水気道デモンストレーター(訓練生)の手引
「はじめに」
本書は、水気道教育体系の第二段階に位置し、『体験生のためのご案内』に続き、『ファシリテーター(修錬生)の手引』へと至る橋渡しの書です。
訓練生(デモンストレーター)は、体験生として得た感覚を自覚的に再現し、次の修錬段階に備えて「動きながら安定する身体」を学ぶ稽古参加者です。
『体験生のためのご案内』で体感した「静的安全」の学びを、本書では「動的安全」として実践に昇華します。
第1章 デモンストレーター(訓練生)の位置づけ
水気道デモンストレーター(訓練生)は、「静から動へ、安定から調和へ」と向かう修練の第二段階に位置します。体験生が「安全を学ぶ」段階を経て、デモンストレーターは「安全を実践する」段階に入ります。
ただし、その根幹には、一環として安全性の原理(Principium Fundamentale)があります。水気道での「安全」とは単に危険を避けることではなく、呼吸・姿勢・重心の安定を通じて心身と環境の調和を保つ力を意味します。
デモンストレーターは、水気道の三大原則――
1. 意識性の原則(心身の統一と自己観察)、
2. 漸進性の原則(安全を基盤とする段階的成長)、
3. 教習一致の原則(教えと学びの共鳴)――
を実践的に体現する存在です。
体験生の段階では、安全を“学ぶ”段階にあり、外的な制約のもとで静的な安定を経験していただきました。
一方、デモンストレーター(訓練生)は、さらに、安全を“実践する”段階に入り、呼吸・重心・リズムの内的統御によって動きながら安定を保つことを訓練することになります。
この過程こそが、漸進性の原則を体現するものであり、訓練生は「焦らず、競わず、少しずつ整える」ことを心得てください。
さらに、訓練生は教習一致の原則を実践する存在でもあります。
この原則は、「教えることによって学び、学ぶことによって教える」という相互発展の構造を示すものです。デモンストレーターは、自らの動作と姿勢を通して体験生に安全とリズムを伝えると同時に、他者を導く中で自らの修練を深めていくことになります。
他者を導くことは同時に自己修養の道でもあり、教習一致は水気道の精神そのものであるということを大切に受け止めてください。
白帽は五行のうち「金」に属し、五蔵(臓)では「肺」を象徴するものです。これは表皮を通して外界の気を受け入れ、呼吸を整える働きを意味します。
その色である白は、清浄・感受・防衛の象徴であり、生命活動の第一の門である「呼吸」を表しています。
デモンストレーターはこの白の精神を体現し、外界と調和しながら呼吸・姿勢・意識を整える存在であるとの自覚を持って稽古に臨んでください。
水気道において白帽は、心身の透明さと柔軟さを備え、全体のリズムを感じ取り、和を育てる導き手であるということです。
「動きを正し、場を整える最初の波」——これがデモンストレーターの役割であり、訓練の目標になるものです。
白帽の白は穢れなき肺を意味し、呼吸の透明さと生命の清明を表すものです。
これは五行論の「金」に属し、五蔵(臓)では「肺」を象徴します。肺は外界の気を取り入れ、生命の循環を司る門であり、その清浄さこそ水気道の根幹にあります。そのため、水気道では予防医学・生涯エクササイズ・自然医学の立場から、禁煙を強く推奨しています。
喫煙者であっても、水気道への門戸は常に開かれています。しかしながら、肺の清浄を回復し、呼吸の道を浄化する努力を惜しまぬ水気道の仲間のみが、次の段階である修錬生(ファシリテーター)へと昇格することができます。これは単なる規定ではなく、「呼吸を尊ぶ者こそ、生命を尊ぶ者である」という水気道の掟です。
白帽を戴くことは、清浄なる呼吸の誓いであり、自らの生命を澄ませ、他者と和する第一歩なのです。この掟は、水気道の根本原則である安全性の原理に直結することは言うまでもありません。
第2章 根本原理:安全性の原理の実践
1. 静的安全から動的安全へ
静的安全の原理では、呼吸と重心を整え、静止状態での安定を確保する。
デモンストレーターはこれを基盤に、動作中でも安定を保てる動的安全の原理を修得する。
2. 動きながらの安定
水中では、抵抗と浮力が同時に作用する。訓練生は、この相反する力を調和させて
「動きながらの安定=生きた安全」を身につけることが求められる。
3. 呼吸・姿勢・意識の統合
呼吸の整いは、動作の美しさと安全性の双方を保証する。
「吸う・吐く・止める」の呼吸相を明確に意識し、姿勢と心を連動させることが重要である。
第3章 三大原則の理解
1. 意識性の原則 — 自覚的安定の育成
呼吸・動作・意識を統合的に観察し、内的な静寂を保ちながら動く。
• 休息の準則:
緊張と弛緩のバランスを自覚的に保ち、心身を再生させる。
• 可逆性の準則:
過度な負荷を避け、常に戻れる安全域を確保する。
ポイント:
デモンストレーターは「自らが静まることで場を整える」ことを体現する。
2. 漸進性の原則 — 成長の秩序と段階
訓練生の学びは、常に段階的発展を前提とする。
• 反復性の準則:
反復によって動作の精度を高め、筋・神経の協調を育む。
• 過負荷の準則:
