最近、ワクチン接種を希望される方が増えてきました。それに伴い、いくつかの質問をお受けします。

 

しかし、そのほとんどは厚生労働省のHPで紹介されているQ&Aを読んでいただければ解決します。

 

今回は、高円寺南診療所にてそれを簡略化し、重要部分に下線を施したものをご紹介します。なお、麻しん、はすべてはしかに書き改めました。

 

 

Q&A

Q.1 

なぜ、平成19・20年に10代から20代の人を中心に流行したのですか?

 

A.1 

10代から20代の人たちの中には、今まで一度もはしかの予防接種を受けていない人がいます。

 

そもそも予防接種は、一度で十分な免疫が獲得できるとは限りません。

 

はしかワクチンを一回接種しても、数%程度の人には十分な免疫がつかないことが知られています。そのような人達が蓄積していたものと考えられています。  

 

幼少時にワクチンを1回のみ接種していた当時の10代から20代の人は免疫が強化されておらず、時間の経過とともに免疫が徐々に弱まって来ている人がいたことも原因の一つと考えられています。

 

 

Q.2 

妊娠しているのですが、はしかの流行が心配です。どうしたらよいでしょうか?

 

A.2 

妊娠中にはしかにかかると流産や早産を起こす可能性があります。

 

妊娠前であれば未接種・未罹患の場合、ワクチン接種を受けることを積極的に検討すべきです。

 

ただし既に妊娠しているのであればワクチン接種を受けることができません

 

その場合ははしか流行時には外出を避け、人込みに近づかないようにするなどの注意が必要です。

 

また、はしか流行時に、同居者にはしかにかかる可能性の高い方(例えばはしかワクチンの2回接種を完了していない者で、医療従事者や教育関係者などはしかウイルスに曝される可能性が高い者など)がおられる場合はワクチン接種等の対応について、かかりつけの医師にご相談ください

 

 

Q.3 

外国ではしかになると大変なのですか?

 

A.3 

特にはしかの発生がない、あるいは非常に少ない国・地域では、滞在中にはしかを発症すると、感染の拡大防止のため、発症した本人の移動制限だけでなく、同行者の移動も厳しく制限されることがあります。

 

 

Q.4 

海外渡航に際して、はしかについて注意すべきことはありますか?

 

A.4 

依然として多数の患者の報告があるのは、主にアジア及びアフリカ諸国です。

 

中でも、中国、インド、モンゴル、パキスタン、ナイジェリアなどからの報告数が特に多いです。  

 

日本を含めたほとんどの先進国では、はしか対策としてはしかを含むワクチン(主にMMR【はしか・ムンプス・風しん】ワクチン)の2回接種法がとられています。

 

こうした対策の結果、世界各国でははしか排除を達成する国が増加しています。

 

しかし、はしかにかかった(検査で診断された)ことがない方が海外渡航される時には、あらかじめはしかの予防接種歴を確認し、はしかの予防接種を2回受けていない場合、または接種既往が不明の場合には予防接種を受けることをおすすめしています。

 

 

重要なトピックですので、先月中にご報告できなかった日本内科学会での私の受講メモをご紹介します。

 

これまでは、急性腎不全という括りで扱われてきた病態が、2000年以降に新たに急性腎障害(acute kidney injury:AKI)と呼ばれるようになって久しいのですが、一般の皆様には、まだ馴染みのない名称ではないかと思います。

 

いずれにせよ、両者とも急激に腎機能が低下する腎障害の病態を指すものであって、迅速かつ適切な対応を要する臨床上の重要な課題です。

 

 

第115回 日本内科学会総会 第3日 ―平成30 年4 月15 日()― 講演会場(京都市勧業館(みやこめっせ)第3 展示場)より

 

教育講演18.14 時00 分~14 時20 分(20 分) 座長 東北大学 伊藤貞嘉 

急性腎障害の新たな診断と治療…………東京大学 土井 研 先生

 

まず、急性腎障害(AKI)とは、単に急性腎不全からの名称変更ではありません。

 

両者には、発症に至る臨床的背景が異なります。

 

急性腎障害とは、敗血症や多臓器不全に急激な腎障害が合併するようなケースで生じる病態です。

 

これは、生命予後を著しく悪化させる病態であるため、腎臓専門医のみならず循環器専門医や集中治療医が注目するに至って成立した疾患概念です。

 

 

つまり、急性腎障害(AKI)は、従来の急性腎不全以上に早期診断・早期治療介入を要する病態であって、それによって予後改善を図る必要があるとの認識の上に、国際的に統一された診断基準(KDIGO2012)が示され広く使われるようになりました。

 

 

AKIの診断基準では、従来の指標よりも早期に腎障害を検出できるAKIバイオマーカーが示されています。本邦では以下の2種類が保険収載されています。

 

尿L-FABP(liver-type fatty acid binding protein),

 

NGAL(neutrophil gelatinase-associated lipocalin)

 

しかしながら、これらがAKIの治療成績向上に繋がるかどうかは未知数です。

 

 

AKIに対する治療は、特異的に有効な治療法は存在しないため、循環維持と腎毒性物質の回避といった保存的治療が主体ですが、早期介入が不可欠であるという認識が持たれています。

