聖楽療法の体系構成

第一部では、聖楽療法の理論の背景としての心身医学について概説し、そのうえで新しい心身医学の考え方を明確にしました。

 

第二部は、聖楽療法の拠点としての聖楽院とは何かについて、その起源を述べ、いくつかの心身医学的アプローチをどのように応用して発展してきたかを省察します。

 

それでは、「第二部 聖楽療法 理論と実践の性質」のアジェンダを示します。

第3章 臨床聖楽法の起源と基礎

第4章 臨床聖楽法における芸術音楽の価値

第5章 臨床聖楽法の理論的根拠、実践、意味

第6章 音楽療法モデルにおける臨床聖楽法の考え

第7章 現代の音楽療法の枠組みにおける臨床音楽法の考え

 

今月は引き続き第3章 臨床聖楽法の起源と基礎
をすすめてきました。

前回は、音楽中心の実践の核としての芸術音楽活動
というテーマでした。

 

今回は新しいテーマに入ります。

 

第3章 臨床聖楽法の起源と基礎

 

音楽中心音楽療法の基礎としての音楽の理論の必要性
音楽療法の固有理論は必然的に音楽に基礎を置いたものなのかどうか?

 

1) 音楽療法の学問的・職業的故郷はどこか?

 

2) 「固有」ということをどう定義するか?

 

音楽療法理論が強固で包括的な基盤をもち、また広い応用範囲の可能性を開拓することは、新しい方法論である臨床聖楽法にとってはとても大切なことです。

そのためには、音楽中心音楽療法が試みているメタ理論的な考察が有用です。

ある現象を説明するためのメカニズムは、特定の領域の機能の基本的な部分と概念的に一致すべきであるということ、そして、音楽療法の治療理論が、広く受け入れられている音楽という概念に基づくものであれば、それはより強力で一般的に応用が利く理論であるということになります。

 

アイゲンは、音楽療法の理論を三分類し、再構成理論、連結理論、固有理論としました。ただし、これらは連続的なもので、対象となる理論が、音楽療法独自の起源と特性をどの程度持ち合わせているかという相対的な評価によるものとしています。

そして、固有理論とは、音楽療法の領域から発生した独自の理論であるとしつつも、自身の領域以外にどこにも起源を持たないという概念の起源の問題というより、音楽療法の中で、音楽を基礎とした固有の概念を発展させるために外部の要素を用いるという、応用され方にあることを説明しています。

そして固有理論と音楽中心理論に間には概念的な違いがあるのだが、固有理論は往々にして音楽中心であるとします。

 

アイゲンは、固有理論を発展させる際に、他の領域からの知識をどのように用いるのが最も有益かを常に意識することの大切さを訴えます。理論は既知の知識や創造的思考、直感、応用分野に精通していることの結果としての既存の理論を推論することで生まれます。

 

他の分野からのアイデアは、私たちの意識を拡大し、フィールド、力、エネルギーなどといった概念を通じて、類似性、モデル、比喩を示し、音楽療法の固有理論を考えるためのインスピレーションを与えることによって固有理論を発展させるという価値を持ちます。

 

音楽中心療法理論では、メタ理論的な考察によって、ある理論が音楽中心で一般的な理論かどうかを判断しています。

音楽療法の理論と実践も、音楽についての信頼性ある幅広い見解に基礎を置くべきです。音楽療法も心理療法もそれぞれに、私たちに、音楽について、そして人間のパーソナリティについて多くを教えてくれます。音楽中心の立場では、臨床と非臨床における音楽の使用についての連続性を主張し、音楽療法における音楽的な体験は一般的な音楽の概念と関連していると考えます。

東京歯科大学市川総合病院循環器科の大木先生は、新型コロナウイルスに関して、とてもわかりやすい解説を掲載されています。御経歴からすると私より大分若手であるようですが、見習いたいと思いました。

 

私は、同市内にある昭和学院短期大学の客員教授として10年ほど勤務していたことがあり、この病院の前は数えきれないくらい通過していたのを懐かしく思い出します。


『知っておきたい新型コロナウイルス感染症COVID-19』

 

【新型コロナウイルス感染症の症状】

不顕性感染の患者さんが多い一方、発熱、倦怠感、咳、および味覚や嗅覚の低下などの症状を有した顕性患者さんも相当数います。症状は人によってさまざまで、微熱が数日続く人から38℃以上の発熱が1週間も続く人まで、喉が痛くなる人がいたり、咳がひどい人がいたりと、おおむねいわゆる風邪の症状に近いものです。

新型コロナウイルス感染症特有の症状というものはなく、風邪かなと思われて感染に気づかない患者さんを多くしている一つの原因となっています。顕性感染と不顕性感染の割合はわかっていませんが、偶発的に発見される不顕性感染が報告されていることから、全体に対する不顕性感染の割合はかなり多いことが想像されます。

顕性となるのは全体の1割程度、9割、あるいはそれ以上が不顕性である可能性さえあるのです。更に、潜伏期間がどのくらいかもわかっていません。潜伏期間とは、ウイルスが体内に入った時から何らかの症状が出現するまでの時間のことですが、何の症状も出現しない不顕性感染者が多数いる以上、統計さえ取るのは困難です。一説には潜伏期は2週間、あるいはそれ以上とも言われています。

潜伏期間中でも人にうつしてしまうことがあるとも言われていますが、潜伏期なのか、不顕性感染なのかわからないので、それも正しいことはわかりません。正確なことは研究の結果、数年後に判明します。厚生労働省から発表される患者数は顕性患者数ですから、不顕性患者さんはその数倍いて、潜伏期間の患者さんを含めると、全体の感染者数は発表数の数十倍なのかも知れません。

