(図1)

スクリーンショット 2019-10-29 時刻 12.53.00

 

JFIQは線維筋痛症の経過観察に欠かせない指標です。

 

 

最高点が100点で、20点未満が正常値になります。

 

 

 (図1)は左側が初期時の点数、右側が現在の点数でその2点を結んだものです。

 

 

 

 図2)

スクリーンショット 2019-10-29 時刻 12.52.38

 

 

(図2)は線維筋痛症の治療効果の割合を表したものです。

 

 

 50以上点数が下がると「著効」です。

 

 

 20以上50未満点数が下がると「改善」です。

 

 

 20未満の点数の低下は「無効」の判定となります。

 

 

 

 

 

<今回の考察>

 

 

正規性の検定で初期値、現在値共に正規性がありました。

 

 

その後、関連2群の検定と推定を行いました。

 

 

1)統計的にみて、JFIQスコアが有意に改善したことが証明されました。P(危険率)=0.001%でした(図1)

 

 

pが0.05以下であれば統計学的優位である。

 

 

pが0.01以下であれば統計学的に極めて優位である。

 

 

 

2)JFIQスコアの判定基準として、20点以上改善されると治療が有効、50点以上改善されると著効となります。

 

 

  今回、 15名の平均で   35.3点改善していたため、全体として鍼治療は有効であったと言えます。

 

 

個別でみると、著効4名(26.7%)、有効6名(40.0%)、無効5名(33.3%)でした。(図2)

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

 インフルエンザワクチンについて 

 

インフルエンザ対策が済んでいるかどうかを確認しなくてはならない季節になりました。そこで国立感染症研究所感染症情報センターのHPの情報等をもとに、新たに編集しました。
 

インフルエンザ(influenza)は、インフルエンザウイルスを病原とする気道感染症です。ただし、「重くなりやすい疾患」であり、いまだ人類に残されている最大級の疫病です。そのため、「一般のかぜ症候群」とは明確に分けて考えるべきです。

 

<疫 学>


毎年世界各地で大なり小なりインフルエンザの流行がみられます。わが国のインフルエンザの発生は、毎年11月下旬から12月上旬頃に始まり、翌年の1~3月頃に患者数が増加し、4~5月にかけて減少していくパターンを示します。しかし、流行の程度とピークの時期はその年によって異なります。夏季に患者が発生し、インフルエンザウイルスが分離されることもあります。
 

インフルエンザ流行の大きい年には、インフルエンザ死亡者数および肺炎死亡者数が顕著に増加します。さらには循環器疾患を始めとする各種の慢性基礎疾患を死因とする死亡者数も増加します。結果的に全体の死亡者数が増加することは明らかです(超過死亡)。ことに高齢者がこの影響を受けやすいです。
 

A型インフルエンザでは、数年から数十年ごとに世界的な大流行が見られます。これは不連続抗原変異(antigenic shift)といって突然別の亜型のウイルスが出現して、従来の亜型ウイルスにとって代わることによって起こります。
  

一方、同一の亜型内でも、連続抗原変異(antigenic drift)といって、ウイルス遺伝子に起こる突然変異の蓄積によって、HAとNAの抗原性は少しずつ変化することがあります。インフルエンザウイルス では連続抗原変異が頻繁に起こるので、毎年のように流行を繰り返します。

 

そのため、インフルエンザワクチンは毎年ごとに準備して、接種しておかなければなりません。

 

 

<臨床症状>
 

潜伏期間は、A型またはB型インフルエンザウイルスの感染を受けてから1~3日間ほどです。その後に、発熱(通常38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが突然現われ、咳、鼻汁などの上気道炎症状がこれに続きます。約1週間の経過で軽快するのが典型的なインフルエンザです。

 

特徴はいわゆる「かぜ」に比べて全身症状が強いことです。とくに、高齢者や、年齢を問わず呼吸器、循環器、腎臓に慢性疾患を持つ患者、糖尿病などの代謝疾患、免疫機能が低下している患者では、原疾患の増悪とともに、呼吸器に二次的な細菌感染症を起こしやすくなることが知られており、入院や死亡の危険が増加します。

 

 

<病原診断>
 

最近は外来、あるいはベッドサイドなどで20~30分以内に迅速簡便に病原診断が可能なインフルエンザ抗原検出キットが広く利用されるようになりました。これは、わが国での例外的なトレンドに過ぎません。

