胆道癌を疑った場合の検査手順(第3段階)

 

「胆道癌診療ガイドライン第3版(2019)」によると、胆道がんの検査手順としては3段階が提示されています。今回は最終段階の検査について説明します。

 

第3段階

 

最終段階で行われる検査は1)ERCP、2)超音波内視鏡(EUS)、3)PETなどです。

 

 

1)ERCPによる直接胆道造影は、胆管病変の水平方向進展度の詳細な診断に関して、MRCPより優れています。さらに、胆汁細胞診、ブラシ細胞診、胆管生検などが可能です。

閉塞性黄疸を伴う場合には、引き続き胆道ドレナージを行います。

 

 

2)超音波内視鏡(EUS)は、質的診断、進展度診断に有用です。

 

 

3)PETはリンパ節転移、遠隔転移診断に有用です。

 

治療方針は上記の検査結果を総合的に判断して決めていくことになります。

胆道癌のなかでも、胆管がんでは経乳頭的生検による癌の確証を得るようにします。

しかし、胆嚢がんの場合は、生検は必須ではありません。その理由は生検によって癌細胞が腹腔内にばら撒かれる(播種)のリスクを伴うアプローチは切除可能な症例では慎むべきだからです。

 

 

診断後の管理

術前胆道ドレナージについて

 

・肝切除を要しない膵頭十二指腸切除を想定する場合:

 術前胆道ドレナージの有用性を示した研究が乏しく、ガイドラインでは推奨されていません。しかし、わが国の多くの施設では内視鏡的ドレナージが行われています。

 

・肝門部胆管閉塞症例など広範囲肝臓切除を予定する胆道癌の場合:

 第一選択として、内視鏡的にドレナージを行います。この際に、CTで腫瘍の局在、進展度を評価し、想定した術式に応じて温存予定となる領域をドレナージすることが重要です。また、胆道ドレナージ後はカテーテル刺激により胆管に炎症性変化が加わり、癌の進展度評価が難しくなります。

 

以上のことから、胆道ドレナージ施行前にダイナミックCTを撮影しておく必要があります。その際、ドレナージ方法として、ガイドラインは内視鏡的経鼻胆管ドレナージ(ENBD)を推奨しています。しかし、ENBDは内視鏡的胆管ステント留置術(EBS)に比べて胆汁の体外喪失が問題になります。これを解決するために、ガイドラインは胆汁の飲用を推奨しています。

 

しかし、最近では下流側の先端が総胆管内となる内側ステントやカヴァードSEMSという技術を用いることで胆汁の汚染を防ぎつつ内瘻化を達成できるようになり、その評価は今後明らかになることでしょう。

 

ガイドラインの作成を担当しているエキスパートでさえ、実際の現場ではガイドラインを金科玉条のように順守しているわけではないということがあります。新しい試みにチャレンジする場合や、結論をだすためのデータが不足している場合は、臨床的センスや経験が必要とされているということを如実に示す例の一つだと考えます。

 

<この項終わり>

取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ4症例の研究

 

新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。

 

以下は、取材記事を下敷きとし、加筆や編集部分は緑文字として区別しました。

症例3:結婚記念日のクルーズ船旅行が… 夫を失った妻が語る1か月半

 

4月4日取材 社会部 山屋智香子
集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船して夫婦ともに感染。夫は発症から1か月半で亡くなりました。妻は「夫の死を無駄にしたくない」と感染症特有の怖さと無念さを明かしました。初めて語ったという経験をできるだけ詳細にお伝えするため、インタビューを一部整理した上で紹介します。


症例3(その7)

 

第7節:感染症で亡くなるということ

この日、いったんは持ち直したが、医師から受けたのは亡くなった場合の説明だった
「コロナというだけで、普通の葬儀社は受けてくれない(葬儀社だけでなく、あらゆる企業がリスクを回避して利益だけを追求する現状から、今後は少しずつ脱却していかないと相互不信社会が到来することになるでしょう)をから。病院であちこち当たって(このような業務を病院が引き受けなければならない現実も、医療崩壊を加速させています)、引き受けてくれるところがある。ただし普通だと1万円だか、1万5000円の火葬費なんだけれども、8万円かかる。それでもいいですか」っていう…(このような事務の仲介をすることは病院にとっての本来の義務でもなければ利益を得ているわけでもないので、ご家族にとっても事務担当者にとっても辛いやりとりであったと思われます)。良いも悪いもそれを頼む他ないし。火葬の日というのも、空いた日の空いた時間に人払いをして、それで火葬しますっていうふうに聞かされて。何かすごく無残な気がしましたけれどもね。


