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水氣道稽古の12の原則(4)環境創造の原則

 

水氣道においては、稽古の環境が果たす役割は大きいです。

それは水氣道という呼称が示す通り、稽古実践が陸上や床上ではなく水場という環境の中で行うことには固有の意義があるからです。

 

水氣道の稽古の場、すなわち、道場は水場に他なりません。


水氣道における環境とは、まずは身体の「外部」とみることから理解できます。

 

実際に20世紀の環境学は「環境」を人間社会の「外部」と見立てて、人類はその環境に自らを含む人類社会を委ねる背景あるいは前提と考えてきたようです。

たしかに、人間の諸活動は環境によって支えられもすれば制限を受けることもあります。

そのような環境は太古においては母なる自然であり、神そのものであったといえるかもしれません。

 

しかし、「神は細部に宿る」という言葉がありますが、自然や神は私たちの身体の内部にも宿っています。私たちの体内の器官や臓器、組織や細胞もそれぞれのレベルにおいて環境の中に存在しているからです。それから、私たちの感覚や心の働きは単純に私たちの身体の内部に収納されているのではありません。

 

これらは絶えず私たちの外部環境と内部環境とを橋渡ししています。そして、身体にせよ精神にせよ、私たちが全人的に健康であるというためには、私たちの内部環境が良好に維持されていなければなりません。そして、外なる環境も内なる環境も、現象面では変化するものであり、揺らぎのあるものであります。しかし、その本質は保持されていて不変であり、また、不規則のようでいて、何らかの法則によって秩序が維持されています。

 

環境によって育まれた生物は、環境によって絶えず影響を受けている一方で、生物自体も環境に影響を及ぼしています。

つまり、環境と生物とは相互に影響を及ぼし合って変化し続けていくのです。その最たる生物が人類です。そして、人間自身の諸活動が環境に大きな変化をもたらし、大いに環境を破壊し、不可逆的な変化をもたらしかねなくなってきている一方で、環境を修復し創り出そうともしている21世紀は、「環境の21世紀」とも呼ばれます。

 

そのように人間自身が環境を創造することで新たな社会経済システムが誕生しています。

したがって、人類の社会的営みである環境創造活動においては人類社会が進むべき道筋を見出していかなければならなくなってきました。

 

その指針となるモデルが「持続可能な循環型」環境の保全に向けての具体的実践です。そのような意味において、人間は「環境を創造する動物」であるということができます。

 

 

水氣道はとりもなおさず身体活動です。

ですから、水氣道の道場は一つの「人間環境」ということができます。

そして、水氣道は同志が集まって行う活動であることから共同体が形成されていくことになります。

 

これは新しい形での市民社会を形成する精神的文化的営みでもあり、さらに言えば芸術的な営みでもあります。

そして水氣道は同時に人間環境創造の進路を具体的に指し示す社会活動として成長を続けている道程の上にあります。

水氣道は、水場という環境が与えられていることが不可欠であるということです。

そして、後で述べますが、水氣道は道場である環境に委ねて稽古を実践することに留まらず、道場を含めて環境全体を創造していく活動であることを水氣道の沿革を振り返りつつ明言しておきたいと思います。

 

 

水氣道の揺籃期(水氣道という名称もなく、その基本骨格も形成途上にあった2000年までの数年間)は、個人的な稽古形式でした。

それは道場としての杉十温水プールにおいては、登録団体参加者ではない個人利用者としての指導行為が禁じられていたためでした。

初期の参加者には無言のまま模倣していただく他に稽古の方法がありませんでした。

稽古活動を規定する環境とは自然環境や施設設備などの物的環境ばかりではなく、施設管理者が設計する規則など社会的な環境が含まれます。

 

さて、基本的なルールを順守していても災難に巻き込まれることがあります。

あらゆる社会的存在には名称と意義と目的を明確にすることが求められるのが人間社会の現実です。

当時私は、プールでの他の利用者に十分配慮しながら、控えめな稽古を続けていました。

しかし、私たちの目新しい動作に対しては、どうしても冷ややかで批判的な視線が浴びせかけられます。

ときとして、残念なことではありますが、施設利用者は理不尽にも他の利用者の個人攻撃をすることがあります。

また、施設職員に対して不合理な密告や虚偽の申し立てをする方もいました。

そのたびに、施設職員から注意や勧告を受け、ときには施設長が私の自宅を訪れ事情聴取されたことがありました。

 

