今回は、3名の水氣道会員の声をご紹介いたします。

 

ケース番号1:M.Uさん40代女性

 

M.U

 

緊張しやすい方は、一般的に身体だけでなく精神的にもその影響が及びます。

 

緊張が身体と精神の両方に及ぶと表情や動作・行動にも硬さやぎこちなさが生じます。

 

すると対人関係において少なからず苦手意識が生まれやすくなります。

 

そうなると悪循環が生じて、自信を喪失し、引きこもりがちになります。

 

彼女は、水氣道をはじめてから、実際に、表情が明るく柔和になりました。

 

仕事にも、プライベートにも、意欲的に取り組んでイキイキとしています。

 

 

ケース番号2:T.Cさん50代女性

TCさん

 

正しい姿勢を獲得することは一生の財産です。

 

外見的な姿勢というのは内面的な姿勢の顕れです。

 

生きる姿勢が美しい人は、外見にも表れてくるものです。

 

ただし、残念なことに自分の姿勢が良いかどうかに気づくことは意外に難しいものです。

 

TCさんの素晴らしい点は、御自分の姿勢の悪さを自覚していたこと、

 

そのうえ、具体的にどのような姿勢のくせがあるのかまで、きちんと把握していたことです。

 

 

しかし、そんなTCさんでも気づけていないことがあったようです。

 

それは無意識で行っている「力み」です。

 

陸上の運動ではなかなか気づけないことであっても、水中では気づきやすい環境になります。

 

水氣道で気づいたこと、学んだことは、水中だけではなく、

 

陸上の運動や日常生活にも役立つということを、多くの会員が報告してくれている通りです。

 

 

彼女は、誰に教えられることなく、水氣道に継続して参加して稽古を重ねるうちに、大切な技術を体得することができました。

 

しかし、それは、彼女だけの賜物ではありません。なぜならば、水氣道は、自己整体術そのものだからなのです。

 

 

 

ケース番号3:T.Mさん70代?男性

 

T.M

 

この方の存在なくして、今日の水氣道は無かったと言っても過言ではありません。

 

彼は運動が大嫌いで、食べ物の好き嫌いが激しく栄養も極端に偏っていいました。

 

その結果、初診時の彼は、率直に申し上げれば、様々な病気の総合卸商社でヨレヨレで、余命いくばくもない、という風情でした。

 

そして、高度に専門分化した総合病院から逃げるように高円寺南診療所に来られた方なのでした。

 

彼は、気管支喘息、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、腎不全、骨粗しょう症、神経痛による歩行障害など、

 

ありとあらゆる生命と生活の危機を水氣道と共に乗り越えてきた英雄です。それにもかかわらず、彼はユーモアに満ちています。

 

 

茶目っ気に満ちていて、ときどきボケたふりをされるので、ヒヤリとさせられます。

 

水氣道は、もちろん他の競技やスポーツと同様に身体面・精神面で参加者各人の優れたところを見出して、さらにそれを育むことをします。

 

しかし、水氣道にはもっと大切な視点があります。

 

それは、むしろ各人が自らの身体面・精神面・社会面でネックになっている弱点にきちんと目を向けることを促すことです。

 

それは、ときには不愉快で辛いことであるかもしれません。

 

しかし、弱点や欠点を補強・修正することは全人的な健康の増進や充実感・自己実現のための効率的な方法です。

 

 

水氣道の目指すのは、単なる“自己実現”ではありません。

 

団体で組織的な共同体での活動であることの意味は、“自己超越”にこそあると考えているからなのです。

 

 

以上三人の皆様の御報告は、お役に立ったでしょうか。

 

今、これをお読みの貴方も、私たちの水氣道の仲間になってみませんか。

 

そして、素晴らしい気づきを共有財産とし、

 

善意の拡大再生産を図り、共に自己実現を図り、さらには自己超越を目指してみませんか。

 

 

ご投稿をお待ちいたしております。

呼吸器 / 感染症 / 免疫・アレルギー・膠原病

 

<副腎皮質ステロイドとは何者か?>

 

膠原病の治療目的は、

 

①免疫異常に対する抑制・調節

 

②過剰な炎症反応に対する抗炎症

 

 

主な膠原病治療薬

 

①非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

 

②副腎皮質ステロイド

 

