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聖楽院主宰 テノール 

飯嶋正広

 

 

武蔵野音大別科レッスン事始め


飯嶋 正広

 

今回は、音大での第2回目(4月19日)の報告です。

 

第2回レッスン

入構時の関門で、初めて学生証をし、スムーズに喚問を突破。ようやく学生の一人として認知されました。ただし、滞在予定時間のチェックを受けました。

 

今回は12:15頃には音大に到着できたため、学食のインテルメッツォで予め昼食を摂ることができました。プレートと名つけられた定食は3種類あり、大の食券が売り切れ、中プレートにしましたが、丁度良かったようです。学生で溢れかえっていましたが、屋外でのどかに食する学生もあり、何とか席は確保できました。

 

それでも時間があったため、構内の書店で楽譜を購入。

 

岸本力先生編による歌曲集に目が留まりました。

 

#1.ムソルギー歌曲集(1995,全音楽譜出版社)

 

#2.ラフマニノフ歌曲選集2(2017,edition KAWAI)

 

レッスンに向かう途中で岸本先生と合流。岸本先生は常に早めに来場されているという情報通りです。さっそく、楽譜に記念のサインをいただいたのは言うまでもありません。

 

私は、岸本先生と王さんのために、芸術歌曲集小倉百人一首No1(コンコーネ50番)およびNo2(トスティ50番)のCDを持参してきたので、お受け取りいただきました。

 

 

定例の発声練習の後、すぐに歌曲のレッスン開始

 

#1.歌曲「нет,толькотот,ктознал...(憧れを知る者のみが...)

 

私は王さんと共に合格をいただきました。

 

 

#2.歌曲「отчего?...(何故?)

 

はじめて歌唱しました。王さんのピアノ伴奏に助けられ、滑り出し良好。

私は王さんと共に、予めよく「さらってきてある」ことを評価していただいた。来週も引き続き稽古でブラッシュアップしていただく予定。

 

 

#3.歌曲「Cредь шумного бала...(騒がしい舞踏会の中で...)

 

はカタカナ表記をはずして、原語のみの楽譜上の歌詞を朗読。

なかなかスムーズに読めず、途中で幾度も躓き、発音やアクセントを訂正していただきました。

それでも、試唱の許しをいただいて、初回チャレンジとなりました。

王さんは、伴奏の予定ではなかったのですが、所見で伴奏をしてくれました。

岸本先生は、王さんに演奏上のポイントを指導され、それのおさらいも兼ねて、もう一度、通して歌い、時間となりました。

 

 

次回のレッスン予定は、歌曲「отчего?...(何故?)

とCредь шумного бала...(騒がしい舞踏会の中で...)

とオペラアリア「レンスキーのアリア」となりました。

 

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認定内科医、認定痛風医

アレルギー専門医、リウマチ専門医、漢方専門医

 

飯嶋正広

 

新型コロナウイルス感染症蔓延によるライフスタイルの変化によるものなのか、最近、腎機能が急激に低下する方が増えてきました。

そこで、今月は腎臓病の治療対策をテーマとしました。

 

腎疾患の治療について(No1)

 

残念ながら腎臓病向けの単独の特効薬はありません!

 

第119回日本内科学会講演会(2022年)の教育講演5.慢性腎臓病治療の新たな展開(菅野義彦:東京医大)によれば、<「腎機能低下を防ぐことはできない. 治らないし、悪くなったら透析すればいい」に転機が訪れたのは、慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)の概念と普及であろう.」と述べているとおり、最近に至るまで、腎機能低下を有効に防ぐ手立ては存在しませんでした。

 

その理由の一つは、腎臓はおおまかにいっても4つ以上の重要な役割を同時に担っているからです。

 

その役割として、たいていの方がご存じなのは、

 

1)尿を作る仕事<機能1>

 

その他、以下の3つは、あまり理解されていないようです。

 

2)体の中のバランスを整える<機能2>

 

3)血圧を調整する<機能3>

 

4)ホルモンを作る<機能4>

 

以上をまとめて理解し、具体的なイメージを描くことは、医師にとってもなかなか骨が折れることなのです。そこで、私にとっては、「腎」に関する漢方の考え方が役に立ってきました。

私が2000年に発足させた「水氣道」は、稽古組織の構成上、五色の帽子で役割と階級を大まかに区分しています。これは五臓になぞらえたものです。そして最高位は黒で、これは「腎」を象徴しています。

 

さて、漢方では、成長・発育・生殖などに関わる泌尿器・生殖器・腎臓などの機能を「腎」と呼びます。「腎」の機能が低下したり、不足したりしている状態は「腎虚」と呼ばれています。「腎」は、身体の様々な機能に密接に関わっており、「腎虚」になると心身の両面において様々な衰えの症状が現れるようになると考えております。

 

また、漢方の源流となる中医学の五臓(肝・心・脾・肺・腎)の働きは相互に促進したり、抑制したりして全身のバランスをとっていると考えるのですが、この発想の妥当性が現代医学においてますます裏付けられてきています。

 

20220506

たとえば、上記のモデル図で、

腎は骨と密接なかかわりがあることを示しています。

 

腎は肺によって強められ⇒ますが、現代医学においても、腎不全で体液が酸性に傾く(代謝性アシドーシス)と肺での換気を増やしてアルカリ化をはかる(呼吸性アルカローシス)ことによって、酸・アルカリのバランス(酸塩基平衡)が維持されます。これは、上記の腎の<機能2>に相当します。