どうやら私を新興宗教の指導者、とりわけ当時の日本全体を騒がせていたオウム真理教との繋がりを疑われていたようでした。

しかし、それが契機となって、勧めに従い、2000年(平成12年)12月、奇しくも20世紀末に私たちの小集団を杉並区の登録団体にすることにしたのです。

その際に、はじめて「水氣道」を団体名としました。

 

「継続は力なり」、「禍は転じて福、ピンチはチャンス」、「硬直した努力より、柔軟な工夫」という3つの教訓は、水氣道の歴史において、その後も度々繰り返されることになりました。
 

その後、水氣道は水曜日の午前9時からの2時間を定例稽古として少しずつ参加者が増え、後に月曜日の午後3時からの2時間の稽古を増設し、20年後の令和2年の新型コロナの感染拡大を受けて施設が閉鎖(およそ2カ月以上に及ぶ活動中止は水氣道20年の中で最大の危機でした)されるまでの間、水氣道の中心的道場の役割を果たしてきました。

 

しかし、施設の団体利用のためには相応のコストが掛かります。それでも参加者が徐々に増えていく過程で、ようやくバランスが取れたかに見えた頃に、およそ2年間で数次にわたる料金の引き上げが行われ、利用料金が倍額となってしまいました。

慢性的な赤字状態に転落し、私自身が毎月補填することによって運営を続けざるを得ない時期が長く続きました。

それに加えて、長期継続者と新規参加者、年長者と若年者、体格や体力の優劣など、多様な参加者を束ねていくことの困難に直面することもありました。

また、稽古日や時間帯、夏季の団体使用不能など、稽古の継続を困難とする諸条件も水氣道の発展を阻害していました。

 

しかし、この困難も、参加者や施設の特性に応じた柔軟な稽古プログラムの編成、水氣道の技法の整理・体系化ならびに早期から導入していた「段級制」の弾力的な運用、新たな道場の開拓(新宿ハイジア会場:土曜日稽古開始/三鷹スバル会場:日曜日稽古開始/中野鷺宮会場:火曜日夜間稽古開始)によって、近年ようやく克服しつつあります。

 

このようなことから、水氣道における環境とは、水場(標準的な屋内プール施設に限らず、温泉水プール、湖水などの自然水も含みます)の物的環境だけではなく、人的環境や社会環境、あるいは経済的な環境など多様性に富む多次元の要素から成り立っていることがご理解いただけるのではないかと思います。

しかし、この環境の中にあって環境に適合しつつ、環境を変えていくこと、発展的に創造していくことが水氣道の発展にとって不可欠の要素であったということが言えます。

 

翻って、現代社会では、領域を越えた感性、知識、表現技術を活用できるしなやかでしたたかな生き方と、それを可能とする鋭敏で優れた時代感覚とがますます求められています。

 

水氣道では、テクノロジーや社会環境の変化に柔軟に対応し、領域横断的な発想を具現化できる能力を養うべく、理論と実践の両面から稽古に取り組んでいます。

そのために「健康志向キャリア」、「連携・協働に支えられたリーダーシップ」、「グローバル化に支配されない自己実現」という3つのマインドを涵養して、現在と未来を主体的に生き抜く力を養成する自己超越実現支援プログラムを提供するのが水氣道であるといえます。

 

以上より、水氣道における環境とは、まずは人間活動の環境を意味しますが、これは同時に共生の環境であり、また健全で持続可能なエネルギー・資源循環を支える環境をも意味します。

 

水氣道は共同体の活動を通して社会との関係に関する感性と技術を磨き、身体運動のみならず精神活動芸術やそれを取り巻く環境を総合的に学習することを基本としています。

そして、水氣道の実践者には21世紀の新しい生活・文化・芸術創造や水氣道の組織運営の現場はもとより、人類全体の環境の発展と創造を具体的に実践するために社会全般でのさまざまな分野で活躍することが期待されます。
 

こうした新たな時代の中で、水氣道の稽古実践と技法研究とを通して自らの全人的な健康と同時に、世界環境をより健康的・文化的・芸術的なものに発展させ創造させることに資する人材育成を皆と目指していきたいと願っています。 

 

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    • 水氣道稽古の12の原則(3)教修不岐の原則

 

教修不岐とは何か、これは「文武不岐」という言葉から着想を得た水氣道のための新しい概念です。それでは文武不岐とは何かというと、文と武とは分かつことができないものであるということです。武がなければ文ではなく、文がなければ武ではないということです。ですから、文武両道という考え方とは根本的に異なります。

 

水氣道において、「教修不岐(きょうしゅうふき)」というのは、教えることと修めることは水氣道の稽古において分かつことができないものであるということです。他者に教えることができなければ修めることができず、また修めることができなければ教えることができないということです。