 

むしろ、インフルエンザ抗原検出キットには、その限界、抗ウイルス薬使用との関係など、新たな問題が生じていることを深く認識しておく必要があります。

 

 

<治療・予防>
 

従来対症は療法が中心であったが、1998年にわが国でも抗A型インフルエンザ薬としてアマンタジン(シンメトレル®)を使用することが認可されました。アマンタジンはB型ウイルスには無効です。元来、この薬剤は、ドパミン遊離促進剤といってパーキンソン症候群、脳梗塞後遺症に伴う意欲・自発性低下の改善のための治療薬でした。

 

そのためもあってか、神経系の副作用を生じやすいです。その他にも、患者に使用すると比較的早期に薬剤耐性ウイルスが出現すること、などのため、注意して使用することが推奨されていますが、杉並国際クリニックではデメリットの方が大きいと判断し、アマンタジン(シンメトレル®)処方しない方針です。

 

ノイラミニダーゼ阻害薬(ザナミビル:リレンザ®、オセルタミビル:タミフル®)は、わが国では2001年に医療保険に収載されました。ノイラミニダーゼ阻害薬はA型にもB型にも有効で、耐性も比較的できにくく、副作用も少ないとされております。発病後2日以内に服用すれば症状を軽くし、罹病期間の短縮も期待できます。

 

対症療法としての解熱剤が必要な場合は、なるべくアセトアミノフェンを使用します。肺炎や気管支炎を併発して重症化が予想される患者に対しては、これらの合併症を予防するために、抗菌薬の投与が行われることがあります。インフルエンザ脳症の治療に関しては確立されたものはなく、臨床症状と重症度に応じた専門医療機関での集中治療が必要です。
 

予防としては基本的事項として、流行期に人込みを避けること、それが避けられない場合などにはマスクを着用すること、外出後のうがいや手洗いを励行することなどが挙げられています。ただし、そのために過度に外出を避け、心身の健康の維持と増進のために必要な社会活動や運動活動への参加までを制限してしまうことは感心できません。

 

現在わが国で用いられているインフルエンザワクチンは、不活化HAワクチンです。感染や発症そのものを完全には防御できないが、重症化や合併症の発生を予防する効果は証明されています。とくに高齢者に対してワクチンを接種すると、接種しなかった場合に比べて、死亡の危険を1/5に、入院の危険を約1/3~1/2にまで減少させることが期待できます。現行ワクチンの安全性はきわめて高いと評価されています。

 

 

わが国においては、インフルエンザワクチンは定期予防接種二類に分類されます。

1)65歳以上の高齢者、

 

2)60歳以上65歳未満であって、心臓、腎臓もしくは呼吸器の機能に、またはヒト免疫不全ウイルスにより免疫の機能に一定の障害を有する者に対しては、本人の希望により予防接種が行われ(一部実費徴収)ます。


また万一副反応が生じた際には、予防接種法に基づいて救済が行われます。
その他の年齢では任意接種となります。
 

2004年7月からは、原則として発症者の同居家族や共同生活者で、しかも特殊条件の者を対象にリン酸オセルタミビルの予防投与が承認されましたが、接触後2日以内の投与開始を条件としています。

4)妊娠可能年齢での関節リウマチの治療

 

関節リウマチは妊娠可能年齢に好発します。そのため、妊娠中に使用できる薬剤を把握しておくことは非常に重要です。

 

薬剤の胎児への影響は基本的に「催奇形性(妊娠初期:14週未満)」と、発育や機能障害といった「胎児毒性(妊娠中期以降:16~27週)」の2期に分けて考える必要があります。

 

関節リウマチ治療薬の中心はメトトレキサート(MTX)ですが、この薬剤はプリン代謝を抑制することによってDNA合成を抑制することで、炎症細胞の増殖を抑制します。そのため催奇形性があり、妊婦、妊娠している可能性がある女性または授乳中の女性には禁忌となります。MTXは妊娠中の投与で、胎児に中枢神経障害、頭蓋骨異常などの障害をきたすことが明らかになっています。

 

これに対して、サラゾスルファピリジンは胎盤を通過しますが、これまでの使用経験から胎児にはほとんど影響がありません。そこで、妊娠中も安全に使用できると考えられています。

 

またブシラミンも、海外疫学データは少ないが、有害情報はなく、サラゾスルファピリジンとともに有益性投与とされています。

 

