最新の臨床医学:6月15日(金)呼吸器・アレルギー・膠原病学

<特発性肺線維症>

 

呼吸器疾患の中には原因不明なもの、原因を特定することが困難な例が少なくありません。

 

原因不明の間質性肺炎特発性間質性肺炎といいます。

 

この種の間質性肺炎の中でもっとも頻度が高いのが特発性肺線維症です。

 

 

特発性肺線維症は慢性進行性の経過で、診断から平均生存期間は3~5年で予後不良な疾患です。

 

死亡原因としては、急性増悪例40%、慢性呼吸不全進行例25%、肺癌合併例10%とされます。

 

こうした病態の管理が予後の改善に重要です。

 

 

難病ではありますが、診断、治療に関して国際的なガイドラインがあります。

 

2015年のガイドラインでは抗線維化薬(ピルフェニドン、ニンテダニブ)が条件付きで推奨薬物となりました。

 

なぜ、条件付きなのかというと、両薬物とも高額な薬価であること、消化器症状を中心とした副作用があること、などが問題となっているためです。

 

また、胃食道逆流症が特発性肺線維症の発症、増悪および急性増悪に関連があると考えられています。

 

そこで、プロトンポンプ阻害薬、ヒスタミンH₂受容体拮抗薬が条件付きで使用が推奨されています。

 

 

最新のガイドラインは、特発性肺線維症の治療ガイドライン2017です。

 

 

なお、一般の方に分かり易い解説としては、シオノギ製薬のHPがお勧めです。

 

喫煙が発症の危険因子であることをきちんと紹介している点でも評価できます。

 

これをご紹介いたします。

 

http://www.shionogi.co.jp/IPF/patient/about/

 

 

 

特発性肺線維症(とくはつせいはいせんいしょう)

 

 

特発性肺線維症(とくはつせいはいせんいしょう)【英語ではIdiopathic Pulmonary Fibrosisと表記され、略してIPF(アイピーエフ)と呼ばれています】とは、肺胞(肺を構成しているやわらかい小さな袋)に”傷”ができ、その修復のためにコラーゲンなどが増加して肺胞の壁(間質)が厚くなる病気です。

 

そのため、咳が出たり、酸素がうまく取り込めなくなり息苦しくなります。特発性肺線維症は次第に進行し、肺が固くなり膨らみにくくなるため、呼吸が維持できなくなる場合もあります。初めの頃は安定していても、ある時期から進行しはじめることもあります。

 

一般に肺線維症の約半数は、発症原因がわかりません。

 

このような肺線維症を「特発性肺線維症」(特発性とは原因不明という意味です)と呼びます。

 

しかし、喫煙が、特発性肺線維症を発症する危険因子とされています。

 

50歳以上で発症することが多く、男性に多い傾向にあります。