7月7日(火)

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症例14(その3)


第2節:“家で耐えてください” 

男性は4月4日、陽性と確認されたが、保健所から思わぬことを告げられた

 

翌日、陽性ですっていうことで連絡があって、「どうしたらいいですか」って言ったら、「とりあえず症状を教えてください」って言われて。

その時には熱が6日間ぐらい出てたんで「熱が6日間出っぱなしで、今も39度ちょっとです」って言ったら「耐えられますか」って言われて。「えっ、これ自宅でですか?」って言って。

 

僕、先生から聞いたのは「絶対入院だ」(註1:私も全く同じ判断です。)って言われてたんで。「入院て聞いてるんですけれど」って言ったら「実は入院できる病院がない」(註2:保健所は、住民に提供する情報を限りなく小出しにして、時間稼ぎをするので、患者も医療機関も大局的な判断に基づく早期の行動決定ができないことは大問題です!)と。

「ベッドが空き次第そちらのほうに回すんで、とりあえず家で耐えてください」(註3:医療崩壊という言葉がありますが、それよりも前に保健行政が内部崩壊しています。さらに言えば、国民に対して直接責任を負わなくて済む財務省の機構自体が、厚労省をも雁字搦めにしているようなのが残念です!)って言われたんですよ。


薬もらってたんで、飲んでいい薬っていうのと、飲んだらだめっていう薬がネットで出てたから、「どれを飲んでよくて、どれを飲んだらダメなのかっていうことだけでも教えてくれ」(註4:ご尤もです。しかし、どちらに質問をしたのでしょうか。このような臨床医学的な質問を保健所にしても管轄外とされるのがオチです。主治医と相談すべきでしょう。)と。


「飲んだらいけないものを飲んで悪化するとまずいんで」って言うと、「それも言えない」と。「だから薬も飲まないでくれ」って言われて、とりあえずもう「分かりました」って言うしかなくてね。


「分かりました」って言って電話切った後に、僕の先輩にコロナで入院している人がいたんですよ。その人にどういうになったか聞こうと思って連絡とったら、その3日前までICUに入っていて、「死にそうだったんだ。お前、絶対病院に入院したほうがいいよ」と。「アビガン(コメント参照)飲んで回復に向かったから、アビガン飲んだほうがいいよ」って言われたんですよ。そういうのLINEで交換しながら。


コメント:

アビガン®(ファビピラビル)については、インフルエンザウイルスの遺伝子複製酵素であるRNAポリメラーゼを阻害することでウイルスの増殖を抑制する薬剤。

COVID-19を引き起こす新型コロナウイルスもインフルエンザウイルスと同じRNAウイルスであることから、効果を示す可能性があると期待されています。

ただし、中間報告では「軽症患者に投与された場合にはほとんどが回復している一方、重症患者では治療経過が思わしくないことも多いことが読み取れる」としていますが、比較試験ではなく、COVID-19は軽症のまま自然に治ることも多いことから、「慎重に結果を解釈することが必要だ」としています。

さらに、動物実験で催奇形性が確認されているため、妊婦や妊娠している可能性がある人には使うことができず、妊娠する可能性がある場合は男女ともに避妊を確実に行う必要があります。

 

<明日へ続く>

7月7日(火)

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«Внутрисосудистое свертывание крови при


COVID-19 определяет весь ход болезни»
"COVID-19での血管内凝固が疾患の全経過を決定する"

5 Июня 2020
2020年6月5日


Беседа с академиком А.Д. Макацария, крупнейшим специалистом в области клинической гемостазиологии

臨床止血学の最高峰の専門家であるアカデミアA.D.マカッツァリア氏にインタビュー

 

Вообще надо сказать, что открытие NET расширило горизонты в понимании биологии нейтрофилов и роли этих клеток в организме. Использование организмом хозяина хроматина в сочетании с внутриклеточными белками в качестве естественного противомикробного агента имеет древнюю историю и меняет наше представление о хроматине как только о носителе генетической информации. Благодаря избыточному и неконтролируемому формированию NET, нейтрофилы могут способствовать развитию патологического венозного и артериального тромбоза, или «иммунотромбоза», а также играют важную роль в процессах атеротромбоза и атеросклероза. Высвобождение NET является, как выяснилось, одной из причин тромбообразования при таких состояниях, как сепсис и рак. Наличие NET при этих заболеваниях и состояниях дает возможность использовать их или отдельные компоненты в качестве потенциальных биомаркеров. NET и их компоненты могут быть привлекательны в качестве терапевтических мишеней. Дальнейшие исследования нейтрофилов и NET необходимы для разработки новых подходов к диагностике и лечению воспалительных и тромботических состояний.