 

さて、それでは高円寺南診療所における日常診療に関してはどうか、という課題を少しばかり検討してみます。

 

まず、AKIが問題になるのは超高齢者です。

 

しかも、その超高齢者に対して侵襲的な治療が試みられている状況がAKIの背景となります。

 

つまり、具体的なケースとしては、ICUにおいて積極的な治療をしているような臨床状況であるため、高円寺南診療所における日常診療との隔たりは大きいです。

 

逆に言えば、日常の診療での適切な健康管理により、高齢者の敗血症や多臓器不全に代表されるような病態に陥るリスクを減らしていくことこそが高円寺南診療所の医療指針といえるのであって、今後はAKIの予防に一層の注意を払っていかなければならないでしょう。

 

 

高円寺南診療所では

 

〇起床・就寝など日常生活リズムの確立をはじめ、養生と鍛錬のバランス、すなわち、食事、運動、休養およびストレス・コントロール、予防接種などをはじめ、腎臓その他の諸臓器を強化する非薬物療法を優先している方針からも、すでにAKI予防に叶う診療体系を確立しています。

 

 

〇また、薬物療法における処方ピラミッドとしては、食事内容の見直しとともに、ミネラル類⇒ビタミン類⇒漢方薬という優先順位に従い、インフラを確立してから、必要に応じてなるべく腎毒性の少ない安全な一般薬剤を慎重に処方しています。

 

このような処方指針が、AKIの予防に貢献していることは、最近の知見から徐々に明らかになってきていることを確認することができます。

 

 

〇腎機能の評価に対しては、血清クレアチニンと尿量という従来の指標のみで十分な管理が可能であると考えています。

 

 

〇急性腎障害(AKI)は、超高齢者等に対する侵襲的な治療法の進歩がもたらした病態であるということは今後の医療を考えるうえで、とても大きな示唆を与えているものと思われます。

 

抗菌剤の使用については、耐性菌の出現等の問題などが国際化しています。

 

しかし、初期の段階で、躊躇せずに、しかも可能な限り適切に使用しなければならない疾患も数多く残されています。

 

その代表の一つが、肝・胆道感染症、とりわけ急性胆管炎や胆嚢炎です。

 

 

 

肝・胆道感染症に関する治療総論

 

肝・胆道感染症は、主に大腸菌、肺炎球菌、エンテロバクター属、緑膿菌などの他、バクテロイデス属などの単独または複数感染が最も多く、それが臨床上の問題点になっています。

 

上記を念頭にセファゾリン(CEZ)、セフメタゾール(CMZ)、セフォチアム(CTM)、ピペラシリン(PIPC)、タゾバクタム・ピペラシリン(TAZ/PIPC)、スルバクタム・アンピシリン(SBT/ABPC)、ラモタキセフ(LMOX)、メロペネム(MEPM)、ドリペネム(DRPM)などの抗菌薬のうちから適切なものを選択して投与することを考慮します。

 

 

軽症例では、ニューキノロン系薬などの経口投与で済むことがほとんどです。

 

重症例では、大腸菌などのグラム陰性菌に有効なアミノグリコシド系薬を併用することがあります。

 

嫌気性菌が疑われる場合には、これに感受性のある薬剤を選択します。

 

なお、効果的な治療のためにはドレナージが必要となりますが、さらに手術の適応も常に考慮しておく必要があります。

 

胆嚢炎や胆管炎の多くは、腸内細菌の上行感染であり、グラム陰性桿菌(大腸菌、クレブジエラ属、緑膿菌)、腸球菌、嫌気性菌(クロストリジウム属、バクテロイデス属)などが原因菌となります。

 

 

 

肝・胆道感染症に関する治療各論

 

1)胆管炎では診断がつき次第、速やかに抗菌薬を投与します。

 

その際は、胆汁移行性が良く、抗菌スペクトラムが広い感受性のある抗菌薬を選択します。

 

ただし、耐性菌の選択に留意し感受性検査を速やかに行います。

 

軽症・中等症例はセフェム系薬、ニューキノロン系薬にクリンダマイシンの併用が推奨されます。

 

重症例では複合筋・耐性菌感染の可能性が高く、幅広い抗菌スペクトラムをもつペニシリン系薬(タゾバクタム・ピペラシリン)やカルバペネム系薬が、代替薬にはセフェム系薬やニューキノロン系薬にクリンダマイシンを加えます。

 

腸球菌に対してバンコマイシンの併用を考慮します。

 

ただし、海外ではメトロニダゾール静注が嫌気性菌に対する第一選択薬です。

 

日本での今後の動向が注目されます。

 

内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)は、必要な検査ですが、検査の操作により胆道感染症を増悪させてしまうリスクがあります。

 

これはいわば医原性の感染症ですが、それに対する予防抗菌薬としてはセフェム系薬とペニシリン系薬が推奨されています

 

<参照:急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2013(日本胆道学会ほか)>。

 

中等症以上の症例では、胆嚢ドレナージを施行します。

 

 

2)急性胆嚢炎では原則、胆のう摘出術を前提とした初期治療(全身状態の改善)が必要です。

 

