不整脈の治療法は、近年大きく変化しています。不整脈の種類によっては植込み式除細動器(ICD)や高周波カテーテルアブレーションなどの非薬物療法の有効性が薬物療法を上回ることが示されています。

 

そうして、不整脈の薬物療法は、自覚症状の軽減や非薬物療法を補完する役割が主となってきました。抗不整脈薬は不整脈そのものよりも基礎疾患や心不全、その他の合併症の有無が重要視されるようになり、それに応じた治療目標が立てられるようになってきました。

 

最近の不整脈関連の学会の動向では、心房細動の心拍数調節の基準や、カテーテルアブレーション治療が議論されています。そこで、心房細動について実際にお受けした質問について回答数することにしました。

 

 

Q 1 

心房細動とは、どのような病気ですか?

 

 

杉並国際クリニックからの回答

心房細動は心房が高頻度に興奮することによって起こる不整脈です。心房細動は発作性にはじまり、徐々に発作の持続時間が長くなって慢性化するという自然経過をたどります。

 

始めて心房細動が確認されたものを初発心房細動といいますが、心房細動発作が7日を超えて持続せず自然停止するものを発作性心房細動と呼びます。これに対して、心房細動の発作が7日を超えて持続するものを持続性心房細動、さらに1年以上持続するものを長期持続性心房細動、心房細動が持続し、除細動不能で洞調律に復帰しないものを永続性(慢性)心房細動と呼びます。

 

洞調律とは、正常な脈拍であり、上大静脈と右心房の境界付近にある洞結節から発生する活動電位が心房、心室へと伝わり、心臓が1分間に60~80拍の心拍数で規則的に収縮する状態です。

 

このような心房細動の進行に心房のリモデリング(再構築)が関与します。心房のリモデリングが進行すると、電気的除細動等により洞調律に復帰しても、すぐに心房細動が再発し持続するようになります。

 

心房細動は、遺伝的要因に加えて、加齢や生活習慣による後天的素因が複合して発症し、徐々に慢性化していく病気です。心房細動の最大の合併症は心原性脳梗塞であり、塞栓症リスク・出血リスクの評価に基づく凝固療法が大切です。

日本肝臓病学会ホームページを検索してみました。

 

すると、日本肝臓学会ガイドラインとして、8件が掲載されていました。

 

その中で、杉並国際クリニックの患者さんに情報提供すべき優先順位から考えて、NASH・NAFLDの診療ガイド2010

 を採り上げることにしました。

 

Q&Aをご紹介した後、杉並国際クリニックの立場からにて、解説を加えてみます。

 

 

Q1

NAFLDやNASHってどんな病気ですか?

 

A1 

肝臓に脂肪が多くたまった状態が脂肪肝です。脂肪肝には、お酒を飲み過ぎた人がなるアルコール性脂肪肝と、お酒をあまり飲んでいないのに肝臓に脂肪がたまってしまう非アルコール性の脂肪肝があります。

 

お酒の飲み過ぎは脂肪肝に留まらず、肝炎や肝硬変になることがよく知られていますが、お酒をあまり飲んでいない非アルコール性の脂肪肝の人でも同じように肝臓の病気が進行してしまうことがあります。

 

このように非アルコール性の脂肪肝から脂肪肝炎や肝硬変に進行した状態までを含む一連の肝臓病のことを「非アルコール性脂肪性肝疾患」(英語表記non alcoholic fatty liver diseaseから「NAFLD(ナッフルディー)」)といいます。

 

つまり、NAFLDはアルコールを除くいろいろな原因で起こる脂肪肝の総称です。その多くは、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧を伴っていて、メタボリックシンドロームの肝臓病と考えられています。

 

“非アルコール性”とはいえ、一滴もお酒を飲まない人だけではなく、少量の飲酒をしている人にみられる脂肪肝もNAFLDに含まれます。1日あたり純エタノールとして男性で30g以上、女性では20g以上のお酒を毎日飲み続けるとアルコール性肝障害を起こすことがあるといわれており、これはビールならば男性で1日あたり750mL(大瓶1本強)、日本酒なら1合半、ワインはグラス2杯半、ウィスキーではダブルで1杯半に相当します。つまり、此れよりも1日の飲酒量が少ない人(女性ではその2/3より少ない人)にみられる脂肪肝がNAFLDということになります。

 

