4) 二次性高血圧のスクリーニング高齢者の降圧目標

 

高血圧は正確な血圧値を診断し、高血圧基準を参照して評価すれば診断が可能です。しかし、ほぼ同程度の血圧値であっても、高血圧の原因によって臨床的な意義が大きく異なることがあります。つまり、高血圧の評価は、血圧値という数量のみではなく、質的な吟味が必要になってきます。

 

特に注意喚起が必要な高血圧として、二次性高血圧があります。高血圧の質的評価のためには、この二次性高血圧のスクリーニングが必要です。治療を試みてもなかなか高血圧がコントロールできないケースを治療抵抗性高血圧といいますが、その場合は、精査して何らかの二次性高血圧に該当していないかどうかを鑑別しておかなければなりません。

 

以下に、比較的頻度が高い二次性高血圧を列挙してみます。

 

 

(1) 原発性アルドステロン症

これは、若年者高血圧に多く見られ、Ⅱ度以上の高血圧もしくは低カリウム血漿などの特徴を有します。ですから、若年者、中等症以上の高血圧、治療抵抗性高血圧、低カリウム血症のいずれかがみられる場合は、血漿アルドステロンとレニン活性を測定します。専門的には血漿アルドステロンとレニン活性との比率で診断することができます。

 

(2) 腎実質性高血圧
慢性腎臓病(CKD)に関連する高血圧です。これにはCKDが高血圧の主原因(腎実質性高血圧)の場合と、高血圧とCKDが併存している場合の二つのタイプがあります。ただし、臨床的には、いずれのタイプもCKD合併高血圧として対応します。

 

(3) 腎血管性高血圧

腎血管の形態的異常や機能的な異常が原因となっている高血圧です。腎臓エックス線検査やドプラー法を含めた腎臓超音波検査までは、杉並国際クリニックで実施可能ですが、より詳しい腎血管の形態学的検査としてCTアンギオグラフィや機能的な検査として腎レノグラム等を必要とするときには、検査実施可能な医療機関に紹介することになります。

 

(4) その他の二次性高血圧

その他にも多数の二次性高血圧がありますが、当クリニックでしばしば経験するのは、睡眠時無呼吸症候群に伴う高血圧と薬物の副作用としての高血圧です。

 

治療抵抗性高血圧の中で比較的頻度が高く、最近増加傾向にあるとの印象をもっているのが睡眠時無呼吸症候群です。いびき、肥満、昼間の眠気ならびに早朝・夜間高血圧等が検査をするきっかけとなります。ただし、正確な診断と重症度分類は、睡眠ポリグラフィ―検査を行なえる医療機関に委ねます。

 

多くの二次性高血圧の診断でカギとなるのは問診です。とくに基本となるのは薬物使用歴です。漢方専門医の一人として、日頃注意しているのは、甘草を含む漢方薬です。また、他の整形外科を受診者にしばしば見出されるのは、非ステロイド性抗炎症薬による高血圧です。また、最近とみに増えてきていると感じられるのは、健康補助食品による偽アルドステロン症です。医師から処方された薬剤に対する不信感の強い方で、サプリ付けの方が見出されますが、そうした方々の中に、薬剤誘発性高血圧を発見することも少なくありません。

      

<明日に続く>

3)家庭血圧測定に関する患者指導

 

初診時の家庭血圧について問診しても、多くの場合は、家庭での血圧測定の習慣はおろか、そもそも家庭に血圧計が備わっていないケースがほとんどです。それにもかかわらず、問診には意味がありそうです。患者指導の切っ掛けとして役立つことも少なくありません。家庭血圧測定の意義を説明して理解していただいたうえで、適切な血圧計を準備していただき、家庭血圧のデータを記録する習慣を身に着けていただくと、それはそのままで、血圧管理の上では、とても効果的な行動療法になることが多いです。

 

家庭血圧は治療開始後も降圧目標の指標として有用です。ですから、測定方法についてしっかりと学習していただくことになります。

 

診察室血圧と診察室外血圧の基準が異なった場合、診断や治療においては診察室外血圧を優先します。この場合、立位で1~3分での起立時血圧の測定をスクリーニング項目に追加します。起立性低血圧は、動脈硬化進展や糖尿病等による自律神経機能低下と関係していることが多く、生命予後にもかかわってきます。特に高齢者では重要です。また、同様の現象として、食後の血圧低下があります。そのため、高血圧の診断のためには、血圧測定時間と食事時間との関係にも注意することが大切です。

 

 <明日に続く>

1) 3つの血圧測定法と高血圧基準

 

正確な血圧値を診断することは、高血圧診断の前提となります。それでは、測定した血圧値が信頼に足るデータである場合に、それらを、どのようにして高血圧の診断に結びつけるのでしょうか。高血圧と診断する基準がありますが、これは血圧測定法によって異なります。

