》往く週《 7月5日:第14回聖楽院週例コンサート

 

 

先任ピアニスト鈴木美穂(聖楽院特任)

 

<イタリア歌曲とピアノ演奏による60分>

 

小倉百人一首で歌うシリーズ、トスティ50番の封切でした。

 

 

これはコンコーネ50番とは異なるテイストであり、

 

より抒情的な歌い方に導かれることを、早くも常連の方はお気づきのようでした。

 

 

次回8月2日の第18回コンサートから、

 

鈴木さんにはアンコール曲を準備していただくことになりました。

 

またクラリネットの小嶋慶子さんの演奏も加わり、楽しみが増えます。

 

乞うご期待!

 

 

 

《 来る週 》7月12日:第15回聖楽院週例コンサート

 

先任ピアニスト齋藤亜矢子(聖楽院ピアノ伴奏科主任)

 

<シューベルトの歌曲とピアノ演奏による60分>

 

早くも、初めてのお客様からの予約が入りました。

 

聖楽院レッスン生、見学生の皆様には必聴のピアノ伴奏者です。

 

一般の方も、どうぞご来場くださいますように。

 

音海会場でのコンサートは、この回で通算85回を迎え、

 

内容はますます充実しつつあります。

 

この機会をお聴き逃しなく!

<聖楽院声楽表現コースのご案内>

 

 

聖楽院は今年4月に開校しました。

 

声楽表現科の在籍者は計21名(レッスン生13名、見学生8名)

 

に達しております。

 

 

平日の参加が困難である方のため、

 

すでに土曜日の公開レッスンを開始しておりますが、

 

ピアノ演奏科を含め参加希望者多数のため、

 

目下、日曜日の月例公開レッスンを検討中です。

 

 

レッスン効果について、レッスン生の姿勢・呼吸・発声の向上を、

 

協力ピアニストのみならず、レッスン生自らが実感しています。

 

とりわけ、水氣道参加者の成果はより顕著です。

 

そのため、見学生のほとんどがレッスン生として登録しています。

 

 

なお、意欲ある複数のレッスン生のご提案・ご希望により、

 

第1回聖楽院内部発表会を11月23日(木・勤労感謝の日)に

 

<音海>開場にて開催することが決定しました。

 

 

聖楽院は音楽塾であるだけでなく、相互啓発の場であり、

 

心身の健康回復・向上のための

 

セラピー・セミナーでもあることを感じ取っていただいています。

 

 

そこで、現在行っているレッスン内容・稽古の流れをご紹介いたします。

 

 

Ⅰ 聖楽院体操(意氣粋息<いきいきいき>体操)

 

 

Ⅱ ピアノ曲鑑賞(演奏者:聖楽院協力ピアニスト)

 

 

Ⅲ 聖楽院オリジナル音階発声練習

 

①4つの教会旋法

(エオリア旋法、ドーリア旋法、フリギア旋法、リディア旋法)

 

②ウィーン発声法

(クラウディア・ヴィスカ式、パブロ・カメゼッレ式)

 

 

Ⅳ 聖楽院オリジナル・レッスン譜による歌唱

 

(歌詞:小倉百人一首)コンコーネ50番 / トスティ50番

 

(歌詞:イタリア語およびオリジナル日本語訳)ヴァッカイ      

 

 

Ⅴ 個別選択曲練習

 

①イタリア古典歌曲

 

②日本歌曲

 

③月例アヴェ・マリア歌唱研究

 

④その他、聖楽院内部発表会演奏準備

 

 

神経・精神・運動器

 

テーマ:片頭痛(その2)

 

片頭痛の治療

 

 片頭痛の治療は大きくわけて2種類あります。

 

頭痛発作がおこった時になるべく早く頭痛鎮めるための治療法を

 

急性期治療(頓挫療法)と頭痛がある日もない日も毎日お薬を飲んで

 

頭痛発作を起こりにくくし、

 

また、頭痛発作が起こっても軽くすむようにするための予防療法です。

 

発作回数が月に数回以内で、片頭痛発作による生活への悪影響があまりなければ

・・・急性期治療を中心にします。

 

ただし、高円寺南診療所では、予防医学や自然医療を重視する立場から、

 

なるべく初回は、生活指導(緊張が和らぎ体温が上昇すると発作が出易くなるために、

 