NAFLDのうち80~90%は長い経過をみても脂肪肝のままで、病気はほとんど進行しません。これをNAFLDの病気を意味する「D(Disease)」を除いてNAFL(ナッフル)といいます。しかし、残りの10~20%の人は徐々に悪化して、肝硬変に進行したり、なかには肝がんを発症したりすることもあります。

 

この脂肪肝から徐々に進行する肝臓病のことを「非アルコール性脂肪肝炎」(英語表記non alcoholic steatohepatitisから「NASH(ナッシュ)」といいます。

 

NAFLDは、非アルコール性で超音波検査やCT検査などの画像検査で脂肪肝の所見があって、他の肝臓の病気がないことを確認すれば、診断することができます。一方、NASHは肝臓の組織を調べる肝生検をしないと確実に診断することができません。

 

 

杉並国際クリニックの立場から

解り易い解説だったと思いますが、いかがでしょうか。

ポイントを列記して、コメントを述べます。

 

1)メタボリックシンドロームは肝臓病を引き起こすことがある

⇒メタボリックシンドロームでは肝機能検査や腹部超音波検査が有用です

 

2)お酒をあまり飲まない人でも脂肪肝や肝炎、肝硬変、肝癌になることがある ⇐ お酒をあまり飲まない方にとって、肝臓病は盲点です

 

3)女性では男性の3分の2のアルコール摂取量でアルコール性肝障害をおこすことがある ⇒ お酒の好きな女性は要注意です

 

4)非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、非アルコール性であることを確認し、超音波検査などの画像検査で脂肪肝の所見があって、他の肝臓の病気がないことを確認すれば診断できる

⇒ 杉並国際クリニックで診断することができます。

 

5)非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、肝生検をしないと確定診断ができない ⇒ 杉並国際クリニックでは肝生検を実施していないので、確定診断が必要な場合は、肝臓病専門病院に紹介することになります。

 

しかし、高円寺南診療所時代の30年間では、ほとんどが脂肪肝どまりであり、例外的に肝硬変や肝癌を発見することがありました。脂肪肝の段階で原因となる飲酒習慣やメタボリックシンドロームの是正にむけての介入を行うことによって改善もしくは現状維持をはかることができました。肝生検をしなければならない状態まで放置しないことが肝要だと思います。

心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。

 

すでに日本心療内科学会のHPについてコメントを前回まで続けてきました。

 

今回からは、大学病院の心療内科のHPを紹介します。

 

まずは、東北大学心療内科です。

 

 

<杉並国際クリニックの立場から>でコメントを加えることにしました。

 

治療法

最新の脳科学と臨床薬理学に基づく薬物療法を行います。

また、心身医学療法として自律訓練法、交流分析法などを行っています。

また、認知行動療法を実施しています。

 

更に、心身症に対する絶食療法は東北大学病院心療内科が開発した心身をリフレッシュする治療法です。

絶食を10日間行いますが、これにより、ケトン栄養になってβヒドロキシ酪酸が増加し、それとともに前頭部脳波αパワーが増大し、陽性情動が生じます。この時期に心理療法を併用することにより、持続的認知行動変容に導くものです。

 

適応は過敏性腸症候群が中心であり、禁忌があり、絶食を完遂する一定の自我強度が必要ですので、実施は慎重にしています。

 

 

 

<杉並国際クリニックの立場から>

杉並国際クリニックの診療スタンスでは、「生活指導をはじめとして、心身医学療法として自律訓練法、交流分析法、水氣道®などを行っています。

また、認知行動療法を実施しています。東洋医学療法(漢方薬、鍼灸療法)、それに加えてリクリエーション療法として開発中の聖楽表現療法、そして最新の脳科学と臨床薬理学に基づく薬物療法を行います。」という

 

絶食はイエズス・キリスト自身も実践していた自然療法でもあり、とても興味深いのですが、心身症に対する絶食療法(東北大学方式)は入院設備が必要なため、残念ながら外来専門医療機関である杉並国際クリニックでは実施できません。

 

私自身は、「絶食と祈り」によって治せる病気が少なくないのではないかと考えています。

 

<東洋医学の話をしよう3ー臓腑(5) ー 肺>

<はじめに>

 

前回は「」について解説しました。

 

 

「脾」の働きは

 

 