こうしたことが新型コロナウイルス感染症への対応策を難しくさせ、先進国であっても油断をするとパンデミックを生じてしまうのです。現在までの報告から推察すると、症状のある人では潜伏期は平均5日間ほどかと思われます。ウイルスが体内に入ってから約5日で何らかの症状が出現し、風邪かな、と思って医療機関を受診し、その後数日様子を見ているうちに肺炎などを発症し、そこで検査を受けて1〜2日で陽性と判断されているようです。

 

<参考情報>

WEB医事新報:

 

インフルエンザの不顕性感染者が感染源となる頻度

 

No.4715 (2014年09月06日発行) P.66

 

回答者:高橋和郎 (大阪府立公衆衛生研究所副所長・感染症部長)

 

Q「不顕性感染のインフルエンザは,ほかの人への感染源となりうるか。」という岩手県の医師からの疑問(2014年)は私も同様に懸念していることです。以下は、その回答の結論部分の抜粋ですが、質問者の懸念はご尤もであり、回答者の考え方も変化してきている可能性があります。

 

A(抜粋)「インフルエンザ患者からエアロゾルを介した空気感染により感受性者にウイルスが伝播することは可能と考えられる。ただし,不顕性感染者からの感染の成立に関しては,呼気により排出された少量のウイルスがいつまで空気中で活性を保っていられるのかという点も考える必要がある。不顕性感染者がウイルスの高排出者であり,乾燥した環境下で,免疫力の低い感受性者が家族内のように比較的長時間,近距離で接触するような,特別な条件を備えた場合には感染が成立する可能性は否定できないが,現実的には感染が成立する場合は稀であると推測される。この点についてはインフルエンザの公衆衛生上の感染防止対策を考える上で重要であり,今後解決すべき研究課題である。」

 

<コメント>

 例年、インフルエンザワクチンの接種時期になると、「私は罹患したことが無いので」という理由で拒否される方が少なからずいらっしゃいます。

不顕性感染者による感染拡大のリスクは、新型コロナウイルスに限らずインフルエンザでもすでに観察されていました。

ただ、インフルエンザの検査キットで陰性の結果が出たことを理由として油断してしまい、他者への感染を広げてしまう方々も少なくないことでしょう。

少なくとも、自分の利益ばかりでなく、家族や同僚その他、関わりのある多くの人々のためにワクチンを接種するのは社会的マナーとして認識していただきたいと思います。それがひいては新型コロナの社会的問題の早期解決にも役立つものと考えています。

 

<明日へ続く>

取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ5症例の研究

 

症例が増え、5症例目となりました。

新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。

 

以下は、取材記事を下敷きとし、加筆や編集部分は緑文字として区別しました。


症例5:ガラス越しに 夫にトランシーバーで呼びかけた

4月7日取材 社会部 山屋智香子

新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。関東地方に住む50代の男性は新型コロナウイルスに感染し一時、重篤となりました。妻が、夫の発症から治療、そして感染者の家族だからこそ思うことを語りました。

 

症例5(その4)

第5節:ガラス越しの呼びかけはトランシーバーで 

ECMOは外すことになったが、夫はその後、徐々に回復し意識が戻った。4月7日の面会ではトランシーバーを使って夫に呼びかけることができた

中には入れませんので、先生が中と外をつなぐ電話のようなものを用意してくださって、看護師さんがそれを夫の耳元に当ててくださって、私の声を聞いてもらった。

ただ気管切開していて声を出すことができないので、私のことばがわかっているのかわかっていないのか、それはわからない。本人はもどかしいと思いますけど。とりあえず近況と、家族はみんな元気でいること、みんなが心配していることと、よくなったら何しようってことを話しました。

 

寝ている間は命をつないでほしいということを思っていましたけど、目を覚めたときに何もしてあげられないというのはもどかしい(よくわかります。医師や看護師も同じか、それ以上の衝動に駆られやすいのです。このような場合、何をするべきか、ということより、どのようにあるべきか、が大切であるとされます。そうした分別が無いと、自分のその場のもどかしさに負けて、つい余分で有害なことをして、かえってその後の患者の容態を悪くしかねないのが信仰の力の乏しい大方の凡人なのです。私自身も決して例外ではないので、肝に銘じております。)気持ちにかられてですよね。

 

横で声をかけてあげられるのならしたいし、手を握ってあげられるなら握りたいし、足をさすってあげたいと思うけど、それはできない、それはもどかしい。この後どういう過程で回復していくのか、私はわからないから。それに本人が耐えられるのかなとか、そういうことも考えてしまいます。

 

<明日に続く>

米国の隣国、メキシコの現状

 

スペイン語圏は広大です。スペイン本国の他に、中南米の多くの国々ではスペイン語が話されています。

そのうえ米国でもメキシコに接する州では、スペイン語人口の比率が大きいのです。

現在トランプ大統領は、中国との間に、目に見えない壁を建設中ですが、それより以前からスペインとの国境に壁を建設することを公言して、世界中のリベラルな人々の悪評を買いました。

しかし、大統領として、自国の利益を守るために已むに已まれぬ米国の事情があったようにも思えます。

 

 

México supera a China en muertes por Covid; suma 4 mil 767

メキシコはCovidによる死亡で中国を超える、

合計4,767件

 

Coronavirus 15 de mayo. El país confirma 4 mil 767 muertes por el virus, con 45 mil 32 casos de contagios confirmados, según informaron autoridades de la Secretaría de Salud. El número de fallecimiento en México superó al total de muertes reportado donde comenzó la pandemia

コロナウイルス 5月15日 保健省の関係者によると、同国ではウイルスによる死亡が4,767人確認されており、45,32人が確認されている。メキシコでの死者数は、パンデミックが始まった場所で報告された総数を超えている。
それでは、メキシコの医療はどのような状況でしょうか。そこでメキシコ政府からも米国からも独立して活躍している「国境なき医師団」のサイトを訪問してみました。

