治る認知症

 

 

慢性硬膜下血腫

 

認知症の中には、すっかり治せるタイプがあります。

 

その代表的な病気として注目されているのが「慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)」です。

 

これは、脳を覆っている硬い膜と脳の間に血液が溜まってしまう病気で、転倒などで頭を打った後、23か月後に起こります。

 

血腫によって脳が圧迫されて物忘れや歩行障害、トイレの失敗(尿失禁)など、認知症とよく似た症状が現れるのが特徴です。

 

認知症の症状がある8090歳代にも慢性硬膜下血腫が多く見られるといわれています。

 

高齢だから認知症とすぐに決めつけず、転倒やなにかに頭をぶつけたことがあったら放置せず診察を受けてみましょう。

 

慢性硬膜下血腫であれば、脳に溜まった血腫を除去すれば脳は正常な状態に戻ります。

 

 

 

漢方で治る「慢性硬膜下血腫」がある

 

慢性硬膜下血腫の治療法は、手術が一般的で2つの方法があります。

 

1つは頭蓋骨に親指ほどの穴をあけ、血腫に細い管を挿入して血腫を除去する「ドレナージ術」。

 

命にかかわる緊急時は、頭蓋骨を大きく開いて血腫を摘出する「開頭術」が選択されます。

 

ただし、血腫の量が少なく、緊急性がない場合は、手術をしないで経過観察ということもあります。

脳神経外科では、最近、このようなケースに漢方薬が用いられています。

 

 

 

バランスを崩した水の流れを整える「五苓散」

 

では、脳の中に溜まった血腫(血液)が、どうして消失したのでしょうか。五苓散が効く仕組みも明らかになっています。

 

体内の水は細胞の内と外を出たり入ったりしていますが、細胞の浸透圧が乱れると水の流れが変化し、一方的に流れるルートができます。

 

これが脳で起きると脳浮腫になります。細胞の内外の水の透過性は、アクアポリン(AQP)というたんぱく質が調整しています。

 

AQP13種類あり、臓器によってその種類の分布が異なり、脳のケガや病気になるとアクアポリン4(AQP4)が増えることが動物実験からわかっています。

 

 

 

脳浮腫の三大病に共通する「水の異常」

 

漢方では浮腫を水の異常と診ます。脳に生じる浮腫を脳浮腫とよびます。

 

たとえば、慢性硬膜下血腫は、頭蓋骨に余分な血液が溜まってしまいます。

 

脳梗塞では血管が詰まって血液が流れなくなるため、周囲の脳がダメージを受けて脳浮腫を起こします。また脳腫瘍は、腫瘍が正常な脳を圧迫することで脳浮腫が起きます。

 

 

 

水氣道の導入にも有用な漢方薬

 

水氣道をやりましょうといっても気力が出ない。

 

そんな患者さんのおなかを触ってみると、お通じが溜まっています。

 

一般に、リハビリの前に宿便を取り除く大切さも理解されはじめています。

 

宿便の解消には、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、通導散(つうどうさん)が非常に効きます。

 

おなかがすっきりすると食事がおいしく食べられ、元気になって水氣道に取り組めます。

 

水氣道の手ほどきを始めたり、継続して参加する習慣を形成したりするためにも、漢方薬は役に立っています。

 

<糖尿病性腎臓病(その2)>

 

先週に引き続き糖尿病性腎臓病についての話題です。

 

 

なぜ従来の糖尿病性腎症とは異なる糖尿性腎臓病が増えてきたのかの要因として考えられるのは、血糖コントロールの向上やレニン・アンギオテンシン系阻害薬の普及といった治療法の進歩です。

 

その他の要因としては、平均寿命の延長に伴って腎機能低下に動脈硬化性の腎硬化症の関与が相対的に強まったことも挙げられます。

 

つまり、糖尿病に関連した腎疾患に動脈硬化や加齢などの要因が加わることによって糖尿病性腎臓病が発生することが推定されます。

 

 

現場の医療機関としての懸念材料は、糖尿病性腎臓病という病名が独り歩きして、詳細な定義までは整備されていない点にあります。

 