 

そして、教修不岐の原則は、心身統合の原則心技体の原則に通じるものでもあります。これらの簡単な原則を心に受け入れ、身に着けることができれば、それで水氣道の実践者ということができるのです。

 

つまり、身と心は分かつことのできないものであるということが心身統合の原則です。それであるから、心のない身は物を感じることができず、また、身のない心は道理を知ることができません。けれども、入門者の一応の理解のために、あえてこれを分けて言えば、心は分別することによって道理を知り、身は行動して事実を感覚するものと言えるでしょう。したがって、心に受け入れられ修めることができる道理とは、事実としてこの身に行われるものでなくてはなりません。

 

水氣道においては、その真実の道理として心に受け入れ修めるべきことを「修錬」といい、その道理を事実として身に着けていくことを「訓練」といいます。しかし、この修錬と訓練とを別のものと考えてはなりません。

なぜならば、「真の修錬」と「真の訓練」とは分かつことができないからです。

しかし、このことを身に着けるためには一定の稽古を要します。ですから、水氣道の訓練生というのは、真の訓練には至らず原初的な「仮の訓練」を行っている段階の人を意味します。そして、修錬生は、仮の訓練の積み重ねの上に修錬の手ほどきをはじめることになります。ただし、この段階の修錬は、真の修錬には至ってないので「仮の修錬」といいます。つまり、修錬生は修錬を始めることによって、仮の訓練を真の訓練に高めていく段階の人です。

 

それでは、分かつことができないという「真の修錬」と「真の訓練」を身につけるにはどうしたらよいのか、ということになります。それは初期の入門者である体験生のように水氣道に委ねて学び修めるだけでは到達することはできません。

 

そもそも水氣道は自力では習得できるものではないので、教えを受けることがどうしても必要になります。しかし、教えを受けて稽古の参加さえすれば「真の訓練」と「真の修錬」を統合できるのかというと、それだけではまだ不足なのです。何が不足なのかというと、それは自分が稽古を通して悟ったことや身に着けたことを上級者の支援を受けながら可能な範囲で後輩に「教え伝える」ことです。つまり、教え方を修習することです。他者に伝えることができてはじめて修得したことの証になるからです。そして、後輩を教え導くことを通して、真の訓練と真の修錬とを統合していく段階にある人が支援員ということになります。そして、それが教修不岐ということになります。支援員は、教修不岐の原則に則って精進していく段階の人です。

 

そして、このような稽古を継続的に続けていくことができなければ水氣道を全人的に指導をすることはできません。水氣道の指導員とは、水氣道を通して全人的な指導ができる人であることが求められるからです。

 

 

令和2年12月に各稽古会場にて水氣道<中審査><小審査>
ならびに<予備審査>を実施します。

 

受検希望者は11月末日までに所定の登録を済ませてください。

 

なお、合格者の発表は年末までとし、認定証は令和3年元旦付けとし、
それぞれ年明け1月の最初の稽古日に交付します。


1月中の稽古に参加できなかった場合は、次回の認定日まで認定を延期するものとします。

 

<中審査> 

対象:修錬生 

昇級資格:稽古参加(原則)週2回以上

 

気・血・水の各航法から2種目
およびその他の応用航法から1種目を選択して審査を受けてください


細谷さん 2級    准1級    火曜日・金曜日・土曜日

 

坂本さん 2級    准1級    火曜日・土曜日

 

 

気・血・水航法の各航法から1種目

およびその他の応用航法から1種目を選択して審査を受けてください

 

中西さん 3級     2級     月曜日・木曜日

 

高橋さん 3級    准2級     月曜日*長期継続者特例
気・血・水の各航法から1種目を選択して審査を受けてください

 

田辺さん 准3級(GF) 3級     月曜日・木曜日

 

西田さん 准3級(GF) 3級     土曜日*長期継続者特例

 

 

<小審査> 

対象:訓練生 

昇級資格:稽古参加(原則)週1回以上

 

水氣道整理体操(のびのび体操)の審査を受けてください

 

濵屋さん    4級(F3) 4級(F4) 火曜日・土曜日

 

鈴木さん    4級(F3) 4級(F4) 金曜日 

 

 

水氣道五航法の審査を受けてください

 

足立さん    4級(F2) 4級(F3) 土曜日・(日曜日)

 

阿部さん    4級(F2) 4級(F3) 月曜日

 

 

 

水氣道準備体操(イキイキ体操)の審査を受けてください

 

野口さん    5級(F2)4級(F2) 月曜日・火曜日・金曜日・土曜日・日曜日

 

