認定内科医、心療内科指導医・専門医、アレルギー専門医、リウマチ専門医、認定痛風医

飯嶋正広

 

 

神経病学、アレルギー・膠原病学、感染症学

 

毎週木曜日は、昨年からの、こころの健康(身心医学)というタイトルを引き継ぎ、上半期は最近、進歩と変化の目覚ましい神経病学、アレルギー・膠原病学、感染症学について、私が気になる話題を取り上げていく予定です。

 

このなかでアレルギー・膠原病学の領域は、アレルギー専門医・リウマチ専門医としての永年の私の専門領域に相当します。とくに、リウマチ専門医の扱う臨床領域は、関節リウマチに限局されず膠原病全般に及んでいるのですが、いまだに十分理解されていないのが実情です。関節リウマチは、膠原病を代表する疾患であることだけでも知っておいていただけたらと思います。

 

また、感染症学については、一昨年から引き続き世界的なCOVID-19問題として今年も引き続き慎重にモニターしつつ対応を考えていかなければなりません。この感染症とアレルギー学は免疫学という共通のベースがあるため相互に密接な関係があります。COVID-19問題に関するメディア露出で一躍世界的に有名になったアンソニー・ファウチ氏は、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)の所長です。その名の通り、アレルギーと感染症は互いに隣接領域として研究が進められているのです。

 

ところで、こころの健康(身心医学)というタイトルは少し、あるいはかなり、奇妙であり、不可解な印象を持たれる方も少なくないものと拝察いたします。しかし、これには訳があるのです。

世間では、<こころのケア>などというソフトで暖かそうな表現が好まれる傾向があるようにも見受けられますが、そもそも<こころ>とは何なのでしょうか?これは哲学や宗教の世界で扱う領域なんでしょうか?<こころのケア>を生業とする心理カウンセラーが哲学者や宗教家を兼ねた存在であったとしても何ら不思議はありません。

 

しかし、医師が<こころのケア>を担当するのであれば、それとは別の科学的バックグラウンドやベースを持っていなければならないと、私は考えています。それでは、その科学的バックグラウンドやベースとは何かということが問題になってきます。

 

私は上記の命題を考察するに際して、<こころ>を支えている基盤を考えることにしました。なぜならば、<こころのケア>を求めて相談に来られる方々は、等しく自分が悩まされている、あるいは気になっている諸問題を抱えておられるからです。

つまり、みずから気づいている、気づけている意識の世界の課題に焦点を当てていますが、その原因となっていることが多い潜在意識や無意識の世界には到底考えが及んでいません。実は、この辺りが<こころのケア>を有効なものとするための臨床的実践の鍵なのであります。

 

率直に申し上げて、私自身は<こころのケア>という言葉は好んで用いることはありません。また、心療内科の専門医、しかもそのエキスパートである指導医であることから、<こころのケア>の専門家として紹介されることがありますが、いつも違和感を覚えています。その淵源はどこに由来するのかというと、それは<こころ>の概念が自他の間において一致していないからだと考えています。

 

私が心療内科医として実践してきたのは<こころのケア>ではなく、<たましいのケア>です。このような表現をすると、さらに誤解が拡大してしまう懸念があるので、ここで改めて簡単に説明させていただきます。

 

私にとって、<こころのケア>は意識世界を対象にして人文科学的な理解で行うケア、これに対して<たましいのケア>とは無意識の世界にまで立ち返って可能な限り科学的な基礎に還元して理解していこうとするケアの在り方なのです。つまり、これは<身>の科学に基礎を置くということです。

 


心療内科は私の専門領域の重要な柱なのですが、この領域は一般の方だけでなく、医療従事者の間でさえ極めて紛らわしく、しばしば混同され誤解されています。

 

とくに混同されやすいのは精神神経科や神経内科(脳神経内科)です。

そして、機会があるごとに、それらの違いや区別について私は根気強く繰り返して説明してきましたが、最近に至っては、そのような試みは徒労に終わるだけで実益がないことに気が付きました。

 

そのように考えるようになったのは、心療内科の位置づけが精神神経科領域と脳神経内科領域の両方に及んでいること、むしろそのことが心療内科医の強みでさえあることを改めて認識したからにほかなりません。

 

 

私は、<こころのケア>を求めて来院される方を素直に受け入れつつ、心療内科医として<たましいのケア>を提供していますが、こうしたアプローチが奏功しているからです。

 