誤った対処法-常に緊張を続け、体を冷やしている-などの修正)、

 

複合ビタミンB(B1,B2,B6,B12)および漢方薬

 

(呉茱萸湯をはじめ、苓桂朮甘湯、釣藤散など、体質に応じて使い分け)

 

を用いて、経過観察をしています。

 

少し、症状が緩和されて、セルフコントロールへの意欲が高まってきた方には、

 

フィットネス検査の後、水氣道®への参加をお勧めしております。

 

 

発作回数が多い場合や、生活への影響が強ければ

・・・急性期治療と予防療法を組み合わせて治療をします。

 

予防療法の効果が現れるまでに、通常1~2ヵ月の期間がかかりますので、

 

少なくとも2ヵ月は継続してみて、効果を判定してください。

 

 

 急性期治療(頓挫療法)には市販薬も含め鎮痛薬が広く使用されています。

 

2000年以降わが国でも、片頭痛に有効なトリプタン系薬剤

(スマトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタンなど)

 

が使用できるようになり、多くの片頭痛患者さんが恩恵を受けています。

 

 

 鎮痛薬の上手な使い方としては、

 

①頭痛発作のなるべく早期に使用することと、

 

②過剰に連用しないことです。

 

連用により鎮痛薬誘発性頭痛といわれる別の頭痛がおこってきます。

 

 

 トリプタンの登場により片頭痛の効果的な治療ができるようになり、

 

片頭痛による日常生活の支障やQOLの阻害は軽減できるようになりつつあります。

 

他方で、使用量が増加しトリプタンによる薬物乱用頭痛も報告されています。

 

トリプタン使用量の目安としては1ヵ月に10日以内というのが、多くの専門医の意見です。

 

月に10日を超えてトリプタンを使用している場合には、

 

予防薬を適切に併用してトリプタンの使用が月に10日以内ですむようにコントロールするべきです。

 

ただし、特殊な片頭痛などで専門医の管理の元で

 

一時的に10日以上使用することは問題ありません。

 

 頭痛の発作回数が多い場合や、頭痛の程度が高度の場合、

 

頓挫療法があまり効かない方は予防療法を併用するのがよいでしょう。

 

また、片麻痺性片頭痛や、脳底型片頭痛、遷延性前兆を伴う片頭痛、片頭痛性脳梗塞など

 

重大な神経障害をおこすおそれのある特殊な片頭痛の場合も予防療法が必要です。

 

 

 予防療法の治療目標:

①頭痛発作の回数を半分以下に減少させて、頭痛の程度を軽くすること、

 

②頭痛の持続時間を短縮し、急性期治療薬の効果を増強して、

 

頭痛による日常生活への影響を最小限にして活動性を改善することです。

 

 

予防療法により頭痛発作が完全に抑制できることもありますが、

 

完全に頭痛をなくすことを求めすぎるのは得策ではありません。

 

 

 予防療法にはCa拮抗薬やβ遮断薬といわれる薬剤がよく用いられています。

 

Ca拮抗薬として塩酸ロメリジン(ミグシス、テラナス)が片頭痛治療薬として使用されます。

 

β遮断薬ではプロプラノロール、メトプロロール等がよく用いられています。

 

抗てんかん薬であるバルプロ酸やトピラマートも片頭痛の予防に有効です。

 

また、抗うつ薬、特に三環系抗うつ薬に分類されるアミトリプチリンも用いられています。

 

慢性的な痛みのために抑うつ的になることがありますが、

 

うつ状態でない慢性頭痛の場合にも有効であることが確かめられています。

もう少しツボの世界を見ていきましょう。

 

 

今回は「丘墟(きゅうきょ)」です。

IMG_1873

 

場所は外踝の前縁の直下線と下縁の水平線が交わるところの窪みにあります。

 

 

このツボを刺激すると胆嚢の断面積を大きくするそうです。

 

 

「胆嚢炎」「下肢の運動麻痺」「胸脇痛」「項頚部痛」に効果があります。

 

 

マッサージ、お灸をすると良いかもしれません。

 

 

<参考文献>

 

 

このツボが効く 先人に学ぶ75名穴       谷田伸治 

 

 

経穴マップ イラストで学ぶ十四経穴・奇穴・耳穴・頭鍼      監修  森 和

                                      著者  王 暁明・金原正幸・中澤寛元 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

内分泌・代謝・栄養の病気

 

テーマ:高プロラクチン血症は医原病か?

