総合リウマチ科(膠原病、腎臓、運動器の病気を含む)

 

 

<整形外科のような内科医?-変形性関節症について>

 

 

従来、受診者の平均年齢が若い傾向であった高円寺南診療所でも、最近では徐々に高齢化がみられます。

 

四肢の痛み、こわばり、しびれ等リウマチ類似の症状を訴えて来院する高齢者が目立ちます。

 

 

私は、運動器系疾患を多数例扱い、また自ら水氣道を創始し、現在も全体の指揮をとりつつ自らも実践しているためか、

 

整形外科医のような、あるいはリハビリ医のようだと言われることがあります。

 

また、ときどきですがスポーツドクターですか、とも尋ねられます。

 

さらにリウマチ専門医になるためには、そのベースの資格として

 

内科専門医(もしくは認定医)あるいは整形外科専門医であるということが求められていることも重要な要素だと思います。

 

 

ですから、上記の皆様の御感想やご質問は、すべてご尤もだと思います。

 

しかし、私からすれば、まったく手術を手掛けない多くの整形外科標榜医こそが、内科的だと思います。

 

整形、整形と巷では呼ばれていますが、その理由の一つが、

 

整形外科医開業医の比較的多数が外科医らしくない印象を一般人に与えているからなのではないかと考えています。

 

 

さて高齢者の関節リウマチのか診療に当たっては、鑑別疾患または併発疾患として、遭遇する機会の多い整形外科的疾患がいくつかあります。

 

 

その第一が変形性関節症です。

 

これは関節組織の加齢変化を基盤として発症する関節の病気です。

 

膝関節に好発しますが、手の指にもへバーデン結節、ブシャール結節、CM関節症がみられます。

 

 

また変形性脊椎症(変形性頚椎症、変形性腰椎症)も加齢とともに出現し、

 

頸・腰部痛みと上下肢のしびれ・麻痺などの神経症状を来します。

 

 

さらに、関節ならびに関節周囲組織にピロリン酸カルシウムが沈着するCPPD結晶沈着症も、高齢者ではよくみられます。

 

特に頸椎環軸関節(第一頸椎と第二頸椎とによる関節)に起こるクラウン・デンス症候群は比較的まれですが脳神経疾患との鑑別が重要であり、内科医としての総合的な力量が問われる病態です。

 

 

変形性関節症の診断の金星標準は、昔も今も単純X線(レントゲン)検査です。

 

高円寺南診療所は零細医療機関なのでレントゲン技師に任せることなく医師みずからがテレビレントゲン装置を用いて撮影・診断します。

 

私は、このスタイルを30年近く続けてきて、臨床上、得ることが多かったと思います。

 

 

代表的な変形性膝関節症では、関節裂隙の狭小化や骨棘形成が特徴的です。

 

この場合、骨びらんや骨萎縮を認めれば、変形性関節症に加えて関節リウマチの存在を積極的に疑う根拠になります。

 

 

膝関節以上にしばしば確認しているのは頸椎の異常です。

 

これは大学病院や中核病院でもしばしば無視あるいは軽視されることが少なくないので慎重に検査します。

 

頸椎の異常は、若い人でもしばしば見出せます。

 

頸椎の生理的前弯が失われ強直化したストレートネックや、さらに前屈しスワンネック化した症例です。

 

この状態を放置しておくと様々な障害が生じやすく、なかには線維筋痛症に発展する例もあるため要注意です。

 

中高年に至り変形性関節症、関節リウマチ、線維筋痛症のトリプルとなることも決して稀ではありません。

 

水氣道の実際は、微温水中の運動浴という見方ができます。

 

それというのも、水氣道創始の着想の流れが

 

自然療法⇒温泉保養地療法⇒水中有酸素運動にあったからです。

 

 

1)海外と日本の温泉専門医

 

ドイツ・フランス・イタリアなどをはじめとするヨーロッパ諸国では、各温泉地に温泉の専門医が常駐し、その指導のもとに温泉療養が行われているのが通常です。

 

