日々の臨床 8月31日木曜日<副腎皮質ステロイドとは何者か?>

呼吸器 / 感染症 / 免疫・アレルギー・膠原病

 

<副腎皮質ステロイドとは何者か?>

 

膠原病の治療目的は、

 

①免疫異常に対する抑制・調節

 

②過剰な炎症反応に対する抗炎症

 

 

主な膠原病治療薬

 

①非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

 

②副腎皮質ステロイド

 

③免疫抑制薬(シクロホスファミド、アザチオプリン、ミゾピリン、メトトレキサート、シクロスポリン、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル)

 

④生物学的製剤(インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、トシリズマブ、アバタセプト、ゴリムマブ、セルトリズマブ)

 

 

これらの中で、副腎皮質ステロイドは、副腎で合成される複数のホルモン群ですが、一般的にはグルココルチコイドに代表されます。

 

グルココルチコイドには強力な抗炎症作用があるため、炎症・アレルギーに対する対症療法として頻用されています。

 

また、グルココルチコイドにはミネラルコルチコイド作用もあるため、副腎皮質不全に対する補充療法には最適です。

 

他方、ステロイド剤には多くの副作用があり、アレルギー・リウマチ科の専門医は、副作用対策に心血を注いでいます。

 

副作用は主として全身投与(点滴、注射、内服)の場合が問題となります。

 

高円寺南診療所では、ほとんどの症例が外用剤

 

(喘息に対する吸入剤、アレルギー性鼻炎や結膜炎に対する点鼻液・点眼液、アトピー性をはじめとする湿疹に対しては適切な軟膏)を処方しているほか、

 

抗アレルギー剤や漢方薬の併用などの治療戦略により、ステロイドの全身投与の必要性に迫られることは滅多にありません。

 

 

ステロイド剤の副作用を以下に列記します。

 

①感染症(免疫力低下のため)、②消化性潰瘍、

 

③代謝障害(糖尿病、骨粗しょう症、脂質代謝異常)、

 

④精神障害(多幸、うつ、不眠、過食)、

 

⑤副腎皮質不全(副腎皮質の萎縮のため)、⑥血栓・動脈硬化

 

⑦高血圧、⑧月経異常、

 

⑩皮膚症状(にきび、多毛、皮膚線条、酒さ様皮膚炎)、

 

⑪眼症状(白内障、緑内障)、⑫大腿骨頭壊死、

 

⑬ステロイド・ミオパチー(近位筋脱力)

 

下線を施した症状が主たる副作用です。

 

 

また、プレドニゾロン10~20mg/日以上を2週間以上投与した場合、投与を急に中断すると離脱症候群が起こりえます。

 

ステロイド離脱症候群とは、ステロイド長期投与後の突然の中断により、

 

二次性副腎機能低下症の状態に陥り、低ナトリウム血症や低血糖を来す他、

 

発熱、消化器症状、全身倦怠感、筋肉痛を呈するものです。

 

副腎クリーゼからショックに陥る場合があり、生命を脅かす可能性があります。