一般的には、NETの発見により、好中球の生物学的理解と、これらの細胞が体内でどのような役割を果たしているのかを理解する上で、視野が広がったというべきでしょう。宿主生物によるクロマチンと細胞内タンパク質の組み合わせによる天然の抗菌剤としての利用は、古い歴史を持ち、遺伝情報の担い手としてのクロマチンの理解を変えています。NETの過剰で制御不能な形成により、好中球は病的な静脈血栓症や動脈血栓症、すなわち「免疫血栓症」に寄与し、アテローム血栓症やアテローム性動脈硬化症において重要な役割を果たします。NET放出は、敗血症や癌などの状態での血栓症の原因の一つであることが判明しています。これらの疾患や状態にNETが存在することで、それらや個々の成分を潜在的なバイオマーカーとして使用することが可能になります。NETとその構成成分は、治療標的として魅力的かもしれません。好中球とNETのさらなる研究は、炎症性および血栓性疾患の診断と治療への新たなアプローチを開発するために必要とされます。

 

– Размышляя о высокой летальности у пациентов, которым пришлось применить ИВЛ, вы констатируете, что мы, возможно, пошли не тем путем. А какой путь может оказаться более верным?

- SRIを使わざるを得なかった患者の致死率の高さを考えると、間違った方向に行ってしまったかもしれないことに気づく。どちらが正しいかもしれませんか?

 

– Да, я имел в виду, что при оценке вентиляционно-перфузионных нарушений при COVID-19 превалируют перфузионные нарушения, нарушения микроциркуляции, а это значит, что главная терапевтическая мишень – восстановление нормальной перфузии тканей, то есть противотромботическая терапия, а возможно, даже и фибринолитическая. Механическая вентиляция не может решить вопрос перфузионных нарушений.

- はい、私が言いたかったのは、COVID-19の換気-灌流障害を評価するときに、灌流障害、微小循環障害は、主な治療目標は、正常な組織灌流の回復、すなわち、抗血栓療法、およびおそらく線溶療法であることを意味します。人工換気では灌流障害の問題は解決できません。

 

– Видите ли вы, что в связи с эпидемией стали более частыми проблемы тромбообразования в акушерско-гинекологической практике?

- この流行により、産婦人科診療において血栓症の問題がより頻繁に発生するようになったことがわかりますか?

 

– Случилось так, что во многом и благодаря нашим стараниям (лекциям и публикациям), большинство акушеров сегодня осведомлены о том, что беременность – это состояние так называемой физиологической гиперкоагуляции, и этим пациенткам нередко назначаются антикоагулянты во время беременности. Тем не менее, требуются дальнейшие исследования для вынесения суждения о частоте тромбозов у беременных с COVID-19.

- たまたま、私たちの努力(講演や出版)の甲斐があって、今ではほとんどの助産師さんが、妊娠はいわゆる生理的な高凝固状態であることを認識しており、妊娠中は抗凝固剤を投与されることが多いようです。しかし、COVID-19の妊婦における血栓症の発症率を判断するためには、さらなる検討が必要です。

 

Вообще надо сказать, что большинство осложнений беременности либо обусловлены, либо сочетаются с высоким тромбогенным потенциалом. Генетические факторы свертывания крови, особенно антифосфолипидный синдром, являются факторами риска огромного количества осложнений беременности – это и внутриутробные гибели плода, и неудачи ЭКО, и задержка внутриутробного развития плода, и преждевременная отслойка плаценты, что приводит к тяжелым тромбогеморрагическим осложнениям, это, наконец, тромбозы и тромбоэмболии. Поэтому, конечно, можно ожидать, что в условиях COVID-19 эти осложнения могут представлять собой еще большую опасность. Ведь вирус может быть фактором, активирующим факторы свертываемости крови. Конечно, тут нужны обобщающие исследования, но уже сейчас наши отдельные наблюдения говорят о том, что риск таких осложнений возрастает.