私(高円寺南診療所、飯嶋正広)は、一昨年の3月から、ドイツ心身医学会に参加し、水氣道について発表を始めていますが、

 

上記の国々だけでなく、オーストリア・ハンガリーなどでも温泉医療は健在です。

 

しかし、日本では、そのような高水準の温泉療養地は大変少ないです。

 

 

主な理由としては、わが国には温泉医学に通じた医師の絶対数が少ないことが指摘されています。

 

日本では、医師になるために温泉医学の履修義務はなく、温泉医学の講座を設けている大学が皆無に等しいからだとされます。

 

近年は、温泉医学を研究してきた大学付属の研究施設や病院が次々と閉鎖されてきました。

 

私個人としては、この傾向は、日本の医療に大きな影響力をもつアメリカが温泉医療に関する関心が乏しいこと、

 

現在の保健医療制度の中で、温泉を利用した治療については、ある程度の制限があることも関係していると考えています。

 

ドイツ・フランスを中心に欧州では温泉医療は保険医療の一環として組み込まれています。

 

私は、医師になって、比較的早い段階で、現代医学の限界に気づき、自然療法併用の有効性・有益性に目覚めたのですが、

 

残念なことに、そのような素晴らしい治療手段が保険適応になっていないことを残念に思っています。

 

 

それでも世界に冠たる温泉大国である日本での温泉医学の研究に関しては

 

「日本温泉気候物理医学会」という学会があり、医師の資格を持った人々が正会員となって、温泉医学の研究を行い、その成果を発表しています。

 

 

日本温泉気候物理医学会では、ヨーロッパ諸国のような温泉医の制度を日本にも創設することを検討し、

 

その経過措置のひとつとして昭和51年から「温泉療法医」の学会認定を開始しました。

 

また、平成2年からは「認定温泉医」の学会認定も開始され、現在は

 

「日本温泉気候物理医学会 温泉療法専門医」(学会専門医制度)となっています。

 

 

「温泉療法医」と「温泉療法専門医」

 

温泉療法医

 

温泉療法医とは、日本温泉気候物理医学会が認定するものです。

 

その認定基準によると

 

「温泉専門医を認定するのではなく、一般医師に対し温泉治療学の啓蒙をはかるとともに、温泉療養者に対する一応の療養指導を行い得る医師の教育とその認定を目的とする」となっています。

 

 

資格のある温泉療法医は平成29年10月25日現在、全国で970名です。

 

 

日本温泉気候物理医学会<温泉療法専門医>

 

 

一方、日本温泉気候物理医学会<温泉療法専門医>の認定については「温泉医療の一定以上の臨床経験を持つ医師」を対象としており、

 

その目的は「温泉医療の水準の維持向上をはかり、もって国民保健に寄与すること」となっています。

 

 

資格のある温泉療法専門医は平成29年10月25日現在、全国で212名です。

 

私は、1998年4月1日に、この資格を取得し、5年に1度の更新を続けています。

温気

 

それは全国に200人余の温泉専門医の一人として、水氣道の活動を通して温泉医療・保養地医療・自然医療の有効性と有益性に基づき、

 

将来に向けての国民健康の維持増進と疾病の治癒やリハビリテーションについて積極的に関与していきたいと願うものであるからです。

 

 

温泉療養を行う場合は、我流の湯治ではなく、温泉治療の知識を持った医師の指導のもとに行うのが望ましいことは言うまでもありません。

 

日本で温泉療養を行う場合は、温泉療法医あるいは 温泉療法専門医の指導を受けることをお勧めします。

 

 

なお水氣道が他の鍛錬法や武道の多くと決定的に異なるのは、

 

単なる経験や伝統の継承、あるいは神がかり的な創始者によるものではないということです。

 

地域の最前線の医療に直接携わる専門の臨床医である医学博士が開発し、

 

