2020年2月27日(木)
時間帯:9:30~10:30
レッスン場所:東高円寺<音海>会場
進行:聖楽院主宰 飯嶋正広
ピアノ伴奏:吉田奈津子
参加者:全6名(レッスン生4名)
レッスン内容
1) 受講準備:聖楽院体操
レッスン生4名が輪番で体操のステップごとのリーダーを務めた。
中でも丹田からの始動し、肺の鍛錬を目的にしたパートについては、
特に詳細に指導を受けた。
2) 発声練習:聖楽院方式ハミング&実声スケール(移動共鳴焦点法)
子音Mの重要性について、マ音による発声練習から始まり、
後はハミングによる発声練習を中心に行った。
3)歌唱練習:体操20分後指導者からレッスン希望曲の提示を求められ、
同じ曲を選択した2名ずつのレッスン生が以下の2曲を選択した。
いずれも日本歌曲を希望した。
2人組の合唱に対して、歌唱者自身、パートナー同士および2人の聴衆役のレッスン生の感想、ピアニストと指導者の感想とコメントを受ける、という全員参加方式で行われた。
❶ 「鐘が鳴ります」北原白秋作詞/山田耕筰作曲
ハミング、母音唱法と歌詞で歌う
最初にレッスン生がペアで試唱、ついで各人が全曲をハミングで演奏。
主としてブレスの重要ポイントの注意とフレーズの作り方について指導。
❷ 「くちなし」高野喜久雄作詞/高田三郎作曲
歌詞を読み歌詞に対する理解を深め、母音唱法と歌詞で歌う
最初にレッスン生がペアで試唱した後に、「くちなし」に於ける歌詞の重要性を解説、次いで、レッスン生が歌詞の朗読を繰り返し行う。その後、歌詞のもつ意味を十分にくみ取って歌う様に指導。また、歌詞の意味を伝えるために十分なブレスの重要性についても具体的に指導の後、ハミングによる発声で合唱と個人唱を反復練習した。
レッスン生の報告
●「ハミングの方が発声するよりも共鳴している」という他の方の意見を聞き、それまで自分自身では気付けていなかったが、そこで初めて気付けた。(H.U記)
● ハミングで歌うと音程は取りやすいが、慣れていないからかリズムが上手く取れないこともあった。(H.U記)
● ブレスをすることで後ろの歌詞を強調できる、
ブレスをたくさん吸うことで高音が維持しやすい、
ブレスの次が高音の場合ブレスの前に高音にしておくことで、
ブレスの次の高音が出しやすい等、
ブレス1つを取っても様々な意味や技術があると理解を深められた。
(H.U記)
● 歌詞の区切り、「直接話法」と「間接話法」を意識することで、
歌詞に対する理解を深められた。
(H.U記)
● 私は「鐘がなります」を選択しました。
初期は、滑らかな声が出せなかったが、練習を重ねていくうちに高音にも伸びを感じ無理なく音を拾えた。
(ハミング、母音での稽古を重ねて行った)まだ曲の情景の理解が不十分でで、音程の不安定もあったが自分なりの成果を得たことが何よりも幸せであった。
(A. H記)
● 私は「くちなし」を選択しました。
私個人の思い込みによる歌唱が、リズムやメロディーを不安定なものにさせていたが、指導者の指摘と一緒に合唱してくれるパートナーのUさんの冷静な歌唱を隣で聞くことが出来て、大変参考になった。
(K.M記)
● 聖楽院での稽古が歌唱力の向上は勿論であるが、同時に歌う仲間としての連帯感をもつことが出たのを実感できた。
(K.M記)
● 聖楽院体操のポイントの一つは、後屈の際に肺の後背部を充分に活動させることにより、肺活量を増やせることを体験的に学ぶことができた。
(K.M記)
● 発声練習で子音Mを使ったレッスンを受けたが、これは発生時の音が顔面の各部位に振動として伝わる感覚を実感するのに役立った。
(K.M記)
● 「鐘が鳴ります」を母音唱法でおこなうことにより、音程がとりやすく、
高音も声を出しやすくなった。
(H.K記)
● 担当外の「くちなし」の稽古中、邪魔にならない程度にハミングで稽古していた。
この工夫が功を奏し、力まず楽に高音が出るようになった。
また声に響きをもたらすことができた。
ハミングの大切さを再確認できた。
(H.K記)
● 最後に「鐘が鳴ります」を正規の歌詞で歌った。が、上記で勉強したことに加え、この曲は『響きを大切に』『力みすぎない』との指導を受けました。指導のポイントを踏まえて気を付けて歌ったところ、音程もまずまずとれるようになったうえに、リズムの整った歌い方ができたと思います。
(H.K記)
● 自分のペア合唱や独唱のときだけでなく、他のレッスン生の稽古中も一緒に勉強しながら聞かせていただくことによって、心に余裕ができました。そのためもあってか、一緒に歌っている人の声もよく聞こえ、合わせることができました。
(H.K記)
主宰者からのコメント:
B組のレッスン生4名の仲間意識が育まれてきていることをうれしく感じました。
希望レッスン曲は各自で決定していただいて良いのですが、同じ曲目を選択したレッスン生が、ちょうど2人ずつになりました。
この偶然の結果をそのまま生かすことによって、想定以上に興味深い稽古の展開となり、全員の声や意識の向上がみられ、大きな収穫が得られました。
充実した独唱ができるようになるためには、いくつかのよく吟味されたステップを踏まえていくことと、様々な音楽要素間の相互作用の効能を理解して楽しく味わうことが助けになります。
それは、歌唱するということが、心と体、意識と無意識、主観と客観、歌詞と曲、声とピアノ、自分とパートナー、聴き手と歌い手といった要素間のバランスやハーモニーの感性の上に成立するものだからです。
聖楽院メソッドでは、伴奏や仲間の声を聴くことと、自ら演奏すること、合唱すること、互いに学び合い、感じ合い、感想をいただいたり、またさしあげたりといったレッスンのプロセスを大切にしていることに繋がります。
聖楽院メソッドとは何かということを主宰者が抽象的に説明するより、個々のレッスン生が体験して獲得できた「生のままの気づき」を記録していただくことがより大切だと思います。
この報告は、B組全員にとってばかりでなく、他の組に所属するレッスン生のためにも貴重な財産になるものと思われます。