一般的に、ほとんどの妊娠合併症は、高い血栓形成能に起因するか、またはそれらが複合したものです。血液凝固の遺伝的要因、特に抗リン脂質症候群は、妊娠合併症の膨大な数のための危険因子です - これらは、子宮内胎児死亡、体外受精の失敗、遅延子宮内胎児の発達、および重度の血栓出血性合併症につながる未熟な胎盤剥離、最終的に血栓症と血栓塞栓症を含みます。したがって、当然ながら、COVID-19の条件では、これらの合併症がさらに大きな危険をもたらすことが予想されます。結局のところ、ウイルスは血液凝固因子を活性化させる因子になります。もちろん、ここでは一般的な研究が必要ですが、すでに今、私たちの別個の観察では、このような合併症のリスクが高まっていることが示しています。

 

7月7日(火)
  
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関節リウマチ(RA)治療は戦略的に行なわれています。日本リウマチ学会(JCR)から2014年に発表された「関節リウマチ診療ガイドライン」で示される治療戦略においては、明確な目標が設定されています。

 

それは、「臨床症状の改善のみならず、関節破壊の抑制を介して長期予後の改善、特に身体機能障害の防止生命予後の改善を目指す」というものです。

 

これを実践するためには4つの戦術が挙げられています。

  • 関節炎を速やかに鎮静化させて寛解に導入し、長期間維持すること
  • 合併症や薬剤副作用の予防や低減、適切な対応をすること
  • 関節破壊に起因する機能障害が発生した際には適切な外科的処置を検討すること
  • 治療方針を患者と情報共有し協働的意思決定を行うこと

 

このようにRA診療上の鍵は、主徴の一つである関節破壊の進行を抑制することが目標となるということです。今日ではRA治療において関節破壊の進行を抑制することができる多くの薬剤(疾患修飾性抗リウマチ薬:DMARDs)が使用可能になっています。これらの薬剤を安全かつ速やかに使用することの必要から、日本リウマチ学会から2014年に「関節リウマチ診療ガイドライン」、2016年に「関節リウマチ治療におけるメトトレキサート(MTX)診療ガイドライン」が発表されています。関節リウマチの患者さんであれば、リウマトレックス®という薬の名前を聞いたことがあると思いますが、これがメトトレキサートです。

 

以下は杉並国際クリニックで使用頻度の高い疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)です。

 

関節リウマチの患者さんは女性が多く、しかも妊娠可能な年代の方が少なくありません。そのため、予め「妊娠や授乳に禁忌とならない抗リウマチ薬をベースにして、アンカードラックのメトトレキサートで補う」という戦略を取っておくことにしました。それよって、いざ結婚準備、挙児希望、という急展開のあったケースの相談にも対応しやすくなってきました。

 

免疫調整薬

サラゾスルファピリジン(SASP):アザルフィジンEN®

 

ガイドラインで強い推奨を受けていますが、わが国の承認用量は海外の半量に限定されています。NSAIDs(註)で十分な効果が得られない場合に使用可となります。

 

なお、サルファ剤・サリチル酸系薬過敏症には禁忌です。

 

 

註:

NSAIDsとは非ステロイド系消炎鎮痛剤で、一般的な「痛み止め」の多くはこれに含まれています。杉並国際クリニックで使用している代表的なNSAIDsは

 

アリール酢酸系(フェニル酢酸系)のジクロフェナクナトリウム:

ボルタレン®

 

プロピオン酸系のロキソプロフェンナトリウム水和物:

ロキソニン®

 

オキシカム系のメロキシカム:

モービック®

 

コキシブ系のセレコキシブ:

セレコックス®

 

消化管障害が少ないのはCOX-2選択性が比較的強いとされるため、モービック®やセレコックス®を使用する症例が増えています。

 

 

免疫調整薬

ブシラミン:

リマチル®

SH基製剤、安全性のため200㎎/日(50㎎錠で4錠)以下の投与が推奨されています。

 

1日3回食後投与が基本であるため、杉並国際クリニックでは150㎎/日(50㎎錠で3錠)から開始しています。なお、血液障害、骨髄機能低下、腎障害では禁忌です。

 

 

 

免疫抑制薬〔代謝拮抗薬(葉酸代謝拮抗薬)〕

メトトレキサート:

リウマトレックス®

ガイドラインで強い推奨を受けている抗リウマチ薬のアンカードラッグ

週に5~6日の休薬が必須(逆に言えば、投与日は週に1もしくは2日)

また、妊婦、授乳婦、肝性肝疾患、活動性結核、骨髄抑制、腎障害、胸水・腹水例では禁忌です。

 

 

今後の候補薬としては

免疫抑制薬〔代謝拮抗薬(プリン拮抗薬)〕

ミゾリビン:

ブレディニン®

 

過去の治療でNSAIDs、抗リウマチ薬の少なくとも1剤により十分な効果が得られない場合のみ使用可能です。

 

妊婦や白血球数3,000/㎜³以下では禁忌で、また生ワクチンは使用できません。

 

 

免疫抑制薬〔代謝拮抗薬(ピリミジン合成阻害薬)〕

レフルノミド:

アラバ®

強力だが間質性肺炎合併では重篤化の恐れがあります。

また、妊婦、授乳婦、肝性肝疾患、活動性結核では禁忌です。

 

リウマチの本格的ガイドラインは、おもに私共のようなリウマチ専門医をおもな利用対象者としたガイドラインです。しかし、実際には専門医向けというより研究者向けであるような印象を受けました。日常診療では、非専門医向けに発表された「関節リウマチ診療ガイドラインJCR2014に基づく一般医向け診療ガイドライン」を十二分に活用することで、ほとんどの場合、対応が可能です。

 

そこで、最近注目されていて、しかも実際的にも有用な新しいツールが2つあります。

 

その一つが、疾患活動性の評価法、もう一つが、関節エコー法による診断です。明日以降、これらを中心にご紹介します。

 

<明日へ続く>

7月6日(月)

関節リウマチ(以下、RA)は、

1)多発性の関節炎と

2)関節破壊を主徴とする全身性自己免疫疾患です。

 

杉並国際クリニックの初診の方の受診動機は、

1)関節の痛み、

2)関節の腫れ、

3)関節や筋肉のこわばり、が多いです。

これは、全国的な傾向とほぼ一致しています。

 

 

わが国のRAの患者数は60万人とも70万人、有病率としては0.6~1.0%と推定されています。男女比は1:3~4で女性に多く、また20歳代から60歳代の就労可能年齢に多く発症します。そのため、社会的生産性にも大きく影響することが指摘されています。

 

有病率として推定される0.6~1.0%という数字は、とても小さい限られた数字であるという印象が持たれがちですが、この数字はリウマチ専門医が扱っている患者の割合とは甚だしく異なります。

その理由は、RAを疑うべき症状や病気をもっている患者、すなわちRAと鑑別しなければならない患者数がとても多いからです。

ですから、リウマチ診療においては除外診断のための臨床能力がとりわけ重要になります。

RAの診断基準においても除外診断の必要性に関しても記載されていますが、具体的な除外診断の対象疾患は明記されていません。

2010年ACR/EULAR RA分類基準の別の問題点として、鑑別診断が各自に委ねられていることが挙げられます。

リウマチ診療の現場ではRA以外の関節疾患(変形性関節症、乾癬性関節炎、痛風性関節炎、偽痛風など)の鑑別診断が必要です。特に変形性関節症に代表される変性性/退行性/加齢性変化はRA診療において重要な鑑別病態になります。

 

このように、2010年ACR/EULAR RA分類基準の別の問題点として、鑑別診断が各自の医師に委ねられていることが挙げられます。その理由はRA分類基準(診断基準)を活用して診療できるのはRA診療に熟知した専門医を想定しているからです。

このようなことから、RAが疑われる際には、早期にリウマチ専門医を受診し、診断確定、治療方針を決めるべきであるとされているのです。

 

ところで1987年に米国リウマチ学会(ACR)から提唱された従来のRA分類基準に立ち戻って診断基準の変遷を振り返ってみると、この分類基準は、進行したRAを診断するのには有用でしたが、早期診断には不向きでした。

RAの早期診断がとりわけ重要なわけは、発症早期から関節破壊が進行することが知られているからです。

こうした背景の中で、2010年に米国リウマチ学会(ACR)と欧州リウマチ学会(EULAR)よりRAの改訂分類基準が発表されました。この分類基準では、臨床的滑膜炎が存在しなければRAの診断に至らないことが重要な点です。

 

関節リウマチの診断のポイント(参照)は、この臨床的滑膜炎の存在の他に、リウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体に最大3ポイントが与えられていることが注目されます。

 

参照:関節リウマチ早期診断・治療管理基準(杉並国際クリニック版)

①関節リウマチ早期診断・治療管理基準

7月6日(月)

 

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症例14(その2)

新型コロナウイルス 感染者・家族 遺族の証言
「これが差別か」
新型コロナ陰性~退院のあとに待っていたもの

 