自らライフワークとして実践続けることで、絶えず検証を続けているということの意義を改めてご理解いただければ幸いです。

 

 

温泉療法について、これを機会に、引き続きご紹介する予定ですが、

 

今後は、これと同じ高円寺南診療所のHP新着情報の

 

日曜日日々の臨床① 統合医学(東西医学、代替・補完医療)に引き継いでいきたいと思います。

 

日本はかつてとても凄い文化国でした。

 

なぜなら、いささか逆説的ですが、戦後このかた、多くの国民が英語を全く使えなくても、あるいは使わなくても生活がなりたってきた国だったからです。

 

それには日本語の素晴らしさ、というか日本人の翻訳能力が秀でていたことも一因だと思います。

 

とくに幕末明治初期、西洋近代の学術思想を日本に取り入れるにあたって、翻訳は重要な役割を果たしてきました。

 

そのうち、特に目立っているのは西周(1829-1897)が考案した抽象概念を表す近代漢語でした。残念ながら大和言葉は抽象概念向きではありません。

 

 

西周は日本の近世から近代にかけて生きた啓蒙思想家です。

 

父は津和野藩医でしたが、西は藩校や大阪で儒学を学んだのち、江戸に出てオランダ語、英語を習得しました。

 

安政4年(1857)幕府の蕃書調所教授手伝並となり、文久2年(1862)から慶応元年(1865)までオランダへ留学したのち、

 

明治元年(1868)『万国公法』を訳刊し、3年兵部省出仕、かたわら明六社に参加し『明六雑誌』に論文を発表した人物です。

 

15年元老院議官、23年貴族院勅選議員。西洋哲学、論理学等の導入者として、多くの術語を考案しました。

 

このように、西の翻訳なくして、今日に至る日本の人文・社会・自然科学の近代化はありえなかったとさえ言えるのです。

 

 

それでは、今日の学術文化はどうかというと、それがとても危ういのです。

 

危ういという根拠の一つは、英語をはじめとする外国語から入ってくる新しい概念を翻訳できる知識人が、わが国において枯渇しているからです。

 

私個人の感想からすれば、カタカナ用語は要注意、といつも考えています。

 

たとえば、診療所と表記すれば良いところを、わざわざクリニックという名称を付けることについて、他者に対しては批判しませんが、私自身は好みません。

 

 

平成8年の規則改正によって、開業医にも解禁された標榜科目が4つあり、

 

それはアレルギー科、リウマチ科、心療内科、リハビリテーション科です。

 

これらの領域は平成時代の国民的医療ニーズを反映している領域であると受け止めることができます。

 

偶然ですが、現代病に取り組もうとしていた当時の高円寺南診療所の流れに合致したため、新しい標榜科目になりました。

 

 

ここで、お気づきでしょうが、4つの専門領域のうち、なんと3つまでがカタカナです。

 

 

例外的に漢字表記の心療内科は心理療法(ただし、心身医学療法が中核)を得意とする内科の専門分野であって、

 

物療内科(物理療法内科、東大のアレルギー・リウマチ科の前身)という呼称のパクリです。

 

これがまた、諸々の政治的な事情があって、多くの方に誤解を与える名称になりつつあるのは悲劇の一言に尽きます。

 

 

リハビリテーションは、本来は社会的復権の意味で用いられていました。

 

中国語では復康医学(簡体字から変換)と表記していてさすがに漢字の国です。

 

リハビリテーションセンターは復康医学中心と表記されています。

 

復康とは健康を回復して、その人らしさを取り戻す、つまり社会的存在としての個の復権に他なりません。

 

そして、健康とはWHOの定義にあるごとく身体的な側面ばかりに限られないはずです。

 

しかし、残念ながらカタカナのリハビリテーションは、リハビリなる極めて下品な(と私は感じています)略語とともに歪(いびつ)で自分勝手なイメージが形成されつつあるようです。

 

 

現在の日本で、もし西周のような漢籍にも英語にも精通しているような教養人が医学会に存在していたら、

 

