特集:シリーズ『新型コロナウイルス罹患者の体験から学ぼう』「これが差別か」新型コロナ陰性~退院のあとに待っていたもの ③

7月7日(火)

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症例14(その3)


第2節:“家で耐えてください” 

男性は4月4日、陽性と確認されたが、保健所から思わぬことを告げられた

 

翌日、陽性ですっていうことで連絡があって、「どうしたらいいですか」って言ったら、「とりあえず症状を教えてください」って言われて。

その時には熱が6日間ぐらい出てたんで「熱が6日間出っぱなしで、今も39度ちょっとです」って言ったら「耐えられますか」って言われて。「えっ、これ自宅でですか?」って言って。

 

僕、先生から聞いたのは「絶対入院だ」(註1:私も全く同じ判断です。)って言われてたんで。「入院て聞いてるんですけれど」って言ったら「実は入院できる病院がない」(註2:保健所は、住民に提供する情報を限りなく小出しにして、時間稼ぎをするので、患者も医療機関も大局的な判断に基づく早期の行動決定ができないことは大問題です!)と。

「ベッドが空き次第そちらのほうに回すんで、とりあえず家で耐えてください」(註3:医療崩壊という言葉がありますが、それよりも前に保健行政が内部崩壊しています。さらに言えば、国民に対して直接責任を負わなくて済む財務省の機構自体が、厚労省をも雁字搦めにしているようなのが残念です!)って言われたんですよ。


薬もらってたんで、飲んでいい薬っていうのと、飲んだらだめっていう薬がネットで出てたから、「どれを飲んでよくて、どれを飲んだらダメなのかっていうことだけでも教えてくれ」(註4:ご尤もです。しかし、どちらに質問をしたのでしょうか。このような臨床医学的な質問を保健所にしても管轄外とされるのがオチです。主治医と相談すべきでしょう。)と。


「飲んだらいけないものを飲んで悪化するとまずいんで」って言うと、「それも言えない」と。「だから薬も飲まないでくれ」って言われて、とりあえずもう「分かりました」って言うしかなくてね。


「分かりました」って言って電話切った後に、僕の先輩にコロナで入院している人がいたんですよ。その人にどういうになったか聞こうと思って連絡とったら、その3日前までICUに入っていて、「死にそうだったんだ。お前、絶対病院に入院したほうがいいよ」と。「アビガン(コメント参照)飲んで回復に向かったから、アビガン飲んだほうがいいよ」って言われたんですよ。そういうのLINEで交換しながら。


コメント:

アビガン®(ファビピラビル)については、インフルエンザウイルスの遺伝子複製酵素であるRNAポリメラーゼを阻害することでウイルスの増殖を抑制する薬剤。

COVID-19を引き起こす新型コロナウイルスもインフルエンザウイルスと同じRNAウイルスであることから、効果を示す可能性があると期待されています。

ただし、中間報告では「軽症患者に投与された場合にはほとんどが回復している一方、重症患者では治療経過が思わしくないことも多いことが読み取れる」としていますが、比較試験ではなく、COVID-19は軽症のまま自然に治ることも多いことから、「慎重に結果を解釈することが必要だ」としています。

さらに、動物実験で催奇形性が確認されているため、妊婦や妊娠している可能性がある人には使うことができず、妊娠する可能性がある場合は男女ともに避妊を確実に行う必要があります。

 

<明日へ続く>