 

高血圧基準は、診察室血圧140/90㎜Hg以上、家庭血圧135/85㎜Hg以上、24時間自由行動下血圧の24時間平均130/80㎜Hg以上、昼間平均135/85㎜Hg以上、夜間平均120/70㎜Hg以上です。

 

ふつうは、診察室血圧と家庭血圧の2つの方法で十分ですが、24時間自由行動下血圧は、家庭血圧が測定できない場合や家庭血圧の変動が大きい場合等に行います。

 

「高血圧治療ガイドライン2019」(JSH2019)では、診察室血圧140/90㎜Hg未満においても、120/80㎜Hgを超えれば脳心血管病のリスクが増大することを強調しています。そして、特に130~139/80~89㎜Hgレベルを「高値血圧」と新しく命名しました。この「高値血圧」では、積極的に生活習慣修正が図られるべきであることに留意します。つまり、高血圧の診断に至る前の未病の段階からの指導が大切であることを意味しています。

 

<明日に続く>

1) 正確な血圧値の診断とは?

 

血圧管理の基本は正確な血圧値の診断です。正確な血圧値の診断のために必要な情報は、まず問診による家庭血圧の聴取です。ただし、そのためには、患者さん自身が家庭で血圧を測定する習慣があることが前提となります。とくに、身体所見としての診察室血圧が正常値以上である場合は、可能な限り早期に家庭血圧測定を勧めることが大切です。

 

血圧の測定は、家庭血圧と診察室血圧が基本ですが、起立時血圧の測定も推奨されます。また、追加評価項目として24時間自由行動下血圧があります。

 

このように血圧測定にはいろいろな条件で測定することが必要ですが、正確な血圧値とはいったい何なのでしょうか。

 

そのためには、仮面高血圧をきちんと診断し、白衣高血圧を除外することから始まります。「高血圧治療ガイドライン2019」(JSH2019)でも、診察室高血圧に加え、家庭血圧を用いた診断を推奨しています。その理由は、診察室血圧と家庭血圧の両方ともに高血圧である場合だけではないからです。たとえば、診察室血圧が正常域でも家庭血圧が高い高血圧のタイプがあります。これは仮面高血圧と呼ばれ、脳心血管病のリスクが高いため治療の対象になります。
       

逆に、家庭血圧が正常域であれば、診察室血圧が高血圧であれば、白衣高血圧と診断します。このタイプでは原則として経過観察でよいのですが、それでも高血圧合併症は見落とさないようにしておかなければなりません。

 

 <明日に続く>

<線維筋痛症 JFIQの経過報告>

 (図1)

スクリーンショット 2019-10-03 時刻 9.52.19

 

 

JFIQは線維筋痛症の経過観察に欠かせない指標です。

 

 

最高点が100点で、20点未満が正常値になります。

 

 

 (図1)は左側が初期時の点数、右側が現在の点数でその2点を結んだものです。

 

 

 

 図2)

スクリーンショット 2019-10-02 時刻 23.40.55

 

(図2)は線維筋痛症の治療効果の割合を表したものです。

 

 

 50以上点数が下がると「著効」です。

 

 

 20以上50未満点数が下がると「改善」です。

 

 

 20未満の点数の低下は「無効」の判定となります。

 

 

<今回の考察>

 

 

正規性の検定で初期値、現在値共に正規性がありました。

 

 

その後、関連2群の検定と推定を行いました。

 

 

1)統計的にみて、JFIQスコアが有意に改善したことが証明されました。P(危険率)=0.001%でした(図1)

 

 

pが0.05以下であれば統計学的優位である。

 

 

pが0.01以下であれば統計学的に極めて優位である。

 

 

 

2)JFIQスコアの判定基準として、20点以上改善されると治療が有効、50点以上改善されると著効となります。

 

 

  今回、 16名の平均で    36.2点改善していたため、全体として鍼治療は   有効であったと言えます。

 

 

個別でみると、著効4名(25%)、有効8名(50%)、無効4名(25%)でした。(図2)

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

4)杉並国際クリニックが推奨する究極の肺炎予防法

 

一般の外来クリニックの初診として最もしばしば遭遇する肺炎は市中肺炎(CAP)です。

 

この種の肺炎は,医療施設または医療環境との接触が限られているか皆無の場合に発症する肺炎です。

 

同定される頻度が最も高い病原体は,インフルエンザ菌,インフルエンザ菌,非定型細菌(すなわち,肺炎クラミジア,肺炎マイコプラズマ,レジオネラ),およびウイルスです。

 

