7月11日(土)

 

前回はこちら


ボリビアのLa Razón紙の続きの続き

 

Dinero en dólares

ドル建てのお金

 

Lo mínimo que donante pidió a cambio de su plasma por ser paciente recuperado del COVID-19 fue $us 500. La familia estaba consiguiendo el dinero cuando el médico les dijo que ya no era necesario contar con el suero porque el paciente se estaba recuperando.

COVID-19から回復した患者が血漿と引き換えに求めたドナーの最低額は500ドルで、患者が回復したので血清は不要になったと医師に言われて家族はお金を手にしていた。

 

“Mi hermano, un médico de 42 años y que aún sigue internado en la Caja Nacional de Salud, aquí en Santa Cruz, se está recuperando y eso es bueno. Ya no fue necesario seguir buscando al donante”, señaló un familiar vía telefónica con La Razón.

「私の兄は、ここサンタクルスの国民健康基金に残っている42歳の医師で、回復しているし、それは良いことだ。寄贈者を探し続ける必要がなくなった」と、家族がラ・ラゾン紙の記者に電話で話していた。

 

El médico sospecha que fue contagiado cuando hace algunas semanas tuvo que atender un parto de emergencia por sufrimiento fetal y la paciente tenía sospechas de ser portadora del virus. Él la operó siguiendo las medidas de bioseguridad, pero pese a ello pudo haber sido contagiado.

数週間前に胎児の障害のため緊急分娩に立ち会わなければならなくなった際に、医師が感染した疑いがあり、患者がウイルスを持っていることが疑われたという。彼は母体保護対策のために彼女を手術したが、それにもかかわらず彼は感染していた可能性がある。

 

El hermano movió cielo y tierra para buscar el plasma del tipo ORH+, hasta fue al Banco de Sangre en Santa Cruz, pero la respuesta que le dieron fue un retundo no y que vea cómo conseguir un donante. Entonces, una buena opción fue anunciarlo en las redes sociales.

兄弟はORH+タイプの血漿を探すためにあちこちを移動し、彼もサンタクルーズの血液銀行に行ったが、彼らが彼に与えた答えは、完全なノーであり、彼はドナーを探すようにとのことであった。だから、ソーシャルネットワーク上で発表するのが良い選択肢だった。

 

“Ante el anuncio había personas que querían donar, pero, siempre quieren sacar algo. Había siempre un interés, pues tienen ‘deudas’ que deben pagar. Gracias a Dios, duró poco el calvario. Los donantes me decían que estaban mal, que no tenían dinero para la segunda prueba, y que si les iba a reconocer algo porque estaba pasando por dificultades económicas”.

「提供したい 」という人もいたが、いつも何かを得ようとしている。支払わなければならない「借金」には利息がつきまとっていたのである。神に感謝、苦難の道は短かった。寄付者の方たちからは、「二回目の検査のためのお金がない」「金銭的に苦しいから何かを貰えないか」と言われていた。

 

Ahora el médico se recupera y su familia espera pronto su retorno a casa.

今、先生は回復しており、家族はすぐに帰れるようにと待っている。

7月10日(金)
週間<外国語>旅行


ペテロのように

 

Come Pietro, costruire sulla roccia che è Gesù
ペテロのように、イエスである岩の上に建てる

 

29/06/2020
L'inutilità delle lamentele
苦情の無駄

 

E c’è un altro elemento importante: in quella prima comunità “nessuno si lamenta del male (...) nessuno insulta Erode. E noi siamo tanto abituati a insultare i responsabili... ”. Tempo sprecato e inutile per i cristiani, fa notare Francesco, quello passato a lamentarsi di quello che non va e prosegue:
そして、もう一つ重要な要素があります:初代の共同体では、「誰も悪政について文句を言わない(...)誰もヘロデを侮辱しないのです。責任者を侮辱するのには慣れていたし野です... 」. それはクリスチャンにとって無駄な時間であり、役に立たない時間であると、フランシスは指摘しています。

 