 

 

若い女性の原因不明の無月経の約20%が、高プロラクチン血症によるものだといわれています。

 

原因は、私ども内科医や精神科医あるいは婦人科医等の処方薬の副作用によるものが多いです。

 

 

概念:

プロラクチン産生下垂体腫瘍(プロラクチノーマ)は、脳下垂体の腫瘍の一つで、

 

プロラクチンというホルモンを産生し、高プロラクチン血症を来たし、

 

無月経乳汁漏症候群を来たします。

 

 

 

生理:

プロラクチンに限らず、生体内にはホルモン分泌量を制御する仕組みがあります。

 

妊娠・授乳行為⇒プロラクチン分泌↑⇒LH(黄体化ホルモン)↓・

 

FSH(卵胞刺激ホルモン)⇒(中枢性)性腺機能(ゴナドトロピン)↓

 

⇒無月経・不妊

 

 

 

原因:

Ⅰ.抗ドパミン作用を有する向精神病薬:

 

①三環系抗うつ薬(アミトリプチリン、イミプラミン)

 

②抗精神病薬ブチロフェノン系(ハロペリドール)

 

③フェノチアジン系(クロルプロマジン、ベルフェナジン)

 

 

Ⅱ.抗ドパミン作用を有する消化器系薬剤:

①制吐剤(メトクロプラミド、スルピリド、ドンペリドン)は

 

ドパミン受容体を遮断するため、プロラクチン分泌も亢進します。

 

②H2受容体拮抗薬(シメチジン、ラニチジン)

 

 

Ⅲ.中枢ドパミン系に影響を与える降圧剤(α-メチルドパ、レセルピン)

 

 

Ⅳ.経口避妊薬(エストロゲン製剤)

 

原発性甲状腺機能低下症では、視床下部からのTRH分泌が上昇する結果、

 

プロラクチン分泌も亢進します。

 

症状:

高プロラクチン血症が女性に見られた場合、無月経、乳汁漏出、

 

不妊等を伴い無月経乳汁漏症候群としてしられています。

 

男性では自覚症状が出現しにくく、勃起不全などが出現しても

 

申告しにくい症状であるためか発見が遅れがちです。

 

下垂体性の高プロラクチン血症では、しばしば視野狭窄がみられます。

 

分娩後、長期間の授乳によりプロラクチンの分泌が亢進し、

 

ゴナドトロピン分泌が低下することによって生じる高プロラクチン血症は

 

キアリ・フロンメル症候群と呼ばれますが、

 

分娩と関係ないものではアルゴンツ・デル・カスティージョ症候群と呼ばれてきましたが、

 

いずれも微小な下垂体腫瘍の存在が否定できないことがあるため、

 

無月経乳汁漏症候群に括られるようになりました。

 

 

 

検査:

① 血中プロラクチン値を複数回測定して、いずれも≧20ng/mL

 

とくに100ng/mLを超える場合にはプロラクチン産生腫瘍の可能性を考えます。

 

②画像検査:MRIで下垂体および下垂体茎・鞍上部の病変を見つけます。

 

 

治療:

他の下垂体腫瘍と比較して特徴的なのは、

 

薬物療法が有効なので手術療法より優先されることです。

 

 

#1.持続性高プロラクチン血症の治療

 

1-1:薬剤によるものであれば、原因薬物の中止・変更をします。

 

1-2:原発性甲状腺機能低下症、先端肥大症、下垂体茎・鞍上部病変など、

 

     他疾患に伴うものは原疾患の治療をします。

 

 

#2.プロラクチノーマの治療

 

2-1:薬物療法はドパミン作動薬が第一選択です。

 

高プロラクチン血症では、原因と背景状況によって治療法が異なり、

 

妊娠や薬剤性のものでは、ブロモクリプチンを使わないこともあります。

 

ただし、産褥期の多くの高プロラクチン血症による母乳分泌抑制に用いられるのは

 

ブロモクリプチンです。

        

第一選択薬となるドーパミンD2受容体作動薬(ブロモクリプチン、テルグリドなど)には、

 

強力なプロラクチン分泌抑制作用があり、

 