 

サイトはこちら

 

メキシコ国内で、危険地帯として名高い複数の都市で、国境なき医師団(MSF)は活動を続けている。米国に向けて、中南米から北上する移民・難民や、暴力の被害者に対して、医療と心理社会面のケアを担っている。また、ゲレロ州、米国と国境を接するタマウリパス州レイノサ市では地元の地域社会と暴力の被害者も支援。性暴力の被害者らのケアを担っている。


毎年、数千人が暴力と貧困を逃れようと、中米の「北部三角地帯」と呼ばれるエルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスを出発してメキシコへ入国している。だが、移動してきた人びとは、メキシコで安全な場所や保護を得るどころか、激しい暴力にさらされている。犯罪組織の手に落ちた人びとは拉致、ゆすり、非人間的な扱い、虐待、性暴力、拷問などの被害に遭っている。しかし、こうした犯罪組織は何の処罰も受けることなく、特に国境地帯の都市で、大きな勢力を保っている。また、米国政府の「不寛容政策」と、難民認定の制限に加え、国境警備が強化されていることから、危機は深まる一方だ。


移民の流れは近年と大きく変わるところはないが、2018年は女性、子ども、家族連れで移動する人たちが増加。これまでは男性しか挑んだことのないような、危険なルートをたどろうとしている。


MSFは1985年にメキシコで初めて活動。2018年にはスタッフ188人が活動し、520万ユーロ(約6億7808万円)を支出した。

 

コメント:

メキシコには何ら制裁を受けない犯罪組織がはびこっていて、拉致、ゆすり、非人間的な扱い、虐待、性暴力、拷問などの被害に遭っているが、その根本が暴力と貧困、そのうち貧困こそが諸悪の原因であるといえるかもしれません。

中米の「北部三角地帯」と呼ばれるエルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスからの避難者がメキシコへ入国してくるのだとしたら、メキシコが一定程度、米国への防波堤というか、関所の役割を担っていると考えるべきでしょう。

そこで、本来であれば、米国もメキシコと協力して、メキシコに多くの難民が流入しなくても済むような、より根本的な対策を建てることが望まれます。貧困問題を解決しないと、疫病の犠牲者も増え続けることになるのではないかと思います。

日本感染症学会特別寄稿

 

感染症に対する漢方治療の考え方

金沢大学附属病院漢方医学科 小川 恵子

 

4.普通型の軽症

(1) 寒湿鬱肺(寒湿という邪で肺機能が低下する)

臨床症状:

発熱、倦怠感、筋肉痛、咳嗽、痰、胸の不快感、消化不良、食欲不振、吐気、嘔吐、排便の不快感。舌質は淡紅(ほぼ正常な色)、腫大歯痕があり、 苔は白厚膩(厚くペンキを塗ったような苔) 。

 

推奨処方:

生麻黄 6g、生石膏 15g、杏仁 9g、羌活 15g、 葶藶子 15g、貫衆 9g、地龍 15g、徐長卿 15g、藿香 15g、佩藍 9g、蒼朮 15g、雲苓 45g、生白朮 30g、焦 三仙各 9g、厚朴 15g、焦檳榔 9g、煨草菓 9g、生姜 15g

 

エキス剤の場合 麻杏甘石湯+参蘇飲+平胃散 左 3 剤を一緒に服用

消化器症状が無いか軽度ならば、越婢加朮湯+麻黄湯(大青龍湯の方意)左 2 剤を一緒に服用

 

(2) 湿熱蘊肺(湿熱という邪で肺機能が滞る)

臨床症状:

微熱あるいは無熱、微冷感、倦怠感、頭が重い、筋肉痛、渇いた咳、痰少なく、喉の痛み、口の渇き、胸の不快、無汗か汗が出づらい、吐き気、食欲不振、食欲不良、便が緩くもしくは粘りがあり出にくく不快感を伴う。舌は淡紅、舌苔は白厚膩 または薄 黄。脈は滑数または濡。

 

推奨処方:

檳榔 10g、草菓 10g、厚朴 10g、知母 10g、 黄芩 10g、柴胡 10g、赤芍 10g、連翹 15g、青蒿 10g(後 下)、蒼朮 10g、大青葉 10g、生甘草 5g。

 

エキス剤の場合 荊芥連翹湯+半夏厚朴湯 左 2 剤を一緒に服用

消化器症状が強ければ、柴苓湯+平胃散 左 2 剤を 一緒に服用

 

5.重症の場合 (1)湿毒鬱肺症(重度の湿邪により肺機能が低下)

臨床症状:

発熱、咳をするが痰が少ない、あるいは痰が黄色い、呼吸困難、腹満、便秘などを伴う。舌は暗赤色、腫大、舌苔は黄膩または黄燥。脈は滑数脈或いは弦滑。

 

推奨処方:

生麻黄 6g、苦杏仁 15g、生石膏 30g、生薏 苡仁 30g、茅蒼朮 10g、広藿香 15g、青蒿草 12g、虎 杖 20g、馬鞭草 30g、乾芦根 30g、葶藶子 15g、化橘 紅 15g、生甘草 10g。

 

エキス剤の場合 麻杏甘石湯+竹筎温胆湯+ヨクイニン 左 3 剤を一 緒に服用

 

便秘がある場合には、上記 3 剤+大黄甘草湯

 

(2)寒湿阻肺症(寒と湿が結びついたことにより、肺機能が低下)

臨床症状:

微熱、身熱不揚(つよい熱感があるが体表部には甚だしい熱がない)或いは熱はない、空咳、痰が少ない、倦怠感、胸が苦しい、胃の膨満感と不快感、或いは吐き気がする、下痢便。舌質は淡紅、舌苔は白 または白膩、脈は濡。