絶食・十分な輸液と電解質の補正・鎮痛薬および抗菌薬投与を行いつつ、手術や緊急ドレナージ術の適応を考慮します。

 

抗菌薬の選択はほぼ胆管炎と同様に、重症度に応じて行います。

 

 

参考:Tokyo Guidelines for Acute Cholangitis and Cholecystitis(厚生労働科学研究班、2013

アレルギー・リウマチ科の診療対象は、多くの難病が含まれています。

 

診断は技術ばかりでなく手続きが複雑なものが少なくありません。

 

また、ようやく診断が確定したとしても、治療エビデンスが乏しく、すべての患者さんを満足に導くことが困難なケースが少なくありません。

 

現在のところ標準医療では限界があります。

 

 

そこで、一考すべきは、生活習慣、食事、運動、心理社会的要因や環境整備です。

 

多岐にわたり、関与の程度も個々人によってまちまちであるため、エビデンスレベルは低くならざるを得ないのが残念ですが、臨床とは個性(体質・気質・行動傾向など)を対象とするものであること、エビデンスといってもオールマイティではないことを忘れてはならないと思います。

 

現代の内科学は薬物療法に偏りがちであるのが災いしている疾患群があります。

 

そうした疾患に対しては、非薬物療法を積極的に上手に取り入れて活用するなど個別の工夫も有意義だと思います。

 

実際に、線維筋痛症や関節リウマチを合併した二次性SSの方は、高円寺南診療所では決して珍しくありません。

 

そうした皆様の多くは水氣道®に計画的に参加され、周期的な運動習慣を身に着けることによって病気を克服しつつある姿を目の当たりにするにつけて、複雑な全身病、難病に対する薬物療法の限界と、非薬物療法の併用の意義を改めて実感しているところです。

 

 

それでは、SSに対する標準的な情報を整理してみることにします。

 

シェーグレン症候群(SS)は、涙腺、唾液腺など外分泌腺に対するリンパ球浸潤と自己抗体産生を特徴とする自己免疫疾患です。

 

男女比は1:17.4、平均年齢60.8歳です。わが国では2015年より指定難病となっており、専門医には診療ガイドラインに基づいた正確な診断・重症度判定が求められます。

 

そのSSの網羅的な診療ガイドラインは2017年に公開されました。

 

臨床症状は、乾燥症状を主体とする腺病変と、その他の臓器病変である腺外病変に分けられます。

 

60%を占めるのが他の膠原病を合併しない一次性SSで、

 

40%は関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの膠原病を合併する二次性SSです。

 

したがって、何らかの膠原病を診断した際には、SSの合併を考慮してスクリーニングを行うことが望ましいです。

 

また、除外診断として、頭頸部の放射線治療歴、活動性C型肝炎、AIDS、サルコイドーシス、アミロイドーシス、移植片対宿主病(GVHD),IgG4関連疾患、抗コリン薬を内服している場合には、十分な休薬期間をとって検査しなければなりません。

 

 

指定難病とされる重症の基準は疾患活動性の指標であるESSDAI5点以上と規定されています。

 

ただし、ESSDAIに含まれないが重要な臓器病変として、慢性甲状腺炎、原発性胆汁性胆管炎があり、SS診断時にはこれらの検索も行います。

 

 

治療は、診断が確定すればアルゴリズムの流れに従った治療を試みますが、腺外病変は多様であり、かつそれぞれの病変に対する治療のエビデンスは乏しいことが問題です。

 

 

一次性SSは基本的には予後良好とされますが、経過中は腺病変の悪化と新たな腺外病変の出現に注意します。

 

予後に影響する合併症として悪性リンパ腫や、肺高血圧症が挙げられています。

 

悪性リンパ腫の発生予測因子として、耳下腺腫脹、リンパ節腫脹、紫斑、ASSDAI高値、M蛋白血症、低補体血症、クリオグロブリン血症、リウマトイド因子、小唾液腺生検における胚中心様構造などが知られています。

 

高リスク群では慎重に経過観察をする必要があります。

ウイルス感染症のうち感染後長い潜伏期を経て発症し進行性の経過を示すものを言います。

 

変性疾患様の発症の仕方をし、慢性進行性の経過により、死の転帰をとります。

 

亜急性硬化性全脳炎進行性多層性白質脳症プリオン病クロイツフェルト‐ヤコブ病などがあります。

 

今回は、プリオン病、とくにクロイツフェルト-ヤコブ病についてまとめてみます。

 

 

プリオン病とは、プリオン蛋白(PrP)が何らかの原因で異常型プリオン蛋白に変わり、これが脳内に蓄積して発症する予後不良の脳疾患です。

 

プリオン病は、孤発性(約80%)、遺伝性(約15%)、獲得性(約5%)に分類されます。

 

最多の孤発性のものはクロイツフェルト‐ヤコブ病に属し、その発症原因は解明されていません。

 

遺伝性プリオン病は常染色体優性遺伝形式をとり、遺伝子検査によりPrP遺伝子の突然変異を認めます。

 

獲得性プリオン病は、かつて儀式的な食人習慣が原因となるkuru病がありましたが、食人禁止により発病は終息しました。

 

 

医原性クロイツフェルト‐ヤコブ病は硬膜移植、角膜移植、ヒト下垂体由来成長ホルモンなどが発症原因となっていました。

 