 

そもそも心と腎は相互に影響を受け、古くから、生理学的メカニズムとしては「心腎相関」、それが破綻した病理現象としては「心腎不交」といった概念が東洋医学理論にはありました。近年に至って現代医学においても、病気で身体機能に異常が起こる場合、心臓と腎臓の間に深い関係がある状態を「心腎連関症候群」と呼ぶようになってきました。


そこで、これらの働きについて、少し掘り下げて学習しておきたいと思います。

 

1)腎の<機能1>尿を作る

尿(おしっこ)を作るのは、よく知られている腎臓のおしごとです。

腎臓は血液中から、体に「必要なもの」と「不要なもの」を分別し、不要なものは尿と共に排出するので、解毒(デトックス)作用をもちます。ですから、腎臓の働きが損なわれると、体液が貯留して浮腫(むくみ)を招いたり、尿毒症になったりします。中医学では、腎の働きの低下による水毒と考えます。

 

 

2)腎の<機能2>体の中の体液のバランスを整える

腎臓は尿を作ることで、体の中のバランスを整える働きもしています。

腎臓は体調や気候によって、排出する水分やミネラル(電解質)の量を調節します。
体の中のバランスをとるために、汗をたくさんかいた時は、濃い尿を少量作って体の外に排出します。汗をかかない時は、薄い尿をたくさん作って体の外に排出します。

 

 

3)腎の<機能3>血圧を調節する

血圧というと心臓のイメージが強いかもしれませんが、実は腎臓も血圧の調節に関わっています。

腎臓は血圧を安定させるために、血圧が高い時は下げるように、低い時は上げるようにコントロールします。血圧のコントロールのためには東洋医学では常識とされていた「心腎相関」の考え方が有用であることが明らかになってきました。

 

 

4)腎の<機能4>ホルモンを作る

腎臓は、いくつかのホルモンを作ります。

1 赤血球を作るホルモンーエリスロポエチン(EPO)

腎臓は赤血球を増やすために、エリスロポエチン(EPO)というホルモンを作ります。血液中の赤血球が減ると、貧血になります。東洋医学では「血虚」に相当します。

 

2 骨を強くする
骨や歯を作るためにはカルシウムが必要です。カルシウムは歯や骨を強くするミネラルですが、「活性型ビタミンD」の働きが欠かせません。腎臓は、そのビタミンDを活性化させる働きを持っています。そして「活性型ビタミンD」は骨の代謝に係るホルモンのような働きをしています。東洋医学では、古来、腎は骨の健康を司るものと考えられてきました。

 

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懸垂理論から学ぶNo4

 

懸垂のパラドックス<結論>時間をかける

 

簡単な運動ですが、正しく行うには時間と努力が必要です。

文責:クリスティ・アシュワンデン

 

The Pull-up paradox
It’sa simple exercise,but getting it right takes time and efforts
By Christie Aschwanden

 

 

 

水氣道の稽古を続けていくうえで学ぶべきエッセンスは、懸垂のような一見シンプルな競技ほど豊かです。

 

時間をかけること、辛抱すること、トレーニングの一貫性を保つこと、周期的に継続すること、目的とするパフォーマンスを習得するためには、その手段としての準備的なエクササイズを用いること、生まれつき有利な人と不利な人や向き不向きはあるがトップアスリートを目指すのでなければ努力と工夫で達成できること、など。

 

そうして得られるものは、より強くなれること、達成の暁には大きな満足感が得られること、スーパーヒーローになったような気分になれること、他の動きや技も軽々と行えるようになること、など・・・

 

懸垂や重量挙げには、身長や体重、腕の長さや筋力、体形などによって向き不向きがあり、かなりの根気や辛抱が求められるようです。また孤独に打ち勝たなければなりません。

 

これに対して、水氣道には、ほとんど向き不向きはありません。老若男女が同じ土俵(プール)で一緒に楽しく稽古できることが水氣道の素晴らしさであることを改めて感じさせられます。団体での生涯エクササイズは、自然で健康的な世代間交流の場を提供しています。

 

 

 

<結論>時間をかける

 

「辛抱してください」とキングさん。一晩でできることではありません。

一貫性が重要だと彼女は言う。

「これは避けて通れない道です。毎週、毎月、取り組まなければならないのです。

 

健康科学ライターで、ウェイトリフティングのガイドブック「Liftoff」の著者であるケイシー・ジョンストンにとって、これは重要なことです。健康科学ライターで、重量挙げのガイドブック『Liftoff: Couch to Barbell』の著者であるケイシー・ジョンストンにとって、懸垂はより強くなるための大きな探求の一部にすぎませんでした。

懸垂ができるようになるまでには、1年ほど重量挙げを続けていましたが、その甲斐あって達成感を味わうことができました。「懸垂をする必要はないんです。「私は腕が長く、そして、比較的体が大きく、その両方ともが難題です。」

確かに、懸垂が簡単にできる人とそうでない人がいるのは事実です。

「一般に、体重が増えるほど、体重に対する強度の比率は下がる」とは、StrongerBySceience.comの創設者で、3つの世界記録を持つパワーリフト競技者のGreg Nucklosの述懐です。背の高い人は、同じような体格であっても、背の低い人よりも引き上げる質量が多くなる可能性が高いのです。

 

手足が長い私が懸垂の記録を出すことはないだろう。しかし、私にはいくつかの有利な点がある。

クロスカントリースキーで鍛えた上半身の強さと、中年体型でないことだ。 懸垂はまだまだ努力が必要だが、その分、満足感も大きい。

 

「鉄棒、塀の上、壁の上など、何かに向かって体を引き上げると、スーパーヒーローになったような気分になります」とキャラウェイさんは言います。それだけでなく、近くの遊び場の鉄棒も少し楽しくなります。

 

 

以下、 原文

 

TAKE YOUR TIME

“Be patient,” Ms.King said. Your first pull-up “takes time and a lot of consintency; it doesn’t happen overnight.”