③免疫抑制薬(シクロホスファミド、アザチオプリン、ミゾピリン、メトトレキサート、シクロスポリン、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル)

 

④生物学的製剤(インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、トシリズマブ、アバタセプト、ゴリムマブ、セルトリズマブ)

 

 

これらの中で、副腎皮質ステロイドは、副腎で合成される複数のホルモン群ですが、一般的にはグルココルチコイドに代表されます。

 

グルココルチコイドには強力な抗炎症作用があるため、炎症・アレルギーに対する対症療法として頻用されています。

 

また、グルココルチコイドにはミネラルコルチコイド作用もあるため、副腎皮質不全に対する補充療法には最適です。

 

他方、ステロイド剤には多くの副作用があり、アレルギー・リウマチ科の専門医は、副作用対策に心血を注いでいます。

 

副作用は主として全身投与(点滴、注射、内服)の場合が問題となります。

 

高円寺南診療所では、ほとんどの症例が外用剤

 

(喘息に対する吸入剤、アレルギー性鼻炎や結膜炎に対する点鼻液・点眼液、アトピー性をはじめとする湿疹に対しては適切な軟膏)を処方しているほか、

 

抗アレルギー剤や漢方薬の併用などの治療戦略により、ステロイドの全身投与の必要性に迫られることは滅多にありません。

 

 

ステロイド剤の副作用を以下に列記します。

 

①感染症(免疫力低下のため)、②消化性潰瘍、

 

③代謝障害(糖尿病、骨粗しょう症、脂質代謝異常)、

 

④精神障害(多幸、うつ、不眠、過食)、

 

⑤副腎皮質不全(副腎皮質の萎縮のため)、⑥血栓・動脈硬化

 

⑦高血圧、⑧月経異常、

 

⑩皮膚症状(にきび、多毛、皮膚線条、酒さ様皮膚炎)、

 

⑪眼症状(白内障、緑内障)、⑫大腿骨頭壊死、

 

⑬ステロイド・ミオパチー(近位筋脱力)

 

下線を施した症状が主たる副作用です。

 

 

また、プレドニゾロン10~20mg/日以上を2週間以上投与した場合、投与を急に中断すると離脱症候群が起こりえます。

 

ステロイド離脱症候群とは、ステロイド長期投与後の突然の中断により、

 

二次性副腎機能低下症の状態に陥り、低ナトリウム血症や低血糖を来す他、

 

発熱、消化器症状、全身倦怠感、筋肉痛を呈するものです。

 

副腎クリーゼからショックに陥る場合があり、生命を脅かす可能性があります。

消化器系の病気

 

<自己免疫性膵炎>

 

自己免疫性膵炎は、近年新たに認識されるようになった疾患です。

 

しかし、その原因はまだ解明されていません。

 

原因が解明されていないからと言って、医師は患者を見捨てておくことはできません。

 

そこで何らかの手がかりを得る努力が続けられています。

 

この病気の特徴としては5種類の血清免疫グロブリンで最も濃度の高いIgG(免疫グロブリンG)に関連しています。

 

そのIgGにもいくつかの種類があり、IgG4が高値になる(高IgG4血症)という病態が知られています。

 

この高IgG4血症を伴う一連の疾患群をIgG4関連疾患と呼びます。

 

 

その他の特徴としては、組織病理学的にみられる所見が重要です。

 

リンパ球、形質細胞の著明な組織浸潤および線維化によって、

 

全身諸臓器の腫大や結節・肥厚性病変などを認めますが、単一臓器の病変の場合もあります。

 

いずれの場合も慢性炎症性疾患としての特徴を備えています。

 

 

自己免疫性膵炎は、他の自己免疫性疾患の多くとは異なり、中高年男性に好発します。

 

また病変が膵臓単一の場合も多いが、膵外病変として、ミクリクツ病、自己免疫性下垂体炎、間質性肺炎、間質性腎炎、後腹膜線維症などをしばしば合併します。

 

また、しばしば遠位胆管や間文部領域胆管が狭窄し硬化性胆管炎を合併します。

 

 

高円寺南診療所を受診される患者の皆様の傾向としては、

 

複合疾患、多臓器疾患が多いため、単一性の自己免疫性膵炎にお目に掛ることはほとんどありません。

 

 

