水氣道FITSシステムと水氣道療法師養成課程の開設について
水氣道の稽古機構の沿革:
水氣道の対番制、段級制からFITSシステムまで
水氣道には対番(たいばん)制という独自の仕組みがあります。これは稽古のたびごとに上級者(シニア)と下級者(ジュニア)が1対1で稽古をしたり、支援したりする関係を指します。この対番制度が体系的に発展して確立したのが水氣道の段級制です。
水氣道の入門者は体験生と呼ばれます。体験生には級がないため、ランクは級外とされます。その体験生がノビノビと稽古を楽しめるように促したり、お世話をしたりする担当者がファシリテーターという上級対番です。ファシリテーターの担当者は4級の高等訓練生、もしくは5級の中等訓練生です。
級外の体験生も、稽古を重ねて水氣道に馴染んできた頃には、特別体験生という呼称とともに、はじめての級(7級)を取得します。
また、ファシリテーター自身も、より上級のインストラクターの指導を受け、インストラクターはさらにトレーナーの指導を受けます。水氣道のトレーナー以上は有段者です。
そして、トレーナーもさらにスーパーバイザーの指導を定期的に受けることになっています。このスーパーバイザ―は水氣道四段以上のベテランが担当します。
そして水氣道では、四段以上をプロ(職業水氣道家)として公認します。なお、職業水氣道家になるには、水気道療法師(補)養成課程を経て、水氣道療法師(補)資格試験に合格して、水氣道療法師(補)としての経験を重ねていくことが要件になっています。
水氣道は段級制と対応して、ファシリテーター(Facilitator),インストラクター(Instructor),トレーナー(Trainer)、スーパーバイザー(Supervisor)等によって構成されるFITS制度が展開中です。
このFITSとは、それぞれの資格の頭文字を並べたものです。これは水氣道発祥以来の対番制が発展することで確立してきたシステムです。
さて、水氣道に限らず、インストラクターとかトレーナーという言葉は広く用いられていますが、その違いについて認識している人は少ないようです。
スポーツインストラクターとスポーツトレーナーとの違い
スポーツインストラクターとスポーツトレーナーはよく混同されがちですが、仕事の内容が細かく異なっていて、この2つは全く別の職業です。
フィットネスクラブでより多く見かけるのは圧倒的にスポーツインストラクターです。スポーツトレーナーと同じく、スポーツをする人のサポートを行いますが、無資格でも採用されます。年齢や運動歴、体力、目標に適したメニューを作成したり、一般の方やスポーツ愛好家のトレーニング方法を指導したりするのがメインで、目標達成までサポートしていきます。施設によっては、オーダーメイドでメニュー作成をすることもありますが、多くの場合は、マニュアルに沿ってレッスンを組んでいきます。
スポーツインストラクターはスポーツジムやフィットネスクラブなどで技術指導を行うのが主な仕事で、自身も一緒にプレーしながら指導をするため、受講者よりも高い運動能力が求められます。
利用者よりも高い技術や豊富な知識が求められますが、スポーツインストラクターの資格は主に民間資格で、必ずしも取得していなくてはいけないという訳ではありません。ですから基本的には無資格でもスポーツインストラクターとして働くことができます。
これに対してスポーツトレーナーの仕事内容は、健康や体調管理、トレーニングメニューの作成、リハビリ、応急処置、栄養指導など多方面にわたります。そして、スポーツジムなどのマシーンルームで操作方法を教えたり、ケガなどをした利用者の応急処置を行ったりするのが仕事です。
さらにスポーツ選手やアスリートが最高のパフォーマンスができるようにサポートするエキスパートでもあります。特に、プロのアスリートをサポートする場合は、基本的に選手のケアをするので、スポーツの経験者でかつ信頼性が重視されます。
そのため、前提条件として有資格者が採用されるのが原則です。柔道整復師や鍼灸師のような国家資格を保有していることが求められることもあります。
主な活躍の場は、民間のフィットネスクラブ、実業団のスポーツジム、スポーツチーム、プロスポーツチームなどです。フィットネスクラブなどでは、筋トレマシンの使い方を指導するといったインストラクターの業務にとどまらず、体の痛みや負傷に対する応急処置など、インストラクターより高度で責任の重い業務を担当します。
水氣道療法師養成課程の開設
水氣道は生涯エクササイズであると同時に全人的治療法です。
全人的というのは少しわかりづらいかもしれませんが、体の健康、心の健康のみならず社交的健康や環境保全までをも含む概念です。
水氣道は参加者自らの健康の維持増進、疾病の治癒、リハビリテ―ションや病気の予防・再発防止までを第一の目的とします。
そして、家族や隣人、知人の全人的健康にも貢献できるようになることが第二の目的です。
この第二の目的を達成するためには、水氣道を基礎に置いた確かな自然療法を駆使できる人材を育成することが必要になってきます。
その必要を満たすための試みが「水氣道療法師養成ワークショップ」です。
水氣道療法師を育成するための最初のステップは、水氣道療法師候補者を教育することです。
その次に、水氣道療法師候補者を水氣道内部で水氣道療法を担当することができる水氣道療法師(補)を育成することです。
そして、最終的には水氣道療法を外部の各方面でも展開し、広く社会に貢献することができる水氣道療法師を養成することです。