そもそも人体の脳神経系の解剖(構造)と生理(機能)の理解が無ければ医師としての科学的なアプローチはできないのですが、少なくとも医師であるからには脳神経系は意識世界と無意識世界の両方の世界に対して構造的基礎を与えていることを忘れてはならないと考えています。

 

 

最後に、アレルギー・膠原病学の領域は、免疫学を基礎としているため、感染症学にも通底しているのですが、そもそも、免疫作用とは「自己と非自己とを認識する作用」です。私たちの体内に存在するあらゆる物質が、自己に属する者なのか、異物(非自己)なのかを絶えず監視しているのが免疫の働きなのです。

 

つまり脳神経系だけが認識作用を独占しているのではなく、免疫細胞も原初的な認識・識別能力を持っているということになります。私たちは、そうした免疫細胞の認識を直接知覚することはできませんが、別の表現をするならば、これらの免疫の働きを無意識のこころ、これを<たましい>の働き、と私は呼んでいるのです。

 

次週から、約半年の間、木曜日のこのコラムは神経病学、アレルギー・膠原病学、感染症学をテーマとして取り上げていきたいと思います。


2022年1月1日進級、各種認定合格者発表

 

Ⅰ 進級検定合格者

 

令和3年12月に実施された進級検定(中審査・小審査)において、中審査の対象者はありませんでした。以下に小審査の合格者を発表します。なお、次回の小審査は令和4年3月、中審査・大審査は同年6月に予定しています。

 

 

・准3級(特別訓練生)

植田栄喜

 

・4級(高等訓練生)

大場康弘

小池享子

福丸慎哉

 

 

・5級(中等訓練生)

大野道子

西川みつ子

深瀬淳子

 

 

・6級(初等訓練生)

近藤正子

漆弘雄

漆正子

 

 

・7級(特別体験生)

須田和江

村松忠夫

佐々木明彦

 

 


Ⅱ 各種技法認定試験合格者

 

令和3年12月に実施された各種技法認定試験は、水氣道4級(高等訓練生)および5級(中等訓練生)を対象とするファシリテーター検定のみを実施しました。次回の検定は令和4年3月に予定しています。なお、水氣道3級(初等修錬生)以上の修錬生を対象とするインストラクター検定、水氣道弐段以上の支援員を対象とするトレーナー検定は令和4年6月を予定しています。

 

 

・F5、交差航法ファシリテーター認定

濱屋幸一(現4級、高等訓練生)

鈴木けい子(現4級、高等訓練生)

 

 

・F3、基本航法ファシリテーター認定

林知子(現4級、高等訓練生)

 

 

・F2、いきいき体操ファシリテーター認定

4級足立博史(現4級、高等訓練生)

5級松田要(現5級、中等訓練生)

5級平田範子(現5級、中等訓練生)

 


来週の水曜日は、昨年のシリーズ水氣道稽古の12の原則に引き続き、
新たなシリーズとして水氣道実践の五原理の解説から始める予定です。

 

内科認定医、

心療内科指導医・専門医

飯嶋正広

 

毎週火曜日は、昨年からの、からだの健康(心身医学)というタイトルを引き継ぎ、上半期は最近、進歩の目覚ましい血液病学、消化器病学、呼吸器病学について、私が気になる話題を取り上げていく予定です。

 

あくまでも医師としての生涯学習が主目的であるため、一般の方には解りにくいかもしれません。そのわかりにくいところをわかりやすく説明できるようにトレーニングすることも臨床医にとって大切な責務であると認識しています。

 

しかし、率直なところ、こうした基礎的なスキルほど生来の才能が求められることもあるような気がします。

私自身は、そのような才覚に恵まれている方ではないことを自覚しているので、今年も、気持ちを新たにして少しずつ精進していきたいと考えています。

 

ところで、からだの健康(心身医学)というタイトルは少し、あるいはかなり、奇妙であり、不可解な印象を持たれる方も少なくないものと拝察いたします。

 

しかし、これには訳があるのです。当クリニックの初診の方の特徴として、からだの症状を主訴とされる方の多くが精神的ストレスをも抱えておられることが少なくないことです。

 

たとえば、線維筋痛症などのように、通常の保険診療での通り一遍の対応のみでは、異常所見が検出されないため、解決のための道筋が見えづらく、そのため難治性の全身性慢性疼痛疾患とされてしまうことがしばしばあります。

 

ただし、線維筋痛症のほとんどは決して難病ではありません。難治化させている最大の原因は、医師も患者も、保険診療を唯一絶対のシステムであると盲信しているからです。

 