Le lamentele non cambiano nulla. Ricordiamoci che le lamentele è la seconda porta chiusa allo Spirito Santo, come vi ho detto il giorno di Pentecoste:
la prima è il narcisismo, la seconda lo scoraggiamento, la terza, il pessimismo.
Il narcisismo ti porta allo specchio, a guardarti continuamente;
lo scoraggiamento, alle lamentele.
Il pessimismo, al buio, all’oscuro.
Questi tre atteggiamenti chiudono la porta allo Spirito Santo.
Quei cristiani non incolpavano, ma pregavano.
In quella comunità nessuno diceva: “Se Pietro fosse stato più cauto, non saremmo in questa situazione”. Nessuno. Pietro umanamente, aveva motivi di essere criticato, ma nessuno lo criticava. Non sparlavano di lui, ma pregavano per lui. Non parlavano alle spalle, ma parlavano a Dio. E noi oggi possiamo chiederci: “Custodiamo la nostra unità con la preghiera, la nostra unità nella Chiesa? Preghiamo gli uni per gli altri?”
苦情は何事も変えません。ペンテコステの日にお話したように、これらの不平不満は聖霊に通じる第二の扉を閉ざすものであることを心得ておきましょう:

その第一は自己愛、第二は落胆、第三は悲観です。

自己愛は、いつも自分自身ばかりを見る鏡にあなたを導く;
落胆は、不平不満の鏡の中に。
悲観は、不安と暗闇の鏡の中に。
これら3つの態度が聖霊への扉を閉ざします。
それらのキリスト教徒は非難するのではなく、祈りました。

その共同体では誰も「ペテロがもっと慎重になっていたら、こんな状況にはならなかっただろう」と言ってはいませんでした。人間的に言えば、ペテロには批判される理由があったが、誰も批判しませんでした。彼らは彼(註:ペテロ)のことを語りかわりに彼のために祈りました。彼らは彼の後ろ姿ではなく、神に向かって話していました。

それでは今日、私たちは自らに問いかけることができます。「私たちは祈りを通して、その祈りは教会で、一致を保てているだろうか、互いに祈り合っているだろうか」と。

 

Pregare per chi ci governa

私たちを支配する者のために祈る

 

Preghiera e non insulto: Francesco a braccio si sofferma anche sui governanti, esortando a percorrere la strada del bene, dell'unità e non quella del parlare contro:

祈りと非侮辱:腕組したフランシスコ教皇はまた、支配者たちにも触れ、彼らに善の道、団結の道を歩むように、そしてそれらに反することを言わないように、と警告しているのです。

 

Chiediamo la grazia di saper pregare gli uni per gli altri. San Paolo esortava i cristiani a pregare per tutti e prima di tutto per chi governa. “Ma questo governante è…”, e i qualificativi sono tanti; io non li dirò, perché questo non è il momento né il posto per dire i qualificativi che si sentono contro i governanti. Che li giudichi Dio, ma preghiamo per i governanti! Preghiamo: hanno bisogno della preghiera. È un compito che il Signore ci affida. Lo facciamo? Oppure parliamo, insultiamo, e basta?".

互いのために祈る方法を知る恵みを求めましょう。聖パウロは、すべての人のために祈るように、そしてまず統治者のために祈るようにとクリスチャンを促しました。「しかし、この支配者といったら......」といったお決まりの不平がたくさんでています。しかし、私はそれを言いません。それは私が支配者に対して感じられる不平を言う時でも場にもいないからです。神は彼らを裁くが、私たちは支配者のために祈ろうではありませんか!」と。
祈りましょう:彼らは祈りを必要としています。それは、主から託された私たちの役割なのです。それを行いましょうか?それとも、ただ話して、侮辱して、それで済ませてしまいましょうか?"

 

 

La preghiera spiana la strada dell'unità

祈りは団結への道を開く

 

Papa Francesco si domanda “che cosa accadrebbe se si pregasse di più e si mormorasse di meno”. Anche oggi, come per Pietro quando si trovava in carcere, “tante porte che separano si aprirebbero, tante catene che paralizzano cadrebbero”. E il Papa invita a chiedere al Signore la grazia di saperlo fare e precisa:

教皇フランシスコは、「もしより多く祈られ、不平不満が少なくなったらどうなるだろうか」と自問自答しています。今に至っても、獄中にいたペテロについては、「仕切られていった多くの扉が開き、麻痺させる多くの鎖が落とされることになる」と言われています。そして教皇は、その方法を知り、決定する方法を知ることの恵みを主に求めています。

 

Dio si attende che quando preghiamo ci ricordiamo anche di chi non la pensa come noi, di chi ci ha chiuso la porta in faccia, di chi fatichiamo a perdonare. Solo la preghiera scioglie le catene, solo la preghiera spiana la via all’unità.