さっき私の呼びかけに応えてくれたはずの人の、もう火葬の話ですよ。
コロナに侵されてる人間の火葬のことっていうのは、私も前もってタブレットで見たりしたの。どうなるんだろうって。そしたら中国なんかでは、いきなり袋に入れられて24時間以内に火葬っていうふうに書いてあったから。そんなこと、と思ったけれども。

でも、それを実際に先生から聞かされて、「1度その袋に入れられたら、もう誰も袋を開けることはできない」って言われてね。愕然としながら、その話を聞いてた。ペットだって自分の家に持ち帰って、ちゃんとね、お葬式みたいなことするじゃないですか。それなのに、それもできない。だから、コロナの怖さというか、残酷さというか。それを本当に思い知らされた。

ロシアでの入院待遇較差

 

При этом каждый день гламурные порталы публикуют санбюллетени о состояния здоровья наших «звезд», депутатов, знаменитостей, заболевших COVID-19. Например, федеральные СМИ подробно сообщают, как одну известную певицу «перевели из больницы в Коммунарке в «звездный» госпиталь в Красногорске; артистку поместили в VIP-палату». «Она лежит одна в палате в частной клинике, за ней обеспечивается квалифицированный высокопрофессиональный уход», — сообщают врачи журналистам. Известный блогер также писал из отдельной палаты в Коммунарке посты о том, как там лечат и кормят. Разумеется, мы всем желаем здоровья: перед болезнью все равны. Однако, не всех наша система здравоохранения ставит в равные условия.

 

(前回は、カシュチェンコ精神病院の病室には18人もの患者が収容されている、という話でした。)

同時に、魅力的なポータルサイトではCovid-19に感染した議員や有名人などの私たちにとっては<一流の人たち>の健康状態についての速報を毎日公開されています。たとえば、(ロシア)連邦政府のメディアは、一人の有名歌手が「コンムナルカの病院からクラスノゴルスクの<一流>病院」に移送された次第を詳細に報告しています。その一流アーティストにはVIPルームが割り当てられました。」医師たちは取材者に「彼女はプライベート・クリニックの入院病棟で一人だけ個室ベッドに横たわり、専門医資格をもつ医療スタッフにより高度な専門的ケアを受けています。」と話した。またコンムナルカの病院の別の病室から、著明なブロガーがその病院では、入院患者たちをどのように扱い食事を摂らせているのかについて投稿した。私たちは皆、当然健康を望んでいます。だから病気になれば誰もが平等です。しかし、すべての医療施設が同じ条件を設定しているわけではありません。

 


<今回は短めですが、翻訳していてとても切なくなってきたので、この辺で止めておきます。>

胆道癌を疑った場合の検査手順(第1・第2段階)

 

「胆道癌診療ガイドライン第3版(2019)」によると、胆道がんの検査手順としては3段階が提示されています。

 

第1段階

まずは、1)血液検査と2)腹部超音波検査を行います。

 

1)血液検査では、おもに肝胆道系酵素の上昇が認められます。
その際に、腫瘍マーカーとしてCEAやCA19-9が用いられます。

 

2)超音波検査では、胆管がん、十二指腸乳頭部がんは腫瘍そのものの描出が困難なことが多いです。その場合でも、腫瘍による上流側胆管拡張を捉えることが重要です。
  

これに対して、胆嚢がんは超音波検査による描出率が高いため有用性が高いです。ただし、胆嚢結石により胆嚢壁の観察が困難な場合もあります。その場合は別の方法での検査が必要になります。

 

 

杉並国際クリニックでは、この第1段階までの検査を実施することができます。

 

1)血液検査で、確認すべき肝胆道系酵素の項目は、肝臓関連酵素(ALT、AST)、胆道系酵素(ALP、γ-GTP)ですが、黄疸を来している場合には総ビリルビン(とくに直接ビリルビン)は必須です。腫瘍マーカーはCA19-9の方がより重要ですが、いずれにしても初期では変化が乏しく癌が進行しないと上昇しません。閉塞性黄疸を来していない限り、これらの検査所見が明かでないことが多いことが課題だと考えます。

 

