana, Moreno liberó el precio de los combustibles alineados al crudo marcador WTI (West Texas Intermediate), lo que implica el fin de una larga era de subsidios a la gasolina, que en anteriores ocasiones ha causado revueltas y duras protestas.

午前7時に放送された国営チャンネルで、モレノはWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)原油に並ぶ燃料の価格を発表したが、これは以前の機会に暴動と厳しい抗議を引き起こしたガソリン補助金の長い時代の終焉を暗示している。

 

(Lea también: Trump amenaza con cortar la financiación de EE. UU. a la OMS)
(参照:トランプ氏、WHOへの米国の資金提供を断ち切ると脅す)

 

Hacia el futuro, los precios se fijarán mediante un nuevo sistema de bandas, revisado mensualmente, que impedirán un incremento drástico si el precio del petróleo sube. Moreno explicaba que con el sistema existente los ecuatorianos no podían gozar de la baja de los precios internacionales del crudo.
今後は、石油価格が上昇した場合に劇的な上昇となるのを防ぐために、月ごとに見直された新しい帯域制によって価格が設定される。モレノ氏は、既存のシステムでは、エクアドル人は国際原油価格の下落による利益を享受することができないと説明した。

 

El mandatario también dijo que cerrará embajadas y reducirá personal diplomático en Venezuela, México o Irán y eliminará siete empresas estatales, entre ellas la empresa de correos estatales y la aerolínea Tame (400 millones de dólares de pérdidas en cinco años).

大統領はまた、ベネズエラやメキシコ、イランの大使館を閉鎖して外交官を減らし、国有郵便会社や航空会社タメ(5年間で4億ドルの損失)など7つの国営企業を廃止すると述べた。

 

Solo se preservarán las rutas donde no haya presencia de aerolíneas locales.

Según Moreno, se le dará prioridad al gasto público de sectores como salud, educación, protección social y seguridad en detrimento de otras áreas. Según sus cuentas, han dejado de ingresar al país 12.000 millones de dólares. A ello se suma que 150.000 ecuatorianos han perdido sus trabajos.

現地の航空会社が存在しない路線のみを存続させる。モレノ氏によると、他の分野を犠牲の上で、健康、教育、社会保護、安全保障などの分野を優先させるとのことである。彼の報告によると、120億ドルが国から投入されという。さらに、職を失ったエクアドル人が総計15万人に達している。

 

Sumadas todas las guerras y desastres naturales que ha sufrido el país a lo largo de la historia, nunca llegaríamos a las pérdidas humanas y económicas que hoy vivimos

これまでの歴史の中で、この国が被った戦争や自然災害をすべて足し合わせても、今日のような人的・経済的損失には到底及ばないだろう。

 

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“Sumadas todas las guerras y desastres naturales que ha sufrido el país a lo largo de la historia, nunca llegaríamos a las pérdidas humanas y económicas que hoy vivimos”, apuntó.

"歴史の中でこの国が被ってきた戦争や自然災害をすべて足し合わせても、今日のような人的・経済的損失には到底及ばない。"と述べた。

 

El analista Francisco Escandón dijo a EL TIEMPO que el escenario del coronavirus, y miles de muertes y contagios, “está siendo usado maquiavélicamente por el gobierno de Moreno para imponer las medidas neoliberales condicionadas por el Fondo Monetario Internacional (FMI)”.

アナリストのフランシスコ・エスカンドン氏はEL TIEMPO紙に、コロナウイルスのシナリオ、そして何千人もの死亡者や感染者が出ているというシナリオは、「国際通貨基金(IMF)によって条件付けられた新自由主義的な措置を課すために、モレノ政権によってマキャベリズム的(政治的権謀術数)に利用されている」と語った。

 

(Le puede interesar: Brasil se convierte en el tercer país con más casos de covid-19)

(知っていると興味をもつかもしれないこと:ブラジルがCovid-19の最も多い症例を持つ第三位の国になった)

 

 

Para varios expertos, nadie puede negar la recesión que vive el país, pero se percibe que el fenómeno de corrupción ha crecido a pasos agigantados y las medidas de gobierno dan pie para que las elites exploten a los trabajadores y evadan contribuciones económicas y se cargue el peso de la crisis a los trabajadores. En ese sentido está causando mucha polémica la reducción de 8 a 6 horas laborables para la Rama Ejecutiva, con el consiguiente descenso del ingreso. Los profesores también trabajarán una hora menos.

