月別: 2020年2月
‐上大静脈症候群‐
肺および縦隔病変による上大静脈の直接圧迫や、上大静脈内の血栓などが原因となります。
症状は、頭頚部、上肢および上部胸郭を環流する血流の障害により発生します。原因疾患としては、小細胞癌などの肺癌が最多ですが、悪性リンパ腫による頻度も高いです。
部位診断は造影CTにより可能ですが、治療方針を決定するためには何らかの組織診断を行う必要があります。
原疾患に対する治療としては、以下のように選択します。
化学療法に対する感受性が高い場合:抗がん化学療法単独
化学療法に対する感受性が低い場合:放射線療法
対症療法としては、閉塞した上大静脈内にステントを留置して静脈環流を確保する方法をとります。
そうすることによって即効性の症状緩和が期待できます。原疾患が治療抵抗性の場合は、特に有効かつ有意義な症状緩和療法となります。
令和2年2月26日(水)
10:00~11:00
藤村温水プール
参加総数:9名
監督指導者:水氣道正七段飯嶋正広
指導員:水氣道正五段 村上健介
受付:主当番修錬生(水氣道1級) 加藤博文
副当番訓練生(水氣道5級) 野口将成
報告者:野口将成
稽古内容
1) 浅い主レーンにて指導員の主導の下、参加者9名が揃うまで村上流で合同稽古をした。
2) 浅い主レーン(指導員)から分かれて、深い副レーン(監督指導者)を編成した。
A組:浅い主レーンは、引き続き村上流で行った。
B組:深い副レーンでは、監督指導員より階級ごとに、イキイキ体操新項目を伝授した。
第1陣:監督指導者の下、修錬生3名、2級中等訓練生がインストラクション
第2陣:監督指導者の下、2級中等訓練生が訓練生2名のインストラクターを務めた
3) 浅い主レーンにて指導員主導の下、全員合同で水中ダッシュ訓練<6秒四肢振り法>を実施した。
所感:
参加者が一桁となり、少人数の稽古でした。しかし、その分、全体の合同稽古が質の高い稽古ができました。支援員が参加できなかったことは残念でしたが、その分、村上指導員をはじめ修錬生3名が積極的に充実した稽古を支えてくれました。
解説:村上流稽古法についてご紹介します。
村上流の稽古の流れは、以下のように整理することができます。
① ウォームアップ:特に下半身を動かして水環境に馴らす(村上流親水航法)
② 下肢→上肢のストレッチ:股関節、肩関節を中心に(村上流準備体操)
③ 四肢(下肢、上肢)の負荷運動:負荷漸増法(運動負荷を徐々に強くしていく)
④ 6秒四肢振り(腕振り⇒足振り⇒腕足振り)(村上流無酸素パワー運動)
村上流水氣道に参加して、間に休みを挟みながら(インターバル・トレーニング)、徐々に負荷の高い運動へのメニューの組み立て(負荷漸増法)が参考になりました。
それに加えて運動中に体の何処を使っているか(ボディ・スキャニング)の説明が解りやすかったです。運動の意義・目的を理解して稽古することによって、運動効果を一層高めることができることも改めて学ぶことができました。
また<6秒四肢振り法>の意義について、指導員と監督指導者からブリーフィングがありました。<6秒四肢振り法>は無酸素運動トレーニングです。無酸素運動とは、短時間に強い力を発揮する運動です。
無酸素運動とは言っても運動中に呼吸をしていないということではありません。筋を収縮させるためのエネルギーを、酸素を使わずに作り出すことからこのように呼ばれています。
筋を収縮させるための直接的なエネルギー源はアデノシン三リン酸(ATP)です。安静時から筋にはATPが蓄えられており急な運動時にすぐに使えるようになっていますが、蓄えられている量には限りがあるため6秒程度ですぐに枯渇してしまいます。
だから、村上指導員は、間に休憩を挟むインターバル運動を指導するのです。
指導監督者の解説の要点は、無酸素運動は短時間しか継続することができませんが、大きな力の発揮や速い運動を行うことができるということです。
そのため筋線維の中でも特に速筋(タイプⅡ線維、白筋)が使われます。
速筋は速い速度で強い力を出すことができます。しかし、主として遅筋を使う有酸素運動とは違って、酸素を利用したエネルギー生産能力やATP利用効率は低いことが特徴です。
<6秒四肢振り法>は、加齢にともない萎縮しやすい速筋を鍛えることを目的とします。速筋は無酸素運動の際に働くため、無酸素運動を行うことで年齢に関係なく速筋の筋量・筋力を高めることができます