腎機能低下の定義については、慢性腎臓病と同様に、推定糸球体濾過量(eGFR)<60mL/分/1.73m²となっています。

 

 

いずれにしても、従来の糖尿病腎症の概念で診療に当たっていると、尿蛋白が陽性になった段階では腎機能低下が高度に進行して手遅れになってしまう可能性があります。

 

糖尿病性腎臓病という概念を導入することによって、糖尿病患者では早期から、尿たんぱくのみならずeGFRによる腎機能のフォローが必要であるということは、今後さらに強調されていくのではないかと思われます。

 

<血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)>

 

 

皮膚にアザが発生し、発熱し、意識障害をきたす血液病があります。

 

原因:

先天性のTTPはADAMTS13(フォン・ビルブラント因子切断酵素)の先天的欠損により、ADAMTS13活性が低下することで、超高分子量vWF多量体が血中に増加して、血小板機能が亢進し、その結果、血小板血栓が多発します。

 

後天性のTTPの多くは原因不明ですが、一部は、妊娠、自己免疫疾患、悪性腫瘍、薬剤などを誘因として生じたADAMTS13に対する自己抗体が原因となります。

 

 

症状:

古典的5徴

 

①出血傾向(血小板減少性)

 

②溶血性貧血(最小血管障害性)

 

③腎機能障害(軽症)

 

④動揺性精神神経症状(抑うつ、けいれん、意識障害、運動麻痺など)

 

⑤発熱

 

他に原因のない血小板減少、溶血性貧血

 

 

 

先天性TTP

 

ADAMTS13(フォン・ビルブラント因子切断酵素)の先天的欠損

 

 

後天性TTP診断基準案

 

ADAMTS13活性<5%

 

抗ADAMTS13活性中和抗体(インヒビター)陽性

 

 

検査

TTPには溶血性貧血を伴います。

 

TTPにみられる溶血性貧血は、赤血球の機械的破壊による血管内溶血(細血管障害性溶血性貧血の範疇)であり、末梢血に破砕赤血球がみられるのが特徴です。

 

破砕赤血球は赤血球が細かく千切れたもので種々の異常形態(三日月形、三角形、角形、ヘルメット形、いがくり形など)をみとめます。

 

骨髄では巨核球の過形成が認められます。

 

生化学:

間接ビリルビン↑、LDH↑、ハプトグロビン↓(溶血所見)、Cr↑、BUN↑(腎機能障害所見)

 

凝固:

PT、APTTはともに正常

 

 

治療

無治療では90%以上が死亡します。

 

そのため早急な治療開始が必要です。

 

1)血漿交換療法(第一選択):この導入により、生存率は大幅に改善された。

先天性TTPでは、新鮮凍結血漿の定期的補充

 

2)脾摘(難治例)

 

3)免疫抑制療法(難治例)

 

4)リツキシマブ(後天性TTP)

 

なお、血小板輸血は禁忌です。

 

< 胃ポリープ>

 

しばしば、相談を受けるものの一つに胃ポリープがあります。

 

ポリープを発見したら必ず切除すべきは、結腸のポリープであり、胃のポリープのほとんどは良性です。

 

胃ポリープは内視鏡検査をすると5~7%の割合で発見され珍しいものではありません。

 

 

胃ポリープとは胃の内腔に突出した隆起の総称で、肉眼的に観察されるものです。

 

ただし、胃の粘膜上皮が限局性に増殖したものであって、非上皮性腫瘍や最初から悪性を強く疑うような病変はこれに含めません。

 

つまり、胃ポリープは一般的に良性ポリープであり、基本的には経過観察でよいことになっています。

 

ただし、大きくなるにつれて出血と癌化の問題が生じやすくなることも念頭に置くべきでしょう。

 

増大したポリープでは表面がもろく、出血を伴い貧血の原因となることがあります。

 

単発のことも多発性のこともあります。

 

 

胃ポリープは病理学的には、背景となる周囲の胃粘膜変化により分類されます。

 

過形成ポリープ

胃粘膜の萎縮性変化を伴う胃炎を背景とします。

 

これは胃腺窩上皮の過形成による腺管の延長と嚢胞状拡張を特徴とします。

 

