9月12日(土)

 

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実は2例目の中枢神経障害であった!

 

治験中断は異例であるのか、普通に起こりえる事態なのか、いろいろな意見が表明されています。とりわけ、9月10日付けJAPAN TIMESのAPの記事は、私には納得のいかないものでありました。突然の中止に至ったわけについては、それなりの理由があるはずであるにもかかわらず、発表直後から少しずつ背景情報が集まってきました。

 

Top vaccine trial paused after patient’s illness
トップのワクチン治験は患者の病気で一時中断

 

‟Potentially unexplained illness”
『原因不明の病気の可能性』

 

Temporary holds of large medical studies aren't unusual, and investigating any serious or unexpected reaction is a mandatory part of safety testing.
大規模な医学研究の一時的な保留は珍しくなく、重篤な反応や予期せぬ反応を調査することは、安全性試験の必須項目である。

 

コメント:
そもそも最初から「原因不明の病気の可能性」(‟Potentially unexplained illness”)という表現を繰り返すべきではありません。後段「重篤な反応や予期せぬ反応を調査することは、安全性試験の必須項目である。」という結論部分には異議はありませんが、前段「大規模な医学研究の一時的な保留は珍しくなく」の部分には、違和感を覚えます。珍しいかどうか、というのは数量・頻度概念であるため、その根拠を明確にして論じることが行政・専門家・企業・メディアのすべてに通じる責務ではないかと思います。また、保留の仕方、報道への伝え方、今後の見通しについての見解において、疑問が残ります。

 

以下は、9月10日時点で私が確認できた関連情報のサマリーです。

 

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英オックスフォード大とワクチンを共同開発しているアストラゼネカ有害事象の発生を受けて新型コロナウイルスワクチンの臨床試験を中断した。有害事象が確認された被験者は、横断性脊髄炎(TM)註1と呼ばれる稀な中枢神経炎症性疾患を発症したと報じられている。

 

註1:横断性脊髄炎(TM)

脊髄の一部分が横方向にわたって炎症を起こすことによって発生する神経障害です。「脊髄炎」は、脊髄の炎症を意味し、「横断」とは、単に炎症の発生する部位が脊髄の横断面であることを示します。炎症の発作によって、ミエリン(神経細胞繊維を覆っている脂肪性の絶縁物質)が損傷または破壊されます。これが破壊されることによって、神経系統に傷が付き、脊髄内の神経と身体の他の部分との交信が中断されます。


TMの症状には、数時間から数週間にわたる脊髄機能の喪失があります。これは、通常、腰部の痛みや筋肉衰弱やつま先や脚の異常な感覚などの症状が突然発症することで始まり、その後急速に、麻痺や閉尿や排便制御の喪失などの重度な症状へと進んでいきます。一部の患者は、まったくまたはほとんど障害を残さずに完治しますが、日常生活に支障をきたすほどの永続的障害が残る患者もいます。横断性脊髄炎は、老若男女、および人種を問わず起こる疾病です。遺伝的な要因も見られません。横断性脊髄炎の正確な原因はまだ判明していません。脊髄を損傷させる炎症は、ウイルス感染症、特異免疫反応、または脊髄にある血管への血液流不足によって起こることがあります。

 

横断性脊髄炎は、水痘帯状疱疹ウイルス(水疱瘡や帯状疱疹を引き起こすウイルス)、単純ヘルペス、サイトメガロウィルス、エプスタイン-バー・ウィルス、インフルエンザ、エコーウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、A型肝炎、風疹などのウイルス感染後に発症することがあります。今回のワクチンとの関連については、これらの一連の知見は、「原因不明の病気の可能性」(‟Potentially unexplained illness”)ではなく、「ウイルスやワクチンが原因となっている病気の可能性」があることを示唆します。

 


・・・・・・・・・・・

 

9月9日、独立委員会が安全性データをレビューするために臨床試験を一時的に中断したことを明らかにし、試験のタイムラインへの影響を最小限に抑えるよう取り組んでいるとの声明を発表した。
アストラゼネカのパスカル・ソリオ最高経営責任者(CEO)は9日午前に投資家に対し、英国の女性1人に横断性脊髄炎(TM)と呼ばれる神経系の疾患が発現し始めたため同社のワクチン試験は全世界で中断されたと説明した。
このワクチンは世界で最も開発が先行していたワクチンの一つ。アストラゼネカはすでに、世界各国に30億本近くのワクチンを供給することで合意している。これは、ほかのどのワクチンプロジェクトよりも多い。
米紙ニューヨーク・タイムズは関係者の話として、因果関係は明確ではないものの有害事象が確認された被験者は、英国でワクチン接種後に横断性脊髄炎(TM)と呼ばれる稀な炎症性疾患を発症したと報じられていた。アストラゼネカは、詳細は検証中で、最終的な診断は確定していないと報じている。

 

コメント:

横断性脊髄炎(TM)は、米国内だけでも毎年、約1400件の新規症例が報告されており、約33,000人の米国人が横断性脊髄炎による障害を持っています。欧米では、ある疾患が2000人に1人の割合で発生すれば、その疾患は希少とみなされます。つまり、0.2%です。米国の人口は約3憶2900万人(2019)であり、その2000分の1は164万5000人なので、明らかに希少疾患に該当します。それでは、日本における希少疾患はというと、人口は1億2593万人(2020・8・1)の2000分の1で62,965人未満であれば希少疾患になります。日本における新型コロナ感染症はどうでしょうか。9月10日現在の国内での新型コロナウイルス感染症者は73,221例であるため、辛うじて希少疾患から外れる計算になります。しかし、最近までは発症率は約0.2%とされ、希少疾患の水準でした。ですから、横断性脊髄炎(TM)は希少疾患とはいっても、それなりの患者数が存在するという理解が必要ではないかと考えます。ですから、希少疾患という言葉の一般的なイメージに惑わされてはならないと思います。

 

 

 

臨床試験登録ISRCTNに掲載された7月12日付の被験者情報によると、アストラゼネカの英試験で参加者1人が横断性脊髄炎(TM)の症状を示した。原因は調査中だとされていた。今回で中枢神経系の問題が生じたのは2件目となるが、神経障害の最初の症状は多発性硬化症(MS)註2が原因とみられ、医療関連ニュースを専門とするSTATの報道によると、女性は回復しつつあり、ワクチンとの関連はないと考えられたと伝えた。

 

同社はすでに被験者が神経系の症状を呈し、7月に臨床試験を一時的に停止したことも確認した。この被験者は多発性硬化症(MS)と診断されていた。なお、メイセル氏は「7月には、被験者1人が未診断の多発性硬化症であることが確認されたことで安全性を検証する間、試験が一時中断した」とした上で、独立した試験監視委員会は「この診断がワクチンと関連がないと結論付けたと説明した。しかし、7月に発表された論文では、治験の中間結果として、痛みや頭痛、発熱、悪寒などの副作用は確認されたが、深刻なものはなかったとしていた。

 

註2:多発性硬化症(MS)

多発性硬化症は中枢神経系の脱髄疾患の一つです。私達の神経活動は神経細胞から出る細い電線のような神経の線を伝わる電気活動によってすべて行われています。家庭の電線がショートしないようにビニールのカバーからなる絶縁体によって被われているように、神経の線も髄鞘というもので被われています。この髄鞘が壊れて中の電線がむき出しになる病気が脱髄疾患です。この脱髄が斑状にあちこちにでき(これを脱髄斑といいます)、病気が再発を繰り返すのが多発性硬化症(MS)です。MSになるはっきりした原因はまだ分かっていませんが、自己免疫説が有力です。私達の身体は細菌やウイルスなどの外敵から守られているのですが、その主役が白血球やリンパ球などですが、これらのリンパ球などが自分の脳や脊髄を攻撃するようになることがあり、それがMSの原因ではないかと考えられています。やはり、ウイルスやワクチンが原因となる可能性を残しているといえます。ただし、親から子に病気が遺伝することはありません。ただし、アレルギー体質が遺伝するように、MSになりやすさを決定する体質遺伝子が遺伝することはありえます。

 

 


アストラゼネカの広報担当者ミシェル・メイセル氏によると、ソリオCEOは今回の症例で最終的な診断は出ていないとした上で、より多くの検査が行われるまで診断は確定しないと述べた。メイセル氏は発表資料で「こうした検査が今後、独立した安全性委員会に提出され、有害事象が検証されて最終診断が下される」とした。アストラゼネカは来週、臨床試験を再開する可能性があると、英紙フィナンシャル・タイムズが事情に詳しい複数の関係者を引用して報じている。ただし、同社は試験の再開時期についてコメントしていない。

 

 

各国のアクション


新型コロナウイルスワクチンを開発している欧米の製薬企業は8日、科学的な安全性・有効性の基準を支持し、プロセスを急がせようとする政治的な圧力には屈しないと宣言した。

 

英国の規制当局は、試験の早期に再開できるかどうか判断するため、情報の収集と分析を急いでいる。英国のマット・ハンコック保健長官は、今回の試験中断が開発プロセスを後退させるかどうかについて「必ずしもそうではない。アストラゼネカによる検証を見極めたい」と語った。

 

英国免疫学会のダグ・ブラウン会長は「人が病気になる理由はさまざまだ。開発チームは今、有害事象の原因が何であり、それがワクチンと関連があるのかを詳細に検討している」と述べた。

 

英国での試験は、5歳から70歳以上の1万2000人以上を対象に5月から行われている。アストラゼネカのワクチンは、アデノウイルスを使って新型コロナウイルスの遺伝子(遺伝情報)の運び役にアデノウイルスを用いて送達し、免疫反応を促すウイルスベクターワクチン。同様のアプローチは、中国のカンシノやロシアのガマレヤ研究所、米ジョンソン・エンド・ジョンソンによっても追求されているが、それぞれ重要な相違点があり、しかも決定的な違いである可能性がある。

 

英国アストラゼネカはチンパンジーのアデノウイルスを使っていることに注目している。アストラゼネカがベクターとしてチンパンジーのアデノウイルスを選択しているのは、ヒトアデノウイルスへの過去の暴露によって、免疫がベクターを攻撃するリスクを回避するためだ。