植田さん    5級(F2)4級(F2) 火曜日・土曜日

 

林(知)さん  5級(F1)5級(F2) 火曜日

 

大場さん    5級(F1)5級(F2) 土曜日

 

 

水氣道親整理体操(のびのび体操)の指導を受けてください。

松田さん    6級   5級     火曜日・土曜日・日曜日

 

大野(道)さん  6級  5級     土曜日

 

福丸さん 6級   5級     火曜日・土曜日・日曜日

 

西川さん 6級   5級     土曜日もしくは日曜日

 

 

水氣道準備体操(イキイキ体操)の指導を受けてください

 

高見さん 7級  6級     土曜日 *長期継続在籍者特例

 

三上さん 7級  6級     土曜日

 

漆(弘)さん 7級  6級     土曜日

 

石山さん 7級  6級     土曜日

 

 

<予備審査> 

対象:体験生 

昇級資格:稽古参加(原則)月2回以上

 

 

水氣道親水航法の指導を受けてください。

 

漆(正)さん 級外  7級     土曜日

 

佐々木さん 級外  7級     土曜日

 

近藤さん 級外  7級     日曜日

 

北岸さん 級外  7級     日曜日

 

 

 

 


<次回(平成3年3月)審査受検候補者>

小池さん 6級
高橋(清)さん 7級
小美濃さん 級外
和田さん 級外

 

令和2年10月20日(火)20:00~21:00


鷺宮スポーツプラザ温水プール(第5レーン使用)

 

参加者:支援員1名、修錬生1名、訓練生6名

 

指導トレーナー:水氣道正弐段下 林亮博

 

修錬生インストラクター:水氣道2級(中等修錬生) 坂本光昭

 

報告担当ファシリテーター:
A班:水気道5級(中等訓練生)野口将成
B班:水氣道4級(高等訓練生)植田栄喜
受付:主当番:支援員トレーナー:林亮博

 

 

稽古内容

1)親水航法

 

・・・以後2班を編成し、班単位での稽古となる・・・

 

 

A班(4名) 修錬生インストラクター:水氣道2級 坂本光昭の指導の下

2)準備運動(イキイキ体操)

 

3)基本五航法(起承)

 

4)経絡航法

 

 

B班(4名)の稽古内容です。

 

2) 準備体操(イキイキ体操)

 

広がって、各8カウントの短縮版

 

3) 基本五航法(短縮版):一列縦列行進方式
訓練生2名を頭尾位に配置し、指導トレーナーがサポート

 

4) 理気航法

 

5) 調血航法

 

 

【まとめ】

稽古プログラムの流れは、水氣道の原則にしたがって実施
整理体操(のびのび体操)は行わなかった

 

・水が冷たく感じたからか身体の力が上手く抜けてなかった

 

・今回は「イキイキ体操」、「理気航法」の動作確認を重点的に行えた

 

・前回より、室温、水温が低く30度、体に硬さがあり動きずらかった
 時間が経つにつれて良くなってきた。(A.H)

 

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水氣道稽古の12の原則(1)心身統合の原則

 

心身統合とは何か?ということについて、まず、自分が健常者あるいは健康だと信じている人たちといえども、日々、心と身体のアンバランスに悩ませられている方が多いということから考えていきましょう。

つまり、それだけ、自力では心身の不統合は気づかれにくい、気づきにくい課題だということであり、意識化されていないために、有効なケアや予防的な訓練が行われないまま放置されている課題だということになります。


心身統合は、単なる精神統一をはかるためのメンタルトレーニンではありません。

そこで、逆説的ではありますが、心身統合とは何かを理解するためには、心身統合の対極にある最も重い(心身分離、解離の)精神障害である PTSD やトラウマ関連の研究から学んで健常者の日常的実践に繋げていくことが有意義であると考えます。

「光(意識)」と「影(無意識)」の統合によってこそ、本当の意味での『光明』の域(トランスパーソナル領域)に入ることが可能となります。心身統合のプロセスに関わる実践上の問題点は、PTSD とトラウマの知見を深めることでより鮮明になります。
 

そもそも、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状は、アメリカで 1970 年代以降、特にベトナム戦争によってトラウマを受けた兵士の調査や、主に女性に対する性的暴行などの調査を通じてよく知られるようになり、1980 年に正式な診断名として DSM-III(米国精神医学会 APA の診断基準)に登場したものです。