(1)運化(うんか)ー食べ物を消化吸収し水穀の精微(すいこくのせいび)をつくる

 

 

(2)昇清(しょうせい)ー水穀の精微を心肺へと昇らせる

 

 

(3)統血(とうけつ)ー血の脈外への漏出(出血)を防ぎます

 

 

(4)生血(せいけつ)ー水穀の精微から血を生成する

 

 

「脾」は「肌肉(ひにく)」「唇」「涎(よだれ)」「思(し)」と関係がある。

というお話でした。

 

 

今回は「肺」についてお話します。

 

 

(「」についての記事はこちらにありますので目を通してみて下さい。)

 

 

(「」についての記事はこちらにありますので目を通してみて下さい。)

 

 

(「」についての記事はこちらにありますので目を通してみて下さい。)

 

 

<西洋医学での「肺」の働き>

 

 

肺の働きは呼吸に関連しています。

 

 

鼻と口から始まった気道(空気の通り道のこと)が左右の気管支に分かれ、それぞれ左右の肺の肺門から内部に入っていきます。

 

 

肺の内部に入った気管支はさらに枝分かれしながら細くなり、最終的には肺胞につながります。

 

 

この、肺胞の周囲には毛細血管が網目状に取り巻いており、呼吸によって取り入れた肺胞内の空気から、酸素を血液中に取り入れ、血液中の二酸化炭素は肺胞内に押し出され、「ガス交換」が行われます。

 

 

<東洋医学での 「肺」の働き>

 

「肺」の働きには

 

 

(1)呼吸器系の機能を司る

 

現代医学と同じで呼吸の働きをしています。

 

 

(2)氣をつかさどる

 

空気中から「清氣」を取り込み「脾胃」で作られた「水穀の精微」と組み合わさって「宗氣」が作られます。

 

 

「宗氣」は「心拍運動」「氣血のめぐりをを促す」「肺の呼吸を補助して発声を助ける」働きがあります。

 

 

(3)宣発(せんぱつ)と粛降(しゅくこう)

 

 ①宣発作用は、体内の濁気を排出すると同時に、脾から運輸されてきた津液と水穀の精微を全身に散布する。

 

 

 ②粛降作用は、吸入した清気と脾から運輸されてきた津液と水穀の精微を、肺よりも下部に位置する臓腑まで到達させ、それぞれの臓腑を栄養する。

 

 

最終的には膀胱まで気を降ろし、不要な物質を尿として排泄する。

 

 

つまり、呼吸によって全身に氣を巡らせます。

 

 

(4)水道通調作用ー水分を全身に行き渡らせる作用のことです。

 

 

体表に水分を行き渡らせることで潤いのある肌を保て、発汗も肺の働きが一役になっています。また、余分な水分を腎臓に送ることで体外に排出させる働きもあります。

 

 

(5)皮毛、鼻と関係があるー皮膚は外界の細菌やウイルスから身体を守る働きもしていますが、肺が弱ることで免疫力が下がり風邪をひきやすくなったりします。

 

 

そんな時、鼻水が出るなど、肺と関係が深い鼻に症状が見られるようになります。

 

 

<まとめ>

 

「肺」の働きには

 

(1)呼吸器系の機能を司る

 

(2)氣をつかさどる

 

「清氣」と「水穀の精微」を組み合わせて「氣」を作ります。

 

 

(3)宣発(せんぱつ)と粛降(しゅくこう)

 宣発作用と粛降作用によって全身に氣を巡らせます。

 

 

(4)水道通調作用ー水分を全身に行き渡らせます。

 

 

(5)皮毛、鼻と関係がある

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

ここで掲載する内容は、一般社団法人日本アレルギー学会のホームページ<一般の皆さま>から引用したものです。

 

最後に杉並国際クリニックからのメッセージを加えています。

 

 

蕁麻疹④

Q4 

蕁麻疹の薬物療法について教えてください

 

A

蕁麻疹の治療の基本は原因・悪化因子の除去・回避と、抗ヒスタミン薬を中心とした薬物療法です。

 

発症初期の特発性の蕁麻疹では2,3日間抗ヒスタミン薬を内服し、症状が現れなければ徐々に薬の量を減らします。発症後の時間経過が長いものでは、症状が出なくなってから後に、もう少し長く内服を続けます。具体的には、発症後1~2ヶ月間経過したものでは1ヶ月間、2ヶ月以上経過したものでは2ヶ月間を目安として、症状が現れないように抗ヒスタミン薬を飲み続けます。