間質には炎症細胞浸潤、浮腫、毛細血管拡張を伴います。胃ポリープの大多数を占め、加齢とともに増加します。

 

このタイプのポリープに癌が存在する頻度は0.6~2.1%とされていますが、サイズによって頻度は異なります。

 

1㎝以下では癌はほとんどみられません。

 

1~2㎝での癌の頻度は0.9%、

 

2㎝以上での癌の頻度は8%、

 

そこでポリープが1㎝未満の場合は、経過観察で良いですが、ヘリコバクター・ピロリ菌による萎縮性胃炎を背景に生じることが多いため、その場合は、除菌治療にてポリープの縮小、消失が期待できます。

 

ポリープが1㎝を超える場合には、内視鏡的切除(ポリペクトミー:粘膜切除)が勧められています。

 

 

胃底腺ポリープ

萎縮を伴わない胃体部の胃底腺領域に好発します。

 

 

腺腫性ポリープ

良性と悪性の境界病変とされます。

 

一般社団法人 日本消化器内視鏡学会のホームページに、分かり易く説明されているのでご紹介いたします。

 

http://www.jges.net/faq/faq_answer04.html

 

 

Q4.胃ポリープについて、過形成性ポリープと胃底腺ポリープの違いは何ですか?

 

1) 過形成性ポリープと胃底腺ポリープ

胃ポリープとは胃に発生する上皮性、良性、隆起性病変のことをいいます。

 

広義には腺腫、粘膜下腫瘍、癌など胃の中に隆起した病変の総称として使用されることもあります。

 

胃ポリープは過形成性ポリープ、胃底腺ポリープ、特殊型(炎症性、症候性、家族性)に分類されます。

 

一般診療で多くみられるのは過形成性ポリープ(写真1)と胃底腺ポリープ(写真2)です。それぞれの特徴を表1に示します。

 

「過形成性ポリープはヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)陽性(感染している)で萎縮性胃炎を背景に様々な病変を併発すること」、「胃底腺ポリープはH.pylori陰性で病的意義のない所見であること」は理解しておくべき大切な事項です。

 

「過形成性ポリープは悪玉、胃底腺ポリープは善玉」であり、高脂血症の「LDLコレステロールは悪玉、HDLコレステロールは善玉」と同じように考えるとよいでしょう。

 

胃X線(バリウム)検査での両者の鑑別も大切で、胃底腺ポリープを内視鏡検査で再検査することは患者さんに不利益となります。

 

今後、H.pylori陰性者や胃食道逆流症(GERD)などでプロトンポンプ阻害薬の服用者が増加すると、胃底腺ポリープに遭遇する機会も増加することが予想されます。

 

なお、胃底腺ポリープでの癌発生例も報告されていますが、その頻度はきわめて低いと考えます。

 

 

2)ポリープのフォローアップと切除の適応

過形成性ポリープも基本的には経過観察でよい病変です。まずは大きさ2cm以上で増大傾向、癌化(癌の併存)の可能性、出血のあるものを切除(ポリペクトミー)の適応と考えます。

 

抗凝固薬、抗血小板薬を服用している場合は、休薬による脳心血管イベントのリスクを比較衡量し、切除の適応を慎重に決定すべきです。よほどの貧血進行の原因でなければ、控えたほうがよいでしょう。

 

特に超高齢者では切除の適応はありません。胃底腺ポリープの処置は原則、不要です。

 

写真1

写真1

 

 

写真2

写真2

 

 

表1

表1

 

 

 

 

<特発性肺線維症>

 

呼吸器疾患の中には原因不明なもの、原因を特定することが困難な例が少なくありません。

 

原因不明の間質性肺炎特発性間質性肺炎といいます。

 

この種の間質性肺炎の中でもっとも頻度が高いのが特発性肺線維症です。

 

 

特発性肺線維症は慢性進行性の経過で、診断から平均生存期間は3~5年で予後不良な疾患です。

 

死亡原因としては、急性増悪例40%、慢性呼吸不全進行例25%、肺癌合併例10%とされます。

 

こうした病態の管理が予後の改善に重要です。

 

