心筋症とは、高血圧や虚血性心疾患などの特定の原因なしに、心筋の病変の首座を有する疾患を包含する概念です。

 

国内では日本循環器学会から、「肥大型心筋症の診療に関するガイドライン(2012年改訂版)」が示されホームページから参照可能です。

 

 

診断:

明らかな原因なく心筋肥大を来たし、不均一な心肥大の分布を特徴とします。

 

特に、左室流出路狭窄を有する状態を閉塞性肥大型心筋症とよびます。心筋βミオシン重鎖遺伝子などの多数の遺伝子異常が発見されており、家族歴の聴取が重要です。

 

心筋肥大に伴う相対的心筋虚血は狭心痛を生じ、拡張能障害による左室拡張末期圧上昇は息切れなどの心不全の原因となります。

 

重症不整脈や流出路狭窄と関連して失神、眼前暗黒感などの脳虚血症状を自覚します。

 

左室コンプリアンス低下に伴いⅣ音を聴取し、流出路狭窄を有する例では駆出性収縮期雑音を認めます。

 

心電図では左室高電位、ST-T変化、巨大陰性T波、異常Q波など左室肥大の所見を認め、スクリーニング検査としての感度が高いです。

 

心筋肥大を反映してBNP、心筋トロポニンが上昇し予後予測因子になります。

 

心エコーは診断の中心的な役割を果たします。非対称性中隔肥大が有名ですが、抗壁、前壁、心尖部に肥大が局在することもあります。流出路狭窄の場合は、僧房弁の収縮期前方運動を認めます。

 

心臓MRIでは遅延造影を60~80%の症例で認め心筋の線維化を反映します。

 

心筋生検では心筋細胞の肥大と錯綜配列を認めます。

 

 

 

管理・治療:

①薬物療法ではβ遮断薬は閉塞性肥大型心筋症で特に有効です。

 

内因性交感刺激作用やα遮断作用を有さない薬物が適しています。

 

ACE阻害薬、ARBは左室流出路圧較差を有さず、かつ左室収縮期が低下した症例に適応があります。

 

高度の流出路圧較差を示す場合は血圧低下を誘発するため禁忌です。

 

抗不整脈薬のうちⅠ型抗不整脈薬(ジソピラミド、シベンゾリンコハク酸塩)は陰性変力作用により左室流出路狭窄を軽減します。

 

β遮断薬、カルシウム拮抗薬は頻脈性心房細動合併例の心拍コントロールに用います。ただし、ジギタリスは流出路狭窄を増強させるため禁忌です。

 

アミオダロンは心房細動の予防に有効であり、β遮断薬とともに心室性不整脈に対して投与されますが、突然死予防効果には限界があり、高リスク症例では植込み型除細動器(ICDを積極的に検討します。

 

 

②非薬物療法では、心筋切開術、心筋切除術、僧房弁手術は左室流出路拡大と血行動態上の障害となる僧房弁収縮期前方運動の解除目的で行います。

 

経皮的中隔心筋焼灼術は流出路狭窄の原因となる肥厚した中隔心筋を灌流する冠動脈にエタノールを注入し局所壊死を作成して狭窄を解除します。

 

適応となるのは薬物療法に抵抗性の心不全、狭心症、失神などがあり、左室内圧較差が30mmHg以上、中隔壁圧5mm以上、左室駆出率が40%以上の症例です。

 

 

 

経過・予後:

2002年に行われた国内疫学調査では、肥大型心筋症の年間死亡率は2.8%、死因は不整脈32%、心不全21%でした。

 

肥大型心筋症は心臓突然死の原因となるためリスク評価を十分に行います。

 

高リスク症例では運動やスポーツ競技を禁止します。

 

突然死リスクが低いと判断された症例ではレクリエーション程度の運動は可能です。

 

日本人に多い心尖部肥大型心筋症の予後は良好とされています。肥大型心筋症の5~10%では心筋壁厚の減少と左室拡大が進行し、拡張型心筋症と類似の病態を呈します。

 