発想を変えようとせず、狭い範囲の発想の中で試行錯誤を繰り返してみても、大局的には同じような試みを漫然と繰り返していることと大差ありません。原因不明で難治性とされる身体疾患の中には、精神面からのアプローチも同時並行的に実施していくことによって顕著に改善していくケースも散見されます。

 

 

次週から、約半年の間、このコラムは消化器病、血液病、呼吸器病の領域の病気を取り上げます。心身医学的なアプローチが常に採用されるわけではありませんが、私は、そうした視点を踏まえた上で病態を理解し患者さんの診察にあたることが有用だと考えています。

 

前回はこちら

 


臨床産業医オフィス

<高円寺南労働衛生コンサルタント事務所>

産業医・労働衛生コンサルタント・第一種作業環境測定士・衛生工学衛生管理者

飯嶋正広

 

 

私は平成元年7月に、当クリニックの前身の高円寺南診療所を開設し、臨床実務に携わる中で<法律の素人>であり続けることの危険性に気づきました。臨床医は科学者として医学を研究する修養することだけでは事足りないということは、医療のもつ社会性から考えても当然であったわけです。

 

そこで医業の傍ら、法律の基礎を学ぶために慶應義塾大学に学士入学(通信制)し、平成12年に卒業しました。

 

同16年に産業医資格取得、同19年に労働衛生コンサルタント国家試験合格などを経て、博士号(医学)取得は平成22年でしたが、全く悔いは残っていません。高円寺南診療所としての平成の30年間は、令和の杉並国際クリニック誕生までの成長の歴史であったものと振り返っています。

 

そして、現在でも私はなお<法律の素人>のままであることには変わりありませんが、まがりなりにも医学理論と実社会の仕組みの両方に馴染んできたことによって、社会的存在であるはずの患者さんの抱える様々な問題を立体的に把握することに役立ってきたという実感を持っています。

 

そこで、現役世代の皆様に密接にかかわる働き方改革関連法案について、今年の注目のポイントをご紹介させていただこうと思います。

 

 

2022年の重要改正3項目

 

2022年には、雇用保険や健康保険法、育児・介護休業法、厚生年金保険法等を中心にいくつかの改正が予定されています。すでに打刻ファーストで解説済みのテーマではありますが、企業が特に重視すべき3つの改正項目を改めてまとめます。

 

○ パワハラ防止措置の義務付け

(中小企業で2022年4月1日から※大企業で2020年6月より施行)

 

○ 改正育児・介護休業法  

(すべての企業で2022年4月1日及び10月1日から)

 

○ 短時間労働者への社会保険適用拡大

(従業員数101~500名規模の企業で2022年10月1日から)

 

 

そこで、今月は、働き方改革関連法案の変更点と産業医の役割をテーマとして、次週から4回に分けて解説していきたいと思います。

令和4年1月2日

  

この年始の時期を、東京で過ごす方、地方に帰省して過ごす方、それぞれの方がいらっしゃることでしょう。

そして、東京で過ごされる方の中には、生まれも育ちも東京、三代以上続いているから、れっきとした江戸っ子、というような皆様もいらっしゃる一方で、諸事情で帰省できないという皆様も多数おいでになることを私は存じております。

 

この年末年始も、さまざまな要因で「帰省」が「規制」されることが当然であるかの如く「既成」事実となりつつあることに寂しさを感じています。

 

「帰省」とは郷里に帰り、父母の安否をうかがうことが本来の意味らしいです。まず初めに高齢の父母や縁者の感染・重症化のリスクを考えるのは当然のように受け止められています。

東京在住の家族の面会を警戒し、歓迎しない高齢者入居施設がほとんどであるようです。

 

医療供給のキャパシティの乏しい地方にとっては、感染が拡大すればすぐに危機に陥る事情もあり、已むを得ない事情もあります。そのような昨今を過ごす中で、自然に思い出され、口をついて出てきそうな詩歌が、私には二つあります。

 

一つ目は、欧州での医学・音楽研修が困難になった背景から、せめてフランス文学の世界へ、と考えてカミュの「ペスト」を細々と翻訳をしている自分自身にとって、より身近に感じられるようになった詩です。

 

萩原朔太郎の旅上(純情小曲集)より、

ふらんすへ行きたしと思へども ふらんすはあまりに遠し せめては新しき背廣をきて きままなる旅にいでてみん。

汽車が山道をゆくとき みづいろの窓によりかかりて われひとりうれしきことをおもはむ 五月の朝のしののめ うら若草のもえいづる心まかせに。

 

