リウマチ科:痛風、関節リウマチ治療薬と抗癌剤

 

専門でありながら、つくづく厄介だと思う病気の代表は関節リウマチです。

 

病気そのものの説明が難しく、患者さんに理解していただくことが容易でないだけでなく、使用する薬剤の扱い方も一筋縄ではいかないからです。

 

関節リウマチをはじめとする膠原病の治療薬は、抗癌剤や、

代謝拮抗薬、核酸や蛋白合成過程の代謝物と類似構造をもつ化合物で、核酸合成を阻害するなどによって癌細胞を傷害します。

 

 

代謝拮抗薬(プリン代謝拮抗薬)

・メルカプトプリン(6-MP):急性白血病、慢性骨髄性白血病

< 尿酸生成抑制薬(アロプリノール、フェブキソスタット)との併用について >
尿酸生成抑制薬はキサンチンオキシダーゼという代謝酵素の働きを阻害します。そしてキサンチンオキシダーゼはメルカプトプリンの代謝酵素であるため、併用するとメルカプトプリンの血中濃度が上昇することによって有害反応が生じやすくなります。

 

・アロプリノール(ザイロリック®)は痛風、高尿酸血症を伴う高血圧症における高尿酸血症の是正に用いられる治療薬です。この薬を併用する場合は、6-MPの処方量を通常量の1/3~1/4に減量します。

 

・フェブキソスタット(フェブリック®)も痛風、高尿酸血症の治療薬ですが、癌化学療法に伴う高尿酸血症にも用いられるので特に注意しなめればなりません。メルカプトプリンやアザチオプリンを使用している場合には骨髄抑制を生じるため併用禁止とされています。

 

・アザチオプリン(イムラン®、アザニン®)は免疫抑制剤〔代謝拮抗薬(プリン拮抗薬)〕であり、臨床の用途は以下のように広範囲わたっています。

 

❶ 移植時拒絶反応抑制(ⓐ腎移植、ⓑ肝・心・肺移植)

 

❷ (ステロイド依存性の)クローン病の寛解導入および寛解維持、
   ならびに(ステロイド依存性の)潰瘍性大腸炎の寛解維持

 

❸ (治療抵抗性の)リウマチ性疾患:
  全身性血管炎(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、結節性多発血管炎性肉芽腫症、高安動脈炎等)
  全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病、
  難治性リウマチ性疾患

 

❹ 自己免疫性肝炎

アザチオプリンは免疫抑制剤であるため、生ワクチンを接種すると発症してしまう惧があるため、各種の生ワクチンによる予防接種は禁忌とされます。

 

 

代謝拮抗薬(葉酸代謝拮抗薬)

・メトトレキサート(MTX):急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、絨毛性疾患、乳癌、骨髄腫、悪性リンパ腫、関節リウマチ
< NSAIDs(ロキソプロフェン、ジクロフェナク)との併用について>
NSAIDsの腎プロスタグランジン生成阻害作用により、腎血流・糸球体濾過速度が低下し、メトトレキサートの腎排泄量低下を起こします。メトトレキサートを大量投与する場合は併用を避けますが、単独でも様々な副作用がみられます。

 

まず、ロキソプロフェン(ロキソニン®)は、以下の疾病に用いられます。

 

❶ 関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頚肩腕症候群、歯痛、手術後・外傷後、抜歯後の消炎・鎮痛

 

❷ 急性上気道炎の解熱・鎮痛
消化性潰瘍、重篤な血液・肝・腎障害、アスピリン喘息、妊婦への投与は禁忌とされます。

 

次いで、ジクロフェナク(ボルタレン®)は、以下の疾病に用いられます。

❶ 関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、頚肩腕症候群、歯痛、手術後・外傷後、抜歯後の消炎・鎮痛以外に、変形性脊椎症、腱鞘炎、骨盤内炎症、前眼部炎症、神経痛、後陣痛、月経困難症、膀胱炎

 

❷ 急性上気道炎の解熱・鎮痛
消化性潰瘍、重篤な血液異常、肝・腎障害、高血圧症、心機能不全、アスピリン喘息、妊婦、インフルエンザ臨床経過中の脳炎・脳症
降圧薬として用いられるK保持性利尿薬のトリアムテレン(トリテレン®)との併用で急性腎不全の報告があり、併用禁忌です。トリアムテレン(トリテレン®)は、高血圧症(本態性、腎性など)の他、心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性・肝性浮腫の治療に用いられます。無尿、急性腎障害、高カリウム血症、腎結石では服用禁忌とされます。

 

 

杉並国際クリニックの視点から

杉並国際クリニックでは、専門診療科の一つにリウマチ科を標榜し、関節リウマチに対して日常的に免疫抑制薬〔代謝拮抗薬(葉酸代謝拮抗薬)〕である抗リウマチ薬メトトレキサートを処方しています。