血清プロラクチン値の正常化、腫瘍縮小効果は70%以上です。

 

ただし、副作用として消化器症状(嘔気・嘔吐)、起立性低血圧などが多いため、

 

服薬中止例が多く、薬剤中止によるプロラクチン値の再上昇、腫瘍の再増大が問題となります。

 

 

そこで、他の第一選択としては長時間作用型の選択的ドーパミン作動薬

 

カベルゴリン)が用いられます。

 

この薬剤は、週一回の低用量服薬で済み、寛解率も高く、

 

消化器症状などの副作用が少ないです。

 

この薬剤は、従来、パーキンソン病に使用されていましたが、

 

高用量では炎症性線維化反応により心臓弁膜症を起こすことが問題視されていました。

   

 

2-2:手術では薬物療法が無効な場合、

 

巨大な腫瘍による腫瘍圧迫症状(視力障碍など)が認められる場合、

 

将来挙児を希望する場合は、手術(経蝶形骨洞下垂体摘出手術:Hardy法)も検討されます。

   

 

2-3:放射線治療としてガンマナイフ、サイバーナイフがあります。

       

薬物治療無効例で手術で全摘できなかった症例、

 

再発した増殖性の高い腫瘍などを対象にします。

 

ただし、有効率は低く、下垂体前葉機能低下症をもたらすことがあるため、

 

必ずしも血清プロラクチン値の低下を目的として行う必要はありません。

 

<第5ステップ> その1

 

「人に助けを求めよう、人の力を借りよう」と決断できたら、

 

次は「助けを求める人を決める」段階に入ります。

 

 

この段階では、こんな考えを巡らせるでしょう。

 

○自分の悩みのために、時間や労力を割いてくれそうな人はいるだろうか。

 

○悩みを相談することで、その人の負担になりはしないだろうか。

 

●自分の気持ちに、真剣に寄り添ってくれる人はいるだろうか。

 

●自分より知識を持っていて、教えてくれそうな人はいるだろうか。

 

●自分の問題が解決するよう、良い助言をくれる人はいるだろうか。

 

●印は、今まで何度も挙げている通り、

 

相手に①情緒的サポート、②手段的サポート、③情報的サポートを求める、

 

ということです。

 

(第16~19回をご参照ください)

 

 

第14回の「コンボイ・モデル」でお話したように、

 

あなたの周りの人たち(サポーター)が、どの円に含まれ、

 

どのくらいいるのか、まずは当てはめてみましょう。

 

 

そして、自分が抱えている、今ある大事な問題について、

 

周囲のサポーターたちの誰に助けを求めるのが適切か、考えてみましょう。

 

もちろん、複数の人の力を借りることも大きな助けとなるでしょう。

 

 

臨床心理士は、自身が直接のサポーターであると同時に、

 

「その人が抱えている、今ある大事な問題について、

 

周囲のサポーターたちの誰に助けを求めるのが適切か」

 

ということをともに考え、検討するパートナーともなり得る専門家なのです。

 

* 参考文献: 太田仁,2005,「たすけを求める心と行動」,金子書房

 

 

ストレス対処 MIYAJI 心理相談室(高円寺南診療所内)

 

主任 臨床心理士 宮仕 聖子

心臓・脈管 / 腎・泌尿器の病気

 

テーマ:心不全の予防と治療(その1)

 

心不全は身近な病気です!

 

 

心不全は、患者・家族教育が最も重要で、

 

生活指導や服薬アドヒアランスを高めるチーム医療が効果的です。

 

超高齢社会にあって独居者の増加もあり、早期からの積極的介入が望まれます。

 

心不全の話は、どうしても難しく専門的になってしまうので、

 

無理をなさらず、理解できる範囲で、ご参考になさってください。

 

 

医師は、こんなふうに考えているのだという雰囲気だけでも、

 

感じ取っていただければ、と存じます。

 

 

心不全の症候:脈拍、血圧、呼吸数といったバイタルサイン、

 

爪の色、手足の冷たさ、皮膚の湿っぽさ、動悸、息苦しさ、だるさ、食欲、

 

咳、痰、浮腫、尿量などを常にチェックして、心不全の悪化を防止します。

 

 

心不全の病態:

心不全は慢性的な交感神経系緊張状態にあります。

 

