インフルエンザ予防接種は
11月末で終了いたしました。
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統合医学(東西医学、代替・補完医療)
< 統合医療モデル診療所を目指して >
高円寺南診療所は2018年以降も、引き続き統合医療のモデル診療所を目指していきたいと考えています。
そこで、そもそも、高円寺南診療所は全国の平均的な診療所と比較して、明らかな特徴を見出せるかどうかを検討してみることにしました。
厚生労働省が12月14日に公表した「2016年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」をもとに高円寺南診療所の特徴を全国標準データと比較してみました。
この調査では、医療法上で広告可能な専門医を取得している医師は、70.6%に達し、前回調査(2014年)の56.9%から約10ポイント上昇したことが明らかになりました。
特に総合内科専門医が6858人増と大幅に増加しました。
⇒黒い太文字と、青い文字でのコメントは飯嶋によるものです。
診療科名(主たる)別にみた医師数.
1医師数
平成28年12月31日現在における全国の届出「医師数」は319,480人で、「男」251,987人(総数の78.9%)、 「女」67,493人(同 21.1%)となっています。
⇒5人に1人は女性医師です。
1) 性・年齢階級別にみた医師数
医療施設(病院・診療所)に従事する医師を性別にみると、「女」の割合は、年齢階級が低くなるほど高く、「29 歳以下」では34.6%となっています。
⇒今後も女性医師の比率が増え3人に1人に近づいていくことでしょう。
2) 施設の種別にみた医師数
施設の種別にみると、病院(医育機関附属の病院を除く)147,115人が最多。診療所102,457 人、医育機関附属の病院55,187 人となっています。
⇒診療所は、一般病院より少ないです。
施設の種別に年齢階級をみると、 病院(医育機関附属の病院を除く)では「40~49 歳」 、 医育機 関附属の病院では「30~39 歳」 、診療所では「50~59 歳」が最も多いです。
⇒私は58歳なので、最も多い年齢層に属しています。
平均年齢をみると、病院(医育機関附属の病院を除く)では 46.7 歳、
医育機関附属の病院38.8歳、診療所59.6 歳となっています。
⇒私は診療所勤務の医師の平均年齢にほぼ合致します。世間でいう還暦がほぼ診療所勤務の医師の平均年齢であることに感慨を覚えます。
平均年齢の年次推移をみると、病院では上昇傾向が続いています。
また、診療所では平成 22 年から引き続き上昇しています。
⇒医師の高齢化傾向が示されています。
3) 診療科別にみた医師数
主たる診療科別にみた医師数
従事する主たる診療科別にみると、「内科」が 60,855 人(20.0%)と最も多く、
⇒医師の5人に1人は内科医ということです。
次いで「整形外科」21,293人(7.0%)、「小児科」16,937 人(5.6%)となっています。
主たる診療科を施設の種別にみると、
病院では「臨床研修医」を除くと内科が21,981人 (10.9%)と最も多く、次いで「整形外科」13,497 人(6.7%) 、「 精神科」11,747 人(5.8%) となっています。
一方、診療所では
内科38,874人(37.9%)が最も多く、次いで「眼科」8,395 人(8.2%)、 「整形外科」7,796 人(7.6%)となっています。
⇒診療所3件につき1件強が内科です。
4) 取得している広告可能な医師の専門性に関する資格名及び麻酔科の標榜資格(複数回答) 別にみた医師数
専門性資格及び麻酔科の標榜資格(複数回答)別にみると、
総合内科専門医が 22,522人(7.4%)と最も多く、