 

 

ロシアでも試験が計画されていて、全世界で5万人の登録を目指している。ロシア初の新型コロナウイルスワクチンとして承認されたガマレヤ研究所のワクチンを支持する人からは、ガマレヤ研究所がヒトのアデノウイルスをベースにしている。ロシア政府系のロシア直接投資基金(RDIF)総裁のキリル・ドミトリエフ氏は「ヒトのアデノウイルスを使ったプラットフォームは、ほかの新しいプラットフォームと比べて安全性が高く、研究もなされている」とロイターに語った。 

 

 

米国での後期試験は、3万人の登録を目標に先週開始。米モデルナは電子メールで出した声明で、進行中のワクチンの試験に「何らかの影響があるとは認識していない」としている。しかし、米国立衛生研究所(NIH)のフランシスコ・コリンズ所長は9日、米上院委員会の公聴会で、ほかにも同様の事例がないか確認を進めていると語った。コリンズ所長は「まず安全性を重視しており妥協はしないとわれわれが語るのを聞けば、誰もが安心するはずだ」とした上で、「これは1件の有害事象に基づき、それがワクチンと関係があるかないか分からないが、何か懸念すべき証拠があれば直ちに中断し、確認するという慎重なアプローチの最善策だ」と述べた。

 

 

ドイツのルーコケアはアストラゼネカと同様のワクチンを開発しているが、まだ早期段階で、大規模試験に入れば安全性の問題が出る可能性が高いことに同意した。同社のミハエル・ショールCEOは「2万人に接種するとすれば、いずれかの時点で重篤は有害事象が発生するのは当然だ。ワクチンとの関連性が明確に否定されれば、試験は継続される」と指摘。「炎症などの免疫関連疾患は、特に精査の対象となるだろう」と付け加えた。

 

 

 

インド血清研究所は、アストラゼネカのワクチンの試験は進行中で、何ら問題に直面していないと述べた。

 

 

ブラジルと南アフリカでも臨床第3相(P3)試験が行われている。
韓国は、国内企業が参加する同ワクチンの供給について、詳細を把握した上で製造計画を検討するとしている。保健省のユン・テホ氏は、このような臨床試験の中断は「さまざまな要因が相互に影響し合うため」珍しいことではないと述べた。

 

 

 

日本でも初期の試験が始まった。第一三共の真鍋淳社長は14日までに共同通信のインタビューに応じ、英製薬大手アストラゼネカなどが開発中で自社も製品化に携わる新型コロナウイルスワクチンについて、日本国内への供給は「来年の東京五輪には間に合わせたい」と語った。第一三共はアストラゼネカのワクチン原液を容器に充填する製剤化を担う予定。

真鍋氏は「決定的な治療薬が見つからない中、一番期待が高まっているのがワクチン。スピード感が重要となる」と述べた。自社でもメッセンジャーRNAと呼ばれる人工遺伝子を用いたワクチンを開発中で、来年3月ごろの臨床試験開始を目指している。

真鍋氏は「ワクチンは100パーセント効くわけでなく、改良を進めれば抗体が長く続くなど改善の余地もある。いろんなワクチンが存在する方が良い」と話した。

安全保障上の観点から、医薬品が国にとって重要な基幹技術になるとして「(ワクチンや治療薬開発の)技術は持っておくべきだ」と自社開発の意義を強調した。

真鍋氏は、新型コロナは根絶が難しく、今後は季節性インフルエンザのようにウイルスとの共生を求められる可能性があると指摘。今後のワクチンや治療薬開発は「国で司令塔をつくり、産学官共同で整備を進め、海外との連携も深めなくてはならない」と述べた。

 

日本はすでにアストラゼネカ社から1億2千万回分の供給を受けることで合意している。

しかし、英製薬大手アストラゼネカなどが開発している新型コロナウイルスのワクチンで深刻な副作用が疑われる事例が発生し、米国での治験が一時中断された問題で、厚生労働省は9日、日本での治験も中断されたと同社から報告を受けたことを明らかにした。

副作用の内容や供給計画に影響が出ないかどうかなど、厚労省は同社から詳細な情報を収集している。

 

ワクチンと副作用に詳しい北里大の中山哲夫特任教授(臨床ウイルス学)は「詳しい情報が得られていないので評価はできない」とした上で、「中断ということは重大な副反応が出た可能性がある。開発は安全性の確認というステップをきちんと踏んで進めないといけない」と話している。

 

政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会もワクチンは投与後に免疫が過剰に働く「抗体依存性増強(ADE)」などの重い副作用が起こりうると以前から指摘しており、国内でも慎重に安全性を確認していくことが求められる。

<はじめに>

 

前回は「気分がふさぐ」ときに効果のあるツボを紹介しました。

 

 

「膻中」乳頭を結ぶ線と胸骨の正中線と交わるところにあり、

 

 

「関元」おへそより指4本分下にあるというお話でした。

 

 

今回は「疲労感」に効果のあるツボを紹介しましょう。

 

 

 

<疲労感に効果のあるツボ>

2020-05-12 14-37

 

 

 

「陽陵泉(ようりょうせん)」は膝の外側のやや下方で飛び出している骨を見つけそこから指1本下にあります。

 

 

「命門(めいもん)」はおへその後ろ側の背骨のところにあります。

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

9月11日(金)
週間<外国語>旅行
 

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EU諸国も決して一枚岩ではありません。特に、最近の中欧諸国の動向には目が離せません。たとえば、チェコが中国を離れ、台湾支持に転換した一方で、親中・親露路線まっしぐらのハンガリーがあります。こうした近隣諸国の動向の影響を受けやすいのではないかとみられるのがイタリアです。私は世界の各国家の品格を見定めるために、リーダーの姿勢を観察し、分析することが役立つと考えています。将来、旅行をするのであれば、過去の伝統よりも、現時点でのその国の品格を参考にしたいとさえ思うようになりました。

 


È in questo senso che dobbiamo leggere il tweet di Donald Trump, allora? “Rispetto al suo primo governo, il Conte-bis sarà perfettamente europeista. Per gli Stati Uniti, l’ipotesi di uno slittamento verso modelli illiberali, alla Putin, alla Orbán, non è mai stati una buona notizia, proprio perché rendono precaria la nostra appartenenza atlantista. In quest’ottica, il tweet di Trump non è più tanto sorprendente”.

 

ドナルド・トランプ氏のツイートはこう読むべきなのだろうか。「彼の最初の政権に比べれば、第二次コンテ政権は完全に親欧的な存在になることでしょう。米国にとって、非自由主義モデルへのシフト、プーチンへのシフト、オルバーン(註)へのシフトという仮説は、決して良いニュースではありませんでした。この点から見ても、トランプ氏のツイートはもはやそれほど驚くべきものではありません。」

 

註:オルバーン・ヴィクトル(Orbán Viktor)

ハンガリーの政治家。1998年から2002年まで首相を務め、2010年5月から再び首相を務めている。2014年に「国を成功させるのはおそらく民主主義ではない。成功者はシンガポール、中国、ロシアなどだからだ」と語り、国家による統制を重視する中ロに接近している。 「東方開放政策」として中国との関係を重視して他の中東欧諸国(後に非旧共産圏のギリシャも参加する)とともに16プラス1を首都ブダペストで2012年より立ち上げており、イスラム教徒の移民に極めて敵対的なのに対して中国人富裕層の移住は歓迎している二重基準を指摘されている。ハンガリーとギリシャを結ぶブダペスト・ベオグラード・スコピエ・アテネ鉄道の建設を中国の援助で推し進め、一帯一路に賛同してハンガリーをアジアインフラ投資銀行(AIIB)に加盟させ、一帯一路国際協力サミットフォーラム(英語版)にも出席している。補助金配分をめぐってEUに対して「資金を出せないなら、中国に頼る」と発言しており、中国政府の人権弾圧や南シナ海での立場に抗議したEUの書簡や声明をギリシャとともに拒否もしている。

 

 

Ma questa non è l’unica lettura possibile. Un ricercatore Nato ascoltato da Wired, che ha preferito non veder specificato il suo nome, sostiene che il tweet di Trump non abbia altri significati se non quello di un gesto di buona educazione tra governi di paesi alleati: una semplice prassi, insomma. “Considerando gli endorsement precedenti, quelli di altri capi di stato e di governo partecipanti al G7, Trump aveva solo da guadagnarci seguendo il loro esempio. Il 27 agosto era ormai evidente che c’era un accordo per il Conte-bis. Quindi, come da consuetudine, ci si congratula e si fanno gli auguri di buon lavoro. Sarebbe stato così anche se al posto di ‘Giuseppi’ ci fosse stato Di Maio o Salvini”.

 

しかし、これだけでは読み取れない。彼の名前を指定することを好まないワイアードによって聞いた生まれた研究者は、トランプ氏のツイートは、同盟国の政府間のマナーのジェスチャー以外の意味を持っていないと主張している:要するに、単純な練習だ。「これまでのお墨付きを考えれば、G7に参加している他の国家元首や政府の元首たちも、トランプ氏が彼らの手本に従うことでしか得られないものがあった。8月27日までに、第二次コンテ政権の合意があったことが明らかになった。そのため、慣例通りの祝辞と労いの言葉ということになる。ジュゼッぺではなく、ディマイオやサルビーニだったとしても、同じことだっただろう。」:単純な練習、インソマム。「これまでのお墨付きを考えれば、G7に参加している他の国家元首や政府の元首たちも、トランプ氏は彼らの手本に従うことでしか得られないものがあった。8月27日までに、第二次コンテ内閣の合意があったことが明らかになった。なので、慣例通り、おめでたいこと、お疲れ様でしたということになります。ジュゼッぺ」の代わりに「ディマイオ」や「サルビーニ」があってもそうだっただろう。

 

 

Però ha suggellato il patto, di fatto: dopo le parole di Trump non si sarebbe più potuto mettere in discussione il nome di Conte. “Sicuramente dopo un tweet del genere non si può tornare indietro su chi sarà a guidare la nuova alleanza”.