この病態を拡張相肥大型心筋症と称し、予後不良であるため経年的な評価が必要です。

はしかの流行が国民的脅威になっています。高円寺南診療所でも麻疹はしか)ワクチン接種の問い合わせがあり、麻疹(はしか)抗体検査麻疹ワクチン接種の対応を始めました。

 

小児科で麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)を小学校入学時までに2回定期接種しておくことが望ましいのですが、接種しないまま成人期を迎えた方も少なくありません。

 

そのため、麻疹はしか)ワクチン接種は、主として小児科医の業務ですが、時代が変わり、内科医が積極的に対応しなくてはならないケースが増えてきました。

 

高円寺南診療所の受診者の背景として、海外出張の多いビジネスマンや、国際的に活躍しているアスリートやアーティストの他に、頻繁に外国旅行を楽しむシニア層が多く、それに加えて帰国子女や外国人留学生・労働者が多いため、必要にせまられて、ちょうど今年の4月に日本旅行医学会に入会【会員番号00003799】したところでした。

 

 

ここで紹介するのは、沖縄旅行歴のある10歳代患者が、麻疹と疑われる前に受診した医療機関での事例です。

 

名古屋市内の医療機関で、医療事務に従事する職員が麻疹を発症したとの報告がありました。

 

国立感染症研究所感染症疫学センター第三室室長で小児科医の多屋馨子先生は、今一度、職員だけでなく出入りの業者やボランティアの人も含めて、麻疹ワクチン接種歴の記録を確認すべきと指摘しています。

 

高円寺南診療所でもさっそく記録書作成の準備に取り掛かります。

 

また「ゴールデンウイークを機に、輸入麻疹の流行リスクが高まることを考えるとなおさら」と強調しています。

 

「医療機関で麻疹が拡散するのは何としても防ぎたい」と繰り返し訴えてきた

 

 

多屋先生の講演の要旨

 

(国立感染症研究所のHPより)を添付します。

 

なお、重要なポイントには下線を施しました

 

2007~2008年のはしかの全国流行のことを覚えている方は多いと思います。

 

多くの大学がはしかで休校になり、社会的な問題にもなりました。

 

当時日本は、海外の国から、はしか輸出国と非難されていました。 その後対策は進んで国内の患者数は激減していますが、今年は海外の多くの国ではしかが流行しています。

 

そのため、海外で感染して帰国してから発病した人がたくさんいます

 

はしかは肺炎や脳炎を併発して、命に関わる重症の感染症です

 

発病すると効果的な治療法がありません。そのため、罹る前に予防することが最も大切です

 

はしかから身を守るには、麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)を1歳以上で2回接種します。

 

2回接種しておけば、99%以上の方が免疫を獲得します

 

どのくらいの人がワクチンを受けているのでしょう?是非自分の予防接種歴を確認してみましょう。

 

 

より詳しい説明(重複する部分もあります)

 

麻疹は麻疹ウイルス(ParamyxovirusMorbillivirus属)によって引き起こされる感染症であり、空気感染(飛沫核感染)、飛沫感染、接触感染と様々な感染経路を示し、その感染力は極めて強いです。

 

麻疹に対して免疫を持たない者が感染した場合、典型的な臨床経過としては10~12日間の潜伏期を経て発症し、カタル期(2~4日間)、発疹期(3~5日間)、回復期へと至ります。

 

ヒトの体内に入った麻疹ウイルスは、免疫を担う全身のリンパ組織を中心に増殖し、一過性に強い免疫機能抑制状態を生じるため、麻疹ウイルスそのものによるものだけでなく、合併した別の細菌やウイルス等による感染症が重症化する可能性もあります。

 

麻疹肺炎は比較的多い合併症で麻疹脳炎とともに二大死亡原因といわれています。

 

さらに罹患後平均7年の期間を経て発症する亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis: SSPE)などの重篤な合併症もあります。

 

先進国であっても麻疹患者約1,000人に1人の割合で死亡する可能性があります。

 