治療は副腎皮質ステロイド剤が第一選択となります。

 

そのため特に症状を呈さない場合はステロイド剤投与による診断的経過観察する医療機関もあるようですが、

 

膵癌や胆管癌との鑑別が極めて重要であるため精密検査が不可欠だと考えます。

 

 

高円寺南診療所では、血液検査でIgGが異常高値を呈した場合は、

 

次回の血液検査(概ね3か月後)ではIgGと共にIgG4を測定し、

 

膵臓を含めた腹部超音波検査をする方向で検討しています。

 

それによって、もし自己免疫性膵炎を疑った場合は、

 

間質性肺炎、間質性腎炎などの除外診断を行ったうえで、

 

念のため硬化性胆管炎の合併の有無の確認や膵癌や胆管癌との鑑別のため、

 

二次医療機関での精密検査をお勧めすることを検討しています。

血液・造血器の病気

 

<溶血性貧血のまとめ>

 

溶血性貧血には様々な種類がありますが、先天性のものと抗天性のものに分けることができます。

 

後天性のものは原因によってさらに抗体によるもの、

 

幹細胞の突然変異によるもの(発作性夜間血色素症)、赤血球破砕、

 

脾機能亢進症(バンチ症候群)に分類されます。

 

 

この病気のメカニズムの基本は溶血です。

 

溶血とは血液の中の赤血球が何らかの原因で壊れることです。

 

それによって、赤血球中に含まれる血色素(ヘモグロビン)が血清・血漿中に出てきます。

 

そのため血清・血漿が赤みがかってきます。

 

身体所見としては脾腫を認めます。

 

溶血すると原因に関わらず、骨髄での造血が促進されるため、一般に網赤血球が増加し、

 

血清間接ビリルビンや便・尿中のウロビリノゲンが増加し、血清ハプトグロビンが低下します。

 

溶血は、その起こる部位により、血管内溶血と血管外溶血の2つに分けることができます。

 

多くの溶血性貧血は血管外溶血ですが、マイコプラズマ感染症による自己免疫性溶血性貧血は血管内溶血です。

 

テーマ:医療のためのヒント

 

診察室だけでは治せない病気(その3)

 

< 各種の医学体操と水氣道® >

 

 

現代人の生活習慣病の原因の一つが「うつむき姿勢」です。

 

これは若い方にも激増していて、ご本人たちは全く気付いていないことが少なくありません。

 

実は高円寺南診療所の鍼灸師の坂本光昭氏も例外ではありません。

 

もっとも彼の場合は生活習慣病というよりは、職業病とみるべきでしょう。

 

鍼灸治療が「うつむき姿勢」によってもたらされる心身のアンバランスの調整に有効であることは、豊富な症例を通じて実証済みです。

 

しかし、受け身の治療ではなく、積極的なセルフ・ケアと併用することが望ましいと考えます。

 

 

水氣道®や、聖楽院で発声練習や歌唱トレーニングに参加を継続されている皆様は、

 

次第に首の筋肉の異常に気付くようになるようです。

 

この気づきが自然治癒力を促進することに役立ちます。

 

 

「うつむき姿勢」による首の筋肉の異常は、頸椎の中心にある副交感神経(主に、10番目の脳神経である迷走神経)の異常を招きます。

 

副交感神経は、内臓や血管、呼吸器などをコントロールする、もっとも重要な神経のひとつです。

 

そのため、「首こり」が心身の不調をもたらしてしまうのです。これを「首こり病」と名づけた医師がいます。

 

東京脳神経センターの松井孝嘉博士です。

 

学術的な場では、頸性神経筋症候群と表現されているようです。

 

松井博士は、「首こり病」がもたらす17疾患を紹介しています。

 

これらはすべて心身症(心療内科専門医が担当する領域)です。

 

実際に、高円寺南診療所で毎日診療している疾患群のオンパレードです。

 

 

首こりが原因で起こる17の疾患(松井孝嘉による)

 

緊張型頭痛、めまい、自律神経失調症、うつ、パニック障害、ムチウチ、更年期障害、慢性疲労症候群、ドライアイ、多汗症、不眠症、機能性胃腸症、過敏性腸症候群、機能性食道嚥下障害、血圧不安定症、VDT症候群、ドライマウス

 

 