⇒内科医が 60,855 人なので総合内科専門医は内科医の37.1%を占めます。
次いで「外科専門医」21,168人(6.9%)、「消化器病専門医」17,814人(5.8%)となっています。
総 合 内 科 専 門 医 22,522人(7.4 %)平均年齢 50.4
精 神 科 専 門 医 9,177人(3.0%) 平均年齢52.9
ア レ ル ギー 専 門 医 3106人(1.0%)平均年齢53.2
リ ウ マ チ 専 門 医 4,563人(1.5%)平均年齢54.1
心 療 内 科 専 門 医 305人(0.1%)平均年齢57.1
漢 方 専 門 医 1,718人(0.6%)平均年例60.2
資 格 な し 119,964 人(37.9%)平均年齢46.8
⇒専門医の資格を一つも持っていない医師は3割います。
専門医資格を持っていない医師の平均年齢は46.8歳であるのに対して、たとえば総合内科専門医の平均年例も50.4歳であり、年齢差が少ないことからすると、現在40代半ばで未だ専門医資格を持っていない医師の多くは今後も専門医資格を取得する可能性は少ないのではないか、と推定します。
心療内科専門医、漢方専門医の平均年齢は私の年齢にほぼ一致します。
これに対して、アレルギー専門医、リウマチ専門医の平均年齢と比べると私は数歳年長ということがわかりました。
リウマチ専門医は1.5%ですが、アレルギー専門医、心療内科専門医、漢方専門医はいずれも1%以下で超マイノリティです。なお心療内科専門医は全国で305人のみで1000人の医師の中でたった1人の割合です。
これに対して、よく比較される精神科専門医は全国で9,177人に上り、心療内科専門医のおよそ30倍の数に相当します。
心療内科を標榜する医師のほとんどが精神科専門医、内科医等で占められ、心療内科専門医資格を有する医師は、極めて限られているという現状を裏付けるデータです。
注:2つ以上の資格を取得している場合、各々の資格名に重複計上しています。
専門性資格及び麻酔科の標榜資格の割合を施設の種別にみると、
病院では「外科専門医」(9.1%) が最も多く、次いで「総合内科専門医」( 7.7%)、「消化器病専門医」( 5.9%)となっており、
診療所では「総合内科専門医」( 6.8%)が最も多く、次いで「眼科専門医」(6.3%)、「整形外科専門医」( 6.1%)となっています。
まとめと展望
今回の検討によって判明したポイントを以下に列挙します。
①診療所の数が病院の数より少ないということ
②医師の高齢化が進行していること
③女性医師の占める割合が増加傾向(5人に1人から3人に1人へ)
④医師5人につき1人が内科(主たる診療科)であり、診療所3件につき1件が内科(主たる診療科)であること
⑤専門医数は総合内科専門医が最多(7.4%)であり、病院(7.7%)と診療所(6.8%)での取得率に大きな隔たりはないこと
⑥専門医資格を全く持っていない医師が3人に1人強を占めること
次に、全国の診療所の高円寺南診療所が全国の診療所の平均像と合致し、ほぼ重なりあっている点と、大きく異なる点があるということです。
次に全国の診療所勤務の医師の平均像に近似する点
①診療所の医師の平均年齢59.6歳と私の年齢58歳
②心療内科専門医の平均年齢57.1歳と私の年齢
③リウマチ専門医の平均年齢54.1歳と私の年齢
④漢方専門医の平均年齢60.2歳と私の年齢
全国の診療所勤務の医師の平均像と相違する点
① アレルギー専門医の平均年齢53.2歳で私の年齢が高いこと
② 広告可能な医師の専門性に関する資格を4件(アレルギー専門医、リウマチ専門医、心療内科専門医、漢方専門医)取得しているが、いずれの専門医資格取得者の比率も1.5%以下であること
以上より、高円寺南診療所は、最も多数を占める内科を機関診療科とし、かつ医師としての年齢等も全国平均像に近い点などからは、典型的な日本の診療所であるといえるかもしれません。
