日々の臨床 ①:12月31日日曜日< 統合医療モデル診療所を目指して >

統合医学(東西医学、代替・補完医療)

 

< 統合医療モデル診療所を目指して >

 

 

高円寺南診療所は2018年以降も、引き続き統合医療のモデル診療所を目指していきたいと考えています。

 

そこで、そもそも、高円寺南診療所は全国の平均的な診療所と比較して、明らかな特徴を見出せるかどうかを検討してみることにしました。

 

 

厚生労働省が12月14日に公表した「2016年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」をもとに高円寺南診療所の特徴を全国標準データと比較してみました。

 

この調査では、医療法上で広告可能な専門医を取得している医師は、70.6%に達し、前回調査(2014年)の56.9%から約10ポイント上昇したことが明らかになりました。

 

特に総合内科専門医が6858人増と大幅に増加しました。

 

 

黒い太文字と、青い文字でのコメントは飯嶋によるものです

 

 

診療科名(主たる)別にみた医師数.

 

1医師数

 

平成28年12月31日現在における全国の届出「医師数」319,480人で、「男」251,987人(総数の78.9%)、 「女」67,493人(同 21.1%)となっています。

⇒5人に1人は女性医師です。

 

 

1) 性・年齢階級別にみた医師数

 

医療施設(病院・診療所)に従事する医師を性別にみると、「女」の割合は、年齢階級が低くなるほど高く、「29 歳以下」では34.6%となっています。

 

⇒今後も女性医師の比率が増え3人に1人に近づいていくことでしょう。

 

 

2) 施設の種別にみた医師数

 

施設の種別にみると、病院(医育機関附属の病院を除く)147,115人が最多。診療所102,457 人、医育機関附属の病院55,187 人となっています。

 

⇒診療所は、一般病院より少ないです。

 

施設の種別に年齢階級をみると、 病院(医育機関附属の病院を除く)では「40~49 歳」 、 医育機 関附属の病院では「30~39 歳」 、診療所では「50~59 歳」が最も多いです。

 

⇒私は58歳なので、最も多い年齢層に属しています。

 

平均年齢をみると、病院(医育機関附属の病院を除く)では 46.7 歳、

 

医育機関附属の病院38.8歳、診療所59.6 歳となっています。

 

⇒私は診療所勤務の医師の平均年齢にほぼ合致します。世間でいう還暦がほぼ診療所勤務の医師の平均年齢であることに感慨を覚えます。

 

平均年齢の年次推移をみると、病院では上昇傾向が続いています。

 

また、診療所では平成 22 年から引き続き上昇しています。

 

⇒医師の高齢化傾向が示されています。

 

 

3) 診療科別にみた医師数  

 

主たる診療科別にみた医師数

 

従事する主たる診療科別にみると、「内科」が 60,855 人(20.0%)と最も多く、

⇒医師の5人に1人は内科医ということです。

 

次いで「整形外科」21,293人(7.0%)、「小児科」16,937 人(5.6%)となっています。

 

 

主たる診療科を施設の種別にみると、

 

病院では「臨床研修医」を除くと内科が21,981人 (10.9%)と最も多く、次いで「整形外科」13,497 人(6.7%) 、「 精神科」11,747 人(5.8%) となっています。

 

一方、診療所では

内科38,874人(37.9%)が最も多く、次いで「眼科」8,395 人(8.2%)、 「整形外科」7,796 人(7.6%)となっています。

⇒診療所3件につき1件強が内科です。

 

 

4) 取得している広告可能な医師の専門性に関する資格名及び麻酔科の標榜資格(複数回答) 別にみた医師数

 

専門性資格及び麻酔科の標榜資格(複数回答)別にみると、

 

総合内科専門医が 22,522人(7.4%)と最も多く、

⇒内科医が 60,855 人なので総合内科専門医は内科医の37.1%を占めます。

 

次いで「外科専門医」21,168人(6.9%)、「消化器病専門医」17,814人(5.8%)となっています。

 

総 合 内 科 専 門 医 22,522人(7.4 %)平均年齢 50.4

 

精 神 科 専 門 医 9,177人(3.0%) 平均年齢52.9

 

ア レ ル ギー 専 門 医 3106人(1.0%)平均年齢53.2

 

リ ウ マ チ 専 門 医 4,563人(1.5%)平均年齢54.1

 