 

Consistency is important, she said.
“There is no way around this. You have to work at it, week after week and month after month.”

 

For Casey Johnston, a health and science writer, and author of the weight lifting guide “Liftoff: Couch to Barbell,” pull-ups were just one part of a larger quest to get stronger. She’d been weight lifting for about a year before she could finally do one, but it was worth it for the sense of accomplishment. “No one is required to do pull-ups,” she said. “I have long arms and I’m relatively big, which are both challenges.”

 

It’s true that pull-ups are easier for some people than for others. “ In general, as mass goes up, strength to weight ratios go down,” said Greg Nucklos, founder of StrongerBySceience.com and a powerlifter who’s held three world records. A tall person is likely to have more mass to pull up than a shorter person, even if they are similarly built.

 

I will never set any pull-up records with my long arms and legs. But I do have a few advantages:

Good upperbody strength from years of cross-country skiing and not too much middle-aged pudge. I still have to work at pull-ups, but the payoff is deeply satisfying.

 

“Pulling yourself up onto something- a bar, over a fence, up a wall- makes you feel like a superhero,” Ms.Callaway said. Not only that, she added, it also makes the monkey bars at the nearby playground a little more fun.

 

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認定内科医、認定痛風医

アレルギー専門医、リウマチ専門医、漢方専門医

 

飯嶋正広

 

なぜ病気が長引くのか…発作性の症状対策

<痛風発作編その1>

 

発作時のみが治療開始のタイミングではない!

 


長引くコロナ禍での生活が続く中で、痛風発作のためか、当クリニックのオフィシャルサイトにアクセスされる方が急増しています。

 

痛風の発作はとても辛いものなので、なるべく早めのアポイントができるように努めています。しかし、当日の予約ですぐに対応することは困難です。早くても翌日か、翌々日、週末の場合は、週明けになってしまうこともあります。

 

当クリニックが、完全予約制に移行するまでの開院三十年間は、当日のフリーアクセスが可能でした。しかし、フリーアクセスの場合のデメリットが、私共のキャパシティーを超えて次第に増えていきました。

 

以下に列記します。

1) 待ち時間が長くなり、対応困難な苦情が増えがちとなったこと。

 

2) 診療終了時間帯に受診が殺到しがちとなり、診療の質を維持することが  
困難になりつつあったこと。これは1)の原因にもなり、悪循環となりま
した。

 

3) 診療終了時間が遅い時間にずれ込み、患者さんの帰宅時間が遅くなるため、生活習慣病に悪影響(遅い夕食、遅い就寝時間、睡眠時間の減少など)が懸念されるようになってきたこと。


4) その他に、痛風発作、喘息発作、心臓発作、胆石発作、過換気発作、てんかん発作、めまい発作、意識消失発作、てんかん発作など、慢性疾患であるにもかかわらず、発作のときだけ駆け込んでくる方が増えてきたこと。


5) 長時間待機態勢のため、医師としての自己研鑽のための落ち着いた時間を確保することが困難になってきたこと。

 

次回は、上記のうち、4)について痛風発作の初診問い合わせの実例から説明したいと思います。

 

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臨床産業医オフィス


<高円寺南労働衛生コンサルタント事務所>

 

産業医・労働衛生コンサルタント・第一種作業環境測定士・衛生工学衛生管理者

 

飯嶋正広

 

 

企業の禁煙推進戦略 No.1

 

職場における禁煙推進に熱心な産業医は採用を拒まれたり、交代を要求されたりすることが現実に発生しています。そのため、禁煙活動に消極的な、当たり障りのない産業医を選ぶ企業も少なくありません。

 

しかし、望まない受動喫煙の防止を目的とする改正健康増進法が平成30(2018)年7月に成立したことはきちんと認識しておかなければなりません。この改正により、学校・病院等には平成31(2019)年7月1日から原則敷地内禁煙(屋内全面禁煙)が、飲食店・職場等には平成32(2020)年4月1日から原則屋内禁煙が義務づけられます。また東京都受動喫煙防止条例もこれに歩調を合わせて発効しています。

 

2020年4月1日から、原則屋内禁煙です。健康増進法及び東京都受動喫煙防止条例に規定する基準を満たした喫煙室を設置できない場合は、禁煙にしてください。

 

健康増進法・東京都受動喫煙防止条例に違反した場合、保健所等による指導・助言等のほか、過料の対象となる場合があります。過料は保健所等による指導・助言等に応じない場合などに科されるものです。しかし、職員が即座に支払いを求めることはありません。

 

2020年4月からは健康増進法もスタートしました。

「タバコの害」や「受動喫煙」にはものすごく大きな注目が集まっています。禁煙問題への関与を避ける医師は、産業医か臨床医かを問わず適性に欠けているといえるでしょう。

 