わが国においても2000年前後の流行では年間約20~30人が死亡していました。

 

世界での2015年の5歳以下の小児の死亡数推計によれば、麻疹による死亡は全体の1.2%を占めています。

 

唯一の有効な予防法はワクチンの接種によって麻疹に対する免疫を獲得することであり、2回のワクチン接種により、麻疹の発症のリスクを最小限に抑えることが期待できます。

 

高円寺南診療所での麻疹対応(とくに予防接種について)

 

原則として、麻疹の予防接種は弱毒生ワクチン(乾燥弱毒生麻しんワクチン)を使用します。

目的は麻疹の予防であり、治療用薬剤ではありません。

使用上の注意点として、禁忌事項があります。

発熱、重篤な急性疾患、本剤成分によるアナフィラキシー既往歴、免疫機能異常、妊婦

とくにステロイド・免疫抑制剤使用時には併用禁忌です。麻疹用症状のおそれがあるためです。

ただし、麻疹弱毒生ワクチンは製造量が限られているため、乾燥弱毒麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)を選択せざるを得ないケースもあります。

最も良い適応は、麻疹ウイルスの抗体価および風疹ウイルスの抗体価がともに低い場合ですが、麻疹ウイルスの抗体価のみが低い場合は、乾燥弱毒生麻しんワクチンが第一選択であり、そのワクチンが入手困難の場合は、MRワクチンを用います。

 そこで、ワクチン接種に先だち、麻疹および風疹ウイルス等のウイルス抗体価検査を行うようにしています。

今回のテーマは今月中旬に参加した日本内科学会で未報告のものから選択しました。

 

第115回日本内科学会第1日(4月13日)

 

教育講演4.16 時20 分~16 時40 分(20 分) 座長 新潟大学 成田一衛

加齢腎臓……川崎医科大学 柏原直樹

川崎医科大学腎臓・高血圧内科 柏原直樹先生のレクチャーより

 

 

高齢者は程度の差こそあれ何らかの腎機能障害を伴っていると考えるべきであり、それが高血圧との相互関係を有するため、高円寺南診療所では、血圧測定と尿検査を積極的に取り入れてきました。

 

高齢者の診療に当たっては、全員に必須の基礎的チェック項目とも言えるでしょう。

 

 

高齢者の腎臓の診療における留意点

 

①高齢者は潜在的な腎障害(慢性腎臓病)を有している。

 

②急性腎障害を惹起する高リスク者であり、重症化し易い。

 

③高齢者は水・電解質の恒常性維持機能が低下している。

 

 

加齢に伴い腎糸球体濾過率(GFR)が低下します。

 

GFR低下の背景には、腎実質内の血行動態変化が関係しています。

 

つまり、加齢に伴い間葉動脈から小葉間動脈にかけて内膜・中膜肥厚と内腔狭小化が進行します。その結果、腎間質血流が低下し、広範な組織虚血をもたらします。

 

また、その虚血に対する応答機構も加齢によって減弱するため、進行性腎機能低下を招来することになります。

 

 

加齢に伴い尿細管機能も変化します。

 

具体的には加齢に伴い尿細管におけるNa再吸収能が低下します。

 

塩分摂取量の低下に対する尿細管のNa再吸収亢進は高齢者では若年者よりも2倍近く遅延することが示されています。

 

さらに、脱水等のレニン産生刺激に対する応答やNa排泄を行うために、高齢者では低下します。

 

同等量のNa排泄を行うために、高齢者では若年者と比較して、より長時間を要するために、夜間の尿量増加を来しやすくなります。

 

高齢者では、尿の最大濃縮力が低下します。

 

体液量減少あるいは血漿浸透圧上昇に対するバゾプレシン分泌反応は若年者と同様に維持されますが、バゾプレシンに対する集合尿細管の反応性低下が示唆されています。

 

 

まとめ

高齢者では若年者と比較して体液量やNa濃度の恒常性維持能力が低下していることを念頭に置く必要があります。

 

