最新の臨床医学:4月21日 <肝硬変/胃・食道静脈瘤>

肝硬変とは、慢性肝障害の終末像です。

 

それは肝細胞の炎症・壊死とその修復・再生が持続することによって高度な線維化が生じたものです。

 

その結果、肝臓は硬く変化し、肝機能が減衰した状態となります。

 

肝硬変は肝予備能(合成能、代謝能)が低下するために、腹水、肝性脳症、黄疸、静脈瘤(食道、胃など)などの合併症を生じます。

 

これらの合併症がない代償性肝硬変と合併症を有する非代償性肝硬変に分類されます。

 

 

わが国における肝硬変のおもな原因は肝炎ウイルス(B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス)感染であり、肝硬変の成因の約8割を占めています。

 

C型急性肝炎(HCV)は感染すると、健康成人の感染であっても、急性の経過で治癒するのは30%であり、感染例の慢性化率は60~70%で持続感染が続き、特に輸血後肝炎に多く、またウイルスの自然消失は年率0.2%とまれです。

 

日本での一般人口におけるHCV抗体陽性率は2%、約200万人存在するとされています。

 

C型肝炎はほぼ100%ウイルスの永続的な排除が期待できる疾患です。非代償性肝硬変例、肝細胞癌治療中の症例、併存疾患のため予後不良の症例を除き、原則として全例が治療適応になります。

 

HCVキャリアが無治療のとき、慢性肝炎60~70%、肝癌25%、肝硬変15%に進展します。

 

抗ウイルス治療の進歩により、肝硬変の予後は改善しました。

 

しかし、非代償性肝硬変では、種々の合併症が容易に出現し易く、合併症が契機となって肝不全に至る場合があります。

 

 

日々の診療において、血液検査や画像検査により合併症を早期発見するとともに、発症リスクを軽減する治療を行うことが必要です。

 

 

2015年に慢性化疾患患者の掻痒症に対してナルフラフィン®の使用が承認されました。

 

2016年にリファキシミンが肝性脳症に伴う高アンモニア血症に対する抗菌薬として承認されました。

 

 

食道静脈瘤効果療法薬

 

モノエタノールアミンオレイン酸塩(オルダミン®)、ポリドカノール(エトキシスクレロール®、ポリドカスクレロール®)

 

食道静脈瘤の局所に注入することによって静脈瘤を硬化退縮させるものです。

 

ショックに注意して用いる必要があります。

 

 

参照:2017年日本食道学会,食道癌診断・治療ガイドライン(診療ガイドライン第4版)

 

参照:肝硬変診療ガイドライン2015改訂第2版(日本消化器病学会)

 

平成28年B型C型慢性肝炎・肝硬変治療のガイドライン(厚生労働省科研費研究班)