<日本医学会連合会長の緊急提言に意見!安倍首相には、シンプルな御提言を‼>
以下は、日本の主要な医学会を束ねる連合会の大重鎮が、内閣総理大臣安倍晋三氏に送る緊急提言の草案を提案し、各医学会会長に対して会員医師の意見を集約させようとの要望書と、緊急提言の草案です。現場の個々の医師は大きな矛盾と疑問を抱えながら、平時にしか通用しない従来の戦術を命がけで順守すべく戦っています。
そのような状況において、必要とされる総司令官のリーダーシップとは、非常時であることの意識と、明確なターゲットを絞ることによって、素人の内閣総理大臣や国民に分かりやすい大胆にしてシンプルな提言をすることが肝要だと思います。
締め切りまで2日の猶予しかないため、私自身も自分のコメントを朱書して至急返信しました。私の所属学会を通して一両日中に連合会長に届けるとのことです。
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加盟学会各位へ
日頃より日本医学会連合・日本医学会にご協力いただき、ありがとうございます。最近の新型コロナ感染症で大変ご苦労の多い毎日と拝察しています。
さて、新型コロナ感染症の広がりと医療界への逼迫した影響を鑑み、日本医学会連合・日本医学会として国への意見(要望書)を提出したいと考えています。つきましては添付のような要望書を作成しましたので、各会員におかれましては、お読みいただき、それぞれのお立場からご意見をお願い申し上げます。時間的な制約がありますので、4月22日正午までにご返信(info@jmsf.or.jp)いただきますようお願い申し上げます。
なお、今回はできる限り各会員に共通したものを要望として挙げていますので、ご理解をお願い申し上げます。
令和2年4月20日
門田 守人
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令和2年4月20日
内閣総理大臣
安倍 晋三 殿
一般社団法人日本医学会連合
会 長 門田 守人
最終段階にある医療崩壊をくい止めるための緊急提言
新型コロナウイルス感染症の国内での急速な増加に伴い、令和2年4月7日に安倍晋三内閣総理大臣より7都府県に対し緊急事態宣言が発出され、同4月16日には対象が全国に拡大されました。
本宣言は地域における医療崩壊をくい止めることが第一義の目的とされていますが、現状を鑑みると医療崩壊は既にはじまっており、最近では医療機関でのクラスターも発生し、その最終段階に突入しつつあります。これ以上の死亡者数の増加を抑制するために、日本国民が一丸となってなんとしても医療崩壊をくい止めなければなりません。
これまで日本医学会連合をはじめとした医学系諸学会は、新型コロナウイルス感染症による医療崩壊を抑制するため、医療現場の様々なニーズをくみ上げ 加藤勝信 厚生労働大臣に要望書を提出してまいりました。
政府および関係者の方々のご尽力により医療現場には多くの支援がなされていますが、残念ながら新型コロナウイルス感染患者数の増大に追いつかず医療現場の現状は逼迫するばかりです。
特に個人防護具の不足は顕著であり、不完全な個人防護具で診療・ケアすることに伴う感染のリスクが高いといった多くの医療従事者の声が寄せられています。
このような状況が続けば、病院を端緒とした新型コロナウイルス感染症のクラスター化が広がり、医療機関不足という負の連鎖を引き起こし、感染拡大を制御することは不可能となります。医療従事者の精神的緊張もいつかは途切れてしまいます(コメント:大切な指摘です!長期的継続が不可能なこと、能力を超えることは無駄になるので、早期に断念し、継続可能な戦略を建て直すことが望ましいと思います。)。
医療崩壊を防ぐため、医療従事者の保護のためにも、官民一体となり医療従事者を守る姿勢をさらに鮮明に打ち出していただきたいと切にお願いいたします。
医療崩壊の瀬戸際に立たされた我が国を救うべく、日本医学会連合として以下の5点について、緊急要望を提出させていただきます。
① 医療機関におけるPCR・抗体検出検査体制の早急な大幅拡充のための支援
(コメント:ナンセンスです!物理的に不可能です。無理なことに期待して行動決定すると悲劇的な結果を招いてしまいます。治療に直結しない無駄な検査は廃止して、全国民が感染者であると仮定して、予防と救命活動に特化した活動をしない限り、イタリアや米国の二の舞です。どうしても必要と言うのであれば、まず患者の診療に当たる医療従事者やリスクの高い介護従事者のPCR検査を毎日実施できる体制を確立することが急務ではないかと考えます。)
医療崩壊防止の一つの側面として、一般の傷病者に対する健全な医療供給が継続されることがきわめて重要です。
慢性疾患、がん、外傷など、新型コロナウイルス感染症以外の疾病に苦しむ患者に対しても、安全かつ十分な医療を供給することが医療機関には求められています。
そのためにも無症状の新型コロナウイルス陽性患者(不顕性患者)を見極めることは院内感染を含めた感染拡大を防ぐためには欠かせません。