その後も熱は下がらなかったがなかなか検査を受けられなかった。医師のすすめで胸のCT画像を撮った(註8:重症化リスクを早期に発見するうえでは、PCR検査よりも遥かに重要な検査だと思います。)ところ新型ウイルスの症状(註9:患者言葉なので仕方がないのですが、念のため。この場合、症状ではなく「検査所見」といいます。症状はあくまでも患者さん固有のものです。)が出ていた

 


「(保健所に)何を言ってもだめだから、結果で示すしかないから」(註10:この医師は、保健所行政の実態を知り、患者を救うために戦略的に行動していることがうかがわれます)って言われて、胸のCTを撮りに行ったんですよ。肺炎像が胸のところに出てて、コロナの可能性が高いって、その病院の先生から保健所に連絡してもらったんですよ。


そしたら「いったん帰って保健所からの連絡を待ってくれ」(註11:たいていの保健所には医師は所長を含めて2名程であり、必ずしも臨床医ではありません。保健師を含めて、事実上、上司からの指示待ち族なのでしょう。ですから、お伺いを立ててから行政判断をいただいて、それから動いているようなので、とても時間がかかります。現場に与えられた裁量権が乏しいため、現場の職員を非難することは的外れとされ、患者や医療機関は泣き寝入りを余儀なくされてきました。)って言われて。

そこから丸1日半全く連絡がなくて、1日半後に連絡が来てやっとPCR検査が受けられたっていう感じですね。

 

<明日へ続く>

7月6日(月)


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感染はウイルスの増殖スピードと生体防御能の競争です。

重症化する前に本疾患の山場があると考えた方がよいでしょう。

ですから早め早めに適切な漢方治療が必要です。

その上で改善徴候が見られなければ入院のタイミングを逃さないようにすることが肝要です。

感染が拡大している地域では,軽症者は自宅またはホテルで療養する,という指針が出されていました。

ここで重症化を防いで回復させることが,医療崩壊を防ぐ最も効率的な方法であり,漢方薬の重要な役割と考えます。

 

また生薬がもつ様々な薬理作用の中にはインターフェロン誘起作用があります。

その薬効をもつ生薬のなかで黄耆、白朮は第一弾『玉弊風散』に、艾葉、桔梗、紅花、紫根は第二弾«生薬マスク»に含まれています。


特にインターフェロンαは、ウイルスの増殖を防ぐための重要なサイトカインです。

このインターフェロン産生経路は複雑で,産生までに非常に長い時間を要します。

体内でのウイルスの増殖速度とインターフェロンα産生速度によって,重症化するか治癒に向かうかが決定されるので,いかに生体防御機能が早く働くかが重要な鍵となるのです。

こうした生薬をあらかじめ用いることで,インターフェロンαを産生するために重要なIRF-7の発現が上昇し,感染が起こった場合にすぐにインターフェロンαが産生できる,という準備状態をつくることができます。

インターフェロンα産生の準備状態をつくるほか,ウイルス粒子に結合して複合体を形成し,細胞への侵入を抑制すること、細胞内ストレス応答の役割を持つオートファジーの誘導を促進して,インフルエンザ感染によるオートファジー機能不全を軽減すること,およびインフルエンザ感染により破綻した解糖系-ミトコンドリア間の細胞内エネルギー代謝の恒常性を改善する作用を有することなどを示す報告もあります。 

感染前に投与することで,これらの機序により,感染の重症化を防いでいるのです。
 

これらはインフルエンザウイルスを使った研究であるが,他のウイルス感染でも漢方薬の補剤投与により,生体防御機能を上げておくことは重症化予防につながると推測できます。

7月5日(日)

取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ14症例の研究


新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。

 

以下は、取材記事を下敷きとし、加筆や編集部分は赤もしくは緑文字として区別しました。

新型コロナウイルス 感染者・家族 遺族の証言

4月27日取材 福岡放送局 森並慶三郎



福岡市に住む38歳の自営業の男性は、新型コロナウイルスが陰性となって退院したあと、病院や美容室の利用を拒否されたといいます。「これが差別かと思った」。男性の話です。

 

症例14(その1)

第1節:コーヒーの味がしない病院からは“来ないでくれ” 

男性に症状が出たのは3月下旬。
友人たちと食事をして帰宅しようとしたとき、異変を感じた

 

ごはん食べて、帰りにコンビニでコーヒー買って飲んだら全く味がしなくて。コーヒー一気飲みできるくらい、味がなかった(註1:味覚障害が初発症状という特徴的なケース)ですね。