神は、私たちが祈るときに、私たちのように考えていない人、私たちの面前で扉を閉じた人、私たちが何とか許そうと苦労している人たちのことも心に置くことを期待しています。祈りだけが鎖を緩め、祈りだけが一致への道を開くのです。

 

7月10日(金)

前回はこちら

 

RAに対して、早期診断・早期治療を行った症例で寛解を導入し、それを維持できた症例では関節破壊を伴う機能障害を起こすことなく、もともと病気がなかった人と同様の生活を送ることができます。

 

しかし、初診時にすでに関節破壊を高度に起こした症例では、早期例に較べて、寛解導入・維持はより難しくなります。そのため、機能障害を残すことが多くなります。ですから、RA治療は早期診断・早期治療が重要であり、一方、初期治療が不十分であれば関節予後を悪化させる可能性があります。

 

RAは全身性疾患なので、丁寧で慎重な経過観察とセルフケアや主治医とともに生涯学習を続けることによって予後を大きく改善できる可能性があり、実際にそれを実感しています。

そのためには、それぞれの医療機関の特徴を生かした早期診断・治療基準やそのための戦略を明らかにしておくことは大切だと考えています。

そこで「関節リウマチ早期診断・治療管理基準(杉並国際クリニック版)」を公開させていただきます。

関節リウマチ早期診断・治療管理基準

 

RAの診断や疾患活動性の再燃などで治療を開始したり、変更が必要だったりする場合は、早期に私たちリウマチ専門医を受診していただくことが望まれます。

 

7月9日(木)

 

前回はこちら


症例14(その5)


第4節:“これが差別か” 

男性は11日間入院。検査で2回陰性となり退院した。
しかしその後、思いもよらない事態に直面した

 

退院した時は先生に、きょうから誰に会ってもいいかっていうことや、やってもいいこと、だめなことを教えてくださいって聞いたら「別に何もないよ」と。「陰性2回出て、あんたはたぶん日本でいちばん安全な人だよ」って言われて出てきたんで。保健所にも確認したんですよね、「やっちゃいけないことがありますか」って聞いたら保健所も「ない」と。じゃあどこにでも行けるんだなぁと思って。

 


男性は肺炎の経過観察で病院を受診しようとした

 

退院してきて5日目なんですけども、紹介状もあるんで「肺炎を見てもらいたい」(と言ったら)「来ないでくれ」と。「僕もう完治してるんですよ。肺炎の薬だけでもほしいんですけど」って言ったら「コロナにかかった人は一切受け付けてない」と。

 

「もしあなたがコロナの発生源になったらうちの病院も困るんで」(註1:医療機関も不安感を募らせた患者さんを相手にしているので、風評被害の後始末を恐れています。その後の対応が、想像を絶するくらい大変なものになるからです。医療従事者の立場からは、現在診療を担当している患者さんに対する責任がとても大きく、残念ながら已むを得ない対処だと思います。)って感じだったから。

ネットで「クリニック・肺炎・福岡」で検索して、8件くらい病院に電話して、ことごとく全部断られて、もういいやってなって。

 

今、薬も飲んでなくてそのまま放置してる状態なんですね、肺炎の治療をしていなくて。美容室も髪切りたかったんですけど(断られたんで)…。

入院していた時に(融資の相談をしている政策金融公庫と)面談の日程が決まったんですね。たぶんこのぐらいには(病院を)出られると思いますということで金曜日に決まったんですよ。

(退院後に)電話がかかってきて、「電話で面談します」と。「なんで行ったらだめなんですか?」って。「いやもう来なくていいです。○○さんはコロナにかかっていたんで」と政策金融公庫から言われて電話で面談になりました。

やべえなと思いましたよ、ほんとに。僕、こういうことされたことないから、これが差別かと思いました。僕がされてるぐらいだからいっぱいあるだろうなと思ってるんですけど。

 

(感染したほかの人も)相当嫌な思いをしてると思います。おかしな世の中だなぁと思った。差別する人っていうのは情報量が足りなくて、うちの社員も僕が説明したら「あーそうなんだ」っていうのがほとんどなんですね。

だからもっとそういう情報流せばいいのになぁって。例えばPCRを受けて陰性で出てきた人はカードがある(註2:残念ながら、この考え方には無条件では賛成できません。PCRの検査は不完全です。陰性の結果は慎重に評価すべきですPCR検査陰性であっても、今後感染するリスクは消えません。特に、この方のように自覚症状の発現が遅いタイプの方が感染源になると多くの方を危険に晒すことになるからです。)「私は治療が終わった人ですよ」(註3:「私は人生が終わった人ですよ」という状況にならなくて良かったと思います。)という証明があったりすると認識が変わる(註4:一般の方の認識を変えることは、とても難しいと思います。)のかなあと思うんですけどね。


(4月27日取材 福岡放送局 森並慶三郎)

