最新の臨床医学 12月29日(土)漢方治療についてのQ&A

漢方治療に関しては一般社団法人 日本東洋医学会 一般の方へ

のHPを検索してみました。

 

ここには<漢方ストーリー>という読み物がりますので、お読みになってください。

 

ただし、具体的なQ&Aは掲載されていません。

 

そのため、以下のQ&Aを採り上げ、解説を加えてきました。

慶應義塾大学医学部漢方医学センターの漢方Q&A

 

富山県立中央病院 内科和漢・リウマチ科-Q&A

 

今回からは、三和生薬株式会社のHP「よくあるご質問」をご紹介いたします。

 

 

高円寺南診療所の立場から、<高円寺南診療所からのメッセージ>を加えてきました。

 

Q

漢方薬にも副作用はあるのですか?

 

A

西洋薬と比べれば、とても少ないですが副作用はあります。むくみ、胃もたれ、軽い発疹のような場合が多いですが、食物アレルギーがあるように、天然物だから安全とも限らないからです。いつもと違う異常を感じたら服用を中止し、すぐに医師またはお買い求めの薬局・薬店にご相談ください。

 

 

<高円寺南診療所からのメッセージ>

新しい漢方薬を処方された場合は、通常2週間以内に再診し、好ましくない症状が現れていないことを確認することが大切です。3週間あるいはそれ以上の長期処方を希望される方でも、新しい薬を始める時には慎重であってほしものです。

 

 

① 西洋薬と比べれば、とても少ないですが副作用はあります。

 

特に注意しているのは、間質性肺炎です。間質性肺炎の頻度は低いものの死亡例も報告されています。高円寺南診療所では、関節リウマチの専門診療を行っているので主薬のメトトレキサートを処方しますが、この薬も間質性肺炎のリスクがあり常に監視しています。

 

動脈血中酸素分圧濃度(SpO₂)の測定を日常的に行っているのは、早期発見のためです。平成元年開院以来、すでに3件経験しましたが、服薬中止にて速やかに改善しました。

 

 

② むくみ、胃もたれ、軽い発疹のような場合が多いです。

 

次に、注意を要するのは偽アルドステロン症です。浮腫(むくみ)、高血圧、低カリウム血症などを呈するこの病態の原因になっているのは甘草です。甘草は漢方薬の7割に含まれている生薬成分であるため、特に、他の医療機関からも漢方薬を処方されていないかどうかを再確認してください。

 

甘草の主成分はグリチルリチンという配糖体成分であり、その吸収は腸内細菌に負うところが大きいため、個人差が大きいことがしられています。そこで、高円寺南診療所では、やむを得ず重複して継続処方する際には合計2.5g以上にならないようにしています。 漢方薬製剤の中には一日3回服用すると甘草の量が3g以上になるものがあります。

 

 

リストを作成します。高円寺南診療所での処方頻度が高い漢方製剤は下線を施しました。

 

いずれも1日1回1包の時間帯処方で、安全に効果を挙げています。

 

 

8.0g:

401甘草湯

 

6.0g:

68芍薬甘草湯(1日1包眠前のみ、こむらがえり、に)

 

5.0g:

05芍薬甘草附子湯(1日1包眠前のみ、慢性疼痛、に)

 

3.0g:

19小青竜湯(一日1包朝食前のみ服用、花粉症、喘息に)

35黄芩湯、56五淋散、炙甘草湯、77芎帰膠艾湯、

82桂枝人参湯(一日1包、拍動性頭痛、胃もたれ、に)

120黄連湯

 

 

③食物アレルギーがあるように、天然物だから安全とも限らないからです。

 

食物アレルギーに似た病態として乳糖不耐症があります。

 

乳蛋白成分による牛乳アレルギーとは区別しますが、牛乳を飲むとお腹がごろごろするような方は、乳糖分解酵素であるラクターゼの活性が低い可能性があります。こうした方の初診時には、乳糖でコーティングしているツムラの漢方製剤は処方しません。実際に問題になることはほとんどありませんが、初回は用心に越したことはありません。

 

 

④ いつもと違う異常を感じたら服用を中止してください。

 

発熱、咳嗽、呼吸困難を来した場合には直ちに連絡し、内服を中止してください。