わが国では海外と比較すると、日本のタバコに関するリテラシーは“まだ低い”
というのが現状です。

 

喫煙者の数はここ数年で減少傾向にありましたが、現在では横ばいの状態が続いています。タバコが吸える場所もどんどん減っていますが、職場での対応は遅れ気味です。
「健康日本21(第二次)」で示されたように、喫煙は日本人の死因の第1位です。
企業の方は社員の健康管理として「タバコの健康被害」や「受動喫煙」に関する情報をもっと知るべきでしょう。

 

 

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常陸國住人 

飯嶋正広

 

常陸国飯嶋氏のルーツ探訪(その5)

 

今回は、1)地名について、2)年代について、に引き続き、飯島を名乗った人々の名跡の来歴とその後について若干の調査報告を試みます。

 

3) 名籍について

「水戸市史(上巻)」では、江戸氏と飯島氏との結び付きを不明であるとしていますが、更なる手掛かりとして、名籍に着目してみたいと思います。

 

「熊野山願文」に記録されているのは、初回が飯島七郎光忠・子息宗忠(1391年)、二回目が悉知左衛門尉宗忠・同七郎通忠(1403年)です。この両者を比較すると、飯島七郎の子息である「宗忠」の名は、初回のみならず二回目にも見られます。

二回目は悉知左衛門尉「宗忠」とあり、飯島住人とされているので同一人物であると判断してよいのではないかと思われます。

 

つまり、「宗忠」は飯島姓から悉知姓に改めた可能性があります。ただし、同行者に七郎通忠の名が見られます。飯島七郎光忠-宗忠-七郎通忠と並べてみると、「七郎」という名と、「忠」という文字が継承されています。

 

これは、飯島七郎を名乗った人物は単独ではなく、累代に及ぶことを裏付けるだけでなく、一方で、飯島氏と江戸氏との結び付きの手掛かりにもなります。

 

「通」は江戸氏の当主が用いていた文字であることから、七郎通忠という人物は、飯島氏の当主であると同時に江戸氏との信頼関係が厚い人物である可能性が高いということになろうかと思われます。

あるいは江戸氏の「通」と飯島氏の「忠」の文字の順序から考えて、江戸氏の一族の一人を飯島氏が養子として迎え入れた可能性もあるかもしれませんが、私の憶測の域を過ぎません。

 

 

 


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いよいよ、第一部の第3章の終わりにたどり着きました。

 

C’est à partir de ce moment que les carnets de Tarrou commencent à parler avec un peu de détails de cette fièvre inconnue dont on s’inquiétait déjà dans le public. En notant que le petit vieux avait retrouvé enfin ses chats avec la disparition des rats, et rectifiait patiemment ses tirs, Tarrou ajoutait qu’on pouvait déjà citer une dizaine de cas de cette fièvre, dont la plupart avaient été mortels.

タルーが、その手記で、すでに世間を不安にさせていたこの未曽有の熱病について、ある程度詳しく語り始めるようになるのは、この時期からである(註1)。タルーは、例の小柄な老人はネズミがいなくなったことでようやく猫を見つけ出し、根気強く狙いを定めては唾での射撃の精度を高めていることを書きとめる一方で(註2)、この熱病の症例はすでに十例余りを数えることができ、そのほとんどが死亡したことを付け加えている。

 

註1:C’est à partir de ce moment que・・・

宮崎訳:<すなわち、この瞬間から、(タル―の手帳は、公衆の間にすでに不安を呼び起こしていたその正体不明の熱病について、やや詳細に語り)始めるのである。>

 

ce moment をこの瞬間と訳すことも可能かもしれません。「この瞬間」と訳したときの効果は、タル―が何かをきっぱりと決断したことを示唆することができるのではないでしょうか。たしかに、タル―の記録内容がこの時期から変化し始めたのには理由があるはずです。前段で、宿命論者の話がでましたが、タル―は自分自身がそれでないことをきっぱり否定しています。タル-は単なる傍観者としての記録者ではなく、自分自身は現状に対して何らかのアクションを起こす存在であるべきことを、ホテルの支配人との問答に触発され、それまであいまいであった自分のスタンスの在り方についてその瞬間に決断したのかもしれません。

 

 

註2:En notant que…

宮崎訳:<(・・・いつもの射撃を根気よく調整している)ことを記しながら、)

 

en +(現在分詞の形)はジェロンディフです。これは「~しながら」という同時性を表しますが、タル―は、従来の日常的な市民生活の文学的記述を続けながら、他方において、新たな記録、すなわち非日常的なできごとの詳細な、あるいは客観的な記述をはじめることになりました。
 

 

 

À titre documentaire, on peut enfin reproduire le portrait du docteur Rieux par Tarrou. Autant que le narrateur puisse juger, il est assez fidèle:
 « Paraît trente-cinque ans. Taille moyenne. Les épaules fortes. Visage presque rectangulaire. Les yeux sombres et droits, mais les mâchoires saillantes. Le nez fort est régulier. Cheveux noirs coupés très court. La bouche est arquée avec des lèvres pleines et presque toujours serrées. Il a un peu l’aire d’un paysan sicilien avec sa peau cuite, son poil noir et ses vêtements de teintes toujours foncées, mais qui lui vont bien.