 

推奨処方:

蒼朮 15g、陳皮 10g、厚朴 10g、藿香 10g、 草果 6g、生麻黄 6g、羌活 10g、生姜 10g、檳榔 10g。

 

エキス剤の場合 五積散(通常の倍量を用いる)

 

 

 

杉並国際クリニックからの追補

小川先生や私が共通して注目している情報源とは、新型コロナウイルス感染症「COVID-19」( coronavirus disease 2019)に対して、中国では、 中国国家衛生健康委員会が新型コロナウイルス感染症に関する中西結合医療のガイドライン 「新型冠状病毒肺炎診療方案」(試行第六版、2020 年 2 月 18 日発布)(novel coronavirus pneumonia diagnosis and treatment plan, provisional 6th edition) です。

 

その中では、下記の臨床病期に分けられ、様々な方剤が使われています。

軽型 (1)寒湿郁肺証 (2)湿熱蘊肺証

普通型 (1)湿毒鬱肺証 (2)寒湿阻肺証

重型 (1)疫毒閉肺証 (2)気営両燔証

 

中医のガイドラインが示す推奨薬は、COVID-19感染症の臨床症状を良くとらえていると思います。

それは肺炎に焦点を当てていることからうかがえます。西洋医学よりも、病態を詳細に観察し、いくつかのパターンに分類して処方を決定する方法は優れていると思います。

 

小川先生の訳でも、「概ね肺機能が低下」、「肺機能が滞る」とされていますが、

郁肺、蘊肺、鬱肺、阻肺、閉肺は本来それぞれ異なる肺の病態があるものと思われます。

 

それぞれは古い古典の専門用語であるため、現代中国語辞典でも検索できません。

 

とても気になるので、いずれしっかり勉強したいところです。
さて、このような場合でもあきらめず、結果でなく原因を検討してみるのが良いでしょう。

 

寒湿、湿熱、湿毒、疫毒

整理してみますと、寒の邪、湿の邪、熱の邪、疫毒すなわち疫病ウイルス類ということになります。

 

寒熱や湿気に曝されて免疫力が低下するとウイルスに感染し易くなるのは確かです。

ですから、気温の変動が大きく体温調整が不十分になると感染のリスクが高まります。

重型(重症タイプ)の気営両燔の燔とは焼くと読むことから、気分も営分も両方とも熱や炎症で焼けている状態を指すものと推測することができます。

「営ハ血ノ気」とされますから、「気分」すなわち身体諸臓器も「血分」すなわち循環血液中もともに激しい炎症を来している状態とするならば、まさに敗血症の病態に対応するものかもしれません。

東京歯科大学市川総合病院循環器科の大木先生は、新型コロナウイルスに関して、とてもわかりやすい解説を掲載されています。御経歴からすると私より大分若手であるようですが、見習いたいと思いました。


私は、同市内にある昭和学院短期大学の客員教授として10年ほど勤務していたことがあり、この病院の前は数えきれないくらい通過していたのを懐かしく思い出します。

『知っておきたい新型コロナウイルス感染症COVID-19』

 

【新型コロナウイルスの恐ろしいところ】

体内に新型コロナウイルスが入り込み、どこかの臓器で増殖していても、本人は全くそれに気づかないことがあります。

症状のない保菌者であり、目に見えないと言う意味で、不顕性感染と言います。

不顕性感染している人の体内にはウイルスがいて、その人の唾液や汗、あるいは吐息などにもウイルスがいると、知らず知らずのうちに他人にウイルスをまき散らしてしまっている可能性があります。

 

不顕性感染の人から感染したからといって、うつされた人も不顕性感染であるとは限りません。

うつした人は無症状ながら、うつされた人は重度の肺炎になることもあり得ます。

元気そうに見えている人でも体内には新型コロナウイルスが潜んでいる可能性があるのです。

そのため誰が感染しているのか、誰が感染していないのか全くわからず、誰からうつされたかもわからないまま、突然肺炎を発症することがあります。それが感染源不明の患者さん達です。

感染源不明の患者さんが多くなると言うことは、潜在的な不顕性感染の人が多いことが想像され、感染が社会に蔓延していることを示します。

 

キーワード:不顕性感染、症状のない保菌者、潜在的な不顕性感染

 

<キーワード解説>
不顕性感染とは、細菌やウイルスなど病原体の感染を受けたにもかかわらず、感染症状を発症していない状態をいいます。一般に感染しても必ず発症するとはいえず、感染者の大部分がこの不顕性感染となります。発症すれば、顕性感染であり、何らかの自覚症状によって気付くことができます。これに対して症状が現れない場合は、本人も医師もまったく感染に気付くことが出来ません。

これを潜在的な不顕性感染といいます。感染の有無は抗体陽性や遅延型過敏反応など、最近ではPCR検査で確認されますが、感度や特異度の問題が議論されています。不顕性感染の人はしばしば保菌者(キャリア)となり,これが症状のない保菌者であって、病原体を排泄し感染源となる可能性が高いので公衆衛生学的な疫学上の問題となっています。

 

<明日へ続く>



取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ5症例の研究

症例が増え、5症例目となりました。


新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。


以下は、取材記事を下敷きとし、加筆や編集部分は緑文字として区別しました。

症例5:ガラス越しに 夫にトランシーバーで呼びかけた

4月7日取材 社会部 山屋智香子

新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。関東地方に住む50代の男性は新型コロナウイルスに感染し一時、重篤となりました。妻が、夫の発症から治療、そして感染者の家族だからこそ思うことを語りました。

 

症例5(その3)


第3節:検査を受けるために病院に行った夫は即入院となった 

 

入院したときに本人の肺の写真を見せられたんですけど、前の日に近所の内科で撮った肺の写真と比べると、ちょっと進行している、このスピードで進行していくとかなりよろしくないと(医師の判断通りだと思われます)

