高円寺南診療所では、初診をはじめしばしば尿検査を実施しています。
とくに高齢の患者さんが受診された場合には、腎障害の有無を確認しておく必要があります。
そして、高齢者で腎障害を認めた場合には、まず他院から処方されている薬剤を疑うようにしています。
最初に、簡易尿検査で蛋白尿・血尿の有無を見ます。
もし、これらが陰性もしくはごく微量であった場合でも軽視は禁物であり、尿中β₂MGなどで尿細管の障害の有無を予め検査する必要があります。
診断や治療目的で投与された薬剤によって、腎障害が新たに発症したり、既存の腎障害がさらに悪化したりすることがあります。
これらを総称して薬剤性腎障害といいます。
主な臨床病型と原因薬剤を列挙してみます。
①電解質異常(NSAIDs、ビタミンD、ビタミンCなどの製剤)
②急性腎障害(NSAIDs、各種抗精神薬、脂質異常症治療薬、抗菌薬、アロプリノール、カルシニューリン阻害薬)
③慢性腎機能障害(NSAIDs、利尿薬、下剤)
④蛋白尿・ネフローゼ(NSAIDs、カプトプリル)
⑤近位尿細管障害(アミノグリコシド系抗菌薬)
⑥遠位尿細管障害(カルシニューリン阻害薬)
消炎・鎮痛薬として広く用いられているNSAIDsや抗菌薬は代表的な腎毒性物質であるといえます。
これらの薬剤を長期に亘って内服している場合は、必ず腎機能のチェックが必要です。
高齢者に対する鎮痛薬や抗菌薬の多用、特に脱水状態のときにこれらの鎮痛薬を内服すると急性尿細管障害を起こしやすいので要注意です。
その他、造影剤腎症があります。ヨード造影剤投与後に発生します。腎機能低下者、60歳以上、糖尿病、脱水傾向者では要注意です。
2016年、薬剤投与量調節のための最適な腎機能評価法としてeGFRより畜尿による内因性クレアチニン・クリアランスが推奨されました。
参照: 薬剤性腎障害診療ガイドライン2016(薬剤性腎障害の診療ガイドライン作成委員会)
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