アレルギーとかリウマチなどのカタカナでお茶を濁すような真似はしなくて済んだはずではないかと思われます。

 

 

カタカナ語は日本語に成りすました外国語もどきです。

 

今年は“イメージ操作”という言葉が流行しましたが、カタカナ語を多用する人は、騙しの天才です。

 

 

ときには、そんな言葉を発している張本人自身が誤解して使用していることがあります。

 

ドイツ語の名詞アルバイトArbeitは、仕事の意味はありますが、決してパートタイムの仕事を意味しません。

 

フランス語の動詞とらばーゆtraveillerは、仕事をするという意味はありますが、転職する、という意味はありません。

 

バブル経済とかリーマン・ショックとかマニフェストだとか、メルトダウンなどのカタカナを必要以上に多発して悦に入っている人々は、

 

責任を他に転化しているだけ、あるいは雲にまいているだけのようで何だか信用できません。

 

それと同じくらい信用できない人は<人は見た目が100%>などというタイトルの本をさも得意そうに出版する類の人です。

 

 

独り歩きしがちなイメージを都合よく操作して、しかも、いざとなったら、それを言い逃れや責任回避の口実とするペテン師・詐欺師が増えているのは嘆かわしい限りです。

 

 

私は共産党員ではありませんが、ある意味シンパです。

 

なぜかというと大衆受けしそうになさそうな日本共産党という党名を一貫として守り続け、一切変更しない不器用で愚直な姿勢には共感すら覚えるからです。

 

それに引き換え、左翼と呼ばれたくない人々の自称であるリベラルとかリベラリストとかのカタカナ表記を好む御仁には、世間様にどのように恰好よく映るかを気にするあまり、

 

自ら泥を被るようなことは避けようとします。私は、そこに何やら胡散臭いものを感じてしまうのです。

 

総合アレルギ‐科(呼吸器・感染症、皮膚科・眼科を含む)

 

<アトピー性皮膚炎に関するクイズ>

 

 

 

アトピー性皮膚炎に対するステロイド外用剤の使い方で正しいのはどれだと思いますか。正解は一つです。

 

 

①ステロイド外用剤はなるべく薄く延ばして使用する。

 

②症状が改善してもステロイド外用剤をすぐには中止しない。

 

③ステロイド外用剤は皮膚組織のみに作用するので副作用の心配はない。

 

④ステロイド外用剤を顔面に使用する場合は、保湿剤など他の軟膏と混合して用いる。

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

①✖ 

薄く延ばして使用するのは誤りではないが、限度があります。

 

なぜならば皮膚症状の程度、部位、年齢に応じて適切な強度ランクのステロイド外用剤を十分量使用するからです。

 

外用量として、1FTU(径5mmのチューブから押し出されて、成人の人差指の指腹側末節部に乗る量)が提唱さています。

 

これは成人の両手掌の面積(体表面積の2%)がカバーできる軟膏の量の目安とされます。

 

ただし、皮膚が乾燥している部位ではステロイド外用剤の効果は不十分なために、保湿剤を用います。

 

 

②○ 

突然の中止によるリバウンドが生じることがあります。

 

症状が改善された場合、つまり十分な効果が認められた場合はステップダウンといって、強度ランクの低いステロイド外用剤に切り替えて継続します。

 

また、投与法は、原則として1日2回使用しますが、2週間ごとに症状の改善度を評価して漸減します。

 

症状が改善された維持期には1日1回の外用に切り替えていくことが推奨されています。

 

高円寺南診療所方式では、概ね最初から1日1回の外用を指導しています。

 

症状が軽くても今まで発疹が出たところ全体に、週に3~2~1日は薄く塗り延ばします。

 

 

③✖ 

ステロイド外用薬による副作用はあります。

 

それには局所的なものと全身的なものがあります。

 

局所的副作用は、皮膚線条や皮膚萎縮、局所免疫能の低下が誘因となる皮膚感染症の増加などです。

 