専門家の中には、国が不況に陥っていることは否定できないとする人もいるが、汚職現象は飛躍的に拡大しており、政府の施策によってエリートが労働者から搾取し、経済貢献を逃れ、危機の重荷を労働者に負わせていると認識されている。その意味では、執行部の労働時間を8時間から6時間に短縮したことで、結果的に収入が減り、多くの議論を呼んでいる。教師も1時間の勤務時間が短くなる。

 

 

Iván Bastidas, presidente de la Confederación de Servidores Públicos del Ecuador, en diálogo con este diario, rechazó el anuncio y lo calificó como una “propuesta que transgrede los derechos de los trabajadores y desvalorizan el trabajo”.

エクアドル公務員連盟のイワン・バスティダス会長は本紙との対話で、この発表を否定し、「労働者の権利を踏みにじり、仕事を切り捨てる提案」と表現した。

 

“Nuevamente somos los trabajadores los que tenemos que llevar la carga de la crisis (...) mientras desayunamos y cenamos mirando los actos de corrupción mediante los cuales se llevan los dineros que jamás se recuperan”.

「またしても、危機の重荷を背負わなければならないのは労働者であり(...)、私たちは朝食や夕食を摂りながら、決して回収されずに金を奪う汚職行為を見ているのだ。」

 

 

El servicio exterior también recibirá ajustes, pues se cerrarán algunas embajadas y oficinas diplomáticas, entre ellas de la Nicaragua, Irán y la representación en el Parlamento Andino, en Bogotá, y el regreso al país de 70 diplomáticos. La idea acá es ahorrar entre el 10 y el 15 por ciento de los presupuestos en gasto corriente.
“Estos son recursos que se destinan a seguir salvando vidas, a proteger a los más vulnerables y reactivar la economía”, concluyó el mandatario.

また、ニカラグア、イラン、アンデス議会での代表、ボゴタでの代表、70人の外交官の帰国など、一部の大使館や外交官事務所が閉鎖されるため、外交サービスも調整を受けることになる。ここで考えられるのは、現在の支出の予算の10~15%を節約することである。「これらの資源は、人命を救い続け、最も弱い立場にある人々を守り、経済を再活性化させるために使われています。」と大統領は締めくくりました。

 

 

(Lea también: ¿Por qué DirecTV dejó de prestar sus servicios en Venezuela?)
(参照:なぜDirecテレビはベネズエラでのサービス提供を停止したのか?)

MAGGY AYALA SAMANIEGO

Corresponsal de EL TIEMPO

QUITO

マギー・アヤラ・サマニエゴ

エル・ティエンポ特派員

キト発

症例6(その6)

 

第6節:「お母さんは大丈夫か」            

 

妻のことばかり心配していた~妻と息子の話~

 

男性の妻も感染が確認され一時入院していたため、万が一感染を広げることがあってはならないと、東京に行くのを控えていた。

この日、妻もトランシーバーで夫に語りかけた

息子:看護師さんから「お母さまも声をかけたいんじゃないですか」って言っていただいて。でもトランシーバーですから、どうするのかなと思ったら、「病院に自宅から電話をかけてくれたら、その電話の声をトランシーバーにのせてお話できるようにしますよ」と言ってくださって。

本当にそれはうれしくて。すぐ母に電話をして、こういう提案があるから、ぜひお父さんに最後の言葉を伝えてほしいと言いました。

 

妻:本人に聞こえてると信じて話をしました。今まで幸せだったこととかね、長い間、本当にありがとうっていうことと。あとはね、息子と頑張ってやっていくから心配しないでって。もう、頑張らなくていいよって。

49年なんです、ことしね。

「金婚式だね」ってお正月に言ってたら数えたら違ってたんですよ、来年だった。でも、間違えてやればよかったって。

もう、とにかく優しいね、怒った顔あまりないので。怒ってた時の顔を思い出そうとしても思い出せないんですけど。

入院したときも私が電話すると、「お母さんは大丈夫?」って、「感染してない?」って毎回聞くのね。「私は大丈夫だから、お父さん頑張って治してね」っていう会話ですよね。

だから私が感染したことは全く知らない。もし私が感染したのを知ったら、つらい思いすると思うんですよ。

自分のせいで私がかかっちゃったって思うとね。だから今でも、知らなくてよかったなって思ってます。

 

コメント:

言葉がございません。合掌。

日本感染症学会特別寄稿

 

感染症に対する漢方治療の考え方

金沢大学附属病院漢方医学科 小川 恵子

 

<7.重篤例(内閉外脱症)

臨床症状:

呼吸困難、頻繁に喘息或いは呼吸医療設備に頼らなければならない。神志昏昧、煩躁(いらいらする)、汗出肢冷(汗が出る、四肢が冷える)、舌質が紫暗(紫で暗い)、舌苔が厚膩あるいは乾燥、脈が 浮、大、無根。

 

推奨処方:

朝鮮人参 15g、黒順片(附子)(先に煎じ る)10g、山茱萸(サンシュユ)15g、上記を煎じた湯液で漢方薬の蘇合香丸或いは安宮牛黄丸と一緒に服 する。

 

エキス剤の場合 、竹茹温胆湯+柴陥湯 左 2 剤を一緒に服用

腹満・便秘・煩躁を伴う場合、 大承気湯

 

 


中医学治療はどの程度有効か?