しかし、医師一人が広告可能な医師の専門性に関する資格を4件(アレルギー専門医、リウマチ専門医、心療内科専門医、漢方専門医)取得し、しかも、これらのいずれの専門医資格取得者も限られた数であることから、専門性の集約において極めて個性的な診療所であるといえることも確認できました。
これら4つの専門領域は、いずれも臓器別縦割り診療科ではないため横断的診療を必要とします。
このことが全国平均的な診療所と比較して、より総合的に、さらには統合的に診療することができ、他に例を見ないユニークでクリエイティブかつ効率的な診療活動を展開することができる基盤になっていることを実感しています。
東洋医学(漢方・中医・鍼灸)
<急性熱性疾患:外感熱病の見方>
外感熱病とは、主症状として熱を発する外感病の総称です。外感病とは、病邪が外から人体に侵入して惹き起こされる病気です。
臨床的に重要な病邪は、寒の邪(寒邪)と温熱の邪(温邪)です。寒邪によって引き起こされる病気が傷寒、温邪によって引き起こされる病気が温病です。
一般に外感熱病では、疾患の進展に伴い、症状は刻々と変化していきます。
そして、すべての症状は病の発展段階のいずれかの時期を表現しているとするのが中医学や漢方医学の立場です。
そこで病状を正しく把握するために、現れている症状を体内に生じている病理学的変化と疾患の進展段階と関連付けて病状を理解する工夫が凝らされています。
この段階的変化はアナログですが、いくつかの典型的なパターンに分類して整理しておけば、直ちに適切な治療法が選択できるので実際的です。
こうした試みが外感病の症候分類です。
傷寒の症候分類(『傷寒論』張仲景、後漢時代)
臨床症状の変転をまず陰・陽に分類します。さらに陰・陽それぞれ3経に細分し、三陰三陽の六経に分類します。太陽⇒陽明⇒少陽⇒太陰⇒少陰⇒厥陰と変転するのが典型的な傷寒病理パターンです。
温病の症候分類(『温熱論』葉天士、清時代)
疾患の全過程を四つの証に分類します。疾患の全過程は、衛分証⇒気分証⇒栄分証⇒血分証とするのが典型的な温病病理パターンです。
また、呉鞠通の分類は、三焦に基づいて分類します。温病の全過程は、上焦症状⇒中焦症状⇒下焦症状とし、上焦に始まって下焦で終わると論じます。
以上、外感熱病を簡単にまとめましたが、現代西洋医学による外来診療は主として現症に主たる関心が払われる一方で、患者さんの今後の病状の変化については未知数として治療方針を決めます。
これに対して中医・漢方では独自の病態論を元に、今後の変化を予測しながら、より計画的な治療方針を選択できるという利点があると思います。
今現在で効く薬といえども、明日も効くとは限りません。中医・漢方は、患者さんの体質・気質に合わせるのみでなく、病態の変化を見据えながらタイミングよく最適の処方をする工夫が凝らされているといえます。
高円寺南診療所では、現代西洋医学と漢方医学を適宜組み合わせての処方を心掛けて30年を迎えつつあるところです。
心身医学科(心療内科、脳神経内科、神経科を含む)
<心身医学療法による痛みのマネジメント>
今年は多くの経験をさせていただきましたが、一般論ではなく具体的なケースを通して、しめくくりたいと思います。そこで再びS.Hさんのレポートに登場していただくことにしました。
S.Hさんを苦しめていたのは、全身の痛みという身体的苦痛のみではなく、<認知度が低く、理解されていない病に不安>とあるように精神的苦悩を伴うものでした。
S.Hさんの場合は周囲の大切な人々から<理解されない>だけでなく、S.Hさん自身も自分の病気を理解できていなかったのですから、<不安で精神肉体共に疲れ、限界寸前!>になることは当然の結果であったと考えられます。
それを考慮してもなおイライラなどの精神症状が更年期障害の症状に類似していることを見逃さないこと、S.Hさんを苦しめているのは身体的苦痛以上に精神的苦悩が優っていることに気づけたことが、彼女の治療成功の決め手になったようです。