もう一つは、これは、室生犀星の望郷の詩句です。

「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの」

 

「遠きにありて思ふもの」とうたわれていますが、犀星が郷里の金沢に帰郷したおりに作られた詩とされます。帰郷することをためらいつつ望郷の思いに駆られて作歌されたのではなく、実際に故郷に帰ってみて落胆したもののようです。

 

東京で思うにまかせぬ暮らしを強いられ、懐かしい故郷にはるばる帰ってさえも温かく受け入れてもらうことがなかったとしたら、どれだけわびしく、そして切ないことでしょうか。その悲哀、郷里への愛憎半ばする思いが「遠きにありて……」の言葉となったらしいのです。

 

故郷とは時に複雑な思いを呼び起こす場所です。それは、久しぶり訪れる故郷を理想化し、過剰な期待を抱いてしまいがちであるためでもあることでしょう。

 

「遠きにありて思う」とは、現在の故郷ではなく、傷つきつつも心の奥深くに刻み込まれたままの在りし日の故郷なのかもしれません。

 

とはいっても、人と故郷の事情は千差万別です。私などは幸い「遠きにありて」を「悲しくうたふ」人ではなく、「いつも身近に感じていて」「楽しくうたう」人の一人になろうとしています。

 

せめて、遠く隔たっていてもオンライン時代の「帰省」に工夫をこらしたいものだと考えています。たとえリモートであっても、昔から音程が正確で歌声の美しかった老母と一緒に楽しく歌える正月を過ごしたいものです。

 

文学や音楽をはじめとする芸術の価値は、このような時節において、改めて、しみじみと有難みを感じるものなのかもしれません。

 

令和4年元旦

 

皆様、あけましておめでとうございます。

 

本年も共に健やかに穏やかな日々を過ごして参りたいと存じます。

 

さて、昔から、「一年の計は元旦にあり」と言われてきましたが、改めてこの警句を考察してみることにしました。

 

【注釈】一年の計画は年の初めである元旦に立てるべきであり、物事を始めるにあたっては、最初にきちんとした計画を立てるのが大切だということ。

 

【出典】月令広義・春令「四計」の項に、

「一日之計在晨、一年之計在春、一生之計在勤、一家之計在身

(一日の計は晨(あした)にあり、一年の計は春にあり、一生の計は勤にあり、一家の計は身にあり)とあることに基づく。

 

【考察】「一年之計在春」が原点であるとすれば、「春」をどのように捉えるかで解釈に広がりが出てきそうです。もし、「春」を新春の初日と解釈すれば、文字通り、「一日の計は元旦にあり」に一致することになります。これに対して、1月から3月までを「春」とするならば、「一年の計画は最初の3カ月までに計画しておきなさい」という緩やかな解釈で良いことになります。

 

かく云う私自身は、上記とは異なった2つの解釈というか指針を持っています。

 

最初の一つは、よそ様向け(患者様向け)の指針です。

 

これは、職業上、多くの場合、年明け最初の検査の結果は芳しいものではないことから経験的に学んだことです。

 

それは「暦上の一年のスタート時の不調は、その年度のスタート時に仕切り直しをしてみましょう。」というものです。日本は有難いことに、年度初めの4月があります。1年のうちに計画したり、計画を見直したりするチャンスが2回もあるのは素晴らしいことだと思います。

 

もう一つは、私自身に向けた指針です。

 

これは、これまでの私生活上、やはり経験的に学んできたことから身に着けた習慣です。

 

それは、「一年の計画は、前年の自分の誕生日(1114日)を迎えてから大みそかまでの間に準備しておくべし」という自分自身に対する戒めです。そもそも一年間の計画を元旦という特定の一日のうちに打ち立てることのできるような才能を私自身は持ち合わせていないということを熟知しているからです。たとえば、初日の出を拝んでから元旦のあいさつ文をしたためることができるような能力をもっている人は特別な存在だと思います。凡人にとっては到底及びがつきません。

 

杉並国際クリニックにとっての令和4年元旦の計は、時代が令和に突入する前から準備してきたものです。この間に、診療システムは、フリーアクセス制⇒部分的予約制⇒完全予約制⇒会員制と計画的に改革を進めることに成功しました。新型コロナ感染症の警戒態勢下にあっても安全・安心の医療を安定的に供給すると同時に、より質の高い外来診療に向けての着実な歩みも遂げることができました。そして、完全予約制を基盤とする会員制クリニックとして確立したことにより、日本の経済を支え、医療・介護・福祉の財源の提供源として社会貢献している企業の顧問医・産業医としても、従来以上にフレキシブルに活動できるようになったことは私のささやかな誇りの一つにもなっております。