 

コメント:

この方のような経験をすると、人間不信や社会不信に陥り兼ねないと思います。あるいは医療不信というか怒りを感じておられるとしても已むを得ないことです。


一般に人々から安心感と信頼感を得ることは、不安感や不信感を植え付けることの100倍以上難しいと思います。これは、30年以上開業医を続けてきたうえでの心からの実感です。

 

私たちの多くは艱難を経験しています。「艱難汝を玉にする」場合もありますが、くれぐれも「艱難汝をダメにした」にはならないように心がけていきたいものです。

 

<終わり>

7月9日(木)


前回はこちら

 

水中運動

そのまま直ちに水氣道®のエクササイズに取り入れることができます。
その場合は、全員で日本語とフランス語の両方でインストラクトできるようになると、とても楽しいことでしょう。ただし、周囲の人たちは驚くかもしれませんね。

 

タイプA 

En position debout, tendez vos bras latéralement dans l’eau.
立った状態で、水中で両腕を横に伸ばします。
  

Decrivez des petits cercles simultanés avec les deux bras dans un sens,
両腕で同じ方向に同時に小さな円を作ります。

 

puis dans l’autre.
そして別の方向でも行います。

 

タイプB  

Debout, pieds bien à plat au fond du basisin.
まず、プールの水底面に足底をぴったりつけて立ちます。

 

Croisez les bras au-dessus de la tête en posant les mains sur les coudes opposés.
両手を反対側の肘に置き、頭の上で腕をクロスさせます。

 

Inclinez le buste latéralement vers la droite et tirez sur le coude gauche en inspirant.
胴体を右側方に傾け、息を吸いながら左肘を引き寄せます。

 

Redresses le buste et expirez.
胴体をまっすぐに戻して、息を吐きます。

 

タイプC 

Debout,mains appuyées sur le rebord de la piscine,
まず、プール縁に手をついて立ちます。
  

pieds à plat au fond: vos jambes sont tendues et légèrement écartées.
足底が平らに:両脚は伸ばして、足の間は少し離す。

 

Soulevez les talons en ouvrant les genoux latéralement puis reposez-les.
膝を側方に開いて踵を少し持ち上げ、また元に戻します。

 

Expirez en soulevant les talons.
踵を持ち上げて息を吐きます。

 

Inspirez en les abaissant.
踵を落としながら息を吸い込みます。

 

タイプD 

Debout, les jambes tendues, appuyez-vous sur le rebord de la piscine de telle manière que votre buste se trouve a angle droit.

まず、脚を真っ直ぐにして立ち、胴体が直角になるようにプールの縁にもたれかかります。
  

Élevez une jambe tendue derrière vous et redescendez-la en expirant.

伸ばした片方の脚を後ろに高く上げ、息を吐きながら降ろしていきます。

 

タイプE 

Le dos au mur,
壁に背を向け、

 

mains appuyées sur le bord de la piscine,
両手をプールサイドに置き、

 

groupez vos genoux sur un côté en expirant.
息を吐きながら膝を片側に寄せます。

 

Tendez ensuite vos jambes devant et regroupez-les de l’autre côté.
そして、足を前に伸ばして反対側に寄せます。

 

タイプF 

Une planchet serrée entre les cuisses,

太ももの間にボードを挟みます。

 

une ceinture de flottaison autour de la taille,

救命胴具をつけます。
  

 

Rapprochez en soufflant le menton vers les genoux

息をしながら顎を膝の方に近づけ、

 

et rallongez -vous en respirant.

呼吸をしながら体を伸ばします。

7月9日(木)


前回はこちら

 

関節リウマチ(RA)の画像診断は、近年の治療戦略の進歩とともに大きく変化しました。

RAの主な病態である滑膜炎とその結果である骨病変が筋骨格超音波検査(関節エコー)により評価可能であることが明らかとなり、RA診療における関節エコーの活用が精力的に検討されています。

特に治療の直接のターゲットである滑膜炎の活動性を画像で評価することは、 単純X線を中心とした従来のRAの画像診断にはなかった概念であり、RA画像診断におけるパラダイムシフトと言えます。

 

RA診断における関節エコーの必要性 RAの主要病態は滑膜の炎症であり、早期に適切な治療が行われない場合の身体機能予後ならびに生命予後は不良になります。

近年、メトトレキサート(MTX)および生物学的製剤 を中心とする抗リウマチ薬による治療介入が、特に関節破壊が進行する以前に行われた場合に診療アウトカムが大きく向上することが示されました。

 