まさかと思って(自宅で)目の前にあった香水をにおったらにおいがなく(註2:嗅覚脱失も味覚障害関連の症状です)て。

熱を測ったら38度5分(註3:体温が38.5℃になっても発熱の自覚がなかったとすれば、発熱に鈍感な体質か、平熱が高めであったのかもしれません。いずれにせよ、味覚や嗅覚が障害される前に、すでに微熱が生じている可能性があったことは否定できません。そして、この段階で感染性あり、ということになるでしょう。)あったんですよ。


で次の日、自分の知り合いの内科に電話して、こういう症状だっていうふうに言ったら、「薬を出すからとりあえず病院には来ないでくれ」と。「処方箋だけメールで送るから、それを持って薬局に行って飲んでくれ」と。「それを3日間飲み続けて症状が治まらなければ、コロナの可能性が高い」(註4:この医師の判断は、この段階では妥当だと思います。)と。


結構強い抗生物質とせき止めと鼻水の薬、あと熱さましをもらって3日間飲んだ(註5:処方について異議あり!特に抗生物質と熱さまし⇒この場合消炎解熱剤か?を処方することには慎重であっていただきたいと思います。しかし、このような処方をする医師が多数に及んでいることも、残念ながら事実のようです。)んですけども、全然、症状が改善されず、

「改善されません」と先生に言ったら、「保健所に電話しよう」(註6:この医師も、本来であれば抗生剤や解熱剤を処方したくなかった可能性があります。つまり、保険所でPCR検査を拒否されないような条件づくりのために、やむを得ず処方された可能性があります。)って言って電話してくれたんですよ。


でも保健所は門前払いで全然取り合ってくれなかった。「検査できません」(註7:患者や主治医の願いと努力は無にされてしまいました!)と。

 

<明日へ続く>

私たち人類の身体と心と精神の健康と幸福にとって詩の朗読や音楽の演奏や鑑賞は貴重な文化活動です。Covid-19禍の影響で、こうした活動が抑止されていることはとても残念なことです。

 

そこで、そうした状況下の毎日を過ごしていらっしゃる皆様のために、イタリアきっての歌曲作曲家の巨匠であるトスティの優美なメロディーにのせて、世界に誇るわが国の和歌(小倉百人一首)を、文字通り歌い上げ、全世界の人々に慰めと励ましのエネルギーを発信することにしました。

 

「一人でできるボイストレーニング法」ステップ1:

まずは、一流のオリジナル演奏を、気軽に楽しんでみましょう!
 

藝術歌曲集 小倉百人一首No2.トスティ50番(高声)で歌う

 

このCDに収録されている5名の声楽家に、それぞれの担当曲のうちから1曲を選び「百人一首」ならぬ「五人一歌」として皆様にお届けいたします。収録されている5人の才能あふれる現役声楽家の歌声を2人の伴奏ピアニストと共に、『聖楽院』として世界中に発信する企画を始めました。

CD全曲を45秒ずつ試聴できます

 


名付けて「百人一首」改め「五人一歌」です。外国のファンの方のご要望により、英語訳、イタリア語訳、(いずれも飯嶋正広訳)を付しました。
今月は5曲を一挙公開します。是非ご試聴ください!

 

テノール・リリコ

上原正敏
藝術歌曲集小倉百人一首No2.トスティ50番(高声)で歌う
DISC2-1.26わが庵は(8番)/喜撰法師

こちらのページで試聴できます

 


ソプラノ・リリコ

野上結美
藝術歌曲集小倉百人一首No2.トスティ50番(高声)で歌う
DISC2-25.49-2忘れじの(54番)/儀同三司母

こちらのページで試聴できます
 


ソプラノ・リリコ

隠岐彩夏
藝術歌曲集小倉百人一首No2.トスティ50番(高声)で歌う
DISC1-1.1やすらはで寝なましものを(59番)/赤染衛門

こちらのページで試聴できます

 


テノール・レッジェーロ

志摩大喜
藝術歌曲集小倉百人一首No2.トスティ50番(高声)で歌う
DISC1-9.9 あはれともいふべき人は(45番)/謙徳公

こちらのページで試聴できます

 

 

テノール・リリコ・スピント

隠岐速人 
藝術歌曲集小倉百人一首No2.トスティ50番(高声)で歌う
DISC1-24.24憂かりける人を(74番)/源俊頼朝臣

こちらのページで試聴できます
 

 