ですから、交感神経系の緊張を更に強める刺激となる

 

過労、睡眠不足、精神的ストレスなどはしばしば致命的となります。

 

自律神経系である交感神経の過緊張は

 

RAA(レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系、エンドセリン-1分泌、

 

ADH(抗利尿ホルモン:バゾプレシン)などのホルモン分泌を亢進させます。

 

Na利尿ペプチドやアドレノメドュリンは、

 

交感神経系、RAA系、エンドセリン-1分泌、

 

ADH(バゾプレシン)に対して拮抗的に作用します。

 

 

交感神経終末から放出される神経伝達物質は

 

ノルエピネフリン(ノルアドレナリンとも呼ばれる)です。

 

副腎髄質からもホルモンとして血中に分泌されます。

 

これはエピネフリンと共に、交感神経系を動かし、心拍を増加させ、

 

脂肪からエネルギーを放出し、筋肉の反応を増強する、

 

すなわち闘争反応あるいは逃避反応を制御する物質です。

 

このノルエピネフリンとよく似た物質に

 

123I-MIBG(メタヨードベンジルグアニジン)があり、

 

心不全の重症度や予後予測に有用です。

 

 

心不全では交感神経活性の亢進により、

 

MIBGの交感神経終末からの消失が早くなるため、

 

継時的に集積が低下します。

 

123I-MIBG投与3~4時間後の後期像での

 

心筋シンチグラフィでの心縦隔比(H/M比)は増大します。

 

 

臨床像:

うっ血性心不全の呼吸困難は仰臥位(あおむけ)では

 

静脈還流が増加するため増悪し、坐位により軽快します。

 

浮腫は下肢や背側に顕著であり、

 

漏出液(タンパク質が少ない)の貯留によるため圧痕を生じます。

 

 

左心不全所見:

肺水腫は、肺うっ血とともに呼吸困難を来します。

 

心臓カテーテル検査で計測される肺動脈楔入圧の上昇は、左房圧上昇を反映します。

 

左室駆出圧(収縮能)が正常でも左室拡張能が低下すれば

 

うっ血性心不全となることがあります。

 

 

洞調律で左室駆出率が低下した心不全において、

 

最も実用的な心臓超音波所見は、僧房弁輪運動速波形のパターン分類で、

 

左室充満圧の上昇を示唆する左室駆出率のE / e’>15を見出すかどうかが有用です。

 

 

左室駆出率が維持された心不全の診断には、

 

心臓超音波検査等で左室駆出率≧40~50%が用いられています。

 

 

高拍出性心不全を来す病態には

 

①重症貧血、②甲状腺機能亢進症、③動静脈瘻があります。

 

 

心臓局所でのアンジオテンシンⅡは線維芽細胞からのエンドセリン分泌を介し、

 

心筋細胞でのBNP発現を亢進させます。

 

BNPとは主に心室で合成される心臓ホルモンです。生理活性があり、

 

腎機能の影響を受けますが、NT-proBNPはBNP前駆体のN端側フラグメントであり

 

生理活性が無いが、腎機能の影響をより受けやすいです。

 

 

治療:

心不全に有効な薬が多数あるとはいえ、

 

日常生活上の注意点を、医師に指示された通り守ることがすべての基本です。

 

安静度、運動プログラム、塩分・水分制限、体重コントロールに留意しながら、

 

処方された以下のような強心薬や利尿薬の規則正しい服用、

 

定期的な医師の診察が不可欠となります。

 

 

<慢性心不全>の治療には無症状の心機能低下例から心不全例まで、

 

β遮断薬やアンジオテンシン変換酵素阻害薬を用いると予後改善が認められます。

 

 

<浮腫を伴う心不全>では、まず浮腫、肺水腫等の全身のうっ血の改善のために、

 

速効性の利尿薬(フロセミド)を投与します。

 

従来の利尿薬に治療抵抗性の場合には、

 

バゾプレシン拮抗薬であるトルバプタンを使用します。

 

 

<心不全を合併した高血圧>に対しては、降圧利尿薬、ACE阻害薬、ARBが適応です。

 

 

<心不全に合併した頻拍性心房細動(Af)>では、

 

心原性塞栓症予防として抗凝固療法を行います。

 

また心拍数調整のためβ遮断薬、Ca拮抗薬を用います。

 