 

この薬が関節リウマチの主薬が抗癌剤の一つとしても分類されていることを知りショックを覚える方は少なくありません。そして、関節リウマチの治療のために高頻度に使用される薬剤相互の有害作用の出現の可能性については、患者さん自身も常に注意を払っていただいておく必要があります。

 

また、関節リウマチよりも高頻度で診療している痛風の治療薬も抗癌剤との相互作用に配慮しなければならない薬剤があります。

痛風やその基礎疾患である高尿酸血症の治療薬として、原因のメカニズムにかかわらず尿酸生成抑制薬を第一選択として用いている医師が多いようです。

 

杉並国際クリニックの方針としては、日本人に圧倒的に多い尿酸排泄低下型の病態に対しては、尿酸排泄低下薬を処方しています。

関節リウマチは女性に多く、痛風は男性に多いため、従来であれば、両方の治療を並行して行うことは少なかったのですが、最近では少しずつ増えつつあります。そして、何よりも代表的な消炎鎮痛剤の2剤は単独でも様々な副反応を招くことも心にとめておかなければなりません。

 

急性上気道炎の治療目的で、解熱鎮痛のため目的で処方するときも、安易にサリチル酸系であるNSAIDsを処方せず、アセトアミノフェンを処方するようにしています。

ただし、アセトアミノフェン(カロナール®)だからといって決して安全ではありません。

 

市販の感冒薬を、自己判断で過量に内服した後に受診した患者に、事情を知らずにこの薬剤を処方すると重篤な肝障害を来す可能性があります。

また、NSAIDs薬と同様に、消化性潰瘍、重篤な血液・肝・腎障害、重篤な心機能不全、アスピリン喘息には投与禁止です。

ですから、データや情報不足の初診の急性上気道炎その他の急性熱性疾患の患者に消炎解熱剤を処方するのはとてもリスクが大きいとさえいえるでしょう。

 

<明日に続く>

消化器内科:消化性潰瘍(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)治療薬と抗癌剤

 

胃潰瘍や十二指腸潰瘍という病気を知らない方はいないでしょう。それどころか経験者の方も少なくないはずです。消化性潰瘍であると思っていたら癌になっていたという方、消化管以外の癌が見つかって、抗癌治療を始めたといった話題は、もはや日常茶飯事です。

 

小分子・分子標的治療薬

分子標的治療薬の副作用の特徴として下痢が挙げられます。そして、心毒性、間質性肺炎、腸管穿孔、動静脈血栓症、出血などが生じ、致命的になることもあるため、初期症状を捉えて適切に対応する態勢をとる必要があります。

 

最近の分子標的治療薬では、上記の諸症状に加え、皮膚症状、創傷治癒遅延など、従来とは異なる種類の有害作用(副作用)が出現するので、抗悪性腫瘍薬による有害作用の特徴を把握して対応することが重要とされます。

 

 

EGFR阻害薬 

事前の遺伝子検査によりEGFR遺伝子変異をもつ肺癌で効果が高いです。

また、食事の影響を受けやすいので、服用時間の指示を守ることが必要となります。

いずれのEGFR阻害薬についても、単独の使用でも急性肺障害・間質性肺炎の併発に注意を要します。

そして、発熱、呼吸苦などの症状が観察された際には、常に間質性肺炎の存在を疑って検査を行うことが望ましいとされます。しかし、早期発見は難しいのが現実です。

 

 

ゲフィニチブ:(EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発)小細胞癌
 

食後投与が望ましいです。pH6以上では薬剤がほとんど溶けないため効果が低下します。
そのため、pHが低下する(胃内が酸性環境となる)食後に内服することが勧められます。とくに日本人の高齢者は無酸症が多いため、空腹時の服用では薬効が低下すると考えられます。

 

エルロチニブ:(切除不能な再発・進行性で癌化学療法施行後に増悪した)非小細胞肺癌、(EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な再発・進行性で、癌化学療法未治療の)非小細胞癌、(治癒切除不能な)膵癌
 

高脂肪食、高カロリー食後は空腹時に比べて、AUC(生体内に取り込まれた薬物量の指標の一つ)がほぼ2倍増加するため、副作用が増強しやすいとされます。そのため、食事の一時間以上前か、食後2時間以降の空腹時に服用します。

 

 

BCR/ABL阻害薬

ダサニチブ:慢性骨髄性白血病、(再発性または難治性のフィラデルフィア染色体陽性の)急性リンパ性白血病

 

マルチキナーゼ抑制薬

パゾパニブ:悪性軟部腫瘍、(根治切除不能または転移性の)腎細胞癌
制酸薬(ランソプラゾール、オメプラゾール、エソメプラゾール)
この併用により臨床効果への明確な影響については報告されていないので、リスクベネフィットを考慮して併用を検討することになります。
胃内のpHが上昇した条件下(胃の酸性度が低下した状態)では、分子標的治療薬の吸収が低下し、効果が減弱する可能性が考えられます。