安全を前提に、少しずつ動作範囲・水圧負荷を増加させる。
心得:
「焦らず、競わず、少しずつ整える」。
稽古は積み重ねの芸術であり、一つひとつの動作が次への基盤を築く。
3. 教習一致の原則 — 共鳴的教育の実践
デモンストレーターは、教えることを通して学ぶ。
その動作・呼吸・姿勢は、体験生への最初の「無言の指導」である。
• 個別性の準則:
体験生それぞれの身体・心理特性を尊重し、観察的に支援する。
• 特異性の準則:
稽古目的に応じて、最適な航法(例:親水航法・基本航法)を選択する。
心得:
「他者を整えることで、自らも整う」。
この循環が教習一致の精神である
水気道の稽古は、水中での運動を中心としながらも、稽古前後のアクセス(往復行動)を含めた全体的な循環活動として成立しています。
陸上での移動は重力下での準備運動・クールダウンの役割を持ち、心身の導入と統合を促します。
水気道の稽古は非日常的環境(水中)に出発する活動であるが、アクセスを含むすべての行動が「稽古」の一環です。
この意識が実践に反映されるにつれ、日常生活そのものが水気道となり、非日常的活動から日常的活動へと昇華していきます。
稽古の基本構成(本稽古プログラム:90分)
第4章 技法の段階と水気道がもたらす進化
<技法の段階>
初等訓練生(6級):水との調和を学ぶ
• 水の浮力と抵抗を体感し、身体を“預ける”感覚を養います。
• 丁寧な動作で、呼吸とリズムを合わせることに重点を置きます。
中等訓練生(5級):リズムを深める
• 呼吸・動作・意識を同調させ、「波動としての動き」を体得していきます。
• リズミック・スクワット、アクア・スキップ、左右交互運動を段階的に行います。
高等訓練生(4級):リズムを導く
• グループ内で他者のリズムを感じ取り、動作を同調・導入できるようにします。
• ファシリテーターを補助し、呼吸・動作を整える支援を行います。
<水気道が導く成長段階>
<水気道がもたらす進化>
<水気道がもたらす成果と到達点>
水気道の三大原則は、訓練生の成長を身体的・心理的・社会的に支える。
三大原則の統合によって、訓練生は「個を整え、和を育て、場を調える」存在へと成長していきます。これが、水気道デモンストレーターとしての真の到達点です。
第5章 訓練生の心得
1. 感じて動く。
力を使うのではなく、水の流れと会話しましょう。
2. 呼吸を意識する。
動作は呼吸を導き、呼吸は心を整える感覚を持ちましょう。
3. 継続を尊ぶ。
週1回の定期的稽古を目標に週ごとの周期を確立し、それを日々の生活リズムの中心に置きましょう。
4. 静動一体。
「動きながら静まり、静まりながら動く」境地を目指しましょう。
5. 陸も稽古の一部。
施設まで、施設からの移動も重力トレーニングであり、心の準備であり、また体の調整でもある、と心得ましょう。
デモンストレーターは、「稽古における姿勢と呼吸の模範」です。
第6章 デモンストレーション技法
1. 正確に動く。
手本となる動作は、滑らかで安定していることが求められます。
2. 呼吸を合わせる。
動作のテンポを呼吸に合わせ、力みを排除していきまう。
3. 他者を見守る。
周囲の動きを感じ取り、混乱を防いでいきます。
4. 姿勢を整える。
体幹を意識し、目線を一定に保てるようにします。
5. 静かに示す。
言葉よりも動作で伝えることを心がけます。
デモンストレーターの一挙手一投足が、稽古全体の“基準”となる。
第7章 安全・健康・倫理
• 自分の限度に気づき、無理をせず「心地よい限界」を守りましょう。
• 稽古前後の水分や栄養の補給と保温を徹底しましょう。
• 他者への敬意と感謝を忘れず、共鳴の場を大切にしましょう。
デモンストレーターは、稽古の秩序と安心を象徴する存在です。
訓練の目的は、技を磨くことに留まらず、呼吸・動作・情動が一体となる「流れの中の安定」を体現することにあります。この状態に至ったとき、学びは外的指導を離れ、内的共鳴の修錬へと移行します。すなわち、訓練生は「形を整える者」から「調和を生む者」へと変化し、その歩みは修錬生への自然な昇華となっていきます。
結語
水気道の訓練とは、身体技法を超えた心の修養です。
デモンストレーターは、稽古の中で安全・安定・共鳴を象徴する存在となります。
「呼吸を整え、動きを正し、場が鎮まるとき、水と共に呼吸し、動作を整え、律動を通して仲間とつながるとき、他者からの波を受け取り、また自分の波を伝える心の修養になります。」
あなた自身が“水気道の律動”そのものになっていることを経験できることでしょう。
デモンストレーターとしての訓練を通じて、あなたは静を養う「養生法」、動を鍛える
「鍛錬法」、そして両者を往還し調和させる「養生鍛錬法」へと進む準備を整えていま
す。これらの三法は、水気道が目指す生命の調和の道=統合体系への入り口です。
付録
「体験生→訓練生→修錬生」三段階教育モデル図
訓練生はこの三層の中心に立ち、「静と動」「学びと教え」を結ぶ仲間です。
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