。速筋の筋量・筋力と、障害の有無や転倒リスクには関連があることが明らかになっているため、健康や体力の維持のために無酸素運動は欠かせない運動といえます。
なお、深いプールでは、有酸素運動を行なっていました。修錬生の間での互助修錬の直後に、稽古を受けた直後の修錬生が訓練生と協働訓練を試みる方法は水氣道独自の稽古法です。
今後は、直列協働訓練に展開し、支援員-修錬生-訓練生のトリオ稽古、さらには修錬生-訓練生-体験生のトリオ訓練が実施できるように心がけていきたいものです。
補足説明:
運動を続けるためには、筋肉中のグリコーゲンや血液や肝臓に蓄えられたブドウ糖をエネルギー源として新たにATPを作り出す必要があります。
その際には取り込まれる酸素の量が不足している状態でもATPを作り出すことができますが、ATPを作り出す過程で同時に乳酸が生じます。
このように作り出されたATPを利用して運動をすることを無酸素運動といいます。
そして、高強度の無酸素運動を持続できる時間は1~3分が限度です。
さらに運動を続ける場合には十分な酸素が必要となります。水氣道は有酸素運動と無酸素運動の両方の運動を組み合わせて行う統合的エクササイズなので、無酸素運動の持続時間を6秒として、インターバル訓練が可能なようにデザインされてい
聖楽院3月の日程
3月1日(日)
11時~12時
ボンジュール
3月29日(日)
10時~13時
セシオン杉並第1音楽室
全体稽古
‐高カルシウム血症は癌のマーカーにもなる⁉‐
高カルシウム血症とは,血清総カルシウム濃度が10.4mg/dL(2.60mmol/L)を上回るか,または血清イオン化カルシウム濃度が5.2mg/dL(1.30mmol/L)を上回った状態です。
主な原因には副甲状腺機能亢進症,ビタミンD中毒,癌などがあります。
とくに高カルシウム血症は、担がん患者に発生する電解質異常で最も頻度の高く、そのなかでも多発性骨髄腫(MM)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、乳癌、肺癌などに合併しやすいので、高カルシウム血症を発見した場合は、副甲状腺機能検査、ビタミンD代謝評価とともに癌の検索をはじめる必要があると考えています。
診断は,イオン化カルシウムおよび副甲状腺ホルモンの血清中濃度測定によりますが、臨床的特徴には、倦怠感、悪心・嘔吐、多尿,便秘,筋力低下,意識障害(錯乱,昏睡など)があります。
対策は、脱水の補正(生理食塩水)、ビスホスホネート製剤、カルシトニンの投与、原疾患に対する治療です。
高カルシウム血症を合併すると脱水が起きるので、生理的食塩水の投与(2,000~4,000mL/日)を治療の基本とします。ただし、心疾患などの合併がある場合は、この基本治療によるうっ血性心不全の惹起に注意します。
ビスホスホネート製剤は破骨細胞による骨吸収を阻害することで効果を発現させるのには24時間以上を要するので、即効性を期待する場合はカルシトニンを併用することがあります。
なお、高カルシウム血症の治療では、原疾患に対する抗ガン薬その他の適切な治療が必要です。
リンパ系腫瘍では、副腎皮質ステロイドも有効です。
成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)に合併する高カルシウム血症では、高ガン薬治療が有効です。
ただし、治療抵抗性の高カルシウム血症に対する短期的に最も有効な治療は、血液透析です。
令和2年2月25日(火)1:00pm~3:50pm
稽古施設:
上井草スポーツセンター(1コース使用)
参加者総数:7名
指揮監督者:
水氣道 正七段 飯嶋正広
支援員トレーナー:
水氣道 正弐段上 中川良子
訓練生インストラクター:
水氣道 2級 細谷健太
受付:
主当番修錬生 細谷健太、
副当番訓練生 なし
記録:
細谷健太
稽古内容
① 親水航法:
先着の者から各自稽古を実施
② イキイキ体操:
一列縦隊スイッチバック方式
支援員と訓練生インストラクターが先頭と末尾を担当する指導対番を構成し、全体を指揮
③ 五航法:省略
④ 各種航法:
名宣り稽古方式
6航法(理氣航法、調血航法、活水航法、舞踊航法、水拳航法、太極航法)
訓練生2名が、各自3航法ずつ分担し、脇伝2枚目までを実施
名宣り稽古を実習
⑤ のびのび体操:
訓練生インストラクターが自らの他に、訓練生2名をリーダーに指名して実施