診断は,臨床像および胸部X線に基づいて行います。症候は,発熱,咳嗽,喀痰産生,胸膜性胸痛,呼吸困難,頻呼吸,および頻脈です。

 

 

ただし、治療は,経験的に選択した抗菌薬によらなければなりません。

すなわち、めくら撃ちをすることになるので、的から外れて効かないこともあるのは止むを得ないことです。

 

予後は比較的若いまたは健康な患者では極めて良好です。

 

ただし、より高齢でより状態の悪い患者において,特に肺炎球菌,レジオネラ,黄色ブドウ球菌またはインフルエンザウイルスによって引き起こされる肺炎の多くは重篤または致死的です。

 

 

初診の受付を予約制にすることによって、このタイプの肺炎を診ることはほとんど無くなってきました。

 

そこで、肺炎のなかで杉並国際クリニックが現在最も重視しているのが、医療・介護関連肺炎(NHCAP)です。

 

このタイプの肺炎は、長期療養型病床群もしくは介護施設に入所、90日以内に病院を退院した介護を必要とする高齢者・身体障碍者の他に、通院で継続的に血管内治療(透析、抗菌薬、化学療法、免疫抑制薬など)を受けている人も該当します。

 

 

当クリニックでは透析は行っていませんが、糖尿病による腎不全のため透析クリニックにも通院中の方がいます。

 

非定型抗酸菌症で抗菌薬を持続的に内服しなくてはならない方、がんの手術後の化学療法を受けている方、関節リウマチなどの膠原病で免疫抑制剤を使用している方などは、すべて上記の血管内治療を受けている人に相当します。

 

 

通院で継続的に血管内治療している方を肺炎から守るために大切なことは、まず市中肺炎の可能性の高い新患を同じ待合室に入れないことだと思います。

 

初診を予約制にした理由の一つがこの目的の達成のためでもあります。

 

それから、肺炎やインフルエンザのワクチンを接種していただくこと。そして禁煙そのたの生活習慣の改善です。

 

 

杉並国際クリニックでは、その他に、水氣道®による水中有酸素運動や聖楽院によるヴォイストレーニングによって肺炎に罹りにくい体づくりの継続的サポートをしております。

 

水氣道では、水中の全身加圧トレーニング効果により心肺機能が向上し、スタミナ(持久力)が向上し、免疫力(ウイルスや細菌に対する抵抗力)が増強します。

 

 

他方、声が小さい、滑舌が良くない、息が続かず声に声が出しにくい、こんな方は誤嚥性肺炎が心配です。

 

誤嚥性肺炎の主たる原因は嚥下反射や呼吸筋の衰えなので、正しい姿勢と呼吸法で歌えば、心肺機能も向上し、認知症予防にも通院繋がります。

 

適切な楽曲をアレンジして楽しく続けることが肝心です。ピアニストの生伴奏付きで楽しく歌って、心と体の健康を増進することができます。

 

 

<現代の肺炎について(完)>

3)まずは誤嚥性肺炎対策を!

 

医療・介護関連肺炎(NHCAP)は高齢者肺炎がほとんどを占めます。

とりわけ誤嚥性肺炎は非誤嚥性肺炎に比して生命予後が不良です。

しかも高齢者肺炎においては、適切であると推奨される抗菌薬療法を行なっても予後を改善できない群もあります。

 

いったん肺炎に罹ると、その後の日常生活活動が急激に低下し、経口から経管の栄養補給となることで、嚥下機能が低下し、更なる肺炎を起こしやすくなるのです。

 

したがって、高齢者においては、肺炎を予防する戦略がますます重要になってきています。

 

特に口腔ケアやワクチン接種による予防により、健康寿命を伸ばすことが大切です。

 

現在、65歳以上の高齢者では、23価多糖体肺炎球菌ワクチンと13価結合型肺炎球菌ワクチンの接種が可能です。

 

日本内科学会の「成人予防接種のガイダンス2016年改訂版」でも、両ワクチンの連続摂取により強力な予防効果を期待でき、可能な範囲で検討すべきであると述べられています。

 

 

さらに、高齢者の肺炎予防には、肺炎球菌ワクチン及びインフルエンザワクチンの併用接種が重要です。

 

特にインフルエンザワクチンは、毎年継続して接種することが重要です。

 

継続して接種しない群と比較すると、流行シーズンやインフルエンザの型に関係なく、重症化、ICU管理ならびに30日死亡を抑制することが明らかになっています。

 

また、インフルエンザ関連肺炎の予防に関しては、2日以内の早期に抗インフルエンザ薬を投与することが重要です。

 

 

いったん罹患してしまうと死亡のリスクが高い肺炎に対する予防法は、予防接種が強調されていますが、それ以外の方法はないのでしょうか?

 

 

<明日に続く>

2)「成人肺炎診療ガイドライン2017」とは?