不定愁訴の根本的な治療は、まず「首こり」から

 

不定愁訴は、耳鼻科、眼科、消化器内科などさまざまな診療科目の症状が出るのが特徴。

 

各専門医の元を訪れても、病院の検査では、異常は見つかりません。

 

結局は痛み止めなど、“その場しのぎ”の治療をされているのが現状です。

 

全身の不調は薬では解決しません。

 

薬をやめればすぐに再発するどころか、症状は一向に改善されず、むしろ徐々に悪化していきます。

 

 

なぜならば、副交感神経の異常をもたらす「首こり」の治療が行われていないからです。

 

首こりが原因と診断されないまま的外れな治療を続けると、症状はさらに悪化し、最終的にはうつ状態になってしまいます。

 

これは、首こりが原因で起こるうつで、「精神うつ」(精神科領域)と区別するために、「頚筋性うつ」(心身症:心療内科領域)と呼ぶ専門家がいます。

 

しかし、今や「頚筋性うつ」は、うつ状態全体の90%を超えています。

 

ですから、精神科に行って抗うつ剤を処方してもらっても根本的な治療にはなりません。

 

心身ともにダメになる前に、まずは首こり病の可能性を疑って、高円寺南診療所のスタッフに相談してください。

中毒・物理的原因による疾患、救急医学

 

<老年病は内科の延長で診ることが危険なワケ!>

 

その4.高齢者では腎機能低下を考慮しないと命とりに

 

 

高齢者では、健康者であっても腎機能低下が進行していきます。

 

このことを常に念頭に置いておかないと高齢者を危険な状態に陥らせかねません。

 

 

たとえば、高血圧治療の第一選択薬の一つであるACE阻害薬は、

 

腎障害例では腎機能の増悪や血清K値の上昇を来しやすくなります。

 

その場合、早期に発見すれば薬剤の中止により速やかに改善します。

 

しかし、改善しない場合には腎不全に準じた治療を行わなくてはならなくなります。

 

高齢者に投与する場合には、このことに注意する必要があります。

 

定期的に腎機能や血清K値を測定するのはそのためです。

 

 

もう一つの例は不整脈治療薬です。

 

高齢者では、腎からの排泄率の高い抗不整脈薬の成人標準量を投与してはならないことになっています。

 

抗不整脈薬のうち、ジソピラミド(リスモダンR®)クラスⅠa群(Naチャンネル遮断薬)、

 

シベンゾリン(シベノール®)クラスⅠb群(Naチャンネル遮断薬)、

 

ピルジカイニド(サンリズム®)クラスⅠc群(Naチャンネル遮断薬)

 

などは、腎からの排泄率が高い薬剤です。

 

こうした薬剤は、生理的な腎機能低下状態にある高齢者の体内に蓄積されるため、副作用を呈する可能性が高くなります。

 

 

これらの薬剤を、高齢者に投与しなくてはならない場合は、

 

成人量の1/2~2/3程度の減量が必要であるとされます。

 

高円寺南診療所では、更なる安全性確保のため1/4~1/3程度から投与を開始していましたが、

 

催不整脈作用(抗不整脈薬投与による新たな不整脈が発生しやすくなる作用)が問題にとされるようになってからは、

 

外来での新規の抗不整脈薬投与は行わず、原則として入院設備のある病院での治療開始をお勧めしています。

 

 

なおジソピラミドの投与に際しては、抗コリン作用による尿閉にも同時に注意しなければなりません。

<仕事を完結させ次につなげる③>

 

完結させず、やりっぱなしのままだと何が悪いのか?

 

 

そのまま何となく過ぎてしまう。

 

振り返って反省することをせず、曖昧にしてしまう。

 

終えた仕事で何が悪かったかを検証しない。

 

 

なんとなく、同じことを繰り返していくので工夫もしない。

 

 

そして同じようなミスを繰り返す。

 

 

見事にこのサイクルにはまっていました。

 

仕事を完結させ、検証して次に進む。

 

ミスを検証して、同じミスは繰り返さない。

 

当たり前のことが出来ていなかったのです。

 

 

当たり前のことをきっちりとやって、ミスを繰り返さない。

 

このことを心がけて日々仕事をしています。

》往く週《 8月23日:第21回聖楽院週例コンサート(60分ショートプログラム)

 