参考までに(註3)、タルーによるリュー医師の肖像を、ようやく引用することができよう(註4)。筆者が判断しうる限りではあるが、それはなかなか忠実に描かれている。
「外見は35歳くらい。中背で、がっしりした肩、ほぼ長方形の角ばった顔。黒くまっすぐな瞳、張り出した顎、しっかりとして形の整った鼻。とても短く刈り込んだ黒髪。弓なりをなす口元は、ほとんどいつも硬く結ばれている厚い唇。日焼けした肌に、黒い体毛、いつも地味な色調の服を着ているが、それが彼にはよくお似合いで、いささかシチリア農民のような風体である。

 


註3:À titre documentaire,

宮崎訳:<資料としての意味で、>
   

à titre documentaireの代わりにà titre de la documentationと書かれていれば、< à titre de+名詞>で、<名詞>として、<名詞>の資格で、という意味になろうかと思われます。ここでは、<à titre+形容詞>であり、à titre documentaireは、参考までに、と素直に訳すのが良いのではないかと思われます。

 


註4:on peut enfin reproduire

宮崎訳:<最後に、(タル―の筆になる医師リウーの肖像を)掲げておくことができる。>

 

enfin を「最後に」と訳すのが標準的かもしれませんが、私は「ようやく」としました。その理由は、この時まで、著者(カミュ)は、リウー医師の容貌や行動パタンについての具体的な描写をせずに、読者の自由な想像にまかせてきたからです。読者としては、謎の人物タル―の登場以前に、主人公としてのリウー医師のイメージについていろいろ想像を働かせながら読み進めてきた訳ですから、カミュ自身が読者に「お待たせしました。それでは、『ようやく』ですが、この辺りでご紹介いたしましょう。」などと言っているかのように感じられます。

 

 

« Il marche vite. Il descend les trottoirs sans changer son allure, mais deux fois sur trois remonte sur le trottoir opposé en faisant un léger saut. Il est distrait au volant de son auto et laisse souvent ses flèches de direction levées, même après qu’il a effectué son tournant. Toujours nu-tete. L’air renseigné.»

「彼は速足である。足取りを変えずに歩道から車道に降り(註5)、しかも、3度のうち2度は軽やかに反対側の歩道に跳び移る(註6)。自家用車を運転中はうっかりしていて(註7)角を曲がった後も方向指示器を出しっぱなしでいることが多い。常時無帽。土地勘があるようだ(註8)。」

 

 

註5:Il descend les trottoirs sans changer son allure,

宮崎訳:<歩調も変えずに歩道を降っていくが、>

 

Il descend~で<彼が~を降る>と訳しているが、この一文だけでは<降る>という動作を理解するのは困難であろうかと思われます。舞台となっている当時のアルジェの港湾都市オランの歩道の様子を知らなければ適切な翻訳は難しいと思います。しかし、この辺りは、著者カミュの仕掛けがありそうな気がします。

 

 

註6:remonte sur le trottoir opposé en faisant un léger saut.

宮崎訳:<反対側の歩道に、ちょっと身をおどらせるようにして上る。>

 

註5の動詞(descendre⇒descend)に対して、この一文では対応関係にある別の動詞(remonter⇒remonte)が出現します。なお、re(再び)monter(上る)のですから、いったんは降りるという動作が前提になるはずです。ここで推測できるのは、通りには歩道が反対側にもあって、しかも、その一対の歩道の間に挟まれるように、おそらく車道があり、その車道の路面は歩道より若干低いのではないかということです。その歩道には、跳び乗る動作を必要とする高さがあることが推測できます。しかも、その車道の道幅は狭く、しかも、ところどころ舗装が行き届いていないところがあり、おそらくは一方通行なのではないか、というあたりまで読者が想像することをカミュに求められているような気がします。

 

 

註7:Il est distrait au…

宮崎訳:<(~ときも)ぼんやりしていて、>

 

この部分の意味の理解も慎重に検討したいところです。私は、それまでのリウー医師の描写から得られた人物理解において、彼は決して運転中に空想に耽って「ぼんやり
するようなタイプではなく、むしろ、常に職務に忠実であって、観察力に富んだ人物ではないかと想像しています。たしかに、現代社会において自動車運転中に方向指示器を出さないのは危険な行為ではありますが、路肩の狭い細い道路では徐行運転とならざるを得ないであろうし、地元の道路事情に詳しいリウー医師は、仕事の段取りなどを考えながら、適宜、合理的な無駄の少ない行動をとるタイプではないかと推測しています。

余談ですが、私も同様の傾向があることに気がつかされました。そのため、私は免許があっても自ら自動車の運転は遠慮することにしています。
 

 

註8:L’air renseigné.

宮崎訳:<情報通といった様子。>

 

renseignéとは動詞renseignerの過去分詞で、「情報を得ている」、「消息通の」という意味です。名詞として使われる場合は、「情報を得ている人」、「情報通」となります。この都市で活動しているリウー医師が、地元に詳しいであろうことは想像に難くありません。しかし、その外見や行動の特徴についての一連の詳細な観察所見との結び付きが感じられにくい<情報通といった様子。>という結びに物足りなさを感じます。リウー医師がどのような情報に通じているか、その範囲と深さは不明ですが、個々は、単純に、地元の気候や地理、とりわけ交通事情に詳しそうだ、という程度のことではないかと考えます。なぞの記録者タル―氏は、最終的には推測的な記述となる場合でも、予めより合理的な観察に基づく所見を記述した情報を整理した後で所感を述べるようなタイプであるような気がします。

 

次回は、第一部の第4章がスタートします。

 