特に本邦では、かつて脳外科手術の際に年間約2万件の硬膜移植が行われていました。

 

その際、汚染された輸入ヒト硬膜の使用(乾燥脳硬膜移植)により、日本の罹患率の500倍に当たる症例がクロイツフェルト-ヤコブ病に感染したのではないかと疑われています。

 

現在はヒト由来成分を極力使用しない方向になり、また十分な不活化が行われています。

 

また牛海綿状脳症(BSE)感染牛の摂取による変異型クロイツフェルト‐ヤコブ病が話題になったこともありました。

 

牛海綿状脳症(BSE)は、牛の病気の一つで、BSEプリオンと呼ばれる病原体に牛が感染した場合、牛の脳の組織がスポンジ状になり、異常行動、運動失調などを示し、死亡するとされています。

 

かつて、BSEに感染した牛の脳や脊髄などを原料としたえさ(牛骨粉など)が、他の牛に与えられたことが原因で、英国などを中心に、牛へのBSEの感染が広がり、日本でも平成13年9月以降、平成21年1月までの間に36頭の感染牛が発見されました。

 

 しかし、日本や海外で、牛の脳や脊髄などの組織を家畜のえさに混ぜないといった規制が行われ、厚生労働省では、最新の科学的知見に基づき、国内検査体制、輸入条件といった対策全般の見直しを行っています。

 

 

ここで、プリオン病とクロイツフェルト‐ヤコブ病の関係について整理しておきます。

 

プリオン病は様々な原因と病状をもたらしますが、クロイツフェルト‐ヤコブ病は、脳の海綿状変性を特徴とし、亜急性進行性認知症や多彩な神経症状を呈する疾患です。

 

クロイツフェルト-ヤコブ病は感染症法の5類感染症であり、届け出が必要です。

 

他への感染予防のため、隔離の必要はないものの、患者の臓器、血液、脳脊髄液の取り扱いは注意を要します。

 

60歳以上での発症が約75%であり、男女差はなく、罹患率は100万人に1人で、日本では100人程度と推計されます。

 

認知症、小脳症状、視覚異常で発症し、急速に進行します。

 

検査は、遺伝子検査(遺伝性プリオン病ではPrP遺伝子異常)、髄液検査(異常型PrP蛋白、14-3-3蛋白や総タウ蛋白の上昇)、脳波検査(周期性同期性放電:PSD 1回/秒)、MRI検査(DWI拡散強調画像で、基底核や皮質の高信号域、大脳の進行性萎縮)などです。

 

ただし、治療は対症療法のみであるため、経過は進行性であり、大半は1~2年で死亡します。

 

 

私は初期研修した30年ほど前の虎の門病院の脳神経外科でも、輸入ヒト硬膜(乾燥脳硬膜移植)を使用していたことを記憶しています。

 

患者さんのその後の経過が気になるところです。

 

今回は、現代の生活習慣病を考えるうえで最も根本的な病態の一つについて振り返ってみることにしました。

 

診療指針の基本は「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017」に準じます。そこでは動脈硬化性疾患のリスクカテゴリーの分類が提示されています。

 

この分類に応じて脂質管理目標を目指し、原則としてスタチンを使用します。

 

特にLDLコレステロールのレベルが重視されています。

 

いずれも予防目的なので、生活習慣管理が重要です。

 

しかし、薬物療法を行う場合には、筋障害(筋痛、筋力低下)、肝障害、CPK上昇などの副作用に対し、患者-医師の相互で確認しながら治療を継続していくことが必要です。

 

なお、このガイドラインでは従来のものが改訂されています。

 

 

そこで、改訂のポイントをまとめてみました。

 

1)高リスク群の評価

 

動脈硬化リスクを広く集めようという観点から,リスクの評価は吹田研究を採用し,10年間の冠動脈疾患の発症を予測するツールが作成されました。

 

その結果、高尿酸血症睡眠時無呼吸症候群もリスクとして考慮すべき病態として取りあげました。

 

また,冠動脈疾患の既往糖尿病脳血管障害は,その管理状態や合併症の有無,重積する危険因子により,より積極的な加療が必要となる症例が存在する病態であるため、どのようなケースにおいてさらに強化した管理を必要とするか,を詳述しています。

 

たとえば高中性脂肪血症も血中TG(中性脂肪)が500mg/dL以上であれば重度高TG血症です。

 

その場合は、急性膵炎の予防を考慮すべきなので、フィブラートを積極的に検討します。

 

高LDL-コレステロール、高TG血症が併存する場合は、まずスタチンを優先し、非HDL-コレステロールを指標にして管理します。

 

 

2)二次予防における高リスク病態での厳格なLDL-コレステロールの管理

 

家族性高コレステロール血症(familial hypercholesterolemia:FH)や急性冠症候群など,二次予防での高リスク病態においては,現在の低比重リポ蛋白(low-density lipoprotein:LDL)コレステロールの基準を100mg/dL未満よりさらに厳格な管理、すなわち70mg/dL未満を提言しました。

 

二次予防あるいは低下させるべきLDL-コレステロール量の落差が30mg/dL以上の場合、ストロングスタチンが必要であることが多いです。

 