 

難病ではありますが、診断、治療に関して国際的なガイドラインがあります。

 

2015年のガイドラインでは抗線維化薬(ピルフェニドン、ニンテダニブ)が条件付きで推奨薬物となりました。

 

なぜ、条件付きなのかというと、両薬物とも高額な薬価であること、消化器症状を中心とした副作用があること、などが問題となっているためです。

 

また、胃食道逆流症が特発性肺線維症の発症、増悪および急性増悪に関連があると考えられています。

 

そこで、プロトンポンプ阻害薬、ヒスタミンH₂受容体拮抗薬が条件付きで使用が推奨されています。

 

 

最新のガイドラインは、特発性肺線維症の治療ガイドライン2017です。

 

 

なお、一般の方に分かり易い解説としては、シオノギ製薬のHPがお勧めです。

 

喫煙が発症の危険因子であることをきちんと紹介している点でも評価できます。

 

これをご紹介いたします。

 

http://www.shionogi.co.jp/IPF/patient/about/

 

 

 

特発性肺線維症(とくはつせいはいせんいしょう)

 

 

特発性肺線維症(とくはつせいはいせんいしょう)【英語ではIdiopathic Pulmonary Fibrosisと表記され、略してIPF(アイピーエフ)と呼ばれています】とは、肺胞(肺を構成しているやわらかい小さな袋)に”傷”ができ、その修復のためにコラーゲンなどが増加して肺胞の壁(間質)が厚くなる病気です。

 

そのため、咳が出たり、酸素がうまく取り込めなくなり息苦しくなります。特発性肺線維症は次第に進行し、肺が固くなり膨らみにくくなるため、呼吸が維持できなくなる場合もあります。初めの頃は安定していても、ある時期から進行しはじめることもあります。

 

一般に肺線維症の約半数は、発症原因がわかりません。

 

このような肺線維症を「特発性肺線維症」(特発性とは原因不明という意味です)と呼びます。

 

しかし、喫煙が、特発性肺線維症を発症する危険因子とされています。

 

50歳以上で発症することが多く、男性に多い傾向にあります。

 

<一過性全健忘>

 

永久的記憶の欠落を生じるが、日常生活で困った様子がみられないという病気があります。

 

誘因なく突然発症し、発作中は意識清明ですが、

新しい記憶ができない(前向性健忘)、

発作前にさかのぼり記憶が障害される(逆行性健忘)症状を主徴とする症候群です。

 

 

発作は平均5~6時間続き、24時間以内に消失するといった予後良好な経過をたどります。

 

しかし、発作中の記憶は永久に欠落します。

 

発症の75%が50~70歳代で、40歳未満での発症は稀です。

 

見当識は保たれるが、近時記憶障害のため、同じ質問を繰り返します。

 

数唱などの即時記憶、自分の生い立ちなど遠隔記憶は保たれ、意味記憶や手続き記憶も保たれ、失語や失行もないので料理や自動車の運転も可能です。

 

 

原因

不明です。従来から両側の海馬障害によると考えられています。

 

そして、片頭痛、脳血管障害、代謝異常および脳静脈灌流異常などが推測されています。

 

精神的なストレスなど情動的なもの、水浴、水泳およびバルサルバ負荷が誘因となることが報告されています。

 

 

診断基準(Hodge,1990)

1)発作中の情報は、その間ほとんど目撃していた目撃者から得られる

 

2)発作中、明らかな順行性健忘(=前向性健忘)が存在する

 

3)意識障害はなく、高次脳機能障害は健忘に限られる

 

4)発作中および発作後に神経学的局所症状はない

 

5)てんかんの特徴がない

 

6)発作は24時間以内に消失する

 

7)最近の頭部外傷や活動性のてんかん(治療中、もしくは過去2年間にほっさがあったもの)のある患者は除外する

 

 

検査

高性能MRI検査で、頭部単純MRI拡張強調像で、発症直後に異常はないが、6~72時間で海馬CAI領域を中心に小さな異常信号を検出することがあり、補助診断とします。

 

ただし、この所見は10日後までに消失します。

 

 

予後

再発は稀で、6~10%程度と報告されています。

 