中西医結合(中医学と現代医学治療の併用のこと) によるコロナ肺炎治療に対する臨床観察研究 6)の内容をまとめてみました。

 

方法:

2020 年 1 月 15 日〜2020 年 2 月 8 日湖北省中 西医結合病院を退院した52例コロナ肺炎患者の診療録を基に、基本情報、中医症候、検査、治療方法などを分析し、中西医結合治療組(中西医組)(34 例) と西洋医組(18 例)の臨床症状継続期間、解熱するまでの時間、他の症状消失率、平均入院日数、臨床的完治率及び死亡率などを比較した。

 

主な症状は発熱 75%、全身倦怠感 61.5%、咳嗽 50%であった。普通型 76.9%、重症患者 19.2%、重篤患者 3.8%でした。
中西医結合群の臨床症状消失時間、体温回復時間 2、平均入院日数、及び中医証候採点、全て西洋医群より有意に少なかった(P<0.05 または P<0.01)。


中西医結合群退院時の随伴症状消失率 87.9%、CT 画像改善率 88.2%、臨床完治率 94.1%及び普通型から重症型に悪化する率 5.9%も西洋医群よりも有意に高かった(西洋医群は 53.8%,68.8%,61.1%,33.3%) (P<0.05 または P<0.01)。

 

これらの結果から、中西医結合でコロナ肺炎を治療する時は患者の症状を顕著に軽減し、病程を短縮し、完治率を高めできると推測しています 少なくとも、中医治療を併用することの優位性が示されたのですが、使われている処方が多様であったため、明確にどの処方が効果があるのかを示したというよりは、中医学的診断に基づいた処方が有効であったという結果ととらえられます。

 


杉並国際クリニックからの追補

小川先生の考察で、中西医結合、という言葉がでてきます。

これは中医学(中国伝統医学)と西医(西洋現代医学)を総合的に動員する医学療法を意味します。

ただし、中国の医師は中医か西医のいずれかの医師であり、2種類の免許が制度化されているため、少なくとも1名ずつ、最低2名の医師が協力しなければ中西医結合の医療は実施できません。

その点、日本の医師免許は一種類なので、研鑽を積めば、単独で中西医結合医療を実施できます。それが可能なのは日本の医師免許だけであることを知っている人は少ないです。

 

中医治療を併用することの治療成績の優位性が示されたことは、全く不思議でも不自然でもありませんが、その理由は、中医学は病態に応じたきめ細かい対応を可能にするからだと思います。

さて、昔から「薬のさじ加減」という言葉があります。病態が推移した場合に、西洋医学では量の加減が主とならざるを得ないのに対して、中医薬は、タイプ別の処方といった生薬の種類の加除が投与量の加減と共に調整しやすいという臨床上きわめて有意義な至便性に恵まれていることを指摘しておくべきでしょう。

東京歯科大学市川総合病院循環器科の大木先生は、新型コロナウイルスに関して、とてもわかりやすい解説を掲載されています。御経歴からすると私より大分若手であるようですが、見習いたいと思いました。

 

私は、同市内にある昭和学院短期大学の客員教授として10年ほど勤務していたことがあり、この病院の前は数えきれないくらい通過していたのを懐かしく思い出します。

『知っておきたい新型コロナウイルス感染症COVID-19』

 

【最後に】

以上のように、新型コロナウイルス感染症はとてもやっかいな感染症であり、私達の歴史の中でも最大級の世界的大災害です。感染症であるが故に、お互いに助け合うことや絆を強くつなぐことが難しくなりがちです。しかし幸い、私達人類はこれまでかなり科学を発展させて来ました。

ウイルスは宿主であるヒトを根絶やしにすることはありませんし、これまでの全ての伝染病と同様に、医学的な解決は必ず成されます。それまで通常の診療ができなくなっていることを、どうかご理解のほどお願い申し上げます。

 

感染する人は一部でも、引き続く経済的困難や政治的困難といった社会の混乱は全ての人の生活に影響を及ぼします。距離が離れていてもお互いを思いやり、ひとりひとりの役割を果たして行きましょう。

 

コメント:

わが国では、自宅待機中の患者の中に病状が急激に悪化して死亡した例が続いたため、自宅療養患者を減らす方針です。発症前後から1週間ほどは、家族からも切り離した方が良いはずです。

しかし病状が悪化するリスクのある期間が過ぎても入院させるのが隔離の目的のみであれば、患者さんの精神衛生上も自宅での療養を推奨することが望ましいと思います。

なぜなら、いつ終るのか先の見えない急激な精神的ストレスは患者の免疫力を短期間で大きく損なってしまうからです。

 

家族を含め周囲への感染リスクがないとなれば、発症後1週間経った患者の多くは自宅療養を希望すると考えられます。

新型コロナウイルス感染症で入院する患者の大部分は発症から1週間以上が経過していることから、患者に接触する医療従事者の感染防御も簡素化できるかもしれません。
 

折しも、5月13日から新型コロナウイルス感染の診断に抗原検査が保険適用となりました。抗原検査は30分間で判定結果が出るので、今後は新型コロナウイルスの診断の際に、最初に使われるようになることでしょう。

抗原検査は定性検査であるので、リアルタイムPCR法を併用できなければ、重症化や感染力の有無を予測できず、単なるおみくじになってしまうであろうことを危惧します。

コロナ患者に対して、より的確な対応を可能とするためには、徹底した予防、それも積極的予防法と感染拡大を減らすことを同時に行える段階での介入が一層必要になります。

それは、発症前後のウイルス量の多い時期が最も無防備になり易いということを常に念頭に置くべきでしょう。

 

<明日へ続く>

症例6(その5)

 

第5節:生死をめぐる葛藤 ~息子の話~

 

息子は週に一度のペースで東京の病院を往復した。訪れるたびに容体は悪化。腎機能が低下して人工透析(註1)を始めた。

 

(註1)人工透析

人工透析を導入するのは腎機能障害のうちでも末期腎不全です。
肺と腎臓の障害が最高度になり呼吸不全に腎不全が併発した段階で多臓器不全(MOF)の状態と考えてよいでしょう。

 

転院から20日後には、ECMOを取り外さざるを得なくなった
3月16日に病院からお電話いただいて、「ちょっとお話があります。すぐに来れませんか」っていうことで翌17日に、東京の病院に行きまして、主治医の先生から細かい説明があったんです。

1つは、脳梗塞(註2)が見つかったと。これはECMOの治療をするなかで懸念事項として最初に言われていたことで、CTのスクリーニング検査で見つかってしまった。

 

(註2)脳梗塞:国立循環器病研究センターのHPより、一般に呼吸器疾患に罹った初期の3日間に脳卒中発症リスクが3.2~7.8倍増えるとの報告が紹介されています。とくに高齢のCOVID-19感染患者が重症化しやすい点も考え併せると、COVID-19感染患者の脳卒中併発を十分に注意する必要があります。

また、新型コロナウイルスに感染した30~40代の患者であっても、脳梗塞を併発する症例がアメリカで相次いでいます。

ウイルスが「血栓」の形成を促進したことが原因となった可能性が指摘されています。アメリカでは今、新型コロナウイルスと「血栓」の関連性が注目を集めていますが、発症早期に抗血栓作用により、脳梗塞を防止できることが証明されている『地竜(じりゅう)』の服用開始が有用だと考えます。

 

それから、大腸からの出血と口の粘膜からの出血(註3)というのが続いていて、これもECMOで血液を固まらなくさせるために投与している薬の副作用(註4)であると。


(註3)

このような状態を出血傾向といいます。この症例では、既に脳梗塞を発症していて、血栓が形成されていたことが疑われます。

初期止血栓安定時間が短縮し一定時間後、創傷部位に再度出血することを後出血といいます。

少し専門的な話になりますが、これを二次線溶といいます。二次線溶が亢進するといったんは止血するが、亢進の程度が高まると止血目的に出血部位をガーゼなどで圧迫しても、次から次へと漏れ出るような漏出性出血が見られます。このような状態は、播種性血管内凝固症候群(DIC)といって急激な血圧低下を伴うショックに至りやすくなります。

 

(註4)抗凝固剤による副作用

血液を固まらせる凝固系と溶かすための線溶系は私たちの体の中で常に働いています。つまり、体内では常に凝固系と線溶系とシーソーにように連続的に継続して揺れているのです。ですから、血栓の治療のために抗凝固剤を投与すると、それが行き過ぎて出血を来してしまうことがあります。刻一刻と変化する、こうした微妙な兼ね合いの中で薬によりバランスを調整することは、血液の専門医であっても難しい綱渡りであるといってよいでしょう。

