診察室から 8月29日<診察室だけでは治せない病気(その3)>

テーマ:医療のためのヒント

 

診察室だけでは治せない病気(その3)

 

< 各種の医学体操と水氣道® >

 

 

現代人の生活習慣病の原因の一つが「うつむき姿勢」です。

 

これは若い方にも激増していて、ご本人たちは全く気付いていないことが少なくありません。

 

実は高円寺南診療所の鍼灸師の坂本光昭氏も例外ではありません。

 

もっとも彼の場合は生活習慣病というよりは、職業病とみるべきでしょう。

 

鍼灸治療が「うつむき姿勢」によってもたらされる心身のアンバランスの調整に有効であることは、豊富な症例を通じて実証済みです。

 

しかし、受け身の治療ではなく、積極的なセルフ・ケアと併用することが望ましいと考えます。

 

 

水氣道®や、聖楽院で発声練習や歌唱トレーニングに参加を継続されている皆様は、

 

次第に首の筋肉の異常に気付くようになるようです。

 

この気づきが自然治癒力を促進することに役立ちます。

 

 

「うつむき姿勢」による首の筋肉の異常は、頸椎の中心にある副交感神経(主に、10番目の脳神経である迷走神経)の異常を招きます。

 

副交感神経は、内臓や血管、呼吸器などをコントロールする、もっとも重要な神経のひとつです。

 

そのため、「首こり」が心身の不調をもたらしてしまうのです。これを「首こり病」と名づけた医師がいます。

 

東京脳神経センターの松井孝嘉博士です。

 

学術的な場では、頸性神経筋症候群と表現されているようです。

 

松井博士は、「首こり病」がもたらす17疾患を紹介しています。

 

これらはすべて心身症(心療内科専門医が担当する領域)です。

 

実際に、高円寺南診療所で毎日診療している疾患群のオンパレードです。

 

 

首こりが原因で起こる17の疾患(松井孝嘉による)

 

緊張型頭痛、めまい、自律神経失調症、うつ、パニック障害、ムチウチ、更年期障害、慢性疲労症候群、ドライアイ、多汗症、不眠症、機能性胃腸症、過敏性腸症候群、機能性食道嚥下障害、血圧不安定症、VDT症候群、ドライマウス

 

 

不定愁訴の根本的な治療は、まず「首こり」から

 

不定愁訴は、耳鼻科、眼科、消化器内科などさまざまな診療科目の症状が出るのが特徴。

 

各専門医の元を訪れても、病院の検査では、異常は見つかりません。

 

結局は痛み止めなど、“その場しのぎ”の治療をされているのが現状です。

 

全身の不調は薬では解決しません。

 

薬をやめればすぐに再発するどころか、症状は一向に改善されず、むしろ徐々に悪化していきます。

 

 

なぜならば、副交感神経の異常をもたらす「首こり」の治療が行われていないからです。

 

首こりが原因と診断されないまま的外れな治療を続けると、症状はさらに悪化し、最終的にはうつ状態になってしまいます。

 

これは、首こりが原因で起こるうつで、「精神うつ」(精神科領域)と区別するために、「頚筋性うつ」(心身症:心療内科領域)と呼ぶ専門家がいます。

 

しかし、今や「頚筋性うつ」は、うつ状態全体の90%を超えています。

 

ですから、精神科に行って抗うつ剤を処方してもらっても根本的な治療にはなりません。

 

心身ともにダメになる前に、まずは首こり病の可能性を疑って、高円寺南診療所のスタッフに相談してください。