そのため米国リウマチ学会(ACR) および欧州リウマチ学会(EULAR)は共同ワーキンググルー プを結成し、RA治療の中心であるMTXを必要とするRAを 早期に分類できる新規分類基準を作成しました。

完成された 2010年ACR/EULAR RA分類基準は結果として「RAらしさ」、すなわち小関節に好発する多関節炎、自己抗体陽性、炎症反応上昇、そして持続性病態を良く反映したものとなりました。

しかしながらその有用性の検証では、MTX必要性予測の精度が検証コホートにより必ずしも高くないことが示され(ROC解析のAUC;0.66-0.82)、臨床評価によるRA分 類精度の限界が示唆されました。

2010年ACR/EULAR RA分類基準の精度のばらつきの主要な原因としては、診察による関節腫脹および圧痛の再現性の低さが挙げられます。

 

RA患者全体としての腫脹関節数ならびに圧痛関節数の有用性は良く検証されているが、より軽度の関節所見を示す早期RA患者においては、検者により 腫脹あるいは圧痛の有無に差が出る可能性が高いです。

これに対して関節エコーでは明瞭に滑膜病変が描出されます。

従来の診察よりも正確に滑膜炎を検出可能であり、またその再現性は診察よりも高いため、RA分類の精度を向上することが期待されます。

実際、新分類基準では「滑膜炎有無の確認に画像診断が用いられてもよい」と述べられているが、具体的な方法の記載はありません。

 

関節リウマチ診断の大前提は1か所以上の関節腫脹です。

そしてRAとして分類するための基準は合計6点以上とされています。

2010年ACR/EULAR RA分類基準の別の問題点として、 鑑別診断が各自に委ねられていることが挙げられ、個人差による診断制度のバラつきが避けられません。

そこで客観性の高い情報を得ることが可能な関節エコーはRA以外の関節疾患(変形性関節症、乾癬性関節炎、痛風性関節炎、偽痛風など)の鑑別診断に有用です。

 

特に変形性関節症に代表される変性性/退行性/加齢性変化はRA診療において重要な鑑別病態ですが、関節エコーでは骨表面の形態、滑膜肥厚の有無および分布、滑膜血流シグナルの有無 により、炎症性/非炎症性病態の区別を診察よりも正確に行うことができます。

つまり関節エコーは他疾患、他病態の鑑別により、2010年ACR/EULAR RA分類基準の特異性を高めることが期待されます。

 

以上で説明しましたが、関節エコーが滑膜炎および骨びらんの正確な評価、また鑑別診断の補助によりRA診断の精度を向上させることができます。

関節エコーで得られる画像情報はデータとして得られる診断精度の向上だけではなく、診察技術や単純X線の読影技術の向上、RAの病態のより詳細な理解に寄与すると考えられ、本画像診断の今後の普及が期待されていて、すでに杉並国際クリニックにおいても大変重宝しています。

<明日へ続く>

7月8日(水)

 

前回はこちら

 

症例14(その4)

第3節:“マジでやばい” 

男性は入院できる場所をみずから探すことにした。

家族を介して連絡がついた病院に行ってみるとー

 

肺のCTを撮ったら、僕が見てもわかるくらい肺が真っ白だったんですよ。それで先生から「あんた、こんなんだったら死ぬよ」って言われて。

酸素レベルを測ると80%位(註1:これは完全な呼吸不全レベルです。)まで落ちていて。


「あんたきつくないねー?」って言われるけど、マスクと、鼻水が詰まってたんで、それできついのかなあ(註2:やはり、この方は明らかに感度が低下しているようです。発熱だけでなく呼吸困難に対してもかなり鈍い方です。このような方は発見が遅れて手遅れになりがちですが、尋常ではない回復力が備わっていたと思われます。無酸素運動やフルマラソンなどで鍛え挙げているようなタイプです。)と思ってたんですよ。

 

「息苦しいけどもマスクのせいだと思っていました」って言ったら、「もしここでアビガンが効かなかったら、でかい病院に転院させないといけないし。死ぬ覚悟しないといけないよ」って言われて。これ、やべえなと思って。

 

男性はそのまま入院したが、ウイルスの症状は想像以上につらかったという

もうマジで立てないぐらいきつい。熱が最高で41度2分まで上がったんですよ。熱がちょっとすごいですね。息苦しさとかは、僕は鼻づまり程度だったんですけども、熱と体のだるさ、インフルエンザかかってタミフル飲む前のきっかけがあるじゃないですか。あれが7日間続く感じです。

 

世間の人たちがSNSで「甘く見るなよ」って言ってたじゃないですか。なった本人からすると、周りの人に「ほんとに甘く見ないほうがいいよ」って言ってます。マジでやばいよ。

アビガン投与して3日ぐらいかけて熱が下がっていった。

4日目ぐらいからは自分でシャワーも浴びられるし、普通に生活できるぐらいまでに回復(註3:驚異的な回復といえますが、救命できた方の中には驚異的な速度で回復を経験している方が少なくないようです。これもCovid-19の特徴なのかもしれません。)したんですよ。

 

<明日へ続く>

7月8日(水)

 

前回はこちら



水氣道のインテリジェンスとは?