チャンネル登録、公開コメントもよろしくお願いいたします。

 

7月5日(日)
週間<外国語>旅行


<日本のCovid-19のデータが当てにならないわけ>

 


Câmara de Lisboa tem 33 casos ativos de infeção entre trabalhadores
リスボン商工会議所では、労働者の間で33件の感染症が発生している。


Autarquia lisboeta regista 53 casos confirmados, 20 dos quais recuperados. Foco no posto de limpeza de Telheiras
リスボン市は53件の確定事例を登録しており、そのうち20件が回収されている。屋根瓦クリーニングステーションに注目



© MIGUEL A. LOPES/LUSA
DN/Lusa
02 Julho 2020 — 13:04


Tópicos


A Câmara de Lisboa regista atualmente 33 casos de infeção por covid-19 "ativos", num total de 53 casos positivos, 20 dos quais recuperados, anunciou esta quinta-feira o vice-presidente da autarquia.
リスボン市議会は現在、Covid-19「アクティブ(陽性者)」に感染者33例を登録している、合計53の陽性例のうち、20例が回復したと副市長はこの木曜日に発表した。

 

João Paulo Saraiva avançou, em reunião pública do executivo municipal, que o aumento dos números se deve a um foco no posto de limpeza de Telheiras, não adiantando, porém, quantos trabalhadores daquele local estarão infetados.
ジョアン パウロ サライバ は、数の増加は屋根瓦清掃ステーションに焦点を当てているが、どのように多くの労働者が感染することになるのかを市の執行部の公開会議で述べた。

 

"O município de Lisboa tinha até há uma semana números bastante abaixo dos números nacionais, mas houve um foco que foi já tratado, avaliado, estudado e está a ser seguido", afirmou o autarca, em resposta a uma pergunta do vereador do PSD João Pedro Costa.
「リスボンの自治体は 1 週間前まで全国の数字を十分に下回っていたが、すでに対応し、評価し、研究し、フォローが続いているフォーカスが一つあった」と市長は、PSD 議員ジョアンペドロコスタからの質問に回答した。

 

Questionada pela Lusa, fonte do gabinete de João Paulo Saraiva (Cidadãos por Lisboa, eleito pelo PS) disse que os 33 casos dizem respeito ao universo total de trabalhadores da câmara e das empresas municipais - cerca de 12 mil - mas não adiantou o número de infetados no posto de limpeza de Telheiras.
ルサによって質問を受けたジョアン・パウロ・サライバ(リスボン市民、PSによって選出された)の事務所からの情報によると、33例は、市議会と市営企業の労働者の総数- 約12,000に関係している - しかし、屋根瓦清掃ステーションで感染者の数を計上していなかったと述べた。

 

コメント:

感染者の計上漏れは東京都においても複数回報告されました。リスボン市でも同様の事故が発生したということです。

 

 

Segundo o vereador, está em causa "um grupo de pessoas" que não terá seguido as regras estabelecidas, situação que não foi "devidamente gerida pelos dirigentes" e que "está a ser avaliada e acompanhada".

市会議員によると、これは確立されたルールに従わない「一集団」であり、「指導者によって適切に管理されている」状況ではなかったので、これは「評価され、監視されている」ところである。

 

Relativamente à política de testes do município, João Paulo Saraiva recordou que segue a linha recomendada pela Direção-Geral da Saúde, não adiantando quantos trabalhadores da autarquia já foram testados como perguntou o vereador social-democrata.

自治体の検査方針について、ジョアン・パウロ・サライヴァ氏は、社会民主党の市会議員が尋ねたように、自治体の検査済みの労働者が何人いるかについては計上しないという保健総局が推奨する方針に従っていることを思い出した。

 

O vice-presidente da câmara referiu ainda que o município faz um "acompanhamento trabalhador a trabalhador (...) até que passe a recuperado".
副市長も、自治体は「回復するまで(...)労働者による労働者のフォローをする」と言った。

 

João Paulo Saraiva referiu também que está a ser feita uma "campanha interna nalgumas áreas", onde foi detetado que existe "uma maior tranquilidade por parte das pessoas", de modo a evitar a propagação do vírus.