2) 超音波検査が力を発揮するのは胆嚢がんの診断です。胆嚢壁の不均一な肥厚や辺縁不整な腫瘤が形成されていないかどうかを確認します。胆管がんでは、胆管の拡張や閉塞部が同定を目的としますが技術的にはもっとも難しいです。乳頭部がんの場合は胆管が拡張するだけでなく、胆嚢が顕著に腫大すれば発見しやすいです。

 

 

第2段階
この段階では、1)CTや2)MRIが行われます。

 

1) CTは多列検出器CT(MDCT)によるダイナミック・スタディという検査法が特に有用性が高く、薄いスライスで撮影し、他断面再構成画像を構築することが強く推奨されています。詳細なCT画像により、腫瘍の局在をはじめ進展度診断、癌の脈管や他の臓器への浸潤の評価も可能で、手術切除を検討するうえでCTの果たす役割はとても大きいといえます。

 

2) MRI(MRCP)は非侵襲的に胆管の描出が可能です。胆管狭窄の評価や拡散強調画像による病変の質的診断、リンパ節転移の評価に有用(推奨度2)とされています。

 

 

ガイドラインでは以上のように推奨されています。

しかし、胆道癌症例では3)内視鏡的胆管膵管造影(ERCP)を行える施設であれば、必ずしも2)MRI(MRCP)は必須でないようです。

閉塞性黄疸を来している場合には、胆道ドレナージという黄疸を改善するために胆汁の流を改善させる治療を行います。

その治療ではカテーテルを使用するため、胆管壁が影響を受けて、胆道壁の進展度診断が困難となってしまいます。

そのため、胆道ドレナージを実施する場合には、事前にCT、MRIとともに3)ERCPを行っておくことが望ましいでしょう。

また、十二指腸乳頭部癌が疑われる場合には、CT、MRIに加えて4)上部消化管内視鏡検査を行い、腫瘍が疑われた場合には5)生検を行います。これらの検査は、第3段階での検査に含まれます。

 

ガイドラインは有用であり尊重すべきですが、個々の症例においては必ずしもベストな指針ではないこともある、ということです。

 

(明日に続く)

取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ4症例の研究

 

新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。

 

以下は、取材記事を下敷きとし、加筆や編集部分は赤い文字として区別しました。

症例3:結婚記念日のクルーズ船旅行が… 夫を失った妻が語る1か月半

4月4日取材 社会部 山屋智香子
集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船して夫婦ともに感染。夫は発症から1か月半で亡くなりました。妻は「夫の死を無駄にしたくない」と感染症特有の怖さと無念さを明かしました。初めて語ったという経験をできるだけ詳細にお伝えするため、インタビューを一部整理した上で紹介します。

症例3(その6)

 

第6節:夫に届いた妻の言葉

3月5日、血圧が急速に下がっていると病院から連絡が入る。近づくことさえできない夫に、妻は看護師を介して言葉をかけた。夫婦の間だけで通じるニックネームで
看護師さんが「何か奥さんが彼に声をかける、何か言葉ってないですか」って言われたから、「ジョン。ジョンって呼んで。ジョンって呼びかけて」って言ったのね。

 

「ジョン愛しているよ。来ているよってそういうふうに言って」って言ったのね。そしたら、看護師がそれを伝えてくれたの。そしたら看護師が、ふっと立ち上がってティッシュペーパー取って、それで彼の目元を拭いてくれたんですよ。

 

ジョンっていうのは、数年前にメガネを買い替えたいっていうんで、行きつけの眼鏡屋さんに行ったのね。そしたら丸い眼鏡がすごく似合ったんですよ。それがジョンレノンが掛けてる丸い眼鏡だったの。彼気に入って買ったのね。で、「これからジョンて呼ぶわね」って言ってね。だからジョンっていうのは私たちだけの呼びかけ。誰も知らない。

 

ああ、その言葉が届いたのかしらって。やっとそばに来てくれたという、多分、彼はそういう安堵感もあったかもしれないし。まさか涙流すなんて想像もしてなかったから。
 

それはもう本当に切なかった。あんな状態でも分かってくれたのかしらっていうか。ジョンなんていうのは私だけしか呼びかけない言葉だから。

 

そしたら彼がそこまで耐えてきた、いろんな機械をつけられる怖さだとか、それから何だろう、痛みもあっただろうし、それから寂しさだとか孤独だとか。そんなものをものすごく、ものすごく感じてしまって。もう本当に涙が止まらなかった。それで何回も何回も看護師がそういうふうに呼んでくださってたら、そのうちに血圧が戻り始めてね。それで一応安定はしたんですけれどね。