 

 

杉並国際クリニックの視点から

杉並国際クリニックでは、上記の抗癌薬を処方することはありませんが、上記の制酸剤を日常的に処方しています。

ですから日常的に頻用している制酸剤との相互作用に注意しています。これらの薬剤、すなわちオメプラゾール(オメプラゾン®)、ランソプラゾール(タケプロン®)、エソメプラゾール(ネキシウム®)はプロトンポンプ阻害薬(PPI)と呼ばれる一群で攻撃因子抑制薬に分類されます。

その特徴は、強い酸分泌抑制薬であり、ピロリ菌除菌の補助や逆流性食道炎の第一選択薬です。疾患によって保険処方機関に制限があります。

 

適応は広範にわたり応用範囲が広いです。具体的には、ピロリ菌除菌の補助や逆流性食道炎の他に、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、非びらん性胃食道逆流症、ゾリンジャー・エリソン症候群、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する胃内視鏡的治療後胃などで処方します。

 

特に後2者は、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)投与時や低用量アスピリン投与時の胃潰瘍または十二指腸潰瘍の再発抑制の目的でも処方可能です。

 

杉並国際クリニックは、専門診療科の一つにリウマチ科を標榜していますので、関節リウマチ、変形性関節症、痛風などの治療のため非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)の処方の需要が高いです。

 

また、低用量アスピリンの使用の目的は、解熱・鎮痛ではなく、血栓形成を予防する目的で使用しています。

それは狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作、脳梗塞)における血栓・塞栓形成抑制、また最近では冠動脈バイパス手術(CABG)あるいは経皮冠動脈形成術(PTCA)を施行する人も増え、それらの術後における血栓・塞栓形成抑制にも必要な薬剤として処方しています。

 

プロトンポンプ阻害薬(PPI)は安全な薬剤ですが、単独投与でも副作用として頭痛、めまい、検査値の異常としては肝機能(AST,ALT)やガストリンを上昇させることがあります。

長期投与では大腿骨頸部骨折、市中肺炎、クロストリジウム・ディフィシル感染症なども報告されています。またPPIを処方するにあたっては、抗癌剤との相互作用だけでなく、抗ウイルス剤との併用禁忌もあり、注意を要します。

エイズ(HIV-1)感染症治療薬のリルピビリン(エジュラント®)、アタザナビル(レイアタッツ®)が併用禁忌となります。

 

日常診療で多い消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)では、生活習慣改善が重要であり、過度のストレスや暴飲暴食を避けることからはじめたいものです。

逆流性食道炎・胃食道逆流症でも、単に薬物療法に委ねるだけではなく、運動や食事療法など生活習慣を改善することを見直すべきでしょう。水氣道®は杉並国際クリニックが全世界に向けて発信している理想的な運動療法です。

 

水氣道®を日常生活の習慣に取り入れることで、上記の様々な病気の治療や予防、再発に役立つだけでなく、薬の削減や副作用の減少、早期発見・早期対処などさまざまなメリットがあることが確認されています。

 

<明日に続く>

杉並国際クリニック 飯嶋正広

 

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❶ 疫学統計上の限界(その2:米国感染症対策センターの推計をもとに)

アメリカの感染症対策センターが、COVID-19ウイルスの感染力などのデータをもとに、米国での感染者数と死亡者の数を推計しています。
 

もし、① 米国が一切の感染症防禦対策を行なわなかった場合を仮定すると、

感染者数:2億1900万人、死亡者170万人
という数字をはじき出しています。

 

米国の人口は3億2775万人(2018年5月米国国勢局)ですから、

米国内でのCOVID-19ウイルス感染の蔓延率=2億1900万人/3億2775万人=66.8%致死率=170万人/2億1900万人=0.78%

 

これに対して、

② 米国政府が積極的な対策を講じた場合は、

感染者数:1億6000万人、死亡者20万人

米国内でのCOVID-19ウイルス感染の蔓延率=1億6000万人/3億2775万人=48.8%致死率=20万人/1億6000万人=0.125%

 

昨日の推計では、プレリアスコ教授の推計に基づくイタリアでの致死率は約0.7%でした。

米国感染症対策センターの推計した致死率0.78%に近似した数字になります。

 

また、ドイツの報告数をもとに計算した致死率は0.2%でしたが、米国が対策を講じた場合の致死率の0.125%に近い数字です。

対策介入を行うことによって減らすことが期待できる致死率は、0.78-0.125=0.655%です。

 

米国の同センターによる推計の方法について詳細の情報は得ていませんが、
米国での最悪の事態での致死率はイタリア型で、有効な対策が施された場合にはドイツ型になるという見方も可能かもしれません。