こうした副作用が発生しないように、外用薬の量を調整しながら改善を図ります。

 

全身的副作用は、ステロイド外用薬の力価、塗布部位、皮膚密封性、体表面積に占める塗布範囲の割合、使用期間などと関係しますが、多くは重症アトピー性皮膚炎の乳幼児で問題になります。

 

その場合、副腎機能抑制や免疫系のバランス異常などの注意をします。

 

 

④✖ 

ステロイド外用剤を顔面に使用する場合に、保湿剤など他の軟膏と混合して用いると、ステロイドを塗らなくて良い部分にまで、強制的に塗らざるを得ないことになるデメリットが生じます。

 

経皮吸収の盛んな顔面、頸部などに関しては、ステロイド外用薬は慎重に使用すべきです。

 

用いる場合にはできるだけ短期間の使用にとどめ、漸減、間欠投与、タクロリムス軟膏への変更などを考えます。

 

ステロイド外用剤と保湿剤を別々に処方された場合は、保湿剤を先に塗り、そのあとでステロイドを塗るという順番となります。

<分類困難な患者群から学んできたこと>その1

 

 

足かけ三十年程、開業医を続けてきて、改めて感じることは、分類不能な患者さんの御蔭でたくさんのことを学んでこられたということです。

 

分類不能な患者さんとは、自分がどこに行ったらまっとうな診療を受けられるかわからずに彷徨っているような患者さんです。

 

これらの患者さんには、いくつかのタイプがあります。

 

 

タイプA:自分の悩みが病気に該当するのかどうかがわからない、というタイプ

 

タイプB:自分の病気の相談窓口かどこなのかがわからない、というタイプ

 

タイプC: 自分の健康上の問題点を複数抱え込んでいて、どこから手を付けてよいのかがわからない、というタイプ

 

 

 

今回はタイプAの患者さんについて振り返ってみることにします。

 

タイプAの患者さんは、長引く体調不良や気分不安定に悩んでいます。

 

それでも、それが誰にでもあることなので辛抱すべき問題なのか、

 

それとも診断名(病名)がつくような確立した病気であるのかが分からないままにして、放置しているケースが問題となります。

 

つまり、何らかの慢性疾患の存在に気づいているのにもかかわらず過小評価して、問題解決を先延ばしにしている人たちも含まれます。

 

このようなタイプの方は、急を要する別件の病気のために、ようやく受診することがあります。

 

そのときが問題解決の好機でもあるのですが、そもそもの慢性疾患について医学的に言及しても、話題を避けがちであることが問題となります。

 

 

 

例1:気管支ぜんそく発作のため受診、背景となるアレルギー性鼻炎については、気づいてはいたが放置していた。(かなり多数例)

 

 

例2:痛風発作のため受診、背景となる高尿酸血症については、健診結果ですでに知っはいたが、特段困らないため放置していた。(多数例)

 

 

例3:狭心症発作のため受診、原因となる喫煙習慣と未治療の高血圧について、高血圧の治療には応じるが、<喫煙と狭心症は関係が無い>と主張し、専門家の見解を真っ向から否定した。(比較的多数例)

 

 

例4:両足の浮腫みで歩行困難であるため受診、数年前、脳卒中にて高円寺南診療所の提携先である東京警察病院脳神経外科に入院の後、数か月に一回の受診を継続していたが、その際に内科管理については高円寺南診療所で継続するように指示されたが無視していた。飲酒制限を守ることができず、すでに治療困難な肝硬変を来していた。(高円寺では、決して少数憂いではありません)

 

 

 いかがでしたでしょうか。

 

以上の様な患者さんについて皆様はどのようなご感想をもちましたか。

 

高円寺南診療所は、こうした患者さんを見捨てることなく、

 

とことんお付き合いしてきた経験の蓄積によって、

 

多くのことを学び、医学理論より広範な医療実践を展開してくることができたように思います。

 

 

来週はタイプBの患者さんについて振り返りを試みたいと思います。

<記録をとり続けるコツ④>

 

今回で「記録をとる」の最終回です。

 

前回「誰かにチェックをしてもらう」と書きました。

 

 

その考えを書き忘れてしまい、慌てて追加しました。

 

 

何故チェックを受けると良いのでしょうか?