 

医療と社会との接点を開拓することによって、医療機関の外来診療だけでは気づき得なかった多くの貴重な知識と知恵を授かることができました。いくつもの新たな視点が生まれ、それらが拡がっていくことによって日本という祖国や世界の状況がより身近に感じ取れるようになりました。

 

杉並国際クリニックは、その名称どおり、英語やフランス語などの国際語を併用して、広く外国人診療にも門戸を広げていますが、当クリニックの会員としてふさわしい方ばかりに恵まれていることも、大いに感謝すべきであると認識しています。

 

当クリニックの曜日替りのブログは、会員の皆様に限らず、その他多くの皆様にお読みいただけているまでに支持を広げています。今年も、少しずつ工夫を加え改良を試みながら、皆様のために、少しでも有益なメッセージを発信し続けていきたいと願っております。

 

皆様、それでは、今年は、さらに良い一年となりますよう、お互いに暖かな真心を通わせて参りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

なお、来週の土曜日は、昨年に引き続き、アルベール・カミュ『ペスト』(仏文原書)の訳読に挑戦!アルベール・カミュ作 『ペスト』を読むNo12から再開する予定です。

 

 

 

先週の<令和4年の声楽コンクール参加計画No1>

 

では、年明けから参加するコンクール予定のリストを公表いたしました。

 

予選は自由曲で音源審査がほとんどであるため、当クリニックの診療業務に影響を及ぼすことなく参加できることについてご報告しました。

 

今回は、各コンクールの予選(一次予選・二次予選)、本選のためにこれまで準備している歌曲・オペラアリアの一覧を御披露することにしました。

 

実際には、経験者の意見を参考にして絞り込んでいく予定です。

 

 

<予選用自由曲候補リスト>各コンクール共通

◎トスティ歌曲集から5曲

 理想の女(Ideale)

 暁は光から(L’alba separa dalla luce l’ombra)

 セレナータ(Serenata)

 最後の歌(L‘ultima canzone)

 夢(Sogno)

 

◎チマーラ歌曲集から3曲

 郷愁(Nostalgia)

 海辺の光景(Visione marina)

 海の詩<海のストロネッロ>(Stornellata marinata)

 

<本選用自由曲候補リスト>

◎プーッチーニのオペラ・アリア集から4曲

 誰も寝てはならぬ(Nessun dorma)

オペラ『トゥーランドット』第3幕より

 

 妙なる調和(Le condita armonia)

 

オペラ『トスカ』第1幕より

 星は光りぬ(E lucevan le stelle)

 

オペラ『トスカ』第3幕より

 冷たき手を(Che gelida manina)

 

オペラ『ラ・ボエーム』第1幕より

◎ヴェルディのオペラ・アリア集から2曲

 

 静かな夕べに星空を見ていたときに(Quando le sere al placido)

オペラ『ルイザ・ミラー』第2幕より

 

 永久に君を失えば(Forse la soglia attinse)

オペラ『仮面舞踏会』第2幕より

 

◎チャイコフスキーのオペラ・アリアから1曲

 

 

第8回なかの国際声楽コンクール本選専用

 レンスキーのアリア「青春は遠く過ぎ去り」

オペラ『エフゲニー・オネーギン』第2幕より

 

 

追伸:なお、コンクールではありませんが、


年明け1月30日(日)15:00頃から、

西荻の勤労福祉会館にて

「めいた会」発表会に参加する予定です。

 

歌唱曲目は一部未定ですが、以下を予定しています。

ピアノ伴奏は、金曜夜間の稽古でお世話になっている森嶋奏帆さんです。

 

1) 日本歌曲:『この道』 山田耕筰作曲

2) イタリア歌曲:『郷愁』P.Cimara作曲

3) オペラ・アリア:(未定)

 

年明けに、改めてご案内させていただく予定です。

 

それでは、皆様、良い年をお迎えくださいますように!

 

前回はこちら

 

厚生労働省は、
職場のメンタルヘルスに関するよくある質問と答えをまとめましたとして、ホームページで、こころの健康に対してわかりやすいQ&Aを掲載しています。それに私が臨床の立場からCとしてコメントを加えてみました。


Q.

主人が最近「死にたい」と言い出しましたが、家族としてどのように対応すればいいのでしょうか。

 


A.