でもなんだか私は実感がわかなくて。写真を見せられても本人のものなのかな(素人目にも明らかな変化?ならば要注意‼)って、半信半疑というか。

そんなに悪くなっているように見えなかった(自覚症状の変化よりも画像の変化の方が明かなことが多いです!)から、私は。そのときは本人は普通にできているし、苦しくない(毎日のようにジム通いして鍛えている人は、心肺機能にも予備力があるために、かえって気づきにくいことが考えられます。水氣道®のように運動機能だけでなく感覚機能を養うエクササイズであれば、異変に気付きやすくなり、早期の対応が可能になります。)って言っていて。


でも先生たちは「大変だ大変だ」と。「酸素の値(動脈血中酸素分圧濃度:パルスオキシメータ―での酸素分圧%値だと思われます)がこれ以上下がると危ないです」と言うけど、本人は苦しそうにしてない(急性ではありますが、発症から約1週間かけて徐々に身体が低酸素状態に慣れていくと、呼吸不全状態であっても苦しさを感じないこともあるので要注意です)から、なんかちょっと違う人の写真を見せられているんじゃないかという気持ちはありました。


それが入院した初日の夜中に病院から電話があって、「酸素の値がよくないので、ICUに移していいですか」と言われたんです。それからは、あれよあれよという間に悪くなっていってしまった。


ICUに移った直後に陽性と分かり(この事実は、PCR検査は早期に実施しない限り、結果が判明しても個人の治療には役立たないことの証左の一例です。感染拡大を防ぐ意味や、行政判断のための資料には役立つことでしょう。)、別の病院に転院させるという連絡が入る。妻も濃厚接触者として自宅待機となった


「こちらの病院では新型コロナウイルスに感染した重症患者を診られないので、重症患者を診られる病院に搬送します」と。「人工呼吸器は本来は付けないんですが、向こうの病院から『挿管してきてください』と言われているんで挿管します。ただ、その際は意識が飛びますんで」と言われたんですよ。


転院する前に本人とちょっとだけ電話ができて、「挿管するらしいよ、意識が飛ぶらしいよ」と言ったら「そのほうが楽だからいい」って言って。夫は「ごめんね。かかっちゃった」って。ごめんねなんて言わなくていいのにと思うけど。「気をしっかり持って、早く帰ってきてね」って話しました。それが最後の会話です。


運ばれた先の病院名は聞きましたけど、いつ運ばれてどんな状態なのか全くわからなくて。無事に行ったのかなと思いながらいたら、入浴中に留守電が入っていて「留守電には内容は残せません。また電話します」ということばだけあって、先生のお名前を入れてくださっていたので、夜中の12時すぎで申し訳ないなと思ったんですが電話してつないでもらって、転院できたことがわかったんです。


病状の確認などこちらから電話してもいいかと聞いたら、「ばたばたしていることもあるので、何かあればこちらから電話します」ということで、定期的にお電話いただくことになったんですが、かかってくる電話は悪い電話しかなくて。「よくないんです」って。たいてい「よくないんです」「横ばいです」って言われる。「よくないからこの処置をしたいのですがいいですか」という確認の電話が多かった。

 


第4節:見えないところで進む治療 

自宅から出ることができないなか、夫の症状は悪化する。次々に行われる治療の話を電話で聞き続けるしかなかった
「治療法がまだ確立されていなくて、医療業界でもまだ手探り状態だ(その通りです。だから、初期から適切で安全な漢方薬治療を導入すべきなのです。重症化するまで放置された挙句、副作用が大きく有効性の確立が高くない薬で実験されるのはたまったものではありません。)」と。

「なので、あちらこちらで試されているものを試してみたりはします。中国で試されているHIVの薬(中国には、多くの疫病の歴史と共に永年にわたって培われてきた中医薬があります)を投与することもします」と言われて、投与するときもお電話をいただきました。ただ、効果があるかもわからないし、逆に他の機能を弱めることもあり得ると。わりと最初の頃から「最悪の事態もありえます」と言われていて、それは入院したときから言われているんですよね。


薬を投与した翌週くらいに「気管切開したい」と言われたんですね。「切開したほうが楽になるので」と言われて、今度はその翌日に、「やはり状態がよくない。このままだと命を救う自信がわれわれもありません」と。なので「人工心肺をつけさせてください」と。ECMOですね。「治療ではなくて、ご自身の肺を休ませるためのものです。首と股のところに小指くらいのチューブを入れます。この病院は経験があるので大丈夫です。ただ何かしら支障が出ることもあります」と言われました。


本当は私はECMOは嫌だった(よくわかります。医者だって本当は嫌なのですから)。ECMOを自分なりに調べると、すごいたいそうな機械で、血液を外に出して中に戻すなんて、あんなものをつけると聞いて、かなりショックでした。でも私は医者ではないので、プロに任せるしかないので結局お任せしましたけど、その段階まで行っちゃったというのはショックでした。


2週間の自宅待機が終わり、3月中旬、初めて面会が許された
陰圧室のガラス張りの中に主人が入っていますので、面会できてもそこの外からで、コミュニケーションがとれるかどうかわかりませんと、もともと言われていました。鎮静剤で全く寝たままでしたが、生きててよかったなと思いましたね。


ただ、面会の前の日に担当の先生から「ECMOをつけている弊害でばい菌が体に入って(ばい菌というのは素人に説明する一般用語ですが、細菌だけでなく新型コロナウイルス自体がすでに体に入っているためECMOのせいだけではない可能性があります)、熱も出てきて出血しています(敗血症といい、重篤なショック状態に至ることが危惧される状態です。免疫力が低下した状態では敗血症が生じやすくなります。そして敗血症になるとDIC=播種性血管内凝固を来し、出血傾向を来します。)」と聞いていて、私はその出血が大したものではないと思っていたのですが、結構な出血だったようで、面会に行ったら「血が止まらなくて止血剤を入れていたけれど、それでも止まらないのECMOを抜くことにしました」と言われて、ショックでした。

