第4週:内分泌・代謝病・神経病 10月24日(木)脳心血管病予防のための血糖管理(管理目標を中心に)

4)血糖コントロールの指標と個別目標の設定

 

糖尿病のコントロールは、個々の症例ごとに適切な治療目標を設定します。そのためには、年齢や合併症等を勘案することが求められます。

 

糖尿病患者では、脳心血管病リスクを大幅に低減させるためには、血糖だけでなく、血圧・脂質についても同時に治療を強化することが有効です。

 

また、生活習慣病指導も重要です。

 

レムニッセンス効果といって、ある時期に行われた血糖コントロール治療の効果は、その後、年余にわたり持続します。ですから、早期に治療を開始し、中断しないことがとりわけ重要です。

 

血糖コントロールは、患者の過去1、2カ月間の平均血糖値を反映するHbA1c値を重視します。

 

また、空腹時・食後血糖値等も計測して総合的に勘案します。

 

糖尿病の個々の病態に応じた管理目標の設定のためには、まず、主に細小血管症を中心とした合併症予防のための基本的目標を目指すことになります。これはHbA1c7%未満(概ね空腹時血糖値130㎎/dl未満に相当)になります。ただし、耐糖能異常の段階であっても、大血管症発症リスクが上昇するので、脳心血管病予防の観点からは、低血糖に注意しながらHbA1c6%未満を目指すことが望まれます。

 

日本人では糖負荷試験(OGTT)後の高血糖の方が空腹時血糖より大血管症のリスク因子としては強力です。そのため食後血糖値として食後2時間血糖値180㎎/dl未満(概ねHbA1c7%未満に相当)を参考にすることは有用です。

 

また、高齢者については、個人差が大きいこともあり、低血糖等の副作用の出現、その他の理由により、どうしても治療強化が困難な場合には、HbA1c8%を目標とすることもあり得ます。

 

<明日に続く>