 

何事も地に足の着いた現場の話が大切です。それがインテリジェンスの前提条件です。

そのためにも、できるだけ身近な話題に戻すことにします。まず、皆さんへ質問を提起することから始めます。私たちを構成員とする国家や私たちの生活と健康のためにもっとも身近な医療が崩壊する可能性はあるでしょうか。

 

崩壊するかどうかは、一国の政治や経済だけで決まるのではありません。

私たちは、日々、貴重な情報が盗まれています。その課程で、ひたすら利便性を追求しようとする人間の欲求に入りこみ、安易な依存や責任回避をもたらし、知らず知らずのうちに自己像や伝統価値の崩壊が進行させられていることに気が付いているでしょうか。

ビッグ・データを私物化して、外国に高く売り付け、莫大な利潤が得られるビッグ・ビジネスのために祖国の人々を奴隷化したり、事実上の大量殺人に手を染めたりしている超有名人が存在します。

私は、それを行き過ぎた経済活動のグローバリズムのなせる当然の災いなのではないかと疑っています。

それでも、多くの人々は、その悪魔に資源を提供し続けています。

 

繰り返しになりますが、自分自身の健康を守れない人が、どうして家族の健康をまもることができるでしょうか。

自分が所属する組織や自分を支えてくれる仲間とともに繁栄させようとしないで、どのように国家の経済に貢献できるでしょうか。

自分の国を見失ったままで、どうして国際人として健全な影響力を行使し、当然の権利を享受することができるでしょうか。

 

ですから、日本の内閣総理大臣は「日本第一主義者」で良いのです。

しかし、日本はそれを世界や国民に明言しにくい背景があります。

それは憲法の前文にも書かれている国際協調主義であり、国際社会を無条件で信頼するという思想です。

しかし、理想の国際社会=国連ではありません。むしろ、その対極に近い存在であることが徐々に判明しつつあります。世界保健機関(WHO)も同様です。限りなくお人好しでいることは、無防備で自らを危険に晒していることに他なりません。

 

私はWHOを全否定するには至っていません。しかし、WHOのような国際組織を盲信することが、どれだけ危険なことなのでしょうか。

WHOの本部があるジュネーブはスイスにありますが、コロナ感染による死亡率においてスイスと米国はほぼ同率です。

小国は人口が少ないから目立たないだけです。EUも怪しいです。

スペインやポルトガルのコロナ対策の不備を厳しく指弾したEU本部のあるベルギーは死亡率においては欧米でトップクラスであることを調査して愕然としました。何をかいわんや、です。足元を見ていないグローバリズムがさらけ出した大矛盾です。

 

賢明な皆様はすでにお気づきであることでしょう。そして米国の医療水準が世界一であるという仮説からは早々に脱却しなければなりません。

そもそも世界一の医学水準を誇ったとしても医療水準とは別物です。ましてや新興感染症対策については猶更のことです。

それにしてもトランプ大統領は歴代の米国の大統領の中でも正直者です。

彼のナショナリズムの御蔭で、アメリカの本音がはっきりと見えてきました。残念ながらグローバリズムの民主党の偽善者に騙されやすいのが日本人の弱点ということでしょう。

 

このように日本人が内外の政治的思惑によって、決定的に阻まれてきたのがインテリジェンス教育です。なぜそのような企みが行われてきたのでしょうか。答えは簡単です。インテリジェンスとは無条件に盲信せずに批判的に検証することができる知力の総体だからです。

 

何か不自然だ、おかしいぞ、怪しい、なぜだろう?ということに気づくことができる直感というか感性を磨くことがインテリジェンス育成の最初のステップです。

それは、もっとも身近な対象である自分自身を対象とすることから始めることが実際的であり、効果的です。自分の体調はいつもと違う、あるいは自分の気分がすぐれない、なぜだろう?というように自分の心と体の総体と直接コミュニケーションすることができるようになってはじめて、外部社会の様々な現象に現れてくる課題や、その背後にあるメカニズムを洞察できるようになるのです。