 

<明日へ続く>

週間<外国語>旅行

 

<新型コロナ対策:北京中医薬大学国学院院長、李良松大学院教授からのアドバイス!>

 

新型コロナウイルス肺炎蔓延制御に対する古代疫病対策からの啓発No2

 

 

古代瘟疫治验对新冠病毒肺炎疫情防控的启示

说天下

 

2020年02月11日

新型コロナウイルス肺炎蔓延制御に対する古代疫病対策からの啓発

 

2020年2月11日

中国古代关于瘟疫的防治,正是建立在丰富的实证治疗基础之上。无论是伤寒、温病还是风温、毒疫(包括了鼠疫、霍乱、麻疹、天花等烈性传染病),都是通过中医药的防控手段与诊疗措施,从而得到了有效的控制和治疗。中医的早期介入、早期预防、早期治疗和早期康复是必不可少的重要手段与举措。

 

 

古代中国での疫病予防は豊富な先験的な治療法に基づいていました。

 

チフス熱、温病(註6)、風熱(註7)、あるいは病毒性疫病(流行病、コレラ、麻疹、天然痘その他の感染症を含む)、これらは中医学の予防制御法や診断法によって効果的に制御され治療されてきました。中医学による早期介入、早期予防、早期治療および早期リハビリは不可欠で重要な対策なのです。

 

(註6)温病:

中国医学の病の一つ。種々の発熱性急性伝染病の総称。その内容は時代によって必ずしも同じではありません。外邪によって起こされるとされていた瘟疫、天行病という語もほぼ同じ意味に用いられています。温病の概念は明代の王履の《医経溯洄集》,呉有性の《温疫論》により確立されました。ただし、「傷寒」も伝染病であるが、温病には含めません。

(註7)

風熱:急性の上気道炎でよくみられる病態です。風邪(ふうじゃ)が熱邪(ねつじゃ)を伴う場合です。

 

まだウイルスが発見されなかった遠い昔の古代の中医学では、かぜの症状を季節因子の一つである風が運んできた病邪(びょうじゃ)を「風邪(ふうじゃ)」と考えました。外感病といって、身体外から病邪が侵入して発病するというメカニズムとして考えれば根本的にはこれと矛盾しません。現在でも、かぜには「風邪」の文字が使われるのはこの名残といえるでしょう。

 

日本漢方でも、かぜの状態は、気候や環境の変化に身体が対応できなくなって起こる状態の一つ、と考えてきました。そのため、身体本来の機能や免疫を高める作用によって、かぜの症状を緩和させていきます。漢方では、身心全体の状態によって戦略的にかぜの治療方針を決めます。
 

漢方の考え方では、かぜは大きく2つに分けられます。ひとつは、はじめに背中がゾクゾクッとするタイプ。もうひとつは、のどが腫れて痛むタイプです。前者を「風寒のかぜ」、後者を「風熱のかぜ」と呼びます。
 

それぞれのかぜに対し、アプローチの方法が大きく異なるので鑑別が必要です。現代西洋医学には、このような概念が欠如しているために、マニュアル通りの処方によって、しばしば誤治をもたらします。如何に厳密な診断をしても、仮にそれが正しい診断であっても、良くなるか、悪化するかの身体の反応性は人によりけり、体質によりけりなのです。

 

漢方の考えでは「風寒のかぜ」は身体を温めて熱を発散させます。逆に「風熱のかぜ」は炎症性の症状なので、炎症を冷ましながら熱を発散させるのです。
 

タイプにより選ぶ漢方薬は異なりますので、「カゼ」と一括りにしないで、まずは自身の症状をしっかりと認識することが大切なのです。

 

胆道がんを疑うまで

 

胆道がんと膵臓がんは、発見することが難しいがんです。しかし、少しでも早期発見・早期治療に結び付けていくための工夫と努力は、日常診療においても必要です。

 

胆道がんとは、胆管がん(肝門部領域胆管がん、遠位胆管がん)、胆嚢がん、十二指腸乳頭部がんを含めた総称です。

 

国立がん研究センターの最新がん統計によれば、日本における2016年の胆嚢・胆管がんの罹患数は男性11,641人、女性10,699人で、それぞれ全体の2.1%、2.9%を占めます。

2017年の胆嚢・胆管がん死亡数は男性9,237人(部位別8位)、女性は8,942人(部位別7位)です。

 