線維筋痛症のように全身の激しい痛みが慢性的に続くと、<日常生活に支障>が出るだけでなく、
<理解されない病に不安で精神肉体共に疲れ限界寸前!>の状態に至ると、ほとんど精神病と見分けがつきにくくなります。
実際にS.HさんをCMI健康調査票で評価してみると神経症判別領域Ⅳで、易怒性(イライラや怒りっぽさ)を伴う極度の神経症に分類され、そのためMMPIというより厳密な人格検査では神経症圏ではなく、強い不安を伴い心気症・抑うつ・ヒステリー傾向の強い精神病圏という判定が得られました。
実際には、慢性疼痛による心身症であり、精神病患者ではありません。
線維筋痛症は高円寺南診療所できちんと対応すればほとんどの例で改善できる病気であるにもかかわらず、医療界の全般的趨勢では未だ難病と誤解されたままでいます。
脳神経内科や整形外科あるいは痛みの専門家であるはずのペインクリニックの医師でさえ、匙を投げて精神科受診を意図しつつ心療内科という表現に変換して患者に勧めることがあります。
これが患者さんにとっては事実上、大問題になっています。
なぜなら、心療内科を標榜する医師の99%は心療内科専門医ではなく、精神神経科医や一般内科医だからです。
そこで、精神病との一方的な判断がなされ向精神病薬が処方され、身体病である側面はほとんど無視されてしまうので、根本的な治癒に至らず、半永久的に精神病患者に仕立てられてしまうのです。
そこで、皆様にお願いがあるのですが、難病で苦しむ人々の救済のためには、同じ難病で苦しみながら克服してきた皆様の協力が必要です。
今年は、多くの皆様がHP公開に向けてのレポートを提出してくださったことに、大いに感謝しております。
中には、これらのレポートを読むだけで、絶望から希望へ、社会的引きこもりや諦めから、積極的な取り組みの姿勢に転換し、心身共に顕著に回復を遂げることにより自信を取り戻し、家庭や社会での復権に辿り着けた方々がいらっしゃいます。
一人の医師のみ、一軒の小さな診療所のみでできることには、限りがあるとこれまで何度も思い知らされてきました。
しかし、もし、今後も皆様のより深いご理解と暖かいご協力があれば、高円寺南診療所は無限の可能性を発揮できると公言して憚らない位にまでの社会貢献できるはずだと信じております。
どうぞよろしくお願いいたします。
総合リウマチ科(膠原病、腎臓、運動器の病気を含む)
<高齢発症の関節リウマチの特徴と鑑別>
高齢発症の関節リウマチは、男女比にほとんど差が無く、膝や肩などの大関節からの発症が多いです。
自己抗体陰性で、リウマチ性多発筋痛症やRS3PE症候群に類似の症状で発症する場合があります。
特徴的な診断指標が無いため、経過をみなければ両者を鑑別できない場合があります。
高齢者であるため関節リウマチのアンカードラッグであるメトトレキサート、生物学的製剤を使用すると重篤な感染症が起こることがあるので特別な注意を要します。
リウマチ性多発筋痛症は、関節周囲炎(滑液包炎)であり、関節包の外の炎症(腱鞘滑膜炎や滑液包炎など)を特徴とします。
多発筋炎のような筋炎ではないため筋逸脱酵素の上昇はありません。ステロイド療法には比較的反応しやすいです。
RS3PE症候群は、50歳以上の男性に好発し、両側対称性の急性多関節炎をきたし、手背部・足背部の腱鞘滑膜炎による著明な浮腫を呈することが特徴です。
骨びらんのない早期のRF陰性の高齢者関節リウマチとの鑑別はしばしば困難となります。
総合アレルギ‐科(呼吸器・感染症、皮膚科・眼科を含む)
<総合アレルギー診療から統合医療へ、No.3>
専門細分化医療の問題点は、患者さんの全体像を統合的に把握していないことに顕著に表れています。
それでは、複数の専門医が一人の患者さんを、それぞれの立場で診療すれば良いのでしょうか?