本来であれば外来・入院患者全員に対しPCR検査や抗体検査を行い少しでも感染のリスクを減らすべきですが、これらの検査体制が不十分な我が国の現状では不可能です。全身麻酔や手術、消化管内視鏡検査、気管支鏡検査など一般の医療行為は飛沫感染の原因であるエアロゾルを容易に発生します。
透析医療では、多くの患者を限られた空間で2日に1回長時間治療する必要があります。個人防護具の不足もあいまって、このままでは多くの医療従事者が感染リスクさらされながら診療を継続しなければなりません(コメント:医療従事者は、すでに感染しているものと覚悟しない限り、長期戦に望むことはできません。)。
院内クラスターの発生を少しでも食い止めるためには、多くの無症候患者までも含めたPCR検査および抗体検査を行うことができる早急な体制確立(コメント:これは、最初の段階では正解ですが、現在はその段階ではありません。不可能であるという現実を認識してから、冷静な判断をして、有効打を打つしかありません。)を要望いたします。
緊急対応を要する提案:
・院内感染防止のために、無症候であっても手術や検査、透析など感染リスクの高い処置を受ける患者や、それに携わる医療スタッフに対しての院内PCR・抗体検査の公費負担
・院内PCR・抗体検査体制の拡充(人員を含む)のための予算措置
・PCR・抗体検査試薬の増産体制の構築
・院内PCR・抗体検査に要する人材養成
② 個人防護具の充足
4月9日に日本救急医学会・日本臨床救急医学会の連名で「医療崩壊が生じる際の兆候としての『救急医療体制の崩壊』がすでに始まり、マスクやガウンなどの個人防護具が圧倒的に不足している」と声明が出されました。
同様の問題が全国各地の病院でも生じ、サージカルマスク、N95マスク、プラスチックガウン、手術用滅菌ガウン、シューズカバー、フェイスシールド、アイシールドなどの不足のため、新型コロナウイルス感染症患者に対する診療において院内伝搬のリスクが確実に増加するなど、深刻な状況が続いており、多くの病院でがんや末期臓器不全、外傷など生死に関わる検査や手術を延期しなければならない事態に陥っております。
医療資源の確保ができてさえいれば救えたはずの命を救えず、多くの医師・看護師がこれまで直面したことのなかった倫理的葛藤に苛まれており、精神的ケアを必要としております(コメント:重要な指摘です。しかし、自らもすでに感染者でありながら見えない敵と戦っているという認識を持つことで幾分葛藤は軽減されるのではないでしょうか)。
このままの状態が続けば、日本の医療の最終防衛ラインである大学病院を含めた基幹病院でも医療崩壊が訪れ、社会は機能停止となります。そしてその間に治療の機会を奪われたことによる死亡患者は厖大な数に上ることは確実で、日本の強みであったはずの世界最高水準の医療の著明な地盤沈下が年単位で続くことになります。生命の危機に瀕する患者に対する医療を継続して行う態勢を全国各地で死守するために、以下を提案いたします。
緊急対応を要する提案:
・個人用防護具の在庫・生産・入荷状況の一元的調査と定期的な公開
・個人用防護具の配置に地域間・施設間較差が生じないよう厚生労働省による適切な行政指導
・個人用防護具の輸入確保のため他国への外務省を通じた働きかけ
・個人用防護具の備蓄・増産体制の確立(国内他業種の参画を含む)のための経済産業省などによる施策
③ 医療従事者への支援体制の確立
最前線の医療従事者は、大量におしよせる新型コロナウイルス感染および疑い患者に対応しながら、医療物資不足にも悩まされ、さらに自分自身が感染するかもしれないという恐怖と闘いながら診療・ケアを続けています(コメント:そうした恐怖と戦っているのは医療従事者だけではないはずです。むしろ、確かな情報や適切な判断ができずに放置されている一般国民はそれ以上の恐怖に曝されていることを想わずにはいられません)。
医療崩壊の生じたイタリアでは1万4,000人以上の医療従事者の感染と100名以上の医師、20名以上の看護師の死亡が(4月10日現在)、米国では9000人余りの医療従事者の感染と27人の死亡が確認されています(4月15日現在)。
また家族への伝搬を防ぐため、病院から帰れない、駐車場の車で就寝する、といった事例もあるなど医療従事者の肉体的、精神的な負担は計り知れません(コメント:重要な指摘です)。
今後、新型コロナウイルス感染症の増加に伴い医療従事者不足はより顕著になってくると考えられます。政府からは引退後の医師や潜在的看護師有資格者に対し医療現場への復帰を呼び掛けていただいておりますが、有資格者であるがゆえにリスクの高い医療現場に復帰を強要されることだけは厳に慎まれるべきです。
そこで医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、臨床工学技士の過酷な仕事をサポートする後方支援を拡充することがきわめて重要です。医療従事者の人材不足を起こさないため、以下の点を要望いたします。