まずは「なぜ死にたいのか」、また「なぜ死ななくてはならないのか」、本人の話にじっくりと耳を傾けることが大切です。おそらく「死にたく」なるくらい悩んでいることがあるはずですから、その悩みを聞いてあげましょう。

 

そして、一人で悩まず、その解決方法を一緒に考えて、家族としてできること、あるいは他に相談して解決する可能性を、押しつけにならないように寄り添いながら考えていく姿勢を示すことです。

 

悩みを解決する方法として死ぬ以外の他の選択肢を強調し、本人にどのような理由であっても家族として「あなたには死んで欲しくない」、「悩みがあるなら、一緒に考えていきたい」、「早まったことはするな。自殺して死んでしまうようなことがあったら、我々も生きていけない」となるべく具体的に、死にたい気持ちに目を背けず自殺をしないことを固く約束するべきです。

 

また、本人がうつ病などの精神疾患にかかっている可能性が高いので、なるべく目を離さないようにしてできるだけ早く精神科に受診することをおすすめします。本人が受診に拒否的な場合は、会社の健康管理室があればその産業保健スタッフや地域の保健所で相談することが可能な場合もあります。≪ご家族にできること≫も参考にしてください。

 

 

C.

今回の質疑応答は前回の延長です。上記の回答は分かりやすく書かれていて良いのですが、

<「早まったことはするな。自殺して死んでしまうようなことがあったら、我々も生きていけない」となるべく具体的に、死にたい気持ちに目を背けず自殺をしないことを固く約束するべき>

と書かれているところが気になるところです。

 

まず「早まったことはするな。」などの命令口調は反発を招きかねません。

 

つぎに「自殺して死んでしまうようなことがあったら、我々も生きていけない」などと言ったところ「それならば、いっそ自分と一緒に死んでくてないか」と言われて困ったというケースが過去にありましたので、念のために付け加えておきます。

 

最近になって夫に「死にたい」と言い出されたならば、信頼のおけるなるべく多くの人にその事実を伝え、自殺防止のための監視ネットワークを形成しておくことと、妻である自分自身の平常心を見失わないような心構えを備えておくこと、そのためには何が起きても動じないという覚悟を持っておいた方がよいこともあるのではないかと思います。

 

前回はこちら



専門性の原則に関連して、今回は、トレーニング手段を構成する<体力>と<技術>について述べてみたいと思います。

 

一般的なスポーツ理論によると、パフォーマンスの向上には<動き>の変容が必要であり、この<動き>の変容には<体力>と<技術>という2つの要因が影響するとされます。しかし、この2つの要因が変化していく過程には大きな相違があります。
一方、ヒトの心身の構造や機能には、ハードウェア的要素とソフトウェア的要素があります。

 

ハードウェア的要素とは、筋や腱・靭帯、心臓循環器系、呼吸器系、免疫系などです。またソフトウェア的要素とは、神経系です。

 

ハードウェア的要素である筋や腱・靭帯を強化して発揮できる力やスピードを高めるとともに、心臓循環器系、呼吸器系、免疫系などを改善し、疲労現象に耐え、長時間にわたって出力し続けるための要因は身体のハードウェア的要因となります。

 

身体をハードウェアとして捉えた場合に基礎となるのが「過負荷の原則」に基づいたトレーニングなのですが、これは体力トレーニングとして認識されています。

 

体力向上のためには身体構造の改善という時間を要するプロセスを要するため、遅延効果として現れます。

(なお、「過負荷の原則」についてはすでに触れていますが、いずれ改めて解説する機会があると思います。)

 

 

ソフトウェア的要素である神経系、すなわち運動神経系や感覚神経系や自律神経系など大脳中枢から末梢神経に至るすべての神経系によって支えられている運動制御機構と運動プログラムを改善するとともに、<動き>の感じやコツを体得させて運動習熟を導くのがソフトウェア的要因です。

 

こうした神経系の運動プログラムは意識的制御系と無意識的制御系によって構築されています。

このためには、特異性の原則や専門性の原則に基づきながら、<動き>の感じや主観的なコツを体得するための諸々の運動(身振り運動、模倣運動、繰り返し行うドリル系の運動)をトレーニング手段として用います。これが技術トレーニングとしての練習に相当します。

(特異性の原則については、別の機会に改めて説明する機会があると思います。)

 

 

水氣道においては、<動き>の感じや主観的なコツを大切にしながら稽古を継続すると、試行錯誤や思考錯誤が連続する混沌世界から突然に<動き>が変わり、稽古効果が即時的に出現することを体感することができるようになります。

 