 

3)家族性高コレステロール血症の記載の拡充

 

家族性高脂血症は、遺伝性の脂質異常症ですが、ヘテロタイプの症例であれば、日常遭遇することも少なくないため、見落としに注意を要します。

 

なお新薬の登場,小児FHへのスタチンの適応拡大などに伴い,家族性高コレステロール血症の診断・治療の記載を詳細に行い,治療法に関してはフローチャートを用いていることを推奨しています。

 

 

まとめ 

「最新の臨床医学」というタイトルで、主に内科学の各専門領域の最新の動向を把握するうえで、「診療ガイドライン」は最重要の情報源であるといえるでしょう。

 

ただし、忘れてならない基本が生活習慣管理にはじまり、食事、運動、および心理社会的側面でのマネージメントにあります。

 

こうした側面が無視されているわけではないのですが、注目度が低下しつつあることは否めないように思います。

 

日常診療において大切なことは、患者さん自身のセルフケアをサポートすることにあります。

 

その基本を忘れないように精進して行きたいと思います。

 

(日本旅行医学会の公式HPを参考として、一部簡略化して掲載しました。)

 

病原体

破傷風の病原菌である破傷風菌は、芽胞を形成する嫌気性グラム陽性菌です。破傷風は、汚染された創傷部で破傷風菌が栄養型に変化して増殖することにより産生する強力な神経毒によって引き起こされます。

 

 

感染経路

破傷風菌の胞子は自然環境の中のどこにでもみられ、傷ついた皮膚から体内に入る可能性があります。

 

通常は屋外で、ケガをしたときに傷口から菌が入ります。

 

しかし、明らかに清潔な浅い傷、外科的処置、虫刺され、歯科感染、開放骨折、慢性の潰瘍や感染、薬物の静脈内注射も特に破傷風の原因になっています。

 

ただし、破傷風はヒトからヒトへと伝染することはありません。

 

 

発生地域

破傷風は世界のあらゆる所で起きます。

 

ほとんどが適切な予防接種を受けていない人たちに限られています。

 

旅行によって破傷風のリスクが増大することはありません。

 

動物やヒトの糞で汚染された土壌または媒介物が感染を伝播します。世界的には、破傷風は農業地域と、土壌あるいは動物の排泄物と接触する可能性が高く、しかも予防接種が不適切な地域で多くみられます。

 

発展途上国では予防接種を受けていない母親から生まれた新生児の破傷風(新生児破傷風)が破傷風の中で最も一般的な形です。

 

 

予防接種を適切に受けている旅行者にはリスクはありません。

 

旅行してもしなくても、適切に予防接種を受けていない人が汚染された物体により傷を負ったり、薬物注射をしたり、非衛生的な状態の中で手術または歯科治療を必要としたときにはリスクが増大します。

 

 

臨床症状

破傷風の急性症状の特徴は、筋肉の硬直と痛みを伴う痙攣で、しばしば顎と首の筋肉に始まります。

 

重症の破傷風は呼吸不全となり死亡につながることがあります。

 

潜伏期間は通常3~21日(平均10日)ですが、創傷の性格、範囲、部位などにより1日から数か月と幅があります。

 

ほとんどの場合14日以内に起きます。一般に創傷の汚染がひどいと、破傷風は重症となり、予後が不良で、潜伏期間も短い傾向があります。

 

 

全身性破傷風

全身性破傷風が最も頻度の多い形態で、80%以上を占めます。

 

新生児破傷風は臍帯断端からの感染により起こります。

 

最も一般的な初発徴候は開口障害です。

 

開口障害に続いて頚部、体幹、四肢の筋肉群の痛みを伴う痙攣および全身性の強直性の発作様の活動または重症のケースでは明らかな痙攣が起こります。

 

全身性破傷風は自律神経系異常や、重度の痙攣を伴った長期の入院が必要なさまざまな合併症を伴うこともあります。

 

全身性破傷風の臨床経過は事前の免疫の程度、存在する毒素の量、患者の年齢や全身の健康状態により異なります。

 

集中治療を行っても、全身性破傷風の致死率は10%~20%です。

 

 

局所性破傷風

局所性破傷風は破傷風のまれな形態で、創傷の部位に近い領域に限定されて筋肉の痙攣が起こります。

 

局所性破傷風はしばしば部分免疫の人に起こり、通常は軽度ですが、全身性破傷風への進行は起こりえます。

 

 

頭部破傷風

最もまれな形態である頭部破傷風は頭部または顔面に病変が起こるもので、耳の感染(中耳炎)に関係があると報告されています。

 

潜伏期間は短く、通常1~2日です。頭部破傷風は全身性破傷風や局所性破傷風と異なり、痙攣よりむしろ弛緩性の脳神経麻痺を起こします。

 

開口障害も認められます。頭部破傷風は局所性破傷風のように全身性の形態へ進行することもあります。

 

 

 

診断

破傷風は確認する検査がない臨床症候群です

 

菌が感染部位から見つけ出されることはまれで、通常判別可能な抗体反応もありません。そのため、診断は臨床的に下されます。

 