逆に言えば、ウイルス対策においての成績表は、イタリアが劣等生的、ドイツが優等生的ということになるかもしれません。


そのように考えると、適切な介入が行われることによって期待できる減少効果の絶対数は感染者では、

2億1900万人-1億6000万人=5900万人

死亡者のでは、

170万人-20万人=150万人

減少率を計算すると、

感染者では、

5900万人/2億1900万人=26.9%

死亡者では、

150万人/170万人=88.2%

 

死亡者の割合を9割近く減らせるのだとしたら、とても素晴らしい成果だといえるでしょう。

 

最終的には、死亡者数を減らすことですから、米国の感染症センターが、COVID-19感染症に対する有効な手立てとしてどのような対策を具体的に想定しているのかは、とても興味深いポイントです。

 

 

第3節:医師感染の場合は「地域医療と院内感染予防考え対策を」
 

医師ら医療従事者が新型コロナウイルスに感染した場合の医療機関の診療継続に関しては、釜萢氏は、「いろいろな場面で問題になっている。地域医療を守る視点と院内感染予防を考えながらそれぞれの事例で対策を講じなければいけない」と述べました。

 

兵庫県が外来診療と新規入院患者受け入れを当面停止することを求めましたが、11日に通常通り診療したとの報道があった北播磨総合医療センター(同県小野市)の事例では、「それぞれ事情が違うので一概には言えないが、開設者の市と病院が協議をして選択をしたということだ。県の要請はあったが、その地域の医療を守るためには必要な判断だと聞いている」と述べ、今後の参考になる事例だとの見方を示しました。

 

しかし、同センターではその後、医師2人目の感染者が出たため外来、新規入院受け入れを休止しました。
 

 

厚労省の通知ではこの他、発熱や上気道症状を呈する患者の診療が困難な場合でも、少なくとも帰国者・接触者外来や、診療可能な医療機関への受診を勧奨することを求めています。

 

 

杉並国際クリニックの現状

以下のStepは個人レベル(臨床レベルa)と集団レベル(公衆衛生レベルb)の両側面から検討すべきものであると考えます。

 

<パンデミック対策の6Step>

Step1:1次感染源となる病原体からの汚染による初感染を防ぐ

 

Step2:1次感染(宿主動物ーヒト感染)しても発症させないようにする

 

Step3:感染症として発症しても軽症で済むようにする(Step3a)
同時に2次感染(ヒトーヒト感染)を防ぐ(Step3b)

 

Step4:感染症が軽症で済まない場合でも重症化を防ぐ(Step4a)
    同時に2次・3次感染と再発を防ぐ(Step4b)

 

Step5:感染症が重症化しても長期化や死亡に至らないように支援する(Step5a)
    同時に2次・3次感染と再発を防ぐ(Step5b)

 

Step6:感染流行地への支援をする

 

Step7:地球の温暖化防止をはじめ地球環境の保護へ向けて国際協力をする
今回の新型コロナウイルス(COVID-19)については、すでにパンデミック(世界的流行)の状況となっています。

したがって、わが国の国策として目下重点を置いているのは、私共がみる限りにおいてはStep4およびStep5が中心のようです。手薄なのは、は、上記のうちStep2と3を除く、少なくとも3つのStepのすべてを包括的に考慮して指針を明らかにする責務があります。


杉並国際クリニック 飯嶋正広


【ローマ共同】

イタリアでは新型コロナウイルスに感染した死者が14日までに1,266人に達しました。

 

感染者累計1万7660人に対する致死率は約7.2%で、他国に比べ突出して高いことが気になります。

その要因について、いろいろな議論がでています。

感染拡大に拍車を掛けたとされる推定要因について収集できた情報をもとに、4つの見解をもとに検討してみたいと思います。

 


❶ 

疫学統計上の限界(その1:ミラノ大学プレリアスコ教授の見解等をもとに)
   

ミラノ大のファブリツィオ・プレリアスコ教授(ウイルス学)は地元メディアに「誰にも正確な致死率は分からない」とし、当局が把握していないケースを含めれば感染者総数は10倍にも膨らみ、致死率は下がるはずだと予測しました。

⇒ このうち、感染死亡者数は比較的明確であるのに対して、感染者総数を把握することは困難です。このことは、プレリアスコ教授の指摘通りです。ですから、その予測は説得力があります。

 

そしてプレリアスコ教授の仮説に基づいて試算すると、イタリアでの感染者の実数は1万7千人の10倍の17万人超にも上りうるということになります。

 

さて、ここで感染者総数を分母とし、感染死亡者数を分子とすると、

致死率=感染死亡者数/感染者総数

となります。

 

感染者総数である分母が10倍になれば、致死率は10分の一、すなわち約0.7%程度になります。

ちなみに日本ではPCR検査陽性者数を感染者数とするならば、

3月16日0:31時時点でPCR陽性者数:565人、死亡者数:24人

したがって、致死率=24/798=3.0%

 