サイアザイド系利尿薬の使用により、Na血症を来たし、逆に飲水制限によりNa血症を惹起し易くなります。

 

また口渇感も低下していることが多く、容易に体液量の異常をきたしやすいです。

 

したがって、高齢者では少なくとも3か月に1回の血液検査では腎機能関連項目(Cr, BUN,UA)の他に血漿Na濃度を必須の項目として考慮する必要があります。

 

肝癌は、国立がん研究センターの2016年報告によると、がん部位別罹患数第6位、死亡数5位の癌腫です。

 

罹患数は横ばいで、死亡数は減少傾向であり、わが国のがん診療への取り組みの成果の一つとされます。

 

しかし、肝癌は切除しても再発し易い癌腫であることが問題です。

 

 

原発性肝癌には、肝細胞癌(肝細胞由来)、肝内胆管癌(胆管細胞由来)などがあり、わが国では肝細胞癌が肝癌の90%を占めています。

 

わが国の肝癌の診断、治療には肝癌診療ガイドライン2017年版(日本肝臓学会)が重要です。

 

 

診断:

 

①腫瘍マーカー(AFP、PIVKA-Ⅱ)

 

②画像診断(超音波検査、dynamicCT、Gd-EOB-DTPA造影MRI)

 

 

治療:「肝細胞癌治療アルゴリズム」

 

5因子(肝予備能、肝外転移、脈管侵襲、腫瘍数、腫瘍径)により設定され、肝予備能評価はChild-Pugh分類に基づいて行われます。

 

肝切除を考慮する場合はICG検査を含む肝障害度を用いた評価が推奨されます。

 

切除焼却は腫瘍径3cm以内、腫瘍数3個以下、脈管侵襲・肝転移がなく、肝予備能Child-Pugh分類A,Bを満たすことが条件ですが、腫瘍径が3cm超では、切除塞栓の適応です。

 

さらに腫瘍数が4個以上になると、塞栓、動注/分子標的薬、さらに脈管侵襲があれば、塞栓/切除/動注/分子標的薬、さらに肝転移があれば分子標的薬が適応になります。

 

これらに対して、肝予備能Child-Pugh分類Cでは、ミラノ基準内であれば移植、移植不能であれば緩和医療となります。

 

肝癌の外科療法の対象は、したがって、腫瘍数3個以内で、腫瘍径は問題としません。

 

また、放射線療法は骨転移、脳転移に対してのみ「強い推奨」です。

 

 

薬物療法は、分子標的薬ソラフェニブ(ネクサバール®)が、PS良好なChild-Pugh分類Aの症例に対し、推奨されています。

 

これを投与後に増悪した肝癌の二次治療として、レゴラフェニブ(スチバーガ®)が使用されます。

 

 

経過:肝切除後の再発率は年率10%以上で5年後には70~80%に達します。

 

治療後2~3年までは最低でも超高危険群に準じた厳密なサーベイランスを行い、その後は高危険群に準じたサーベイランスが必要です。

昨日より、日本リウマチ学会総会・学術大会が開催されています。

 

会場が有楽町の東京国際フォーラムなので、休診にせず、診療の合間に参加できるのが便利なのですが、集中的に情報収集できないというデメリットもあります。

 

リウマチ・膠原病領域の学術的進歩は目を見張るものがあり。そのため開業医の立場でリウマチ専門医としての水準を維持していくことは相当の覚悟が必要となってきます。

 

詳細は、別のコラムに譲りますが、ここでは基本的な問題点について触れておくことにします。

 

 

関節リウマチ(RA)の診断は、旧基準では、典型的なRAの診断基準(1987年)を定義しています。

 

これに対して2010年分類基準は、早期関節リウマチの診断基準です。

 

新しい基準が必要とされたのは、持続性・破壊性関節炎である典型的なRAをつくらないようにすることが目的です。

 

実質的な以後は、典型的なRAとなりうるハイリスク患者を早期に選別することによってメトトレキサート(MTX)などの抗リウマチ治療を早期に開始することができるからです。