 

一方、一種類の抗ヒスタミン薬では症状が治まらない場合は他の薬に変更、追加、またはそれまで飲んでいた薬の量を増やすなどのことが行われます。急性期には、副腎皮質ステロイドの内服または注射が併用されることもありますが、副作用を避けるため、原則として何週間も続けては使われません。まれに、痛み止めや高血圧の治療薬が蕁麻疹、血管性浮腫の原因になっていることがあるので、注意が必要です。

 

蕁麻疹には、一般的につけ薬の効果は期待できないので使いません。また、遺伝性の血管性浮腫の発作にはC1インヒビターの点滴または静脈注射、アナフィラキシーを起こしている場合はアドレナリンの筋肉注射が必要です。妊娠中、特に妊娠2ヶ月に相当する時期までは、安全性の視点から飲み薬は使わないことが望まれます。しかし、いくつかの抗ヒスタミン薬は妊婦が飲んだ経験が蓄積しており、必要に応じて使われることもあります。

 

 

杉並国際クリニックからのメッセージ

 

薬物療法の中心は抗ヒスタミン薬の内服です。

 

急性期には、副腎皮質ステロイドの内服または注射が併用されることもあります。しかし、副作用を避けるため、原則として何週間も続けては使われません。

 

遺伝性の血管性浮腫の発作にはC1インヒビターの点滴または静脈注射、アナフィラキシーを起こしている場合はアドレナリンの筋肉注射が必要です。

ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。

 

HPで確認することができます

 

骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

 

それぞれのQ&Aのあとに【杉並国際クリニックからのコメント】を加えました。

 

________________________

 

Q11

妊娠中の食生活について

 

いとこが妊娠しているのですが、つわりで気分が悪いため、食事が偏ってしまうようです。妊娠中は、子供にカルシウムが移行するので骨粗鬆症になりやすく、食生活で予防した方が良いときいたのですが、どんな食事を勧めれば良いのでしょうか

 

A

新生児の体内のカルシウム総量は約30gで、これは臍帯を通じて母体から胎児に移行したものです。

「日本人の食事摂取基準(2005年版)」では、妊娠・授乳中には700mg/日のカルシウム摂取が勧められています。20~39歳の女性のカルシウム摂取量は476mg/日しかありませんので、毎日の食事から十分な量のカルシウムを摂取する必要があります。食事からとれない場合は牛乳やバター・チーズなどの乳製品の利用を考えましょう。

 

ところで、「現在つわりが発現している」とのことですが、つわりは多くの妊婦(約 90%)が経験する症状で、おおよそ妊娠14~16週には消失し、その後少しずつ食欲が高まってきます。つわりの最中は食欲低下が生じることが多いため、無理をしないで、食べたいものを食べることが大切です。

 

妊娠期の栄養管理は、骨だけでなく、母胎や胎児の健康管理の面からもたいへん重要です。つわりの症状が軽減してきたら、体重管理などに注意を払いながら、不足しがちなカルシウムや鉄をはじめとする栄養素等の摂取に努めてください。

 

【つわりの際の健康管理のポイント】

1.起床時や空腹時には簡単に食べられる食品を用意しておく。

2.脂っこいものや刺激の強いものは避ける。

3.食欲がない場合には、酸味のあるもの、冷たいものを利用する。

4.水分の補給を行う。

5.便秘にならないように気をつける。野菜、果物、いも類、海草類など、繊維の多いものを食べるよう心がける。

6.食事の回数を多くして、一回の食事量は少な目にする。

7.周囲の人に、つわりは正常に妊娠が進行している証拠であることを理解してもらい、両親や夫の援助を受ける。

 

 

【杉並国際クリニックからのコメント】

この質問の相談者は、ご自分自身の相談ではなく、ご自分のいとこについての相談ということです。この相談者の年齢はともかく、妊娠中のいとこのかたは、生殖可能年齢であることになりますが、高齢出産なのでしょうか。

 

このように間接的な相談内容をQ&Aに掲載することは、あまり推奨すべきではないのではないかと思います。なるべく個別具体的でかつ、小児や障害のある方等でない限り、直接的な相談に応じることが臨床家の鉄則だと思います。

 

「妊娠中は、子供にカルシウムが移行するので骨粗鬆症になりやすく、食生活で予防した方が良いときいた」とのことですが、どなたから聞いたのでしょうか。このような一般的な質問であれば、アステラス製薬のHPのQ&Aがすっきりまとまっていますので紹介しておきます。

 

骨粗鬆症Q&A

妊娠すると骨粗鬆症になりやすいのでしょうか?

