緊急提言:イタリアでのCOVID-19感染による高い致死率から日本が真剣に学ぶべきこと No2. (全4回)

杉並国際クリニック 飯嶋正広

 

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❶ 疫学統計上の限界(その2:米国感染症対策センターの推計をもとに)

アメリカの感染症対策センターが、COVID-19ウイルスの感染力などのデータをもとに、米国での感染者数と死亡者の数を推計しています。
 

もし、① 米国が一切の感染症防禦対策を行なわなかった場合を仮定すると、

感染者数:2億1900万人、死亡者170万人
という数字をはじき出しています。

 

米国の人口は3億2775万人(2018年5月米国国勢局)ですから、

米国内でのCOVID-19ウイルス感染の蔓延率=2億1900万人/3億2775万人=66.8%致死率=170万人/2億1900万人=0.78%

 

これに対して、

② 米国政府が積極的な対策を講じた場合は、

感染者数:1億6000万人、死亡者20万人

米国内でのCOVID-19ウイルス感染の蔓延率=1億6000万人/3億2775万人=48.8%致死率=20万人/1億6000万人=0.125%

 

昨日の推計では、プレリアスコ教授の推計に基づくイタリアでの致死率は約0.7%でした。

米国感染症対策センターの推計した致死率0.78%に近似した数字になります。

 

また、ドイツの報告数をもとに計算した致死率は0.2%でしたが、米国が対策を講じた場合の致死率の0.125%に近い数字です。

対策介入を行うことによって減らすことが期待できる致死率は、0.78-0.125=0.655%です。

 

米国の同センターによる推計の方法について詳細の情報は得ていませんが、
米国での最悪の事態での致死率はイタリア型で、有効な対策が施された場合にはドイツ型になるという見方も可能かもしれません。

逆に言えば、ウイルス対策においての成績表は、イタリアが劣等生的、ドイツが優等生的ということになるかもしれません。


そのように考えると、適切な介入が行われることによって期待できる減少効果の絶対数は感染者では、

2億1900万人-1億6000万人=5900万人

死亡者のでは、

170万人-20万人=150万人

減少率を計算すると、

感染者では、

5900万人/2億1900万人=26.9%

死亡者では、

150万人/170万人=88.2%

 

死亡者の割合を9割近く減らせるのだとしたら、とても素晴らしい成果だといえるでしょう。

 

最終的には、死亡者数を減らすことですから、米国の感染症センターが、COVID-19感染症に対する有効な手立てとしてどのような対策を具体的に想定しているのかは、とても興味深いポイントです。