心室頻拍は、心臓の単独の病気というよりも、何らかの基礎疾患があって、特に心機能が低下している場合に起こり易いようです。

 

基礎疾患というのは、虚血性心疾患、拡張型心筋症、肥大型心筋症、不整脈原性右室心筋症、心サルコイドーシス、弁膜症、先天性心疾患などです。

 

サルコイドーシスでは、心筋の炎症性変化のために心室頻拍、心室細動、高度房室ブロックなどの不整脈が起こります。

 

 

脈拍を触れない心室頻拍は無脈性心室頻拍といいます。

 

有効な循環を維持できない不整脈であるため、心室細動と同様の治療が必要であり、意識がなく無脈性心室頻拍が持続する場合にはACLSを開始します。

 

電気的除細動ののちアドレナリン・バゾプレシン無効時に投与します。

 

 

ACLSとは「Advanced Cardiovascular Life Support」の略で、日本語では二次救命処置と翻訳されます。

 

ACLSは気管挿管、薬剤投与といった高度な心肺蘇生法を示します。

 

心停止時のみならず重症不整脈、急性冠症候群急性虚血性脳卒中の初期治療までを網羅したものへと進歩してきています。

 

 

これに対して一次救命処置をBLSといいます。BLSは、Basic Life Support(一次救命処置)の略称です。

 

急に倒れたり、窒息を起こしたりした人に対して、その場に居合わせた人が、救急隊や医師に引継ぐまでの間に行う応急手当のことです。

 

専門的な器具や、薬品などを使う必要がないので、正しい知識と適切な処置の仕方さえ知っていれば、誰でも行うことができます。

 

BLSは人工呼吸心臓マッサージによる心肺蘇生法からはじまりましたが近年は除細動までもその範疇に入るようになりました。

お待たせいたしました。<診察室から>は終了したのかとのご質問を多数いただきました。

 

年明け直後から何かにつけて忙殺され、ようやく復活できました。

 

タイトルを<診察室から2018年>に改めて、再出発します。

 

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

私の診察室の机の上には、真新しい南江堂の<今日の治療薬2018>が届いていました。

 

毎年の医学の進歩には、凄まじいものがあります。これから、しばらくの間、日常診療に役立てるべく最新の治療薬についての情報を整理して検討するという孤独な作業が続きそうです。この作業は、毎日の診療の後に行っています。

 

 

この間の私の変化としては、去年の年末(2017年12月27日)に心療内科の指導医になっていたことがわかりました。

 

年明けになって日本心療内科学会登録指導医認定証が手元に届きました。

 

これは、学位や専門医資格とは異なり、私が特別な努力や手続きをしていただいたものではないので実感が湧いてきません。

 

指導医というのは、一般には、専門医の指導教育に当たる、より上位の資格とされてはいます。

 

しかしながら、心療内科の指導医資格は心療内科の専門医であれば誰でも認定される代物です。

 

ただし、心療内科の専門医はこれまで全国で117名(2017年10月1日現在)と、他領域の専門医数に比べて極端に少なかったため、専門医全員が指導医になっても足りないのが現状でした。

 

ちなみに私の認定番号は第011です。

 

 

医学部の教授や基幹病院の部長等であれば、実際に研修医をはじめ、専門医を指導するのは日常の業務なので、その領域の専門医であり、指導医であるというのは普通のことです。

 

 

これに対して、医師一人の個人開業医が指導医に認定されたことの意味を改めて考えてみることにしました。

 

 

所属に関わらず指導医となるとその専門領域に関して国際学会誌に論文を投稿したり、国を代表して国際学会にも参加して英語等で発表したりするのは普通のことです。

 

そうなると国内の医学会だけではなく、世界の医学会に向けてその意義を明確にしておく必要があります。

 

とくに、日本心療内科学会はドイツ心身医学会と2011年に姉妹関係を締結しているので、英語表記のみならずドイツ語表記が必要となってきます。そこで少し調べてみると指導医の英語表記については、各学会でまちまちでした。

 

つまり、指導医という資格や身分、それを実質的に裏付ける役割は、学会ごとにニュアンスが異なるということもいえそうです。

 

 

学会事務局に問い合わせたところ、指導医の英語表記はまだ決定されていないことがわかりました。

 

そこで、私が各医学会の現状について情報を収集することを仰せつかり、その資料を提出したところです。

 

そして今後、理事会で具体的な検討をはじめる方向になりました。

 