緊急対応を要する提案:
・医療従事者向けの精神的支援体制の構築:精神科医や臨床心理士による相談体制の早期確立
・新型コロナウイルス対応特別手当の創設:診療報酬増額のみならず個人への危険手当の新設
・医療従事者の宿泊および休憩施設の確保に対する予算措置
・患者重症度管理による患者集中回避策の徹底と医療資源の集中投入
・医療従事者に対する差別のない社会的見識の熟成
④ 初期研修中の医療従事者に対する施策
本年度4月から医療現場で働き始めた初期研修中の医師(9,341人)、看護師(56,767人)、薬剤師(9,958人)、臨床検査技師(3,472人)、臨床工学技士(2,168人)は、本来であれば各医療現場で希望に燃えた初期研修を行っている時期です。
しかし、厳密な感染対策が必要とされる現在の臨床現場で研修するのは難しく,却って感染拡大のリスクが高まることが心配されており、医療機関によっては自宅待機としているといった事例があるなど初期研修の機会を奪われてしまっているのが現状です。
新型コロナウイルス感染症蔓延期において救急科などでの初期研修は難しいとの判断は現状を鑑みれば致し方ありません。
ただ、初期研修中の医療従事者こそ、有資格者として現在の医療体制の中で教育・活用することで後方支援となるのみならず、未曽有のパンデミック時の医療経験を通じて将来の我が国の医療の発展を担ってくれるものと考えます。見逃されがちな初期研修中の医療従事者および将来を担う子供たちの教育についても目をむけていただきたくお願いいたします。
緊急対応を要する提案:
・初期研修中の医療従事者(医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師・臨床工学士)の医療機関での後方支援業務従事の促進
中長期的観点からの提案:
・初期研修中の医療従事者に対する感染症の教育と実地訓練の促進
・パンデミック発生時の医療供給体制についての教育と実地訓練の促進
・初等・中等義務教育におけるパンデミックとその対応についての教育の必修化
⑤ 今回のパンデミック終息後の施策
3月に入りイタリアやスペイン、米国ニューヨーク州などでの感染爆発により医療崩壊が生じ、医療現場で「生命の選別」をせざるを得ない状況に陥ったことが広く報道されました。我が国は世界最長寿国の一つであり高齢者人口が多いことや人口10万人あたりの集中治療室ベッド数(約5)がイタリア(13)、スペイン(12)、ドイツ(29)、米国(35)より極端に少ない(コメント:重要な指摘です)ことなどの課題を抱えており、ひとたび感染が拡大すれば、感染した患者は重症化しやすく(コメント:だからこそ、検査を受けることができるまでの期間を無為に過ごさせず、セルフケアの指導を充実させることが重症化や死亡者増加の歯止めのための決め手になるのではないでしょうか)、救急医療および集中治療が飽和状態となり、通常の医療を含めた医療資源が枯渇することは容易に予見されました。
準備する期間が残されていたにも関わらず我が国の対応は遅く、現状を招くに至ったことを医療現場・行政ともに真摯に受け止めなければなりません。今回の苦い経験を将来に生かすことが、失われた多くの尊い命に報いるためにも不可欠です。今後も予想されるパンデミックに向けての対策を講じるべく、下記を提案いたします。
中長期的観点からの提案:
・エピデミック・パンデミックが生じた際の感染症対策を、地震などの自然災害やバイオテロへの対策と同様、緊急時の訓練の一部として各地域の大学病院および基幹病院に義務化
・各地域の医療従事者を含めた医療資源の供給体制に関するデータを可視化し病院間で共有することで、円滑な協力・連携を実現
・各地域の自治体(行政)・医師会・市民が三位一体となり日頃より感染症に対する理解を深める啓発活動を行うことで、緊急時に医療現場と地域住民が混乱なく行動できるように準備(コメント:私は室内温水プール施設にて、集団的水中有酸素運動をデザインし、20年間継続・発展させてきました。現段階での、このような提案は、一朝一夕に実を結ぶ物ではないと考えます。日頃から、防災訓練を生活の一環として組織的に取り込んでいなければ実効性は期待できないと思います。)
・集中治療室ベッド数の増床・適正配置および集中治療に関わる医療従事者の育成
・緊急事態にも対応可能な医療従事者の育成と医療供給体制の適正化
安倍晋三 内閣総理大臣を中心とした政府の強力なリーダーシップのもと、医療崩壊をくい止めるための医療機関・医療従事者への多方面からの益々のご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。
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なお、杉並国際クリニックは、明確な戦略に基づく具体的な戦術を考案し、本日、協力者との契約を締結することができたので、明日、その内容をご提案いたします。