 

 

①「ごまかし」「さぼり」ができなくなる。

 

②客観的に見て、応援してくれる人がいるので記録を意識する

 

以上の2点が大きいと、考えました。

 

 

①ですが、一人で続けていると、「このくらい誤差だよね」とか

 

「ちょっとお休みして、次から頑張る!」と自分に負けそうになることがあります。

 

チェックを受けていると、そんな考えが出ても強制的に続けられます。

 

 

②、応援してくれる人がいると、苦労半分、喜び2倍になる。

…はずです。

 

まあ、一緒に喜んでくれたり、叱咤激励してくれると励みになることは確かです。

 

 

途中で中断しかかったり、意図しないことで記録が取れないこともあります。

 

でも、諦めずに続けていけば「ルーチンワーク」になります。

 

続けないと、どこか落ち着かなくなります。

 

そうなればしめたものです。

 

目的を見失わず、中断があっても続けることが大切なのです。

 

 

Nogucciは目標に向けて記録を取り続けていきます。

 

目標達成しても続けるでしょう。

 

なぜなら、取り忘れたら落ち着かないから…

統合医学(東西医学、代替・補完医療)

 

<音楽療法は心身医学療法である:聖楽院における臨床聖楽法>

 

 

音楽療法とは、一般に対象者(クライアント)の身体的、感情的、認知的、精神的、社会的なニーズに対応するために、音楽を意図的に使用する療法であると理解されています。

 

ここで、つい見過ごされがちなのは、身体的、というあたりです。

 

それでは、内科領域をはじめとする身体の不調や病気をもつ方も対象者となり得るのでしょうか。

 

 

そこで日本音楽療法学会ガイドラインを検索してみます。

 

すると、音楽療法とは

 

「音楽のもつ生理的、心理的、社会的働きを用いて、心身の障害の軽減回復、機能の維持改善、生活の質の向上、問題となる行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に使用すること」

 

と定義しています。

 

この定義には身体的、という言葉は見いだされず、その代わりに心身の という表現が用いられています。

 

そこで心身の障害の軽減・回復、心身の機能の維持・改善、が目的であるとすれば、音楽療法とは精神療法というよりは心身医学療法の一つであるということになります。

 

 

<音楽療法は音楽を用いたセラピーで、そのための技術を持った専門家が行わなければ成果を上げることが難しい>

 

という主張が日本音楽療法学会公式HP

 

http://www.jmta.jp/about/outline.html)に現れています。

 

 

音楽を道具として用いることができるのは音楽家など専門的な音楽教育を受けてきた専門家であるといえましょうが、

 

その音楽家が心身医学の治療家になることは並大抵のことでない、というより率直に申し上げて不可能に近いと私は考えます。

 

 

また音楽療法とは

 

<単に歌を歌ったり、音楽を聴いたり、といったこととは違い、音楽療法士が個々のニーズに合わせて音楽を提供し、成果を分析しながら行う支援の方法>

 

であることも上記HPで述べられています。

 

この見方からすれば、この学会が認定する音楽療法士であれば、音楽療法を実施できるということになりますが、

 

一般の音楽療法士が単独で質の高い心身医学療法を担当できるかどうかは甚だ疑問です。

 

また<個々のニーズに合わせて>とありますが、自分のニーズが何であるかに気づいているクライアントばかりではなく、

 

潜在的ニーズはあっても、それが何なのであるかについて理解し、クライアントにフィードバックできるようになるためには、心身医学的な知識と訓練とを経ていないと難しいのではないでしょうか。

 

 

