第5週:アレルギー・膠原病・血液病 10月30日(水)関節リウマチ診療の実際

3)関節リウマチの検査・診断と治療方針

 

関節リウマチ(RA)の診療で最も重要なのが早期診断です。その理由は、RAにおける関節破壊は発症早期に強く、早期発見による可能な限り速やかな有効治療の開始と厳密なコントロールで未然に防止することが容易になるからです。そのためにはRAに類似する症状や検査所見を示す他の疾患との鑑別を考えながら検査を進めていくことが鍵になっています。

 

RAでは、一般血液検査では貧血と白血球・血小板増多がみられます。

また炎症所見としてC反応たんぱく(CRP)高値、血沈亢進を認めます。

 

RAの予後不良因子を考慮した早期の治療指針も推奨されています。

予後不良因子としては、多関節の圧痛および腫脹、X線学的な骨びらん、リウマトイド因子および/または抗CCP抗体の高値陽性、赤沈の亢進および/またはC反応性蛋白(CRP)高値、高齢、女性、遺伝子型(HLA-DR1共有エピトープ)、HAQ(RA患者のQOL評価スコア)の悪化、喫煙が挙げられています。

 

また、近年、エコー技術装置が高解像度となり、7.5~20MHzの高周波利用が可能となったことにより体表面近くの身体構造物、すなわち、腱、靭帯、小関節の観察が容易になりました。関節エコー検査では、通常画像をグレイススケール(Bモード)とパルスドプラスケールで描出します。

パルスドプラ法では、滑膜炎症部位が赤色に写ります。

 

当クリニックの関節エコー用のプローブの周波数は7.5MHzで、高性能です。また通常画像の他、カラードプラ―も完備しているので、高度な診断が可能となっています。骨びらんの検出はエックス線写真より早期から解析可能です。小関節の炎症の把握には関節エコーがとりわけ有用です。X線検査とは異なり被ばくがない超音波エコー検査では、リアルタイムに画像を示してゆっくり説明しながら検査ができるメリットも大きいです。なおパルスドプラ法では、滑膜炎症部位が赤色に写るのでイメージが理解を助けてくれます。

 

<明日に続く>