第1週:呼吸器・感染症 10月3日(木) 現代の肺炎について

3)まずは誤嚥性肺炎対策を!

 

医療・介護関連肺炎(NHCAP)は高齢者肺炎がほとんどを占めます。

とりわけ誤嚥性肺炎は非誤嚥性肺炎に比して生命予後が不良です。

しかも高齢者肺炎においては、適切であると推奨される抗菌薬療法を行なっても予後を改善できない群もあります。

 

いったん肺炎に罹ると、その後の日常生活活動が急激に低下し、経口から経管の栄養補給となることで、嚥下機能が低下し、更なる肺炎を起こしやすくなるのです。

 

したがって、高齢者においては、肺炎を予防する戦略がますます重要になってきています。

 

特に口腔ケアやワクチン接種による予防により、健康寿命を伸ばすことが大切です。

 

現在、65歳以上の高齢者では、23価多糖体肺炎球菌ワクチンと13価結合型肺炎球菌ワクチンの接種が可能です。

 

日本内科学会の「成人予防接種のガイダンス2016年改訂版」でも、両ワクチンの連続摂取により強力な予防効果を期待でき、可能な範囲で検討すべきであると述べられています。

 

 

さらに、高齢者の肺炎予防には、肺炎球菌ワクチン及びインフルエンザワクチンの併用接種が重要です。

 

特にインフルエンザワクチンは、毎年継続して接種することが重要です。

 

継続して接種しない群と比較すると、流行シーズンやインフルエンザの型に関係なく、重症化、ICU管理ならびに30日死亡を抑制することが明らかになっています。

 

また、インフルエンザ関連肺炎の予防に関しては、2日以内の早期に抗インフルエンザ薬を投与することが重要です。

 

 

いったん罹患してしまうと死亡のリスクが高い肺炎に対する予防法は、予防接種が強調されていますが、それ以外の方法はないのでしょうか?

 

 

<明日に続く>