日本では特に、1995 年の “ 阪神・淡路大震災 ”や同時期に起きた “ 東京地下鉄サリン事件 ” などを契機として一般にも浸透しました。
 

「水氣道は防災訓練に通じる」という私の言葉を度々聞いている方は、その理由がお分かりいただけるものと思います。トラウマは、心だけではなく身体にも深い傷つきと影響を与えます。

記憶や神経系など最新の科学的研究をもとに、身体接触をせずに身体に働きかける方法として心身統合的アプローチが心理療法の領域に紹介されています。
 

水氣道®で実践している心身統合アプローチとは、心理アプローチの理論と行動実践を統合することです。これは、水氣道の心・技・体の原則と共に水氣道実践の五原則の一つである、「統合性の原理」を構成します。

 

1)脳科学・神経生理学等の科学の世界と臨床心理学・心理療法の世界との橋渡しする心身医学的アプローチです。

 

2)言葉が中心の旧来の心理療法の世界と言葉と非言語の双方を統合して利用する身体心理療法(ボディ・サイコセラピー、またはソマティック心理学)とを橋渡しするアプローチです。
 

 

とは言え、水氣道の会員にとって馴染みにくいのは、水氣道の稽古体系に自然に取り入れられているメンタルトレーニングとしての要素ではないかと思われます。

 

メンタルトレーニングは、自分で自分のこころを制御する能力を高めるために行います。自分のこころを制御するためには、自分の現状を把握し、課題を解決するための稽古を行うことが大切です。競技だけでなく、生活全般の自身の感情や行動、身体やこころの状態や課題、こころと身体のつながりを知ることがこころを制御するための第一歩になります。

 

日本では、「ちゃんちゃらおかしい。笑止である。」という意味で「片腹痛し」という古語があります。これは傍ら(カタハラ)を片腹の意に誤ったことから起こった語だとさています。これは、日本人が相手の言動によって心理面だけでなく身体面にまで影響を受けることがあることを象徴しているかのような言葉です。古来から「頭が痛い」、「胸が熱い」、「断腸の思い」、「足が重い」など身体の状態を示すことによって、こころの状態を比喩することがあります。これは両者が切り離して考えられないということを示しています。

 

自分の現状を理解し、課題に対する自分なりの対処方法を身につけることで発揮できる実力(パフォーマンス)の向上につながっていきます。こころも、技術や体力トレーニングと同じように継続的に稽古することが必要です。

 

凡そ意味のある人間活動には、多少なりとも緊張や興奮を伴います。むしろ、適度な緊張や興奮は活動の資源になります。

ただし、緊張や興奮のレベルは、高すぎても低すぎても、パフォーマンスは低下します。緊張や興奮が高過ぎれば力みや焦り、注意散漫などにつながります。反対に、それらが弱過ぎるとぼんやりとしてしまったり、集中できなくなったりしてしまいます。

一般的に、緊張・興奮が強い場合にはリラクセーションによって気分を落ち着かせます。緊張・興奮が弱い場合にはサイキングアップによって気分を高揚させます。

 

いずれ、リラックスする方法として呼吸法と自律訓練法や筋弛緩法(漸進的筋弛緩法)、気持ちを盛り上げる方法としてサイキングアップを御紹介することになるでしょう。


時間帯/20:00~21:00


会場/ 鷺宮スポーツプラザ温水プール(第5レーン使用)

 

参加者/ 支援員1名、修錬生2名、訓練生5名

 

指導トレーナー/ 水氣道正弐段下 林亮博

 

修錬生インストラクター/ 水氣道2級 細谷健太、同、坂本光昭

 

報告担当ファシリテーター/ 水氣道4級(高等訓練生)植田栄喜

 

受付/主当番:支援員トレーナー:林亮博

 

 

稽古内容

1) 親水航法・・・以後2班を編成し、班単位での稽古となる・・・
以下はA班<4名>の稽古内容です。

 

2)親水航法後イキイキ体操。
修練生インストラクター水気道2級、細谷健太、同坂本光昭の指導で行なった。

 

3)各種航法のメニュー:調血航法、経絡航法

 

 

以下はB班(4名)の稽古内容です。

 

2) 準備体操(イキイキ体操):広がって、各8カウントの短縮版

 

3) 基本五航法(短縮版):一列縦列行進方式
訓練生2名を頭尾位に配置し、指導トレーナーがサポート

 

4) 各種航法のメニュー:調血航法、活水航法

 

 

【まとめ】

稽古プログラムの流れは、水氣道の原則にしたがって実施

 

整理体操(のびのび体操)は行わなかった

 

・水温は少し冷たかったが親水航法を行い身体が暖まると気にならなくなった。(H.U)

 

