最新の臨床医学 12月30日(日)心療内科についてのQ&A

心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。

それは日本心療内科学会のHPです

 

 心療内科Q&Aのコラムを読むことができます。

 

Q&Aは、想定した事例です。Q&Aや疾患についてのご質問、病院の紹介等は、受け付けておりませんのでご了承下さい。※「質問」をクリックするとが表示されます。

 

高円寺南診療所に通院中の皆様が、一般論であるこのQ&Aを読んでいただくためには、実際に即した具体的な解説が必要だと考えました。そこで、「質問」「答え」の後に、<高円寺南診療所の見解>でコメントを加えることにしました。

 

 

「質問20」

30歳代の女性です。

 

幼い時からひどい頭痛がよく起きます。

原因はストレスではないかと思い、ストレス発散をしようと思っても、上手くできません。

 

夜眠れないことや胸が痛くなることもあります。

何とかしたいと思っているのですが・・・。

 

「答え」  

幼少時からの頭痛ということで、最近急に現れたものではなさそうですので、脳や頭の中に何らかの明らかな原因がある訳ではない「一次性頭痛」の可能性が高いと思われますが、一度、近くの内科や神経内科、脳外科で、検査の必要性を判断してもらうことをお勧めします。

 

その上で、「一次性頭痛」の可能性が高いということでしたら、一次性頭痛の代表的なものである「緊張型頭痛」か「片頭痛」か、どちらであるかの見極めが重要となります。

 

片頭痛は、片側だけの痛みのことが多く、痛みの性状は「ズキンズキン」という表現を用いられることが多く、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。

 

また、普段気にならない音がうるさく感じたり、普段よりも眩しく感じたりすることや、日常生活動作で痛みが強くなることもあります。

 

さらに、頭痛の前に、チカチカと光るフラッシュのようなものが見える場合もあります。これらの一次性頭痛は、ストレスによって誘発されることがあることも知られていて、代表的な「心身症」(ストレスに影響を受ける身体疾患の総称)の一つです。

 

ストレスに関しては、ご自身で対処できない場合、心身症の専門家である心療内科を受診し、相談されることをお勧めします。

 

(吉内一浩)

 

 

<高円寺南診療所の見解>

率直なところ優秀な吉内先生の回答としてはいささか残念な内容です。相談者からの具体的な情報について、もう少し吟味を加えていただく必要があるのではないかと思います。

 

相談者は<胸が痛くなる>こともあると訴えています。また、個々の患者さん自身が<原因はストレスではないか>と思っていたとしても、心療内科専門医は、それを鵜呑みにせず身体を見る内科医としての自覚と責任をもって吟味を加える姿勢を忘れてはならないと考えます。

 

 

参考までに、日本心臓財団のHPからの引用をいたします。

 

公益財団法人 日本心臓財団

 

40歳、女性:胸痛

胸痛の発作が年数回あり、1回30分程度続きます。

 

右のこめかみに独特の頭痛を感じたとたん、一瞬で喉からみぞおちにかけて胸全体がつったように痛みます。ニトロールを服用すると5?10分で収まります。

 

現在、頭痛外来で片頭痛の予防薬(ゴシュユトウ)を処方してもらい、経過観察中です。

 

また、血圧を下げるため、ノルバスクも服用していますが、狭心症の薬でもあるので、服用を続けるようにいわれています。

 

循環器の医師より、片頭痛の薬が影響して血管を痙攣させている可能性があるため、当分の間、服薬をやめて様子をみてほしいといわれました。

 

片頭痛の薬の服薬をやめても大丈夫でしょうか。

 

<答え> 

偏頭痛は、脳血管が攣縮し、ついで拡張するときに起こるといわれます。このような人では冠動脈が攣縮しやすく狭心症が起こることもあるといわれています。

偏頭痛の薬は攣縮後の血管拡張を抑えるために、攣縮性狭心症にはよい影響がなく、担当医が服薬を中止するように指示したのはこのためでしょう。偏頭痛にも、狭心症にも、よい効果があるといえるものには、現在も服用中のノルバスクのようなカルシウム拮抗薬や交感神経ベータ遮断薬などがあります。

 

 

私がここで指摘しておきたいのは、相談者には生命の予後に係る狭心症の可能性があるのではないか、と疑ってみることが心療内科を含む一般内科医にとっては必要なステップではないか、ということです。

 

たしかに、片頭痛(心臓財団では偏頭痛と記載していますが同じです)と攣縮性狭心症とが併発しやすいことを知っている内科医は限られているとは思われます。しかし、患者さんが訴える複数の症状のうち生命の危険に直接かかわる徴候については、精神科医であっても無関心であってはならないことなので、ましてや少なくとも一般内科医であることを支柱とすべき心療内科医にとってはなおさら注意を喚起しておく必要があるように思われます。

 

このQ&Aを他山の石とせず、日々、自己吟味と反省を繰り返しながら2019年を迎えたいと思います。

 

 

高円寺南診療所「最新の臨床医学」2019の週間プログラムの予告です。

 

月曜日:内科Ⅰ(消化器・肝臓)

 

火曜日:内科Ⅱ(循環器・腎臓・老年医学)

 

水曜日:内科Ⅲ(糖尿病・内分泌・血液・神経)

 

木曜日:リウマチ科(リウマチ内科、整形外科領域)

 

金曜日:アレルギー科・呼吸器・感染症(呼吸器・感染症・アレルギー・膠原病;眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科領域のアレルギー)

 

土曜日:心療内科(ストレス病・心身症、心身医学療法)

 

日曜日:東洋医学科(漢方・鍼灸)

 

 

なお「最新の臨床医学」2019は元旦(火曜日)から掲載を開始します。