 

しかし、彼は取引を封印した:トランプの言葉の後、コンテの名前はもはや疑われることができなかった。「確かに、そのようなツイートの後では、誰が新しい同盟をリードするのかの議論に後戻りすることはできない。」

 

 

Al ricercatore abbiamo chiesto anche come sono i rapporti personali tra l’ex premier – e contemporaneamente futuro premier, a questo punto – italiano, e il presidente Trump. “Credo che sia il rapporto di Conte con Trump che quello di Salvini con Trump da queste parti siano ingigantiti e sopravvalutati. Un esempio: al G7 Trump insisteva per la riammissione di Vladimir Putin al vertice dei grandi della terra. Su questo punto si sono schierati tutti contro di lui: Merkel, Macron, ma anche il cosiddetto “Trump inglese”, Boris Johnson. A dare man forte a Trump c’era solo il nostro Conte. Nonostante questo, Conte è stato l’unico tra i leader presenti a non avere un vero e proprio meeting a due con Trump a Biarritz”. L’intesa transatlantica, quindi, andrebbe presa con le pinze: è vero che Trump ha scelto di esporsi – una scelta precisa, nonostante il carattere fumantino del personaggio – ma è anche vero che i giochi non sono ancora fatti.

 

また、イタリアの前首相と現時点では未来の首相とトランプ大統領との間の個人的な人間関係はどのようになっているのか調査員に聞いてみた。「私は、コンテのトランプ大統領との関係も、サルビーニとトランプ大統領との関係も、どちらも大げさで過大評価されていると思っています。一例としては、G7でトランプ氏はウラジーミル・プーチン氏を地球上の偉人のトップに再登板させることを主張しました。この点で、メルケル、マクロンだけでなく、いわゆる 『英国のトランプ』ことボリスジョンソン、彼らのすべてがトランプに反対しました。わが国のコンテは、トランプに助けの手を与える唯一の人物でした。にもかかわらず、コンテは出席指導者の中では、ビアリッツでのトランプ氏との実質的な一対一の会談をしていない唯一の存在でした。」大西洋横断協定は、したがって、ピンセットでつまみ取る必要がある。つまり、トランプ氏が自分自身を公開することを選択したことは事実だ。 - 煙に巻くような性格であるにもかかわらず正確な選択であるが、 それはまだ試合が始まっていないことも事実である。

 

 

Non sarà che in Italia abbiamo sovrastimato le capacità diplomatiche di Conte? “Qualche merito ce l’ha: è arrivato lì come cavallo zoppo, da premier sfiduciato. Ora è di nuovo in sella, è logico che si rafforzino i rapporti con lui”, spiega il nostro interlocutore.

 

イタリアではコンテの外交手腕を過大評価していたのだろうか?「彼にはいくつかの強みがあります。彼が戻ってきた今となっては、彼との関係を強化するのは理にかなっている」と我々の対談相手は説明している。

 

 

Ma torniamo a Salvini, e soprattutto al Salvini che – prospettata l’ipotesi di un’alleanza tra il Movimento e il Pd – minacciava una qualche reazione da parte di Washington. Dobbiamo pensare che stesse bluffando? “Mi sembra ovvio che Salvini provasse a utilizzare quella carta a livello interno. Tutti sanno che i rapporti tra gli Stati Uniti e il presidente della Repubblica italiano sono sempre molto forti. Ma non saprei dire se Salvini ci credesse veramente. Per gli Usa il leader leghista ha pur sempre fatto parte di un governo che ha approvato la Belt and Road Initiative, il memorandum con la Cina. Nell’esecutivo la Lega ha espresso un sottosegretario che ha vissuto dieci anni a Pechino”.

 

しかし、話をサルビーニに戻すと、サルビーニは何よりも-運動とPDの間の同盟の仮説-ワシントンからの何らかの反応を脅していた。我々は彼がハッタリをかましていたと考えるべきだろうか?「サルヴィーニは内部でそのカードを使おうとしていたのは明らかだ。アメリカとイタリア共和国大統領の関係は常に非常に強いことは誰もが知っている。しかし、サルヴィーニが本当にそれを信じていたのかどうかは、私にはわからなかった。米国にとって、連盟の指導者は常に一帯一路構想や中国との覚書を承認してきた政府の一員なのである。執行部では、この連盟とは北京で10年住んでいた次官を表わしている。」

 

 

Sì, ma era proprio l’esecutivo guidato da Giuseppe Conte, non dimentichiamocelo. Così torniamo all’inizio, e chiudiamo con le parole della nostra fonte: “Esatto. Però, ad esempio, nel 2005 Carlo Azeglio Ciampi diceva che bisognava togliere l’embargo alla Cina per poter vendere armi: ed era Ciampi. Non fece scandalo perché, è sempre accaduto, la politica estera italiana cambia poco tra un governo e l’altro. Al di là delle sfumature, la politica internazionale dell’Italia è sostanzialmente stabile. Dopotutto non dimentichiamoci che anche nel governo del “cambiamento” agli Esteri c’era Enzo Moavero Milanesi”. Tutto cambia perché nulla cambi, insomma: tutto molto italiano.

 

しかし、それはジュゼッペ・コンテ率いる幹部の仕業であることを忘れてはならない。では、最初に戻って、情報源の言葉で締めくくることにしよう。「まさにその通り。しかし、例えば、2005年にカルロ・アゼリオ・チャンピは、武器を売るためには対中禁輸を解除しなければならないと発言した:それこそがチャンピだったのだ。彼がスキャンダルを起こさなかったのは、イタリアの外交政策が一つの政権と次の政権の間でほとんど変わらなかったからである。ニュアンスを超えて、イタリアの国際政策は実質的に安定している。結局のところ、外交への「変化」の政府であってもエンツォ・モアヴェロ・ミラネシがいたということを忘れてはいけない。要するに、何も変わらないので、すべてが変わる:要するに、すべてが非常にイタリア的なのである。

9月11日(金)

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新型コロナウイルスのワクチン開発は、各国が実用化を急ぐ中、過去に例のないスピードで進められていて、専門家からは、安全性を十分検証するよう求める声が出ている。


英製薬大手アストラゼネカ社の報道担当者はその後、英国の参加者1人に疾患を認めたが、世界全体の治験を中断すると説明した。厚生労働省によると、会社側からは、イギリスで実施している臨床試験で、ワクチンを接種した1人に重い症状が確認されたと9日、報告を受けたということである。接種との因果関係は不明で、具体的な症状については調査中と説明を受けたという。具体的にどのような症状が出たのかなど詳細は明らかにしていないが、安全性に関するデータを検証するためだとしている。声明は、「独立した委員会が、安全性のデータを検証するためだ」としたうえで、「大規模な臨床試験では、試験の参加者に何らかの症状が出ることがあり、独立した検証を行う必要がある」としています。

 

アストラゼネカの報道担当者は取材に「独立委員会が安全性のデータを調べるため、ワクチン投与を自発的に中断した」と説明。「原因不明の病気の可能性があれば、治験の中断は通常の対応だ」「大規模な試験では思いがけない病気が発生するものだが、注意深く調べるため、個別に審査しなければならない」などとしている。副反応の詳細や、治験の中断がどのくらい続くかは明らかではない。

 

 

<厚労省の見解>

厚生労働省は「症状が出た場合に安全性などを調査するのはワクチンに限らず臨床試験では一般的に行われることだ。安全対策などを詳しく検証したうえで再開の可否を判断してもらう必要がある」としている。厚生労働省は「臨床試験が最終段階で中断されるのは決して珍しいことではない。中止ではなくあくまで中断なので、現時点で日本のワクチンの確保に影響があるとは考えていない」としている。

 

 

<専門家の見解>

 

 中山哲夫特任教授(北里大学)

「ワクチン開発で安全性の確認は欠かせない。第3段階の臨床試験では対象となる人数も増えて何が起こるか分からないので、望ましくない反応が起きたときは、しっかり検証することが大切だ」と話している。

 


 石井健教授(東京大学医科学研究所)
アストラゼネカが新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験を一時的に中断したことについて、「どのような事情で止まったのか分からないが、臨床試験が止まることは時々あることで、一喜一憂すべきではない。ワクチンは一度打つと、元には戻らない免疫反応を起こすので、安全性に問題があってはいけない。しっかり安全性を見るのがワクチンの臨床試験の基本で、有害事象が起きて止まること自体は何ら問題ないし、止めないで進めてしまうほうがリスクが高い」と話している。

 

そして「最終段階にあたる第3相の臨床試験は、数か月ではなく、何年も続くことが普通で、オリンピックやアメリカの大統領選挙までに終わらせないといけないという政治的な圧力がかかる事態のほうがリスクだ。このプレッシャーの中でしっかり止めて様子を見る決断をしたのは正しい判断だと思う」と述べて、中断した判断を評価した。

 

 

ワクチン開発の今後の見通しについて

 

<開発難しいが再開で成功したケース>

ワクチンは、かつて多くの命を奪った天然痘の撲滅に大きく貢献するなど、感染症対策には欠かせない大きな武器で、多くの病気について、感染や重症化を防ぐために接種が行われている。なお、臨床試験が一度中断したあと、再開されてワクチンの開発に成功したケースもある。

 

<成功に至らなかったケース>

ワクチンは、健康な人に接種することから、安全性と有効性の評価が厳密に行われていて、臨床試験の段階で副作用が指摘されるなどして、実現していないものもある。

 

発熱やせきなどかぜに似た症状が出て、乳幼児に肺炎などを引き起こす「RSウイルス感染症」に対するワクチンの開発では、1960年代に行われた臨床試験で接種した人の症状が悪化し、死に至ったケースもあった。

 

また、エイズを引き起こすウイルス、HIVに対するワクチンも1980年代以降、複数の臨床試験が行われ、中には、最終の第3段階まで進んだものもあったが、感染を防ぐ効果が十分確認されずこれまでに有効性が確認されたワクチンは実現していない。

 

さらに、ワクチンによっては、接種でできた抗体がかえってウイルスの感染や増殖を促すなどして、症状を悪化させてしまう「ADE」という現象が起きることもあり、SARSのワクチンを開発する中では、動物実験でADEが見られた。