・水温は、先週より低く感じた。時間が経つに連れて体も慣れスムーズに稽古が出来た。(A.H)

 

・今日は普段よりも色々な稽古が行えてテンポ良く出来た。(H.U)

 

今年の10月は気温の変動が大きいですが、様々な環境刺激に対しても、日頃、水氣道の稽古を通して心身を鍛錬している皆様にとっては、むしろ望ましい生体刺激であることでしょう。

 

昨日13日(火)の中野支部(鷺宮会場)での稽古も先週に引き続き満員御礼となりました。

今後は、三鷹支部(スバル会場)での日曜日・月曜日の稽古の参加枠には十分な空席があり、新宿支部(ハイジア会場)での土曜日の稽古と併せ、奮ってご参加ください。

 

また、ご家族や御友人の方にも積極的にご案内いただけましたら、今後の水氣道の普及発展のために大きな助けとなりますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。

 

さて、私たちの生体は、様々な刺激に対して、その(解剖学的)形態や(生理学的・精神心理学的)機能を変化させる適応性を有しています。


したがって、この生体が本来有している刺激に対する適応性を利用して、身体的、精神的、機能的能力などを意図的・計画的に高めていく過程は広くトレーニングとして理解されているようです。


このようにトレーニングという言葉は、本来、運動・スポーツ分野のみで用いられる言葉ではありませんが、運動・スポーツ分野の指導者たちは、生体への刺激要因を「狭い意味での運動」に限定してしまいがちであるばかりでなく、各種体力要素に分割し、さらには単に全身持久力(スタミナ)や筋力(パワー)といった体力要素などを高めることを目的として運動トレーニングと表現しています。

 

生体は運動という刺激に対しても適応し、様々な変化をもたらしますが、それは(解剖学的)形態や(生理学的)機能のみに変化をもたらすのではなく、精神心理的機能にも同時に変化をもたらします。

ですから、私は生体に与える刺激の種類も物理的・機械的な刺激に限ることなく精神心理的刺激についても関心をもっています。

 

私は、このように生体の適応性を身体という一側面のみに着目したり、また心身の両側面に着目したりしたとしても、それぞれの相互関係を切り離して個別の側面を着目する現在の立場に立つ限り、本来のトレーニングの可能性は大きく狭められてしまうと考えています。

 

運動・スポーツ分野では、例えば、有酸素運動を繰り返し行うことによって、全身持久力が増すことが実証されています。これは運動という物理的・機械的な刺激に対して呼吸器、循環器、骨格筋などの形態や機能が変化するためであると考えられています。
 

このような考え方から、トレーニング刺激に対して身体が適応する基本的なしくみが明かにされ、3つの運動トレーニングの原理として提唱されています。また、このような原理に基づいたトレーニングを実施する上での基本的なルールとして6つの運動トレーニングの原則が示されています。

 

筋トレの効果を出すことのみが目的である場合は、これらの「トレーニングの原理・原則」を知っておく必要があります。

 

毎日筋トレをするべきか、重量はどれくらいがいいのか、どのくらい続ければいいのかなど、トレーニング時によくある疑問を解決する手助けにもなります。

 

筋肉を大きくして体を効率よく鍛えるために、初心者から上級者まで今一度、「トレーニングの3原理と6原則」を確認しておくことは有意義です。

 

 

水氣道の実践における稽古の目的は、単なる筋肉トレーニングではなく、メンタル面や社会的な側面などをも含む全人的なトレーニングであるため、しかも集団的・組織的な稽古を行うため、トレーニングの原理は5つ、原則は12あります。

 

また、これらの原理・原則の目的となる三徳を提示し、さらにひとつの神髄にまで昇華させています。

 

本日は、はじめて、それを公開することにしました。

 

なお運動トレーニングの3原理、6原則に相当するものは赤い文字で示しました。赤い文字以外の黒い文字は水氣道にとって固有の要素です。


次回から、以下のリストに従って、順次解説を加えていくことにします。

 

 

水氣道の神髄
<融通無碍(ゆうずうむげ)の人類愛>

 


水氣道の三徳

 


 分析と企画

 

 

進歩と調和

 

 

自己超越と自然回帰

 

 

水氣道実践の五原理

〇 統合性の原理(心身統合・心技体の原則)

 

〇 集団性の原理(教学不岐・環境創造の原則)

 

〇 過負荷の原理漸進性・全面性・反復性の原則

 

〇 可逆性の原理(周期性の原則)

 

〇 特異性の原理意識性・個別性・弱点優先・専門性の原則

 

 