ジョアン・パウロ・サラヴァはまた「内部運動がいくつかの地域で実施されている」と述べ、ウイルスの拡散を避けるために「一部の人々に、より大きな静けさ」があることが発見された。

 

Em 26 de maio, a autarquia lisboeta registava 11 trabalhadores infetados pelo novo coronavírus, dos quais nove casos estavam recuperados e dois "ativos".
リスボン自治区は5月26日、新型コロナウイルスに感染した労働者11人を登録したが、そのうち9人が回復し、2人が「活動性」だった。

 

A pandemia de covid-19 já provocou mais de 512 mil mortos e infetou mais de 10,56 milhões de pessoas em 196 países e territórios, segundo um balanço feito pela agência francesa AFP.

フランスの機関AFPの報告書によると、Covid-19のパンデミックはすでに512,000人以上の命を奪い、196の国と地域で1056万人以上に感染している。

 

コメント:

世界人口を77億人とすると、

世界でのCovid-19感染率=1056万/77憶=1.4×10-⁴=1.4×10-²%=0.014%
世界でのCovid-19死亡率=512,000/77憶=6.7×10-⁵=6.7×10-³%=0.0067%
世界でのCovid-19感染者の死亡率=512,000/1056万=0.049=4.9%

 

 

Em Portugal, morreram 1.579 pessoas das 42.454 confirmadas como infetadas, de acordo com o boletim mais recente da Direção-Geral da Saúde.
ポルトガルでは、保健総局の最新の速報によると、感染が確認された42,454人のうち、1,579人が死亡した。

 

コメント:

ポルトガルの人口を10,196,707とすると、
ポルトガルでのCovid-19感染率=42,454/10,196,707=4.2×10⁻³=0.42%
ポルトガルでのCovid-19死亡率=1,579/10,196,707=1.6×10⁻⁴=0.016%
ポルトガルでのCovid-19感染者の死亡率=1,579/42,454=0.037=3.7%

 

最新の参考資料を添付します。
感染者における死亡割合(%)では、イタリア、英国が14%台、スペイン11.4%に対してポルトガルでは3.7%、ちなみに米国4.8%、これに対して日本は5.2%です。
人口100万人あたりの感染者数はチリ15058、ペルー9018、英国4773、イタリア3973、
スペイン5320、ポルトガル4200程度、ちなみに米国8155、これに対して日本は150です。

 

新型コロナウイルスの流行状況

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(2020年7月2日更新、参考:Coronavirus COVID-19 Global Cases by Johns Hopkins CSSE , WHO, 厚生労働省, 総務省統計局)


*日本の感染者数および死亡数は自治体公表資料集計分(厚生労働省HPより)

 

まとめ:

Covid-19における感染者における死亡割合(%)で比較する限り、日本はポルトガルや米国より高率であることが示されます。また、人口100万人あたりの感染者数での比較では、日本での数は極端に少ないのですが、これは統計に至るまでの背景因子の違いです。日本ではPCR検査数が限定されていたため、無症状感染者の数が繁栄されていないための結果であると考えられます。つまり、実際には公式発表感染者の10倍から100倍の感染者のデータが暗数となって計上されていない可能性が高いのではないかと考えることができるのではないでしょうか。

<線維筋痛症 JFIQの経過報告>

 (図1)

スクリーンショット 2020-07-01 13.17.00

JFIQは線維筋痛症の経過観察に欠かせない指標です。

 

 

最高点が100点で、20点未満が正常値になります。

 

 

 (図1)は左側が初期時の点数、右側が現在の点数でその2点を結んだものです。

 

 

 図2)

スクリーンショット 2020-07-01 13.15.09

 

(図2)は線維筋痛症の治療効果の割合を表したものです。

 

 

 50以上点数が下がると「著効」です。

 

 

 20以上50未満点数が下がると「改善」です。

 

 

 20未満の点数の低下は「無効」の判定となります。

 

 

 

 

<今回の考察>

 

 

正規性の検定で初期値、現在値共に正規性がありました。

 

 

その後、関連2群の検定と推定を行いました。

 

 

1)統計的にみて、JFIQスコアが有意に改善したことが証明されました。P(危険率)=0.001%でした(図1)

 

 

pが0.05以下であれば統計学的優位である。

 

 

pが0.01以下であれば統計学的に極めて優位である。

 

 

2)JFIQスコアの判定基準として、20点以上改善されると治療が有効、50点以上改善されると著効となります。

 

 

  今回、 10名の平均で    38点改善していたため、全体として鍼治療は  有効であったと言えます。

 

 

個別でみると、著効2名(20%)、有効5名(50%)、無効3名(30%)でした。(図2)

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