非ステロイド抗炎症薬、アセトアミノフェン、ステロイドはいずれも催奇形性はありませんが胎児毒性があるため有益性投与とされています。投与にあたっては細やかな配慮は必要であり、非ステロイド抗炎症薬は、胎児動脈管早期閉鎖の危険性が増加するため妊娠32週以降は中止します。

 

このように説明しても、挙児希望の関節リウマチの女性の不安は計り知れないくらいに大きいものであることを経験してきました。関節リウマチは自己免疫疾患の一つであるため、免疫状態に直接の影響を与える自律神経系や内分泌ホルモン系の不調やアンバランスの原因となる生活習慣の乱れや、さまざまな心理社会的ストレッサーに対してのサポートが重要です。水氣道®や聖楽療法は、こうした状況下の女性を大いに励ましてくることができたという実績があるので、更に積極的な展開を図っていきたいものです。

 

<関節リウマチ診療の実際(完)>

 

 

3)関節リウマチの検査・診断と治療方針

 

関節リウマチ(RA)の診療で最も重要なのが早期診断です。その理由は、RAにおける関節破壊は発症早期に強く、早期発見による可能な限り速やかな有効治療の開始と厳密なコントロールで未然に防止することが容易になるからです。そのためにはRAに類似する症状や検査所見を示す他の疾患との鑑別を考えながら検査を進めていくことが鍵になっています。

 

RAでは、一般血液検査では貧血と白血球・血小板増多がみられます。

また炎症所見としてC反応たんぱく(CRP)高値、血沈亢進を認めます。

 

RAの予後不良因子を考慮した早期の治療指針も推奨されています。

予後不良因子としては、多関節の圧痛および腫脹、X線学的な骨びらん、リウマトイド因子および/または抗CCP抗体の高値陽性、赤沈の亢進および/またはC反応性蛋白(CRP)高値、高齢、女性、遺伝子型(HLA-DR1共有エピトープ)、HAQ(RA患者のQOL評価スコア)の悪化、喫煙が挙げられています。

 

また、近年、エコー技術装置が高解像度となり、7.5~20MHzの高周波利用が可能となったことにより体表面近くの身体構造物、すなわち、腱、靭帯、小関節の観察が容易になりました。関節エコー検査では、通常画像をグレイススケール(Bモード)とパルスドプラスケールで描出します。

パルスドプラ法では、滑膜炎症部位が赤色に写ります。

 

当クリニックの関節エコー用のプローブの周波数は7.5MHzで、高性能です。また通常画像の他、カラードプラ―も完備しているので、高度な診断が可能となっています。骨びらんの検出はエックス線写真より早期から解析可能です。小関節の炎症の把握には関節エコーがとりわけ有用です。X線検査とは異なり被ばくがない超音波エコー検査では、リアルタイムに画像を示してゆっくり説明しながら検査ができるメリットも大きいです。なおパルスドプラ法では、滑膜炎症部位が赤色に写るのでイメージが理解を助けてくれます。

 

<明日に続く>

 

 

2)関節リウマチの症状(全身・関節・関節外)

 

関節リウマチは運動器疾患であると同時に全身の内臓病であることを説明します。

 

関節リウマチは関節滑膜炎と骨・軟骨破壊を特徴とします。

 

関節リウマチでは頸椎病変を見逃さないことが大切です。そのポイントは頸椎のエックス線検査で環軸椎亜脱臼(AAS) と垂直性亜脱臼(VS)の有無を確認することです。AASの評価は環椎歯状突起間距離(ADI)の計測で行いますが、頸椎前屈位で確認すると明らかとなります。AAS,VSの症状としては後頭部痛をしばしば認め、めまいを生じることも少なくありません。そして、強い頸部痛が生じている場合は、頸椎前屈位での長時間作業は控えるように指導し、頸椎カラーの装着が勧められます。

 

関節リウマチは、様々な関節外症状を伴うことがあります。

 

大別して①皮下および滑膜下結節(リウマトイド肉芽腫)、②内臓異常、③全身性合併症および④血管炎のある例に合併する症状、に分類されます。

 

① 皮膚病変としては皮下結節(リウマトイド結節)が有名です。ただし、リウマトイド結節は皮下のみならず、心、肺、中枢神経などにも出現することがあります。

 

② 内臓異常としての障害部位は、心、肺、眼、神経系に分類されます。

 