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聖楽院主宰 テノール 

飯嶋正広

 

武蔵野音大別科レッスン事始め

 

 

今回は音大での初回(4月12日)レッスンの内容についてご報告いたします。

 

 


初回レッスン
12時40分からのレッスンには十分余裕をもって出発したのですが、確認事項に気をとられていたため、うっかり、目的の羽沢の停留所を乗り越してしまいました。初夏のような陽気でした。たった一区間なのにたどり着くのに手間どり汗だくになりました。それでもレッスンの前に、事務局で学生証を受け取り、土曜日の学科の履修科目の追加の手続きを済ませることができたのは幸いでした。

 

慣れないせいか武蔵野音大は外観よりも内部が複雑な印象です。ようやくレッスン室にたどり着くと、岸本先生は、いつもの通り、すでにお見えでした。

 

レッスン前に簡単な御挨拶と段取りのお話をすることができるため、これから私も早めに到着することを心がけることにしました。

 

レッスン時間になると、伴奏者が入室されました。王さんというお名前はうかがっておりましたが、王昭然というお名前であることを知りました。

 

彼は博士課程在学中の方で、今年から副科を声楽に変更する許可を得て、岸本先生のレッスンを受けるとのことを伺いました。彼のお話の中で、チェレプリンという作曲家の名前をはじめて知りました。専門家である岸本先生は馴染みのある作曲家とのことで興味深く彼の話を聴いておられました。

そのアレクサンドル・チェレプニン(1899〜1977)の歌曲集には、”Seven Songs on Chinese Poems” op71 があり、ユーチューブにも挙げられているそうです。

 

当日の夜、王さんからいただいたメールには、ユーチューブのリンクを貼ってくれました。「楽譜が欲しければ、レッスンのとき持っていきます。」と書いてあったので、お願いすることにしました。この歌曲集は複数の言語(中国語、英語、ドイツ語、そして多分ロシア語も)がついている歌曲集とのことで、とても興味深いです。

 

”Seven Songs on Chinese Poems” op71

 

 

レッスンは、岸本先生の発声練習のあと、さっそく王さんに伴奏をはじめていただきました。

 

1曲目は、歌曲「нет,толькотот,ктознал...(憧れを知る者のみが...)」

 

2曲目は、「レンスキーのアリア」

 

そのあと、来週、本格的にはじめる歌曲「отчего?...(何故?)」の歌詞の発音チェックをしていただきました。

 

何とか合格させていただけたので、さっそく、次週は、上記の2曲に加えてこの曲の歌唱レッスンがはじまります。

 

そのあと、第4曲目の候補は、средь шумного бала...(騒がしい舞踏会の中で...)となりそうなので、来週までに、ロシア語の歌詞読みの発音チェックを受けられるように準備することにしました。歌曲としては、そのほかに、岸本先生が編集された「ロシア民謡集⁻モスクワ郊外の夕べ」(全音楽譜出版社、2003)を私が以前から所持していたため、先生にお願いして、収録19曲のうちから、「ともしび(огонёк)」と「モスクワ郊外の夕べ(Подмосковные вечера)」の2曲を練習曲として選んでいただきました。

 

「ともしび」(огонёк)の音源

 

(35) 【和訳付き】ともしび(ロシア民謡)"Огонёк"- カタカナ読み付き - YouTube

 

 

(35) Огонёк - Дмитрий Хворостовский (2016) (Subtitles) - YouTube

 

 

 

「モスクワ郊外の夕べ(Подмосковные вечера)」の音源

 

(35) Владимир Трошин Подмосковные вечера 1956 - YouTube

 

 

それから、オペラ・アリアの第2弾としては、ニコライ・リムスキー=コルサコフが1895年から1896年にかけて作曲し、1897年に上演された7場から構成されるロシア語のオペラ『サトコ』(Садко)から、「インドの歌」に挑戦するところまで、初回のレッスンで決まりました。


一般のテノール用の楽譜はフランス語版なのですが、オリジナルのロシア語でも歌うことができるようになれば素晴らしいです。実は、私もはじめてロシア語での演奏を聴きました。ロシア語で検索すると素晴らしい音源にアクセスすることができました。

 


(35) Н.А. Римский-Корсаков - Песня индийского гостя из оперы «Садко» - YouTube

 

 

 

Н.А. Римский-Корсаков - Песня индийского гостя из оперы «Садко»
Исполняет Симфонический оркестр Колледжа имени Гнесиных
Солист — Лауреат Всероссийского конкурса Давид Посулихин (тенор)

 

N.A.リムスキー=コルサコフ:オペラ『サトコ』より「インドの客人の歌

 

演奏:グネーシンカレッジ・シンフォニーオーケストラ
ソリスト - 全ロシア・コンクール優勝者 ダヴィド・ポスリーキン(テノール)

 

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認定内科医、心療内科指導医・専門医、アレルギー専門医、リウマチ専門医、認定痛風医

 

飯嶋正広

 

新型コロナ禍を経験して、日常の臨床の現場で懸念しているのは、30数年以上の臨床経験を通してみても、定期受診者の皆様の顕著な骨量低下と腎機能低下傾向です。腎機能低下と骨量低下は、腎臓でのビタミンDの活性化との関係で注目すべきなのですが、また、貧血傾向にある方も散見されます。

 

これらの傾向が見られるのは、当クリニック特有の現象であるとは考えにくいため、全国的なデータの解析結果にアクセスできれば、と考えております。

 

