日々の臨床①:10月22日 日曜日<音楽療法は心身医学療法である:聖楽院における臨床聖楽法>

統合医学(東西医学、代替・補完医療)

 

<音楽療法は心身医学療法である:聖楽院における臨床聖楽法>

 

 

音楽療法とは、一般に対象者(クライアント)の身体的、感情的、認知的、精神的、社会的なニーズに対応するために、音楽を意図的に使用する療法であると理解されています。

 

ここで、つい見過ごされがちなのは、身体的、というあたりです。

 

それでは、内科領域をはじめとする身体の不調や病気をもつ方も対象者となり得るのでしょうか。

 

 

そこで日本音楽療法学会ガイドラインを検索してみます。

 

すると、音楽療法とは

 

「音楽のもつ生理的、心理的、社会的働きを用いて、心身の障害の軽減回復、機能の維持改善、生活の質の向上、問題となる行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に使用すること」

 

と定義しています。

 

この定義には身体的、という言葉は見いだされず、その代わりに心身の という表現が用いられています。

 

そこで心身の障害の軽減・回復、心身の機能の維持・改善、が目的であるとすれば、音楽療法とは精神療法というよりは心身医学療法の一つであるということになります。

 

 

<音楽療法は音楽を用いたセラピーで、そのための技術を持った専門家が行わなければ成果を上げることが難しい>

 

という主張が日本音楽療法学会公式HP

 

http://www.jmta.jp/about/outline.html)に現れています。

 

 

音楽を道具として用いることができるのは音楽家など専門的な音楽教育を受けてきた専門家であるといえましょうが、

 

その音楽家が心身医学の治療家になることは並大抵のことでない、というより率直に申し上げて不可能に近いと私は考えます。

 

 

また音楽療法とは

 

<単に歌を歌ったり、音楽を聴いたり、といったこととは違い、音楽療法士が個々のニーズに合わせて音楽を提供し、成果を分析しながら行う支援の方法>

 

であることも上記HPで述べられています。

 

この見方からすれば、この学会が認定する音楽療法士であれば、音楽療法を実施できるということになりますが、

 

一般の音楽療法士が単独で質の高い心身医学療法を担当できるかどうかは甚だ疑問です。

 

また<個々のニーズに合わせて>とありますが、自分のニーズが何であるかに気づいているクライアントばかりではなく、

 

潜在的ニーズはあっても、それが何なのであるかについて理解し、クライアントにフィードバックできるようになるためには、心身医学的な知識と訓練とを経ていないと難しいのではないでしょうか。

 

 

<自律神経系、免疫系、ホルモン系への音楽の影響から、確実な音楽療法の有効性についてのエビデンスが構築されつつあります。>

 

その通りなのでしょうが、これはまさに心身医学の基礎理論に一致する領域です。

 

 

<医療領域では音楽による不安軽減や疼痛緩和効果が明らかになっています。>

 

これもその通りですが、高円寺南診療所の専門的テリトリーは、当然ながら医療領域です。

 

聖楽院を開設して、稽古に参加しているレッスン生には、不安障害(全般性不安障害、社交不安障害、パニック障害、強迫性障害など)や

 

慢性疼痛(関節リウマチ、線維筋痛症など)の方も参加され、聖楽院における音楽療法である臨床声楽法はとても効果的であることがわかりました。

 

 

 <音楽療法の実施後に、免疫に関わるNK細胞の活性化が認められます。障害児・者領域では、心と体の発達支援に役立つことが分かっています。>(上記HPより)。