最近発表されている中国での感染者数:80,844、死亡者数:3,199人
したがって、致死率=3199/80844=4.0%

 

同様にドイツでの感染者数:3795人、死亡者数:8人
したがって、致死率=8/3795=0.2%

 

PCR検査を精力的に実施している国ほど分母が大きくなるために致死率が低くなるといえるでしょう。

そのように考えると、感染者がきわめて少ない日本は、PCR検査の実施件数自体が制限されているためである可能性もあるという見方もできるのではないでしょうか。

 

最終的なアウトカムを死亡者数とするならば、ドイツの致死率は極めて低いことが注目されます。ドイツの実際の致死率も理論上0.2%を上回ることはないことになります。ただし検査をするほど致死率は減少することになります。

 

ところで私は、平均寿命が近接している先進国間においては、実際の致死率はほぼ同程度ではないかと考えています。これを仮に前提として考えるならば、とりあえず致死率は最大でも0.2(ドイツ統計データ)~0.7%(イタリア推計データ)と仮定することができるでしょう。

 

そうすると、日本の実際の感染者数は、24人の死亡者を元に逆算すると

ドイツ統計データからは24×100/0.2=12,000人、

イタリア推計データからは4×100/0.7=3,429人

 

そこで、最少に見積もっても日本ではすでに12,000人以上の人が感染している可能性があるのではないかと推定することができます。
 

 

実際に、感染していても発症しないでいるケースも多数報告されているだけでなく、症状が出現しても一定の基準に達していない人は検査を受けることができないため、この推論には一定の根拠があると思います。当面の間、日本での死亡者が一人増えるたびに、感染者の推定人数を最低でも500人増の修正を加えるくらいが妥当であるかもしれません。

循環器内科:血栓症(脳梗塞・心筋梗塞・静脈血栓など)治療薬と抗癌剤

 

脳梗塞や心筋梗塞、静脈血栓症などの血栓性疾患を持っている方に癌が発生し、抗癌剤による治療を開始する際には注意が必要です。このようなケースは今後も増え続けることでしょう。「明日は我が身」であり、決して他人事では済まされないといえます。

 

代謝拮抗薬(ピリミジン代謝拮抗薬)5-FU系

 

抗癌剤の分類で5-FU系というグループがあります。代表薬の5-FUの他に、カペシタビン、S-1があります。なおこれらの薬剤で治療中の方が、ワルファリンを服用すると、血が止まりにくくなり、内出血を起こしやすくなることが知られています。

抗癌剤もワルファリンも必要があって使用しているわけですから、このような副作用の出現を未然に防ぐためにはPT-INRを測定し、このデータが急激に延長しないかを確認するとともに、出血傾向の出現を注意深く監視することが必要です。相互作用の原因は、抗癌剤の活性代謝物である5-フルオロウラシルがCYP2C9を阻害するためです。

 

・5FU:

消化器癌(胃癌、結腸・直腸癌)、乳癌、子宮頸癌

 

・カペシタビン:

(手術不能または再発)乳癌、結腸・直腸癌における補助化学療法、胃癌、(治癒切除不能な進行・再発の)結腸・直腸癌、直腸癌における補助化学療  法で放射線照射と併用

 

・S-1:

胃癌、結腸・直腸癌、頭頚部癌、非小細胞肺癌、(手術不能または再発)乳癌、膵癌、胆道癌
S-1服用中は、他のフッ化ピリミジン系薬とは絶対に同時服用させてはならないなどの注意があります。

 

 

杉並国際クリニックの視点から

杉並国際クリニックでは、上記の抗癌薬を処方することはありませんが、ワルファリンを処方することがあるので、薬剤相互作用に注意しています。

 

ワルファリンは、血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、緩徐に進行する脳血栓症等)の治療のみならず予防にも用いられています。ワルファリンは抗血栓薬に分類され代表的な経口抗凝固薬です。

 

ワルファリンの投与量は、プロトロンビン時間(血液が凝固するまでに要する時間)のデータを正確に把握するためのINR値を検査しながら調節することになっています。

 

しかし、それでも出血を来すことがあり、その際にはビタミンKを投与します。

逆に、ビタミンK₂投与中の患者にワルファリン投与の必要が生じたときにはビタミンK₂を中止します。そもそもワルファリンはビタミンK作用に拮抗し、肝臓におけるビタミンK依存性血液凝固因子の生合成を抑制する働きをもつ薬剤だからです。

 

このように癌の治療で抗癌剤を使用している癌患者も、脳梗塞や心筋梗塞の治療中の患者も忘れてならないのが食生活です。他で処方された薬剤ばかりでなく、購入したOTC医薬品(処方箋不要の市販の薬剤)や健康食品を自己判断で使用したり、医療機関に報告しないでいたりすることはとても危険なことだ、ということを心にとめておいていただきたいと思います。