       
そもそも、このガイドラインが誕生した背景には、それまでの肺炎ガイドラインが現状に適合しなくなってきたことがあります。

 

以前は市中肺炎(CAP)、医療・介護関連肺炎(NHCAP)ならびに院内肺炎(HAP)に分類され、それぞれごとの診療ガイドラインが作成され、抗菌薬療法が推奨されてきました。

 

しかし、これらの3種の診療ガイドラインの推奨に則った抗菌薬療法が必ずしも予後の改善に寄与しないことが判明したのでした。

 

 

新ガイドラインでは、わが国の診療実態に合わせた高齢者肺炎対策を重視して、上記の3つのガイドラインを統合する形で整理されたものです。

 

 

まず肺炎を市中肺炎(CAP)か否かで大別します。

市中肺炎でない肺炎は院内肺炎(HAP)および医療・介護関連肺炎(NHCAP)であり、その場合には、患者背景のアセスメントを行ないます。

 

具体的には誤嚥性肺炎のリスクの判断や疾患終末期や老衰状態の判断を行ないます。

これらに該当しない場合には、HAPではI-ROADシステム、NHCAPではA-DROPシステムで重症度判定を行い』最終的には治療薬を決定するか、もしくは個人の意志やQOLを考慮した治療・ケアを行うように推奨されています。

 

 

つまり、本ガイドラインは、NHCAP/HAP群において高齢者の易反復性(発症を繰り返しやすい)肺炎自体も老衰の過程で生じる人生の終末期における肺炎であると認識していることになります。

 

しかし、誤嚥性肺炎の定義自体が不明確であるばかりでなく、疾患終末期や老衰状態であるかどうかの判断はとても困難です。

 

 

いったい、このような診療ガイドラインがどれほど役に立つのでしょうか?

 

<明日に続く>

1)肺炎の現状

 

わが国は、世界に類を見ないスピードで超高齢社会となってきました。

それを反映して65歳以上の肺炎罹患率は、特に男性では急激に増加しています。

 

そして、肺炎は我が国の死因の上位を占めていますが、その多くが誤嚥性肺炎です。

 

誤嚥性肺炎は、かつての診療ガイドラインで適切とされてきた抗菌薬療法が必ずしも予後を改善させないことが明かとなりました。

 

それを受けて日本呼吸器学会から「成人肺炎診療ガイドライン2017」が刊行されました。

新しいガイドラインでは、適切な抗菌薬療法を推奨し、治癒を目指すための方略の他に、人生の終末期における高齢者肺炎の対応といった臨床倫理ガイドラインの2つの側面を持っています。

 

しかし、それでも高齢者肺炎の両側面におけるエビデンスは不十分であるため、多くの臨床上の問題点は未解決のままです。

 

いきなり、「人生の終末期」という言葉を登場させる新しい診療ガイドラインとは、いったいどのような内容なのでしょうか?

 

<明日に続く>

<はじめに>

 

 

前回は「胆経」のお話をしました。

 

 

「完骨」は耳のすぐ後ろにある出っ張った骨(乳様突起といいます)のすぐ下にあり、「頭痛」「めまい」「耳鳴り」「不眠症」に効果があります。

 

 

「光明」は外くるぶしから、指幅5本分真上に行ったところにあり、「眼精疲労」「眼痛」「坐骨神経痛」などに効果があるというお話しでした。

 

 

今回は「肝経」のお話です。

 

 

 

<肝経>

12肝経

 

 

 

「肝経」は親指から足の内側を通り、最後は腹部に終わります。

 

 

全部で14のツボがあります。

 

 

順番に見ていきましょう。

 

 

1.大敦(たいとん)

 

2.行間(こうかん)

 

3.太衝(たいしょう)

 

4.中封(ちゅうほう)

 

5.蠡溝(れいこう)

 

6.中都(ちゅうと)

 

7.膝関(しつかん)

 

8.曲泉(きょくせん)

 

9.陰包(いんぽう)

 

10.足五里(あしのごり)

 

11.陰廉(いんれん)

 

12.急脈(きゅうみゃく)

 

13.章門(しょうもん)

 

14.期門(きもん)

 

 

 

今回は「太衝」と「中封」を見ていきましょう。

2019-09-26 16-41

 

 

「太衝」は足の甲で親指と人差し指の間で足首の方にたどっていき、指の止まるところにあります。

 

 

「頭痛」「めまい」「目の疲れ」「イライラしてよく眠れない」などに効果があります。

 

 

 

「中封」は内くるぶしと、足首の全面にある腱のちょうど真ん中にあります。

 

 

「ぎっくり腰」「気分の落ち込み」「不安」「冷え症」などに効果があります。

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