また動脈系の血栓予防なのか、静脈系の血栓予防なのかによって適応薬剤が異なります。予防することがより安全かつ有効なのですが、治療段階での薬物治療は、一定の副作用を覚悟しなければなりません。

 

現段階においては、もうこれ以上、ECMOを装着し続けるメリットがないと。回復はしてなかったんですけども、そこでECMOの離脱という形になりました。

離脱の手術がですね、3月17日に行われたんですが、「ECMOを外したらそのまま亡くなってしまうかもしれません。院内にとどまってください」と言われまして。

 

待合室のところに仮眠ベッドを置いていただいて、そこで一晩過ごすという形でした。つらかったですね。

その晩はほとんど一睡もできずに、1人で、どうしようかって。だんだん日ごとに、父が、人じゃなくてモノに見えてくるんですよね。いろんなものがつながってますし、当然本人の意識もないし。自分の本当の意思で生きてるのか、機械で生かされているのか、こんなことを続けていいのかと。

人の命を、父の生きる寿命ですね、自分が変えてしまってもいいのかと、そういう葛藤もありましたね。

 

ECMOを外した後は人工呼吸器の酸素量を最大にして様子を見ていたが、3月19日、主治医からさらに決断を迫られた

「これ以上いろんな治療を行うことは、延命になります」と、

「救命ではありません。どうされますか」(註5)と、本当にいちばんつらい決断を迫られまして。


(註5)延命と救命

延命と救命とを併置されてしまえば、延命させることはネガティブで無意味であると受け止めるように強いられるようなものです。

ご家族の御心中は如何ばかりでしょうか。一方、こう言ってしまえば身も蓋もないのですが、寿命といって命には限りがある以上、すべての医療行為は一種の延命行為です。

ですから、延命と救命の間には、本来、明確な垣根などないのです。このような意思決定を家族に強いなければならない主治医も辛い立場なのです。

 

そのときに母と電話で話をしたんですけども、延命になるならもうやめようと、自然の中で亡くならせてあげようという決意をしまして。人工透析も次の交換のタイミングでやめるということに決めました。

それから昇圧剤(註6)ですね、血圧を上げるための薬も投与してたんですが、それもやめましょうということで

(註6)昇圧剤

すでにDICによる血圧低下、すなわちDICショックの状態に陥っていることがうかがわれます。そこで、昇圧剤を加えて血圧の維持を図っていたのでしょう。呼吸不全、腎不全に加えて心不全を来していて、まさに前述した典型的な多臓器不全(MOF)の状態です。

 

ただ、本人に苦しみがあってはいけないので、モルヒネのようなものを投与して、とにかく本人には苦痛がないようにしますからというご提案(註7)があって、そうさせてもらうことにしました。


(註7)

このような医療サービスを緩和ケアといいます。緩和ケアとは、重い病を抱える患者やその家族一人一人の身体や心などの様々なつらさをやわらげ、より豊かな人生を送ることができるように支えていくケア(特定非営利活動法人日本緩和医療学会による『市民に向けた緩和ケアの説明文』)とされています。

一言でいうと「病気に伴う心と体の痛みを和らげること」(厚生労働省緩和ケア推進検討会)となります。

心身医学・心療内科の専門医・指導医の立場から付け加えますと、患者家族を含めた家族全体のケアの視点の重要性を強調しておきたいと思います。これは宗教家とも連携の上で検討していかなければならない領域だと思われます。

 

ちょうどそれが3月19日の午前中にあったんですけれども、お昼ぐらいですかね、僕が控え室で食事をとっていたら看護師の方がみえて、「実は看護師どうしが話すトランシーバーというのがあります。それを介して、息子さんがお父さまに何か声をかけてみませんか」と提案(註8)をしてくれて。

 

註8

看護師の役割は全人的です。看護師がさりげなく実践している緩和ケアの貴重な一例だと思います。重い命の世話をしながら家族の魂への配慮も忘れずに実践されているナースの活躍に深い敬意を表したいと思います。

 

僕はずっと、父に声をかけたいけれども、かけることもできないし、携帯電話も当然使えないものですからね、そんな提案をしていただけるんだったらぜひお願いしますということで、ICUの窓越しに、看護師の方が持ってるトランシーバーを父の耳元に持って行っていただいて、僕の思いをですね、父に伝えることができました。

 

声を出すのがやっとだったんですけど、「本当にありがとう」と、「本当に今までありがとう、十分頑張ったから、もういいよ」と。

「ゆっくり休んでくれれば」ということを、父に伝わったかどうかわかりませんけど、最後の思いをこめて、伝えることができました。

 

<明日へ続く>