 

 

杉並国際クリニックの見解

各国がワクチン開発に急ピッチで取り組んでいます。通常、ワクチンの開発には何年もかけて効果と安全性の検証を行います。今回のワクチンは世界中で臨床試験に入っており、信じられないスピードです。日本でもいろいろハードルを下げ短期決戦で挑んでいますが、安全性の担保とのせめぎ合いでもあります。特に日本では、東京五輪に向けワクチン開発を急ぐあまり、国民の安全を犠牲にしてはならないと考えます。

 

そもそも、ワクチンとは発症や重症化を予防するために投与する、弱毒化または無毒化した抗原のことです。あらかじめ投与して病原体に対する抗体を獲得しておき病原体が侵入してきても感染あるいは重症化を抑えられるという仕組みです。
しかし、現実の問題としては、抗体依存性感染増強(ADE)という現象が重大な問題となる可能性があることを指摘しておく必要があります。これは、皮肉なことに、ワクチン接種でもたらされる重症化という副反応です。

 

本来はウイルスから体を守るはずの抗体が逆に細胞への感染を促進し、重症化を引き起こしてしまう現象です。同じコロナウイルスが病原体のSARSやMERSでは、ワクチンの動物実験でADEが確認され、ワクチン開発は断念されたという経緯も十分参考にすべきであると考えています。

 

病気の治療薬とは違って、ワクチンは“健康な人”に打つ点も十分に考慮されるべきポイントです。 ワクチンを打ったにもかかわらず、ウイルスに感染して、より重症化するということが起きたのです」ADEのメカニズムはまだ不明だが、今回の新型コロナウイルスのワクチンの実用化に向けても、ADEが懸念されていました。

 

今後、新型コロナワクチンが開発されれば、高齢者や基礎疾患のある人から無償での投与が始まるでしょう。効果的で安全なワクチンなら良いのですが、有害なワクチンを使ってかえって健康を害するということだけは避けなくてはなりません。
したがって、杉並国際クリニックは、無償の新型コロナワクチンが入手可能になっても早期に実施することに対しては賛成しかねます。当クリニックにおいて実施する予定はありません。

9月11日(金)
第2週:感染症・アレルギー・膠原病  

 

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医師国家試験の課題症例と実務臨床との最も大きな相違点は、まず、試験問題の多くが診断・治療に必要なデータが最初から準備されているということです。その課題症例をみて、それが外来診療のみによるものなのだったのか、入院を要するものだったか、については凡その検討はつきます。そして、外来診療であれば、そのデータが集積するまでに要した受診回数がどの位であったかも予想することはベテランの臨床医であれば、見積ることもあるていどまでは可能だと思います。

 

次に大切なことは、医師免許を取得して、臨床研修を経て、保険医登録されたのちに、改めて直面する現実があります。それは複雑な保険診療のシステムと実施可能な診療の厳格な枠組みに拘束されるということです。

 

❶ 70歳の女性。

 

❷ 発熱と頸部のしこりを主訴に来院した。

 

❸ 8年前に関節リウマチと診断され、

 

❹ プレドニゾロン、メトトレキサート及びNSAIDによる治療を継続している。

 

❺ 1年前から誘因なく発熱が持続するため受診した。

 

❻ 身長155㎝、体重43㎏。

 

❼ 体温38.4℃。脈拍104/分、整。血圧120/80㎜Hg。呼吸数20/分。

 

❽ 口蓋扁桃の腫大を認めない。

 

❾ 両頸部と両腋窩に径2㎝の圧痛を伴わないリンパ節を1個ずつ蝕知する。

 

❿ 心音と呼吸音とに異常を認めない。

 

⓫ 腹部は平坦、軟で、肝・脾を蝕知しない。

 

⓬ 関節に腫脹と圧痛とを認めない。

 

⓭ 血液所見:赤血球315万、Hb10.2g/dL,Ht32%,白血球2,800(桿状核好中球36%、
分葉核好中球44%、好酸球2%、好塩基球1%、単球8%、リンパ球9%)、
血小板12万。

 

⓮ 血液生化学所見:総蛋白6.6g/dL,アルブミン3.3g/dL, AST 35U/L, ALT23U/L, LD780U/L(基準120~245)。

 

⓯ 免疫血清学所見:CRP2.2㎎/dL, 抗核抗体陰性,
可溶性IL-2受容体952U/mL(基準157~474),
結核菌特異的全血インターフェロンγ遊離測定法〈IGRA〉陰性。

 

⓰ 造影CT:縦隔・腸間膜に多発性のリンパ腫大を認める。

 

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<再診Step2> 

本日検討する検査は、⓯ 免疫血清学検査(特に、可溶性IL-2受容体、結核菌特異的全血インターフェロンγ遊離測定法〈IGRA〉)、⓰ 造影CT検査等は、概して、保険診療実務上は、初診時に実施できるものではありません。これらの検査を実施するための根拠となるための一定の医学的情報が集約されていなければなりません。

 

実際の臨床においては、保険診療という制限医療の中で、実施すべき必要不可欠な検査を段階的に実施していかざるを得ないのです。なぜならば、人間ドックのような網羅的な検査を実施することは、保険診療では認められていないからなのです。もっとも、標準的な健診や人間ドックの検査項目のメニューでは、「帯に短し襷に長し」ということもしばしばです。

 

⓯ 免疫血清学所見:CRP2.2㎎/dL, 抗核抗体陰性,
可溶性IL-2受容体952U/mL(基準157~474),
結核菌特異的全血インターフェロンγ遊離測定法〈IGRA〉陰性。

 

  ⇒ CRP2.2㎎/dLは、明らかな炎症所見があることを示します。❷ 発熱 ❼ 体温38.4℃などの症状に関連します。

 

  ⇒ 抗核抗体は、あくまで膠原病の指標の1つと考えてよいでしょう。また膠原病以外にも、慢性肝炎や悪性腫瘍の患者さんで抗核抗体が陽性になる場合があります。抗核抗体が陰性である場合は、膠原病である可能性が低いことを示唆します。

 

  ⇒ 可溶性インターロイキン 2 受容体(sIL-2R)が上昇する疾患は種々の疾患で認められます。特にsIL-2R が 2,000 IU/L 以上の場合は、悪性リンパ腫を念頭に置いて精査をする必要があります。この症例ではsIL-2R が 1,000 IU/L 以下ですが、リンパ性疾患が背景にあることは否定できません。白血病が疑われたら骨髄検査を施行し、リンパ腫が疑われたらリンパ節生検を行います。

 

⇒ 結核菌特異的全血インターフェロンγ遊離測定法〈IGRA〉陰性。   

陰性の結果は、結核の既往が無いことを示唆します。インターフェロンγ遊離試験(interferon-gamma release assay: IGRA)はツベルクリン反応と違い、BCGおよびM. kansasii,M. szulgai,M. marinumを除くほとんどの非結核性抗酸菌の影響を受けない優れた特長をもち、接触者健康診断(以下,接触者健診)をはじめとして結核の感染診断に広く使われています。免疫抑制剤を使用している患者では免疫力低下のために結核に罹患したり、再活性化したりすることがあるため、当該症例では必要な検査の一つです。

 

⓰ 造影CT:縦隔・腸間膜に多発性のリンパ腫大を認める。
  ⇒ リンパ球の増殖亢進と活性化を示唆します。癌などの転移が疑われた場合は、消化管内視鏡、CT、超音波、腫瘍マーカーなどで原発巣を検討します。この症例では、造影CTによって、縦隔・腸間膜にも多発性のリンパ腫大を認めたことから、悪性リンパ腫等を念頭においた精査が必要です。

 

 

 このあたりで、国家試験問題の問いに戻ってみたいと思います。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 まず行うべき対応はどれか。

 

 a NSAIDの中止 b JAK阻害薬の追加 c 抗TNF-α抗体の追加 

 

d プレドニゾロンの中止 e メトトレキサートの中止


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「まず」「行うべき対応」を問うています。 

ここで、「まず行うべき治療」という通常の問いではないことがポイントになります。


治療が問われる場合には、その前提として、一定程度の診断の見通し(「見立て」)がついていることが前提となります。ただし、実際の臨床の現場では、必ずしも確定診断に至らない段階で、何らかの「手当て」をすることが必要になるケースが少なくありません。医学的な「対応」とは「手当て」や「治療」ばかりでなく「検査」等、すべての医療行動を含むものと解することができます。

 

この症例に関しても、凡その「見立て」はついていますが、リンパ節生検などの確定診断には至っていない段階です。それから、(確定)診断⇒治療というのが理想的な医療の手続きの流れですが、実際にはなかなかその通りに実行することが困難なケースが多いです。その場合は、(おおよその)「見立て」⇒(とりあえずの)「手当て」が行われます。このような場合に際して、最初に行う「手当て」は治療でありながら、診断的な意味を持つことがあります。これを「治療的診断」と呼ぶことがあります。

 

問題文中で、「まず」考慮すべき「対応」が問われるときには、この「治療的診断」として役に立つ、なるべく安全で有害な結果を及ぼしにくい方法が選択されます。それを侵襲性の小さい治療と呼ぶことがあります。また、場合によっては、消極的な治療といって、治療強度を減免したり、中止したりすることもあり、こうした介入方法も「考慮すべき治療」の選択肢になり得ます。

 

逆に、身体に強い作用をもたらし、一定程度以上の有害作用をも覚悟しなければならない方法を侵襲性の強い治療と呼びます。そして、よほどの緊急性が伴わない限り、侵襲性の強い治療方法を最初に選択することはありません。また、治療には積極的な治癒を目的とする治療(「キュア」)と、緩和ケアのように、完治は望めないが可能な限りQOLを維持するための対応(「ケア」)とに分けて考えることが必要になる場合もあります。

 

上記の5つの治療方法のうち、積極的な治癒を目指す治療法は、 b JAK阻害薬の追加 およびc 抗TNF-α抗体の追加 です。これらの治療は、診断を確定して、本格的かつ積極的な治療を開始すべきかどうか、その際には治療適応があるかどうかを見極めてから選択されるべき「対応」です。

