総合リウマチ科(膠原病、腎臓、運動器の病気を含む)
<整形外科のような内科医?-変形性関節症について>
従来、受診者の平均年齢が若い傾向であった高円寺南診療所でも、最近では徐々に高齢化がみられます。
四肢の痛み、こわばり、しびれ等リウマチ類似の症状を訴えて来院する高齢者が目立ちます。
私は、運動器系疾患を多数例扱い、また自ら水氣道を創始し、現在も全体の指揮をとりつつ自らも実践しているためか、
整形外科医のような、あるいはリハビリ医のようだと言われることがあります。
また、ときどきですがスポーツドクターですか、とも尋ねられます。
さらにリウマチ専門医になるためには、そのベースの資格として
内科専門医(もしくは認定医)あるいは整形外科専門医であるということが求められていることも重要な要素だと思います。
ですから、上記の皆様の御感想やご質問は、すべてご尤もだと思います。
しかし、私からすれば、まったく手術を手掛けない多くの整形外科標榜医こそが、内科的だと思います。
整形、整形と巷では呼ばれていますが、その理由の一つが、
整形外科医開業医の比較的多数が外科医らしくない印象を一般人に与えているからなのではないかと考えています。
さて高齢者の関節リウマチのか診療に当たっては、鑑別疾患または併発疾患として、遭遇する機会の多い整形外科的疾患がいくつかあります。
その第一が変形性関節症です。
これは関節組織の加齢変化を基盤として発症する関節の病気です。
膝関節に好発しますが、手の指にもへバーデン結節、ブシャール結節、CM関節症がみられます。
また変形性脊椎症(変形性頚椎症、変形性腰椎症)も加齢とともに出現し、
頸・腰部痛みと上下肢のしびれ・麻痺などの神経症状を来します。
さらに、関節ならびに関節周囲組織にピロリン酸カルシウムが沈着するCPPD結晶沈着症も、高齢者ではよくみられます。
特に頸椎環軸関節(第一頸椎と第二頸椎とによる関節)に起こるクラウン・デンス症候群は比較的まれですが脳神経疾患との鑑別が重要であり、内科医としての総合的な力量が問われる病態です。
変形性関節症の診断の金星標準は、昔も今も単純X線(レントゲン)検査です。
高円寺南診療所は零細医療機関なのでレントゲン技師に任せることなく医師みずからがテレビレントゲン装置を用いて撮影・診断します。
私は、このスタイルを30年近く続けてきて、臨床上、得ることが多かったと思います。
代表的な変形性膝関節症では、関節裂隙の狭小化や骨棘形成が特徴的です。
この場合、骨びらんや骨萎縮を認めれば、変形性関節症に加えて関節リウマチの存在を積極的に疑う根拠になります。
膝関節以上にしばしば確認しているのは頸椎の異常です。
これは大学病院や中核病院でもしばしば無視あるいは軽視されることが少なくないので慎重に検査します。
頸椎の異常は、若い人でもしばしば見出せます。
頸椎の生理的前弯が失われ強直化したストレートネックや、さらに前屈しスワンネック化した症例です。
この状態を放置しておくと様々な障害が生じやすく、なかには線維筋痛症に発展する例もあるため要注意です。
中高年に至り変形性関節症、関節リウマチ、線維筋痛症のトリプルとなることも決して稀ではありません。