 

Answer

胎内の赤ちゃんの骨を作るのに必要なカルシウムを補うために、母親の骨からカルシウムが溶け出し、骨密度(骨量)が低くなることがあります。

 

妊娠中、赤ちゃんは胎盤をとおして母親の体から栄養をもらいます。赤ちゃんの骨が作られる時期になると、カルシウムなどの栄養がより多く必要になりますが、母親が食事からカルシウムを十分にとっていないと、母親の骨からカルシウムが溶け出してこれを補います。このような状態が続くと、母親の骨密度が減り続け、その結果、歯がもろくなったり、骨粗鬆症が起こることもあります。妊娠中はとくに、カルシウム不足にならないよう注意しましょう。

 

 つぎに、相談者が心配していることは、妊娠中のいとこが、「つわりで気分が悪いため、食事が偏ってしまう」ということのようです。相談者に対して責任をもって回答するためには、相談者からさらなる情報を収集することが欠かせません。つわり、妊婦にとって生理的な生体反応であることが多いのですが、妊娠悪阻(にんしんおそ)との鑑別が大切です。妊娠悪阻はつわりが重症化した状態なので、原因と発症時期はつわりと同じです。最初は軽いつわりから始まり、徐々に症状が悪化してきて妊娠悪阻の状態になっていきます。

 

妊娠悪阻の症状は、軽度の第1期から重症の第3期までの3段階にわけられます。

 

第1期(嘔吐期)

悪心(おしん)や嘔吐がひどく、食べられません。

悪心とは吐き気を感じたり、胸がムカムカしたりする症状です。

胃の中に食べ物がないのに嘔吐するため、胃液や血液を吐いてしまいます。

食べられない、もしくは食べても吐いてしまうため、体重減少が起こってきます。

水分さえも取れないと、身体が脱水状態になるため、「口の中が乾く」「だるくて仕方がない」「頭痛やめまいがする」といった症状が出ます。

脱水状態のため、尿量が減り、尿中タンパクが陽性になります。

人によっては、便秘になることがあるようです。

 

 

第2期(腎障害期)

第1期の症状が悪化し、尿検査でケトン体が陽性になり、代謝異常による中毒症状として血圧低下が起こります。

食べ物、飲み物さえも受け付けないため、ママの身体は飢餓状態になってきます。

飢餓状態になると、人間の身体は蓄えられている脂肪を分解して生命を維持しようとします。

ケトン体は脂肪を分解する過程で作られる物質です。

ケトン体が尿中に出てくることで、飢餓状態になっていると診断されます。

第2期になると、入院が必要になることがあります。

 

 

第3期(脳障害期)

幻覚、幻聴、意識障害などの脳神経症状があらわれます。

ここまで重症になると、母体、胎児ともに危険な状態です。

妊婦を継続することで母体の生命に危険がおよぶと医師が判断した場合は、人口妊娠中絶をしなければならないケースが出てきます。

妊娠悪阻は急に第3期の症状があらわれるのではなく、第1期から第2期、第3期へと症状が重症化していきます。

しかし、早い段階で病院を受診し、医師の治療を受ければ大事に至らなくてすむケースがほとんどです。

 

 

限られた情報の中で、相談者からの質問である「どんな食事を勧めれば良いのでしょうか」に答えるためには、少なくとも相談対象である妊婦の方の医学的プロフィールに加えて、つわりの重症度などを聴き取ったうえで、個別具体的になされるべきであると思われます。

糖尿病はもはや国民病です。糖尿病専門医だけに任せておけばよい病気ではありません。薬物療法の発展は目覚ましいのですが、食事療法、運動療法、生活習慣編世用のための行動療法を駆使して治療に当たるのでなければ、コントロールに至ることは難しいです。

 

糖尿病は動脈硬化性疾患とならんで臨床栄養学の中では中心的な病態です。私は、糖尿病専門医ではありませんが、たいていの糖尿病専門医よりは、糖尿病について深くかかわり、実践してきたという自負があります。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