心 療 内 科 専 門 医 305人(0.1%)平均年齢57.1

 

漢 方 専 門 医 1,718人(0.6%)平均年例60.2

 

資 格 な し 119,964 人(37.9%)平均年齢46.8

 

⇒専門医の資格を一つも持っていない医師は3割います。

 

専門医資格を持っていない医師の平均年齢は46.8歳であるのに対して、たとえば総合内科専門医の平均年例も50.4歳であり、年齢差が少ないことからすると、現在40代半ばで未だ専門医資格を持っていない医師の多くは今後も専門医資格を取得する可能性は少ないのではないか、と推定します。

 

心療内科専門医、漢方専門医の平均年齢は私の年齢にほぼ一致します。

 

これに対して、アレルギー専門医、リウマチ専門医の平均年齢と比べると私は数歳年長ということがわかりました。

 

リウマチ専門医は1.5%ですが、アレルギー専門医、心療内科専門医、漢方専門医はいずれも1%以下で超マイノリティです。なお心療内科専門医は全国で305人のみで1000人の医師の中でたった1人の割合です。

 

これに対して、よく比較される精神科専門医は全国で9,177人に上り、心療内科専門医のおよそ30倍の数に相当します。

 

心療内科を標榜する医師のほとんどが精神科専門医、内科医等で占められ、心療内科専門医資格を有する医師は、極めて限られているという現状を裏付けるデータです。

 

注:2つ以上の資格を取得している場合、各々の資格名に重複計上しています。

 

 

専門性資格及び麻酔科の標榜資格の割合を施設の種別にみると、

 

病院では「外科専門医」(9.1%) が最も多く、次いで「総合内科専門医」( 7.7%)、「消化器病専門医」( 5.9%)となっており、

 

診療所では「総合内科専門医」( 6.8%)が最も多く、次いで「眼科専門医」(6.3%)、「整形外科専門医」( 6.1%)となっています。

 

 

 

まとめと展望

 

今回の検討によって判明したポイントを以下に列挙します。

 

①診療所の数が病院の数より少ないということ

 

②医師の高齢化が進行していること

 

③女性医師の占める割合が増加傾向(5人に1人から3人に1人へ)

 

④医師5人につき1人が内科(主たる診療科)であり、診療所3件につき1件が内科(主たる診療科)であること

 

⑤専門医数は総合内科専門医が最多(7.4%)であり、病院(7.7%)と診療所(6.8%)での取得率に大きな隔たりはないこと

 

⑥専門医資格を全く持っていない医師が3人に1人強を占めること

 

 

次に、全国の診療所の高円寺南診療所が全国の診療所の平均像と合致し、ほぼ重なりあっている点と、大きく異なる点があるということです。

 

 

次に全国の診療所勤務の医師の平均像に近似する点

 

①診療所の医師の平均年齢59.6歳と私の年齢58歳

 

②心療内科専門医の平均年齢57.1歳と私の年齢

 

③リウマチ専門医の平均年齢54.1歳と私の年齢

 

④漢方専門医の平均年齢60.2歳と私の年齢

 

 

全国の診療所勤務の医師の平均像と相違する点

 

① アレルギー専門医の平均年齢53.2歳で私の年齢が高いこと

 

② 広告可能な医師の専門性に関する資格を4件(アレルギー専門医、リウマチ専門医、心療内科専門医、漢方専門医)取得しているが、いずれの専門医資格取得者の比率も1.5%以下であること

 

 

以上より、高円寺南診療所は、最も多数を占める内科を機関診療科とし、かつ医師としての年齢等も全国平均像に近い点などからは、典型的な日本の診療所であるといえるかもしれません

 

しかし、医師一人が広告可能な医師の専門性に関する資格を4件(アレルギー専門医、リウマチ専門医、心療内科専門医、漢方専門医)取得し、しかも、これらのいずれの専門医資格取得者も限られた数であることから、専門性の集約において極めて個性的な診療所であるといえることも確認できました。

 

これら4つの専門領域は、いずれも臓器別縦割り診療科ではないため横断的診療を必要とします。

 

このことが全国平均的な診療所と比較して、より総合的に、さらには統合的に診療することができ、他に例を見ないユニークでクリエイティブかつ効率的な診療活動を展開することができる基盤になっていることを実感しています。