消化器系の病気
<自己免疫性膵炎>
自己免疫性膵炎は、近年新たに認識されるようになった疾患です。
しかし、その原因はまだ解明されていません。
原因が解明されていないからと言って、医師は患者を見捨てておくことはできません。
そこで何らかの手がかりを得る努力が続けられています。
この病気の特徴としては5種類の血清免疫グロブリンで最も濃度の高いIgG(免疫グロブリンG)に関連しています。
そのIgGにもいくつかの種類があり、IgG4が高値になる(高IgG4血症)という病態が知られています。
この高IgG4血症を伴う一連の疾患群をIgG4関連疾患と呼びます。
その他の特徴としては、組織病理学的にみられる所見が重要です。
リンパ球、形質細胞の著明な組織浸潤および線維化によって、
全身諸臓器の腫大や結節・肥厚性病変などを認めますが、単一臓器の病変の場合もあります。
いずれの場合も慢性炎症性疾患としての特徴を備えています。
自己免疫性膵炎は、他の自己免疫性疾患の多くとは異なり、中高年男性に好発します。
また病変が膵臓単一の場合も多いが、膵外病変として、ミクリクツ病、自己免疫性下垂体炎、間質性肺炎、間質性腎炎、後腹膜線維症などをしばしば合併します。
また、しばしば遠位胆管や間文部領域胆管が狭窄し硬化性胆管炎を合併します。
高円寺南診療所を受診される患者の皆様の傾向としては、
複合疾患、多臓器疾患が多いため、単一性の自己免疫性膵炎にお目に掛ることはほとんどありません。
治療は副腎皮質ステロイド剤が第一選択となります。
そのため特に症状を呈さない場合はステロイド剤投与による診断的経過観察する医療機関もあるようですが、
膵癌や胆管癌との鑑別が極めて重要であるため精密検査が不可欠だと考えます。
高円寺南診療所では、血液検査でIgGが異常高値を呈した場合は、
次回の血液検査(概ね3か月後)ではIgGと共にIgG4を測定し、
膵臓を含めた腹部超音波検査をする方向で検討しています。
それによって、もし自己免疫性膵炎を疑った場合は、
間質性肺炎、間質性腎炎などの除外診断を行ったうえで、
念のため硬化性胆管炎の合併の有無の確認や膵癌や胆管癌との鑑別のため、
二次医療機関での精密検査をお勧めすることを検討しています。
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