 

食事療法

Q3-1 

糖尿病における食事療法の意義と最適な栄養素のバランスについて教えてください。

 

【要点】

目安は炭水化物:50~60%エネルギー、

たんぱく質:20%エネルギー以下、

残りを脂質とします。

 

身体活動量、合併症の状態、嗜好性などの条件に応じて、適宜、柔軟に対処します。

 

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

上記の【要点】は、2型糖尿病を対象とするものです。

 

そもそも、2型糖尿病における食事療法は、まず総エネルギー摂取量の適正化によって肥満を解消することを目的とします。肥満解消によって、インスリン分泌不全を補完し、インスリン作用からみた需要と供給のバランスがとりやすくなるからです。こうした状態を導くことによって、高血糖のみならず糖尿病の種々の病態を是正することができます。

 

ただし、体重の減少には総エネルギー摂取量の制限が有効ですが、上記の【要点】の各栄養素についての推定必要量を定めるための十分なエビデンスは乏しいです。むしろ、栄養素バランスについては個別化が望ましいです。

  

なぜならば、糖尿病では動脈硬化性疾患や糖尿病腎症など種々の臓器障害を合併するため、合併症予防の見地から、それぞれにおいて設定された栄養素比率の制約を受けるからです。

   

最近、ローカーボ(低炭水化物)療法が流行していますが、炭水化物摂取量のみの減量によって体重が減少することはありません。また、血糖コントロールやインスリン抵抗性を改善するという研究結果も得られていません。

   

また、近年、食品の摂り方によって、食後の血糖上昇を抑制しうることが注目されています。特に、食物繊維に富んだ野菜を先に食べることによって、食後血糖上昇が抑制され、HbA1cが低下することが報告されています。また、50歳以上の壮年・高齢者では、咀嚼力の低下により血糖コントロールを乱す可能性があります。したがって、野菜など食物繊維に富んだ食材を先に食べ、よく噛んで咀嚼すれば、食後の高血糖が是正されます。炭水化物摂取量に関わらず、食物繊維は20g/日以上摂ることは、「日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言(2013年)」で推奨されています。

   

高円寺南診療所30年の歴史において、禁煙指導と並んで重視してきたのは食事摂取のリズム調整です。日本で増えている朝食の欠食、遅い時間帯の夕食摂取といった食習慣も肥満を助長し、糖尿病管理を困難にしています。

  

特に、就寝前に摂る夜食は、肥満の助長、血糖コントロールの不良の原因となり、合併症をきたすリスクが高くなります。さらに、総エネルギーの適正化のみならず、欠食あるいは就寝前の間食の摂取など、食事摂取行動への介入が望まれる場合がしばしばあります。

二週間に及ぶ欧州での医学研修を終えて、無事に帰国することができました。帰国の翌日から直ちに診療を再開しましたが、水氣道と聖楽院の活動にも助けられて、時差による心身の不調は許容範囲です。

 

なお4月は国内の関連医学会のシーズンです。週末の土・日に開催する学会は、日常診療のためには、有難いです。日本旅行医学会は4月6日(土)、7日(日)に都内で開催されるので、なお有難いです。来年の6月に日本旅行医学会認定医師認定試験を受験する予定です。

 

さて、国際クリニックは、単に外国人にも開かれ、英語などの外国語による診療を行うばかりでなく、海外へ渡航する邦人にとって必要な予防などの準備、移動や滞在中の健康管理に対するサポート、アフターケアとしての治療などの一定の対応が可能な医療機関ということになります。旅行や海外長期滞在が多様化する昨今、旅の安全をサポートできる医療機関が不足しています。

 

そこで、杉並国際クリニックは、来年の8月頃を目途に、渡航前の予防接種(トラベルワクチン)の他、マラリア予防薬、留学・駐在ビザ書類、海外での病院のかかり方のアドヴァイスや安全カルテの作成、帰国者の旅行医学(特に、発熱・下痢の対処)、一般ツアーの高山病、ダイビングの旅行医学、飛行機の中の旅行医学などについて対応可能な体制を確立していく予定です。

 

我が国で流行が懸念されている感染症対策なども、こうした旅行医学の知識と技術、そして日常での臨床実践の積み重ねによって的確な予測情報やより迅速な対応が可能に鳴ると考えております。

 

 