胆道癌領域では、その疾患自体の希少性からレベルの高いエビデンスが少ないのが現状です。そのため、実際の診療は施設間格差があります。

 

わが国における「胆道癌診療ガイドライン」は2007年に初版が出版されて以来、2019年に第3版が出版されました。本ガイドラインは臨床質疑形式で、これに対する推奨、その推奨度、推奨に至る過程が解説されています。杉並国際クリニックでも、2019年の最新のガイドラインに基づいて、少しでも胆道癌の早期発見に努めたいと考えます。

 

胆道癌の診断で手掛かりになるのは、ガイドラインに提示されている「胆道癌診断のアルゴリズム」です。

 

まず、胆道癌の存在を疑うことから始めます。その対象は、ハイリスク症例です。胆道癌になりやすい患者さんを選別し、臨床症状を確認することになります。

 

胆道癌の危険因子は、膵・胆管合流異常原発性硬化性胆管炎が挙げられます。とくに、胆嚢がんでは膵・胆管合流異常が挙げられますが、十二指腸乳頭部がんの危険因子は不明です。しかも、膵・胆管合流異常では発見困難な胆道非拡張型が主であるなど、危険因子であるこれらの疾患の存在を確認することは実際上、容易ではありません。そこで、頼りになるのは臨床症状ということになります。

 

胆道がんを疑う臨床症状として、ガイドラインは、黄疸、右上腹部痛、体重減少などが挙げています。しかし、実際の日常診療での客観的所見は、黄疸が最も明らかすが、体重減少は胆嚢がんではその傾向がありますが、その他の胆道癌では、癌が相当進行しない限り、明かな体重減少は認めません。したがって、疸の原因が癌であるとするならば、ほとんどが進行がんであることを覚悟して診療の手続きを踏んでいかなければならないと考えます。

 

また、自覚症状として、胆管閉塞では、黄疸がなくとも痒みが先行することもあり、しつこい痒みを訴える患者さんに対して、胆道系の検査を行うことで胆道癌の早期発見に繋がることがあると考えます。

 

ただし、胆嚢がんの場合は、胆石や胆嚢炎が合併すれば、疼痛を呈することによって、初期段階で発見できた経験があります。その症例は紹介先の病院で胆嚢摘出術のみで完治できました。

 

(明日に続く)

 

取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ4症例の研究

 

新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。

以下は、取材記事を下敷きとし、加筆や編集部分は赤い文字として区別しました。

症例3:結婚記念日のクルーズ船旅行が… 夫を失った妻が語る1か月半


4月4日取材 社会部 山屋智香子

集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船して夫婦ともに感染。夫は発症から1か月半で亡くなりました。妻は「夫の死を無駄にしたくない」と感染症特有の怖さと無念さを明かしました。初めて語ったという経験をできるだけ詳細にお伝えするため、インタビューを一部整理した上で紹介します。

 

症例3(その5)

第5節:近づくことさえできない 感染症の現実

妻の症状は軽く、3週間ほどで退院。すぐに夫の元に駆けつけたが、ICUのガラスの向こうに夫はいた

行ったらICUのガラス越しに見る彼は本当に全て管につながれちゃっていて。目の前におっきなECMOがあって。血を取って、それを循環しながら酸素を入れて、それでまた体に戻すというそういう機械だから、かなり大きな機械で。それで酸素がどんどんどんどん入って出てるのも分かるし。それで管も赤い血が流れているというか。顔もよく見えない、顎ぐらいしか見えない。
 

ガラス越し。全然向こうの音も聞こえないから。
ぼう然としてる時に、先生が時系列で彼の肺の写真、見せてくれたのね。

そしたらもう、入院した時から相当に白くて、その白さがどんどんどんどん日を追って増すばっかり。

それで途中で肺にたまった水を抜いた時に、少しだけその曇りがとれてるんだけど、また翌日からは白くなっていくという。「確実に悪い方に向いています」というふうに言われて。

それで「検体を送ってもいいですか?」と言われて。彼のこういう状態が無駄にならないように、そうしてくださいっていう同意書にサインしましたね。

 

もうこれは助からないなと思った。

うん。これはほんとに彼がどのぐらい頑張るかの問題で、回復して帰れるとかっていうことは、もうあれ見たら考えられもしなかった。

 