心病変としては心膜炎が最多です。心膜炎の臨床症状は10%以下の患者にしか見られませんが、心エコー検査や剖検では半数近くに心膜炎を認めるとの報告があります。また僧帽弁閉鎖不全症は関節リウマチで最も頻度が高い弁膜症です。リウマトイド結節と病理学的に類似するため、関節リウマチ特有の可能性があるものとして心筋炎があります。

 

肺では胸膜炎、間質性肺炎、細気道病変、気管支拡張症、リウマトイド結節などがあります。

 

眼では、強膜炎(まれに穿孔性胸膜軟化症を合併)の他、若年性関節リウマチでは虹彩毛様体炎が代表的です。

 

神経系では、硬膜のリウマトイド肉芽腫など中枢神経の他に、末梢神経障害がみられます。末梢神経圧迫症候群として、手根管症候群(正中神経障害)、尺骨神経障害、腓骨神経障害が含まれます。また末梢神経炎を合併することがあります。特に下腿から足にかけての部位に好発するのが多発性神経炎による神経障害です。これは神経そのものの障害というよりは、小動脈を中心に生じる血管炎が原因であると考えられています。

 

③ 全身性合併症としてみられるのは、貧血、汎発性骨粗鬆症、フェルティ症候群、シェーグレン症候群、アミロイドーシスなどがあります。

 

④ 血管炎のある例に合併する症状には、発熱、指の動脈炎、レイノー現象、下肢の慢性潰瘍、末梢神経障害(多発性単神経炎)、出血を伴う胃腸管粘膜びらん、壊死性動脈炎(腸間膜、冠状動脈および腎動脈を侵す)を挙げることができます。このように、中・小血管炎を伴う関節リウマチは悪性関節リウマチと呼ばれます。既存の関節リウマチに血管炎やその他(火血管炎型)の関節外症状を合併し、難治性もしくは重症の病態と定義され、国の指定難病になっています。

 

 <明日に続く>

1) 関節リウマチの診療の現実

関節リウマチの患者さんは、関節痛という症状のために、整形外科を受診されることが圧倒的に多いようです。しかし、早期の関節リウマチを的確に診断できる整形外科医は、残念ながらリウマチ診療の経験が豊富な優秀なドクターに限られるのが現状です。

 

当クリニックの初診患者で早期の関節リウマチが発見される例のほとんどは、患者さんご自身が関節リウマチを疑って受診された方です。このタイプの患者さんは関節リウマチの診断をして、早期発見例であることを説明するととても感謝してくださることが多いです。

 

これに対して複数の整形外科を受診したが改善しないために当クリニックを受診するに至った方はほとんど関節リウマチが見落とされたまま鎮痛剤処方のみを受けていた方々です。このタイプの方は、関節リウマチの診断をするととても落胆し、診断した私自身を含めて医師不振、医療不信に陥ってしまう方が少なくないので、とても心が痛みます。

 

そこで、つくづく感じることは、多くの皆様に、関節リウマチを知っていただくことの大切さです。その第一歩が、関節リウマチは関節痛や骨・軟骨破壊にとどまらない全身病であるということの理解です。関節リウマチは、専門の内科医が担当すべき病気であることを認識していただきくことが肝要かと思われます。もちろん、整形外科の先生方が関節リウマチを早期に診断して私共リウマチ専門医に紹介してくださることが望ましいのですが、そのようなケースは滅多にないのが現状だからです。

 

 <明日に続く>

 

<はじめに>

 

 

前回は「任脈」のお話をしました。

 

 

「気海」は、おへそより指2本分下にあり、「全身の血行を促しカラダを温める」。

 

 

「水分」は、おへそより指1本分上にあり、「余分な水分を体の外に排出する」効果がある。

 

 

「中脘」はおへそから指3本×2上にあり、「胃腸の働きを高める」「消化不良」に効果があるというお話でした。

 

 

今回は「鼻づまりに効果のあるツボ」をお伝えします。

 

 

 

<鼻づまりに効果のあるツボ>

 

 

「合谷(ごうこく)」「尺沢(しゃくたく)」「孔最(こうさい)」を紹介します。

2019-06-06 00-15

2019-05-23 19-09

 

 

 

「合谷」は親指と人差し指の間にあるツボです。

 

 

「尺沢」肘前面のしわの上で肘を曲げることで緊張する筋肉の腱の外側にるツボです。

 