 

腎性貧血について

腎性貧血とは、簡単に言えば、腎臓病が進行することによってもたらされる貧血のことです。そもそも貧血とは、血液中の赤血球の中にある、酸素を運ぶ役割のヘモグロビンの濃度が低くなった状態を指します。 立ちくらみ、息切れ、めまい、ふらつき、頭痛、胸の痛みなどの症状が起こります。

 

それでは、なぜ腎臓病が貧血を招くのか、という疑問が一般の方には生じるのではないかと思います。

 

その疑問にお答えするためには、一般の方にはあまり知られていない腎臓の働きについて説明しておく必要があります。それは、腎臓がホルモン産生臓器でもあるからです。腎臓がどのようなホルモンを産生しているかというと、赤血球産生を刺激するホルモンなのです。このホルモンがエリスロポエチン(EPO)なのです。 これは一種の蛋白質であり胎児期には肝臓で産生されますが、成人の場合はほぼ腎臓でのみ産生されるようになります。そのため、人工透析が必要な腎不全患者ではEPOの産生が低下し、貧血となります。これが腎性貧血なのです。


貧血は、各種臓器への、つまり全身の諸臓器・組織・細胞への酸素供給を低下させることに直結するため、患者の生活の質(QOL)は顕著に低下することになります。
しかも、腎性貧血は、末期腎不全に至ってはじめて発症するのではなく、慢性腎臓病(CKD)では比較的早期から腎でのEPO産生が低下するため、すでに腎性貧血の発症がみられ徐々に進行していきます。そのため、定期検査による早期発見が必要なのです(日本腎臓学会:グレードAレベル4)。

 

 

エリスロポエチン製剤の開発

 

腎性貧血の治療のためには、エリスロポエチンを補充することができればよいということになります。生体内にあるものと全く同じものではないのですが、似た構造のタンパク質を人工的に作ることができるようになっており、実臨床でも腎性貧血の薬として使われています。

 

1977年に、熊本大学の宮家が再生不良性貧血の患者の尿からEPOを純化し、それを基に蛋白質であるEPOを構成しているアミノ酸配列が明かになり、EPOのクローニングにより、ヒト組み換え型EPO(hrEPO)が開発されました。その後に開発された一連の製剤は赤血球造血刺激因子製剤(ESA)と総称されています。
 

当初の予想では、ESAによって、不足しているEPOを補うことによって、腎性貧血患者の貧血を正常化できれば理想的であると期待されていましたが、貧血の改善が合併症を引き起こし、予後を不良にすることが大規模臨床研究の結果で明らかにされました。そこで、全く新しい機序の腎性貧血治療薬が求められるようになりました。

 

 

HIF-PH阻害薬の誕生

 

生体は低酸素に対する防御機構として低酸素誘導因子(HIF)を備えています。1990年代にこれを発見したのが、米ジョンズ・ホプキンズ大学のグレッグ・セメンザ氏です。これは低酸素状態のときにエリスロポエチン遺伝子を活性化するタンパク質(Hypoxia-inducible factor:HIF)で、低酸素応答誘導因子と訳されています。ついでHIFが酸素濃度に応じて低酸素応答遺伝子のスイッチをオンオフする分子メカニズムを明らかにしたのが、英オックスフォード大学のピーター・ラトクリフ氏と米ハーバード大学のウィリアム・ケーリン氏の二人です。以上の3名が、2019年のノーベル医学・生理学賞を受賞しました。

 

このHIFを活性化させることによって、内因性のEPOなどのターゲット分子の発現を誘導する目的で開発された薬剤が、HIF-プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬です。
 HIF-PH阻害薬は、鉄利用効率の改善により、より効率的な造血が誘導される反面、鉄欠乏状態下で使用すると血中の鉄が低下し、血栓塞栓症を引き起こす可能性があるため、事前に十分な鉄補充が必要になります。

 

また、HIF-PH阻害薬は、理論上は臓器の低酸素に対する抵抗性を高めることが期待される反面、血管新生も同時に誘導する可能性があるため、癌や網膜症など血管新生が望ましくない病態では使用しにくいという側面があります。

 

 

杉並国際クリニックでの経験例と今後の対策

 

エリスロポエチン(EPO)の赤血球産生は、組織の低酸素に応答して産生されるHIFの作用によって促進されます。そうして産生されたEPOは、骨髄などの造血細胞に働いて赤血球産生を刺激します。このメカニズムを利用してスポーツ選手の「高地トレーニング」が行われています。高地でトレーニングをしている運動選手の血液では赤血球数、および、酸素運搬に関わるヘモグロビン量が増加しますが、これも低酸素環境におけるEPO産生の亢進によるものです。

 

当クリニックでの試みは「水氣道」において、低酸素トレーニングを導入することです。それは、現段階では私自身が「水氣道」の稽古中にトライアル訓練を続けている段階です。

 

なお、当クリニックにおいて、EPO製剤やHIF-PH阻害薬を直接処方した経験はまだありませんが、連携医療機関の一つである東京警察病院血液科と共同で診療している骨髄異形成症候群の患者さんには、これらの造血薬が処方されています。再生不良性貧血に近い病態であるようです。

 