このように、<動き>の変容の原因をソフトウェア的要素およびソフトウェア的要因として捉え、専門性の原則に基づいたトレーニングによる技術・技能の向上では即時効果が期待され、こうした効果をもたらすトレーニングは理想的な技術トレーニングとして認識されています。

 

 

以上のように、トレーニング手段としての運動には、体力と技術という相互に分断できない二つの側面が内在しています。それは水氣道の稽古の手段においても基本的には同じであるといえます。水氣道の稽古を継続していくことによって、体力と技術が一体的に養成されていくことを感じ取ることができるようになるでしょう。

 

前回はこちら



骨粗鬆症の予防と効果的な治療の指針となる骨代謝マーカーについて(発展編)

 


Q11. 骨代謝マーカーの測定やその解釈を行う際の注意点はありますか?

 

A11.

1)まず骨代謝マーカーには日内変動があるということです。一般にマーカー は朝高くて、午後になるとだんだん低下するのですBAP、P1NPとかTRACP-5といった血清マーカーは有意な日内変動があまり見られないですが、逆に尿中マーカーは日内変動が比較的大きいことが知られています。そういうことから尿中マーカーを測定する際には、早朝の空腹時での検体採取が理想的だといわれています。

 

 

2)2番目の注意点は慢性の腎臓病、特にステージⅢ以上の腎機能障害がある 場合には、骨代謝マーカーの測定値に影響する場合があるということです。 ですから、慢性腎臓病の患者さんでは 腎機能の影響が比較的少ないとされているマーカー、すなわち先ほど出ましたBAP、P1NPとかTRACP-5bなどを選択するのがよいのではないかと思います。

 

 

3)3番目は骨折が発生した場合、一時的に骨代謝マーカーが上昇することが あるということです。ですから、骨粗鬆性の骨折が生じた患者さんの場合は、 骨代謝マーカー値の解釈に注意が必要です。ただし、骨折が発生してから24 時間以内であれば骨折の影響は少ないという報告もありますので、骨折を受傷されてから1日以内に病院に受診された患者さんであれば、その骨代謝マーカーの解釈は通常どおりに行ってよいと思います。  

 

 

Q12.

治療を開始して、治療効果判定時に骨代謝マーカーを使うということになるとのことですが、どのように考えて行われているのでしょうか?

 

 

A12.

治療効果判定時における骨代謝マーカー値の解釈については、まず骨代謝マーカーによって治療効果の判定が可能な薬剤は、そもそも骨代謝に強い影響を及ぼす薬剤のみであるということがポイントになります。

 

すなわち、当クリニックで採用している薬剤(下線・太字®)を含めて具体的に名前を挙げると、ビスホスホネート(フォサマック®、リカルボン®など)、SERM(註)、女性ホルモン、テリパラチド、ビタミンD3製剤であるエルデカルシトール(エディロール®)、ビタミンK2(グラケー®)、抗RANKLモノクローナル抗体(デノスマブ)、こういった薬が骨代謝マーカーによる治療効果判定が可能な薬剤といえます。

 

註:SERMは閉経後骨粗鬆症が適応となり、骨に対しては女性ホルモン(エストロゲン)と同じ作用をしつつ、エストロゲンによるホルモン補充療法に伴う副作用などのデメリットが解消もしくは軽減されるため、本来とても有用な薬剤です。しかし、静脈血栓塞栓症などには禁忌であるため、新型コロナワクチン接種が普及している現状下では、安全配慮のため処方を控えています。

 

 

一方でエルデカルシトール以外のビタミンD3製剤(ワンアルファ®、ロカルトロール®)とか、イプリフラボン(オステン®)、カルシウム(アスパラ‐CA®)、あるいは筋肉注射のカルシトニン(エルシトニン®)といった薬は、骨代謝マーカーによる効果判定はそもそも困難ということです。  

 

 

Q13.

骨代謝マーカーによる治療効果判定が可能な薬剤で治療を行った場合、どのように治療効果を評価するのですか?

 

A13.