 

先任ピアニスト吉田奈津子(聖楽院ピアノ伴奏科主幹)

 

ショート・プログラムながら、4人の演奏者が、それぞれの個性を発揮することができました。

 

今回はバッハの作品。これを2つの管楽器、すなわちサックスの冨士田紗季、フルートの西巻有希子がそれぞれの表現で楽しませてくれました。

 

この二人の管楽器奏者は、クラシック音楽とジャズ演奏の両方をライフワークとしているという共通点があり、

 

西巻有希子は、ジャズセッションでも華麗な演奏を披露してくれました。

 

今年は、サックスやクラリネットに加えて、フルートの活躍が目覚ましく、

 

聖楽院コンサートをより華やかに、かつ実り豊かなものに成長させてくれていることは嬉しい限りです。

 

 

吉田奈津子はショパンのノクターン、聖楽院週例コンサートの“希望”と“癒し”の夕べをピアノで表現してくれました。

 

 

今回の音楽の喜びは、お客様です。

 

高円寺南診療所ならびに聖楽院に貢献してくれている二人のドイツ人の友人が来場し、堪能してくれました。

 

その一人ハンス君は、聖楽院のホームページのプロフィール写真でお馴染みの若者です。

 

彼は、バイオリンを嗜み、近々、聖楽院の試演会に出演の予定です。皆様に、彼の演奏をご披露できることを楽しみにしています。

 

 

それから、聖楽院のレッスン生、見学生も集まってくれました。

 

レッスン生の一人が、友人の音楽家を紹介してくれるなど、

 

プロとアマの垣根を越えた繋がりが着実に発展している姿には大いに励まされます。

 

 

 

来る週8月30日:第22回聖楽院週例コンサート(60分ショート・プログラム)

 

聖楽院では、初の試み。すべて、ジャズです。

 

聖楽院の協力アーティストの一人、金澤克彦氏は、水氣道の有段者(現、少初段上)であり、

 

次代の水氣道®を担う幹部候補生の一人として活躍中です。

 

水氣道の技法の柱の一つである<理氣航法>直伝者です。

 

聖楽院では異色のピアニストで、ジャズの分野を担当し、

 

聖楽院週例コンサートに引き続いて演奏されているジャズセッションで大いに活躍し、

 

ベーシストの奥川茂樹氏とのコンビでの演奏で相互の信頼関係を築いています。

 

 

なお外部招聘ゲストとしてジャズ・ピアニストの宮地潤を迎え、彩豊かな演奏をお楽しみいただけるものと期待しております。

 

 

60分ショート・プログラムの音楽チャージは、通常は1,000円ですが、

 

感謝記念プログラムとして、ワンコイン・コンサートとして企画いたしました。

 

皆様の御来場をお待ちいたしております。

 

 

なお11月23日(勤労感謝の日)に開催予定の1回聖楽院レッスン生内部発表会のプログラムの骨格も出来上がりつつあります。

 

改めてご案内いたしたいと存じます。

 

神経・精神・運動器

 

<突然、顔面に生じる耐え難い痛みの正体は?>

 

4回シリーズ(第四話)

 

 

50代半ばの主婦。主訴は顔面痛発作、初回発作は1週間前。

 

痛みの部位は右中顔面、持続時間は1分程度、

 

右中顔面を洗顔時に刺激したり、右上の歯を磨いたり、などの動作に伴い痛みが誘発。

 

三叉神経痛:右第Ⅱ枝(上顎神経)という見立て。臨床的には典型的な三叉神経痛。

 

 

<疾患分類>

三叉神経痛を分類すると、①特発性三叉神経痛、②症候性三叉神経痛に二大別できます。

 

 

①特発性三叉神経痛とは、明らかな原因を認めないもので、

 

典型的な三叉神経痛の多くは、この特発性三叉神経痛です。

 

しかし、近年特発性(典型的)三叉神経痛とされていたものの多くが、

 

血管による三叉神経の圧迫により生じていることが明らかになってきたため、MRI検査が勧められます。

 

 

②症候性三叉神経痛とは、三叉神経痛を引き起こすような器質的な原因疾患がある場合に診断されます。

 

その器質的疾患としては、多発性硬化症、脳腫瘍、脳血管障害、帯状疱疹、蛇行動脈、動脈硬化、副鼻腔炎などが報告されています。

 