 

<明日へ続く>

イタリアの最古の全国紙によって、東京の「黒い教皇」の訃報を知る

 

Corriere della Sera紙:コッリエーレ・デッラ・セーラ(Corriere della Sera)は、ナポリ出身のエウジェーニオ・トレッリ・ヴィオッリエール(Eugenio Torelli Viollier)によって1876年3月5日に創刊された現存する中では最古の日刊イタリア全国紙です。

 

この新聞社の沿革が興味深いです。1977年には、当時の与党であるキリスト教民主党との対立により、銀行からの融資を止められ資金難に陥っていた親会社のリッゾーリ社(当時)。この会社に対し、極右政党であるイタリア社会運動(MSI)の幹部で、元フリーメイソンの反共組織である「ロッジP2」のリーチオ・ジェッリ代表が、左派で知られたピエーロ・オットーネ編集長を解雇することを条件に、融資を持ちかけました。その後ジェッリ代表は関係の深かったバチカン銀行のポール・マルチンクス総裁が調達した資金をリッゾーリ社に提供し、その後オットーネ編集長は解雇されました。以降同紙は現在に至るまで保守主義的な論調を取ることとなった次第です。

本社はミラノでRCS MediaGroup S.p.A.が発行しています

 


l lutto
訃報


20 maggio 2020 - 15:22
2020年5月20日 - 15:22

 

È morto padre Adolfo Nicolas, era stato «papa nero» dei Gesuiti
アドルフォ・ニコラス神父死去、イエズス会の「黒い法皇」だった

 

Il 29esimo successore di Ignazio di Loyola aveva 84 anni ed era malato da tempo. È morto a Tokyo, dove era stato a lungo studente e poi docente universitario
di Gian Guido Vecchi
イグナチオ・ロヨラの第29代後継者(註:元イエズス会総長)は84歳でしたが、しばらくの間体調を崩していました。長い学究生活の後、大学教授を務めていた東京で亡くなった。
ジャン・グイド・ヴェッキ記

 

CITTA’ DEL VATICANO
バチカン市

 

CITTA’ DEL VATICANO - «Vede, sant’Ignazio era un uomo libero, la libertà che viene quando si sente lo Spirito». La sera del 3 settembre 2012 era arrivato in Duomo per i funerali del cardinale Carlo Maria Martini, l’omaggio del padre generale della Compagnia di Gesù al grande confratello per ventitré anni arcivescovo di Milano. Ed il ritratto che padre Adolfo Nicolás ne aveva fatto al Corriere era insieme una riflessione su ciò che significa essere gesuita, «un figlio di sant’Ignazio fino alla fine», sulla sua stessa vocazione: «C’è un principio di Ignazio molto chiaro: trovare Dio in tutte le cose. Il cardinale Martini aveva un approccio così positivo verso la realtà perché aveva quello sguardo, la visione nella quale Dio lavora in tutto: e ha trovato Dio in tutte le cose, in tutte le persone. Di qui il grande rispetto che aveva per credenti e non credenti, di qualunque origine fossero. Tutti hanno una scintilla di Dio che bisogna trovare».

バチカン市 - 「さて、聖イグナチオは自由人で、その自由とは聖霊を感じたときに訪れるものでした。」2012年9月3日の夜、カルロ・マリア・マルティーニ枢機卿の葬儀のために大聖堂に到着し、23年間ミラノの大司教を務めた偉大な兄弟会士に対してイエズス会総長として敬意を表した。そして、アドルフォ・ニコラス神父がコリエーレ紙上で彼について物語ったことは、イエズス会士であることの意味、つまり「終生、聖イグナチオの息子」についての省察であると同時に、彼自身の召命について次のように述べています:「イグナチオの明確な原則があります。マルティーニ枢機卿がこれほどまでに現実に対して積極的にアプローチしてきたのは、神がすべての人に働いているというビジョンを持っていたからです。それゆえに、彼は、信者と非信者を問わず、その出自にかかわらず、大きな敬意を払っていました。誰もが自分で見つける必要がある神の輝きを持っています」。

 

Padre Adolfo Nicolás è morto a Tokyo, dov’era stato a lungo studente e poi docente universitario, la città più amata nella quale si era infine ritirato dopo essersi dimesso da generale dei gesuiti. Era malato da tempo, l’ultima imagine pubblica risale al viaggio di Francesco in Giappone, il 12 novembre dell’anno scorso, la carezza di Francesco al volto soffrente del suo vecchio superiore durante la visita alla Sophia University.

アドルフォ・ニコラス神父は東京で死去した。彼の地は、長い年月、学究生活から大学教授を経て、イエズス会総長を辞して最後に引退した最も愛していた場所でした。彼は近年病に侵され、公の最後の写真は、去年の11月12日に教皇フランシスコの訪日に際して訪れた上智大学訪問の折に、老いて患うかつての上長(註:アドルフォ・ニコラス神父)の顔に教皇が愛撫している姿であった。


解説:現教皇フランシスコは1958年3月11日にイエズス会に入会しました。つまり、イエズス会士であり、アドルフォ・ニコラス神父はすでに1953年イエズス会に入会して後にイエズス会総長(修道会のトップ)であることから、かつての上長(先輩)ということになります。

 

 

Spagnolo di Villamuriel de Cerrato, aveva 84 anni e dal 2008 al 2016 era stato il ventinovesimo successore di Ignazio di Loyola. Aveva annunciato le sue dimissioni due anni prima di lasciare, nel 2014, con una lettera ai diciassettemila gesuiti sparsi in 112 nazioni nel mondo. Un evento straordinario, perché la Compagnia di Gesù è l’unico ordine religioso della Chiesa nel quale il superiore viene eletto a vita, come il pontefice, e per questo viene popolarmente definito il «Papa nero».