 

注目すべきは、血清反応:リウマトイド因子(RF)や抗環状シトルリン化ペプチド(CCP)抗体の比率が高いため、これらがともに陰性であるとRAとして「分類」されにくくなる点です。

 

すなわち、2010年分類基準は、RFや抗CCP抗体を特徴とする破壊性・持続性滑膜炎の診断基準と言い換えることができると思います。

 

こうした持続性・破壊性関炎である典型的なRAとなるリスクの高い早期関節リウマチ発見のための診断基準ということになります。

 

診断に関して留意すべきなのは、鑑別疾患です。特にリウマチ様因子(RF)と炎症反応が陽性となりやすい他の全身性結合組織病(RA以外の膠原病)が問題となります。

 

 

早期関節リウマチの診断に関して、高円寺南診療所は、都内の各大学病院のリウマチ科より豊富な症例に恵まれています。

 

その理由は、患者さん自身が関節リウマチを疑って身近なリウマチ専門医を受診する時代(平成8年から、開業医もリウマチ科を標榜できるようになり、「リウマチ専門医」は平成20年から、厚生労働省が認める広告可能な専門医となりました)になってきたからだと思います。

 

最初から、大学病院に飛び込む方は、かつてに比べてかなり減少してきたのではないでしょうか。

 

ですから、新しい2010年分類基準に基づく診療は、診療所におけるリウマチ専門外来が主たる現場になってきたといっても過言ではないでしょう。

 

 

関節リウマチ(RA)の治療は、薬剤に関して近年著しく増加しました。

 

注目すべきは分子標的型合成抗リウマチ薬(tsDMARDであるJAK阻害薬です。

 

これはMTXとの併用で生物学的製剤(bDMARDよりも有効性が高いともいわれます。

 

分子標的型合成抗リウマチ薬(tsDMARD)は生物学的製剤(bDMARDとともに速効性と骨破壊進行の強力な抑制効果を持っているが高価であることが特徴です。

 

これに対して、現在「関節リウマチ診療ガイドライン2014」で推奨されている従来型合成抗リウマチ薬(csDMARDはコスト面で有利です。

 

 

高円寺南診療所は、早期関節リウマチの診断により、薬物療法は概ね従来型合成抗リウマチ薬(csDMARDで賄えているので安価で済みます。

 

漢方薬鍼灸治療水氣道®を併用しても、医療コストは嵩張らないばかりか、薬物療法の効果を増強できるため、減薬することも可能となりつつあります。

 

脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy: SMA)とは、脊髄の運動神経細胞(脊髄前角細胞)の病変によって起こる神経原性の筋萎縮症で、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と同じ運動ニューロン病の範疇に入る病気です。

 

常染色体劣性遺伝(SMN遺伝子変異)の神経変性疾患です。下位運動ニューロンの変性、近位筋優位の骨格筋委縮と全身の筋力低下を特徴とします。

 

体幹や四肢の筋力低下、筋萎縮を進行性に示します。

 

 

小児期に発症するI 型:重症型(別名:ウェルドニッヒ・ホフマンWerdnig-Hoffmann病)、

 

II 型:中間型(別名:デュボビッツDubowitz病)

 

III 型:軽症型(別名:クーゲルベルグ・ウェランダーKugelberg-Welander病)

 

成人期に発症するIV型に分類されます(表1)。

 

 

発症年齢が遅いほど進行のスピードは緩やかです。

 

下位運動ニューロンのみの障害であり、筋萎縮性側索硬化症(ALS)が上位ニューロンも障害されるのと比較されます。

 

主に小児期に発症するSMAは第5染色体に病因遺伝子を持つ劣性遺伝性疾患ですが、成人発症のSMA IV型は遺伝子的に複数の成因の混在が考えられます。

 

表1

0426

 

 

2017年に治療薬としてヌシネルセンNa(スピランザ®)が承認されました。

 

