急性腎障害(AKI)と慢性腎臓病(CKD)は、いずれも比較的最近になって提唱された疾病概念です。
それぞれに定義がありますが、両者の関係については、これまで十分に議論されてきませんでした。
先月の日本内科学会の第2日目の講演で、すでに報告済みですが、重要項目でもあり、今後とも検討が加えられる課題だと思われるので再掲することにしました。
第2 日―平成30 年4 月14 日(土)― 講演会場(京都市勧業館(みやこめっせ)第3 展示場)
パネルディスカッション 14 時40 分~16 時40 分(120 分)
日常診療における難治性疾患への対応とピットフォール………司会 自治医科大学 永井良三 高知大学 横山彰仁
急性腎障害(AKI)と慢性腎臓病(CKD):その移行メカニズム………京都大学 柳田素子
急性腎障害(AKI)とは、数時間から数日の間に、急激に腎機能が低下する病態であり、入院患者の数%が罹患する頻度の高い疾患です。
AKIは致死率が高いのみならず、末期腎不全や慢性腎臓病(CKD)に至る予後の悪い疾患であるということが、近年にわかに明らかになってきました。
AKIでは、腎臓の機能単位ネフロンの近医尿細管が主として障害されるのに対して、CKDでは線維化と広汎なネフロン障害が特徴になります。
特に高齢者ではAKIがCKDに移行し易く、高齢腎における三次リンパ組織形成は、AKIからCKDへの移行を防ぐ新たな治療標的として有望とされます。
近年、がんと腎臓病の関わりを捉えたオンコネフロロジーが注目されています。
抗癌薬使用時には高頻度にAKIを発症します。
AKIがCKDに移行し、腎機能が十分に回復しなければ、抗がん薬投与の継続が困難になり、生命予後が悪化するため、AKIがCKDに移行するのを防ぐための方法の確立が望まれています。
柳田先生のレクチャーは、シンプルでわかりやすいものでした。
腎臓の尿細管は薬物障害を受けやすいことは常に念頭におくべきでしょう。
急性腎障害は高い死亡率があり、20%は慢性腎臓病に移行すること、また、慢性腎臓病に急性腎障害が生じると予後が悪いことはよくわかりました。
ただ残念なことに治療法が未開拓です。
それでは、来週から高円寺南診療所ではどのような取り組みをすべきか、今後も引き続き勉強していこうと思います。
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