 

 b JAK阻害薬の追加 ⇒ 免疫抑制薬であり、既存治療で効果不十分な関節リウ マチ、中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入及び維持療法で使用されます。メトトレキサートを中心とするDMARDsでは十分な治療コントロールが得られない関節リウマチの治療の選択肢となります。リンパ球数500/㎜³未満では禁忌であるため、当該症例は顕著なリンパ球減少症(⓭ リンパ球数252/㎜³)であるため使用することはできません。

 

 c 抗TNF-α抗体の追加 ⇒生物学的製剤の一つであるTNFα阻害薬です。既存の治療で効果不十分な関節リウマチ等が適応ですが、当該症例の関節リウマチの自体の治療効果は認められると見られます。したがって、JAK阻害薬と同様に「まず」「行うべき対応」ではありません。むしろMTXと同様に薬剤誘発性リンパ増殖性疾患(LDP)を来すことがあり、厳重な注意を要します。

 

これらに対して、 a NSAIDの中止、d プレドニゾロンの中止 e メトトレキサートの中止 これらは、いずれも関節リウマチ治療薬の中止を試みるという消極的な治療であり、また一種の「手当て」ということができる「対応」です。確定診断が得られていない段階では、「まず」行ってみる対応の候補になり得ます。

 

 

 a NSAIDの中止 ⇒ 非ステロイド抗炎症薬です。関節炎症状が安定していて、疼痛がコントロールできている状況であれば中止することは可能です。しかし、本剤の中止することによるリンパ球の増殖抑制は期待できないこと、発熱に伴う疼痛を緩和している可能性もあることを考慮すると、「まず」行ってみる対応ではありません。

 

 d プレドニゾロンの中止 ⇒ 副腎皮質ステロイドです。この薬剤は、免疫抑制作用を有する治療薬であるため、関節リウマチの治療初期にメトトレキサート等の抗リウマチ薬に加えて 「短期間のみ少量を追加してもよい」とされています。本問の症例は70歳の女性であり、閉経後の骨粗鬆症に加えてステロイド骨粗鬆症を来している可能性が高いため、可能であれば中止すべきではあります。しかし、NSAIDと同様にプレドニゾロンを中止しても、リンパ球の増殖を抑制することは期待できません。

 

 e メトトレキサートの中止 ⇒ メトトレキサート(MTX)によるリンパ増殖性疾患(LDP)が疑われる場合、最初に行うべき対応は、MTXの中止です。これによって、半数近くでリンパ節腫大が短期間に退縮することが知られています。
なお、MTX中止によってリンパ節腫脹が改善すればMTX関連LDPとすることができます。

 

(まとめ)

LDPの組織型は、通常の悪性リンパ腫に準じ、びまん性大細胞型細胞リンパ腫に類似するものが多いです。その多くに活性化したEBウイルスが検出され、EBウイルス感染との関連が指摘されています。また、LDPはMTXのみならず、生物学的製剤、カルシニューリン阻害薬、JAK阻害薬でもLDPを起こすことがあります。

 

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アクセス

 

 

路線バス(小田急バス、京王バス)
 

三鷹駅、吉祥寺駅、調布駅、武蔵境駅、仙川駅からお越しの方
 

バス停「三鷹市役所前」または、「三鷹農協前」下車徒歩5分

 

 

駐車場が無料で利用できます。

 

 

 

9月10日(木)
私が予想していたことが実際に発生してしまいました!


 

ワクチンの治験で参加者に重篤な反応を引き起こすことを避けるために定められた、標準的な手順とされるが、安全性のデータを確認する間、投与を中止するとしている。

 

現在まで、世界保健機関(WHO)によると開発中の新型コロナのワクチン候補は約180あり、うち34が臨床試験(治験)段階にある。8月にはロシアが、最終の大規模治験を経ないまま「世界で初めて承認した」と発表。当時は初期試験のデータも公表されておらず、批判を受けた。

 

英製薬大手アストラゼネカは、開発競争の先頭を走っているとされるが「開発のスケジュールへの影響を最小限にとどめつつ、試験の参加者の安全にも十分配慮する」としている。新型コロナウイルスのワクチン開発は中国やアメリカなど各国で続けられているが、アストラゼネカとオックスフォード大学が開発中のワクチンは、その中でも最も進んでいるものの1つであった。

 

 

(CNN) 新型コロナウイルスワクチンの臨床試験(治験)を進めていた英製薬大手アストラゼネカは8日の声明で、治験は進んでいるが、治験参加者の一人に原因不明とみられる深刻な副反応(副作用)の疑いが確認されたという。そこでイギリスやアメリカで行っているワクチンのヒトでの安全性や有効性を確かめるために最終段階の臨床試験(治験)を一時的に中断したことを明らかにした。同社はオックスフォード大学と共同で新型コロナウイルスワクチンの開発を手掛け、英国や米国、ブラジル、南アフリカなど世界各地で治験を行ってきている。

 

 

<日本での臨床試験も中断>

アストラゼネカは、新型コロナウイルスのワクチンの開発に向けて日本でも先月下旬から臨床試験を始めている。アストラゼネカによると、国内の複数の施設で、18歳以上のおよそ250人を対象に臨床試験を行う計画で、ワクチンを接種した人と接種していない人を比較して安全性や有効性を検証する。しかし、同社の日本法人の広報担当者は、日本で行っていた臨床試験も、安全性を確認するために中断されたと説明した。

 

 

<日本政府とアストラゼネカとのワクチンめぐる経緯>

新型コロナウイルスのワクチンについて、政府は、来年前半までにすべての国民が接種できる量を確保する方針を打ち出している。そのため、欧米の複数の製薬会社との間で、開発に成功した場合、来年以降、ワクチンの供給を受ける方向で交渉を進めている。「アストラゼネカ」とは、先月、少なくとも6000万人分の供給を受けることで基本合意し、このうち1500万人分については来年3月までの供給を目指すことになっていた。日本政府は、アストラゼネカが開発に成功した場合、来年初めから1億2000万回分、2回接種で6000万人分の供給を受けることで基本合意している。

 

 

<菅義偉 官房長官の発表>

菅官房長官は、9日午後の記者会見で、厚生労働省がアストラゼネカ社に確認したところ、事案の詳細を調査するまでの間、日本国内を含めた「新たな投与を一時的に中断するとの説明があったことを明らかにした。

そのうえで、「ワクチンについては、来年前半までに全国民に提供できる数量を確保することを目指して、わが国で承認申請があった場合は治験のデータと最新の科学的知見に基づき、有効性と安全性の確保の観点から、承認の可否について適切に審査していく」と述べた。

 

 

<アストラゼネカを含む欧米製薬会社9社の共同声明>

新型コロナのワクチン開発で最終の大規模臨床試験(治験)を始めた英アストラゼネカや米モデルナ、米ファイザーなど9社は8日、「安全性を示す十分なデータがそろうまで当局の承認を求めないとする異例の共同声明を出している。米食品医薬品局(FDA)などの専門規制当局のガイダンスに基づいて安全性と効果が証明される必要があると強調。

「安全性と接種者の健康を常に最優先にする」「臨床試験や製造過程では高い科学的・倫理的水準に従う」などと宣言した。この宣言で「厳格な科学的、規制的プロセスに対する信頼を確保できると信じている」としている。申請には安全性と効果の証明が必要だとした。

 

ワクチンは感染拡大を収束させる切り札として期待されるが、各国で開発競争が過熱しており、早期開発を求める政治的圧力をかわし、政治の思惑で承認プロセスがゆがめられるとの懸念を打ち消す狙いがある。実際に、米国でも、再選を目指す大統領選を11月に控えるトランプ大統領が、選挙前のワクチン実用化をたびたび示唆しており、政治的な思惑で承認プロセスがゆがめられかねないと、懸念の声が上がっている。

 

声明によれば、大規模な治験では参加者に偶然、疾患が発生することもあるが、こうした症例を取り出して注意深く調べる必要がある。治験の日程に及ぼす影響を最小限に抑えるため、迅速に調査を進めるという。

9月10日(木)
第2週:感染症・アレルギー・膠原病  

 

前回はこちら



❶ 70歳の女性。

 

❷ 発熱と頸部のしこりを主訴に来院した。

 

❸ 8年前に関節リウマチと診断され、

 

❹ プレドニゾロン、メトトレキサート及びNSAIDによる治療を継続している。

 

❺ 1年前から誘因なく発熱が持続するため受診した。

 

❻ 身長155㎝、体重43㎏。

 

❼ 体温38.4℃。脈拍104/分、整。血圧120/80㎜Hg。呼吸数20/分。

 

❽ 口蓋扁桃の腫大を認めない。

 

❾ 両頸部と両腋窩に径2㎝の圧痛を伴わないリンパ節を1個ずつ蝕知する。

 

❿ 心音と呼吸音とに異常を認めない。

 

⓫ 腹部は平坦、軟で、肝・脾を蝕知しない。

 

⓬ 関節に腫脹と圧痛とを認めない。

 

⓭ 血液所見:赤血球315万、Hb10.2g/dL,Ht32%,白血球2,800(桿状核好中球36%、分葉核好中球44%、好酸球2%、好塩基球1%、単球8%、リンパ球9%)、血小板12万。


⓮ 血液生化学所見:総蛋白6.6g/dL,アルブミン3.3g/dL, AST 35U/L, ALT23U/L, LD780U/L(基準120~245)。
⓯ 免疫血清学所見:CRP2.2㎎/dL, 抗核抗体陰性,
可溶性IL-2受容体952U/mL(基準157~474),
結核菌特異的全血インターフェロンγ遊離測定法〈IGRA〉陰性。

 

⓰ 造影CT:縦隔・腸間膜に多発性のリンパ腫大を認める。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

<再診Step1>
リンパ節腫脹を認めた場合には、血液検査、胸部 X 線写真をまず行い、その結果で非腫瘍性疾患が疑われたら、ウイルス抗体価、自己抗体、細菌学的検査などを行います。
 

今回は、血液検査の結果を検討してみます。

 

⓭ 血液所見:

 赤血球315万、Hb10.2g/dL、Ht32%
⇒Hb Hb10.2g/dL<12 g/dLゆえ、貧血を考えます。
 

平均赤血球容積(MCV)

=Ht(%)/ RBC(×104/μL)×1000
=32/315×1000

=101.6>100fL 

正~大球性

 

平均赤血球血色素濃度

(MHC)=Hb(g/dL)/ RBC(×104/μL)×1000
=10.2/315×1000

=32.4>32pg 

正~高色素性

 

 平均赤血球血色素量

(MCHC)=Hb(g/dL)/ Ht(%)×100
 =10.2/32×100
 =31.9(30~36%)

 

以上より、小球性低色素性貧血ではないため、典型的な貧血である鉄欠乏性貧血以外の貧血が存在します。

 

 

 白血球2,800(桿状核好中球36%、分葉核好中球44%、好酸球2%、好塩基球1%、単球8%、リンパ球9%)
⇒ 白血球2,800<4,000/μL 白血球減少症
 
          

好中球=桿状核好中球+分葉核好中球
=2,800×(0.36+0.44)
=2,240>1,500/μL
          

好中球数は比較的保たれていて、好中球減少症には至っていません。

          

リンパ球=2,800×0.09
=252<1,000/μL リンパ球減少症
          

単球=2,800×0.08
=224<500/μL 単球減少症
   

この症例は白血球減少症を呈しています。通常は循環血中の好中球数の減少を特徴としますが、リンパ球、単球、好酸球、または好塩基球の数の減少も一因となる場合がります。この症例では、好中球の減少はみられず、リンパ球減少症・単球減少症となっていることが特徴です。このような状態では、一般に免疫機能が低下します。

 

 

 血小板12万。

⇒血小板は1ミリ立方メートル中に、13万から37万個。基準値には大きな幅があり、個人差もあるので、上下一割前後は許容範囲と考えていいでしょう。

 

 

⓮ 血液生化学所見:総蛋白6.6g/dL,アルブミン3.3g/dL, AST 35U/L, ALT23U/L, LD780U/L(基準120~245)。
           

⇒LDとは?

LDは、かつてはLDH(Lactate dehydrogenase) と表記されていました。これは酵素の一種で、解糖系で生成するピルビン酸に作用して乳酸を生成する反応、肝臓で乳酸に作用して乳酸をピルビン酸に変換してグルコースに糖新生する反応を触媒する働きをもちます。LDHの増加がみられたとき、LDH/AST比をとってみると肝疾患の場合、この比が一般に6を越えず、しかも肝の炎症が強いほどこの比が低下します。これに対し、他の疾患ではLDH/AST比が10を越えることが多いです。たとえば心筋梗塞では10前後、悪性腫瘍では10以上、そして白血病や溶血性貧血では20~30以上の比を示します。
 

この症例のLDH/AST比は、780/35=22.3>10であるため、炎症性肝疾患や心筋梗塞などの可能性は低いです。それに対して悪性腫瘍、白血病や溶血性貧血などを疑いますが、他に以下のような疾患でも高LD血症を来します。

■多発性筋炎 ■筋ジストロフィー症■ 肺梗塞 ■肝癌、胆道癌 ■白血病 ■悪性貧血 

■急性腎不全 ■アルコール性肝障害 ■悪性リンパ腫 ■再生不良性貧血 
■甲状腺機能低下症 

 

高LDH血症の鑑別には、LDHアイソザイムの測定が有用です。

 

提示の症例は、関節リウマチ(RA)自体の疾患活動性は高くないにもかかわらず、発熱という炎症所見と頸部のしこりがみられる症例です。そしてRAの治療薬としてメトトレキサートが使われています。

 

(まとめ)

4〜6 週間以上持続しているリンパ節腫脹は生検の適応と考えられます。特に短期間で急速に増大し、発熱、盗汗などの全身症状を伴い、LDH の増加を認めたため、本来であれば、早急に生検が必要です。この他に、通常の問診より詳しい専門的な問診が必要です。ただし、関節リウマチではメトトレキサートなどの免疫抑制薬の使用しているため、血液所見が重要です。貧血と白血球減少症(リンパ球・単球減少症が主体)があるため悪性リンパ腫など細胞性免疫が抑制されている病態と考えます。

 

<参考>

日本リウマチ学会はRA患者の治療経過中に発生するリンパ増殖性疾患(LPD)の概念、診断、治療に関してリウマチ医、血液内科医、病理医が共通の認識をもって臨床の現場で対応できるためのコンセンサス作りを目的に、2017年1月9日に日本リウマチ学会、日本血液学会、日本病理学会の3学会の代表で合同意見交換会を持ちました。

 

3学会合意事項

 

1. 関節リウマチ(RA)治療中に発生するリンパ腫/リンパ増殖性疾患(RA-リンパ腫/LPD)の発症にはimmunnosuppression / immunodysfuction が背景にあり、その原因には、加齢あるいは免疫老化(immunosenscence)、RAの免疫異常や慢性炎症、遺伝的な要素に加えてMTXをはじめとする薬剤による免疫抑制がある。MTXを中止後に退縮する症例ではMTXの関与が疑われる。

杉並国際クリニックのコメント:

immunnosuppression / immunodysfuctionとは免疫抑制/免疫機能不全を意味します。リウマトレックス®(MTX)を中止してリンパ腫が退縮する場合は、MTXが関連するリンパ増殖であるといえますが、発症のきっかけが、関節リウマチそのものによるものか、MTXにより誘発されたものであるのかは不明です。

 

 

2. 現時点では、RA患者においてMTXを含む免疫抑制薬治療中にリンパ腫/リンパ増殖性疾患が発生した場合、医原性免疫不全関連リンパ増殖性疾患(iatrogenic immunodeficiency-associated LPD) あるいは免疫抑制薬関連リンパ増殖性疾患(immunosuppressive drug-associated LPD)と呼ぶことを推奨する。MTXや他の免疫抑制薬を中止しても退縮しない症例では、他の要因も関連している可能性がある。

 

 

3. RA-リンパ腫/LPDの危険因子や前兆、退縮する症例としない症例の違い[e.g. 年齢、RA疾患活動性、病理組織(DLBCL/Hodgkin)、病期や部位(節外臓器or 全身)、リンパ球数や骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)]は明らかでないが、リウマチ学会で行っている前向きコホート研究の結果に加え、基礎的な研究の推進、LPDを発症した症例の背景や予後の調査を継続的に3学会が協力して進めていく必要がある。

 

4. 今後の計画として、RA-リンパ腫/LPDの診断、治療に関して、全国のリウマチ医、血液内科医、病理医が共通の認識で対応できる3学会合同のステートメント/指針あるいはガイドラインを作成する。3学会意見交換会で合意した共通認識については、2017年日本リウマチ学会特別企画シンポジウムで発表する。中期的には、3学会の推薦メンバーで構成するワーキンググループを立ち上げ、1年をめどにガイドライン・指針・手引きを作成する。

 

2017年1月9日

一般社団法人日本リウマチ学会
一般社団法人日本血液学会
一般社団法人日本病理

9月9日(水)

 


Das ist ein schwerer Verstoß gegen internationales Recht
これは重大な国際法違反

 

06.09.2020 – Interview

2020.09.06 - インタビュー

 

 

Außenminister Heiko Maas im Interview mit der Bild am Sonntag.

 

Bild am Sonntagとのインタビューに応じたハイコ・マース外相。

 

 

Herr Außenminister, werden Sie Alexej Nawalny in der Charité besuchen?

 

外務大臣、あなたはアレクセイ・ナワルニーをシャリテに訪問されますか?

 

 

Wenn es sein Gesundheitszustand zulässt, würde ich Herrn Nawalny gern besuchen.

 

彼の健康状態が許すならば、私はナワルニー氏を訪問したいと思います。

 

 

Wie sicher sind Sie, dass der russische Staat hinter dem Giftanschlag steckt?

 

ロシア国家が毒攻撃の背後にいると確信していますか?

 

 

Es gibt dafür viele Indizien, deswegen ist jetzt die russische Seite gefordert. Wir haben hohe Erwartungen an die russische Regierung, dass sie dieses schwere Verbrechen aufklärt. Sollte sie nichts mit dem Anschlag zu tun haben, dann ist es in ihrem eigenen Interesse, das mit Fakten zu belegen.

 

証拠がたくさんあるので、あとはロシア側次第ですね。この重大な犯罪を解決するために、ロシア政府に期待しています。彼らが攻撃に関係ないのであれば、事実に基づいて裏付けることが彼らの利益になります。

 

 

Was für Indizien haben Sie?
どんな証拠がありますか?

 

 

Die tödliche Chemiewaffe, mit der Nawalny vergiftet wurde, befand sich in der Vergangenheit im Besitz russischer Stellen. Nowitschok ist nur einer sehr kleinen Gruppe von Menschen zugänglich. Und das Gift wurde von staatlichen Stellen bereits für den Anschlag auf den Ex-Agenten Sergej Skripal verwendet. Wenn sich die russische Seite nicht an der Aufklärung des Verbrechens an Herrn Nawalny beteiligt, wäre das ein weiteres Indiz für die Tatbeteiligung des Staates. Sollte es über Verschleierungen und Nebelkerzen nicht hinaus gehen, müssen wir davon ausgehen, dass Russland etwas zu verheimlichen hat.

 

ナバルニーを毒殺するために使用された致命的な化学兵器は、以前にロシア当局が所有していました。ノビチョクはごく一部の人しかアクセスできません。そして、その毒はすでに政府機関が元諜報員セルゲイ・スリッパルへの攻撃に使用しています。ロシア側がナワルニー氏に対する犯罪の捜査に参加しなければ、国家の関与をさらに示すことになります。隠蔽や煙っているロウソクを超えていないのであれば、ロシアには何か隠し事があると考えざるを得ません。

 

注意:

Sollte es über Verschleierungen und Nebelkerzen nicht hinaus gehen, müssen wir davon ausgehenの部分の訳出に苦労しました。

 この部分を英語に訳してから日本語にすると、以下のようになります。

 

Should it not go beyond cover-ups and smoke candles, we must assume that Russia has something to hide.