この薬剤は、原因遺伝子SMN1の重複遺伝子であるSMN2のスプライシングを変えることで、機能するSMN蛋白質を増加させる国産初の核酸医薬品です。

心筋症とは、高血圧や虚血性心疾患などの特定の原因なしに、心筋の病変の首座を有する疾患を包含する概念です。

 

近年、病因や治療に関する新しい知見が得られ、予後改善に寄与しています。

 

わが国では、2005年に「心筋症-診断の手引きとその解説」が作成され、拡張型、肥大型、拘束型、不整脈源性右室心筋症、家族性突然死症候群、ミトコンドリア心筋症、心ファブリ病、たこつぼ心筋症を含む分類が採択されました。

 

また、日本循環器学会から、「拡張型心筋症ならびに関連する二次性心筋症に関するガイドライン(2011年)」「肥大型心筋症の診療に関するガイドライン(2012年改訂版)」が示されホームページから参照可能です。

 

 

拡張型心筋症は、心筋収縮不全と左室内腔の拡張を特徴とします。

 

自覚症状は、心不全によるものが主体です。肺うっ血は労作性呼吸困難、起座呼吸の原因となり、循環不全のために浮腫や全身倦怠感が出現します。

 

身体所見は、視診(頸静脈怒張)、触・打診(肝腫大)、聴診(心Ⅲ音、肺ラ音)を認めます。

 

胸部X線では、心陰影の拡大を認めます。

 

また、心負荷増大に伴い脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が上昇し、心筋トロポニンは約30%の症例で持続高値を示します。

 

 

心筋症の診断において心エコーの役割はとても大きいです。

 

拡張型心筋症では、左室のびまん性壁運動低下と容積拡大を認め、左室壁厚は正常ないし減少します。

 

病歴や身体所見から全身スクリーニングを行い、サルコイドーシス、心ファブリ病など二次性心筋症の鑑別を行うことが必要です。

 

以上の検査は、高円寺南診療所にてすべて実施可能です。

 

 

専門医療機関での精密検査には、

 

①心臓MRI造影検査。これは心筋障害の原因が虚血性か非虚血性かを鑑別する上で有用(拡張型心筋症では、冠動脈支配領域に一致しない孤立性の淡い斑状の分布、左室壁中層を縦走する遅延造影、などを呈します)です。

 

②冠動脈撮影。虚血性心筋症との鑑別のために行います。

 

③心筋生検。他の心筋症を除外するために行います。拡張型心筋症に特異的な所見はありません。

 

 

拡張型心筋症の治療・治療

 

治療の対象は急性非代償性心不全で、利尿薬、硝酸薬、カルぺリチド、静注強心薬、収縮不全と拡張不全の管理(ACE阻害薬、ARB、β遮断薬、ジギタリス、経口強心薬)不整脈の管理(抗不整脈薬)

 

 

デバイス治療等

 

①両心室ペーシング、再同期治療機能付き除細動器)

 

②外科治療

 

③補助循環(大動脈内バルーパンピング、経皮的心肺補助装置、補助人工心肺など

 

④心臓移植(2011年より、植込み型補助人工心臓が保険償還)

 

呼吸管理(低酸素血症に対する酸素療法、場合によっては非侵襲的陽圧換気NPPV)

 

 

拡張型心筋症は予後不良とされてきましたが、近年、治療成績は改善されてきており、5年生存率76%(1999、厚生省調査)と報告されています。

 

この調査以降も、β遮断薬、デバイスなど新しい治療が標準化されています。

 

しかし、重症例の予後はなお不良であり、心臓移植が最終的な治療であることは変わっていません。

 

肺結核は、結核菌による感染症です。

 

治療は多剤併用療法(経口薬の場合、イソニアジド・リファンピシン・エタンブトール塩酸塩・ピラジナミドの4剤)が基本になります。

 

治療期間は、標準治療を実施した場合でも6か月間に及びます。

 

不規則治療や中断は、十分な効果が挙げられないばかりでなく、結核が蔓延し、耐性菌を生み出すことになります。

 

