5月24日(日)臨床聖楽法(聖楽療法の理論)第3章 臨床聖楽法の起源と基礎

聖楽療法の体系構成

第一部では、聖楽療法の理論の背景としての心身医学について概説し、そのうえで新しい心身医学の考え方を明確にしました。

 

第二部は、聖楽療法の拠点としての聖楽院とは何かについて、その起源を述べ、いくつかの心身医学的アプローチをどのように応用して発展してきたかを省察します。

 

それでは、「第二部 聖楽療法 理論と実践の性質」のアジェンダを示します。

第3章 臨床聖楽法の起源と基礎

第4章 臨床聖楽法における芸術音楽の価値

第5章 臨床聖楽法の理論的根拠、実践、意味

第6章 音楽療法モデルにおける臨床聖楽法の考え

第7章 現代の音楽療法の枠組みにおける臨床音楽法の考え

 

今月は引き続き第3章 臨床聖楽法の起源と基礎
をすすめてきました。

前回は、音楽中心の実践の核としての芸術音楽活動
というテーマでした。

 

今回は新しいテーマに入ります。

 

第3章 臨床聖楽法の起源と基礎

 

音楽中心音楽療法の基礎としての音楽の理論の必要性
音楽療法の固有理論は必然的に音楽に基礎を置いたものなのかどうか?

 

1) 音楽療法の学問的・職業的故郷はどこか?

 

2) 「固有」ということをどう定義するか?

 

音楽療法理論が強固で包括的な基盤をもち、また広い応用範囲の可能性を開拓することは、新しい方法論である臨床聖楽法にとってはとても大切なことです。

そのためには、音楽中心音楽療法が試みているメタ理論的な考察が有用です。

ある現象を説明するためのメカニズムは、特定の領域の機能の基本的な部分と概念的に一致すべきであるということ、そして、音楽療法の治療理論が、広く受け入れられている音楽という概念に基づくものであれば、それはより強力で一般的に応用が利く理論であるということになります。

 

アイゲンは、音楽療法の理論を三分類し、再構成理論、連結理論、固有理論としました。ただし、これらは連続的なもので、対象となる理論が、音楽療法独自の起源と特性をどの程度持ち合わせているかという相対的な評価によるものとしています。

そして、固有理論とは、音楽療法の領域から発生した独自の理論であるとしつつも、自身の領域以外にどこにも起源を持たないという概念の起源の問題というより、音楽療法の中で、音楽を基礎とした固有の概念を発展させるために外部の要素を用いるという、応用され方にあることを説明しています。

そして固有理論と音楽中心理論に間には概念的な違いがあるのだが、固有理論は往々にして音楽中心であるとします。

 

アイゲンは、固有理論を発展させる際に、他の領域からの知識をどのように用いるのが最も有益かを常に意識することの大切さを訴えます。理論は既知の知識や創造的思考、直感、応用分野に精通していることの結果としての既存の理論を推論することで生まれます。

 

他の分野からのアイデアは、私たちの意識を拡大し、フィールド、力、エネルギーなどといった概念を通じて、類似性、モデル、比喩を示し、音楽療法の固有理論を考えるためのインスピレーションを与えることによって固有理論を発展させるという価値を持ちます。

 

音楽中心療法理論では、メタ理論的な考察によって、ある理論が音楽中心で一般的な理論かどうかを判断しています。

音楽療法の理論と実践も、音楽についての信頼性ある幅広い見解に基礎を置くべきです。音楽療法も心理療法もそれぞれに、私たちに、音楽について、そして人間のパーソナリティについて多くを教えてくれます。音楽中心の立場では、臨床と非臨床における音楽の使用についての連続性を主張し、音楽療法における音楽的な体験は一般的な音楽の概念と関連していると考えます。