 

しかも、ワルファリンに対する感受性には個人差が大きく、出血リスクが高い場合もあるので、初期投与量の決定に際してはリスクとベネフィットのバランスを考慮する必要があります。

 

併用薬によって作用が変動するので注意が必要な薬剤です。実際に5-FU系の抗癌剤であるカぺシタピンとの併用で死亡例が報告されています。

 

超高齢社会となり癌が国民病とされる令和の時代において、ワルファリンのような取り扱いの複雑な薬剤の使用は可能な限り避けるのも一法かもしれません。

 

たとえば非弁膜症性心房細動がみられる患者で発症リスクの高い脳卒中の予防のためには、直接経口抗凝固薬(DOAC)が重要な選択肢になると思います。DOACはINRモニターが不要であるうえに、ワルファリンと比較して、脳出血の頻度が少ないという特徴があるからです。

 

<明日に続く>

第2節:検体採取などを実施する際は、徹底した感染予防策が必須

 

同氏は、厚生労働省と相談の上、通知に「インフルエンザなどの場合、検査をせず臨床診断による治療薬の処方をご検討ください」という旨を追加したことを報告。

「迅速診断実施に関する危険性が、北海道の事例で明らかになっている。検査をしないデメリットがないとは言えないが、現場で防護具が不足していることを踏まえれば、必要な措置である」とした上で、医療現場における患者への丁寧な説明を求めた。

 

迅速検査で検体採取のために鼻を強く刺激することで患者がくしゃみや強い咳をして、新型コロナウイルスに感染していた場合には飛沫感染の可能性が高まる。

 

釜萢氏によると、北海道で医師が診察した患者が、後になって新型コロナウイルス感染が分かり、その後医師の感染も確認される事例がありました。

日医が情報を確認したところ、新型コロナウイルス感染との直接の因果関係は明らかではないが、この患者にインフルエンザの迅速検査を行っていた。幼い子を連れた親が迅速検査を強く要求し、納得してもらえないことも想定されるが、釜萢氏は「医療機関で新型コロナウイルスの現状もお話しして、リスクについてご理解をいただいた上でないといけない」と述べた。

 

インフルエンザの流行が終息しつつあると認識しており、そのことも考慮したという。

 

新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者を診察する際は、各地域における感染者の報告状況や帰国者・接触者外来の設置状況などを考慮し、下記に基づいて感染予防策を講じます。

 

 新型コロナウイルス感染症患者に対しては、標準予防策に加えて、飛沫予防策および接触予防策を実施すること

 

 同患者の鼻腔や咽頭から検体を採取する際には、サージカルマスクなど、眼の防護具(ゴーグルまたはフェイスシールド)、ガウンおよび手袋を装着すること

 

 同患者に対し、エアロゾルが発生する可能性のある手技(気道吸引、下気道検体採取など)を実施する場合は、N95マスク(またはそれに準ずるマスク)、眼の防護具(ゴーグルまたはフェイスシールド)、ガウンおよび手袋を装着すること

 

 同患者の診察において上記感染予防策をとることが困難である場合は、最寄りの帰国者・接触者外来に紹介すること

 

 基本的にシューズカバーをする必要はないこと

 

 個人防護具を着用中また脱衣時に眼・鼻・口の粘膜を触れないように注意し、着脱の前後で手指消毒を実施すること

 

 

杉並国際クリニックの現状
新型コロナウイルス感染者は、多くの事例では周囲の人にほとんど感染させていないとみられつつあります。しかし、感染源が密閉された(換気不十分な)環境にいた事例において、一人の感染者が生み出す二次感染者数が特徴的に多く、感染を拡大させてきたことが明らかになってきました。 

 

換気が悪く、人が密に集まって過ごすような空間に集団で集まるイベントなど(屋形船、スポーツジムやライブハウスの事例)で風通しの悪い空間や、人が至近距離で会話する環境(医療機関など)は感染リスクが高いことが明らかになってきました。

また、全国の複数の地域で「小規模患者クラスター」(感染経路が追えている数人から数十人規模の患者の集団)が発生しています。
 

 

厚生労働省のホームページ<新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)令和2年3月14日時点版>

では、「急激な感染拡大を防ぐためには、小規模患者クラスターの発生の端緒を捉え、早期に対策を講じることが重要です。」と国家としての対策の基本方針を示しています。


ここで、「小規模患者クラスター(5人以上)の発生の端緒を捉え(る)」という文言が具体的にどのような実効性をもつものなのかは判然としません。今後も患者数の増加が見込まれるため、これまで以上に個々の単独発症例の背景について綿密な調査と分析を行なえることはあまり期待できそうにありません。逆にいえば、今後の政府の方針は小規模クラスターごとの対応に主力を注がざるを得ないことを、暗に示唆しているのではないでしょうか。

 