ビラムリエル・デ・セラート出身のスペイン人にして84歳であった。2008年から2016年まではイグナチオ・ディ・ロヨラの第29代後継者(総長)を務めた。彼は退任の2年前の2014年に、世界112カ国に散在している1万7000人のイエズス会士に宛てた手紙で辞意を表明していた。イエズス会は、(カトリック)教会の中で唯一、総長がローマ法皇のように終身選挙で選ばれる修道会であり、そのため「黒の法王」と呼ばれることが多いという中にあっては異例の出来事であった。

 

Prima di lui solo due volte era capitato che un padre generale lasciasse in vita: il primo fu padre Pedro Arrupe, nel 1980, in un momento di tensione con la Santa Sede, presentò le sue dimissioni a Giovanni Paolo II, che le respinse: un anno più tardi, però, Arrupe fu colpito da un ictus e Wojtyla inviò un suo «delegato personale» commissariando di fatto la Compagnia; il secondo era stato Peter-Hans Kolvenbach, eletto nell’83, che decise di dimettersi nel 2008, a ottant’anni, proprio come avrebbe fatto padre Nicolás.

彼の生前に、総長の生前退任は2例しかなかった。最初はペドロ・アッルーペ神父で、1980年には教皇庁との緊張の中、ヨハネ・パウロ二世に辞表を提出したが、ヨハネ・パウロ二世はそれを拒否した。しかし、1年後、アッルーペが脳卒中で倒れたため、ヴォイティラは「個人的な代理人」の1人を(註:イエズス会)修道会の事実上の代表者として派遣した。二人目はペーター・ハンス・コルフェンバッハで、1983年に選出されたが、ちょうどニコラス神父がすることになったように、2008年に80歳で退任を決断した。

 

L’annuncio della morte di padre Nicolás è stato dato mercoledì mattina dalla Curia generale dei gesuiti e dal suo successore, padre Arturo Sosa. I funerali saranno celebrati sabato a Tokyo, nella chiesa di Sant’Ignazio. Nelle sue parole su Martini, sei mesi prima del conclave che avrebbe eletto Francesco, c’era già la svolta del futuro pontificato, la Chiesa in uscita: «Ho vissuto 48 anni in Asia e credo che forse siamo stati deboli, noi missionari. Non abbiamo cercato abbastanza di trovare Dio e il lavoro di Dio nelle altre culture e nelle altre genti. Portare questa ricchezza di Dio alla Chiesa universale continua ad essere una sfida. Credenti di altre fedi, non credenti: Dio sta lavorando nella gente prima che noi missionari andiamo. Sta già lavorando».

ニコラス神父の死去が発表されたのは、水曜日の朝、イエズス会総長で後継者のアルトゥーロ・ソーサ神父によって行われた。葬儀は土曜日に東京の聖イグナチオ教会で行われる。フランシスコが選出されることになるコンクラーベの半年前、マルティーニに関する彼の言葉には、将来の教皇はすでに<la Chiesa in uscita:外出する教会?>という転機にありました:「私はアジアで48年間生きてきて、おそらく私たち宣教師は優柔不断だったと思います。私たちは、他の文化や他の民族の中の神とその神の働きを見出そうとする努力を十分にしてきませんでした。この神の富を普遍の教会(註:カトリック教会)にもたらすことは、挑戦であり続けています。(註:カトリック教会の)信者ではなく、他の(註:宗教の)信仰をもつ信者。私たち宣教師が行く前に、その神は人々の中で働いています。その神はすでに成果を挙げている」と。

 

20 maggio 2020 (modifica il 20 maggio 2020 | 15:22)
2020年5月20日(変更 2020年5月20日|15:22)

 

宿題:<la Chiesa in uscita:外出する教会?>の箇所について、特別な意味がありそうなので、来週までに調べておきます。

最後に、杉並国際クリニックで導入予定の2つのアセスメント法について紹介します。

 

MoCA-Jの特徴

日本語版Montreal Cognitive Assessment(MoCA-J)
Japanese Version of The MONTREAL COGNITIVE ASSESSMENT (MOCA-J)

Nasreddineらによって注意機能、視空間認知、記憶、注意、言語、概念的思考、計算、見当識などといった多領域の認知機能を30点満点で評価する指標としてMontreal Cognitive Assessment(MoCA)が報告され、日本語版Montreal Cognitive Assessment(MoCA-J)も報告されています。

 

MoCA-Jは主として軽度の認知機能低下を評価するツールとして活用されています。MoCA-Jでは10分程度の個別面接式で認知機能を検査します。

MoCA-Jに含まれる内容は、Trail Making、図形模写(立方体)、時計描写、命名、注意(順唱・逆唱・Target Detection・計算)、言語(文の復唱・語想起)、抽象的思考、遅延再生、見当識の8項目からなり、それぞれの正誤を判定して30点満点で採点します。

 

教育年数が12年以下の場合には検査終了後に1点を加えます。
 MoCA-Jは、26点以上を健常範囲とする報告がなされています。

そこで、25点以下で軽度認知障害(MCI)のスクリーニングに有効です(感度93%、特異度87%)。

MoCAによる評価では軽度の認知機能低下をスクリーニングすることが主たる目的となり、MMSEやHDS-Rでは判定が困難であるMCIの検出に適しているとされます。ただし、スクリーニングが主となるため、得点の変化による認知機能改善の有無を判断するためにアウトカム指標として用いる際は、慎重に解釈する必要があります。

 