水氣道稽古の12原則

・心身統合の原則
・ 心技体の原則
・ 教学不岐の原則
・ 環境創造の原則
漸進性の原則
全面性の原則
反復性の原則
・ 周期性の原則
意識性の原則
個別性の原則
・ 弱点優先の原則
専門性の原則

水氣道の活動は、9月に引き続き、10月に入り徐々に正常化して参りました。

 

 9月の定期小審査の結果、10月1日付けで以下の異動がありましたので発表します。

 

 進級:

 

植田栄喜さん(5級中等訓練生から4級高等訓練生へ)

 

福丸慎哉さん(7級特別体験生から6級初等訓練生へ)

 

 技法修得:

濱屋幸一さん(4級高等訓練生:F2からF3へ)

 

なお、次回の審査は12月、認定は令和3年1月です。なお、小審査(3カ月ごと)および中審査(半年ごと)を実施しています。

 

水氣道の各種航法・技法の発展に伴い、令和3年の第一回水氣道技能中審査から、修錬生の階級を従来の三階級制、すなわち、

1級(高等修錬生)、2級(中等修錬生)および3級(初等訓練生)を改め、
五階級制とし、新たに准1級(高等修錬生補)、准2級(中等訓練生補)を加えることにしました。

 

 

 小審査の対象者は、級外体験生から4級高等訓練生までの資格を有する者で、日頃、概ね週1回、月間で3回以上稽古に励んでいる方です。

 

 中審査の対象者は、准3級特別訓練生から准1級高等修錬生補までの資格を有する者で、日頃、概ね週2回、月間で7回以上稽古に励んでいる方です。

 

道主直伝の新航法・改良航法の稽古は、原則として、週2回以上参加の修錬生以上を対象として実施することによって、効率的な技法の均霑化をはかるようにしています。

 

 

現在、中野支部(鷺宮会場)、新宿支部(ハイジア会場)、三鷹支部(スバル会場)、茨城県水戸支部(青柳会場)での活動が継続しています。

 

 

 中野支部(林支部長)では週2回(火曜日夜間、金曜日午前)の稽古が定着してきました。

 

先週に引き続き、昨日6日(火)も満員御礼となりました。そのため、事前の予約確認の徹底を御願い致します。なお9日(金)は若干の余裕がありますので、参加可能な方は、前日8日(木)までにご連絡ください。

 

 週2回の稽古のため、副支部長を2名置き、そのうち火曜日は坂本支部長、
金曜日は修錬生以上のうちから選任する予定です。

 

 新宿支部(中川暫定支部長)では毎週1回(土曜日午後)の稽古が安定的に継続しています。
全面(4レーン)貸し切りのため、参加可能人数に余裕があります。是非、積極的に参加してください。

 

 4レーンの同時使用のため、レーンごとに支部長もしくは副支部長を置きます。
第1レーンは道主および道主および(暫定)支部長が担当します。
第2~4レーンは、各1名ずつ、計3名の副支部長を置く予定です。

 

 

 三鷹支部(本部直轄)は本年8月3日からの新会場です。
週2回(月曜日午後、日曜日午後)の稽古が始まりました。ただし、第4月曜日は休館日、日曜日は隔週での実施です。

参加者数の充実をはかり、日曜日の稽古を毎週実施できるようにしたいところです。

 

 週2回の稽古のため、副支部長を2名置く予定であり、副支部長経験者のうちで支援員(有段者)となったものの中から三鷹支部長を任命する予定です。

 

 杉並支部(中川支部長)杉十、上井草、大宮前、高井戸の4会場は、現在のところ、自主稽古会場に指定しています。団体使用料が他の自治体の施設と比較しても突出して高額であり、健全な財政管理に困難を来すため、今後、杉並区との交渉することを検討しています。

 

 水戸支部(本部直轄)は、国民の祝日などに合わせて不定期に実施しています。

9月30日(水)

前回はこちら

 

 

私の誕生日に先立つことおよそ2年弱の昭和32年7月20日に刊行された「合氣道」の復刻版を読んでいて、内容の古さを少しも感じないことは驚くべきことでした。

 

序において「合気道」とは、天地を貫く真人の道である、と説かれても大方の読者は戸惑うことでしょう。そして第一章の総説では、それが天地の実相に即した永久性を持ったもの、・・・諸生活の一端に至るまで実現する時にこそ、人間性にとけ込んだ真の合気道を体得したものということができる、と続きます。この一文中の合気道を水氣道に置き換えて吟味することができる私にとっては、たとえ合気道そのものに馴染みが無くとも十分に実感をもって受け入れることができます。

 