でもお医者さんと話しする時にめそめそ泣いてはいられなくて、きちんとした説明を聞かなきゃなんないと思って、必死に頑張っていたし、それでとにかく彼の死が無駄にならないように。無駄死にはさせたくないから、検体、どこの検体でも、とにかく役に立つものだったら、それによって救われる人がいるんだったら研究に回していただきたいということは言いました。

 

<明日に続く>

<聖楽院>

 

聖楽療法の体系構成

 

第一部では、聖楽療法の理論の背景としての心身医学について概説し、そのうえで新しい心身医学の考え方を明確にしました。

 

第二部は、聖楽療法の拠点としての聖楽院とは何かについて、その起源を述べ、いくつかの心身医学的アプローチをどのように応用して発展してきたかを省察します。

 

それでは、「第二部 聖楽療法 理論と実践の性質」のアジェンダを示します。

 

第3章 臨床聖楽法の起源と基礎

 

第4章 臨床聖楽法における芸術音楽の価値

第5章 臨床聖楽法の理論的根拠、実践、意味

第6章 音楽療法モデルにおける臨床聖楽法の考え

第7章 現代の音楽療法の枠組みにおける臨床音楽法の考え

 

今月は引き続き第3章 臨床聖楽法の起源と基礎

をすすめています。

 

前回は、媒体としての音楽―臨床聖楽法理論の一つの基礎

手段に内在する媒体としての音楽でした。

 

それでは本題に入ります。

 

第3章 臨床聖楽法の起源と基礎

媒体としての音楽―臨床聖楽法理論の一つの基礎

手段に内在する媒体としての音楽

 

(1)療法の結果とは何を意味するのか?

 

(2)音楽的な結果は、非音楽的な結果とどのような違いがあるのか?

 

 

(1)療法の結果とは何を意味するのか?

 

エイゲンは、音楽を媒体として考える立場から、クライエントが音楽に参加する療法的価値とは、クライエントが音楽と出会って起こる事柄を指す、としています。

そして望ましい臨床的な結果とは、クライエントが音楽と受容的または能動的に係りながら、その時々の瞬間に起こることである、とします。

つまり、音楽的な体験を通じて起こる出来事が療法の目的となる、という主張です。そして臨床における場合と非臨床の状況での美的体験には違いがあるとしながらも、体験そのものに価値があるという類似性に言及しています。

 

 

(2)音楽的な結果は、非音楽的な結果とどのような違いがあるのか?

 

エイゲンは、第一に「音楽の中で起こることはすべて音楽的である」という信念をもとに、「能動的・受容的な音楽への係りの中で起こること」を音楽的な結果として定義しています。

 

第二に、音楽的な用語を用いて説明することのできる体験のみを、音楽的結果と考えるとしています。

しかし、エイゲン自らがこれらの簡潔な答えが最終的には不十分であるとしています。その理由は、そもそも音楽とは何かという定義からして、不可能ではないにしても難しいからです。

また、多くの人が、非音楽的と思う体験を、音楽を通じて得ているからです。

 

エイゲンは、音楽的な用語を用いて説明することのできる体験のみを音楽的結果とする場合の例としては、ノードフ・ロビンズ音楽療法において、クライエントのテンポの幅、声域、フレージング、様々な音楽体験に受容的に係る能力などを焦点として実践を行っていることを挙げます。

そして、エイゲンは、「人が音楽に自分を一体化させる度合いが深くなるほど、音楽自体が具体的に描写されたり体験されたりする度合いは低くなる」という信念を示しています。

それにもかかわらず、音楽と融合したり、自己のアイデンティティを超越したりするといった最も深いレベルの音楽的体験の性質を音楽的用語で特定化することは適切でないし、不可能でさえあることに言及しています。

 

ある人が音楽の中に完全に没入してしまえば、外的存在としての音楽は消滅し、その具体的な性質は体験する者にとって最重要な事柄ではなくなります。そのかわりに音楽と一体となることで得られる体験こそが最も突出した体験になります。

エイゲンは、これを「音楽を体験するのではなく、音楽として自分自身や外界を体験すること」としています。

そのうえで、「クライエントが音楽と融合したために、音楽的要素がクライエントの自主的な関心の中では重要でなくなったとき、セラピストにとって音楽的要素が最も重要なものとなる。」とも述べています。

 

エイゲンの音楽中心理論は、音楽そのものを見つめ、音楽こそが関心を向けるべき最大の現象であるという認識に立ったものです。そこで音楽中心の理論家にとって主要な課題は、「音楽と人間の健康について、音楽中心の立場と一致するような見解を言葉で説明する作業である」とします。