 

水氣道で磨き鍛えるインテリジェンスとは、そのような潜在的能力を開花させることによって全人的な健康を確保することから始まるのです。

7月8日(水)
 

 

リウマチ専門医として<リウマチ>を語る 

 

 

Chronische Polyarthritis,
rheumatoide Arthritis

慢性多関節炎、
関節リウマチ        

 

 

A
Akut entzündliches Stadium:
Bettruhe.
Feuchtkalte Wickel, kalte Packungen mit Fango, Moor, Lehm, 

Quark (hautschonend). Gdf.örtliche Eisanwendungen.

Richtige Lagerung.

Alle nichtentzündlichen Gelenke täglich mehrfach durchbewegen.

Kurzzeitig vegetabole Rohkost oder Molkefasten.

A
急性炎症期:
ベッド上安静。
しっとりとした冷湿布、ファンゴ(鉱泥)、炭泥、粘土、凝乳(肌に優しい)を使った冷却パック。場合によっては、局所の氷による冷却。
正しい体位。1日に数回、炎症を来していない関節を十分に動かす。
短期ベジタリアン向けの生野菜・果物や乳清のみの絶食療法。

 

 

B
Chronisches Stadium:
Hydro-Thermotherapie:

Feuchtkalte Wickel; dabei auf Wärmehaushalt achten (warme Füße!)

Später warme Heublumensäcke.

Vorsichtig aufbauende Kneippsche Hydrotherapie:

Wechselwarme Waschungen und Teilgüsse.

Bader mit Kräuterextrakten:Heublumen,

Fichtennadeln,Moorschwebstoff.

Luftbäder.

B
慢性期:
水療法。
冷たく濡らしたラップ;その際には室内の保温に注意(足元は暖かく!)
その後で、暖かな干し草袋。
丁寧に組み立てられたクナイプ式水療法。
温冷交替洗浄と部分注水。
ハーブエキス入りの風呂:干し草の花、トウヒの針葉、炭泥浮遊物。
空気風呂。

 

 

Bewegubgstherapie:

Systematische Übungtherapie, ggf. 

auch im Warmwasserbecken, physiotherapeutisch geleitet;

Selbsthilfetraining;

Beschäftigungstherapie、

Später selbständige tägliche Übungstherapie,gelegentliche Kontrollen 

durch Arzt und Physiotherapeuten.

運動療法:

系統的運動療法、必要に応じて理学療法士の指導下で温水プールでも行う;
自助訓練; 職業療法(作業療法)。
その後で自主的な毎日の運動療法、医師や理学療法士による臨時点検を行う。

 

 

Massagethrapie:

Klassische Massage, vorsichtig aufbauend,

unter Aussparung aller entzündlichen Gewebspartien;

Bindegewebsmassage.

Hautpflege mit Funktionsölen.

マッサージ療法:
炎症を起こしているすべての組織部分を除いて、丁寧に構成された古典的なマッサージ;結合組織マッサージ。
機能性オイルを用いたスキンケア。

 

 

Ernährungstherapie:

Grunddiät-Vollwertnahrung, überwiegend laktovegetabil. 

Versuch einer„Umstimmung"

durch ein nicht zu langfristiges Fastenregime oder eine Rohkostperiode,

weil dabei keine Zufuhr von Aradirdonsäule.

栄養療法:
基本的食事療法-自然食完全栄養、主に乳製品を加えた菜食。 アラキドン酸?の供給がないため、断食療法や生野菜・果物食による「変調」の試みは、あまり長期に及ばないようにする。

 

 

Phythotherapie:

Extern Einreibungen mit Campher, Eukalyptusöl, Fichtennadelöl, 

Kiefernnadelöl,Minzöl.

Zur adjuvanten internen Applikation eignen sich Weidenrinde (Salicis cortex) oder Phytodolor®.

薬用植物療法:
樟脳、ユーカリ油、トウヒ針葉油、松脂油、ミント油を使った外用塗布。 ヤナギ樹皮(Salicis cortex)またはPhytodolor®は、補助的内服に適する。

 

 

Ordnungstherapie:

Regelmäßige tägliche Übungstherapie(s.o.).

Rheuma-Liga. Psychosomatische Betreuung.

心身医学療法:
毎日の規則的な運動療法(上記参照)。リウマチ連盟。心身のケア。

 

 

Kurörtliche Therapie:

Umfassende Behandlung nur in speziell mit dem Krankheitsbild vertrauten Institutionen, andernfalls u. U.Gefahr einer Exazerbation!