いずれにしても、近年症例数が増えている慢性腎臓病(CRD)などの腎臓病が進行するにつれて、初期段階から、このEPOの産生も低下します。そのために、定期検査による早期発見が必要であることは日本腎臓学会のガイドラインでも推奨されています。当科での経験例も、診断確定の3カ月前の検査での異常は軽微でした。腎性貧血の ESA(赤血球造血刺激因子製剤)による治療は、 CKD に伴うさまざまな合併症予防・治療に有効であり、皮下注射にて早期に開始すべきことも推奨されています。

 

当クリニックでは、腎機能評価において、血清クレアチニン値の測定時には、必ず推定糸球体濾過率(eGFR)を参考にしています。そして、eGFR<60未満で慢性腎臓病が疑われる例では、尿生化学検査や腎臓超音波検査等と同様に初期の貧血傾向のチェックを慎重に行えるように体制を強化しているところです。

 

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懸垂理論から学ぶNo3

懸垂のパラドックス<各論> 構成要素を練習する

 

簡単な運動ですが、正しく行うには時間と努力が必要です。

文責:クリスティ・アシュワンデン

The Pull-up paradox
It’sa simple exercise,but getting it right takes time and efforts
By Christie Aschwanden

 

<各論> 構成要素を練習する

懸垂は誰でも一回でできるわけではありません。完全な懸垂ができるようになる前でも動作を構成するパーツに分解して、それぞれをトレーニングするとよいでしょう。以下の4つのエクササイズで、懸垂動作の重要な部分をより強く、より上手にできるようにしましょう。

 

 

Step1)バーハング

 

まず、弛緩した状態ではなく、硬直した状態でぶら下がる方法を学ぶことです。キングさんは、初心者にバーをつかみ、腹筋と大臀筋を鍛えて板状に体を硬くし、30〜45秒キープするぶら下がり練習をさせています。

 

 

Step2)肩甲骨はがし

 

懸垂の初期動作の練習をする場所があります。まずバーにぶら下がり、背中の真ん中から上の筋肉を動かして、肩甲骨を背骨のほうに寄せます。このとき、ほんの少し体が高くなるのを感じるはずです。この状態でしばらくキープし、ゆっくりと元の位置まで下ろします。肘は曲げないでください。腕は最後までまっすぐのままです。

 

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写真:a scapula pull-ups

 

『コメント』

スカルプ・プルアップは「スキャプ・プルアップ」と短く呼ばれることもあるようです。  

プルアップをする時のように、手幅は肩幅より若干広めでバーからぶら下がります。   

腕は真っ直ぐにしたままで、肩と背中上部の筋肉を使い、バーを引き下げます。     

肩甲骨を上下に動かすようにイメージで行います。

バーにぶら下がってこれが出来なければ、足を使って体重を支えます。

 

スキャプ・プルアップのメリット

まず、肩の筋肉を収縮と弛緩を繰り返すことで、首周り、肩、背中の筋肉が徐々に大きくストレッチされます。

また、プルアップの最初のトレーニングにもなり、一番下の位置で筋力が鍛えられること、腕ではなく背中を使うことを修得することができます。

そして、握力の向上にもなります。

 

 

 

Step3)遠心性懸垂

 

懸垂の一番上の位置で、頭をバーの上に出し(必要であれば椅子の上に立って)、コントロールされた滑らかな動きでゆっくりとぶら下がる位置まで体を下げます。

 

 

 

Step4)斜め懸垂

 

背中を鍛え、肩の動きをよくする運動です。ベンチプレスをするように、ウエイトバーの下に身を置きます。ただし、ベンチに寝転がるのではなく、バーにぶら下がり、かかとを床につけます。体をまっすぐに保ち、腕ではなく背中の筋肉を使いながら体を引き上げる。ゆっくりとした動作で、元の位置に戻ります。肩甲骨を背骨から離し、胸郭の周りに移動させるイメージで行いましょう。

 

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写真:a version of inverted rows

 

『コメント』
斜め懸垂(インバーテッドロー)、は上半身の引く筋肉群である広背筋・僧帽筋・上腕二頭筋に効果がある自重トレーニング種目です。

 

 

以下、原文

 

PRACTICE THE COMPONENTS

Not everyone can do a pull-up the first time. Even before you can do a complete pull-up,
You can break the movement down into its component parts and train for each of them. Use these four exercises to help get stronger and more skilled at the essential parts of the pull-up motion.

BAR HANGS

The first step is to learn how to hang in a rigid position, rather than flaccidly. Ms. King has beginners practice hanging by grabbing the bar, engaging their abs and glutes to make their body stiff like a board, and then holding for 30 to 45 seconds.

SCAPULA PULL-UPS

There are away to practice the initial pull-up movement. Start by hanging on a bar and then engage the muscles in your mid and upper back to move your shoulder blades in toward your spine. As you do this, you’ll feel yourself elevating just a tiny amount. Hold for a moment in this elevated position, then slowly lower yourself to the starting position. Don’t bend your elbows. Your arms should be straight for the entire motion.

ECCENTRIC PULL-UPS

Begin at the top position of a pull-up with your head above the bar (stand on a chair to get up there if you need to) and then slowly lower yourself to a hanging position using a controlled, fluid motion.

INVERTED ROWS

This exercise strengthens the back and improve shoulder mobility. Position yourself underneath a weight bar as if about to do a bench press. But instead of lying on a bench, hang from the bar, your heels on the floor. Hold your body in a straight, rigid line and pull yourself up, initiating the movement using your back muscles, rather your arms. Return to the starting position in a slow, controlled motion. Imaging moving your shoulder blades away from your spine and around your rib cage.