東京歯科大学市川総合病院循環器科の大木先生は、新型コロナウイルスに関して、とてもわかりやすい解説を掲載されています。御経歴からすると私より大分若手であるようですが、見習いたいと思いました。
私は、同市内にある昭和学院短期大学の客員教授として10年ほど勤務していたことがあり、この病院の前は数えきれないくらい通過していたのを懐かしく思い出します。
『知っておきたい新型コロナウイルス感染症COVID-19』
【新型コロナウイルスの感染経路】
感染の病原体には細菌、ウイルス、カビ、その他の虫などがあります。多くの感染症は細菌かウイルスによるものです。
細菌は複雑な一つの生命体であり、食べたり消化したり、生きて動き回っています。それでも非常に小さく、0.001㎜くらいです。
それに対してウイルスは、生きていると言ってもごく簡単な構造に遺伝子が入っているような姿で、大きさは細菌の1/10〜1/100以下、0.0001㎜くらいで、通常のマスクは簡単にすり抜ける大きさです。
新型コロナウイルスは普段どのような姿で生きているか詳しいことは不明です。ヒトの唾液など水分と共に生きているのか、ホコリなどに付着して空中を浮遊しているのかわかりませんので、マスクがどの程度有効かもわかっていません。
少なくとも感染者のくしゃみ、咳などでのウイルスの放散量はかなり減少します。現在までにわかっている感染の状況を見てみると、ウイルスの付着した体液等への接触感染はもちろん、くしゃみ・咳などでの飛沫感染のほか、空気感染を起こすと言って良いような状況も見受けられます。
ホコリなどと共に長時間空中を漂っている可能性が示唆されており、狭い空間で換気の悪いところではコロナウイルがいつまでも空中に無数に飛んでいると考えた方が良いでしょう。
換気をしていない車内、エレベーター内も注意が必要です。カラオケボックスのような音が漏れないようにしている施設は空気が漏れにくく、つまり換気が悪くなります。
冬には室温が下がらないように暖房をかけながら密閉されること多くなりますので換気が必要ですし、夏には冷房をかけながら室温が上がらないように部屋を密閉することは危険なことになります。常時換気をしておくことが必要であり、更に飛沫や接触を避けるように気を付けることが重要です。
会話をすると必ず飛沫が飛んでいるので、お互いマスクを付けることは思いやりです。
やむを得ず接触した場合にはこまめに手を洗うよう心がけましょう。
屋外ならば感染の危険性は低くなりますが、どこかでくしゃみや咳をした人の空気がまとまって飛んでくればそれを吸い込んで感染してしまう可能性がありますので、屋外でも人の密集する場所は避けるべきです。ジョギングなどしていても前を走っている人の汗や吐息を吸い込む可能性があるので注意が必要です。みだりにいろいろなところに触れないようにするのは当然です。
コメント:
感染の病原体(細菌、ウイルス、カビ、その他の虫など)のサイズについて言及されています。多くの寄生虫などは肉眼で確認できますが、カビや細菌は光学顕微鏡で確認できますが、ウイルスになると電子顕微鏡でないと見えない極小のサイズだということになります。
そこでマスクの効用について説明されています。「くしゃみ・咳などでの飛沫感染のほか、『空気感染を起こすと言って良いような状況』も見受けられる」ことが書かれています。最初の頃、感染症の専門家の間で「新型コロナウイルスは空気感染しない」という意見が示されたことを記憶しています。
空気感染を起こすことで知られている病原体として、結核や麻しんや水痘などが知られています。
麻疹(はしか)、水痘(みずぼうそう)はウイルスですが、結核は粒子の大きい細菌です。ですから、粒子の小さなウイルスは接触感染や飛沫感染の他に、程度の差こそあれ空気感染が発生しても不思議はないと考えています。
大木先生が、『空気感染を起こす』と言いきらずに、あえて『空気感染を起こすと言って良いような状況』と表現されているのは、「エアロゾル感染」といって、飛沫感染と空気感染の中間領域の感染形式であることを認識されているからだと思います。
専門家の間では「空気感染しない」と言っても問題がないとしても、一般の国民には正しいメッセージとしては通らないので不適切だったように思います。大木先生は、わかりやすく「エアロゾル感染」が発生する具体的状況を説明されています。
最後に、マスクの有用性についてですが、私自身は有用であると考えています。むしろマスクを上手に活用することが有益であると考えて、これに工夫を加えていきたいと考えています。
<明日へ続く>
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