このような立場での国策の在り方では、個々の国民の側からする対策との隔たりが拡大するばかりであることを感じます。

それは、一人一人の国民の健康と生命を守る第一線の医療機関の立場では、とくに顕著であるといえます。医療機関では、小規模患者クラスターどころか、一人の感染者の発見によってたちどころに機能停止に追い込まれてしまうからです。とりわけ感染リスクの高い医療従事者が感染してしまうことによって、一般集団より免疫力が低下している患者集団に感染を広げてしまうという最悪の事態を招いてしまうからです。

 

「インフルは検査控え、臨床診断で処方を」 No1

 

第1節:迅速診断実施による感染リスクを考慮

 

3月11日、厚生労働省は、全ての患者について鼻腔や咽頭から検体採取をする際にサージカルマスクや眼の防護具(ゴーグルまたはフェイスシールド)、ガウン、手袋を装着するよう求める通知を出しました。

これを受けて日本医師会・釜萢 敏氏(同会感染症危機管理対策室長)は、「新型コロナウイルス感染症が疑われる者の診療に関する留意点について」記者会見で説明し、一般の医療機関においても十分な周知を求めました。

 

日本医師会は同日、インフルエンザなどの検査のために検体を採取する際に新型コロナウイルスに感染する可能性があるため、検査をせずに臨床診断によって治療薬を処方するよう求める通知を都道府県・郡市区医師会へ発出しました。釜萢敏氏は「これは大変強い、大きなメッセージだ。一般の医療機関に来た患者が新型コロナか分からない中で、防護具が今、手に入らない。迅速検査は難しくなってきているという認識だ」と述べた。医療機関が防護具を用意できている場合は検査可能で、厚労省とも協議の上で決めた方針であることのことです。

 

釜萢氏は、地域の各医療機関の外来に共通する感染予防策として、基本的に誰もが新型コロナウイルスを保有している可能性があることを想定し、すべての患者の診療において、標準予防策であるサージカルマスクの着用と手指衛生の励行を徹底するよう指示しました。患者が発熱や上気道症状を有するなどの場合であっても、検体採取やエアロゾルが発生する可能性のある手技を実施しないときは、標準予防策の徹底で差し支えないとのことです。

 

 

杉並国際クリニックの現状

インフルエンザの診療の診断には、検査キットが必要不可欠であると考える方にとっては、このメッセージは、とてもショッキングなメッセージかもしれません。しかし、便利の蔭には魔物が棲んでいるものです。

 

杉並国際クリニックは以前からインフルエンザの治療のために検査キットは不要と考えて導入してこなかった経緯があります。たしかに診断のためには診断キットは一定の意義はあります。

 

しかし、インフルエンザに感染していても検査が陽性になるとは限りません。その場合は、インフルエンザの治療薬を処方することが実際上不可能になるばかりでなく、感染者は家庭や職場あるいは交通機関でウイルスを拡散させてしまうおそれを生じます。

 

また、検査結果が陽性だった場合に、1回の内服で治療が完了するとされるゾフルーザ®という薬が処方されるとさらに問題が大きくなることを予測していました。

当クリニックではこの薬剤に関しては一切処方いたしません。

その理由は、この薬が効かない(抵抗性)の耐性ウイルスが存在することに加えて、1錠内服して薬物療法自体は完了しても、感染性は直ちに消失しないと考えられるからです。中には直ちに職場に復帰し、場合によっては広範な営業活動をして感染を蔓延させているような方も少なくないものと推測しておりました。

 

新型コロナウイルス(COVID-19)感染症では、自覚症状のない・あるいは乏しい感染者でも他人を感染させ発症させることがあること、検査キットで陰性でも後に陽性になるケースが報告されています。

 

インフルエンザも同様に考えておくのが良いと考えます。自分はインフルエンザに罹ったことがない、あるいは罹ったとしても風邪程度だから、という理由でインフルエンザワクチンを接種しない方針の方が若干いらっしゃいます。

 

しかし、そうした方こそ、身近な大切な人々のためにも、今年の10月にはワクチンを接種していただきたいと願っております。

 

有事に対する備えの意識が高い杉並国際クリニックでさえ、一般のマスクのみを何とか確保しているのみで、サージカルマスクに至っては、すでに欠如しています。つまり、標準予防策ですら完備できる見込みがないことを懸念しています。

 

そこで、杉並国際クリニックとしては、確かな情報収集と独自の分析をもとに、継続的に実行可能な対策を独自に立案し、可能なことから速やかに実施するこれまでの方針に則って診療を継続していくことにしています。

 

それは感染リスクが高い『新患および再新患(受診中断後2カ月以上経過した方)』の受付を事前予約制として、定期受診者との接触を減らすことです。

 

日頃の健康管理の指針としては、杉並国際クリニックでは、第一に日頃の鍛錬(禁煙水氣道®など)、第二に事前の予防(ワクチン接種など)、第三に罹患後の一定日数の養生が必要であることを宣言し、推奨しています。