破傷風の特徴はまず咬筋と頚筋、続いて体幹の筋肉に痛みを伴う筋収縮が起こります。

 

年長児や成人で破傷風を示唆する最初の徴候として一般的なのが腹部硬直ですが、ときどき硬直は創傷の領域に限定されます。

 

全身性の痙攣が起きますが、それはしばしば感覚的刺激により誘発されます。

 

破傷風の痙攣の典型的な特徴は、後弓反張の姿勢と「痙笑」として知られる、引きつって笑っているような顔の表情です。

 

 

 

治療

破傷風は医学的緊急事態で、入院、抗破傷風ヒト免疫グロブリン(TIG)(ヒト免疫グロブリンが入手できなければウマの抗毒素)の投与、破傷風トキソイドの追加免疫接種、筋痙攣を抑えるための薬剤投与、および創傷の積極的治療と、必要であれば抗生物質の投与による速やかな治療が必要です。

 

抗破傷風ヒト免疫グロブリン3,000-6,000 IUを筋注投与します。免疫グロブリンが入手できなければ、破傷風抗トキソイド(ウマ由来のもの)を、過敏症検査を行った後、静注で単回大量投与します。

 

 

メトロニダゾールは最適の抗生物質です。

 

回復時間が最も短く致死率が最も低いものです。7~14日間大量投与すべきで、それにより必要な筋弛緩剤と鎮静剤の量を減らすこともできます。

 

創傷は可能であれば幅広く壊死組織を切除して取り除きます。新生児の臍帯の断端の場合には、幅広い壊死組織の除去は適応となりません。

 

 

重症度によっては人工呼吸と自律神経系を安定させるための薬剤が必要となります。

 

気道を適切に確保し、必要に応じて鎮静剤を使用します。筋弛緩剤を使用し、気管開口術もしくは経鼻気管内挿管および器械による呼吸補助を併用すれば救命ができるでしょう。

 

治療とともに能動的予防接種も同時開始すべきです。

 

 

 

旅行者のための予防法

 

個人的保護対策

全国民に行われる沈降破傷風トキソイドによる能動的予防接種を受けていれば、10年以上の間継続的に予防されます。

 

初期の一連の基礎免疫接種完了後、単回の追加免疫を受けることにより、高レベルの免疫が獲得されます。

 

旅行者は初期の3回の破傷風トキソイドによる基礎免疫接種と、最後の接種から10年を越えていれば追加免疫を受けて、破傷風に対する適切な免疫を持つようにすべきです。

 

能動的予防接種を受けた母親の乳児は受動免疫を獲得し、新生児破傷風から守られます。

 

破傷風から回復しても免疫ができたとは限りません。

 

第二の発病が起こりえますので、回復後に初期の予防接種が必要になります。

 

 

創傷治療の際の破傷風の予防法 創傷を負った患者の破傷風の予防法は、創傷が清潔なのか汚染されているのかを入念に診察すること、患者の免疫状態の評価、破傷風トキソイドまたは破傷風免疫グロブリンの適切な使用、創傷の洗浄、必要な場合には外科的壊死組織切除、および抗生物質の適切な使用に基づきます。

 

しかし、汚染されていない小さな傷が破傷風を起こしやすいかどうかを判断するのは難しいかもしれません。

 

そうした状況下では、予防接種を3回以上受けている人には、最後の接種から5年を超えていれば、医師は追加免疫としてTdを投与することを考慮すべきです。

 

 

ワクチン

7歳を超える小児は、ジフテリアと破傷風トキソイドのワクチンを混合した無細胞性百日咳ワクチン(DTaP)の5回の接種を完了することが推奨されます。

 

DtaPの一連の接種を完了するために前倒しのスケジュールを使用することも可能です。

 

百日咳ワクチンの禁忌がある場合、2種の抗原(ジフテリアと破傷風)の混合ワクチンの接種も可能です。

 

百日咳の予防接種を完全に受けていない7~10歳の小児で、百日咳のワクチンが禁忌ではない小児は、百日咳を予防するためにTdaP(破傷風とジフテリアと百日咳の混合ワクチン)の単回接種を受けるべきです。

 

破傷風とジフテリアのトキソイドを含んだワクチンの追加免疫が必要であれば、7~10歳の小児は、遅れを取り戻すための指針に従って接種を受けるべきで、初回接種はTdaPが好ましい選択です。

 

 

11~18歳の青年は、推奨される小児用の一連のDTwP/DtaPワクチンを完了していてしかもTdaPを過去に受けていなければ、破傷風、ジフテリア、百日咳に対する追加の予防接種にはTdaPの単回接種をTdの代わりに受けるべきです。

 

過去にTdaPを受けていない青年では、創傷に対する予防法としてTdの代わりにTdaPを使用すべきです。

 

 

19~64歳の成人で過去にTdaPを受けていなければ、破傷風、ジフテリア、百日咳に対する追加の予防接種には破傷風トキソイドを含むワクチン(Tdなど)の最後の接種からの期間に関係なくTdの単回接種の代わりにTdaPの単回接種を受けるべきです。

 

 

65歳以上の成人で、12ヶ月未満の乳児に密接な接触がある、または接触が予想される人で、過去にTdaPを受けていない人は、百日咳を予防し、伝播の可能性を低減するためにTdaPの単回接種を受けるべきです。