WHOは1995年にDOTS(直接観察下、短期化学療法)戦略を提唱しました。

 

これは「発見した喀痰塗抹陽性肺結核患者の85%以上を治す」ことを目標とした包括的な結核対策です。

 

日本の結核登録率(罹患率に相当)は人口10万対13.9(2016年)まで低下し、低蔓延国といわれる10万対10に近づいています。

 

しかし、初回塗抹陽性肺結核患者の治癒・治療完了率は47.7%(2016年)と良好ではありません。これには結核患者の高齢化(70歳以上の患者割合59.0%)が強く影響しています。

 

潜在性結核感染症の診断と治療は、わが国の結核対策のなかでも重要です。

 

潜在性結核感染症であった場合、免疫抑制状態にある患者(HIV感染症、臓器移植、慢性腎不全・血液透析、糖尿病、生物学的製剤による治療)は、活動性結核を発症するリスクが高いです。

 

 

日本結核病学会「結核診療ガイドライン(改訂第3版)」(2015年3月)

 

厚生労働省「結核医療の基準」(2016年1月)

 

 

高円寺南診療所での結核対応

 

①結核の診断には、検査結果を併せて説明することが重要です。

 

②喀痰検査と塗抹検査が陽性であった場合、胸部X線で空洞がある場合は結核の病態が進行していることになります。そのため、結核診療施設に入院して治療する可能性が高まります。その場合には、感染症法に則って対応する必要性を説明します。

 

③患者・家族などに接触する時間が長い人は結核に感染している可能性があります。

その場合、接触者検診を実施する対象になる可能性について説明します。ただし、すでに呼吸器症状を呈している家族(接触者)が居る場合は、より迅速な対応が必要です。

 

④結核の治療は最短でも6か月間を要すること:治療を成功させるためには厳密な服薬管理が重要です。その際には保健所の担当者が支援を行うことを説明します。

 

⑤結核の治療は多剤併用療法:肝機能障害などの副作用が起こる頻度は比較的高く、定期的に採血を行い副作用の有無を確認します。副作用の症状があった場合には、早期に受診していただきます。

 

⑥リファンピシンは薬物相互作用を起こしやすい抗結核薬です。

現在内服している薬をすべて提示していただき、薬物相互作用の可能性をチェックすることは不可欠です。

肝硬変とは、慢性肝障害の終末像です。

 

それは肝細胞の炎症・壊死とその修復・再生が持続することによって高度な線維化が生じたものです。

 

その結果、肝臓は硬く変化し、肝機能が減衰した状態となります。

 

肝硬変は肝予備能(合成能、代謝能)が低下するために、腹水、肝性脳症、黄疸、静脈瘤(食道、胃など)などの合併症を生じます。

 

これらの合併症がない代償性肝硬変と合併症を有する非代償性肝硬変に分類されます。

 

 

わが国における肝硬変のおもな原因は肝炎ウイルス(B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス)感染であり、肝硬変の成因の約8割を占めています。

 

C型急性肝炎(HCV)は感染すると、健康成人の感染であっても、急性の経過で治癒するのは30%であり、感染例の慢性化率は60~70%で持続感染が続き、特に輸血後肝炎に多く、またウイルスの自然消失は年率0.2%とまれです。

 

日本での一般人口におけるHCV抗体陽性率は2%、約200万人存在するとされています。

 

C型肝炎はほぼ100%ウイルスの永続的な排除が期待できる疾患です。非代償性肝硬変例、肝細胞癌治療中の症例、併存疾患のため予後不良の症例を除き、原則として全例が治療適応になります。

 

HCVキャリアが無治療のとき、慢性肝炎60~70%、肝癌25%、肝硬変15%に進展します。

 

抗ウイルス治療の進歩により、肝硬変の予後は改善しました。

 

しかし、非代償性肝硬変では、種々の合併症が容易に出現し易く、合併症が契機となって肝不全に至る場合があります。

 

 

日々の診療において、血液検査や画像検査により合併症を早期発見するとともに、発症リスクを軽減する治療を行うことが必要です。

 