さらに第二章の合氣道とは何か、を読み進めていくのですが、言葉や文章で「合氣道」をズバリ説明して、諸人に納得させることが容易でないことがわかります。このことは、水氣道を創始して20年を経た私にとっても同様な経験を繰り返しているところです。そのような中で、第四節の武道界における合気道、は教えを受ける人々にとってはイメージし易い内容になっていると思います。それは、比較やたとえを使って説明しているからです。これは、あたかも「愛」を説く聖書が「愛」そのものを哲学書や経典のように説くのではなく、物語や詩や、新約に至ってはキリスト・イエズスの言葉によって平易に、しかもたとえ話で語られているのと似ていることに気づきます。

 

「ここまで述べたところにより、合気道とは何かということが大体わかったと思う。」の一文で始まる第四節ですが、残念ながら私にはまだまだ分からないところだらけです。しかし、間もなくやっとわかりやすい説明展開に出会うことができます。

 

「合気道と柔道とどう違いますか? 空手道と比較してどうですか」

 

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先ず技法において、柔道は必ず袖を持ち合い、襟を持ち合いその相対した動きの中で、互に機をうかがいながら変化の限りをつくし、技の精妙さをきそうのであるが、合気道は、一瞬ふれた時にはすでに勝敗決定の時であり、互に離れ、間合を取りながら、ありのままに何等動きの制限なく、自由自在に変化してその技をほどこすのであって、組み合いもみ合うということは絶対に見られないのである。

 

更に空手道と比較すれば、一層大きな相違を見出すのである。空手道は突きと蹴りとに帰一するようである。従って、その動きは円運動も多分に加味されているとはいうものの、えてして直線的なものが多いようである。

 

合気道においては、突きも蹴りもあるにはあるが、その動きは多彩であり、全くの円運動、球運動の捌きの中に技法の集約を見ることができるのである。故に全く直線的な動きというものは見出しがたいのである。

 

動きの点において柔道、空手道よりも剣道が最も合気道と共通したものを見出すことができる。剣道は一見合気とは本質的に異なる感じがするが、合気道の動きはすべて剣の動きになっており、合気道の技法を剣の理念から説明した方が、他によるよりも理解しやすい点が多々あるのである。

 

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「合気道には形も無ければ様式もない、自然の動き、これこそ合気道の動きであり、その奥は深遠にして極まりなし」

 

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これを要するに、合気道の技は柔道、剣道、空手道等とは異なったものであるが、合気の技を生み出している精神は、その何れの道の奥義とも一致しているものであると言うべきである。

 

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以上が抜粋です。比較による説明は輪郭がはっきりしてくるのでイメージし易くなるのではないかと思います。

 

それでは、「水氣道と合気道とどう違いますか? 他の武道と比較してどうですか」

 

まず、水氣道は水中で稽古します。これは水氣道が合気道を含めた他の武道と比較した場合の最大の特徴です。それから、水氣道の技法においては、他者と接触することは少なく、例外的に相手に一瞬触れる技法があるだけです。さらに水氣道では試合というものがありません。合気道でも「試合は死合である」と言っていますが、水氣道は、これをさらに徹底させて、進級や昇段のための検定は行いますが、互いに競わせたり、試合に臨ませたりすることはありません。

 

水氣道の技でも、空手道のように突きや蹴りの動作を含んでいます。ただし、水氣道は陸上ではなく水中での運動であるがゆえに、その動きは一見直線的に見えるものであっても、必然的に円運動やらせん運動が加味されてきます。

 

合気道の動きはすべて剣の動きになっているとのことでしたが、水氣道の動きのすべてが剣の動きになっているかというと、そこまでは言いきれません。空手のような動きはもちろん、その他の武道の中では、たとえば弓道のような動きをするものも含んでいます。

 

また、合気道には「形(かた)」もなければ「様式」もない、とのことですが、水氣道には「形」や「様式」とは呼ばず「航法」という一連の稽古の流があります。この流れこそは、水中と水面上で連続展開していく「水気の技」を支えるものですが、この技は、あたかも母親の羊水の中で動く胎児のように、水中でのごく自然な動きによって育まれていくものです。それは、水氣道は、水に抗うのではなく、むしろ委ねることを大切にしていることによるものなのです。

 

合気道の技は柔道、剣道、空手道等とは異なったものであるように、水氣道も明らかにこれまでの武道とは異なっています。しかし、水気の技を生み出している精神は、その何れの道の奥義とも一致している、という主張に対して、水氣道の精神としては、合気道をはじめとする諸武道に対する敬意の念をもって尊重しつつ、独自の道の奥義を極めていきたいものです。