基本的には治療効果は骨代謝マーカーの変化によって評価することになります。例えば、骨吸収薬を投与した場合には、通常、投与後3カ月ぐらいで骨吸収マーカー値の有意な低下が見え始めます。

 

ですから、骨吸収マーカーは治療を開始する時点と、治療を開始してからだいたい3~6カ月の間隔を空けた時点の2回の測定を行い、マーカー値の変化を評価して、厳密には、マーカーごとに定められた最小有意変化 (MSC)を超える変化を示しているかを評価して、治療効果を判定することになります。

 

治療効果判定時にマーカー値の有意な変化が見られれば、その治療は効果があるので継続してもよいと解釈できます。  

 

 

骨形成マーカーの変化は、骨吸収マーカーの低下に3カ月ぐらい遅れて低下してきます。そこで、骨形成マーカーの測定は治療開始時と骨吸収マーカーより若干遅めの6カ月程度の間隔を空けた時点で行い、評価するのがよいのではないかと思います。

 

また、少し以前からよく使われるようになった骨形成促進薬であるテリパラチドですが、テリパラチドの連日投与製剤を投与した場合には、骨形成マーカーの中でも特にP1NPの変化が著しいことが知られています。ですから、この薬剤で治療を開始した時点と、治療開始から4カ月程度の間隔を空けた時点でのP1NPの測定によって、治療効果を判定するのがよいと考えられます。

 

ただし、同じテリパラチドでも週1回投与する製剤の場合は、P1NPは3カ月ぐらいまでは高値を示しますが、6カ月以降は逆に低値になる傾向を示しますので、測定のタイミングには注意が必要かと思います。

 

 

Q14.

骨代謝マーカーによって治療効果判定をしたとき、マーカーが異常値を示している場合には、どのように判断し、どのような対処をしますか?

 

 

A14.

異常高値と低値のいずれも注意が必要です。

 

まず、異常高値の場合は、そもそも骨粗鬆症以外の骨代謝疾患の可能性があります。そういった点に注意をして疾患鑑別をしていく必要があります。ですから、骨粗鬆症の診療に係る医師は、総合診療医もしくは総合内科医としての研鑽を十分に積んでいなければならないということになります。

 

また、骨代謝マーカーには骨マトリックス関連マーカー(いわゆる骨質マーカー)というものがあり、その中の低カルボキシル化オステオカルシン(ucOC) が上昇している場合には、これはビタミンKの不足を意味しますので、当然 ビタミンK2を投与することになります。
 

これに対して、治療薬を選択するときに骨代謝マーカーが低値であった場合は、骨代謝回転が抑制されていることを意味します。こうした場合には骨形成増加作用によって骨代謝回転を促進させるような薬、骨形成促進薬であるテリパラチドを選択するのが理論的に合致する判断と言えます。  

 

このように、薬物の投与前に骨代謝マーカーを測定することによって、骨代謝回転の状態に基づいた、理論上、合目的的な薬物の選択が可能となるのです。

 

 

 

Q15.

効果判定をしたとき、マーカーがあまり変化を示さない場合があると思うのですが、これはどのように対処しているのでしょうか。

 

 

A15.

治療効果判定を行って、骨代謝マーカー値が有意な変化を認めなかった場合、薬物療法の効果がなかったと判断することになります。ただし、そうした場合には、重要な注意点や確認事項がいくつかあります。

 

1) そもそも患者さんがその薬をしっかり服用できていたかどうか、という服薬状況を確認することが大切だと思います。これを薬のコンプライアンスといいますが、服薬コンプライアンス(註)が不良であれば薬の効果を十分得ることはできません。

 

註:近年、内服遵守に対する用語はcompliance(コンプライアンス)からadherence(アドヒアランス)に変わってきました。コンプライアンスは医師の指示による服薬管理の意味合いで用いられてきましたが、これに対して、アドヒアランスは患者の理解、意志決定、治療協力に基づく内服遵守を意味します。

治療は医師の指示に従うという考えから、患者との相互理解のもとに行っていくものであるという考えに変化してきたことが内服遵守におけるコンプライアンスからアドヒアランスという概念の変化につながっていると考えることができます。

アドヒアランスはさまざまな要因によって低下し、それによって病状の悪化をもたらすだけでなく、治療計画にも影響し、医師-患者間の信頼関係を損ないます。 医師-患者間で治療同盟をつくること、十分なインフォームドコンセントにより情報を共有すること、患者が方向性を選択できるような治療を行うことがアドヒアランス向上にとって不可欠であるということになります。

 

 

2) また、尿あるいは血液の採取時間が治療前と治療後で同じ時間であったか、 そういったことを確認することも大切だと思います。  

 

3) さらに、ビスホスホネートの場合には、薬を服用する時間と食事の摂取時間との関係が吸収に大きく影響します。ですから、両者の時間差についても、 それが適切かどうか確認する必要もあるかと思います。  

 

以上の点を確認して、それでも最終的にマーカー値の有意な変化が見られなかった原因が明らかでなかった場合には、薬物の変更等を初めて検討していきます。