それは、ベターではありますが、ベストではないと思います。複数の専門医が一人の患者さんを、それぞれの立場で診療すれば、総合病院での総合医療にはなるでしょうが、総合医療とは、所詮、互いに連携の無いバラバラな寄せ集めにしかならないからです。
M.Iさんは<内科系>を受診されましたが、内科系とは、様々な複数の臓器別専門内科ということです。
それぞれの臓器別専門医は、M.Iさんの皮膚の丘疹のことは忘れて、自分の領域での病気の見落としが無いかどうかだけを念頭に置いて診療するだけであれば、解決の目途が立たないのは明らかです。
M.Iさんにとって大切な問題の解決は、本人が<昔からあって特に気にも留めていなかった>と記述しているように、無視あるいは軽視しているような健康問題を見直すことから始まりました。
それから、<大抵のことなら我慢してしまう自分自身の性格に関係していること>に気づくことができたことが治癒のきっかけとなっています。
高円寺南診療所では、M.Iさんの例に限らず、慢性的で治りにくい病気に悩み苦しむ患者さんに対しては、
« 性格・環境・習慣病モデル≫(飯嶋正広が2000年以来提唱し、実践中)に基づき、患者さんを統合的に診療させていただくことによって、たとえば原因不明の難病とされる線維筋痛症患者さんを寛解・治癒に導いています。
このモデルを用いれば、患者さんを全人的に診て、統合的で包括的な治療戦略を組むことが可能になります。
M.Iさんを例に挙げれば、彼女はいわゆるアレルギー体質です。アレルギー体質の方の身体は過敏な傾向にあります。
そして体質ばかりではなく気質までもが過敏であることがほとんどです。
しかし、皮肉なことに患者さん自身はそれに気づいていないことが多いです。
痒みなど生活の質を著しく損なう症状に見舞われ、しかもそれが長期に続くと、誰しもが痒みに対する過敏性をさらに増していきます。
すると、そのために大きな精神的・身体的エネルギーが消費されてしまいます。
そうすと、痒み以外の心身のからの異常を知らせる重要なサインに鈍感になってしまいます。
そうして、そのような方々の意識や行動パターンは、結果的に、肝心なことを見落として不注意による失敗を繰り返す反面、どうでもよい些細なことがらにこだわり、不愉快な気分を引きずるようになります。
痒みがひどいと、睡眠障害を招くので、この悪循環は強化される一方です。
その結果、患者さんは自信を失い、医療不信に陥りつつ、混乱と依存性を増していく、といった最悪の状態にまで陥ってしまうこともあります。
M.Iさんは、幸いご自分のアレルギー体質の意味を深く理解し、ご自分の心身全体とコミュニケーションすることができるようになりました。
<本来な人は自分で自分を治せる>ことに気づけたのは、M.Iさんが半ば絶望の状態から希望と自信を回復し始める段階に至っていることを示唆します。
<痒くなったら優しく肌をさする>ようになるまでのM.Iさんは痒みをもたらす肌にイライラを募らせて怒りの感情を引き起こし、その結果、堰を切ったように発作的に肌を掻き削るような条件反射的破壊行動に出ていたのでした。その行為のあとにもたらされるのは自己不全感と失望だったに違いありません。
そのM.Iさんは、クリスマスや新年を迎える前に、すでに元気になっています。
M.Iさんは<できるだけ焦らず体と向き合い自分を大切にするよう心がけるようになりました。>
そして、私の診療での対話の中で<その時の状況に応じた心の持ち様や生き方が示唆されていること>にも気づかされたとあり、医師冥利に尽きるとは、このような成果を挙げることができたときではないかと、つくづく感じています。
<私はトナカイ人である>
24日のクリスマス・イブも25日ものクリスマスも過ぎて26日を迎えました。ドイツ人のハンス君(高円寺南診療所および聖楽院のドイツ語顧問)によると、彼の郷里では26日もクリスマスであるとのことです。
なるほど前夜祭(イブ)があれば、後夜祭があっても不思議ではありません。
水曜午前中の水氣道の年内最終稽古は20日で、この日は藤村学園のプールの日でしたので、吉祥寺に向かいました。
商店のショーウィンドウにはクリスマスに向けての商品が美しくディスプレイされ、工夫をこらした季節のデコレーションがありました。
ふと目をやると、そこには愛嬌のあるトナカイさんのデザインがこちらを向いていました。
そこで私は、さっそく独自の脳トレ(反復つぶやき法)を試みたのでした。
<トナカイ、トナカイ・・・となかい、となかい・・・となかい人、
となかい人・・・都な会人、都な会人・・・都な海神、都な海神・・・都な怪人、
都な怪人・・・都ないなか人、都ないなか人・・・都な田舎人、都な田舎人・・・都会田舎人、