また、この機に、先進的な取り組みをしている専門開業医として、私は今後も毎年の国際学会に参加し、日頃の業績を発表し、さらにあらたな経験を得て、国内の学会に報告することをもって、指導医の役割の一端を果たしていこうと考えるに至りました。

 

 

心療内科とは何か?と尋ねられたときに、

高円寺南診療所で日々行っている全人的医療が心療内科のモデルです。

と胸を張って応えられるように精進したいと思います。

 

 

皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

風疹はウイルス性の感染症です。病原体はトガウイルス科のRNAウイルスです。

 

このウイルスの飛沫により感染します。特徴は発疹、発熱、リンパ節の腫れです。

 

発疹と発熱は同時に出現して、2~3日で消えていきます。

 

耳の後ろのリンパ節が目立ちますが、全身のリンパ節が腫れることがあります。

 

高円寺南診療所の患者さんの平均年齢は比較的若く、妊娠している方の来院も増えてきました。

 

そこで、妊娠中に胎盤を経て感染することによって生じる先天性風疹症候群について説明します。

 

 

 

妊娠16週までに風疹に初感染すると、胎児に先天異常を合併するので注意が必要です。

胎児の症状は、

①目症状(白内障、緑内障、小眼球症)、②難聴、③先天性心疾患

④小頭症、⑤精神遅滞、⑥血小板減少症、溶血性貧血 

⑦ 低出生体重児、⑨ 骨幹端骨変化

 

なお、不顕性といって妊婦が風疹に罹っていても症状がでないために気づかないことがあります。

 

母体の感染時期による先天奇形の発生頻度は妊娠1ヶ月で50%、2ヶ月で30%、3ヵ月で20%、4ヵ月で5%といわれています。

 

しかも、先天性風疹の児は、生後数か月から2歳頃までウイルスを排出し続け、感染源になることも深刻な問題です。

 

 

ただし、妊娠初期に血清反応陰性の妊婦が風疹ワクチンを接種すると、胎児が感染することがあり禁忌です。

 

そこで、妊娠可能な年齢の女性で風疹のワクチン接種を逃してしまった方は、早めに接種しておくことが大切です。

脂質異常症について見てきました。

 

今回はどうすれば、改善するのかを調べてみました。

 

 

日本動脈硬化学会の動脈硬化性疾患診療ガイドラインによると、脂質異常症のための生活習慣の改善項目は、以下の6項目です。

 

「1. 減量:適正体重の維持(BMI18.5-24.9kg/m2の範囲)」

 

「2. 減塩:食塩摂取の制限(7g/日以下)」

 

「3. アルコール摂取の制限」

 

「4. コレステロールや飽和脂肪酸の摂取制限」

 

「5. 運動療法(運動・身体活動量の増加)」

 

「6. 禁煙」

 

 

 

「5. 運動療法(運動・身体活動量の増加)」を調べてみました。

 

 

運動療法は、脂質異常症患者だけでなく健常者においても、

「血中トリグリセライドレベルを低下」、

「HDLコレステロールレベルを増大」させ、

血中脂質値に好影響を及ぼします。

 

 

何故、有酸素運動が血中脂質レベルを改善させるのか?

少し長い文章ですが、引用してみました。

 

有酸素運動が血中脂質レベルを改善させる機序として、筋のリポプロテインリパーゼ活性が増大し、トリアシルグリセロール(血中カイロミクロン・VLDL・LDL)の分解を促進させることにより、HDLを増やすことが関与していると考えられています。

 

HDLは「善玉コレステロール」として知られていますが、末梢組織や細胞から余剰なコレステロールを回収し、肝臓に運搬する役割を有しています。つまりHDLコレステロールは脂質異常症の進展を抑制する働きがあります。

 

2005年までの国内外の運動に対するHDLコレステロールの効果を検討した研究結果から、HDLコレステロールを増加させることができる運動・身体活動の最低条件として、1週間に合計120分間の運動を行うか1週間に合計900kcalのエネルギーを消費する身体活動を行なわなければならないことも明らかとなりました。

 

(厚生労働省:e-ヘルスネット、より引用)

 

 

ざっくりとまとめると、

有酸素運動をするとHDLコレステロール(善玉コレステロール)が増える。

 

HDLコレステロールは余っているコレステロールを回収してくれる。

 

HDLコレステロールを増やすための運動量は

1週間に合計120分間の運動か、900kcalのエネルギーを消費する身体活動。

だそうです。

 

 

因みにウォーキングだと1時間で、おおよそ150キロカロリー消費されるそうです。900キロカロリーを消費するには6時間!