<自律神経系、免疫系、ホルモン系への音楽の影響から、確実な音楽療法の有効性についてのエビデンスが構築されつつあります。>

 

その通りなのでしょうが、これはまさに心身医学の基礎理論に一致する領域です。

 

 

<医療領域では音楽による不安軽減や疼痛緩和効果が明らかになっています。>

 

これもその通りですが、高円寺南診療所の専門的テリトリーは、当然ながら医療領域です。

 

聖楽院を開設して、稽古に参加しているレッスン生には、不安障害(全般性不安障害、社交不安障害、パニック障害、強迫性障害など)や

 

慢性疼痛(関節リウマチ、線維筋痛症など)の方も参加され、聖楽院における音楽療法である臨床声楽法はとても効果的であることがわかりました。

 

 

 <音楽療法の実施後に、免疫に関わるNK細胞の活性化が認められます。障害児・者領域では、心と体の発達支援に役立つことが分かっています。>(上記HPより)。

 

》往く週《 10月18日:第29回聖楽院週例コンサート(90分プログラム)

  

担当ピアニスト 佐々木理之(第3週先任ピアニスト)

 

 

今回は、サックス冨士田紗季、フルート富永綾香、ソプラノ若月櫻子など、聖楽院で精力的に活躍しているメンバーが多数出演しました。

 

 

ソプラノ若月は、オープニングの聖歌であるカッチーニを華麗に歌い上げ、会場の雰囲気を一気に盛り上げてくれました。

 

そしてコンコーネ50番のNo31を小倉百人一首の中から女流歌人である右大将道綱母の和歌の歌詞で歌ってくれました。

 

この曲は、テーマの他に2つのバリエーションを持った曲で、しかも音の動きが、3連符から次第に16分音符と細かくなっていくというテクニカルな曲です。

 

やはり、女声、とりわけソプラノで歌うNo31は格別でした。

 

そしてドヴォルザークの歌曲集「愛の歌」から第1番〈私たちの愛に〉、

 

意味は不明であるににもかかわらず、チェコ語の美しい哀愁に満ちた響きは聴く者の心の琴線を震わせずにはおきませんでした。

 

フィナーレを飾るメノッティのオペラ「電話」から〈ちょっと失礼>の世界的水準でのはまり役の一人に、若月櫻子を加えても許されることでしょう。

 

何度聞いても飽きが来ない魅力を発散していました。

 

 

サックスの冨士田紗季は、今や聖楽院の顔の一人です。

 

週例コンサート出演に向けての精力的な取り組みは、他に抜きんでています。

 

ドビュッシーとボザは、サックスならではの組み合わせの妙味ということができましょう。

 

来年はソロ演奏、ピアノ伴奏の他、他の楽器とのアンサンブルによる多彩で豊かな表現への挑戦してくれるのではないでしょうか。

 

 

フルート富永も注目のアーティストです。

 

プログラムとは逆順で、バッハの2曲の格調高い演奏の後の日本の唱歌を2曲。

 

今回は、ソプラノ若月のコンコーネで声楽のヴァリエーションを味わったあとに、日本歌曲の変幻自在なヴァリエーションをフルートでも大いに楽しむことができました。

 

若きフルーティスト富永は、フルートという楽器のもつ魅力を上品に、端正にアピールすることに成功したといえます。

 

今後は、オペラ・アリアなどのフルートによる変奏曲を豊富に披露してくれることなど、大いに期待できそうです。

 

 

ピアノ佐々木理之は、永遠の音大生ともいうべき純粋な音楽家です。

 

難曲を前にしてひるむことなく果敢に挑戦を挑むピアノの戦士です。

 

それに加えて、彼は伴奏の依頼をいつも快く引き受けてくれる懐の深い慈父のような存在でもあります。

 

今回はロシアの作曲家である2人のセルゲイ(プロコフィエフ、ラフマニノフ)の大曲を披露してくれましたが、

 