それでもコントロールがつかないときはアミオダロンを選択します。

 

ただし、抗不整脈薬の使用は慎重を要します。

 

たとえばⅠ群抗不整脈薬の使用は生命予後を悪化させてしまいます。

調血航法 No.1

 

人は肺で取り入れた酸素を栄養素と共に血液で全身に運び、筋肉を使って体を動かします。

 

調血航法という名称で、<調血>というのは血液の成分と血流とを整えることからきています。

 

中国医学では血の異常を”瘀血”(おけつ)および

 

“血虚”(けっきょ) という概念でとらえます。

 

簡単にいえば ”瘀血”は血流停滞、“血虚”は血流不足ということです。

 

 

血液がドロドロしていたり、

 

心臓や筋肉の働きが十分でなかったりすると血流停滞が生じます。

 

逆に血液の希薄な貧血状態や冷え性などをともなう血行不良や血流不足となります。

 

 

調血航法は、脳を使って、心肺機能と筋肉の働きを鍛錬します。そして、

 

全身のしなやかな筋肉を作り、怪我を起こしにくく、障害に陥りにくい、

 

しかも回復力に優れた体作りを目的とします。

 

繰り返し鍛錬することによって血液を

 

心臓から頭や指先・爪先まで滞りなく送り出し、

 

また全身から心臓へ戻ってくる循環を促します。

 

 

血液を全身に送り出すポンプである心臓は、変則二拍子のリズムで歌っています。

 

 

心臓の真上の胸壁に聴診器を当てて聴くと、

 

日本人の耳では、コッ・コロ、コッ・コロと聞こえます。

 

それが、心(こころ)の語源だと言われています。

 

第一心音(コッ)は高調音で、第二心音(コロ)は低調音です。

 

また、英語のネイティブの方はラップ・タップ、ラップ・タップと聞こえるそうです。

 

人体は楽器性がありますが、何と心臓自体が楽器なのです。

 

 

調血航法では脳を使って心蔵の鼓動のようにリズムカルに1・2、1・2…と声に出しましょう。

 

それに合わせて体を動かし、全身の筋肉の屈伸運動を繰り返します。

 

それによって、無理なくその目的を実現し、

 

瞬発力(パワー)と持久力(スタミナ)を強化し、

 

平衡感覚や協調運動能力を磨くことができるのです。

 

 

 

日本水氣道協会 水氣道2級(中等修錬生)

 

調血航法直伝 加藤博文

 

 

※次回は調血航法と理氣航法の関係についてです。

 

呼吸器 / 感染症 / 免疫・アレルギー・膠原病

 

テーマ:アナフィラキシー・ショック対策(その1)

 

<高円寺南診療所のアレルギー専門外来について>

 

 

アナフィラキシー・ショックの対処のために患者さんが自己注射する

 

エピペン®は、処方資格のある医師のみが処方可能な薬剤です。

 

 

処方医師はエピペンを患者の皆様に処方すること、

 

また緊急時の使用のためにエピペンを常備することが可能です。

 

 

高円寺南診療所は、アレルギー専門医として、アナフィラキシー対策を行っております。

 

当診療所公式ホームページのトップページをご覧ください。

 

以下の通り、ご紹介いたしております。

 

〇アレルギー科

ご存じですか? 気がつかないアレルギー!

アレルギー疾患は、国民の約5割が罹患する国民病です。

(厚生労働省:平成28年2月3日)

 

》基本は<環境調整><体質改善>

 

アレルギー科関連 追加処方資格

 

<アナフィラキシー補助療法><舌下免疫療法>

 

その他(アレルギー科の詳細はこちら

 

 

 ここで、<アナフィラキシー補助療法>をクリックしていただくと、

 

以下の記載をご確認いただけます。

 

 

○アレルギー科《アナフィラキシー補助治療剤の処方について》 

 

(アドレナリン自己注射薬エピペン®)処方医資格取得日

(2004年11月9日)

 

 

 

アナフィラキシーとは、アレルゲンなどの侵入により、

 

アレルギー症状が複数臓器に引き起こされ、

 

生命に危機を与えかねない過敏反応です。

 

 

とりわけ、血圧低下や意識障害を伴う場合を

 

アナフィラキシーショックといいます。

 

 