都会田舎人・・・とにかく田舎人、とにかく田舎人・・・これって誰?>
そこで、藤村に先着していたMr. NoGucciに尋ねてみました。
<ところで、君は、都会人、田舎人?> Mr. NoGucciいわく<う~ん、そうですねェ~。田舎人ですねェ。>
そこで、<僕はトナカイ人だよ!>というと、Mr. NoGucci<アハハ、なるほど>たわいのない会話でした。
私の出身地は茨城県です、気づいてみると出身地の茨城で過ごした年月以上を東京で過ごしていました。
それでは<私は東京人か>と自問すると、<いいや東京人ではないような気がする>という正直な答えが返ってくるのです。
それでは<お前は田舎人か>という神様の問いかけが聴こえてくるような気がするのです。
すると私の魂はこう答えます。<いいえ、私は田舎人を名乗れるほど田舎暮らしの経験がありません。
田舎で働いて報酬を得たことは一度もないのですから>と。
かくして私は都会人でもなく、さりとて田舎人でもない、アイデンティティを喪失した文化的難民であることをトナカイさんは気づかせてくれました。
しかし、都会人を都会者とは言わないように田舎者は田舎人とは、あまり言いません。
だから、私は都会者であり、かつ田舎人という新種、つまりトナカイ人であることを自覚して今後を生きていこうかと思うのです。
そういえば、高円寺南診療所の患者さんの大多数の方々も、その郷里は地方でありながら東京で職業について生活をしていらっしゃいます。
だから、そうした皆さんも私と同じトナカイ人の仲間です。
かつて、「故郷は遠くにありて思ふもの、そして悲しく歌うもの」という詩が有名でありました。
最近では、国内交通手段が顕著に発達して、故郷はだいぶ接近してきました。
そして、年末年始の帰郷を楽しみにして12月を過ごすことも素敵なことです。
それでこそ本物のトナカイ人です。
さて、生まれながらの都会人の皆様も、私とおなじトナカイ人の皆様、明後日が年内最終診療日です。
そして、年明けの診療は正月4日からです。
この<診察室から>シリーズの新年のスタートは第2火曜日の9日からです。
皆様、どうか、良い年をお迎えください。
一般内科(循環器・消化器・内分泌・代謝・栄養関連の病気)
<胸痛について>
外来診療において胸痛の訴えは、とても慎重に扱わなければ命取りになるので、経験豊富な内科医にとっても、一定の緊張感を伴います。
患者さんにとっての不安の大きさは計り知れません。
高円寺南診療所で経験してきた共通のほとんどは肩こりや腰背部痛を伴う筋肉痛、肋間神経痛、線維筋痛症、胃食道逆流症(逆流性食道炎)による胸焼け、喘息や慢性気管支炎による呼吸苦にともなう胸痛、過換気発作やパニック発作にともなう胸痛、心気症(心臓病ノイローゼ)にともなう胸痛などが多いですが、狭心症も少なくはありません。
喫煙者、肥満者、高血圧や精神的ストレスをかかえている方などに多いです。
逆に、高齢者や糖尿病の患者さんでは、症状が目立たないこともあり、どうしても発見と診断が遅れがちになるため、かえって危険が伴います。
胸痛は直接、生命にかかわることがあるので、一般の皆様もある程度の知識があるに越したことはないと思います。
主な心疾患における胸痛の特徴と鑑別のポイント(表1)を、ご参考に供するためにまとめてみました。
つぎに、心疾患で代表的な狭心症、心不全については自覚症状の程度で重症度がわかります。そこで、それらの重症度の目安も参考にしてください。
心不全というのは、一般の皆様がイメージしているのより広範な水準のものを含みます。
とりわけ、心不全の初期症状は放置されがちなので、警鐘を鳴らしておくことが必要であると考えています。
心不全を疑う初期症状は、まずは疲労です。
ついで、動悸、呼吸困難感、そして狭心痛です。
進行してくると症状出現のため日常的な活動でさえも制限されてしまいます。
狭心症をはじめ心不全にならないように、きちんとした継続的セルフケアの習慣を身に着けることはとても大切です。
そうはいっても、多忙で精神的ストレスに満ちた毎日を逞しく過ごしていかなければならないのが、現代社会に生きる私たちの多くの宿命です。
過労死や自殺が社会問題化して久しいですが、疲労がキーワードだと思います。
その日の疲れをその日のうちに解消できる環境にあれば理想的ですが、せめてその週の心身の疲労は、その週のうちに癒しておくことが望ましいです。
医師である私自身も例外ではないため、水氣道と聖楽院での活動を続けている次第です。
水氣道や聖楽院の強みは、心身両面に及んでいる自ら気づけていない疲労を含めて、一日を待たずして解消できることにあります。
ですからこのメリットの大きさは計り知れません。皆様もご一緒してみませんか。