さらに「人間が音楽に係ることについて、広い基盤に立った包括的な考えが、音楽中心の臨床の枠組みにとって最も重要な要素」であるという結論を述べています。

ここで、エイゲンは音楽の定義が難しいこと以上に、人間の健康について、どのように理解しているかについては全く触れていません。

そこが臨床聖楽法との大きな違いです。また、エイゲンは「音楽的な用語を用いて説明することのできる体験のみを音楽的結果」と主張していますが、人間の健康について音楽的な用語のみを用いて説明しることが困難であることをどのように設営するのかも不明です。

臨床聖楽法では、人間の健康を心身医学的さらには全人的な次元で定義すると同時に、音楽的結果をも音楽用語のみならず心身医学の用語を用いて説明する作業を行おうとするものなのです。

 

 

週間<外国語>旅行



<特集:ポルトガル再発見No2>

 

Diário de Notícias 

リスボンで発行されているポルトガルで最も有名な全国紙であり、内容は、政治から文化、スポーツなど多岐に渡っています。

ポルトガル政府のスポークスマン的な存在の新聞です。しかし、これは単なる御用新聞以上の価値を持っているようです。弁護士資格をもつコスタ首相も苦渋の選択を迫られる中、コロナパンデミックに対する封じ込め解除計画において揺るぎない決断をしました。

 

"Nunca terei vergonha ou qualquer rebuço de dar um passo atrás."

「私は決して恥じることも退く理由もないであろう」

 

E numa situação de pandemia tanto se pode avançar como recuar, fez questão de deixar claro António Costa: "Nunca terei vergonha ou qualquer rebuço de dar um passo atrás se isso for necessário para garantir esse bem essencial que é a segurança dos portugueses", disse no Palácio da Ajuda.

そしてパンデミック状況次第では、前進することも後退することもありうることをアントニオ・コスタは論点を明らかにした:「ポルトガルを安全にするという重要課題を保証するためには、私は決して恥じることもないし、退く理由も決してない」とアジュダ宮殿で述べた。

 

Umas horas depois, acrescentaria numa entrevista à RTP: "Cada vez que eliminarmos uma restrição, o risco de contaminação aumenta." Daí apelar aos portugueses que mantenham os mesmos cuidados. Desconfinar não significa que se pode afrouxar as medidas de proteção individuais, como o distanciamento social, a etiqueta respiratória e a lavagem das mãos que continuam a ser uma regra... a que, em alguns casos, se juntou a obrigatoriedade uso de máscaras comunitárias, como nos transportes públicos (onde haverá multas), comércio, espaços fechados e escolas (que reabrirão para o 11º e 12º anos dia 18 de maio).

数時間後、彼はRTPへのインタビューで追加します。「規制を解除するたびに、汚染のリスクが高まります。」 だから私はポルトガル人にこれまでと同じケアを続けるように訴えます。確定できないからといって社会的距離、呼吸エチケット、手洗いなどの個別の予防手段を緩和してもよいということにはなりません。これは変えてはならないルールです...場合によっては、コミュニティ・マスクの使用義務を加わります。それは、公共交通機関(罰金がある場合)、商業、閉鎖されたスペース、学校(5月18日の11年目と12年目も再開される)の場合と同様です。

 

Uma mudança radical na vida de quem tem filhos pequenos é precisamente poder deixá-los na creche a partir de dia 18. Mas porque sabe que este é um dos temas mais controversos do desconfinamento, e por compreender que há quem tenha receio dos seus filho contraírem o vírus, Costa decidiu manter o apoio financeiro às famílias que optarem por ficar com os filhos em casa, até ao final do ano letivo (26 de junho). O uso obrigatório de máscara não se aplica às creches.

幼い子供をもつ人たちの生活の大きな変化は、まさに18日から保育所に子供を預けることができることです。しかし、これが封じ込め解除の事案中で最も物議を醸す問題の1つであることを受け止め、そして子供がウイルスに感染するのを恐れている人がいることの理解を示すため、コスタは、子供と一緒に家にいることを選択する家族への財政的支援を維持することに決めました。 コスタは学年の終わりまで(6月26日)、子供と一緒に家にいることを選択した家族への財政支援を維持することを決定しました。 マスクの使用義務は保育所には適用されません。

 

Fechar

終わり