<心サルコイドーシス(特に、心臓限局性サルコイドーシス)>

 

サルコイドーシスは胸部X線写真で両側肺門部リンパ節の腫大(Bilateral Hilar Lymphadenopathy; BHL)が健診などで偶然発見される場合が多いです。

 

この場合には、自覚症状はほとんどありません。

 

また、若くてBHLだけで見つかって、あまり症状もないという患者さんでは、8割がた自然に治ってしまいます。

 

それから、病気が肺の中まですすんできて胸部X線写真で顕著な陰影があってもあまり自覚症状がないのが、この病気の特徴のひとつです。

 

逆にいうと、進展度が自分ではわからないわけですから、定期的に医療機関で胸部X線写真を検査し続けることが必要です。

 

それでも肺の陰影が長く続くと、進行して「肺線維症」という状態になって、せきや息切れがでてくることがあります。

 

自然になおってしまう患者さんがいる一方、肺線維症になって、肺移植の適応になる方もおられるわけです。あまり進行する前に治療を開始する必要があります。

 

 

サルコイドーシスは特定疾患であり、早期の診断は副腎皮質ステロイドの投与の適応の判断を含め重要です。

 

組織診断群と臨床診断群とにわかれ、まずサルコイドーシスを診断し、それの診断基準を満たしたあと、心サルコイドーシスの診断を満たすか否かの検討をする手順を踏むのが通常です。

 

 

最近の動向としては、心エコー検査―での局所的壁運動異常所見は、ガドリニウム造影MRIにおける心筋の遅延造影とともの副徴候から主徴候に変更されました。

 

また、PET-CTが主徴候に加えられました。サルコイドーシスは、一般的に心臓以外では予後良好な疾患であり、肺や皮膚、眼のサルコイドーシスはいったん全身精査をされれば、その後は経過観察のみで済む場合が多いです。

 

 

しかしながら、心臓には心臓限局性サルコイドーシスという病型があります。

 

心サルコイドーシスは進行性に心機能が低下していく可能性のある予後不良な疾患です。

 

副腎皮質ステロイドなどの薬物療法が基本となりますが、心機能低下、心室性不整脈の発生が認められれば植込み型除細動器の考慮も必要です。

 

なお、心臓以外のサルコイドーシスからのちに心サルコイドーシスが発症する場合があります。

 

ですから、サルコイドーシスが一般的には予後良好な疾患だからということで、定期的な心臓を含めた経過観察を怠らないようにすることが大切です。

 

<カンジタ血症・播種性カンジダ症>

 

血液疾患、薬剤、全身状態悪化など様々な原因によって、細胞性免疫が低下したり、白血球の主力である好中球が減少したり、機能障害を来すことがあります。

 

高円寺南診療所に通院中の皆様の中にも、このような状態に陥り易いリスクをもっている方々が皆無ではありません。

 

抗菌薬や抗真菌薬は濫用による耐性菌の出現、拡大が問題になっているので、処方に当たっては、原因菌のみならず薬剤感受性検査を実施し、適切な薬剤を投与することが重要であると考えられています。

 

カンジダ血症・播種性カンジダ症は、主に免疫抑制状態の患者で、広域抗菌薬に反応しない、つまり薬が効かず発熱し、進行すると全身臓器の播種性(ほかの組織や器官・臓器あるいは全身に広がる性質)病変を形成する病気が知られています。

 

 

カンジダは、たとえば高カロリー輸液など、中心静脈ライン関連血流感染症の主要な原因菌の一つです。

 

球形から卵形の酵母様真菌です。

 

真菌とは、一般にカビ、キノコ類のことで、細菌とは異なり真核細胞の一種です。大きさは通常の細菌より数倍大きいです。

 

臨床的には、カンジダ・アルビカンズの他、カンジダ・グラブラータ、カンジダ・クルセイなどの分離頻度が高いです。

 

 

カンジダ・アルビカンスは、治療薬であるフルコナゾール汎用により、フルコナゾール耐性菌が出現しています。

 

なおカンジダ・アルビカンス以外のカンジダ非アルビカンス・カンジダと総称しますが、これらもフルコナゾールに低感受性であることがあります。

 