保養地滞在型温泉療法(転地療法)
臨床症状に習熟した専門施設でのみ包括的な治療を行い、そうでない場合は増悪の危険性がある。

 

7月8日(水)

前回はこちら

 

関節リウマチの疾患活動性の評価方法

 

慢性疾患においては医師と患者が共同で意思決定を行うことが大切とされます。関節リウマチ診療において、少し古い論文(註)ですが、患者にとっての優先事項と問題が何かを医師が把握する必要性を証明したものがあります。それは関節リウマチ(RA)の疾患活動性を患者自身が評価する全般評価(PGA)と、評価者(医師)による全般評価(EGA)はしばしば食い違うからです。

 

(註)参考文献:
Discrepancies between patients and physicians in their perceptions of rheumatoid arthritis disease activity

Volume64, Issue9.September 2012.Pages 2814-2823


オーストリアVienna大学Daniel Aletaha氏のグループのPaul Studenic氏らは、RA患者の大規模観察コホートのデータベースに登録された情報を利用して、食い違いが何に由来するのかを調べました。その結果、患者は疼痛レベルをより重視し、医師は腫脹関節数(SJC)をより重視して全般評価を決定していることが明らかにしました。著者らは、医療者が患者の痛みを過小評価している可能性を指摘しました。

 

杉並国際クリニックは、戦略的な疼痛診療によって患者さんの痛みに対して真摯に取り組んでいることは多くの皆様の支持をえています。

 

具体的戦術としては、

1)患者さんの痛みの本質を十分に理解すること

2)痛みを含む総合的・複合的な疾患活動性についての評価指標を採用していること

3)治療にあたっては消炎鎮痛剤のみに頼らず、むしろこれらを減らすために漢方を

併用し、また鍼灸療法などの物理療法や水氣道®などの運動療法、環境調整、必要に応じてリラクゼーション法の指導や心身医学的アプローチを最大限に活用すること

 

以上の他に、関節リウマチの診療は食生活を含む全身の健康管理による体質改善やストレスマネジメントが必要なことを理解していただき、良好な成績を得ています。

その結果、当クリニックにおいて、一般的に高価格であるとして知られている生物学的製剤を使用している関節リウマチの患者数はゼロです。

 

 

関節リウマチの疾患活動性の評価には複合的活動性指標の活用が推奨されています。
以下の3つの指標が臨床現場で活用されています。

 

いずれの評価方法でも28の関節診察が基本になります。

1) DAS28(Disease Activity Score)

 

2) CDAI(Clinical Disease Activity Index)

 

3) SDAI(Simplified Disease Activity Index)

 

 

現在、杉並国際クリニックで採用している評価尺度は1)DAS28です。

 

1)DAS28は複雑な計算式を必要とし、日常診療では煩雑であるとされていますが、実際には自動計算ツールもあるため、比較的簡単に計算可能です。

 

DAS28=0.56×√(圧痛関節数(0-28)+0.28×√腫脹関節痛(0-28)+0.70×ln(ESR)
   +0.014×患者全般評価(0-100㎜)

 

 実例を示します。

DAS(

 

 

2)CDAIは28関節(両肩、両肘、両手、母指指節間関節、2~5近位指節間関節、1~5中手指節間関節)を観察対象とします。評価方法は、腫脹関節数と圧痛関節痛、患者による全般評価、医師による全般評価を足し合わせることで計算できます。
  

CDAI=圧痛関節数(0-28)+腫脹関節数(0-28)+患者全般評価(0-10㎝)
+医師全般評価(0-10㎝)

臨床的寛解基準:CDAI≦2.8

 

 

3)SDAIは2)CDAIにCRP(㎎/dL)を足すのみで計算できるので、容易に算出できます。
  

SDAI=CDAI+CRP(㎎/dL)
  

臨床的寛解基準:SDAI≦3.3

 

 

杉並国際クリニックでは、関節リウマチの疾患活動性の評価により、関節リウマチの臨床的寛解を評価することの重要性に鑑みて、今後は、1)DAS28に加えて、2)CDAIおよび3)SDAIを同時に計算して総合評価することにしました。

 

なお、主要28関節以外の骨破壊が進行していないかどうかの評価も重要であり、定期的にその他の関節の診察も行うべきとされます。この複合的活動性指標はとても有用ですが、関節所見はアナログです。これを補完するのが画像診断、とくに関節エコー検査です。

 

これについては、明日説明いたします。

 

<明日へ続く>