隠蔽や煙るロウソクを超えてはならないが、ロシアには何か隠し事があると考えざるを得ない。

 

 

 また、いったんフランス語に訳してから日本語にすると、以下のようになります。

 

Si elle ne va pas au-delà des voiles et des bougies de fumée, nous devons supposer que la Russie a quelque chose à cacher.

(疑惑に対する証拠が)ベールやロウソクを超えていないのであれば、ロシアには何か隠し事があると考えざるを得ない。

 

Russland behauptet, Nawalny sei auf russischem Boden noch nicht vergiftet gewesen.

ロシアは、ナワルニーはまだロシア国内で毒殺されていなかったと主張しています。

 

Das ist so absurd, dass ich es nicht weiter kommentiere.
これではあまりにも筋が通らないので、これ以上のコメントは控えます。

 

Sie wollen, dass der Hauptverdächtige die Tat aufklärt. Wie lange geben sie der russischen Regierung?

彼らが望んでいるのは、事件を解決するための第一容疑者です。ロシア政府にいつまで与えておくのですか?

 

Ultimaten helfen niemandem weiter. Aber: Wenn es in den nächsten Tagen auf der russischen Seite keine Beiträge zur Aufklärung gibt, werden wir mit unseren Partnern über eine Antwort beraten müssen. Dieser Anschlag ist mit einem international verbotenen tödlichen chemischen Kampfstoff begangen worden. Das ist ein schwerer Verstoß gegen internationales Recht. Deswegen hat die internationale Gemeinschaft so breit reagiert. Wir haben die OPCW, die die Einhaltung des Chemiewaffen-Abkommens überwacht, eingeschaltet.

最後通牒は誰の役にも立たちません。しかし:今後数日のうちにロシア側の調査への貢献がなければ、パートナーとの対応を協議しなければならなりません。この攻撃は国際的に禁止されている致死性化学物質で行われました。これは重大な国際法違反です。だからこそ、国際社会はこれほどまでに大々的に反応してきたのです。化学兵器禁止条約の遵守状況を監視するOPCW(註1)に通報しました。

 

註:

OPCWとは、化学兵器禁止機関の略です。これは1997年4月に発効した化学兵器禁止条約(Chemical Weapons Convention)に基づき設立された国際機関であり、1997年5月に本部がオランダのハーグ市に設置され、それ以降、世界的な化学兵器の全面禁止及び不拡散のための活動を行っています。

 

 

Muss jetzt die Bundesregierung das Pipelineprojekt Nordstream 2 stoppen, mit dem noch mehr russisches Gas direkt nach Deutschland fließen soll?

 

ドイツ政府は今、ロシアのガスをさらに多くドイツに直接持ち込むというノルドストリーム2パイプライン計画(註2)を止めなければならないのでしょうか。

 

註2:ノルドストリーム2パイプライン計画
ロシア産天然ガスをドイツに送るパイプライン「ノルドストリーム2」をめぐる米ロ、欧州の攻防が再び熱を帯びてきました。開発を主導するガスプロムが自前のパイプ敷設船をバルト海に回航し、工事を先に進める態勢を整えました。米国が同社に制裁を科すことがあれば、米ロの対立が深まるのみならず、欧州も窮地に陥ることになることが懸念されています。

 

 

Ich hoffe jedenfalls nicht, dass die Russen uns zwingen, unsere Haltung zu Nordstream 2 zu ändern. Und: Wer das fordert, muss sich der Konsequenzen bewusst sein. An Nordstream 2 sind mehr als 100 Unternehmen aus zwölf europäischen Ländern beteiligt, etwa die Hälfte davon aus Deutschland.

 

確かにロシアに無理やりノルドストリーム2の立場を変えさせられないことを祈ります。そして:これを要求する者は、その結果を自覚しなければなりません。ノルドストリーム 2には欧州12カ国から100社以上の企業が参加しており、そのうち約半数がドイツからの参加となっています。

 

 

War die Genehmigung von Nordstream 2 ein Fehler?
ノルドストリーム2の承認は間違いだったのですか?

 

 

Jedenfalls war die versuchte Ermordung von Herrn Nawalny nicht nur ein schwerer Fehler, sondern ein brutales Verbrechen. Die Debatte jetzt allein auf Nordstream 2 zu verengen, wird dem Fall nicht gerecht.

 

いずれにしても、ナワルニー氏の殺人未遂は重大な過ちであるだけでなく、残虐な犯罪でした。今の議論をノルドストリーム 2だけに狭めることは事例の正義を行うものではありません。

 

 

Putin kann also machen, was er will, ohne dass Deutschland ihm die Gasfreundschaft kündigt?

 

ドイツに招待を拒否されてもプーチンはやりたい放題なのですか?

 

 

Wir stimmen mit unseren Partnern ab, welche Reaktion angemessen ist. Am Ende wird es darauf ankommen, welche Antworten Moskau liefert. Klar ist: Wenn wir über Sanktionen nachdenken, sollten diese möglichst zielgenau wirken.

 

どのような反応が適切なのか、パートナーとの調整を行います。最終的には、モスクワがどのような答えを出すかにかかっています。一つはっきりしているのは、制裁を考えるときには、できるだけ的を射たものにすべきだということです。

 

 

Welche tun das denn? Nach dem Anschlag auf Skripal wurden nur ein paar russische Diplomaten aus Europa ausgewiesen.

 

それではどちらが行うのですか?スキップル攻撃の後、ロシアの外交官は数人だけ欧州から追放されました。

 

 

Dazu werden wir uns insbesondere in der EU abstimmen, sobald die russische Seite unsere Fragen beantwortet hat. Dieses heimtückische Verbrechen ist ein so schwerwiegender Verstoß gegen das internationale Chemiewaffen-Abkommen, dass es nicht ohne eine spürbare Reaktion bleiben kann.

 

これについては、特にEU内では、ロシア側が我々の質問に答えてくれればすぐに調整していきます。この陰湿な犯罪は、国際化学兵器禁止条約への重大な違反であり、具体的な対応なしには、このままではいられません。

 

 


Dürfen Alexej Nawalny und seine Frau dauerhaft in Deutschland bleiben?

アレクセイ・ナワルニー夫妻はドイツに永住できるのですか?

 

 

Wir haben Herrn Nawalny und seine Frau hier aus humanitären und medizinischen Gründen aufgenommen. Sie sind auch weiterhin eingeladen, unsere Gäste zu sein.

 

ナワルニーさんと奥さんを人道的・医学的な理由でここに入院させました。彼らはまだ我々のゲストとして招待されています。

 

 

In Belarus geht Diktator Lukaschenko nach der gefälschten Wahl weiter mit Gewalt gegen die Demonstranten vor. Was muss passieren?

 

ベラルーシでは、独裁者ルカシェンコが不正選挙の後、デモ隊に対して暴力を行使し続けています。何が起きなければならないのですか?

 

 

Lukaschenko muss endlich bereit sein zum Dialog. Ich fordere von Lukaschenko, dass er mit der Opposition verhandelt, dass die Wahl wiederholt wird, dass Lukaschenko sofort damit aufhört, friedliche Demonstranten einzusperren und zu misshandeln, dass er die Menschenrechte und die Pressefreiheit achtet. Wir erkennen als Europäische Union die Wahl nicht an und haben Sanktionen beschlossen. Diese setzen wir jetzt um. Wenn Lukaschenko nicht reagiert, wird es weitere Sanktionen geben.

 

ルカシェンコはようやく対話の準備ができたのではないでしょうか。私はルカシェンコが野党と交渉し、選挙を繰り返すこと、ルカシェンコが平和的なデモ隊を投獄したり虐待したりするのを直ちにやめること、人権と報道の自由を尊重することを要求します。欧州連合の私たちは選挙を認めず、制裁を決めています。現在実施しています。ルカシェンコが応じなければ、さらなる制裁が行われることになるでしょう。

 

 

Sie haben in dieser Woche den chinesischen Außenminister getroffen. Wie gefährlich ist China angesichts der Menschenrechtsverletzungen und dem Bekämpfen der Hongkonger Demokratiebewegung?

 

今週、あなたは中国の外相と会見しました。人権侵害や香港民主化運動との戦いを考えると、中国はどれだけ危険なのでしょうか?

 

 

Wir müssen Missstände deutlich ansprechen. Und das tun wir als EU auch. Die Zeiten, in denen China andere mit Bedrohungen überziehen und auf diese Art und Weise mundtot machen konnte, sind vorbei. Ich habe meinem chinesischen Kollegen bei unserem Treffen in dieser Woche klar gesagt, dass die Europäische Union souveräner und selbstbewusster auftreten wird - auch gegenüber China. Wir wollen ein gutes Verhältnis zu China, allerdings auf Augenhöhe und mit Respekt.

 

批判については、はっきりと語らなければなりません。EUとしての我々もそうです。中国が他人を脅迫で覆って黙らせることができた時代は終わりました。私は今週の会合で、中国の同僚に、欧州連合(EU)は中国との関係を含め、より大きな主権と自信を持って行動することを明確にしました。私たちは対等な立場で、敬意を持って、中国との良好な関係を望んでいます。

 

 

US-Präsident Donald Trump ruft seine Wähler zum doppelt Wählen per Brief und im Wahllokal und damit zum Wahlbetrug auf. Ist die Wahl gefährdet?

 

ドナルド・トランプ米大統領は、有権者に手紙と投票所での2度の投票を呼びかけており、選挙の不正行為を呼びかけています。選挙は危ういですか?

 

 

Wir haben den USA unglaublich viel zu verdanken und sie bleiben einer unser engsten Partner. Aber: Ja, es ist verstörend, dass ein amerikanischer Präsident glaubt, so etwas nötig zu haben. Ich setze auf die Vernunft und den gesunden Menschenverstand der Amerikaner, damit der ruchlose Versuch scheitert, Zweifel an der Gültigkeit der Wahl zu sähen, um später womöglich eine Wahlniederlage nicht zu akzeptieren.