カンジダ・グラブラータの15~25%が、フルコナゾールに低感受性を、カンジダ・クルセイはフルコナゾールに自然耐性を示します。

 

検査は

1.血液培養(他にカテーテル尖端培養も)、

2.血清診断(β-Dグルカンやマンナン抗原などの検出)、

3.播種病巣の検索(眼底検査など)を行います。

 

検査センターから血液細菌培養結果が酵母性真菌として報告された場合、カンジタ種の同定がまだなされていない状態、特に重症例、高齢者、担癌患者(癌にかかっている方)、好中球減少および最近アゾール系薬の使用歴がある場合には、カンジタ菌血症の初期治療としてエキノキャンディン系薬ミカファンギンカスポファンギン)が推奨されています。

 

これらの薬剤は、真菌の壁構成成分であるβ-Dグルカンの合成を阻害することで効果を発現します。

 

軽症例かつフルコナゾール耐性カンジタのリスクが低い場合には、初期治療としてフルコナゾールの使用も可能です。

 

カンジダが血液培養から分離された場合、すなわち、カンジダ菌血症の場合、原則として全例が治療適応となります。

 

カンジダ菌血症の場合、眼内炎合併の有無や血液培養陰性化の確認を行う必要があります。

 

臨床的に安定し、血液培養陰性化が確認されれば、エキノキャディンからフルコナゾールに変更を検討します。

 

非好中球減少カンジダ菌血症で、明らかな転移感染巣が無い場合の推奨治療期間は、血液細菌培養が陰性化し、カンジダ菌血症に起因する症状が改善してから2週間です。

 

 

このように、診断がついただけでは、治療方針を自動的に決定することはできず、経時的な観察と、計画的な検査にもとづくきめ細やかなケアを行わなければ生命を救えないところが、最近の感染症管理の特質になってきています。

< パーキンソン病(薬物治療と副作用の相克と水氣道)>

 

パーキンソン病は、中年以降に発症する比較的頻度の高い錐体外路系の変性疾患です。

 

静止時振戦、筋強剛、無動、姿勢反射障害の四症状を特徴とします。

 

そのため転倒し易いことに注意すべきです。

 

また、認知機能障害、精神症状、自律神経障害なども伴いやすいことを認識しておくことが必要です。

 

 

中脳黒質ドパミン神経細胞が高度に脱落し、線条体(被殻・尾状核)のドパミン濃度が著減することが、これらの中核症状と密接な関連を持ちます。

 

しかし、細胞脱落は黒質にとどまらず、中枢から末梢神経系に至る広範な神経細胞に及び、レビー小体という特徴的な細胞質封入体が観察されます。

 

このレビー小体の主成分の一つが特殊蛋白質であるαシヌクレインで、この物質の異常な凝集がパーキンソン病の原因であろうと考えられています。

 

 

パーキンソン病には画像診断が有用です。¹²³I-MIBG心筋シンチグラフィ―に加えて、ドパミントランスポーターSPECT(DATスキャン)が臨床応用されています。

 

ただし、鑑別疾患に役立つ特異的な検査はMIBG心筋シンチグラフィ―であり、心筋への取り込み集積低下所見が特異的です。

 

また、パーキンソン病では脳血流シンチでは異常を認めないことが知られています。

 

 

パーキンソン病の原因が、αシヌクレインの異常な凝集であるため、パーキンソン病の本質的な治療はαシヌクレインの凝集阻止ということになります。

 

しかし、現時点で可能な治療の基本は、線条体におけるドパミン受容体に対する有効な刺激です。

 

すなわち不足したドパミンの補充とドパミン代謝の改善が中心となっているに過ぎません。

 

また、ドパミン神経に拮抗するアセチルコリン神経の抑制も有効であり、軽症例で用いられます。

 

ドパ脱炭酸酵素阻害薬(DCI)はL-ドパの末梢での分解を防ぎ、脳内への移行を助けます。

 

しかし、通常L-ドパによる治療を開始して数年後に、痙性の強い、四肢や頭部の舞踏様の運動が現れることがあり、これをL-ドパ誘発性ジスキネジアと呼び臨床的な課題になっています。