 

水中ウォーキングだと1時間で、おおよそ360キロカロリーです。

 

水氣道の本稽古ですと470キロカロリー。半稽古では300キロカロリーの消費です。

 

 

900キロカロリーを消費するって結構な活動ですね。

 

 

<運動の注意事項です>

 

運動を実施する上での注意点としては、準備・整理運動を十分に行うこと、メディカルチェックを受けて狭心症や心筋梗塞などの心血管合併症の有無を確認し、運動療法の可否を確認した後に、個人の基礎体力・年齢・体重・健康状態などを踏まえて運動量を設定する必要があります。

 

(厚生労働省:e-ヘルスネット、より引用)

 

 

 

 

もう少しツボの世界を見ていきましょう。

 

 

今回は「関元(かんげん)」です。

 

IMG_2409

 

場所は、お臍から指4本下にあります。

 

 

勃起障害」「遺精」「頻尿」「月経不順」「生理痛」「子宮内膜炎」「下痢」等に効果があります。

 

 

よく温めてあげてください。

 

<参考文献>

このツボが効く 先人に学ぶ75名穴       谷田伸治 

 

 

経穴マップ イラストで学ぶ十四経穴・奇穴・耳穴・頭鍼      監修  森 和

                                      著者  王 暁明・金原正幸・中澤寛元 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

今回の「水氣道と私」は、

 

60代 女性 匿名希望さんからです

 

 

プールに入ることに抵抗があり、水氣道というものに全く関心がなく、勧められれば勧められる程耳をふさぎたくなる気分でしたが、そういう状況にも嫌気がさして、とりあえず1回体験してから結論を出す事にしようと思いました。

というのも寒い時期は、もっとやる気がしないので、8月がリミットと考えたのです。

そして、第1回目のレッスン日、不安をかかえて参加しましたが、指導してくださる方がとても親切、そして皆一生懸命で、かつ楽しそう。50分のレッスン終了後身体が軽く、スキップしたくなる気分。一瞬にして、続けなければもったいないと、考えが変わりました。

水氣道をはじめて、1年4カ月になりますが、身体の状態が変わってきている事に、とても喜びを感じています。

 

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文書を整理してみます。

 

①プールに入る事に抵抗があり、

水氣道というものに全く関心が無く、

勧められれば勧められる程、耳をふさぎたくなる気分でしたが、

そういう状況にも嫌気がさして、

とりあえず1回体験してから結論を出す事にしようと思いました。

 

 

②というのも、寒い時期には、もっとやる気がしないので、

8月がリミットと考えたのです。

 

 

③そして、第1回目のレッスン日、不安をかかえて参加しましたが

指導してくださる方が、とても親切、そして、皆一生懸命で、かつ楽しそう。

 

 

④50分のレッスン終了後、身体が軽く、スキップしたくなる気分。

 

 

⑤一瞬にして、続けなければもったいないと、考えが変わりました。

 

 

⑥水気道をはじめて、1年4か月になりますが、身体の状態が変わってきている事に、とても喜びを感じています。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

<中川良子のコメント>

 

プールに入る事に抵抗

水氣道というものに全く無関心

勧められれば勧められる程、耳をふさぎたくなる気分

 

そして、第1回目のレッスン日、不安をかかえて参加

 

⇒ 「不安と抵抗があるのはあたりまえですよ、私もそうでした(中川良子)」といえるくらいに普通のことです。

 

ほとんどの皆さんも同様に食わず嫌いで、同様の経験をされています。

 

水氣道というもの自体が、ほとんどすべての皆様にとって未知の世界なのですから、お気持ちはお察しします。

 

それにしても、今日のような笑顔でお元気な匿名さんがあるのも、不安を抱えて参加した初回レッスンがきっかけだと思います。

 

 

水氣道を始めるに当たっては、誰しも勇気が必要とされます。

 

自分の行動パターンを変えるには大きな勇気が必要ですが、その前提となる決断力が備わっていたことが大きな意味を持っていると思います。

 

苦しみの多くは、迷いや葛藤があるからだと思います。意識(表層心理)では嫌っていても、潜在意識(深層心理)では関心が芽生えていたのかもしれません。

 

そこで、正しい決断ができるように促すのは責任感のある隣人の役割であるように思われます。

 

責任感ある隣人とは、相手からの信頼を獲得できるように根気強く説得し、その結果についても一定の責任を負うことができる人のことであると考えます。

 

