最新の臨床医学:6月17日(日)血液学

<血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)>

 

 

皮膚にアザが発生し、発熱し、意識障害をきたす血液病があります。

 

原因:

先天性のTTPはADAMTS13(フォン・ビルブラント因子切断酵素)の先天的欠損により、ADAMTS13活性が低下することで、超高分子量vWF多量体が血中に増加して、血小板機能が亢進し、その結果、血小板血栓が多発します。

 

後天性のTTPの多くは原因不明ですが、一部は、妊娠、自己免疫疾患、悪性腫瘍、薬剤などを誘因として生じたADAMTS13に対する自己抗体が原因となります。

 

 

症状:

古典的5徴

 

①出血傾向(血小板減少性)

 

②溶血性貧血(最小血管障害性)

 

③腎機能障害(軽症)

 

④動揺性精神神経症状(抑うつ、けいれん、意識障害、運動麻痺など)

 

⑤発熱

 

他に原因のない血小板減少、溶血性貧血

 

 

 

先天性TTP

 

ADAMTS13(フォン・ビルブラント因子切断酵素)の先天的欠損

 

 

後天性TTP診断基準案

 

ADAMTS13活性<5%

 

抗ADAMTS13活性中和抗体(インヒビター)陽性

 

 

検査

TTPには溶血性貧血を伴います。

 

TTPにみられる溶血性貧血は、赤血球の機械的破壊による血管内溶血(細血管障害性溶血性貧血の範疇)であり、末梢血に破砕赤血球がみられるのが特徴です。

 

破砕赤血球は赤血球が細かく千切れたもので種々の異常形態(三日月形、三角形、角形、ヘルメット形、いがくり形など)をみとめます。

 

骨髄では巨核球の過形成が認められます。

 

生化学:

間接ビリルビン↑、LDH↑、ハプトグロビン↓(溶血所見)、Cr↑、BUN↑(腎機能障害所見)

 

凝固:

PT、APTTはともに正常

 

 

治療

無治療では90%以上が死亡します。

 

そのため早急な治療開始が必要です。

 

1)血漿交換療法(第一選択):この導入により、生存率は大幅に改善された。

先天性TTPでは、新鮮凍結血漿の定期的補充

 

2)脾摘(難治例)

 

3)免疫抑制療法(難治例)

 

4)リツキシマブ(後天性TTP)

 

なお、血小板輸血は禁忌です。