これらの疾患群をリストしてみると、多くの疾患がCTスキャンやMRI検査で確認することが望ましいことがわかります。

 

 

ただし、実際には、顔面の帯状疱疹後の神経痛としての顔面神経痛や動脈硬化、副鼻腔炎による三叉神経痛が少なくありません。

 

 

帯状疱疹については病歴確認、動脈硬化を疑う場合は、頚動脈超音波検査、

 

副鼻腔炎を疑う場合は、鼻鏡検査による鼻炎合併の確認やエックス線検査で副鼻腔の炎症を確認することなども有益な検査だと思います。

 

 

<鑑別検査とその結果>

病歴:顔面の帯状疱疹の経験あり。3年前に罹患、同側上顔面。

 

頸動脈超音波検査:頚動脈に動脈硬化所見を認めず

 

鼻鏡検査:鼻の中の粘膜が腫れて、鼻の空気の通り道が狭くなった状態。

 

特に右側の鼻の一番下にある下鼻甲介というヒダが腫れている。

 

肥厚性鼻炎もしくは慢性アレルギー性鼻炎

 

副鼻腔エックス線検査:右上顎洞の他右篩骨洞領域に異常陰影を認める。左右差顕著。⇒右側慢性副鼻腔炎

 

 

<まとめ>症候性三叉神経痛(右上顎神経痛)の疑い

 

原因疾患として、右側の慢性副鼻腔炎が関与している可能性があると考えました。

 

上顎神経(V2)は上あごの全体にわたって分布し、

 

歯茎や上唇、口蓋や下瞼、頬部、篩骨洞、蝶形骨洞や上顎洞などを支配していますが、

 

異常陰影が見出された右上顎洞および篩骨洞領域は、この領域に一致しているからです。

 

 

それでは、どのような初期治療が適切でしょうか?

 

一般的には第一選択としてカルバマゼピン(テグレトール®)が処方され、

 

難治例には三叉神経ブロック、手術による神経血管減圧術が行われます。

 

 

高円寺南診療所の治療戦略は、アレルギー性鼻炎および慢性副鼻腔炎の治療から開始することにしました。

 

アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎(蓄膿症)基本対策

 

⇒漢方薬:葛根湯加川芎辛夷

 

 

アレルギー性鼻炎追加対策

 

⇒アレルギー性鼻炎治療薬(アラミスト®点鼻液)

 

 

慢性副鼻腔炎追加対策

 

⇒抗生物質:ミノサイクリン(ミノマイシン®)

 

 

 

<経過報告>

『治療を開始して、1週間ほどで寝起きが楽になり、以前ほどイライラしなくなってきました。

 

呼吸がとても楽になり、何を食べてもおいしいです。

 

味やにおいがわかるようになってきました。

 

痛みは時々出ましたが、慣れてきたせいか余り苦にならなくなってきました。

 

 

2週間目にはほとんど神経痛が出なくなりました。

 

紹介していただいた病院でMRI検査を受けましたが、異常なしでした。

 

念のためにとのことでテグレトール®(再掲:三叉神経痛の第一選択薬)を処方してくださったので試してみましたが、

 

眠気、ふらつき、めまいが辛いのですぐにやめました。

 

以前も、市販の痛み止めが全く効かなかったので飲まないでいきたいです。』

 

 

<転帰>

この患者さんは、慢性副鼻腔炎が寛解したため、抗生物質は終了しました。

 

現在でも点鼻薬と漢方薬のみを使用していますが、

 

その後、三叉神経痛の再発はみられていません。

 

もう少しツボの世界を見ていきましょう。

 

今回は「大敦(だいとん)」です。

 

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場所は、足の親指の爪の根元の外側で爪の角から2ミリのところにあります。

 

 

「膀胱炎」「前立腺炎」「睾丸炎」「機能性子宮出血」「月経不順」「便秘」等に効果があります。

 

 

このツボの刺激により大腸の動きが活発になるそうです。

 

 

<参考文献>

 

このツボが効く 先人に学ぶ75名穴       谷田伸治 

 

経穴マップ イラストで学ぶ十四経穴・奇穴・耳穴・頭鍼      監修  森 和

                                      著者  王 暁明・金原正幸・中澤寛元 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