 

50分のレッスン終了後、身体が軽く、スキップしたくなる(気分・体調変化)

一瞬にして、続けなければもったいないと(認知・思考変容)

 

⇒「でも今は体を通して変化を感じ、さらに新しい自分に会えることを祈っています(中川良子)」。

 

新しい自分に会えること、とは本来の然るべき自分を再発見することであるのかもしれません。

 

自分はこんな人間だ、だとか、自分はこうあるべきだ、だとか、自分にはそんなことはできるはずがない、など、多くの人々が思い込みに囚われてご自分自身を窮屈にしているように思います。

 

囚われから解放されて、本来の自由な発想や自由な行動を取り戻すことが水氣道の目的の一つでもあります。

 

 「一瞬にして」という表現は、決して誇張ではないと思います。

 

水氣道は、一瞬にして多くの人々の認識や行動を変えてきました

 

 

③ 指導してくださる方が、とても親切、そして、皆一生懸命で、かつ楽しそう。

 

⇒ 「いつも笑顔で参加されています、とても楽しそうです(中川良子)」。

 

指導している側も楽しく指導しています。楽しいから自然に「親切」が生まれます。

 

自分のしていることが有意義で「楽しい」ことであれば、知らず知らずのうちに「一生懸命」になれます。

 

たった一人が楽しく、一生懸命になれれば、皆が一生懸命で、楽しそうになります。

 

そして自分がよりたくさん楽しむためにも、より多くの人々と、分かち合いたくなるのが人間に自然に備わっている良心、あるいは善意というものであると思います。

 

水氣道は、こうして良心や善意の拡大再生産をしながら発展を遂げていきたいと願いながら稽古を続けていく隣人の群れなのです。

 

 

⑥ 水気道をはじめて、1年4か月になりますが、身体の状態が変わってきている事に、とても喜びを感じています。

 

⇒「本当によく頑張りましたね、1年4か月続いた自分をほめてあげてください(中川良子)。」

 

水氣道は、一年以上続けてみて、一年前の自分と比較してみると自分の変化や成長が良くわかり、水氣道を続ける意味や良さがわかるようになるからです。

 

一年は春・夏・秋・冬の四季の変化がありますが、特定の季節が苦手という人も、水氣道の稽古を続けることによって、季節ばかりでなく人の好き嫌いも少なくなっていくように見受けられます。

 

それは、水氣道を通して「自律(セルフコントロール)」が可能となり、そうして育まれる自信が、他者への信頼を可能とし、また外乱に惑わされない真の「自立」した自分を獲得することができるようになるからだと思います。

前回は脂質異常症の種類について調べました。

 

前回はこちら

 

今回はコレステロールの働きを見ていきます。

 

 

そもそも「コレステロール」って何?

 

コレステロールは人間の体内に存在している脂肪分の一つです。脂肪は有害な物質であるかのようにいわれることがしばしばありますが、本来は人間の身体にとって欠かすことのできない大切な物質です。

 

 

コレステロールは人間の全身を作っている細胞の膜を形作っているほか、性ホルモンや副腎皮質ホルモン、胆汁酸などを作る材料にもなっています。それだけでなくビタミン類などを代謝する役割もあり、人間の身体にとってはとても重要なのです。

 

 

コレステロールは血液中に流れ込むと、たんぱく質と結合して「リポたんぱく質」という物質になります。

 

リポたんぱく質にはいくつかの種類がありますが、特に重要なのはLDLコレステロール(低比重リポたんぱく質)HDLコレステロール(高比重リポたんぱく質)です。

 

LDLコレステロールはLDL(低比重リポたんぱく)に含まれるコレステロールのことで、LDLはコレステロールを肝臓から全身に運ぶ働きをしています。LDLは多すぎると血管の壁にコレステロールがたまって動脈硬化を促進するため、悪玉コレステロールとも呼ばれています。

 

HDLコレステロールはHDL(高比重リポたんぱく)に含まれるコレステ ロールで、HDLは全身からコレステロールを回収して 肝臓に戻す働きがあり、動脈硬化の予防に役立つことから善玉コレステロールとも呼ばれています。

 

 

総コレステロールはHDLやLDLなどに含まれるコレステロールの総量を測定したものです。

 

 

TG(中性脂肪)はコレステロールと同様、体内にある脂肪の一種です。食事によって摂取される脂肪のほとんどがこの中性脂肪で、体内ではエネルギー源となります。余分なものは予備用エネルギーとして脂肪組織や肝臓に貯蔵されます。