 

―がんは日本人の国民病(厚生労働省のHPから)-

 

がんは、日本において昭和56年より死因の第1位となり、現在では、年間36万人以上の国民ががんで死亡しており、これは、3人に1人が"がん"によって亡くなっていることになります。

 

日本人にとって「国民病」といっても過言ではない状況となっています。


厚生労働省のHPから

 

21世紀になって、癌(悪性腫瘍)の薬物療法の主役は、従来型の抗癌剤(殺細胞性抗悪性腫瘍薬)から、ホルモン療法薬に加えて分子標的薬に交替しました。

 

中でも、近年注目されるのは、

① 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)と

② 抗体薬物複合体(ADC)です。

 

ICIは、登場から数年で、続々と適応疾患を増やしているため、他の薬物療法との併用やICI同士の併用も幅広く試みられています。

 

また、ADCは、搭載薬物やリンカー技術の改良もあり、多様な標的分子に対して開発が進められています。

 

なお、抗悪性腫瘍薬の投与には様々な配慮が求められるため、多くの抗悪性腫瘍薬の添付文書には以下のような警告文が入れられています。

 

 

癌化学療法は、

① 緊急時に十分対応できる医療施設において、癌化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること.

 

② 適応患者の選択にあたっては、各併用薬剤の添付文書を参照して十分注意すること.

 

③ 治療開始に先立ち、患者またはその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること.

 

杉並国際クリニックは、癌患者の主治医として癌化学療法を行なってはいませんが、関節リウマチ治療の主薬であるメトトレキサート(リウマトレックス®)は、抗リウマチ薬であると同時に抗癌剤(抗悪性腫瘍薬)でもあります。その他にも、多数の担癌患者(癌を患っている患者)の皆様の健康管理を担当しています。

 

癌の種類としては、肺癌、胃癌、大腸癌、乳癌、前立腺癌、血液腫瘍(悪性リンパ腫など)が主です。

 

そして、当クリニック受診中に抗悪性腫瘍薬(抗癌剤)の副作用を発見することもしばしばです。

 

そこで、しばしば、懸念される事例は、警告文の②との関係です。

 

第一には、癌治療の主治医が、他の医療機関(たとえば杉並国際クリニック)の処方薬を十分に把握して確認がなされていないケースです。

実際に副作用の早期発見によって癌治療担当医に報告する経験を多数しています。

 

第二には、杉並国際クリニック通院中の担癌患者の方からの癌化学療法の内容を把握できていない場合にも起こりえる事象です。

とくに血栓症(脳梗塞・心筋梗塞・静脈血栓など)、消化性潰瘍(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)、痛風、関節リウマチ、真菌症、うつ病の患者さんは今後も特別な注意が必要です。

 

杉並国際クリニックは、こうしたハイリスク群の患者さんを主に診療しているので、皆様方に注意を喚起しておく必要があると考えております。

 

ですから、抗悪性腫瘍薬投与中には、抗癌剤の副作用だけではなく、他の薬剤との相互作用を確認することが必要です。そのためには、受診する医療機関ごとに複数の調剤薬局にいくのではなく、一括した調剤管理を可能とするためにも「かかりつけ薬局」を決めておくことをお勧めいたします。

 

このように、抗悪性腫瘍薬についての知識と注意は、すべての内科医が弁えていなければならない時代であるといえます。

 

しかし、患者さん自身もしっかりとした自己管理と自信に対する医療情報を管理して、いつでも医療従事者に情報提供ができるような準備が不可欠になってきました。

 

明日から、それぞれの疾患の側から、注意すべき副作用について解説していきます。

 

<明日に続く>

<はじめに>

 

 

前回は「寝違え」に効果のあるツボを紹介しました。

 

 

「大椎」は首を曲げたときにできる出っ張りの下にあり、

 

 

「肩井」は首を曲げたときにできる出っ張りと肩の先を結んだ線のちょうど真ん中あたりにあり、

 

 

「四瀆」は手の甲の方、手首と肘を結んだラインの真ん中にあるというお話でした。

 

 

 

今回は「動悸」に効果のあるツボを紹介しましょう。

 

 

 

<動悸に効果のあるツボ>

2020-02-18 16-32

2020-02-18 16-41

 

 

今回は「膻中(だんちゅう)」「太淵(たいえん)」「神門(しんもん)」を紹介します。

 

 

「膻中」は乳頭を結ぶ線と胸骨の正中線と交わるところにあります。

 

 

「太淵」は親指の付け根の手のひら側にある手首にできるしわのある場所にあります。

 

 

触れると脈が拍動している部位です。

 

 

「神門」は手のひら側で小指側のしわのできる部位にあります。

 

 

痛くない程度に息を吐くのと合わせて押してみてください。

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