所感:
① 先任訓練生インストラクター欠席の連絡を受けて、支援員の参加協力が得られたことは幸いだった。
② 指揮監督者到着時に、すでに稽古体制が整っていたことが評価された。
③ イキイキ体操の変更の内容と意義について、十分な時間をかけて、丁寧に確かめながら稽古することができた。今後も稽古を重ね、更に深い理解が得られるように技を体得していきたい。
④ 理氣・調血・活水の3航法は、必修航法として、特別体験生は初伝、訓練生は脇伝2枚目、修錬生は中伝3枚目までを習得できると良い。
⑤ 訓練生以上のメンバーは、上記の必修航法以外の航法も、2枚目まではインストラクトできると良い。
令和2年2月22日(土)5:50pm~7:50pm
稽古施設:新宿コズミックセンター(第8レーン)
参加者総数7名
指揮監督者:水氣道正七段 飯嶋正広
支援員トレーナー:水氣道正弐段上 中川良子
受付:主当番(修錬生)不在、副当番(訓練生)水氣道5級 野口将成
記録:水氣道准3級 田辺幸子
【稽古内容】
1) 親水航法
先着の者から各自自主的に稽古を実施。
最後に先着班、後続班の2班にまとめられた。
2) 準備体操(イキイキ体操):一列縦隊スイッチバック方式
2班が独立に構成された。一列スイッチバック方式で、先頭と後尾に訓練生、間に指揮監督者・支援員・修錬生が入る編成がとられた。先頭と後尾を順次交替することによって、イキイキ体操のインストラクションの稽古を実施。
3) 基本五航法(起・承・転・結・縁)
2班に別れ、一つずつの動きとカウントの確認を行いながら進んだ
4) 各種航法:名宣り稽古方式(理氣・活水・調血・経絡・舞踊・太極)
4級(訓練生)1名が全ての「脇伝1枚目」の名宣り稽古を実施。
5)整理体操(のびのび体操)円陣指名方式
全員で円になり、支援員が3名のリーダーを指名して実施。
所感:
〇 参加人数が少なかったので、行き届いたきめの細かい指導を受けられた
〇 準備体操の内容に一部改良があり、以下の課題が残された
① 体操全体の流れの中で、どこの動きが変わり、どこに新しい体操が加わったか。
② 新しい体操は身体のどこに効果があるか。
以上がまだ十分体得されていないので、繰り返し練習する必要があると感じた。
腫瘍崩壊症候群‐高尿酸血症・痛風の患者さんも要注意!
私は、痛風・高尿酸血症の患者さんを30年以上診療しています。
痛風は関節リウマチとは全く異なるメカニズムですが、関節痛を伴う疾患であることから、「膠原病・リウマチ・痛風センター」などの病院の看板を見かけるように、多くのリウマチ専門医は、1000万人超の高尿酸血症、110万人超の痛風を高々70万人の関節リウマチ以上に診療しているくらいです。
痛風の治療薬には、尿酸排泄促進薬、尿酸生成抑制薬が主ですが、その他に尿酸分解酵素薬があります。これは点滴静脈注剤で、抗悪性腫瘍薬治療に伴う急激な尿酸上昇(特に腫瘍崩壊症候群)に対し保険適応があります。
尿酸生成抑制薬のうちアロプリノールは認められていませんが、フェブキソスタットには癌化学療法による高尿酸血症の治療に用いることができます。
診療にあたって、最近あらたに注意していることが、上記のことと関係があります。
それは痛風発作そのものよりも、治療抵抗性の高尿酸血症との遭遇です。がん化学療法後の方が来院され高尿酸血症のケースが紛れ込むことがあるからです。
国民の2人に1人ががんになる時代では、決して珍しい話ではないのです。
腫瘍崩壊症候群(TLS)とは、腫瘍細胞が急速に崩壊することによって伴う一連の障害です。腫瘍量が多く治療反応性が高い造血器悪性腫瘍の初期治療に合併することが多いので血液内科でも警戒すべき病態です。
崩壊した細胞の分解産物により、高尿酸血症、高カリウム血症、高リン血症などが生じると、ときとして急性腎不全を惹起します。
腫瘍崩壊症候群(TLS)の高リスク群にはバーキットリンパ腫/白血病、白血球数10万/μL以上の急性リンパ性白血病(ALL)および急性骨髄性白血病(AML)が挙げられます。
また多発性骨髄腫(MM)でも新規薬剤の治療導入により発症することがあるので注意を向けられています。
腫瘍崩壊症候群(TLS)の治療で最も重要なことは、疾患によるリスクや、治療開始前検査での腎障害や尿酸値上昇などにより、高リスク群を同定して、予防策を講じることです。