DASC-21の特徴

The Dementia Assessment Sheet for Community-based Integrated Care System-21 items (DASC-21)

 

認知症による障害の全体を包括的に評価することを認知症の総合アセスメントと呼びます。しかし,認知症に気づき、認知症であることを診断するためには、まずは「認知機能障害」と「生活機能障害」を評価することが重要です。DASC-21(ダスク-21)という評価法は、原則として、規定の研修を受けた専門職が高齢者の「認知機能障害」と「生活障害」を把握し、認知症を検出し重症度を評価するアセスメントツールとして、適切な内的信頼性と併存的妥当性および弁別的妥当性を有することが証明されています。DASC-21は、簡単で短時間に「認知機能」と「生活機能」の障害を評価することが可能です。また、暮らしに密着したわかりやすい項目であることから、認知症の疑いがある方やご家族にも理解しやすく、認知症の人を支援する専門職とご本人や家族との「共通言語」として広く活用することが可能です。

 

DASC-21は導入のA,B項目と1~21項目の評価項目からなるアセスメントシートです。

• 認知機能と生活機能を総合的に評価することができる.

 

• IADLの項目(6項目)が充実しているので、軽度認知症の生活機能障害を検出しやすい.

 

• 4件法で評価しているために障害の機能変動をカバーできる.

 

• 設問は具体的であり、観察法によって評価できる.

 

• 簡便で、短時間で実施でき評価方法も単純である.

 

• 簡単な研修を受講することによって、認知症の基本的な理解と認知症の総合的アセスメントの基本的技術を修得できる.

 

• 評価結果から臨床像の全体をある程度把握することができ、かつ必要な支援の目安をつけることができる.

取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ5症例の研究

 

症例が増え、5症例目となりました。

 

新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。

 

以下は、取材記事を下敷きとし、加筆や編集部分は緑文字として区別しました。

 

症例5:ガラス越しに 夫にトランシーバーで呼びかけた

 

4月7日取材 社会部 山屋智香子

新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。関東地方に住む50代の男性は新型コロナウイルスに感染し一時、重篤となりました。妻が、夫の発症から治療、そして感染者の家族だからこそ思うことを語りました。

 

症例5(その2)

 

第2節感染確認までの1週間 

 

夫は最初から新型コロナウイルスへの感染を心配し、仕事を休み、みずから保健所にも相談していた(患者として模範的な対応です)。しかし、すぐに検査を受けることはできなかった

 

熱が出たその日に夫が保健所に電話してみたんですけど、折り返し電話がかかってきて、何かいくつか聞かれていたようです。

何を聞かれていたのかは私はわかりませんが、「こんな感じですね」と答えていて、「それではちょっと検査ができませんね」と言われたようで。

 

医者から解熱剤を出されていた(最初から解熱剤を処方してしまう風潮には問題があります。ただし、医師も保険医療に縛られている限り、それ以上のことはできません。制度の枠組みを優先するあまり、患者の生命や健康を犠牲にしてしまいかねないこともあるのが現行の医療制度の致命的な欠陥です。それから、発熱を過剰に恐れて解熱剤を切望する一般の風潮も心ある医師を大いに悩ませています。私であれば、一般の解熱剤ではなく、常備薬No4候補の地竜(じりゅう)を勧めます)ので、飲むと熱が下がるじゃないですか。

本人も熱が下がれば治った気でいる(解熱=治癒という誤解が多くの犠牲者を生んでいます!患者の常識・思い込みはしばしば命取りです‼)と、そういうのが3日くらい続きました(この間に相当の体力、とくに防衛体力を消耗したことになります)

 

ただ、5日目に39度くらいまで上がっちゃって、私も怖くなっちゃって、解熱剤を一時期やめていたのをまた服用させて(これは、一般的な傾向かどうかはわかりませんが、女性の方が男性より発熱を恐れる人が多いように感じられます。妻が夫に解熱剤や抗生物質を勧めたのがアダになるケースも散見しています。当クリニックでも同様の事例を多数経験しています。そのような場合はたいてい、妻は私の患者さんではありません。)

翌日、熱が下がったんですけど、夫がもう1回、保健所に電話して。そうしたら「病院が検査をやる必要ありと言われればできますよ」と言われて、ではもう1回内科に行ったほうがいい(5月現在の中野区・練馬区辺りの方式です)ということで行ったんです。

 

病院に行ったら、「熱がない間は調べられない。夕方、熱が上がったらまた来てください(症状が無ければ検査ができない、検査ができなければ、結果が出ない、結果が出なければ確定診断ができない、確定診断ができなければ手当てができない、これは現代西洋医学の独断的な常識です。しかし、この医学常識が多くの患者さんの命を奪っているのです。中医学・漢方などの伝統医学では、確定診断ではなく“見て”を行います。確定診断が得られない段階でも“見立て”は直ちに可能です。“見立て”ができれば即時に”手当“を始めることができます。これを行えるかどうかで患者さんの予後が大きく変化します)」と言われ、夕方にまた行って。そのとき初めて肺のレントゲンを撮ってもらいました。

先生も最初は「そんなの(新型ウイルスへの感染)はないと思うよ(確率論で答えている可能性があります。あるいは、患者さんの精神的動揺を防ぐ目的かもしれません。とくに、治療手段が見つからない場合に、多くの医師が根拠なく確率論で、このような意見を言ってしまいかねないことも問題です。)」と言われていたんですけど、

肺の状態がちょっと悪そうだ(これが初歩的な”見立て“です。このような場合でも、中医・漢方であれば、より詳細かつ具体的な所見を取り、早期に適切な対応に繋げることが可能です)ということで、初めて保健所に電話(担当医は、やはり新型コロナウイルス感染症の可能性を考慮していたことがうかがわれます)してくれて、翌日、検査を受けることになりました。

 

<明日へ続く>