 

私たちはアメリカに信じられないほどの借りがあり、彼らは私たちの最も身近なパートナーの一人であり続けています。しかし、アメリカの大統領がこのようなものを必要としていると考えるのは不穏なことです。私はアメリカ人の常識に頼っているので、選挙の正当性を疑う悪質な試みが失敗し、後になって彼が敗北を認めないようにしています。

 

Wie bewerten Sie die Proteste gegen Rassismus in den USA?

 

アメリカの人種差別に対する抗議をどう評価するのですか?

 

 

Gerade als Deutsche sollten wir zunächst mal unsere eigenen Probleme mit strukturellem Rechtsextremismus klären und nur sehr vorsichtig über Rassismus in anderen Ländern urteilen. Vielen Verantwortlichen aus beiden politischen Lagern in den USA ist es gelungen, die Rassismusprobleme, die es dort seit Jahren gibt, sehr klug zu benennen. Die Amerikaner erwarten zu Recht von ihrem Präsidenten, dass er kein Öl ins Feuer gießt, sondern die schwerwiegenden Konflikte in der amerikanischen Gesellschaft Stück für Stück auflöst. Leider ist jedoch zu befürchten, dass im Wahlkampf die Auseinandersetzungen weiter angeheizt werden. Es wird die große Aufgabe des nächsten Präsidenten, Amerika wieder zu versöhnen.

 

特にドイツ人としては、まず構造的な右翼過激主義の問題点を明確にし、他国の人種差別を非常に慎重に判断するにとどめるべきです。アメリカの両政治陣営の多くの責任者は、長年にわたってそこに存在してきた人種差別の問題を非常に巧妙に特定することに成功しています。アメリカ人は大統領が火に油を注ぐのではなく、アメリカ社会の深刻な対立を少しずつ解決していくことを期待しています。しかし、残念なことに、選挙戦が紛争をさらに煽ることが懸念されます。アメリカを再び和解させることは、次の大統領の大きな仕事になることでしょう。

 

 

Wie ungerecht sind die Reisewarnungen? Auf Mallorca gibt es nur in Palma sehr viel Corona-Infektionen, nicht aber im Rest der Insel.

 

旅行の注意書きはどれだけ不公平なのでしょうか?マヨルカ島ではコロナ感染症の多くがパルマのみであり、島の残りの部分ではありません。

 

 

Wer nach Mallorca will, muss in der Regel über Palma einreisen. Wir können nicht davon ausgehen, dass in den Urlaubsländern betroffene Orte hermetisch abgeriegelt werden und sich die Leute nur genau dort aufhalten, wo es gerade mal sehr wenige Infektionen gibt. Deshalb können die Reisewarnungen nur für ganze Regionen oder Länder ausgesprochen werden. Insofern ist das auch nicht ungerecht, sondern leider nötig. Wir reagieren immer gemeinsam mit den Urlaubsländern, die ja vor Ort selbst auch Corona-Maßnahmen ergreifen. Bis zu 40 Prozent der Neuinfektionen derzeit sind Touristen, die aus einem Auslandsurlaub zurückkommen.

 

マヨルカに行きたい人は通常パルマ経由で入る必要があります。休暇国では感染した場所が密閉されていて、感染症が非常に少ない場所にしか滞在できないとは考えられません。そのため、渡航警告は地域や国全体に対してしか発令できません。この点では、これは不公平ではありませんが、残念ながら必要なことです。現場でもコロナ対策をしている休暇国と一緒に常に反応しています。現在、新たな感染症の最大40%は、海外での休暇から戻ってきた観光客によって引き起こされています。

 

 

Interview: Angelika Hellemann und Thomas Block

インタビュー。アンジェリカ・ヘレマンとトーマス・ブロック

9月9日(水)
第2週:感染症・アレルギー・膠原病  

 

前回はこちら


 
   
関節リウマチの診断が確定している場合には、罹患関節の分布や疾患活動性の評価が必要となります。初診時においては直ちに全容を把握することは難しいこともありますが、おおよその治療コントロールの水準を推定することは可能です。


以下の❶から❼までの診療情報からは、発熱を除けば、関節の局所所見の情報が乏しいことから、関節リウマチの疾患活動性は高くなく、関節リウマチ自体の治療経過は良好であったことが推定されます。

 

❶ 70歳の女性。

 

❷ 発熱と頸部のしこりを主訴に来院した。

 

❸ 8年前に関節リウマチと診断され、

 

❹ プレドニゾロン、メトトレキサート及びNSAIDによる治療を継続している。

 

❺ 1年前から誘因なく発熱が持続するため受診した。

 

❻ 身長155㎝、体重43㎏。

 

❼ 体温38.4℃。脈拍104/分、整。血圧120/80㎜Hg。呼吸数20/分。

 

❽ 口蓋扁桃の腫大を認めない。

 

❾ 両頸部と両腋窩に径2㎝の圧痛を伴わないリンパ節を1個ずつ蝕知する。

 

❿ 心音と呼吸音とに異常を認めない。

 

⓫ 腹部は平坦、軟で、肝・脾を蝕知しない。

 

⓬ 関節に腫脹と圧痛とを認めない。

 

⓭ 血液所見:赤血球315万、Hb10.2g/dL,Ht32%,白血球2,800(桿状核好中球36%、分葉核好中球44%、好酸球2%、好塩基球1%、単球8%、リンパ球9%)、
血小板12万。

 

⓮ 血液生化学所見:総蛋白6.6g/dL,アルブミン3.3g/dL, AST 35U/L, ALT23U/L, LD780U/L(基準120~245)。

 

⓯ 免疫血清学所見:CRP2.2㎎/dL, 抗核抗体陰性,
可溶性IL-2受容体952U/mL(基準157~474),
結核菌特異的全血インターフェロンγ遊離測定法〈IGRA〉陰性。

 

⓰ 造影CT:縦隔・腸間膜に多発性のリンパ腫大を認める。

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

<初診Step3>

 

❽ 口蓋扁桃の腫大を認めない。

⇒細菌性扁桃炎などの感染症の可能性は高くないと考えられます。
扁桃炎により頸部リンパ節炎がもたらされ、また発熱の原因となることがあるため、それらを否定するために重要な診察所見です。

 

 

❾ 両頸部と両腋窩に径2㎝の圧痛を伴わないリンパ節を1個ずつ蝕知する。
⇒ 主訴❷の「頸部のしこり」はリンパ節であったこと、診察によって、頸部の他に腋窩にもリンパ節の主張が確認され、しかも両側であることから、局所の感染等によるリンパ節腫脹ではなく、全身性のリンパ節腫脹であることが示唆されます。

正常リンパ節の大きさは通常直径 1 cm 以下であり、これを超えるリンパ節はリンパ節腫脹と考えます。この症例のリンパ節は径2㎝ですから、明らかなリンパ節腫脹です。ただし成人では健常状態でも鼠径リンパ節の触知は可能(0.5〜 1.0 cm)であり、その他の部位でも過去の感染の既往などによりリンパ節を触知することがあります。そこで、リンパ節腫脹を認める主な疾患をまとめてみます。

 

 

■リンパ節腫脹を認める主な疾患

 

1.感染症

1)ウイルス性:伝染性単核症(Epstein-Barr virus),風疹,麻疹,流行性耳下腺炎、水痘,HIV 感染症,不特定のウイルス感染症

 

2)細菌性(ブドウ球菌などによる膿瘍形成)

 

3)結核性,梅毒,トキソプラズマなど

 

 

2.感染症以外による反応性

1)自己免疫疾患:全身性エリテマトーデス,関節リウマチ,Sjögren 症候群

 

2)その他:サルコイドーシス,薬剤性リンパ節症(phenytoin など),
皮膚病性リン パ節症,血清病,亜急性壊死性リンパ節炎

 


3.腫瘍性

1)リンパ節原発:Hodgkin リンパ腫,B 細胞リンパ腫,T/NK 細胞リンパ腫

 

2)リンパ節転移:癌腫(頭頸部癌,咽頭癌,乳癌,肺癌,食道癌,甲状腺癌など), 白血病(特にリンパ性),多発性骨髄腫

 

 

4.脂質代謝異常

Gaucher 病,Niemann-Pick病

 

 

5.内分泌疾患
甲状腺機能亢進症,Addison病

 

 

6.全身性 IgG4 関連疾患

なお、これらのリンパ節には「圧痛を伴わない」ことも重要な所見です。
なぜならば、リンパ節の性状は、炎症性の場合では表面は平滑で軟らかく可動性があり、強い自発 痛・圧痛を認めるからです。これに対して癌の転移などでは、表面が不整で著しい硬さを示し、相互に癒合し可動性がなく、自発痛・圧痛のないことが多いからです。ちなみに悪性リンパ腫では表面は平滑だが充実性で硬く(弾性硬)、可動性があり圧痛はないことが多いです。ただし急速に増大する時は疼痛を訴えることがあります。

 

 
❿ 心音と呼吸音とに異常を認めない。
⇒心臓・肺など、胸腔臓器に顕著な障害は認められません。

 

⓫ 腹部は平坦、軟で、肝・脾を蝕知しない。
⇒肝臓・脾臓を含め腹腔臓器に顕著な腫大性病変は認められません。

 

⓬ 関節に腫脹と圧痛とを認めない。
⇒関節リウマチの治療コントロールは概ね良好であり、疾患活動性は高くないことや、関節リウマチ以外の関節性疾患(変形性関節症など)も認めません。

 

(まとめ)

4〜6 週間以上持続しているリンパ節腫脹は生検の適応と考えられます。特に短期間で急速に増大し、発熱、盗汗などの全身症状を伴い、LDH の増加を認める場合は、早急に生検が必要です。この他に、通常の問診より詳しい専門的な問診が必要です。


既往歴、薬剤服薬歴、アレルギー歴、結核などの既往歴の他に、自己免疫性疾患・アトピー性皮膚炎などの既往、薬剤の服用歴(抗痙攣薬)、ペット飼育歴、エイズ(HIV 感染症)の有無を聴取することが大切です。関節リウマチなどではメトトレキサートなどの免疫抑制薬の使用の有無を聞くことが重要です。