腫瘍崩壊症候群(TLS)の発症予防のためには、治療による腫瘍量の軽減を緩徐に行うことを心がける必要があります。そのため、急性リンパ性白血病(ALL)ではステロイド先行投与、バーキットリンパ腫/白血病では、それに加えて低用量シクロフォスファミドを先行投与することを考慮します。
腫瘍崩壊症候群(TLS)が発症してしまった場合は、高リン血症、低カルシウム血症、および高カリウム血症への対応が必要です。なお、重症例では血液透析を含めた積極的な支持療法が必要です。
―急性白血病初発‐血液検査で白血球数が5万/μL以上の場合
先月も水泳の池江選手の話題にも触発されて、白血病について解説しましたが、急性白血病の診断が公表されてから気になっているのは、染色体検査の結果や腫瘍細胞数、増殖速度などの情報です。
デリケートな個人情報なので、今後も公表されることはないかもしれませんが、急性白血病における単独で最も重要な予後因子が、実は染色体異常なのです。
また、染色体異常のなかでも、たとえばフィラデルフィア(Ph)染色体陽性白血病ならチロシンキナーゼ阻害薬、5q-症候群ならレナリドマイドという特効薬が有効です。
しかしながら、一般的に言って、腫瘍細胞が多く、その増殖スピードの速い若年急性白血病患者に対しては、可及的速やかに寛解導入療法を開始することが重要なのです。
急性骨髄性白血病(AML)および急性リンパ性白血病(ALL)は診断後可及的速やかに寛解導入療法を開始する必要があるとされてきました。
特に、初診時白血球数5万/μL以上で白血病細胞が多い場合、早急な治療を要するとされます。しかしながら治療開始に先立って有用な情報であるはずの染色体検査は、専門の検査機関に外注した場合、結果判明までに2~3週間を要します。
初診時白血球数5万/μL以下の急性骨髄性白血病(AML)患者において、60歳未満では診断から寛解導入療法開始まで6日以上かかると全生存率が悪化します。
プールの消毒:次亜塩素酸ナトリウムの効能について
COVID-19(新型コロナウイルス)について、物の表面の消毒には次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)、手など皮膚の消毒を行う場合には消毒用エタノールが有効であることが分かってきています。
次亜塩素酸の性質によると、有機物に触れるとただの水とごくごくわずかの塩とクロラミン(窒素化合物:塩素系の臭い:プールの臭い)に分解され安全性は確立しています。
この分解・酸化の過程で有機物(ウイルス核酸や菌蛋白)を死滅させます。
そもそも「次亜塩素酸」は細菌を退治するためにヒトの体内でも作られています。
白血球は体の中に侵入してくる有害な細菌を攻撃する際に「酸素」を使い「スーパーオキシド」と言われる「活性酸素」をつくり、そこからさらに生成される「次亜塩素酸」を使って細菌やウイルスを攻撃します。
こうした仕組みを理解すると次亜塩素酸は自然に近く、ヒトにも優しい反面、細菌やウイルスに対しては高い殺菌力を持っていることが理解できると思います。
その効果としてはインフルエンザやノロウイルスはもちろんですが、SARS、MARS、新型コロナウイルスをも不活性化、死滅させます。
賢明なる水氣道会員の皆様は、率先して毎年10月にはインフルエンザワクチンを接種し、年齢によっては肺炎ワクチンを接種しておられます。
ウイルスの感染リスクはどなたにとってもゼロではありません。そして新型ウイルスに対する特効薬はなく、流行期間中にはワクチンの開発は間に合いません。
結局のところ、いざという時に、生きて元気に回復できるか、急速に死の転帰となるかの決め手は、普段から十分な免疫抵抗力を育んでいるか否かの課題に他なりません。
水氣道は、一般の競技スポーツで養われる行動体力のみならず、防衛体力ともいうべき、こうした免疫抵抗力をも高めることを目的とした営みです。
そして、この目的を達成するためには、屋内の温水プールという環境も重要な要素になっているということをご理解いただければ幸です。
水氣道は、あなたを救い、日本を救い、アジアを救い、そして世界を救います。
ですから、水氣道を実践しているあなたは救世主の一員であるということを深く心にとめて楽しく有意義に稽古を続け、多くの人々を水氣道に導いてください。
2020(令和2)年02月22日
日本水氣道協会 創始者 飯嶋正広
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