 

2015年に慢性化疾患患者の掻痒症に対してナルフラフィン®の使用が承認されました。

 

2016年にリファキシミンが肝性脳症に伴う高アンモニア血症に対する抗菌薬として承認されました。

 

 

食道静脈瘤効果療法薬

 

モノエタノールアミンオレイン酸塩(オルダミン®)、ポリドカノール(エトキシスクレロール®、ポリドカスクレロール®)

 

食道静脈瘤の局所に注入することによって静脈瘤を硬化退縮させるものです。

 

ショックに注意して用いる必要があります。

 

 

参照:2017年日本食道学会,食道癌診断・治療ガイドライン(診療ガイドライン第4版)

 

参照:肝硬変診療ガイドライン2015改訂第2版(日本消化器病学会)

 

平成28年B型C型慢性肝炎・肝硬変治療のガイドライン(厚生労働省科研費研究班)

 

 

 

 

関節リウマチ(RA)とは、一言でいえば全身性自己免疫疾患の代表です。

特徴は、持続性・破壊性の関節症状を有することです。

つまり、端的には関節に症状が現れる病気なのですが、全身性の病気であるという理解が必要です。

患者数は国内で約70万人とされてきましたが、80万人とされるようになってきました。

男女比は1:4で女性に多い病気です。

年齢は40~60歳代で、就業年齢に起こるため、RA発症は労働生産性の低下につながります。また、近年では生物学的製剤が普及し、RA患者の労働生産性は向上しましたが、患者医療費を押し上げ、社会経済的にも大きな問題になっています。

RAは身近な疾患であるため、こうした経済的観点は重要であり、抗リウマチ薬を「適切な患者に」「適切なタイミングで」「適切な製剤や投与量を」使用することを常に心がけているところです。

 

薬剤の進歩に合わせてRA分類基準が改訂され、また「目標達成に向けた治療」戦略が公表されました。

以下が、日本リウマチ学会から刊行されています。

2014年「関節リウマチ診療ガイドライン」

2016年「関節リウマチ治療におけるメトトレキサート診療ガイドライン改訂版」

 

しかし、以下のような課題が残っています。

①いまだに治療の決定版がない

難治性のRAの場合、せっかく早期にRAを診断し、ガイドラインに沿って治療を試みても、多くの薬剤にアレルギー反応が出たり、しばらくすると効果不十分となったりすることがあります。その理由は、RAは一括りの病気ではなく、ある程度異質な病気の寄せ集めであるからです。私は<関節リウマチ>という病名自体が多くの患者さんに誤解を与えているのではないかと心配しています。個人的には<関節リウマチ症候群>に改めるべきではないかと考えています。

言い換えれば、同じRAという診断であっても、患者ごとに病態が異なり、それに関連する免疫細胞やサイトカインが異なっています。これは、多くの患者さんに対して原因療法が行えていない現実とも重なってきます。また、抗体製剤にアレルギーがある場合には、有効性の判定以前に、その薬剤の使用が困難になってしまうことも問題になっています。

②長期罹患RAで合併症の多い患者

困るのは、強力な免疫抑制療法が行いにくいケースです。

典型例としては、すでに関節変形が進行してしまっている例、ステロイド薬の合併症が複数生じてしまった例、肺線維症をはじめとする肺合併症を有する例などです。

この場合は、治療目標を臨床的寛解ではなく、低疾患活動性とせざるを得ません。

しかし、悩ましいのは、患者は疼痛や機能障害を訴えることが多く、生活の質QOLが著しく低下することです。とりわけ、問題になるのは高齢RA例です。

認知機能の低下を伴う場合には、いっそうの支援が必要になります。

②医療費の問題

生物学的製剤が使用できるようになってから、RA患者の医療費は急上昇しました。

高円寺南診療所では、高額な生物学的製剤を極力使用しないで済むように、コストの低い抗リウマチ薬を工夫して処方しています。そのために最も大切なのは、早期発見および早期治療です。