 

「孔最」尺沢から指4本分下にあるツボです。

 

 

 

季節の変わり目で調子が悪くなりやすいので刺激してみてください。とても効果がありますよ。

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

5)薬物療法の開始と薬物の選択

 

糖尿病の治療の基本は、食事療法と運動療法です。これを十分に行っても改善が不十分な場合があります。その場合には薬物療法を追加することを検討するというのが、日本糖尿病学会のコンセンサスです。

 

ただし食事療法や運動療法が不十分なままでは、薬剤をしても血糖降下は得られにくいです。また、薬剤によっては肥満が誘発されたりして、かえって治療が難渋することもあります。薬物療法併用の有無にかかわらず、食事療法や運動療法は一生継続する必要があります。

 

経口血糖降下剤は、現時点では7系統あります。それぞれの機序や特徴、禁忌、副作用を勘案した上で、個々の患者の病態や環境を考慮して選択する必要があります。たとえば肥満と強いインスリン抵抗性を伴う欧米人タイプではビグアナイド薬であるメトホルミンを第一選択薬とすることに合理的な根拠があります。しかし、わが国には、肥満を合併せずインスリン分泌不全が病態を特徴づけるタイプが多いため、こうした多様な病態に個別に対応する必要があるため、あえて第一選択薬はしていされていません。

 

薬物療法に際して特に注意すべき副作用の筆頭は、低血糖です。低血糖、とくに重症低血糖は脳心血管系のリスクを高めます。そのため、薬剤選択に当たっては、状態が許されるならば、単独では低血糖を起こす可能性が低い薬物から開始します。

 

<脳心血管病予防のための血糖管理(完)>

4)血糖コントロールの指標と個別目標の設定

 

糖尿病のコントロールは、個々の症例ごとに適切な治療目標を設定します。そのためには、年齢や合併症等を勘案することが求められます。

 

糖尿病患者では、脳心血管病リスクを大幅に低減させるためには、血糖だけでなく、血圧・脂質についても同時に治療を強化することが有効です。

 

また、生活習慣病指導も重要です。

 

レムニッセンス効果といって、ある時期に行われた血糖コントロール治療の効果は、その後、年余にわたり持続します。ですから、早期に治療を開始し、中断しないことがとりわけ重要です。

 

血糖コントロールは、患者の過去1、2カ月間の平均血糖値を反映するHbA1c値を重視します。

 

また、空腹時・食後血糖値等も計測して総合的に勘案します。

 

糖尿病の個々の病態に応じた管理目標の設定のためには、まず、主に細小血管症を中心とした合併症予防のための基本的目標を目指すことになります。これはHbA1c7%未満(概ね空腹時血糖値130㎎/dl未満に相当)になります。ただし、耐糖能異常の段階であっても、大血管症発症リスクが上昇するので、脳心血管病予防の観点からは、低血糖に注意しながらHbA1c6%未満を目指すことが望まれます。

 

日本人では糖負荷試験(OGTT)後の高血糖の方が空腹時血糖より大血管症のリスク因子としては強力です。そのため食後血糖値として食後2時間血糖値180㎎/dl未満(概ねHbA1c7%未満に相当)を参考にすることは有用です。

 

また、高齢者については、個人差が大きいこともあり、低血糖等の副作用の出現、その他の理由により、どうしても治療強化が困難な場合には、HbA1c8%を目標とすることもあり得ます。

 

<明日に続く>

3)併存症と合併症の診断

 

糖尿病は、脂質異常症や高血圧、肥満、脂肪肝等、他の脳心血管病リスク因子を併発していることが多いです。とくに、大血管症のリスク診断には、これらの併存症の診断と評価が重視されます。

 

また、糖尿病性腎症、網膜症等の細小血管合併症は、それ自体が糖尿病患者の予後に大きな影響を与えます。それに加えて、早期あるいは軽度であっても、大血管症の発症リスクが高まります。したがって、脳心血管病のリスク評価に用いられています。

 

合併症が疑われる症状の問診をします。その症状リストは、視力低下、足のしびれ感、歩行時下肢痛、勃起障害、無月経、発汗異常、便秘、下痢、足潰瘍・壊疽等です。こうした問診とともに腎症については、尿アルブミンと尿クレアチニンを測定して評価し、眼底検査を行います。

 

 <明日に続く>