佐々木のロシアに対する思い入れの深さが伝わってくるような演奏であったことを報告しておきます。

 

 

 

来る週10月25日:第30回聖楽院週例コンサート(90分プログラム)

 

(音海水曜コンサート発足、通算100回特別記念プログラム)

 

 

前半45分

 

担当ピアニスト 吉田 奈津子(第4週先任ピアニスト)

 

前半のプログラムは、聖楽院週例コンサートの根幹をなす基調プログラムです。

 

 

第29回コンサートの出演者でもあるソプラノ若月櫻子、サックス冨士田紗季が引き続き

 

この回も強力にバックアップしてくれます。

 

なおフルートの西巻有希子は、前半のプログラムと広汎のプログラムを繋ぐ演奏コーディネーターとして素敵な役割を演じてくれることでしょう。

 

 

後半45分

 

特別出演のイタリア人アコーディオン奏者Ezio Ghibaudo氏のプログラム

 

聖楽院協力アーティストであるフルート西巻有希子とのアンサンブルもお楽しみいただけます。

 

 

このコンサートは、予約チケット制です。

 

予約チケットは全て完了しました。

 

今回の予約ができなかった多数のお客様には、折角のご期待に応えることができず大変申し訳ございませんでした。

 

改めてお詫び申し上げます。

 

 

今後の特別コンサートについては、可能な限り、ご希望の皆様の御期待に応えられるよう、

 

区内小ホール等での開催を含めメンバー一同総力をもって精進いたしたいと存じます。

 

 

 

11月23日(勤労感謝の日)に開催予定の

 

第1回聖楽院レッスン生内部発表会のプログラムはほぼ完成しました。

 

第一部の発表会は無料、第二部の指導者コンサート(ソプラノ小松奈津子、テノール藤原拓海、フルート八木華沙璃)は、

 

お蔭様で、予約チケットは全て完了いたしました。ありがとうございます。

もう少しツボの世界を見ていきましょう。

 

 

今回は、「合谷(ごうこく)」です。

 

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場所は、親指と人差し指の間です。

 

 

「咽頭部の腫脹、疼痛」「目の充血」「三叉神経痛」「顔面の痙攣」「顔面神経麻痺」「歯痛」「鼻炎」等に効果があります。

 

 

歯痛、鼻の調子が悪い時に刺激してみましょう。

 

 

<参考文献>

 

 

このツボが効く 先人に学ぶ75名穴       谷田伸治 

 

 

経穴マップ イラストで学ぶ十四経穴・奇穴・耳穴・頭鍼      監修  森 和

                                      著者  王 暁明・金原正幸・中澤寛元 

 

 

 高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

 

今回は「番外編 その8」、「「物」による助け合い」のつづきです。

 

 

エピソード3

 

これは15年ほど前のことです。

 

 

登山中に友人の靴底がはがれてしまったことがありました。

 

原因は、靴底のゴムと接着の劣化によるものでした。

 

これでは満足に歩行ができず、かなりのストレスになり、また危険でもあります。

 

 

皆にとってこれは想定外でした。

 

しかし、今考えてみれば、準備の段階で調べておくべきことだったと思います。

 

私は「何かの時に」と、いつも少量のガムテープを持参していました。

 

そのため、友人の靴に応急処置を施すことができました。

 

皆、ガムテープを持参していた私に感心していました。

 

 

何かあった時を想定して、入念に準備をしておくこと!

 

そうすれば、実際にトラブルが起きた時にも冷静に対応できます。

 

また「他人のため」に対応する、人助けの余裕も持つことができます。

 

そういった余裕を持っていると、何かの時に力を発揮できます。

 

 

また、周囲から信頼されることにもつながるのではないか思います。

 

そして、こちらが困った時には、周囲が進んで助けの手を差しのべてくれるようにも思います。

 

 

(次回へ続く)

 

 

ストレス対処 MIYAJI 心理相談室(高円寺南診療所内)

 

任 臨床心理士 宮仕 聖子