ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。
骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。
多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。
骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。
それぞれのQ&Aのあとに【高円寺南診療所からのコメント】を加えました。
Q
「電気で血液がさらさらになる椅子」が骨粗鬆症の原因に? 健康診断で「骨粗鬆症」と診断されました。
昨年から利用している“血液がさらさらになる電気を流す”という椅子が原因でしょうか。
A
身体に害がない程度の電流であれば、骨には何の影響もありません。
50代の男性で骨粗鬆症がある場合、原因は男性ホルモンの不足が考えられますが、通常はもっと若い頃から骨粗鬆症の兆候があるはずです。
そのほかに、ステロイド剤を長期間のんでいたり、胃や腸の手術をして、栄養の吸収率が悪くなっているなどの原因がない場合、本当に骨粗鬆症かどうか確かめる必要があります。
デキサ(DXA、二重エネルギーエックス線吸収法)で腰椎の骨密度を測ってもらってください。
【高円寺南診療所からのコメント】
「電気で血液がさらさらになる椅子」が骨粗鬆症の原因になる可能性はあります。ただし、それは直接的な原因ではなく、あくまでも間接的な原因という意味です。
原因はすべて直接的なものであることを前提に、医師は話をすることがありますが、患者さんは必ずしもそうではなく、間接的な影響や誘因、増悪因子などを含めて漠然と<原因>という言葉を使用していることがあるという認識を臨床医は持っている必要があると思います。
質問者は、「骨粗鬆症」と診断された方とのことです。
その他に、“血液がさらさらになる電気を流す”という椅子を昨年から利用されているようです。質問者の疑問に応える前に、臨床医として大切なことは、質問者の質問の意図と背景を考えてみるという手続きを省略しないことだと思います。
まず、この方はなぜ、“血液がさらさらになる電気を流す”という椅子を利用するようになったのでしょうか。
このような質疑応答では明らかではありませんが、日常診療であれば、必ず問い返して、経緯をうかがうように心がけたいものです。
経験的に推測されることは、この様な相談をされる方は“血液がさらさらでない”と思われる何らかの背景があるのでは、ということです。
多くの場合は、自覚症状の有無にかかわらず、健康診断等で、血清脂質(LDLコレステロール、中性脂肪など)の数値が高かったり、糖尿病あるいはその予備軍であることを指摘されたりされているようです。
また血圧が徐々に高くなってきたり、動脈硬化を指摘されたりしている可能性も推測できます。さらに、歩行速度や歩行継続時間が短くなったり、動悸や息切れなどの初期の心不全症状がみられたり、めまいや一過性の意識消失発作を自覚されているような方もしばしば見受けられます。
そして、もしこのような背景を持つ方が、“血液がさらさら”にしたいということで、そのような電気を流す椅子を購入して日常的に愛用し始めることによってどのような行動の変化がもたらされるかを想像してみてください。
このような健康器具に魅力を感じる方の特徴は、「運動嫌い」です。毎日の運動量の目安として、歩行量の計測と記録が有用ですが、健康のためということで毎日、熱心に電気椅子に腰かけ暮らしている方の運動量はおかがでしょうか。電気椅子を購入する以前の運動量より増えていることを期待できるでしょうか。
質問者は、<昨年から利用している“血液がさらさらになる電気を流す”という椅子が原因でしょうか。>とお尋ねになっているのですから、その質問の意図をもう少し吟味して回答することが親切というものではないでしょうか。
つまり、質問者は、必ずしも電気椅子が骨粗鬆症の直接の原因と考えているわけではなく、電気椅子を利用するようになってから、余り運動をしなくなっていることを自覚されている可能性もあります。
公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページの質疑応答での質問者は、骨粗鬆症との関連を切り口として健康管理全般についてのアドバイスを求めている可能性があります。
回答者は医師の立場から、こうした点についても配慮して回答する必要があるのではないかと思います。そうでなければ、質問者のニーズに答えたことにはならないからです。
こうしたチグハグなコミュニケーションは、なにもQ&A欄のみではありません。残念ながら、過度に専門分化してしまった現代の外来診療にも広くはびこっているのが現実です。
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