4月の学会は、14日(日)~17日(水)に京都で開催される日本リウマチ学会があります。リウマチ専門医資格更新のため参加が必須です。また、26日(金)~28日(日)に名古屋で開催される日本内科学会もあります。これも内科系専門医の基幹学会であるため最重要な学会です。

 

その他、臨床上の業績としては、一般社団法人日本痛風・尿酸核酸学会に『認定痛風医』申請書類を提出して受理されたことをご報告いたします。これは、学会での業績を積み、資格認定試験に合格した後、症例報告書が完成させることができたためです。ただし、『認定痛風医』資格取得のためには、資格制度委員会で審査の後、来年2月の理事会を経て決定されます。痛風は極めてありふれた病気なのですが、管轄医学会が認定する資格を有する医師は、現在全国で51名、東京都では13名にすぎません。東京都の『認定痛風医』の所属の内訳は、以下の通り、大学病院6(東京医科大学2、東京慈恵会医科大学、東京女子医科大学、帝京大学医学部、自治医科大学サクラビアクリニック)医療系大学2(東京薬科大学、帝京平成大学)基幹病院2(虎の門病院2)民間病院1(木場病院)診療所2(両国東口クリニック、長瀬クリニック)このように、東京都の『認定痛風医』は、診療所では2名のみ、という結果でした。 

日本腎臓病学会のHPには、有益情報が満載されています。

 

そこで今回から、テーマは腎臓内科の慢性腎臓病(CKD)です。

「エビデンスに基づく CKD 診療ガイドライン2018」を紹介します。

 

最後に、杉並国際クリニックからのコメントを加えました。

 

慢性腎臓病(CKD)とは、何らかの腎障害が3ヶ月以上持続する場合と定義されています。症状が出現することはほとんどないため、永らく見落とされてきた新たな国民病であり、多くの皆様に関わってくる病気です。蛋白尿や腎機能異常(eGFRの測定)により診断されます。

 

慢性腎臓病のケアには栄養管理が不可欠です。具体的な推奨について理解を深めてください。

 

 

第5章 腎硬化症・腎動脈硬化症

CQ 1 

高血圧を伴う腎硬化症によるCKDに厳格な降圧は推奨されるか?

 

推奨 

高血圧を伴う腎硬化症によるCKDにおいて,特に蛋白尿A1区分では収縮期血圧120 mmHg未満への厳格な降圧は,AKIのリスクがあるため行わないよう提案する.降圧目標としては,140/90 mmHg未満への降圧を提案する

 

CQ 2 

腎動脈狭窄を伴うCKDに推奨される降圧薬は何か?

 

推奨 

片側性腎動脈狭窄を伴うCKDに対してRA系阻害薬はそのほかの降圧薬に比して降圧効果に優れ,死亡,CVD発症,腎機能低下を抑制する可能性があり,使用することを提案する.ただしAKI発症のリスクがあるため,少量より開始し血清CrとK値を投与開始から2週間を目安に確認しつつ注意深く用量を調節する必要がある.両側性腎動脈狭窄が疑われる際は原則として使用しない

 

CQ 3 

腎動脈狭窄症を疑うCKDステージG1~3に推奨される画像検査は何か?

 

推奨 

スクリーニング検査として腎動脈超音波検査をまず行い,次のステップとして単純MRアンギオグラフィを行うよう提案する. CT血管造影,ガドリニウム(Gd)造影 MRアンギオグラフィを実施する場合,造影剤腎症や腎性全身性線維症のリスクを十分に考慮する必要がある.これらの検査で診断に至らない場合や血管形成術の適応を検討する場合は腎動脈造影検査を行うよう提案する

 

CQ 4 

動脈硬化性腎動脈狭窄症を伴うCKDに血行再建術は推奨されるか?

 

推奨 

動脈硬化性腎動脈狭窄症を伴うCKDに対する血行再建術は,腎障害進行抑制やCVD発症のリスクを減少させないため,合併症のリスクを考慮し,原則として行わないよう提案する

 

 

杉並国際クリニックからのコメント

慢性腎臓病(CKD)は高血圧を伴いやすく、進行すれば腎硬化症・腎動脈硬化症を来します。その場合の降圧治療や、画像検査等には特別な配慮を要し、また血行再建術などの治療手段にも制限が加わります。結論が解り易くなるように再整理してみました。

 

CQ 1 

高血圧を伴う腎硬化症によるCKDに厳格な降圧は推奨されますか?

