武蔵野音大別科生の手記

 

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聖楽院主宰 テノール 

飯嶋正広

 

 

武蔵野音大別科レッスン事始め

 

4月に入ったとたんに、慌ただしくなってきました。

 

1日(金)江古田キャンパスで入学式がありました。

 

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式はパイプオルガンが備わっているベートーベン・ホールにて執り行われました。

式にはパイプオルガンによる前奏があり、講師の石丸由佳さんによるJ.S.バッハ:幻想曲ハ長調BWV570を厳かかつ華麗な演奏を楽しむことができました。

 

石丸さんは、東京藝大をオルガン専攻で卒業後、同修士課程修了、デンマーク王立音楽院ソリスト科修了(オルガンソリスト・ディプローマ)、ドイツ国立シュツットガルト音楽大学ソリスト科修了(その後、ドイツ国家演奏家資格取得)という華麗な経歴の持ち主です。

さすが音大の入学式の華麗さは、医学部のそれとは決定的に違っていました。私は、そもそも儀式は苦手な口なのですが、彼女の演奏が聴けただけでも、音大の入学式に出席した甲斐がありました。

 

2日(土)身体検査とオリエンテーションに出席しました。

身体検査で、身長が2㎝近く縮んでいたのはショックでした。

仕事を持つ身としては年間スケジュールの把握は一大事です。また、コンサート・リサイタル出演やオーディション・コンクール参加の際には「演奏会等出演許可願い」などの手続きが必要となることの説明がありました。つまり、在籍中に音楽活動を行う際にはすべからく武蔵野音楽大学の看板を背負っていることを自覚せよ、とのことのようです。

 


4月4日(月)岸本力先生からの電話をいただきました。私は岸本先生のオリエンテーションをすっぽかしてしまっていたことに気が付きました。

確認事項は、初回個人レッスンが4月12日(火)で、レッスン室情報、伴奏者として博士課程在学中の王氏(中国留学生)が担当してくださること、レッスン曲の再確認などでした。

 

なお、王さんはロシア歌曲のピアノ伴奏に意欲的な方なのだけれども、現在、武蔵野音大で本格的にロシア歌曲の研鑽を積もうと志しているレッスン生は、私、飯嶋一人だけなので、是非にも、というお勧めでした。

 

むしろ、私としてはロシア声楽の権威である岸本先生を音大で独り占めすることになる恐縮さと、私が専攻するジャンルの楽曲を共に意欲的に取り組んでくれる仲間がいることの感謝の気持ちでおります。

 

そこで、私は自己研鑽による進捗状況をメールで報告しました。

 

4月4日(月)18:51

おせわになっております。御連絡ありがとうございます。
以下は、来週以降の初レッスンに向けてのご報告です。

最初に私自身が、持参した曲はレンスキーのアリアですが、お陰様で、少しずつ歌いやすくなっております。

私が、これまでレッスンしていただいたロシア歌曲の一覧は、以下の通りです。

 

#1.нет,только тот,кто знал...(憧れを知る者のみが...)

この曲は、岸本先生から見極めていた抱き次第、最初に王さんのピアノ伴奏を御願いできる曲なのではないか、と存じます。

 

その他、今後のレッスンの予習のためにいただいた楽譜は、以下の通りです。

 

#2.отчего?...(何故?)

この間に、独習しておりましたので、音大での初回のレッスンで、ご指導いただけることを楽しみにしております。

 

#3.средь шумного бала...(騒がしい舞踏会の中で...)
まだ、歌詞の読み込みの段階で、ようやく何とか歌えそうな段階です。

 

#4.серенада дон-жуана(ドン・ファンのセレナード)
声部がへ音記号なのですが、まだ先生のご指導を受けていないため、そのままト音記号に読み替えて自主稽古しています。

そうすると、最高音がハイCになってしまいますが、チャレンジしております。

なお、コンクールに参加するためには、予め大学に報告することのガイダンスを受けました。事前に、岸本先生に相談にのっていただければ幸いです。

 

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その後、間もなく、先生から返信をいただきました。

バス・バリトンの楽譜を、適切に移調して歌う技術のない私がやみくもに稽古を始めていることを知って、哀れに思われたのか、先生がテノール用の楽譜を準備してくださるとのこと、とても有難く、励みになります。