 

その他の65歳以上の成人で過去にTdaPを受けていない人は全て、Tdの代わりにTdaPの単回接種をしてもよいです。

 

 

百日咳、破傷風、またはジフテリアの予防接種を受けたことがない青年と成人で、免疫が不完全であったり、免疫が不確かな人は、Td/ TdaPのために作成された遅れを取り戻すためのスケジュールに従うべきです。

 

一連の接種の中のTdの接種はどれについてもTdaPが代わりになります。

 

重度に免疫が低下したまたはHIVに感染した小児と成人については、破傷風トキソイドは、免疫反応が最適にならなくても、正常の免疫の人と同じスケジュールと用量が適応となります。

 

急性腎障害(AKI)と慢性腎臓病(CKD)は、いずれも比較的最近になって提唱された疾病概念です。

 

それぞれに定義がありますが、両者の関係については、これまで十分に議論されてきませんでした。

 

先月の日本内科学会の第2日目の講演で、すでに報告済みですが、重要項目でもあり、今後とも検討が加えられる課題だと思われるので再掲することにしました。

 

 

第2 日―平成30 年4 月14 日()― 講演会場(京都市勧業館(みやこめっせ)第3 展示場)

 

パネルディスカッション 14 時40 分~16 時40 分(120 分)

日常診療における難治性疾患への対応とピットフォール………司会 自治医科大学 永井良三     高知大学 横山彰仁

 

急性腎障害(AKI)慢性腎臓病(CKD):その移行メカニズム………京都大学 柳田素子

 

急性腎障害(AKI)とは、数時間から数日の間に、急激に腎機能が低下する病態であり、入院患者の数%が罹患する頻度の高い疾患です。

 

AKIは致死率が高いのみならず、末期腎不全や慢性腎臓病(CKD)に至る予後の悪い疾患であるということが、近年にわかに明らかになってきました。

 

AKIでは、腎臓の機能単位ネフロンの近医尿細管が主として障害されるのに対して、CKDでは線維化と広汎なネフロン障害が特徴になります。

 

特に高齢者ではAKIがCKDに移行し易く、高齢腎における三次リンパ組織形成は、AKIからCKDへの移行を防ぐ新たな治療標的として有望とされます。

 

 

近年、がんと腎臓病の関わりを捉えたオンコネフロロジーが注目されています。

 

抗癌薬使用時には高頻度にAKIを発症します。

 

AKIがCKDに移行し、腎機能が十分に回復しなければ、抗がん薬投与の継続が困難になり、生命予後が悪化するため、AKIがCKDに移行するのを防ぐための方法の確立が望まれています。

 

 

柳田先生のレクチャーは、シンプルでわかりやすいものでした。

 

腎臓の尿細管は薬物障害を受けやすいことは常に念頭におくべきでしょう。

 

急性腎障害は高い死亡率があり、20%は慢性腎臓病に移行すること、また、慢性腎臓病に急性腎障害が生じると予後が悪いことはよくわかりました。

 

ただ残念なことに治療法が未開拓です。

 

それでは、来週から高円寺南診療所ではどのような取り組みをすべきか、今後も引き続き勉強していこうと思います。

わが国の悪性リンパ腫の罹患率は人口10万人当たり約13で、年々増加の傾向があります。

 

男女比は約3:2と男性にやや多く、65~74歳が発症のピークです。

 

 

悪性リンパ腫は、血液細胞に由来するがんの1つで、白血球の1種であるリンパ球ががん化した病気です。

 

全身のいずれの場所にも病変が発生する可能性があり、多くの場合は頸部(けいぶ)、 腋窩(えきか)、 鼠径(そけい)などのリンパ節の腫(は)れが起こりますが、消化管、眼窩(がんか:眼球が入っている骨のくぼみ)、肺、脳などリンパ節以外の臓器にも発生することがあります。

 

 

発症の原因はまだ明らかではありませんが、細胞内の遺伝子に変異が加わり、がん遺伝子が活性化することで発症すると考えられています。

 

また、一部にはウイルス感染症が関係することや、免疫不全者に多いことが知られています。

 

 

組織学的にホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大別されますが、90%以上がが非ホジキンリンパ腫です。

 

 

近年腫瘍領域で開発されている薬剤の多くは分子標的治療薬です。

 

腫瘍に特異的な分子を標的とするため、腫瘍に特異的に作用することが期待されています。

 

従来の抗悪性腫瘍薬でみられるような脱毛や悪心・嘔吐などの有害事象は比較的軽いことが多いですが、一方で、下痢や皮膚障害などの有害事象が強く現れたり、間質性肺炎や銅静脈血栓症などの重篤な有害事象が生じたりすることがあります。

 

 

悪性リンパ腫の治療は病型により異なります。

 

CD20陽性のB細胞リンパ腫では、リツキシマブを単剤もしくは化学療法との併用で用います。

 

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫〔DLBCLでは、R-CHOP療法(リツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾロン)が治癒を目指せる標準療法です。

 

濾胞性リンパ腫(FL

高腫瘍量の場合、リツキシマブ+ベンダムスチンやR-CHOP療法などが行われます。

奏功例ではリツキシマブ単独療法が選択肢となります。

 