 

また、パーキンソン病治療薬(抗パーキンソン病薬)の効果持続時間が減少し、薬物の血中濃度の変動とともに症状が変動する現象があり、これをWearing off (ウェアリング・オフ)と呼びます。

 

とくに、L-ドパ製剤を1日3~4回服用しても、次の薬剤を服用する前に効果が続かなくなることを自覚する場合をいいます。

 

その主たる原因は、パーキンソン病の進行とともにドパミン神経終末が減少し、ドパミンを保持できなくなることによります。

 

L-ドパという薬剤に、こうした症状があらわれ易いは血中濃度の半減期が短いためです。

 

前述したL-ドパ誘発性ジスキネジアの発症はパーキンソン病の進行期で症状の変動が明らかとなる時期にみられるようになり、ちょうどWearing offを認める時期と重なります。

 

パーキンソン病の症状である筋固縮・振戦の軽減のためにL-ドパ投与量を増量すると過剰になりやすく、on症状の改善は期待できますが、ジスキネジアを生じさせたり悪化させたりする可能性があります。

 

逆にジスキネジアを避けるためにL-ドパ投与量を制限すると、患者のQOLの維持が困難になりがちです。

 

 

Wearing offの改善のための対策には、off(薬の効果切れ)時間の短縮とoff時の症状改善の2つがあります。

 

COMT阻害薬は、Wearing off時間の短縮効果が期待できる薬剤です。

 

しかし、この製剤はジスキネジアを悪化させるため、ジスキネジアを合併する場合には減量または中止が求められます。

 

 

ドパミンアゴニストもWearing off時間の短縮効果が期待できる薬剤でき、さらに長時間作動型のドパミンアゴニストではoff時の症状改善も期待できる薬剤です。

 

ジスキネジア(筋強剛)を伴わない患者では有用です。

 

ただし、将来の運動合併症を回避する点から優れているのは、初期治療においてL-ドパ(ドパミンの前駆体)よりも効果が弱いドパミン受容体刺激薬(アゴニスト)であることが示されています。

 

さらに、L-ドパの急激な中断により悪性症候群が生じることにも注意を要します。

 

さらに、モノアミンオキシダーゼB阻害薬(MAO-B)はLドパと併用して使われていますが、これは脳内で生成されたドパミン分解酵素であるMAO-Bを抑制することでドパミン濃度を高めます。

 

 

2016年に、レボドパ・カルビドパ配合経腸溶液(デュオドーパ®)が上市されて、wearing off 減少の著名な患者に有効性を示しています。

 

参照:パーキンソン病治療ガイドライン2011(日本神経学会)

<本態性高血圧症>

 

高血圧の方はとても多いです。診療所の初診時でも再診時でも、必ず血圧と脈拍数を測定していただいております。

 

また、高血圧症の方には、自宅血圧を測定することを推奨し、受診のたびごとに記録をご持参いただいております。

 

 

高血圧患者の第一段階の降圧目標は140 / 90mmHg未満です。

 

ただし、SPRINT試験での複数回診察室外自己自動記録では120 / 80mmHg未満への降圧の有効性が示されました。

 

 

合併症を有さない高血圧に対しては、Ca拮抗剤、ARB、 ACE阻害薬、利尿薬の4種類の薬剤のいずれかが第一選択薬とされていますが、なかでも、前二者が頻用されています。

 

降圧目標を達成するためには、第一選択薬の内から2~3剤を併用することが多いです。

 

そのため配合剤の使用が増えています。ただし、ACE阻害薬とARBは原則併用しません。

 

2016年に承認された3剤配合薬(ミカトリオ®)の適切使用について、3剤の単剤もしくは2剤配合錠と1剤の単剤の併用で8週以上の安定した降圧が得られた場合に切り替えるとされました(日本高血圧学会)。

 

 

高血圧治療ガイドライン2014(日本高血圧学会)

 

家庭血圧測定の指針第2版(日本高血圧学会、2011)

 

妊娠高血圧症候群の診療指針2015(日本妊娠高血圧学会)