運動生理学的トレーニング理論の限界と水氣道の創造的可能性No1

 

今年の10月は気温の変動が大きいですが、様々な環境刺激に対しても、日頃、水氣道の稽古を通して心身を鍛錬している皆様にとっては、むしろ望ましい生体刺激であることでしょう。

 

昨日13日(火)の中野支部(鷺宮会場)での稽古も先週に引き続き満員御礼となりました。

今後は、三鷹支部(スバル会場)での日曜日・月曜日の稽古の参加枠には十分な空席があり、新宿支部(ハイジア会場)での土曜日の稽古と併せ、奮ってご参加ください。

 

また、ご家族や御友人の方にも積極的にご案内いただけましたら、今後の水氣道の普及発展のために大きな助けとなりますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。

 

さて、私たちの生体は、様々な刺激に対して、その(解剖学的)形態や(生理学的・精神心理学的)機能を変化させる適応性を有しています。


したがって、この生体が本来有している刺激に対する適応性を利用して、身体的、精神的、機能的能力などを意図的・計画的に高めていく過程は広くトレーニングとして理解されているようです。


このようにトレーニングという言葉は、本来、運動・スポーツ分野のみで用いられる言葉ではありませんが、運動・スポーツ分野の指導者たちは、生体への刺激要因を「狭い意味での運動」に限定してしまいがちであるばかりでなく、各種体力要素に分割し、さらには単に全身持久力(スタミナ)や筋力(パワー)といった体力要素などを高めることを目的として運動トレーニングと表現しています。

 

生体は運動という刺激に対しても適応し、様々な変化をもたらしますが、それは(解剖学的)形態や(生理学的)機能のみに変化をもたらすのではなく、精神心理的機能にも同時に変化をもたらします。

ですから、私は生体に与える刺激の種類も物理的・機械的な刺激に限ることなく精神心理的刺激についても関心をもっています。

 

私は、このように生体の適応性を身体という一側面のみに着目したり、また心身の両側面に着目したりしたとしても、それぞれの相互関係を切り離して個別の側面を着目する現在の立場に立つ限り、本来のトレーニングの可能性は大きく狭められてしまうと考えています。

 

運動・スポーツ分野では、例えば、有酸素運動を繰り返し行うことによって、全身持久力が増すことが実証されています。これは運動という物理的・機械的な刺激に対して呼吸器、循環器、骨格筋などの形態や機能が変化するためであると考えられています。
 

このような考え方から、トレーニング刺激に対して身体が適応する基本的なしくみが明かにされ、3つの運動トレーニングの原理として提唱されています。また、このような原理に基づいたトレーニングを実施する上での基本的なルールとして6つの運動トレーニングの原則が示されています。

 

筋トレの効果を出すことのみが目的である場合は、これらの「トレーニングの原理・原則」を知っておく必要があります。

 

毎日筋トレをするべきか、重量はどれくらいがいいのか、どのくらい続ければいいのかなど、トレーニング時によくある疑問を解決する手助けにもなります。

 

筋肉を大きくして体を効率よく鍛えるために、初心者から上級者まで今一度、「トレーニングの3原理と6原則」を確認しておくことは有意義です。

 

 

水氣道の実践における稽古の目的は、単なる筋肉トレーニングではなく、メンタル面や社会的な側面などをも含む全人的なトレーニングであるため、しかも集団的・組織的な稽古を行うため、トレーニングの原理は5つ、原則は12あります。

 

また、これらの原理・原則の目的となる三徳を提示し、さらにひとつの神髄にまで昇華させています。

 

本日は、はじめて、それを公開することにしました。

 

なお運動トレーニングの3原理、6原則に相当するものは赤い文字で示しました。赤い文字以外の黒い文字は水氣道にとって固有の要素です。


次回から、以下のリストに従って、順次解説を加えていくことにします。

 

 

水氣道の神髄
<融通無碍(ゆうずうむげ)の人類愛>

 


水氣道の三徳

 


 分析と企画

 

 

進歩と調和

 

 

自己超越と自然回帰

 

 

水氣道実践の五原理

〇 統合性の原理(心身統合・心技体の原則)

 

〇 集団性の原理(教学不岐・環境創造の原則)

 

〇 過負荷の原理漸進性・全面性・反復性の原則

 

〇 可逆性の原理(周期性の原則)

 

〇 特異性の原理意識性・個別性・弱点優先・専門性の原則

 

 

水氣道稽古の12原則

・心身統合の原則
・ 心技体の原則
・ 教学不岐の原則
・ 環境創造の原則
漸進性の原則
全面性の原則
反復性の原則
・ 周期性の原則
意識性の原則
個別性の原則
・ 弱点優先の原則
専門性の原則