低腫瘍量の場合、無治療経過観察やリツキシマブ単剤療法が選択肢となります。

 

 

節外性NK/T細胞リンパ腫では、アントラサイクリン系薬を含まない多剤併用化学療法が行われます。

 

 

殺細胞性抗悪性腫瘍薬

 

アルキル化薬:DNAをアルキル化してDNA複製を阻害して細胞死をもたらす

ニトロソウレア類のラニムスチン(MCNU)が用いられることがあるが遅発性骨髄抑制があります。その他にはプロカルカジンがあります。

 

代謝拮抗薬:核酸やタンパク合成過程の代謝物と類似構造をもつ化合物で、核酸合成を阻害するなど細胞を傷害する

 

ピリミジン代謝拮抗薬:GEMが用いられます。

 

プリン代謝拮抗薬:フルダラビンは低悪性度非ホジキンリンパ腫に、クラドリビンは低悪性度B細胞腫に適応があります。

 

白金製剤:DNA鎖内または鎖間結合あるいはDNA蛋白結合を作ってDNA合成を阻害

シスプラチン(CDDP)が代表的薬剤です。

 

トポイソメラーゼ阻害薬:トポイソメラーゼはDNAに一時的に切れ目を入れてDNA鎖のからまり数を変える酵素です。

1)トポイソメラーゼⅠ(一本鎖DNAに作用)

イリノテカン(CPT-11)骨髄抑制や高度の下痢に注意

2)トポイソメラーゼⅡ(二本鎖DNAに作用)

エトポシド

 

 

分子標的治療薬

分子標的治療薬は、従来の抗悪性腫瘍薬と異なり、癌の発生や増殖に関わり、癌細胞にとっては「アキレス腱」ともいえるような分子を標的とすることで抗腫瘍効果を発揮する薬剤です。

 

予め分子標的を特定し、それに作用するように薬剤が合成されます。

 

剤型から、抗体製剤(主に注射薬)、小分子化合物(主に内服薬)の二つに分けられることもあります。

 

 

抗体製剤

放射線同位元素標識抗体(イブリツモマブ チウキセタン)

CD20に対するマウスモノクローナル抗体にラジオアイソトープ(⁹⁰Y)を結合したもの

CD20陽性低悪性度B細胞リンパ腫とマントル細胞リンパ腫に対して有効だが、晩発性骨髄抑制に注意する。

 

 

悪性リンパ腫の予後も、病型が大きく関与します。

 

しかし、わが国の統計データはありません。

 

ただし、ホジキンリンパ腫・非ホジキンリンパ腫全体での5年生存率で比較すると、欧米のデータとは異なり、日本ではホジキンリンパ腫は非ホジキンリンパ腫より5年生存率の成績が不良でした。

ウイルス感染症のうち感染後長い潜伏期を経て発症し進行性の経過を示すものを言います。

 

変性疾患様の発症の仕方をし、慢性進行性の経過により、死の転帰をとります。

 

亜急性硬化性全脳炎進行性多層性白質脳症プリオン病クロイツフェルト‐ヤコブ病などがあります。

 

 

今回は、麻疹の流行などとの関連で注目すべき亜急性硬化性全脳炎(SSPEおよび原因ウィルス抗体陽性率の高い進行性多層性白質脳症(PMLについて紹介します。

 

 

亜急性硬化性全脳炎(SSPEは、麻疹罹患後長期間(平均6~8年)経ってから発症し、ウイルスが脳細胞に潜伏持続感染することにより起こります。

 

高度弱毒化ワクチン接種が行われるようになってからは発生数は著減しましたが、近年のワクチン接種率低下に伴い、増加傾向にあります。

 

小児(18歳以下がほとんどで、ピークは6~8歳)に好発します。麻疹感染後または麻疹ワクチン接種後に3~10年の潜伏期間を経て発症します。

 

発症から死亡までの期間は平均6年と伸びていますが、未だ予後不良です。

 

麻疹ワクチンの接種でもSSPEは起こりえますが、自然感染と比較数と発症率は極めて低いです。

 

診断には髄液所見(麻疹抗体価↑↑)が最も重要です。

 

 

進行性多層性白質脳症(PMLは、宿主の免疫機能低下(HIV感染症、悪性腫瘍、自己免疫疾患、ステロイドの投与など)により、JCウイルスが乏突起膠細胞(オリゴデンドログリア)に感染し、脱髄を生じる病態です。

 

腎臓に無症候性に持続感染していたJCウイルスが免疫能の低下に伴い病原性の強いウイルスに変異し、脳に感染してPMLを来します。

 

発症は25~77歳(平均53歳)で発症します。近年では特にAIDSに合併する頻度が最も高く、他にホジキン病、白血病などに合併します。

 

有効な治療法はありません。

 

ナタリズマブ使用患者での進行性多巣性白質脳症(PML)の多発は良く知られています。

 

その他、最近ではフィンゴリモド、フマル酸ジメチルでも報告が続いています。

 

JCウイルスは成人の70%以上が感染していて、JCウイルス抗体陽性率の高いわが国では、十分なモニタリングが必要です。