 

 

血液検査でコレステロールの数値が低い・高いで起きる問題です

 

<総コレステロール・LDLコレステロール・中性脂肪>

 

低値:肝硬変など

 

高値:脂質異常症、動脈硬化症など

 

 

 

<HDLコレステロール>

 

低値:脂質異常症、動脈硬化症など

 

高値:問題なし

 

 

総コレステロール・LDLコレステロール・中性脂肪は、低すぎても高すぎても問題があるようです。動脈硬化に関しては高いと問題です。

 

逆に、HDLコレステロールだけ数値が低いと動脈硬化の問題が出てくるようです。

 

 

溶血性貧血は赤血球寿命が短縮する代表的な病態です。

 

溶血性貧血の検査所見は、

 

 

①赤血球崩壊の亢進によるもの

 

(Hb濃度低下、血清間接Bil上昇、LD1,2上昇、AST上昇、尿中・便中ウロビリン体増加、血清ハプトグロビン低下)

 

なお、鉄、フェリチン、葉酸なども血清や血漿よりも赤血球内での濃度が高いため、溶血すると血清で高値となります。

 

 

②骨髄での代償性赤血球造血亢進によるもの

 

(網赤血球増加、骨髄赤芽球増加)

 

血清ハプトグロビン測定は感度が高く、溶血初期から極低値になるので早期診断に用いられます。ただし、重症度は反映しません。

 

溶血性貧血患者の血糖コントロール指標としてはグリコアルブミンが有用です。

 

間接ビリルビンは非水溶性なので尿中に排泄されないので尿ビリルビンは陰性です。

 

ヘモグロビンの尿中排泄、ヘモグロビンが変性したヘモジデリンが尿中排泄することにより、尿沈査をプルシアンブルーで染色すると陽性となります。

 

また直接ビリルビンを経ると、これは水溶性で尿中に排泄されるため、尿中ウロビリノーゲンの陽性化がみられます。

 

 

 

溶血性貧血の鑑別

 

①まず、直接クームス試験を行い免疫性か非免疫性かを鑑別診断する。

 

 

②クームス試験陽性であれば免疫性であり、

 

自己免疫性溶血性貧血(AIHA50%、

 

このうちの90%は温式AIHA

 

血管外溶血のため、脾腫

 

治療:

副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤(シクロスポリン、アザチオプリンなど)、ɤグロブリン大量投与、タンパク同化ステロイド、脾摘

 

冷式AIHA:寒冷凝集素症8%…寒冷凝集素価

 

発作性寒冷ヘモグロビン尿症2%…Donath-Landsteiner試験

 

 

③クームス試験陰性であれば非免疫性であり、

 

発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH25%

 

 …フローサイトメトリー(補体制御蛋白CD55,CD59欠損赤血球)

 

⇒補体感受性亢進、血管内溶血汎血球減少血栓症

 

血管内溶血のため、ウロビリノーゲン尿、ヘモグロビン尿、ヘモジデリン尿

Ham試験(アシドーシスによる易溶血をみる検査)、砂糖水試験

造血幹細胞のPIG-アンカー遺伝子の後天性変異(PNHタイプ赤血球

 

GPIアンカー蛋白の一つである好中球アルカリフォスファターゼ活性低下を生じるクローン性疾患

 

溶血により遊離ヘモグロビンが一酸化炭素を強力に吸着すると、COの持つ平滑筋収縮作用を急激に阻害することにより、消化管が収縮し、腹痛・嚥下困難が出現

 

治療:

エクリズマブ(ヒト化抗補体C5モノクローナル抗体)

 

終末補体活性化経路阻害による溶血防止

 

先天性溶血性貧血(遺伝性球状赤血球症など)17%

 

…赤血球浸透圧脆弱性試験、自己溶血試験

もう少しツボの世界を見ていきましょう。

 

 

今回は「天枢(てんすう)」です。

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場所は臍から左右に指2本分のところです。

 

 

「胃腸炎」「下痢」「便秘」「消化不良」「生理痛」「生理不順」等に効果があります。

 

 

私はこのツボをよく使います。

 

 

<参考文献>

このツボが効く 先人に学ぶ75名穴       谷田伸治 

 

 

経穴マップ イラストで学ぶ十四経穴・奇穴・耳穴・頭鍼      監修  森 和

                                      著者  王 暁明・金原正幸・中澤寛元 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