このアナフィラキシーショック(過敏症性ショック)は、

 

Ⅰ型アレルギーを主とする即時型過敏反応です。

 

ヒスタミンが遊離されることによって起こるショック状態をいい、

 

血液分布異常性ショックの一つに分類されます。

 

体内を含め全身に血管透過性亢進による浮腫が起きますが、

 

口腔内の粘膜の浮腫は患者さん自らも観察可能です。

 

アナフィラキシーショックの症状には悪心(おしん)と嘔吐(おうと)がみられます。

 

 

<原因> 抗菌薬などの薬剤、食物(そば)、虫刺症(ハチ毒)、物理的刺激など多岐にわたります。

 

たとえば、お好み焼き粉などの粉製品を開封後、

 

長期間室温保存することで混入したダニが繁殖し、

 

その製品を摂取したことによるアナフィラキシーが報告されています。

 

アナフィラキシーショックは、IgE抗体を介する免疫学的抗原・抗体反応であり、

 

2回目以降に強く起こることが重要です。

 

 

<症状> 起因物質投与後、数分で粘膜浮腫、気管支痙攣(けいれん)、

 

血圧低下などの広範な症状を呈します。

 

早期の対応のためには前駆症状についての知識が役に立ちます。

 

気分不快感、違和感、唇や手足のしびれ、心悸亢進(動悸)などから始まることが多いです。

 

症状は次第に、血圧低下、頻脈(脈拍数の増加)、皮膚紅潮、蕁麻疹(じんましん)、

 

顔面蒼白(顔が真っ青になる)、喘鳴(呼吸がゼイゼイする)、呼吸困難、下痢などが生じます。

 

違和感として、悪心・嘔吐があります。

 

胃内容物(ときに十二指腸・小腸内容物)が不随意に逆流し、

 

食道・口腔から体外に排泄されることを嘔吐といい、

 

嘔吐したくなる差し迫った感覚を悪心(嘔気、吐き気)といいます。

 

なお、重症になると意識が消失し、死に至ることがあるため緊急対応が必要です。

 

 

<治療>迅速な処置が決め手になります!

 

1)アドレナリン自己注射用キット(エピペン®を携帯していれば、それ使用します。

 

2)エピペン®をもってなければ、呼吸、循環(脈拍数など)の状態を直ちに把握して、

 

援助者(救急隊、可能であれば蘇生チーム)に連絡する。

 

3)医療機関でアドレナリンを大腿部(中央前外側)に筋注し、

 

患者を仰臥位(あおむけ)にして下肢を挙上する。

 

ここまでは、原理的には「1)」と同じです。

 

その後、必要に応じて酸素投与、静脈ルート確保、心肺蘇生を行います。

 

補足説明)専門的な話になりますが、アドレナリンを投与するのは、

 

血圧を回復させるだけでなく、c AMPを介してアナフィラキシー反応を

 

抑制に直接役立つことが知られています。

 

 

<検査>症状が落ち着き、投与薬剤の影響を受けなくなった時期に行います。

 

そこでアレルゲンの同定検査を行います。

 

1)血清特異的IgE抗体検査

 

2)プリックテスト、スクラッチテスト、皮内テスト

 

高円寺南診療所では「1)」のみを実施しています。

 

感度は低いもののアナフィラキシー反応を誘発するリスクがないからです。

 

「2)」は感度が高いのですが、アナフィラキシー反応を誘発するリスクがあります。

消化器系の病気

 

テーマ:慢性胃炎

 

機能性ディスペプシアとは何か?>

 

 

慢性胃炎ほど、聞きなれている割には、あいまいに理解されている病名はありません。

 

慢性胃炎は、厳密には組織学的または形態学的に、

 

胃の慢性炎症細胞浸潤や固有胃腺の萎縮を伴う病態と定義されています。

 

しかし、実際には、こうした器質的病変を認めない症候学的胃炎が多く、

 

近年では、これを機能性ディスペプシアとして区別するようになりました。

 

そこで、慢性胃炎はヘリコバクター・ピロリ感染や自己免疫による

 

慢性の組織学的な胃炎を指すようになってきています。

 

 

内科を受診する患者さんの訴えとして多いのは、全身倦怠感、食欲不振などです。

 

ただし、こうした漠然とした全身症状だけではれだけでは、特定の病気に絞り込むことは難しいです。

 