 

A1:

高血圧を伴う腎硬化症によるCKDにおいて,特に蛋白尿A1区分では厳格な降圧(収縮期血圧120 mmHg未満)は推奨されません。その理由は急性腎障害(AKI)のリスクがあるためです。

 

 

CQ 2 

腎動脈狭窄を伴うCKDに推奨される降圧薬は何ですか?

 

A2:

腎動脈狭窄を伴うCKDに対して片側性腎動脈狭窄の場合に限り、RA系阻害薬の少量からの投与が推奨されます。その理由は、他の降圧薬より降圧効果に優れ,死亡,CVD発症,腎機能低下を抑制する可能性があるからです。ただし、AKI発症のリスクに注意する必要があります。

 

 

CQ 3 

腎動脈狭窄症を疑うCKDステージG1~3に推奨される画像検査は何ですか?

 

A3: 

①スクリーニング検査として腎動脈超音波検査をまず行います。

②次のステップとして単純MRアンギオグラフィを提案します。

CT血管造影ガドリニウム(Gd)造影 MRアンギオグラフィを実施する場合,造影剤腎症や腎性全身性線維症のリスクを十分に考慮する必要があります。

④これらの検査で診断に至らない場合や血管形成術の適応を検討する場合は腎動脈造影検査を行うよう提案します。

 

 

CQ 4 

動脈硬化性腎動脈狭窄症を伴うCKDに血行再建術は推奨されますか?

 

A4:

動脈硬化性腎動脈狭窄症を伴うCKDに対する血行再建術は,原則として行わないよう提案します。その理由は、腎障害進行抑制やCVD発症のリスクを減少させないため,合併症のリスクを考慮する必要があるためです。

日本肝臓病学会ホームページを検索してみました。

 

すると、日本肝臓学会ガイドラインとして、8件が掲載されていました。

 

その中で、杉並国際クリニックの患者さんに情報提供すべき優先順位から考えて、

NASH・NAFLDの診療ガイド2010

 

 を採り上げることにしました。

 

 

そこで、以下のメッセージが書かれていましたので、ご紹介した後、杉並国際クリニックの立場から、解説を加えてみます。

 

NASH・NAFLDの診療ガイド2010要約版の公開について

 

※    NASH・NAFLDの診療ガイド2010 

 

わが国の肝癌はC型肝炎などウイルス性肝疾患が大部分を占めていましたが,最近では非ウイルス性の症例が増加しており,その多くはNASHなど脂肪性肝炎に起因すると考えられています。

 

特に,2014年以降はC型肝炎に対するdirect-acting antiviral agent(DAA)が次々と登場する見込みで,肝癌対策におけるNASH,NAFLDの重要性が増しています。

 

日本肝臓学会は2010年に「NASH・NAFLDの診療ガイド」を発表し,今後はその改訂作業を進める予定です。そこで,同改訂版を発表するまでの期間,診療ガイド2010年の要約版を公開することにしました。日ごろの診療にご利用いただくとともに,改訂版の作成に向けて,ご意見をいただければ幸いです。

 

平成26年10月15日

 

 

 

杉並国際クリニックの立場から

NASH・NAFLDの診療ガイド2010要約版の公開についての巻頭文の主旨は、

<わが国の肝癌は・・・最近では非ウイルス性の症例が増加しており,その多くはNASHなど脂肪性肝炎に起因すると考えられています。>

ということと、

<肝癌対策におけるNASH,NAFLDの重要性が増しています。>

 

これを言い換えると、ウイルスではなく脂肪性肝炎に起因するNASH,NAFLDという疾病が増加していて、これが肝癌の原因になるため、肝癌の予防対策のために、日常の診療に役立つ、脂肪肝炎、NASH,NAFLDの対応のための診療ガイドを公表するということになるでしょう。

 

肝臓に脂肪が多くたまった状態が脂肪肝ですが、お酒をあまり飲んでいなくても脂肪肝は発生し、これが進行すると脂肪肝炎や肝硬変になります。この間の一連の肝臓病のことをNASHやNAFLDと呼びます。これらの病態からもウイルス性肝炎のように肝癌発生しやすくなるという事実があります。

 

次回から、しばらくの間、NASH・NAFLDの勉強を続けてみたいと思います。