これらの症状に加えて、腹部不快感、腹部膨満感などが確認できて初めて、

 

胃腸病を疑うことが可能となります。

 

たとえば悪心・嘔吐、心窩部痛(みぞおちの痛み)あれば、胃炎を疑います。

 

また胸焼けがあれば、胃食道逆流症(逆流性食道炎)も疑うべきでしょう。

 

 

原因:

ヘリコバクター・ピロリ感染によるものが80%で、

 

その他に消炎鎮痛剤NSAIDs、全身疾患(自己免疫・膠原病など)

 

 

分類:いくつかあります。

 

1)シュナイダーの組織形態学的分類(表層性、萎縮性、肥厚性)胃炎

 

萎縮性胃炎には、ヘリコバクター・ピロリ感染の持続によって

 

胃粘膜が委縮する結果生じ、胃酸分泌が減少します。

 

ヘリコバクター・ピロリ関連疾患には、胃・十二指腸潰瘍、

 

胃がん、胃MALTリンパ腫などがあります。

 

 

2)ストリックランド-マッケイの免疫学的分類(A型、B型)胃炎

 

A型胃炎:

自己免疫性で抗壁細胞抗体陽性、胃体部を中心とした萎縮性胃炎なので、

 

胃酸分泌が低下し、無酸となり、そのフィードバックにより高ガストリン血症をきたす。

 

悪性貧血、胃カルチノイドなどの合併例があります。

 

 

B型胃炎:

ヘリコバクター・ピロリ感染性で、前庭部から胃体部へ進行する。

 

腸上皮化成を伴うので胃がん発生のリスクが高いです。

 

ヘリコバクター・ピロリ除菌後には、胃酸分泌が亢進し、

 

一時的に逆流性食道炎を起こすことがあります。

 

 

検査:器質的胃炎の診断には内視鏡検査と生検が行われます。

 

①血清ペプシノゲン(胃がん検診用:保険外)陽性者は③を勧めます。

 

②上部消化管造影エックス線

 

③上部消化管内視鏡:慢性活動性胃炎の所見があれば④を勧めます。

 

④ヘリコバクター・ピロリ感染検査

 

 

治療:

教科書的には、自覚症状がある場合のみ治療をします。

 

ライフスタイルの改善や、ストレス対処など

 

心療内科学的アプローチが有効であることが認知されていますが、

 

消化器内科専門医で心療内科的アプローチはおろか、

 

生活指導を丁寧に行っている例はわずかで、

 

抗不安薬を投与しているようです。

 

その他、胃酸分泌抑制薬、粘膜防御因子薬、消化管運動機能調節薬などが投与されます。

 

A型胃炎に対してはビタミンB12を投与して、

 

悪性貧血や連合性脊髄変性症の予防を講じます。

 

内視鏡検査などでヘリコバクター・ピロリ感染胃炎の確定診断がなされた場合は、

 

ヘリコバクター・ピロリ除菌療法の適応になります。

 

ただし、ペニシリン・アレルギーがある患者さんのピロリ菌除菌には、

 

通常用いているアモキシシリンは禁忌です。

 

その代りにクラリスロマイシンとメトロニダゾールが用いられています。

 

 

近年、ヘリコバクター・ピロリの感染率は低下しており、

 

ヘリコバクター・ピロリ関連疾患の増加は考えにくいです。

 

高円寺南診療所では内視鏡検査で異常はないが、

 

慢性胃炎という診断を受けている胃弱の方が多いです。

 

つまり、機能性ディスペプシアの患者さんの対応が適切になされていないことがわかります。

 

その場合は、各人のライフスタイルや疲労度のチェックやストレス対策がとても役立ちます。

 

さらに気質・体質・病状に応じて、

 

六君子湯、茯苓飲、安中散、平胃散、人参湯、当帰芍薬散などを使い分けます。

 

漢方処方の妙味は、漢方薬自体が身体症状のみならず、

 

同時に不安・抑うつなどの精神症状にも有効だからです。

 

粘膜防御作用、消化管運動機能調節作用なども兼ね持っていることも証明されています。

 

ただし、胃酸分泌抑制作用には限界があるので、

 

必要に応じて制酸剤を加えることはありますが、わずかで済むことがほとんどです。